アクティベーション

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プロダクトアクティベーションから転送てんそう

アクティベーションえい: activation)とは、ある機能きのうをアクティブ(有効ゆうこう)にするという意味いみである。有効ゆうこう活動かつどう活性かっせい賦活ふかつなどとやくされる。

コンピュータ分野ぶんやでは、一部いちぶソフトウェアインストールしたのち正規せいきライセンス保持ほじしていることを確認かくにんするためにおこなわれる認証にんしょう処理しょりことす。プロダクトアクティベーションライセンス認証にんしょうともばれる。

非合法ひごうほう入手にゅうしゅしたソフトウェアやライセンス契約けいやくはんする使用しようWarezやカジュアルコピー、2だい以上いじょうのPCにインストールなど)を防止ぼうしするために導入どうにゅうされた。最近さいきんプリペイドカードクレジットカードなどでも特定とくていのURLにアクセスしアクティベーションしないと、有効ゆうこうとならないものも存在そんざいする。また一部いちぶハードウェアでも、ファームウェア機能きのうによる特定とくてい機能きのう有料ゆうりょうオプション)を有効ゆうこうするために使用しようされる。シェアウェアフリーウェアフリーソフトウェアでもインターネットで認証にんしょう必要ひつよう場合ばあいもある。

概要がいよう[編集へんしゅう]

通常つうじょうのソフトウェアの出荷しゅっかには、電子でんし媒体ばいたいCD/DVD-ROMUSBメモリなど)1まい(1ほん)につき、1つのシリアル番号ばんごうライセンスキー)が付与ふよ印刷いんさつ)される[ちゅう 1]

アクティベーションの導入どうにゅうまえにおいては、出荷しゅっかされたソフトウェアのシリアル番号ばんごうすべてメーカーで把握はあくしているが、「どのシリアル番号ばんごう」が「どのパソコンにインストールされたか」、または「1ライセンスで2だい以上いじょうのパソコンにインストールされていないか(1つのシリアル番号ばんごう複数ふくすうだい使つかまわされていないか)」がかんできない状態じょうたいにあった。

ユーザー全員ぜんいん監視かんしするのは到底とうてい不可能ふかのうであることと、使用しようにはユーザー登録とうろく[ちゅう 2]はほぼ任意にんいとされているため、メーカーからかんされないのを悪用あくようし、電子でんし媒体ばいたいのコピーや「1ライセンスで2だい以上いじょうのパソコンにインストール」され、またインストールもと電子でんし媒体ばいたい中古ちゅうこ転売てんばいできる問題もんだいもあった。

こうした不正ふせいコピーをふせぐため、以下いかのような方法ほうほう導入どうにゅうされ、認証にんしょうするかたちるようになった。

  • インストール使用しようできる範囲はんい期間きかん制限せいげんする
  • パッケージに印刷いんさつされた「シリアル番号ばんごう」と「パソコンの構成こうせい」をわせ、「シリアル番号ばんごう : パソコンの構成こうせい」を1たい1で対応たいおうさせる
  • 「シリアル番号ばんごう」と「パソコンの構成こうせい」をもとに、ハッシュ生成せいせいする
  • インターネットの接続せつぞくかいし、上記じょうきのハッシュをメーカーに送信そうしんおよび登録とうろくさせる
  • ハッシュ登録とうろくされれば、メーカーは「出荷しゅっかされたシリアル番号ばんごう」と「インストールされたパソコンの構成こうせい要素ようそ」(RAMHDD、イーサネットカードのMACアドレスなど)を把握はあくできる
  • これにより、初回しょかい認証にんしょう完了かんりょうし、ぜん機能きのう使用しようできる
れい:ソフトウェアのシリアル番号ばんごう「1234-5678-9012」ハッシュ「1234567890abcdef」のパソコンでさき認証にんしょうされたと仮定かていした場合ばあい、メーカーがわからると「シリアル番号ばんごう「1234-5678-9012」のソフトは、ハッシュ「1234567890abcdef」のパソコンにインストールされた」ことを確認かくにんでき、初回しょかい認証にんしょうおこなわれる。これが第三者だいさんしゃわたり、ハッシュ「567890abcdef1234」のパソコンで認証にんしょうこころみた場合ばあい「シリアル番号ばんごう「1234-5678-9012」が2だいのパソコンで使つかまわされている」という情報じょうほう取得しゅとくすることになるため、ハッシュ「567890abcdef1234」のパソコンにたいする認証にんしょう拒絶きょぜつされる

インストール、すぐインターネットへ接続せつぞくできない場合ばあいもあることに配慮はいりょし、電話でんわやFAX、メール(PC、携帯けいたい電話でんわ)による認証にんしょうけ、またはインストール短期間たんきかんだけ通常つうじょうどお使用しようできるよう猶予ゆうよしているところもある(期限きげんぎると認証にんしょう以外いがい機能きのう使用しようできなくなる)。これにより、初回しょかい導入どうにゅうされた環境かんきょう正式せいしきなライセンス保持ほじしゃなし、この情報じょうほうことなる環境かんきょう動作どうささせる、いわゆる正規せいきのユーザーおよび環境かんきょう以外いがい第三者だいさんしゃなどに不正ふせいわたってしまったソフトウェアを利用りようされるのをふせぎ、結果けっかとして不正ふせいコピーや中古ちゅうこ転売てんばい不可能ふかのうになる。

デスクトップノートPCなど複数ふくすうだいのパソコンを所有しょゆうするユーザー(家庭かてい法人ほうじん)の利便りべんせい考慮こうりょし、メーカーによっては「1ライセンスにつき、2だいすうだいまでのPCにインストール」を許可きょかしているものもある。その場合ばあいはOSやハードウェアの構成こうせいことなっても規定きてい台数だいすうまで認証にんしょうけるが、ライセンス契約けいやくじょう使用しよう可能かのうなユーザーは1めい(または1世帯せたい・1法人ほうじん)に限定げんていされているのもある(たとえば、「AのデスクトップPC」と「BのノートPC」へインストールすることは「A」「B」の2めい使用しようすることになるため、ライセンス契約けいやく違反いはんする)。

パソコン本体ほんたい構成こうせいもとづく認証にんしょうのほかに、ドングルばれるUSBキーをもちいたものもあり、これはハードウェア認証にんしょうともばれる。

パソコン本体ほんたい構成こうせいことなっても認証にんしょうける方法ほうほうとして、「シリアル番号ばんごう」と「アカウントのID」を1たい1で対応たいおうさせた認証にんしょう存在そんざいする。この認証にんしょうおもSteamUplayOrigin販売はんばいされるPCゲームで導入どうにゅうされており、このパソコン本体ほんたい構成こうせいことなっても、「シリアル番号ばんごう : アカウントのID」のわせが一致いっちすればゲームを起動きどうできるようになっている。

問題もんだいてん課題かだいてん[編集へんしゅう]

正式せいしきにライセンスをけたユーザや環境かんきょうであっても、パソコンに不具合ふぐあいしょうじた場合ばあいなどなんらかの事情じじょうでソフトウェアをさいインストールしなければならなくなった場合ばあい複数ふくすうだいのパソコンにインストールされたとみなされ、認証にんしょう拒否きょひされることがある。

また、パソコン本体ほんたい性能せいのう向上こうじょうさせるためHDDCPU・メモリ・光学こうがくドライブサウンドカードグラフィックカードなどのパーツを1種類しゅるい数種類すうしゅるい交換こうかんまたは追加ついかなどの改造かいぞうくわえた場合ばあいもパソコンの構成こうせいことなり、ハッシュわってしまうため「初回しょかいインストールとはべつのパソコンである」と認識にんしきされ、同様どうようにアクティベーションに失敗しっぱいすることがある。

さらに、セキュリティと不正ふせいコピー防止ぼうし観点かんてんからアクティベーション情報じょうほう保存ほぞん箇所かしょ(それがローカルに保存ほぞんされる場合ばあいかぎる)については公表こうひょうされていないため、それ自体じたいがトラブルの要因よういんになると判明はんめいすることがある。おおくのソフトウェアはHDDに隠蔽いんぺいして保存ほぞんしている関係かんけいじょうRAIDSSDなど規格きかくあたらしい記憶きおく媒体ばいたいEFIBIOS仕様しよう適応てきおうできない場合ばあいがあり、この場合ばあいなんアクティベーションをこころみても失敗しっぱいしたり、度目どめ起動きどう失敗しっぱいさいアクティベーションをもとめられることがかえされ、しまいには多重たじゅう認証にんしょうとみなされアクティベーションを拒絶きょぜつされる(この多重たじゅう認証にんしょう拒絶きょぜつ自体じたいはアクティベーションシステムが正常せいじょう機能きのうしていることをしめし、良品りょうひんということにはならない)。

USBキーをもちいたハードウェア認証にんしょう場合ばあいでも、キーがつねにUSBポートを占有せんゆうしてしまうことや、紛失ふんしつ故障こしょうなどでキー自体じたいうしなわれてしまう危険きけんせいがある、そののUSB機器ききとの競合きょうごう可能かのうせいなど問題もんだいがある。ID入力にゅうりょく方式ほうしき場合ばあい初回しょかい起動きどう複雑ふくざつなID入力にゅうりょくをユーザに強制きょうせいすることになり、ソフトウェアの利用りよう余計よけい手間てまをかけさせられるかたちとなる。

このような状況じょうきょう回避かいひするには、ソフトウェアメーカーのサポート窓口まどぐちへ(カジュアルコピーとうたがわれることを覚悟かくごで)事情じじょう説明せつめいするなどの手間てまがかかる(メーカーのがわからすると、この手間てま不正ふせいコピーの抑止よくしりょくとなっていることは否定ひていできない)。また、ユーザにとってあるしゅ個人こじん情報じょうほう送信そうしんするようなシステムであること(いわゆる「ユーザ登録とうろく」と引替ひきかえにアクティベーションがおこなわれるケースもある)から、現行げんこうのアクティベーションシステムに批判ひはんてき立場たちばものおおい。

そもそも、アクティベーションはインターネット接続せつぞく必要ひつようとしており、なんらかの理由りゆう接続せつぞくできない環境かんきょうでは認証にんしょうできずに製品せいひん使用しようできなくなるおそれもある。一部いちぶ製品せいひんTMPGEncなど)では定期ていきてきなインターネット接続せつぞくもとめるものもある。インターネットの利用りようしゃすう増加ぞうかし、常時じょうじ接続せつぞく普及ふきゅうした現在げんざいでもなお、セキュリティじょう[ちゅう 3]または経済けいざいてき理由りゆう接続せつぞくできない利用りようしゃからの批判ひはんすくなくない。その一方いっぽう、インターネット接続せつぞく環境かんきょうがあってもオンライン認証にんしょうけられず、電話でんわなど手段しゅだん認証にんしょうする必要ひつようがあるケースもしょうじている。

電話でんわ窓口まどぐち認証にんしょうする場合ばあいマイクロソフトのように24あいだ体制たいせいで、購入こうにゅうしゃ通話つうわりょう無料むりょうフリーダイヤルひとし)、そして利用りようしゃ利用りようする言語げんごおな言語げんごけてくれることがもっと理想りそうてきであるが、企業きぎょうによっては通話つうわ有料ゆうりょうとなる場合ばあいや、年中ねんじゅう無休むきゅうでない場合ばあいとく祝日しゅくじつ休業きゅうぎょうとなる場合ばあい)もある。これは地方ちほう在住ざいじゅうしゃにとって通話つうわりょう負担ふたんおおきいばかりでなく、休業きゅうぎょう毎日まいにちけられない不便ふべんなどの問題もんだいがある。

また、電話でんわメールでの認証にんしょうけず、「ソフトのもととなるディスク(CD-ROMDVD-ROM)が「物理ぶつりてき存在そんざいすること」を確認かくにんしなければ発行はっこうしない」れい[ちゅう 4]存在そんざいし(RPGツクールシリーズなど)、その場合ばあい手数料てすうりょう輸送ゆそうなどをあわせると商品しょうひん代金だいきん半分はんぶんほどになってしまうこともある。

メーカーがわ事情じじょうにより、サポートのりを余儀よぎなくされたり、メーカーの倒産とうさん経営けいえい危機ききなどで窓口まどぐちそのものが消失しょうしつした場合ばあいに、認証にんしょうけられず製品せいひん利用りようできなくなる可能かのうせいもあるが、当該とうがい製品せいひん発売はつばいから一定いってい期間きかん経過けいか認証にんしょうおこなわないよう修正しゅうせいするファイルをウェブサイトで配信はいしんし、ユーザーにインストールさせることで対応たいおうする場合ばあいがある(一部いちぶのアダルトゲームで導入どうにゅうされているが十分じゅうぶん説明せつめいされないれいおおく、対応たいおうのケースもえている。事実じじつStudio e.go!のゲームはすう年間ねんかん認証にんしょう不可ふかになった時期じきがあり、メーカー再編さいへんのいざこざにユーザがまれて不利益ふりえきこうむった実例じつれいとなっている)。

たとえばアドビではアクティベーション機構きこう停止ていし余儀よぎなくされた場合ばあい製品せいひんアクティベーションを不要ふようとする修正しゅうせいファイルを配布はいふすることを約束やくそくしている[ちゅう 5]が、かならずしもぜんメーカーの製品せいひんでそういったサポートをけられるとはかぎらない。

さらに、(疑義ぎぎしょうじるものの)ソフトウェア利用りよう許諾きょだく契約けいやくによっては、「メーカーがわ一方いっぽうてき使用しようしゃ権利けんり消尽しょうじんできる」むね条項じょうこうまれていることもあり、これを適用てきようすればアクティベーションを終了しゅうりょうすることも厳密げんみつには可能かのうとなる。

いちれいとしてアダルトゲームのアクティベーションシステムだった「Play-Gate」では管理かんり会社かいしゃ運営うんえい終了しゅうりょうべつのダウンロードソフト販売はんばいサイトでダウンロードソフトに変更へんこうするために再度さいどプロダクトIDをメールでの登録とうろくおこなわなければならず、手間てまとなっている。

そうじてアクティベーションによってまもられるのはメーカーがわ権利けんりのみであり、不正ふせいユーザを駆逐くちくするために正規せいきのユーザが一方いっぽうてき手間てま機能きのう制限せいげん、トラブル発生はっせいのリスクを背負しょわされるかたちとなっており、また初期しょき時点じてんぜんユーザを一律いちりつ不正ふせい利用りようしゃ仮定かていする性悪説せいあくせつ前提ぜんていのスタンスにも批判ひはんがあるなど、けっしてユーザフレンドリーなシステムではないてん導入どうにゅうがわきもめいじる必要ひつようがある。

おも製品せいひん[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ メーカーやソフトによっては、1つのパッケージにすうだいぶんのシリアル番号ばんごう付与ふよし、規定きてい台数だいすうまでインストールを許可きょかする場合ばあいもある。
  2. ^ ソフトウェアのシリアル番号ばんごう印刷いんさつされた葉書はがきをメーカーへ送付そうふし、ユーザーの住所じゅうしょ氏名しめいなどの個人こじん情報じょうほう登録とうろくすること。シリアル番号ばんごうとユーザーの個人こじん情報じょうほう登録とうろくすれば、メーカーからのサポートが充実じゅうじつしたり、最新さいしんバージョンのソフトウェアを割引わりびき購入こうにゅうできるなどの特典とくてんけられる場合ばあいがある。
  3. ^ ウイルス感染かんせん情報じょうほう漏洩ろうえい防止ぼうしさいインストールなどで(一時いちじてきに)スタンドアローンする必要ひつようがある場合ばあいふくむ。
  4. ^ パソコンゲームにおいては、プレイにはもとのディスクをつね光学こうがくドライブれ、存在そんざい認識にんしきさせなければ起動きどうしないタイトルもある。
  5. ^ 事例じれいとして、2012ねん12月13にち「Adobe® Creative Suite® 2 製品せいひんおよび Adobe® Acrobat® 7のアクティベーションサーバーにかんするおらせ」において、Creative Suite 2(CS2)Acrobat 7のアクティベーションサーバーを停止ていししたとアナウンスしたため、どう製品せいひん正規せいきライセンスを所有しょゆうしているユーザーを対象たいしょうにアクティベーションを不要ふようとしたバージョンを公開こうかいはじめた(なお、どうサイトにおいて「正規せいきライセンスのないユーザーが利用りようするとライセンス違反いはんになる」と警告けいこくしている)。

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]