ヨーロッパチュウヒ

ヨーロッパチュウヒ
	ヨーロッパチュウヒ Circus aeruginosus
保全ほぜん状じょう況きょう評価ひょうか
	LEAST CONCERN; (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)); * ワシントン条約じょうやく附属ふぞく書しょII
分類ぶんるい
学名がくめい
	Circus aeruginosus; Linnaeus, 1758
和名わみょう
	ヨーロッパチュウヒ
英名えいめい
	Western Marsh-harrier

ヨーロッパチュウヒ（欧おう羅ら巴沢ともえざわ鵟、Circus aeruginosus）は、鳥とり綱つなタカ目めタカ科かチュウヒ属ぞくに分類ぶんるいされる鳥とり。

形態けいたい[編集へんしゅう]

体長たいちょうはオスが49-55cmでメスが52-60cmである^[1]。翼つばさ開ひらき長ちょうは115-145cmである^[2]。

オスは重量じゅうりょうが405-730gで、腹はらは赤褐色せきかっしょくをしている。頭あたまは白しろく頭あたまから背せにかけて褐色かっしょくまたは黒色こくしょくで、翼つばさは雨あめ覆くつがえと初はつ列れつ風切かざきり羽わの先端せんたんも背せと同様どうように褐色かっしょくまたは黒色こくしょくで、それ以外いがいは灰白色かいはくしょくである。メスは重量じゅうりょうが540-960gで、体からだは全体ぜんたい的てきに黒褐色こっかっしょくをしている。翼つばさは褐色かっしょくで、前ぜん縁えんや胸むねにクリーム色しょくの斑まだらが入はいっている^[1]^[2]。

分布ぶんぷ[編集へんしゅう]

ノルウェー、デンマーク、リトアニア、ポーランド、ベラルーシ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、中央ちゅうおうアジア、アフガニスタン、中国ちゅうごく、ロシアで繁殖はんしょくし、バーレーン、マルタ、カナリア諸島かなりあしょとうでは旅たび鳥とりでカタール、南みなみスーダンでは越冬えっとうする。ヨーロッパ^{[注釈ちゅうしゃく 1]}、コーカサス地方ちほう、中東ちゅうとう、アフリカ^{[注釈ちゅうしゃく 2]}、モンゴル、パキスタン、インド、ネパール、ミャンマー、シンガポールでは留鳥りゅうちょうである^[3]。

日本にっぽんでは、1989年ねんに山口やまぐち県けんで幼鳥ようちょう1羽わが観察かんさつされた記録きろくが一いち例れいある^[4]^[5]。　

亜種あしゅ[編集へんしゅう]

Circus aeruginosus aeruginosus（Linnaeus, 1758）
- ヨーロッパから中央ちゅうおうアジアまでの地域ちいきで繁殖はんしょくし、ナイル川がわ周辺しゅうへんやサハラ砂漠さはらさばく以南いなんのアフリカ、南みなみアジアなどで越冬えっとうする^[6]^[7]。日本にっぽんで確認かくにんされた個体こたいはこの亜種あしゅである^[5]。
Circus aeruginosus harterti（Zedlitz, 1914）
- モロッコやチュニジアなどに分布ぶんぷしている^[6]^[7]。

生態せいたい[編集へんしゅう]

主おもに内陸ないりくの湿地しっちや沼地ぬまちに生息せいそくする。河川かせんや淡水たんすい湖みずうみ、農耕のうこう地ちにも生息せいそくしている^[3]。

主おもに小型こがたから中型ちゅうがたの鳥とりや卵たまご、ウサギなどの哺乳類ほにゅうるいを捕食ほしょくする。魚類ぎょるい、トカゲなどの爬虫類はちゅうるいやカエルなどを食たべる地域ちいきもある^[2]。

繁殖はんしょく期きは湿地しっちに葦あしを山やまにして幅はば60-80cmの巣すを作つくり、2-7個この卵たまごを産うむ^{[注釈ちゅうしゃく 3]}。卵たまごは孵化ふかまで31-38日にちかかり、その間あいだメスが抱だき卵たまごする^[3]^[2]。ヒナは35-40日にちで巣立すだつが、巣立すだちできるヒナは2-4羽わである。9月から10月がつに繁殖はんしょく地ちを去さり越冬えっとう地ちに向むかう。越冬えっとう地ちは2月がつから3月がつに去さり、3月から4月がつに繁殖はんしょく地ちに戻もどる^[2]。

卵たまご
巣すと雛ひな（白黒しろくろ写真しゃしん）
飛翔ひしょうする様子ようす

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

^ アイスランド、アイルランド、ノルウェー、スウェーデン、リトアニア、ベラルーシ、ポーランド、チェコ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、コソボ、アンドラを除のぞく
^ アルジェリアや南みなみスーダン、赤道せきどうギニア、コンゴ、ボツワナ、ナミビア、エスワティニ、レソト、カーボベルデ以外いがいの島国しまぐにを除のぞく
^ ほとんどの場合ばあいは3-6個こを産うむ^[2]。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

^ ^a ^b 永井ながい真人まさと (2016). 鳥とりくんの比くらべて識別しきべつ!野鳥やちょう図鑑ずかん670 (2 ed.). 文ぶん一いち総合そうごう出版しゅっぱん. p. 43. ISBN 978-4-8299-7210-6
^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f Orta, J., P. F. D. Boesman, J. S. Marks, E.F.J. Garcia, and G. M. Kirwan. J. del Hoyo, A. Elliott, J. Sargatal, D. A. Christie, and E. de Juana,: “Eurasian Marsh-Harrier (Circus aeruginosus)”. Birds of the World. 2020年ねん5月がつ8日にち閲覧えつらん。
^ ^a ^b ^c BirdLife international (2015年ねん). “Circus aeruginosus. The IUCN Red List of Threatened Species 2015”. IUCN. 2020年ねん5月がつ8日にち閲覧えつらん。
^ 池いけ長ちょう裕史ゆうじ、川上かわかみ和人かずと、柳澤やなぎさわ紀夫のりお「Ⅱ．日本にっぽん鳥類ちょうるい目録もくろく第だい 6 版はんで「検討けんとう中ちゅう」とされた種たねおよび亜種あしゅの検討けんとうについて」『日本にっぽん鳥とり学会がっかい誌し』第だい61巻かん第だい1号ごう、日本にっぽん鳥とり学会がっかい、2012年ねん、167頁ぺーじ、2020年ねん5月がつ8日にち閲覧えつらん。
^ ^a ^b 池いけ長ちょう裕史ゆうじ、川上かわかみ和人かずと、柳澤やなぎさわ紀夫のりお「Ⅰ．日本にっぽん鳥類ちょうるい目録もくろく改訂かいてい第だい 7 版はんで新あらたに掲載けいさいされた種たねおよび亜種あしゅの記録きろく等とうについて」『日本にっぽん鳥とり学会がっかい誌し』第だい63巻かん第だい1号ごう、日本にっぽん鳥とり学会がっかい、2014年ねん、110頁ぺーじ、2020年ねん5月がつ8日にち閲覧えつらん。
^ ^a ^b Orta, J., Boesman, P., Marks, J.S., Garcia, E.F.J. & Kirwan, G.M.. del Hoyo, J., Elliott, A., Sargatal, J., Christie, D.A. & de Juana, E.: “Western Marsh-harrier (Circus aeruginosus)”. Handbook of the Birds of the World Alive. 2020年ねん5月がつ8日にち閲覧えつらん。
^ ^a ^b “ヨーロッパチュウヒ Circus aeruginosus (Linnaeus, 1758)”. Avibase 世界せかい鳥類ちょうるいデータベース. 2020年ねん5月がつ8日にち閲覧えつらん。

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]

2006 IUCN Red List of Threatened Species
- BirdLife International 2004. Circus aeruginosus. In: IUCN 2006. 2006 IUCN Red List of Threatened Species.
CITES homepage
- ワシントン条約じょうやく記載きさい種しゅ、タクサリスト

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[3] アイスランド、アイルランド、ノルウェー、スウェーデン、リトアニア、ベラルーシ、ポーランド、チェコ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、コソボ、アンドラを除のぞく

[4] アルジェリアや南みなみスーダン、赤道せきどうギニア、コンゴ、ボツワナ、ナミビア、エスワティニ、レソト、カーボベルデ以外いがいの島国しまぐにを除のぞく

[10] ほとんどの場合ばあいは3-6個こを産うむ^[2]。

[torikun-1] 永井ながい真人まさと (2016). 鳥とりくんの比くらべて識別しきべつ!野鳥やちょう図鑑ずかん670 (2 ed.). 文ぶん一いち総合そうごう出版しゅっぱん. p. 43. ISBN 978-4-8299-7210-6

[birdoftheworld-2] ^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f Orta, J., P. F. D. Boesman, J. S. Marks, E.F.J. Garcia, and G. M. Kirwan. J. del Hoyo, A. Elliott, J. Sargatal, D. A. Christie, and E. de Juana,: “Eurasian Marsh-Harrier (Circus aeruginosus)”. Birds of the World. 2020年ねん5月がつ8日にち閲覧えつらん。

[iucn-5] BirdLife international (2015年ねん). “Circus aeruginosus. The IUCN Red List of Threatened Species 2015”. IUCN. 2020年ねん5月がつ8日にち閲覧えつらん。

[6] 池いけ長ちょう裕史ゆうじ、川上かわかみ和人かずと、柳澤やなぎさわ紀夫のりお「Ⅱ．日本にっぽん鳥類ちょうるい目録もくろく第だい 6 版はんで「検討けんとう中ちゅう」とされた種たねおよび亜種あしゅの検討けんとうについて」『日本にっぽん鳥とり学会がっかい誌し』第だい61巻かん第だい1号ごう、日本にっぽん鳥とり学会がっかい、2012年ねん、167頁ぺーじ、2020年ねん5月がつ8日にち閲覧えつらん。

[gakkai-7] 池いけ長ちょう裕史ゆうじ、川上かわかみ和人かずと、柳澤やなぎさわ紀夫のりお「Ⅰ．日本にっぽん鳥類ちょうるい目録もくろく改訂かいてい第だい 7 版はんで新あらたに掲載けいさいされた種たねおよび亜種あしゅの記録きろく等とうについて」『日本にっぽん鳥とり学会がっかい誌し』第だい63巻かん第だい1号ごう、日本にっぽん鳥とり学会がっかい、2014年ねん、110頁ぺーじ、2020年ねん5月がつ8日にち閲覧えつらん。

[alive-8] Orta, J., Boesman, P., Marks, J.S., Garcia, E.F.J. & Kirwan, G.M.. del Hoyo, J., Elliott, A., Sargatal, J., Christie, D.A. & de Juana, E.: “Western Marsh-harrier (Circus aeruginosus)”. Handbook of the Birds of the World Alive. 2020年ねん5月がつ8日にち閲覧えつらん。

[avibase-9] “ヨーロッパチュウヒ Circus aeruginosus (Linnaeus, 1758)”. Avibase 世界せかい鳥類ちょうるいデータベース. 2020年ねん5月がつ8日にち閲覧えつらん。

[1]

[2]

[注釈ちゅうしゃく 1]

[注釈ちゅうしゃく 2]

[3]

[4]

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[7]

[注釈ちゅうしゃく 3]