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ヤマジスゲ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
ヤマジスゲ
ヤマジスゲ
分類ぶんるいAPG III
さかい : 植物しょくぶつかい Plantae
階級かいきゅうなし : 被子植物ひししょくぶつ angiosperms
階級かいきゅうなし : たん子葉しようるい monocots
階級かいきゅうなし : ツユクサるい commelinids
: イネ Poales
: カヤツリグサ Cyperaceae
ぞく : スゲぞく Carex
たね : ヤマジスゲ C. bostrychostigma
学名がくめい
Carex bostrychostigma Maxim. 1886.
和名わみょう
ヤマジスゲ(山路やまじかん

ヤマジスゲ Carex bostrychostigma Maxim. 1886. は、カヤツリグサスゲぞく植物しょくぶつの1つ。細長ほそながはて胞をまばらにけたしょう花茎かけい沿わせるようにし、その姿すがたはむしろイネ小柄こがらなもののようにえる。

特徴とくちょう

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やわらかなかんじの多年生たねんせい草本そうほん[1]根茎こんけいみじかいながらもよこってび、ゆるやかにまとまった集団しゅうだんつくってえている。花茎かけいながさ30~80cmになるがななめにたおれていることがおおい。そのために実際じっさいたかさは15cm内外ないがいとなっている[2]くきだけでなくゆる四方しほうななめをけてびる[2]くきなめらか[3]深緑しんりょくしょくはば2~4mm、やわらかくてややなめらか。ながさは花茎かけいどう程度ていどかややみじか[3]

花期かきは5~6がつしょう花茎かけい先端せんたんから5~10cmの範囲はんいに4~8つく[3]いただきしょうゆうせいで、がわしょうめすせい花序かじょつと上方かみがたのものははりじょうで、下方かほうのものは発達はったつし、基部きぶにはさやがある。よく発達はったつしたは3~7cmにたっし、さやながさは2cmまで[3]いただきせいしょう線形せんけいながさ1-2cmでがあり、雄花おばな鱗片りんぺんあわ褐色かっしょく先端せんたんするどとがっている[4]がわしょう多数たすうたがいに距離きょりへだてて配置はいちし、ながさは3cmほどはてまばらにける[2]雌花めばな鱗片りんぺんしろ緑色みどりいろ先端せんたんとがっている[4]はて胞は披針形ひしんけいながさ6~8mm、多少たしょうこまかいみゃくがあり、はない。はなばしらはとてもながく、先端せんたんは3つにけ、宿やどざいせい果実かじつじゅくしてものこっている。柱頭ちゅうとうながさは1cmほどもあって当初とうしょけがれ白色はくしょくで、のちあわ暗紫色あんししょくになる[2]

和名わみょうについては山路やまじスゲのであり、山地さんち路傍ろぼうあとによくられることからけられたという[2]

分布ぶんぷ生育せいいく環境かんきょう

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日本にっぽんでは本州ほんしゅう近畿きんき以西いせい四国しこく九州きゅうしゅうにあり、国外こくがいでは朝鮮ちょうせん中国ちゅうごく東北とうほくウスリーにまでられる[5]。なお、勝山かつやま(2015)では屋久島やくしまが?きでしめされている。

かわいた樹林じゅりんないあとはやしゆかりられる[5]。やや標高ひょうこうたか乾燥かんそうしたはやしゆかりえる[2]

分類ぶんるいなど

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いただきしょうゆうせいがわしょうめすせいつとにはさやがあり、はて胞は披針形ひしんけいうえき、はなばしら宿やどざいせい柱頭ちゅうとうは3きれ、といった特徴とくちょうから勝山かつやま(2015)はほんたねをヤマジスゲぶし Sect. Debilesふくめ、日本にっぽんたねではこれにぞくするのはほんしゅのみ、としている。

ほんしゅたスゲはあまりない。星野ほしの(2002)はたねとしてミヤマジュズスゲ C. dissitifloraげており、たしかにこの2しゅいずれも細長ほそながしょうまばらにはて胞をけ、そのはて胞が細長ほそながくてじく密着みっちゃくしている様子ようすなどもよくている。ただしこのたねではしょうはどれもめすせいで、つまり各々おのおのしょう先端せんたんには雄花おばながある。このてんはぱっとでは看取みとりづらいが、このたね場合ばあいしょうはばらっと花茎かけいからひろがってき、またしょうなかはて胞からあらたなしょうることがあってまるで枝分えだわかれしているようになるなど、一目いちもくほんしゅとは見分みわけがつくことがおおい。現在げんざいではこのたねほんしゅとはことなるふし所属しょぞくすることとなっており、類縁るいえんちかいものではないという判断はんだんである。

このたねがむしろイネえる、というのはちょいちょいわれるところであり、星野ほしの(2002)にはそのために見落みおとしがち、としている[3]が、これは多分たぶんカヤツリグサ中心ちゅうしんさが人間にんげん感想かんそうおもわれる[6]さらにはより特定とくていして「トボシガラくさむら」にえる、とのこえ[7]

保護ほご状況じょうきょう

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環境省かんきょうしょうレッドデータブックでは指定していがないが、府県ふけんべつでは京都きょうと奈良ならけん兵庫ひょうごけん徳島とくしまけん山口やまぐちけん鹿児島かごしまけんなんらかの指定していがあり、また大阪おおさかでは絶滅ぜつめつとされている[8]。おおむねは分布ぶんぷいき周辺しゅうへんおもわれる。京都きょうとでは「調査ちょうさ不足ふそくではあるが個体こたいすうすくないのはたしか」とのこと[9]

出典しゅってん

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  1. ^ 以下いかしゅとして勝山かつやま(2015) p.345
  2. ^ a b c d e f 牧野まきのげんちょ(2017) p.335
  3. ^ a b c d e 星野ほしの(2002) p.182
  4. ^ a b 星野ほしの(2011) p.482
  5. ^ a b 勝山かつやま(2015) p.345
  6. ^ そうでないひと場合ばあい、イネもカヤツリグサまとめて興味きょうみがあるか、さもなくばどちらも平等びょうどう無視むしする。
  7. ^ 引用いんよう牧野まきのげんちょ(2017) p.335
  8. ^ 日本にっぽんのレッドデータ検索けんさくシステム[1]2023/06/10閲覧えつらん
  9. ^ 京都きょうとレッドデータブック2015[2]2023/06/10閲覧えつらん

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 牧野まきの富太郎とみたろう原著げんちょ、『しん分類ぶんるい 牧野まきの日本にっぽん植物しょくぶつ図鑑ずかん』、(2017)、きたたかしかん
  • 勝山かつやま輝男てるお 、『日本にっぽんのスゲ 増補ぞうほ改訂かいていばん』、(2015)、ぶんいち総合そうごう出版しゅっぱん
  • 星野ほしの卓二たくじ、『日本にっぽんカヤツリグサ植物しょくぶつ図譜ずふ』、(2011)、平凡社へいぼんしゃ
  • 星野ほしの卓二たくじ、『岡山おかやまけんカヤツリグサ植物しょくぶつ図譜ずふ(I) 岡山おかやまけんスゲぞく植物しょくぶつ図譜ずふ』、(2002)、山陽新聞社さんようしんぶんしゃ