(Translated by https://www.hiragana.jp/)
ポスト・バップ - Wikipedia コンテンツにスキップ

ポスト・バップ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
ポスト・バップ
Post-bop
ロン・カーター(ベース)とトニー・ウィリアムス(ドラム)をともなうマイルス・デイヴィス・クインテット
様式ようしきてき起源きげん
文化ぶんかてき起源きげん 1960年代ねんだい前半ぜんはんアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくニューヨーク
使用しよう楽器がっき
テンプレートを表示ひょうじ

ポスト・バップPost-bop)は、1960年代ねんだい前半ぜんはんからなかばにかけてアメリカ発展はってんしたスモール・コンボ・ジャズのジャンル。マイルス・デイヴィスウェイン・ショーターハービー・ハンコックジョン・コルトレーンジャッキー・マクリーンなど、このジャンルのパイオニアは、アヴァンギャルド・ジャズモード・ジャズフリー・ジャズどう時代じだいにおける発展はってんとともにハード・バップ合成ごうせいしたものをつくげ、複雑ふくざつ実験じっけんてき音楽おんがくした。その風味ふうみはまだバップ伝統でんとうざしており、ハード・バップで優勢ゆうせいブルースソウル傾向けいこうはあまりない。この運動うんどうは、世代せだいのアコースティック・ジャズとフュージョンのミュージシャンたち双方そうほうおおきな影響えいきょうあたえた。

定義ていぎ

[編集へんしゅう]

ポスト・バップとは、1950年代ねんだい後半こうはんから1960年代ねんだいにかけて出現しゅつげんした、ビバップハード・バップモード・ジャズアヴァンギャルド・ジャズフリー・ジャズ原則げんそくわせた音楽おんがくぐんすが、初期しょきジャズ伝統でんとうからも逸脱いつだつしている[1]。ポスト・バップは、年代ねんだいてきにはビバップ以降いこう様々さまざまなジャズ音楽おんがくすことがあるが、一般いっぱんてき理解りかいでは、ポスト・バップは、マイルス・デイヴィスだい2クインテットによって結晶けっしょうしたジャズ・アンサンブルへのよりオープンなアプローチや、どうグループやクラシックなジョン・コルトレーン・カルテットのモードかんつよさという影響えいきょう反映はんえいした音楽おんがくとされている。

音楽おんがく学者がくしゃのジェレミー・ユドキンによれば、ポスト・バップは「バップの慣習かんしゅうあたらしいジャズのあきらかにかたちのない自由じゆうさ」にはしたがっていない[2]かれはサブジャンルの定義ていぎつぎのようにいている。

フォーム、テンポ、拍子ひょうしがより自由じゆうになり、すべての構成こうせいあたらしくなり、バンド・メンバー自身じしん注目ちゅうもく作曲さっきょくとなります……。極端きょくたん抽象ちゅうしょうてき強烈きょうれつなアプローチで、ドラマーがリズムや色彩しきさいてき独立どくりつするための空間くうかんつくられています。―モードとコードのハーモニー、柔軟じゅうなんなフォーム、構造こうぞうされたコーラス、メロディのバリエーション、そして自由じゆう即興そっきょうれたアプローチです[2]

研究けんきゅうのキース・ウォーターズによると、ポスト・バップの録音ろくおんられる特徴とくちょうとして、モード・ジャズに特徴とくちょうてきなゆっくりとした和声わせいリズム、基礎きそとなる和声わせい構造こうぞうの「内側うちがわ」と「外側そとがわ」を演奏えんそうするテクニック、リズム・セクションの伴奏ばんそうたいする対話たいわてき(または会話かいわてき)アプローチ、めずらしい和声わせい進行しんこう和声わせいまたはメトリックのかさわせの使用しようあたま主張しゅちょうやコーラスの構造こうぞう即興そっきょうめずらしい基礎きそ形式けいしき設計せっけい、または即興そっきょう基礎きそとなるコーラス構造こうぞう完全かんぜん放棄ほうきなどがあるとしている[1]

歴史れきし

[編集へんしゅう]

マイルス・デイヴィスだい2クインテットは1964ねんから1968ねんにかけて活動かつどうし、ピアニストのハービー・ハンコック、ベーシストのロン・カーター、サックス奏者そうしゃウェイン・ショーター、ドラマーのトニー・ウィリアムスをフィーチャーした。All About JazzのC・マイケル・ベイリーによると、かれらはポスト・バップを導入どうにゅうした『E.S.P.』(1965ねん)、『マイルス・スマイルズ』(1967ねん)、『ソーサラー』(1967ねん)、『ネフェルティティ』(1968ねん)、『マイルス・イン・ザ・スカイ』(1968ねん)、『キリマンジャロのむすめ』(1968ねん)という6まいのスタジオ・アルバムを録音ろくおんしている[2]

遺産いさん

[編集へんしゅう]

ポスト・バップ・ミュージックの抽象ちゅうしょうせい自由じゆうかたちは、1970年代ねんだいフュージョン・ミュージックに影響えいきょうあたえた。それはジャズという音楽おんがくを、より創造そうぞうてき自由じゆう演奏えんそうれたべつのレベルにえた。『Miles Davis, Miles Smiles, and the Invention of Post Bop』というほんによると、「マイルス・デイヴィスはしんにポスト・バップをはじめた人物じんぶつであり、かれ自身じしん創造そうぞうりょくによってフュージョンとハード・バップという遺産いさんにもいどつづけた人物じんぶつである」。

参考さんこう

[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう

[編集へんしゅう]
  1. ^ a b Waters, Keith (2019). Postbop jazz in the 1960s : the compositions of Wayne Shorter, Herbie Hancock, and Chick Corea. New York, NY. ISBN 978-0-19-060460-8. OCLC 1104790682. https://www.worldcat.org/oclc/1104790682 
  2. ^ a b c Bailey, C. Michael (April 11, 2008). “Miles Davis, Miles Smiles, and the Invention of Post Bop”. All About Jazz. February 23, 2013閲覧えつらん

外部がいぶリンク

[編集へんしゅう]