一臂いっぴ人じん

一臂いっぴ人じん（いっぴじん）は中国ちゅうごくに伝つたわる伝説でんせつ上じょうの人種じんしゅである。古代こだい中国ちゅうごくでは西方せいほうに位置いちする国くにに棲すんでいたとされる。

概説がいせつ

古代こだい中国ちゅうごくの地理ちり書しょ『山海さんかい経けい』の海外かいがい西経せいけいによると、一臂いっぴ国こくは三身みつみ国くにの北きた、奇き肱ひじ国くにの南みなみにあり、一臂いっぴ人じんは人間にんげんの姿すがたをしているが、手足てあし目鼻めはななどはひとつであり人間にんげんを半分はんぶんにしたようなものだという。

類書るいしょである王おう圻『三さん才さい図会ずえ』では一臂いっぴ人じんは二に人組にんぐみになって交互こうごに足あしを出だしたりすることによって動うごくことが出来できると紹介しょうかいされており、日本にっぽんの『和漢わかん三さん才さい図会ずえ』や奈良なら絵本えほん『異国いこく物語ものがたり』などでもその解説かいせつが使つかわれている。

一臂いっぴ人じんの登場とうじょうする作品さくひん

葛飾かつしか北斎ほくさい『北斎ほくさい漫画まんが』

第だい12編へん（1834年ねん）の「蛮国の療治りょうじ」に描えがかれている。

歌川うたがわ国芳くによし 朝比奈あさひな諸国しょこく廻まわり図ず（1829年ねん）

朝比奈あさひな三郎さぶろうが出会であったとされるさまざまな異国いこく人物じんぶつが描えがかれている錦絵にしきえ。半身はんしん国こくという表示ひょうじの下したに描えがかれている。

河鍋かわなべ暁斎きょうさい『朝比奈あさひな三郎さぶろう絵巻えまき』（1868年ねん頃ころ）

暁斎きょうさいによる絵巻物えまきもの作品さくひん。朝比奈あさひなが訪おとずれる異国いこくのひとつとして登場とうじょうしている。

参考さんこう文献ぶんけん

• 『山海さんかい経けい 中国ちゅうごく古代こだいの神話しんわ世界せかい』高こう馬うま三良さぶろう 訳やく 平凡社へいぼんしゃ〈平凡社へいぼんしゃライブラリー〉、1994年ねん、121頁ぺーじ。ISBN 4-582-76034-1。
• 寺島てらしま良りょう安やす 『和漢わかん三さん才さい図会ずえ』3、島田しまだ勇雄いさお・竹島たけしま純夫すみお・樋口ひぐち元もと巳み訳注やくちゅう、平凡社へいぼんしゃ〈東洋文庫とうようぶんこ〉、1986年ねん、396頁ぺーじ。
• 吉田よしだ幸一こういち『異国いこく物語ものがたり』古典こてん文庫ぶんこ、1995年ねん、140頁ぺーじ。