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受容じゅようたい

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まく受容じゅようたいいちれい
  1. 細胞さいぼうがい位置いちするリガンド
  2. リガンドは、タンパク質たんぱくしつ活性かっせい部位ぶい形状けいじょうもとづいて特定とくてい受容じゅようたいタンパク質たんぱくしつ結合けつごうする。
  3. リガンドが受容じゅようたい結合けつごうすると、受容じゅようたいはメッセンジャーを放出ほうしゅつする。

生化学せいかがくおよび薬理やくりがくにおいて、受容じゅようたい(じゅようたい、えい: receptorレセプターリセプター)は、生命せいめいシステムにまれる可能かのうせいのあるシグナル(信号しんごう受信じゅしん伝達でんたつする、タンパク質たんぱくしつからなる化学かがく構造こうぞうたいである[1]。これらのシグナルは通常つうじょう化学かがく伝達でんたつ物質ぶっしつであり[nb 1]受容じゅようたい結合けつごうして、なんらかのかたち細胞さいぼう/組織そしき応答おうとうれい: 細胞さいぼう電気でんきてき活性かっせい変化へんかなど)をこす。受容じゅようたいはたらきは、シグナルの中継ちゅうけい増幅ぞうふく統合とうごうの3つにおおきく分類ぶんるいされる[2]。シグナルを先方せんぽう中継ちゅうけい増幅ぞうふくすることで、ひとつのリガンド効果こうか増大ぞうだいさせ統合とうごうすることにより、シグナルをべつ生化学せいかがくてき経路けいろみ、その経路けいろもまた高度こうど専門せんもんすることを可能かのうとする[2]

受容じゅようたいタンパク質たんぱくしつは、その位置いちによって分類ぶんるいすることができる。まく貫通かんつうがた受容じゅようたいtransmembrane receptors)には、リガンド依存いぞんせいイオンチャネル受容じゅようたいイオンチャネルかた受容じゅようたい)、Gタンパク質たんぱくしつ共役きょうやくホルモン受容じゅようたい代謝たいしゃがた受容じゅようたい)、酵素こうそ結合けつごうがたホルモン受容じゅようたい英語えいごばんなどがある[1]細胞さいぼうない受容じゅようたいintracellular receptor)とは、細胞さいぼうない存在そんざいする受容じゅようたいのことで、細胞さいぼうしつ受容じゅようたいかくない受容じゅようたいけられる[1]受容じゅようたい結合けつごうする分子ぶんしリガンドligand)とばれ、たとえばタンパク質たんぱくしつペプチドみじかタンパク質たんぱくしつ)、または神経しんけい伝達でんたつ物質ぶっしつホルモン医薬品いやくひん毒素どくそカルシウムイオンウイルス微生物びせいぶつ外部がいぶ一部いちぶなどのべつしょう分子ぶんしである。特定とくてい受容じゅようたい結合けつごうする内因ないいんせいさんせい物質ぶっしつ内因ないいんせいリガンドとぶ。たとえば、ニコチンせいアセチルコリン受容じゅようたい内因ないいんせいリガンドはアセチルコリンであり、この受容じゅようたいニコチンによって活性かっせいされ[3][4]クラーレ毒物どくぶつ一種いっしゅ)によって阻害そがいされることもある[5]。それぞれの種類しゅるい受容じゅようたいは、シグナルに対応たいおうする固有こゆう細胞さいぼう生化学せいかがくてき経路けいろ英語えいごばん接続せつぞくしている。ほとんどの細胞さいぼうでは多数たすう受容じゅようたいられるが、それぞれの受容じゅようたい特定とくてい構造こうぞうをもつリガンドとしか結合けつごうしない。これは、錠前じょうまえ特定とくてい形状けいじょうかぎのみしかれないことにたとえられる。リガンドが対応たいおうする受容じゅようたい結合けつごうすると、受容じゅようたい関連かんれんする生化学せいかがくてき経路けいろ活性かっせいあるいは阻害そがいする。

構造こうぞう

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まく貫通かんつうがた受容じゅようたい: E=細胞さいぼうがい空間くうかん、P=細胞さいぼうまく、I=細胞さいぼうない空間くうかん

受容じゅようたい構造こうぞう非常ひじょう多様たようであり、とりわけつぎ主要しゅよう分類ぶんるいがある。

タイプ1 イオンチャネルがた受容じゅようたい (リガンド依存いぞんせいイオンチャネル)
これらの受容じゅようたい通常つうじょう、アセチルコリン(ニコチンさま)やGABAなどの高速こうそく神経しんけい伝達でんたつ物質ぶっしつ標的ひょうてきであり、これらの受容じゅようたい活性かっせいにより、まく横切よこぎるイオンのうごきに変化へんかしょうじる。これらの受容じゅようたいは、かくサブユニットが、細胞さいぼうがいリガンド結合けつごうドメインと4つのまく貫通かんつうαあるふぁヘリックスふくまく貫通かんつうドメインからなる、ヘテロマー構造こうぞうつ。リガンド結合けつごう空洞くうどうはサブユニットあいだ界面かいめん位置いちしている。
タイプ2 Gタンパク質たんぱくしつ共役きょうやく受容じゅようたい
これは受容じゅようたいなか最大さいだいのファミリーで、いろいろのホルモンや、ドーパミン、代謝たいしゃがたグルタミン酸ぐるたみんさんなどの緩徐かんじょせい伝達でんたつ物質ぶっしつ受容じゅようたいふくんでいる。これらの受容じゅようたいは、7つのまく貫通かんつうαあるふぁヘリックスから構成こうせいされている。αあるふぁヘリックスをつなぐループは、細胞さいぼうがいドメインと細胞さいぼうないドメインを形成けいせいしている。おおきなペプチドリガンドの結合けつごう部位ぶいは、通常つうじょう細胞さいぼうがいドメインに位置いちし、ちいさなペプチドリガンドの結合けつごう部位ぶいは、7つのαあるふぁヘリックスと1つの細胞さいぼうがいループのあいだ位置いちすることがおお[6]前述ぜんじゅつ受容じゅようたいは、タンパク質たんぱくしつかいしてことなる細胞さいぼうない効果こうかけい結合けつごうされる[7]。Gタンパク質たんぱくしつは、αあるふぁ(アルファ)、βべーた(ベータ)、γがんま(ガンマ)の3つのサブユニットからなるヘテロさんりょうたいである。活性かっせい状態じょうたいでは、3つのサブユニットが会合かいごうし、αあるふぁサブユニットがグアノシンリンさん(GDP)に結合けつごうする[8]。Gタンパク質たんぱくしつ活性かっせいされると構造こうぞう変化へんかこり、GDPをグアノシンさんリンさん(GTP)に交換こうかんする。αあるふぁサブユニットにGTPが結合けつごうすると、βべーたサブユニットとγがんまサブユニットが解離かいりする[9]。さらに、αあるふぁβべーたγがんまの3つのサブユニットには、いち配列はいれつもとづく4つの主要しゅようなクラスがある。これらにはGs, Gi, Gq, G12ふくまれる[10]
タイプ3 キナーゼ結合けつごうがた受容じゅようたいおよび関連かんれん受容じゅようたい(「受容じゅよう体型たいけいチロシンキナーゼ」および「酵素こうそ結合けつごうがた受容じゅようたい英語えいごばん」も参照さんしょう
これらはリガンド結合けつごう部位ぶいふく細胞さいぼうがいドメインと、酵素こうそ機能きのう細胞さいぼうないドメインが、1つのまく貫通かんつうαあるふぁヘリックスで連結れんけつして構成こうせいされることがおおい。そのいちれいインスリン受容じゅようたいである。
タイプ4 かくない受容じゅようたい
かくない受容じゅようたいばれているが、実際じっさいには細胞さいぼうしつ存在そんざいし、リガンドと結合けつごうしたのちかくない移動いどうする。それらはC末端まったんのリガンド結合けつごう領域りょういき、コアDNA結合けつごうドメイン(DBD)、およびAF1(activation function 1)領域りょういきふくN末端まったんドメインで構成こうせいされている。コア領域りょういきには2ほんのジンクフィンガーをゆうし、この受容じゅようたい特異とくいてきなDNA配列はいれつ認識にんしきする役割やくわりになう。N末端まったんは、リガンドに依存いぞんしない方法ほうほう細胞さいぼうない転写てんしゃ因子いんし相互そうご作用さようし、これらの相互そうご作用さようおうじて、受容じゅようたい結合けつごう/活性かっせい変化へんかさせることができる。そのような受容じゅようたいれいとしてステロイド受容じゅようたい甲状腺こうじょうせんホルモン受容じゅようたいがある[11]

まく受容じゅようたいは、溶媒ようばい界面かいめん活性かっせいざい、および(または)親和しんわせい精製せいせい英語えいごばんもちいる複雑ふくざつ抽出ちゅうしゅつ手順てじゅんにより、細胞さいぼうまくからたんはなされることがある。

受容じゅようたい構造こうぞう作用さよう研究けんきゅうは、Xせん結晶けっしょう構造こうぞう解析かいせきNMRえんへんこう二色にしきせいめんへんしき干渉かんしょうほうなどの生物せいぶつ物理ぶつりがくてき手法しゅほうおこなうことができる。受容じゅようたい作用さようじょ理解りかいするために、受容じゅようたい動的どうてき挙動きょどうコンピュータシミュレーションおこなわれている。

結合けつごう活性かっせい

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リガンド結合けつごう平衡へいこう過程かていである。リガンドLと受容じゅようたいRについて、リガンドは受容じゅようたい結合けつごうし、質量しつりょう作用さよう法則ほうそくしたがってつぎしきのように解離かいりする。化学かがくしゅかこ括弧かっこは、その濃度のうどあらわす。

分子ぶんし受容じゅようたいにどれだけよく適合てきごうするかをしめひとつの指標しひょう結合けつごう親和しんわせいで、これは解離かいり定数ていすう Kd反比例はんぴれい関係かんけいがある。良好りょうこう適合てきごうせいは、たか親和しんわせいひくKd対応たいおうする。最終さいしゅうてき生物せいぶつがくてき反応はんのうれい: セカンドメッセンジャーカスケード、あるいはすじ収縮しゅうしゅく)は、相当そうとうすう受容じゅようたい活性かっせいされたのちにのみ達成たっせいされる。

親和しんわせいaffinity)とは、リガンドがその受容じゅようたい結合けつごうする傾向けいこう尺度しゃくどである。効力こうりょくefficacy)とは、結合けつごうしたリガンドがその受容じゅようたい活性かっせいするかどうかの尺度しゃくどである。

アゴニストたいアンタゴニスト

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受容じゅようたいリガンドの効力こうりょくスペクトル。

受容じゅようたい結合けつごうするすべてのリガンドが、その受容じゅようたい活性かっせいするわけではない。つぎのようなリガンドのクラスが存在そんざいする。

  • 完全かんぜんアゴニスト作用さようやくまたは作動さどうやく)は、受容じゅようたい活性かっせいし、つよ生物せいぶつがくてき反応はんのうをもたらすことができる。ある受容じゅようたいたいして最大さいだい効力こうりょく英語えいごばん天然てんねん内因ないいんせい (生物せいぶつがく)リガンドは、定義ていぎじょう完全かんぜんアゴニスト(100%の効力こうりょく)である。
  • 部分ぶぶんアゴニスト (英語えいごばんは、最大限さいだいげん結合けつごうしても最大さいだい効力こうりょく受容じゅようたい活性かっせいしないので、完全かんぜんアゴニストとくらべて部分ぶぶん反応はんのうこす(効力こうりょくは0~100%のあいだ)。
  • アンタゴニスト拮抗きっこうやく)は、受容じゅようたい結合けつごうするが、それを活性かっせいしない。その結果けっか受容じゅようたい遮断しゃだんされ、アゴニストやぎゃくアゴニスト(次項じこう)の結合けつごう阻害そがいされる。受容じゅようたいアンタゴニストには、アゴニストと受容じゅようたいうば競合きょうごうがた可逆かぎゃくがた)と、受容じゅようたい共有きょうゆう結合けつごう(またはきわめてたか親和しんわせい共有きょうゆう結合けつごう)を形成けいせいして完全かんぜん遮断しゃだんする可逆かぎゃくがたがある。プロトンポンプ阻害そがいやくオメプラゾールは、可逆かぎゃくがたアンタゴニストのいちれいである。可逆かぎゃくがたアンタゴニストの効力こうりょくは、あたらしい受容じゅようたい合成ごうせいによってのみ回復かいふくできる。
  • ぎゃくアゴニストぎゃく作動さどうやく)は、受容じゅようたい構成こうせいてき活性かっせい後述こうじゅつ)を阻害そがいすることにより、受容じゅようたい活性かっせい低下ていかさせる(まけ効力こうりょく)。
  • アロステリックモジュレーター(アロステリック調節ちょうせつ因子いんし): これらは、受容じゅようたいのアゴニスト結合けつごう部位ぶい結合けつごうするのではなく、特定とくていのアロステリック結合けつごう部位ぶい結合けつごうし、それをつうじてアゴニストの作用さよう変化へんかさせる。たとえば、ベンゾジアゼピン(BZD)はGABAA受容じゅようたいのBZD部位ぶい結合けつごうし、内因ないいんせいGABAの作用さよう増強ぞうきょうする。

受容じゅようたいのアゴニズムとアンタゴニズムという概念がいねんは、あくまでも受容じゅようたいとリガンドのあいだ相互そうご作用さよう言及げんきゅうするものであり、それらの生物せいぶつがくてき効果こうか言及げんきゅうするものではない。

構成こうせいてき活性かっせい

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リガンドと結合けつごう存在そんざいしなくても生物せいぶつがくてき反応はんのうこすことができる受容じゅようたいは、「構成こうせいてき活性かっせい」(constitutive activity)をしめすとわれている[12]受容じゅようたい構成こうせいてき活性かっせいは、ぎゃくアゴニストによって阻害そがいされることがある。こう肥満ひまんやくリモナバントタラナバント英語えいごばんは、カンナビノイドCB1受容じゅようたい英語えいごばんぎゃくアゴニストであり、有意ゆうい体重たいじゅう減少げんしょうをもたらしたにもかかわらず、カンナビノイド受容じゅようたい構成こうせいてき活性かっせい阻害そがい関連かんれんするとかんがえられるうつびょう不安ふあんしょうこうはっするために、両方りょうほうとも中止ちゅうしされた。

GABAA受容じゅようたい構成こうせいてき活性かっせいち、アゴニストの存在そんざいで、ある程度ていど基底きてい電流でんりゅう伝導でんどうする。このため、βべーた-カルボリンぎゃくアゴニストとして作用さようし、電流でんりゅう基底きていレベル以下いからすことができる。

思春期ししゅんき発症はっしょう黄体おうたい形成けいせいホルモン受容じゅようたい変異へんいによる)や甲状腺こうじょうせん機能きのう亢進こうしんしょう甲状腺こうじょうせん刺激しげきホルモン受容じゅようたい変異へんいによる)など、遺伝いでんせい疾患しっかん背景はいけいには、構成こうせいてき活性かっせい増加ぞうかをもたらす受容じゅようたい変異へんいがある。

薬物やくぶつ-受容じゅようたい相互そうご作用さよう理論りろん

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占拠せんきょ

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薬理やくりがくにおける受容じゅようたい理論りろん英語えいごばん初期しょき形成けいせいでは、薬物やくぶつ効果こうか占拠せんきょされた受容じゅようたいかずせい比例ひれいするとされていた[13]。そのうえ、薬物やくぶつ効果こうか薬物やくぶつ-受容じゅようたいふく合体がったい解離かいりすると消失しょうしつするというものであった。

Ariëns (英語えいごばん と Stephenson は、受容じゅようたい結合けつごうしたリガンドの作用さよう説明せつめいするために、「親和しんわせい」と「効力こうりょく」という用語ようご導入どうにゅうした[14][15]

  • 親和しんわせいaffinity): 薬物やくぶつ受容じゅようたい結合けつごうして薬物やくぶつ-受容じゅようたいふく合体がったい形成けいせいする能力のうりょく
  • 効力こうりょく (英語えいごばんefficacy): 薬物やくぶつ-受容じゅようたいふく合体がったい反応はんのう開始かいしする能力のうりょく固有こゆう活性かっせいintrinsic activity)とも。

速度そくど

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一般いっぱんれられた占拠せんきょ理論りろん(occupation theory)とは対照たいしょうてきに、速度そくど理論りろんrate theory)では、受容じゅようたい活性かっせい単位たんい時間じかんあたりにおける薬物やくぶつ受容じゅようたいとの遭遇そうぐう総数そうすうせい比例ひれいすると提案ていあんする。薬理やくり活性かっせいは、占拠せんきょされた受容じゅようたいかずではなく解離かいり会合かいごう速度そくどせい比例ひれいする[16]

  • アゴニスト: はや結合けつごうはや解離かいり薬物やくぶつ
  • 部分ぶぶんアゴニスト: 中間ちゅうかんてき会合かいごう中間なかまてき解離かいり薬物やくぶつ
  • アンタゴニスト: 結合けつごうはや解離かいりおそ薬物やくぶつ

誘導ゆうどう適合てきごう

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薬物やくぶつ受容じゅようたいちかづくと、受容じゅようたいはその結合けつごう部位ぶいコンホメーションを変化へんかさせて、薬物やくぶつ-受容じゅようたいふく合体がったい形成けいせいする。

スペア受容じゅようたい

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あるしゅ受容じゅよう体系たいけい(たとえば、平滑へいかつすじ神経しんけいすじ接合せつごうにおけるアセチルコリン)では、アゴニストは、非常ひじょうひくいレベルの受容じゅようたい占拠せんきょりつ(1%未満みまん)で最大さいだい反応はんのうすことができる。このように、そのけいには予備よび受容じゅようたい、または受容じゅようたい予備よびぐん存在そんざいする。このような配置はいちにより、神経しんけい伝達でんたつ物質ぶっしつ生産せいさん放出ほうしゅつ経済けいざいせいされる[11]

受容じゅようたい調節ちょうせつ

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細胞さいぼうは、ことなる分子ぶんしたいする感受性かんじゅせい変化へんかさせるために、特定とくていホルモン神経しんけい伝達でんたつ物質ぶっしつたいする受容じゅようたいかずやす(アップレギュレーション)またはらす(ダウンレギュレーション)ことができる。これは局所きょくしょてき作用さようするフィードバック機構きこうである。

  • アゴニストの結合けつごうが、受容じゅようたい活性かっせいしないような、受容じゅようたいのコンホメーション変化へんか。これはイオンチャネル受容じゅようたいられる。
  • 受容じゅようたいエフェクター分子ぶんし解放かいほうは、Gタンパク質たんぱくしつ共役きょうやく受容じゅようたいられる。
  • 受容じゅようたい隔離かくり内在ないざい[17]。たとえば、ホルモン受容じゅようたい場合ばあい

事例じれいとリガンド

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受容じゅようたいのリガンドは、その受容じゅようたい同様どうよう多様たようである。Gタンパク質たんぱくしつ共役きょうやく受容じゅようたい(GPCR、7TM)はとく広大こうだいなファミリーであり、すくなくとも810のメンバーが存在そんざいする。また、すくなくとも10数種類すうしゅるい内因ないいんせいリガンドにたいするリガンド依存いぞんせいイオンチャネル(LGIC)も存在そんざいし、さまざまなサブユニットによってさらにおおくの受容じゅようたい構成こうせい可能かのうである。リガンドと受容じゅようたい一般いっぱんてきれいとしては、つぎのものがげられる[18]

イオンチャネルおよびGタンパク質たんぱくしつ共役きょうやく受容じゅようたい

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イオンチャネル内蔵ないぞうがた(LGIC)および代謝たいしゃがた具体ぐたいてきにはGPCR)の受容じゅようたいれい以下いかひょうしめす。おも神経しんけい伝達でんたつ物質ぶっしつグルタミン酸ぐるたみんさんおよびGABAであり、その神経しんけい伝達でんたつ物質ぶっしつ神経しんけい調節ちょうせつせい英語えいごばんである。このリストはけっして網羅もうらてきなものではない。

内因ないいんせいリガンド リガンド依存いぞんせいイオンチャネル (LGIC) Gタンパク質たんぱくしつ共役きょうやく受容じゅようたい (GPCR)
受容じゅようたい イオン電流でんりゅう英語えいごばん[nb 2] 外因がいいんせいリガンド 受容じゅようたい Gタンパク質たんぱくしつ 外因がいいんせいリガンド
グルタミン酸ぐるたみんさん イオンチャネルがたグルタミン酸ぐるたみんさん受容じゅようたい英語えいごばん (iGluR): NMDA, AMPA, カイニンさん受容じゅようたい Na+, K+, Ca2+ [18] ケタミン グルタミン酸ぐるたみんさん受容じゅようたい: mGluRs Gq or Gi/o -
GABA GABAA受容じゅようたい

(GABAA-rho英語えいごばんふくむ)

Cl > HCO3 [18] ベンゾジアゼピン GABAB受容じゅようたい Gi/o バクロフェン
アセチルコリン ニコチンせいアセチルコリン受容じゅようたい (nAChR) Na+, K+, Ca2+[18] ニコチン ムスカリンせいアセチルコリン受容じゅようたい (mAChR) Gq or Gi ムスカリン
グリシン グリシン受容じゅようたい英語えいごばん(GlyR) Cl > HCO3 [18] ストリキニーネ - - -
セロトニン 5-HT3受容じゅようたい Na+, K+ [18] セレウリド 5-HT1-2 or 4-7 Gs, Gi/o or Gq -
ATP P2X受容じゅようたい Ca2+, Na+, Mg2+ [18] BzATP[よう出典しゅってん] P2Y受容じゅようたい Gs, Gi/o or Gq -
ドーパミン No ion channels[よう出典しゅってん] - - ドーパミン受容じゅようたい Gs or Gi/o -

酵素こうそ結合けつごうがた受容じゅようたい

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酵素こうそ結合けつごうがた受容じゅようたいには、受容じゅよう体型たいけいチロシンキナーゼ(RTK)、ほね形成けいせいタンパク質たんぱくしつのようなセリン/スレオニン特異とくいてきタンパク質たんぱくしつキナーゼ、心房しんぼうせいナトリウム利尿りにょう因子いんし受容じゅようたいのようなグアニルさんシクラーゼがある。RTKのうち、20のクラスが特定とくていされており、58種類しゅるいのRTKがメンバーとなっている。つぎにいくつかのれいしめす。

RTKクラス/

受容じゅようたいファミリー

メンバー 内因ないいんせいリガンド 外因がいいんせいリガンド
I 上皮じょうひ成長せいちょう因子いんし受容じゅようたい (EGFR) 上皮じょうひ成長せいちょう因子いんし (EGF) ゲフィチニブ
II インスリン受容じゅようたい インスリン ケトクロミン英語えいごばん
IV 血管けっかん内皮ないひ細胞さいぼう増殖ぞうしょく因子いんし受容じゅようたい (VEGFR) 血管けっかん内皮ないひ細胞さいぼう増殖ぞうしょく因子いんし (VEGF) レンバチニブ

細胞さいぼうしつ受容じゅようたい

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受容じゅようたいは、その機構きこう細胞さいぼうない位置いちもとづいて分類ぶんるいすることができる。細胞さいぼうないLGICの4つのれい以下いかしめす。

受容じゅようたい リガンド イオン電流でんりゅう
環状かんじょうヌクレオチド感受性かんじゅせいチャネル英語えいごばん cGMP (vision), cAMP and cGTP (olfaction)

環状かんじょうグアノシンいちリンさん(cGMP) (視覚しかくけい), 環状かんじょうアデノシンいちリンさん(aAMP), グアノシンさんリンさん(cGTP) (嗅覚きゅうかくけい)

Na+, K+ [18]
イノシトールトリスリンさん受容じゅようたい (IP3 受容じゅようたい) イノシトールトリスリンさん (IP3) Ca2+ [18]
細胞さいぼうないATP受容じゅようたい ATP (閉チャネル)[18] K+ [18]
リアノジン受容じゅようたい Ca2+ Ca2+ [18]

遺伝いでんせい疾患しっかんにおける役割やくわり

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遺伝いでんせい疾患しっかんにおいて

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おおくの遺伝いでんせい疾患しっかんでは、受容じゅようたい遺伝子いでんし遺伝いでんてき欠陥けっかん関与かんよしている。受容じゅようたい機能きのうしていないのか、ホルモンのさんせい低下ていかしているのか、判断はんだんするのが困難こんなんなことがおおい。そのため、ホルモンのレベルが低下ていかしているようにえるが、実際じっさい受容じゅようたいがホルモンに十分じゅうぶん反応はんのうしていない内分泌ないぶんぴつ疾患しっかんの「にせせい-低下ていかしょうぐんこす。

免疫めんえきけいないにおいて

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免疫めんえきけいにおけるおも受容じゅようたいは、パターン認識にんしき受容じゅようたい(PRR)、トールさま受容じゅようたい(TLR)、キラー活性かっせい英語えいごばんおよびキラー阻害そがい受容じゅようたい(KARおよびKIR)、たい受容じゅようたい英語えいごばんFc受容じゅようたいB細胞さいぼう受容じゅようたいおよびT細胞さいぼう受容じゅようたいである[19]

注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 受容じゅようたいロドプシン場合ばあい入力にゅうりょく化学かがく物質ぶっしつではなく光子こうしとなる。
  2. ^ ことなるLGICは、ことなるイオン電流でんりゅう伝導でんどうする。これは、K+チャネルの選択せんたくフィルター同様どうように、選択せんたくフィルターをもちいて実現じつげんされる。

出典しゅってん

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関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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