モーゼとアロン

『モーゼとアロン』（Moses und Aron）は、アルノルト・シェーンベルク作曲さっきょくの未完みかんのオペラ。

十じゅう二に音おと技法ぎほうによって書かかれ、1つのセリー（音おと列れつ）が基礎きそになっている。単一たんいつのセリーでオペラを書かいたことはシェーンベルクには1つの誇ほこりであったようで、エッセイ「12音おと技法ぎほうの作曲さっきょく」の中なかで「私わたしは1つのセリーで1曲きょくのオペラを作つくることができる」と述のべている。全ぜん3幕まくの予定よていだったが、第だい3幕まくはシェーンベルクによる台本だいほんが書かかれたのみで作曲さっきょくは中断ちゅうだんされた。第だい2幕まくまではオーケストレーションも含ふくめてシェーンベルク自身じしんの手てで完成かんせいされている。全曲ぜんきょくにわたって演奏えんそうは技術ぎじゅつ的てきに困難こんなんであり、第だい2幕まく第だい3場じょうの「黄金おうごんの子こ牛うしの踊おどり」は特とくに難むずかしい。シェーンベルク自身じしんは、エレクトロニクスの力ちからを借かりなければ演奏えんそうは不可能ふかのうだろうと考かんがえていた。

作曲さっきょくの経過けいか

当初とうしょはオペラとしてではなく、カンタータ「モーゼと燃もえる柴しば」として構想こうそうされた。現在げんざい知しられている限かぎり、このことに触ふれたのはアントン・ヴェーベルン宛あての手紙てがみ（1926年ねん3月がつ29日にち）が最初さいしょであるが、その内容ないようから見みると、台本だいほんはもっと以前いぜんから手てをつけていたらしい（1933年ねん10月がつ16日にちのアルバン・ベルク宛あての手紙てがみでも、同様どうようの内容ないようのことが触ふれられている）。

1926年ねん以降いこうになって「モーゼと燃もえる柴しば」を改作かいさくした際さい、より大だい規模きぼな作品さくひんにすることに決きめ、1928年ねん10月がつにその台本だいほん草稿そうこうを完成かんせいさせた。この段階だんかいでは、オラトリオとして作曲さっきょくするつもりであったらしい。しかし、その後ご18ヶ月かげつ間あいだは進展しんてんがなく、1930年ねん5月がつになって、ようやく第だい1、2幕まくの台本だいほんの最終さいしゅう版ばんが完成かんせいされる。「モーゼとアロン」をオペラとして作曲さっきょくすることを考かんがえ始はじめるのはこのころであるらしい。

作曲さっきょくは、1930年ねん5月がつ7日にちに開始かいしされ、第だい1幕まくは1931年ねん7月がつ14日にちに完成かんせい。間奏かんそう曲きょくは、同年どうねん同月どうげつの20から25日にちに書かかれた。その後ご、直ただちに第だい2幕まくの作曲さっきょくに入はいり、1932年ねん3月がつ10日とおかに完成かんせいされた。この間あいだに第だい3幕まくのスケッチも行おこなわれていたが、スケッチのレベルを越こえることはなかった。ナチスに追おわれて、1933年ねんにシェーンベルクはアメリカへ移住いじゅうするが、その後ごも第だい3幕まくの完成かんせいをあきらめたわけではなかった。1933年ねん6月がつから1934年ねん3月がつにかけて、第だい3幕まくの台本だいほんが改稿かいこうされている。この時点じてんで、シェーンベルクは第だい3幕まくの方向ほうこう性せいを大おおきく旋回せんかいさせている。また、1937年ねんには、第だい3幕まくの音楽おんがくをどうするかについて一考いっこうしている。

シェーンベルクは最さい晩年ばんねんに至いたっても、第だい3幕まくの完成かんせいには意欲いよくをみせていたようである。未完みかんに終おわった理由りゆうは諸説しょせつあるが、決定的けっていてきなものはない。

台本だいほん

旧約きゅうやく聖書せいしょの「出でエジプト記き」の第だい3、4、32章しょうを下敷したじきにシェーンベルク自身じしんによって作つくられた。宗教しゅうきょう的てき題材だいざいを基礎きそとしながらも、シェーンベルクの解釈かいしゃくはかなり個性こせい的てきである。その理由りゆうの一ひとつは、ナチスによるユダヤ人じん迫害はくがいというドイツの政治せいじ的てき状況じょうきょうにある。

曲きょくの構成こうせい

第だい1幕まく

第だい1幕まくは4場じょうからなる。前奏ぜんそうは始はじめから合唱がっしょうの声こえが入はいっていて、音楽おんがくとしては非常ひじょうに大胆だいたんな設計せっけいをしている。

第だい1場じょう

神かみが燃もえる柴しばを通とおしてモーゼに、神かみの預言よげん者しゃとなり、エジプトでファラオの奴隷どれいになっているイスラエルの民みんを解放かいほうせよと伝つたえる。モーゼは、自分じぶんは年老としおいているし、誰だれも自分じぶんを信しんじようとはしないだろうと言いう。しかし、神かみはそれを否定ひていする。重かさねてモーゼは、自分じぶんには、民衆みんしゅうを説得せっとくするだけの弁舌べんぜつの才ざいがないことを訴うったえる。神かみは、モーゼの口くちの代かわりになる人物じんぶつとして、モーゼの弟おとうと、アロンを挙あげる。そして、イスラエルの民みんは唯一ゆいいつの神かみによって選えらばれたる民みんであり、ゆえに神かみを知しり、ただ一ひとつの神かみを崇拝すうはいすべきである、イスラエルの民みんは今後こんご数すう千せん年ねんにわたって多おおくの辛苦しんくに耐たえねばならない、しかし、その末すえに、イスラエルの民みんは神かみと一体いったいとなり、全ぜん人類じんるいのモデルとなるであろう、と約束やくそくする。

第だい2場じょう

モーゼは荒野あらのでアロンと出会であう。しかし、対話たいわのうちに、両者りょうしゃの考かんがえ方かたの違ちがいが次第しだいに露あらわになる。アロンは、想像そうぞうすることができない神かみを、イスラエルの民みんが愛あいすることができるのかと疑問ぎもんを抱いだく。そして、神かみは人ひとの罪つみを代々だいだいにわたって罰ばっし、 また、神かみの命令めいれいに忠実ちゅうじつなる者ものには報むくいるのだと言いう。アロンは、新あらたなる神かみがイスラエルの民みんをファラオの呪縛じゅばくから解放かいほうすることに希望きぼうを託たくす。一方いっぽう、モーゼは、神かみは見みることのできない全能ぜんのうの存在そんざいであり、人ひとを罰ばっしたり、報むくいたりはしない、乞食こじきが願ねがいを聞ききいれてもらうために供物くもつを捧ささげたとしても、神かみはそれに心しんを動うごかされるようなことはないと、反論はんろんする。

第だい3場じょう

若者わかものと、少女しょうじょ、男おとこ、司祭しさいが、モーゼやアロン、そして新あらたなる神かみについて語かたり合あっている。一部いちぶの者ものは、モーゼが戻もどってきて新あらたな反乱はんらんをそそのかすのではないかと心配しんぱいする。若者わかものは、新あらたなる神かみがどのように見みえるだろうか、と想像そうぞうし、 男おとこは、神かみはファラオよりも強つよいだろう、そして、我々われわれを助たすけてくれるだろう、と想像そうぞうする。少女しょうじょは、快活かいかつで若わかく、ハンサムな神かみだろうと思おもう。民衆みんしゅうの意見いけんは2つに割われる。一方いっぽうは、新あらたなる神かみは、我々われわれを救すくい、ファラオよりも強つよい神かみであるから、崇拝すうはいすべきだと言いう。他方たほうは、ファラオよりも強つよい神かみなどいない、神かみ々は我々われわれに愛あいなど与あたえてくれない、今いまのままがいい、と言いう。やがて、遠とおくからモーゼとアロンがやってくるのが見みえる。

第だい4場じょう

モーゼとアロンが民衆みんしゅうの前まえに現あらわれる。アロンは民衆みんしゅうに、新あらたなる神かみを崇拝すうはいすべきことを説とく。民衆みんしゅうは、神かみを見みせろと迫せまる。 アロンは、神かみは見みることが出来できる存在そんざいではないと説明せつめいするが、民衆みんしゅうは納得なっとくせず、そのような神かみは欲ほっしない、そのような神かみに 与あたえられる自由じゆうなどいらないと言いい、嘲笑ちょうしょうする。モーゼは、自分じぶんの思考しこうをアロンの言葉ことばを通とおして伝つたえられないことに失望しつぼうする。アロンは、モーゼの杖つえを持もち出だし、民衆みんしゅうの目めの前まえでそれを地面じめんに投なげ出だし、杖つえを蛇へびに変かえて見みせる。そして、おののく民衆みんしゅうの前まえで、蛇へびがモーゼの手てに戻もどると再ふたたび杖つえに変化へんかする様子ようすを見みせる。アロンは、杖つえは法ほうをあらわす、そして、その杖つえはモーゼのものである、ゆえに、モーゼに従したがうのだ、と説とく。民衆みんしゅうは、アロンが杖つえを蛇へびに変かえた力ちからに驚おどろき、その蛇へびを杖つえに戻もどしたモーゼの更さらに大おおきな力ちからに驚おどろく。そして、アロンがモーゼの僕ぼくであり、さらにモーゼは神かみの僕ぼくであり、それならば、新あらたなる神かみの力ちからも大おおいなるものであろうと考かんがえるようになる。

そこに司祭しさいが異議いぎを唱となえる。新あらたなる神かみがファラオの力ちからに打うち勝かち、我々われわれを自由じゆうにできるのか、と。民衆みんしゅうは疑心暗鬼ぎしんあんきになる。アロンは、説得せっとくのために、モーゼの健康けんこうな手てを民衆みんしゅうに示しめして、もう一ひとつの奇跡きせきを起おこしてみせる。民衆みんしゅうに向むかって、司祭しさいの考かんがえは病やんでいる、そして、それを知しっているがゆえに、モーゼの心しんもまた病やまいにかかっている、そのために、モーゼの手てを胸むねに置おくと、健康けんこうだった手てがただれてしまうのだ、と言いって、実際じっさい、その通とおりになることを実演じつえんしてみせる。これにおののく民衆みんしゅうに向むかって、アロンは更さらに続つづける。しかし、同時どうじにモーゼの胸むねには神かみが宿やどっている、ゆえに、その力ちからが、ただれた手てを再ふたたび健康けんこうな手てに戻もどすことが出来できるのだ、と。民衆みんしゅうは、実際じっさいにそうなる様子ようすに驚愕きょうがくする。アロンは、自分じぶんたちの心しんの中なかに宿やどる神かみを探さがせ、その力ちからがファラオを打うち負まかすのだと、熱烈ねつれつに説とく。こうして、民衆みんしゅうは新あらたなる神かみを受うけ入いれる。アロンは、砂漠さばくをぬけた後のちに、神かみがイスラエルの民みんを約束やくそくの地ちへと導みちびくだろうと約束やくそくする。

間奏かんそう曲きょく

合唱がっしょうつきの短みじかい間奏かんそう曲きょく。シナイ山さんへ上のぼったまま40日にち待まっても戻もどらないモーゼを待まつ民衆みんしゅうの不安ふあんがモティーフとなっている。

第だい2幕まく

第だい2幕まくは全ぜん5場じょうからなる。(以下いか、準備じゅんび中ちゅう)

第だい1場じょう

アロンと70人にんの長老ちょうろうが集あつまっている。 司祭しさいが、40日にち待まってもモーゼはシナイ山さんから戻もどってこず、 法ほうも神かみの命令めいれいも与あたえられないと怒いかり出だす。 長老ちょうろうの中なかには、エジプトにいた時ときよりも状況じょうきょうは悪わるいとい出いだす者ものも出でてくる。 長老ちょうろうたちは、今いまや力ちからが支配しはいしており、みだらなことをしても罰ばっせられず、 美徳びとくを追おっても報むくわれないと嘆なげく。 神かみはモーゼにのみ信託しんたくを伝つたえると約束やくそくし、神かみの法ほうと命令めいれいは 自分じぶんの口くちを通とおして伝つたえられるのであり、観念かんねん以前いぜんに形かたちを求もとめてはならないと アロンは説得せっとくするが、長老ちょうろうたちは聞きく耳みみをもたない。 既すでに事態じたいは遅おそすぎ、民衆みんしゅうは意気いき消沈しょうちんしている、 彼かれらは怒いかり、長老ちょうろうたちを信用しんようしなくなった、 啓示けいじを受うけに行いくというのはまやかしだ、 モーゼは逃にげ出だしたのだと長老ちょうろうたちはい出いだす。 遠とおくから、怒いかり狂くるった民衆みんしゅうの声こえが聞きこえ、 急速きゅうそくに近ちかづいてくる。

第だい2場じょう

民衆みんしゅうは、モーゼを探さがし八やつ裂ざきにすると怒いかり狂くるっている。彼かれらは、新あらたなる全能ぜんのうの神かみも信用しんようしない。知覚ちかくすることのできないこの神かみを破壊はかいし、昔むかしの、崇拝すうはいすることのできる多神教たしんきょうの神かみ々をわれわれに戻もどせ、そうしなければ、お前まえたちを八やつ裂ざきにするぞ、とアロンや長老ちょうろうたちを脅おどす。長老ちょうろうたちは民衆みんしゅうを説得せっとくするように、アロンに懇願こんがんする。

アロンは、民衆みんしゅうに言いう。弟おとうとモーゼは我々われわれの近ちかくにいようと遠とおくにいようといつもの場所ばしょにとどまっている。モーゼは、山やまの頂いただきで神かみの近ちかくにいる。モーゼは遠とおく離はなれて我々われわれを置おいていったのかもしれない。いや、神かみがモーゼをおいていってしまったのかもしれない。多分たぶん、モーゼは神かみに近寄ちかよりすぎたのだ。かの神かみはとても過酷かこくで、モーゼを殺ころしてしまったのかもしれない、と。

アロンの最後さいごの言葉ことばは、瞬またたく間まに民衆みんしゅうの間あいだに広ひろまっていく。そして、その内容ないようもあっという間まに変かわってしまう。いつの間まにか、モーゼはもともと信仰しんこうしていた多神教たしんきょうの神かみに殺ころされたことになってしまう。民衆みんしゅうは、新あたらしい神かみはモーゼを守まもることができない無力むりょくな神かみだ、 そのような神かみを信仰しんこうさせようとする聖職せいしょく者しゃは殺ころしてしまえと騒さわぎ出だす。

70人にんの長老ちょうろうたちに助たすけてくれと頼たのみ込こまれたアロンは、民衆みんしゅうに向むかって、望のぞみどおりもとの多神教たしんきょうの神かみを戻もどすと宣言せんげんする。アロンは更さらに、神かみ々が近ちかくに感かんじられ、見みえるように、想像そうぞうできるように、形かたちを与あたえよう、金かねで偶像ぐうぞうをつくるのだ、と呼よびかける。民衆みんしゅうは大だい喜よろこびする。この世よに共ともにあって、有限ゆうげんの存在そんざいで、想像そうぞうすることができ、はっきりとした存在そんざいで、確たしかに感かんじることができる、そのような神かみ々は、私わたしたちが望のぞまないものを求もとめようとしない、私わたしたちの感覚かんかくと近ちかく、理解りかいすることが可能かのうだ、美徳びとくを讃たたえられることは悦よろこびであり、悪行あくぎょうは正義せいぎによって罰ばっせられる、行おこないには相応そうおうの報むくいがあることを示しめしてくれ、神かみ々よ、その力ちからを見みせよ、喜よろこべ、イスラエルの民みんよ、今いまこの瞬間しゅんかんが輝かがやかしく、遠とおい永遠えいえんは暗くらい、快楽かいらくはその結果けっかを避さけはしない、快楽かいらくは、恐おそれることなく喜よろこんで結果けっかを求もとめる、喜よろこびは生なまと、そして死しとも隣となり合あわせであって、生せいを死しへと高たかめる、危険きけんは、生せいへの愛情あいじょうを、着実ちゃくじつさ、勇敢ゆうかんさを燃もえあがらせる、イスラエルの民みんは、自分じぶんたちの最もっとも奥底おくそこにあった感覚かんかくを形かたちとしてあらわし、神かみ々に与あたえた、神かみ々の偉大いだいなる栄光えいこうは、イスラエルの民みんの金かねと結むすびついている、自分じぶんの富とみをうちすてよ、金かねを差さし出だし、神かみ々にささげよ、神かみ々は、イスラエルの民みんを飢うえさせることはないのだ、喜よろこべ、イスラエルの民みんよ、と歌うたう。

第だい3幕まく

（台本だいほんのみで作曲さっきょくはされていないが、新しん全集ぜんしゅう版ばんのスコアでは多数たすうのスケッチが公開こうかいされている。）

アロンの行動こうどうは罪つみと断定だんていされたが、モーゼとの論争ろんそうは依然いぜんとして平行へいこう線せんをたどる。モーゼが雄弁ゆうべんでアロンを鎖くさりから解放かいほうするがアロンは死しぬ。モーゼがイスラエル民族みんぞくに告つげる予言よげん「神かみと一ひとつに結むすばれん」でこのオペラは閉とじられる。

楽器がっき編成へんせい

フルート3（全員ぜんいんがピッコロ持もち替かえ）、オーボエ3（第だい3奏者そうしゃはコーラングレ持もち替かえ）、E♭クラリネット、クラリネット2、バス・クラリネット、ファゴット2、コントラファゴット、ホルン4、トランペット3、トロンボーン3、チューバ、打楽器だがっき：奏者そうしゃ6（トライアングル、グロッケン、ゴング、シンバル、タムタム、タンブリン、テナードラム、小太鼓こだいこ、大だい太鼓たいこ、フレクサトーン、ラチェット、グロッケンシュピール、シロフォン）、ハープ、ピアノ、チェレスタ、マンドリン2、弦つる五ご部ぶ（14型がた）

舞台ぶたい上じょうにピッコロ、フルート1、コーラングレ、クラリネット、ホルン1、トランペット2、トロンボーン2、打楽器だがっき（ゴング、シンバル、鈴すず、大だい太鼓たいこ、シロフォン）、ピアノ、ギター2、マンドリン2

登場とうじょう人物じんぶつ

• モーセ（語かたり手て）
• アロン（テノール）
• 若わかい娘むすめ（ソプラノ）
• 病気びょうきの女おんな（アルト）
• 若わかい男おとこ（テノール）
• 裸はだかの若者わかもの（テノール）
• もう一人ひとりの男おとこ（バリトン）
• エフライム（バリトン）
• 司祭しさい（バス）
• 4人にんの裸はだかの少女しょうじょ（ソプラノ2、アルト2）
• 草くさむらの声こえ（ソプラノ、児童じどう、アルト、テノール、バリトン、バス）
• 物乞ものごい（アルト6～8、バス6～8）
• 数すう人にんの老人ろうじん（テノール複数ふくすう）
• 70人にんの長老ちょうろう（バス約やく25、他たはエキストラ）
• 12人にんの支族しぞく長ちょう（テノール複数ふくすう、バス複数ふくすう）
• 合唱がっしょう（ソプラノ、メゾソプラノ、アルト、テノール、バリトン、バス）
• オーケストラ内ないの6人にんの独唱どくしょう（ソプラノ、メゾソプラノ、アルト、テノール、バリトン、バス）
• 男女だんじょの舞踊ぶよう手しゅ（複数ふくすう）
• エキストラ

以上いじょうはショット社しゃによる。

演奏えんそう時間じかん

1時じ間あいだ40分ふん（各かく幕まく50分ふん）

演奏えんそう形式けいしき

劇場げきじょう用ようオペラとして作曲さっきょくされたが、演奏えんそう会かい形式けいしきのオペラや一種いっしゅのオラトリオとして演奏えんそうされることもある。完成かんせいされた第だい2幕まくまで演奏えんそうして終了しゅうりょうする形態けいたいと、その後ご第だい3幕まくのセリフのみをモーゼとアロンの対話たいわとして語かたらせて終了しゅうりょうする形態けいたいの2種類しゅるいがある。

初演しょえん

1950年ねんにフィレンツェ5月がつ音楽おんがく祭さいでの初演しょえんの計画けいかくが持もち上あがるが、これは頓挫とんざした。代かわって、第だい2幕まくの「黄金おうごんの子こ牛うしの踊おどり」だけがコンサートで初演しょえんされた（1951年ねん7月がつ2日にち、ダルムシュタット。指揮しきはヘルマン・シェルヘン）。2幕まくまで通とおしてのコンサート初演しょえんは、1954年ねん3月がつ12日にち、ハンブルクで、指揮しきはハンス・ロスバウト。舞台ぶたい初演しょえんは、1957年ねん6月がつ6日にち、チューリッヒ。国際こくさい現代げんだい音楽おんがく協会きょうかい（International Society of Contemporary Music） の世界せかい音楽おんがく祭さいにて。

日本にっぽん初演しょえんは1970年ねん3月28日にちに、大阪おおさかのフェスティバルホールにて、ブルーノ・マデルナ指揮しき、ベルリン・ドイツ・オペラによって行おこなわれた（2幕まく版ばん）。

出版しゅっぱん

楽譜がくふは、ショット社しゃ（マインツ）、オイレンブルク社しゃから出版しゅっぱんされている。

参考さんこう文献ぶんけん

• A.Schoenberg, Moses und Aron, Edition Eulenburg No.8004.