上杉うえすぎ房ぼう方かた

凡例はんれい 上杉うえすぎ房ぼう方かた
時代じだい	南北なんぼく朝あさ時代じだい - 室町むろまち時代ときよ前期ぜんき
生誕せいたん	正平しょうへい22年ねん/貞治さだはる8年ねん（1367年ねん）
死没しぼつ	応おう永ひさし28年ねん11月10日にち（1421年ねん12月4日にち）
改名かいめい	龍りゅう命いのち丸まる（幼名ようみょう）→房ぼう方かた
官位かんい	民みん部ぶ大輔だいすけ
幕府ばくふ	室町むろまち幕府ばくふ 越後えちご守護しゅご
主君しゅくん	足利あしかが義満よしみつ→義持よしもち
氏族しぞく	越後えちご上杉うえすぎ家か
父母ちちはは	父ちち：上杉うえすぎ憲方のりかた、養父ようふ：上杉うえすぎ憲けん栄さかえ・上杉うえすぎ朝房ともふさ
兄弟きょうだい	憲けん孝こう、房ぼう方かた、憲けん定じょう、憲けん重じゅう
子こ	朝方あさがた、頼よりゆき方かた、憲実のりざね、重おも方かた、清方きよかた

上杉うえすぎ 房ぼう方かた（うえすぎ ふさまさ/ふさかた）は、南北なんぼく朝あさ時代じだいから室町むろまち時代ときよ前期ぜんきにかけての武将ぶしょう。越後えちご国こく守護しゅご。越後えちご上杉うえすぎ家か2代だい当主とうしゅ。

略歴りゃくれき

正平しょうへい22年ねん/貞治さだはる8年ねん（1367年ねん）、上杉うえすぎ憲方のりかたの子ことして誕生たんじょう。

天授てんじゅ4年ねん/永和えいわ4年ねん（1378年ねん）、叔父おじで先代せんだいの越後えちご守護しゅご・上杉うえすぎ憲けん栄さかえが引退いんたいした後のち、守護しゅご代だいの長尾ちょうび高だか景けいに推おされて天授てんじゅ6年ねん/康かん暦れき2年ねん（1380年ねん）、越後えちご守護しゅごとなった。当時とうじ、越後えちご国こくの国衙こくが領りょうは山内やまうち上杉うえすぎ家かの上杉うえすぎ憲方のりかたと犬いぬ懸かか上杉うえすぎ家かの上杉うえすぎ朝房ともふさに分割ぶんかつされていたが、房ぼう方かたは当然とうぜん実父じっぷである憲方のりかたから国衙こくが領りょうの半分はんぶんを譲ゆずり受うけた。さらに朝房ともふさの養子ようしになることを条件じょうけんに残のこりの半分はんぶんも継承けいしょうすることになった。また、越後えちご上杉うえすぎ家かを継ついだと言いっても、房ぼう方かたは山内やまうち上杉うえすぎ家かの一員いちいんとして認識にんしきされており、憲方のりかたは山内やまうち上杉うえすぎ家かの後継こうけい者しゃに指名しめいされた弟おとうとの憲けん定じょうに後継こうけい者しゃが無ない場合ばあいには、兄あにである房ぼう方かたが山内やまうち上杉うえすぎ家かと関東かんとう管領かんりょうを継つぐように命めいじていた。

当初とうしょは実父じっぷである憲方のりかた、その没後ぼつごは守護しゅご代だいの邦くに景けい（長尾ちょうび高だか景けいの嫡男ちゃくなん）の補佐ほさを受うけた。守護しゅご就任しゅうにん直後ちょくごは南朝なんちょう方かたの残存ざんそん勢力せいりょくの抵抗ていこうがあったものの、概おおむね平穏へいおんであり、京都きょうとに出仕しゅっししていた房ぼう方かたは応おう永なが7年ねん（1400年ねん）には室町むろまち幕府ばくふの評定ひょうじょう衆しゅに任にんぜられている。

応おう永ひさし23年ねん（1416年ねん）の上杉うえすぎ禅秀ぜんしゅうの乱らんにおいては一軍いちぐんを率ひきいて4代だい鎌倉かまくら公方くぼう・足利あしかが持氏もちうじと甥おいの関東かんとう管領かんりょう・上杉うえすぎ憲基のりもとに加勢かせい、上杉うえすぎ禅秀ぜんしゅうを討伐とうばつするなど活躍かつやくした。ところが、応おう永なが25年ねん（1418年ねん）になって憲基のりもとが急死きゅうしすると、憲けん定じょうの系統けいとうが断絶だんぜつしてしまったが、房ぼう方かたは山内やまうち上杉うえすぎ家かの重臣じゅうしんと相談そうだんして、自分じぶんの代かわりに三男さんなんである憲実のりざねをその後継こうけいとした。また、阿賀野川あがのがわの北きたにある山浦やまうらの地ちを実弟じっていの憲けん重じゅうを派遣はけんして下越しもごえ地方ちほうの掌握しょうあくを図はかり、憲けん重じゅうが没ぼっすると自身じしんの次男じなんの頼よりゆき方かたをその後継こうけいとして山浦やまうら上杉うえすぎ家かを興おこした。更さらに末子まっしの清方きよかたを上条かみじょうに派遣はけんして中越なかごえ地方ちほうの掌握しょうあくを図はかって、上条かみじょう上杉うえすぎ家かを興おこした。

幕府ばくふ内ないでは評定ひょうじょう衆しゅとして管領かんりょうの斯波しば義よし将しょうに次つぐ席次せきじを得えていたが、応おう永なが13年ねん（1406年ねん）には評定ひょうじょう衆しゅを退しりぞき、同年どうねん11月がつに出家しゅっけして「常つね越えつ」と号ごうした。応おう永なが28年ねん（1421年ねん）11月がつ10日とおかに死去しきょした。嫡男ちゃくなん・朝方あさがたが継まましいだが、朝方あさがたもまもなく死去しきょしている。一方いっぽう、房ぼう方かたの治世ちせいの間あいだに守護しゅご代だいの長尾ながお邦くに景けいが越後えちご支配しはいの実権じっけんを持もつようになり、幕府ばくふ首脳しゅのうもその存在そんざいを無視むしできない存在そんざいへと台頭たいとうしていった。

参考さんこう文献ぶんけん

• 黒田くろだ基樹もとき 編へん『関東かんとう上杉うえすぎ氏し一族いちぞく』戎えびす光ひかり祥さち出版しゅっぱん〈シリーズ・中世ちゅうせい関東かんとう武士ぶしの研究けんきゅう 第だい二に二に巻かん〉、2018年ねん。ISBN 978-4-86403-269-8。 
  • 田村たむら裕ひろし「上杉うえすぎ房ぼう方かたの時代じだい」。 /初出しょしゅつ:『上越じょうえつ市し史し 通史つうし編へん2』2004年ねん。第だい1部ぶ第だい5章しょう第だい1節せつ。 
  • 山田やまだ邦明くにあき「応おう永ながの大乱たいらん」。 /初出しょしゅつ:『新潟にいがた県けん史し 通史つうし編へん2』1987年ねん。第だい2章しょう第だい2節せつ第だい1項こう。 
  • 田村たむら裕ひろし「越後えちご応おう永ながの大乱たいらん」。 /初出しょしゅつ:『上越じょうえつ市し史し 通史つうし編へん2』2004年ねん。第だい1部ぶ第だい5章しょう第だい3節せつ。