ライオネル・ペンローズ

Lionel Penrose ライオネル・ペンローズ
生誕せいたん	Lionel Sharples Penrose (1898-06-11) 1898年ねん6月11日にち イギリス ロンドン
死没しぼつ	1972年ねん5月12日にち(1972-05-12)（73歳さい没ぼつ） イギリス ロンドン
研究けんきゅう分野ぶんや	小児しょうに科学かがく 精神せいしん医学いがく 遺伝いでん学がく
研究けんきゅう機関きかん	ケンブリッジ大学けんぶりっじだいがく ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン
出身しゅっしん校こう	セントジョンズ・カレッジ ウィーン大学だいがく キングス・カレッジ・ロンドン
主おもな業績ぎょうせき	ペンローズの三角形さんかっけい ペンローズ方式ほうしき ペンローズの階段かいだん ペンローズの法則ほうそく ペンローズの平方根へいほうこんの法則ほうそく ペンローズ＝バンザフ指数しすう
主おもな受賞じゅしょう歴れき	王立おうりつ協会きょうかいフェロー ラスカー賞しょう ジェームズ・スペンス・メダル（1964年ねん）
配偶はいぐう者しゃ	Margaret Leathes (1928-1972)
子供こども	オリバー・ペンローズ ロジャー・ペンローズ ジョナサン・ペンローズ シャーリー・ホジソン
プロジェクト:人物じんぶつ伝でん

ライオネル・シャープルズ・ペンローズ（Lionel Sharples Penrose FRS、1898年ねん6月11日にち - 1972年ねん5月12日にち）は、イギリスの精神せいしん医学いがく者もの、医科いか遺伝いでん学がく者もの、小児しょうに科学かがく者もの、数学すうがく者ものであり、チェスの定跡じょうせき研究けんきゅう家かでもある。知的ちてき障害しょうがいの遺伝いでん学がくに関かんする先駆せんく的てきな研究けんきゅうを行おこなった。ロンドン大学だいがくユニバーシティ・カレッジ・ロンドンにおいてゴルトン教授きょうじゅ（1945年ねんから1963年ねんまでは優生ゆうせい学がく教授きょうじゅ、1963年ねんから1965年ねんまではヒト遺伝いでん学がく教授きょうじゅ）を務つとめ、引退いんたい後ごは名誉めいよ教授きょうじゅとなった。

若年じゃくねん期きと教育きょういく

ロンドンで生うまれた。コルウォールのダウンズ校こう、レディングのレイトン・パーク校こう、ケンブリッジ大学けんぶりっじだいがくのセントジョンズ・カレッジで教育きょういくを受うけた。1916年ねん、良心りょうしん的てき兵役へいえき拒否きょひ者しゃとして英国えいこく赤十字せきじゅうじ社しゃで奉仕ほうしし、第だい一いち次じ世界せかい大戦たいせんが終おわるまでフランスで従軍じゅうぐんした。その後ご、セントジョンズ・カレッジに戻もどり、ケンブリッジ使徒しと会かいの一員いちいんとなった。ケンブリッジ大学けんぶりっじだいがくでモラル・サイエンスの第だい一いち級きゅう学位がくいを取得しゅとくした後のち、ウィーンに1年間ねんかん留学りゅうがくし、ウィーン大学だいがくで心理しんり学がくを学まなんだ。聖せいトマス病院びょういんで1928年ねんにコンジョイント（基本きほん的てきな医療いりょう資格しかく）を取得しゅとくし、1930年ねんに医学いがく博士はかせの資格しかくを取得しゅとくした。

キャリア

ペンローズは統合とうごう失調しっちょう症しょうの研究けんきゅうに取とり組くみ、現在げんざいでも使用しようされている非ひ言語げんご的てきな知能ちのうテストを設計せっけいし、1930年代ねんだいにフェニルケトン尿にょう症しょうの症状しょうじょうについて最もっとも早はやく研究けんきゅうした一人ひとりである。

ペンローズの「コルチェスター調査ちょうさ」は、1938年ねんにイギリス医学いがく研究けんきゅう審議しんぎ会かい(MRC)と共同きょうどうでMRC special report: No.229, Clinical and genetic study of 1,280 cases of mental defect（MRC特別とくべつ報告ほうこく書しょ: 第だい229号ごう、1,280例れいの精神せいしん障害しょうがいの臨床りんしょう・遺伝いでん学がく的てき研究けんきゅう）として報告ほうこくされた。これは、精神せいしん遅滞ちたい（当時とうじは精神せいしん障害しょうがいと呼よばれていた）の遺伝いでん学がくを研究けんきゅうしようとする最初さいしょの本格ほんかく的てきな試こころみであった。彼かれは、重度じゅうどの精神せいしん遅滞ちたい患者かんじゃの親族しんぞくは通常つうじょうは障害しょうがいを受うけないが、中なかには元もとの患者かんじゃと同おなじような重症じゅうしょう度どで障害しょうがいを受うけている患者かんじゃもいることを発見はっけんし、軽度けいどの精神せいしん遅滞ちたい患者かんじゃの親族しんぞくはほとんどが軽度けいどまたは境界きょうかい性せいの障害しょうがいを持もつ傾向けいこうがあることを示しめした。ペンローズは、精神せいしん遅滞ちたいの遺伝いでん的てきおよび染色せんしょく体たい的てき原因げんいんの多おおくを特定とくていした。この研究けんきゅうは、The Biology of Mental Defect（精神せいしん障害しょうがいの生物せいぶつ学がく、1949年ねん）という本ほんとしてまとめられた。

ペンローズは、第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん後ごのイギリスの医科いか遺伝いでん学がくの中心ちゅうしん人物じんぶつだった。1945年ねんから1965年ねんまで、ロンドン大学だいがくユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのゴルトン研究所けんきゅうじょでゴルトン教授きょうじゅを務つとめた。最初さいしょの肩書かたがきは"Professor of Eugenics"（優生ゆうせい学がく教授きょうじゅ）だったが、1963年ねんに"Professor of Human Heredity"（ヒト遺伝いでん学がく教授きょうじゅ）に変更へんこうされた。後任こうにんのハリー・ハリスによると、ペンローズは優生ゆうせい学がくという名前なまえは、民族みんぞく浄化じょうかという無知むちで危険きけんな政策せいさくと深ふかく関連かんれんしているように見みえるとして好このまなかったという。ハリスはまた、この肩書かたがきの変更へんこうが長ながい間あいだ行おこなわれなかったのは、フランシス・ゴルトンからの寄付きふに関連かんれんした「法的ほうてき問題もんだい」によるものであるとし、その間あいだ、ペンローズが自分じぶんの肩書かたがきの「優生ゆうせい学がく」という言葉ことばを無視むししていたと説明せつめいしている。

ペンローズの法則ほうそくは、「刑務所けいむしょと精神せいしん病院びょういんの収容しゅうよう人数にんずうは反比例はんぴれい関係かんけいにある」というものであるが、これは一般いっぱん的てきには単純たんじゅん化かしすぎと見みられている。

ペンローズは、キリスト友とも会かい（クエーカー）のメンバーであり、1950年代ねんだいの戦争せんそう防止ぼうし医師いし会かいの中心ちゅうしん人物じんぶつだった。

ペンローズは、国際こくさい会議かいぎの議席ぎせきを各国かっこくの人口じんこうの平方根へいほうこんに基もとづいて割わり当あてるペンローズ方式ほうしきを開発かいはつした。この投票とうひょう方式ほうしきは、ペンローズ＝バンザフ指数しすうで測定そくていされる任意にんいの有権者ゆうけんしゃの投票とうひょう力りょくが、投票とうひょう体たいの大おおきさに応おうじて、その平方根へいほうこん分ぶんの1に比例ひれいして減少げんしょうすることに基もとづいている。ペンローズの平方根へいほうこんの法則ほうそくも参照さんしょう。

ペンローズは特とくに生物せいぶつ学がくの様々さまざまな側面そくめん、例たとえば指紋しもん、人口じんこう統計とうけい学がく、細胞さいぼう遺伝いでん学がくなどに興味きょうみを持もっていたが、これは精神せいしん障害しょうがい、特とくにダウン症だうんしょうの問題もんだいを研究けんきゅうした結果けっかである。

受賞じゅしょう歴れき

ペンローズは、1960年ねんのアルバート・ラスカー基礎きそ医学いがく研究けんきゅう賞しょうをはじめとする、多おおくの賞しょうを受賞じゅしょうしている。ラスカー賞しょうの受賞じゅしょう時じの紹介しょうかいは次つぎのようになっている。

ペンローズ教授きょうじゅとその同僚どうりょうは、既知きちの遺伝いでん性せい疾患しっかんのほとんどの遺伝子いでんし解析かいせき、数学すうがく的てき遺伝いでん学がく、生化学せいかがく的てき遺伝いでん学がくへの貢献こうけん、人間にんげんの遺伝子いでんし連結れんけつの研究けんきゅう、電離でんり放射線ほうしゃせんの突然変異とつぜんへんい誘発ゆうはつ効果こうかに関かんする理論りろん的てき研究けんきゅうなど、人間にんげんの遺伝いでん学がくのあらゆる側面そくめんに触ふれる研究けんきゅうを長年ながねんに渡わたって行いってきた。最近さいきんでは、先天的せんてんてきな欠陥けっかん、特とくにモンゴリスム（ダウン症候群しょうこうぐん）に関連かんれんしたヒト染色せんしょく体たいの異常いじょうに注目ちゅうもくしている。

1950年ねんにはウェルドン記念きねん賞しょうを受賞じゅしょう。

1963年ねんには精神せいしん遅滞ちたいの原因げんいん解明かいめいへの貢献こうけんが認みとめられてジョセフ・P・ケネディ・ジュニア財団ざいだん賞しょうを受賞じゅしょうした。

私生活しせいかつ

生理学せいりがく者ものジョン・ベレスフォード・リーズスの娘むすめのマーガレット・リーズス(Margaret Leathes)と1928年ねんに結婚けっこんし、以下いかの三男さんなん一いち女じょをもうけた。

• オリバー・ペンローズ（1929年ねん - ） - 物理ぶつり学者がくしゃ。
• ロジャー・ペンローズ（1931年ねん - ） - 数理すうり物理ぶつり学者がくしゃ、数学すうがく者しゃ。父ちちとともにペンローズの三角形さんかっけいに関かんする論文ろんぶんを発表はっぴょうした。2020年ねんのノーベル物理ぶつり学がく賞しょう受賞じゅしょう者しゃ。
• ジョナサン・ペンローズ（1933年ねん - ） - チェス・プレイヤー、心理しんり学者がくしゃ。
• シャーリー・ホジソン（1945年ねん - ） - 医師いし、遺伝いでん学者がくしゃ。

ライオネル・ペンローズは1972年ねん5月12日にちにロンドンにおいて73歳さいで死去しきょした。その後ごマーガレットは、ペンローズの友人ゆうじんで数学すうがく者しゃのマックス・ニューマンと再婚さいこんし、1989年ねんに死去しきょした。

父ちちはアイルランド生うまれのJ・ドイル・ペンローズ、母はははエリザベス・ジョセフィン・ペンローズ（Elisabeth Josephine Penrose、旧姓きゅうせいペックオーバー(Peckover)）、弟おとうとはローランド・ペンローズで、いずれも芸術げいじゅつ家かである。