中高なかだか一貫いっかん教育きょういく

中高なかだか一貫いっかん教育きょういく（ちゅうこういっかんきょういく）とは、前期ぜんき中等ちゅうとう教育きょういく（一般いっぱんの中学校ちゅうがっこうで行おこなわれている教育きょういく）と後期こうき中等ちゅうとう教育きょういく（一般いっぱんの高等こうとう学校がっこうで行おこなわれている教育きょういく）の課程かていを調整ちょうせいし、一貫いっかん性せいを持もたせた体系たいけい的てきな教育きょういく方式ほうしきのことである。また、これを行おこなっている学校がっこうを中高なかだか一貫いっかん校こう（ちゅうこういっかんこう）という。

概要がいよう

無試験むしけんで上級じょうきゅう学校がっこうに進学しんがくする学校がっこうを俗ぞくに「エスカレーター式しき」と呼よぶことがあるため、中高なかだか一貫いっかん校こうと中等ちゅうとう教育きょういく学校がっこうがこのように呼よばれることがある。しかし後期こうき中等ちゅうとう教育きょういくは義務ぎむ教育きょういくではないため、必かならずしも全すべての生徒せいとが系列けいれつ高校こうこうに進学しんがく、または中等ちゅうとう教育きょういく学校がっこうの後期こうき課程かていに進級しんきゅうできるとは限かぎらない。

国立こくりつ・私立しりつの中学校ちゅうがっこうと高等こうとう学校がっこうの多おおくが戦後せんご6年ねん制せい一貫いっかん教育きょういくを行おこなってきた。最近さいきんでは、公立こうりつにおいても中高なかだか一貫いっかん教育きょういくが可能かのうになったため、児童じどうの進路しんろ選択せんたくの多様たよう性せいを増ますために導入どうにゅうする実例じつれいが増ふえている。

日本にっぽん

「日本にっぽんの中高なかだか一貫いっかん校こう」も参照さんしょう

分類ぶんるい・統計とうけい

実施じっし校こうには以下いかの3種類しゅるいがある。（出典しゅってん「学校がっこう基本きほん調査ちょうさ - 平成へいせい22年度ねんど（確かく定値ていち）結果けっか」）

• 同どう一いち学校がっこう型がた（中等ちゅうとう教育きょういく学校がっこう）
  • 中学校ちゅうがっこうの課程かていと高等こうとう学校がっこうの課程かていを統合とうごうした一体いったいの学校がっこう。中学校ちゅうがっこうに相当そうとうする前期ぜんき課程かていと高等こうとう学校がっこうに相当そうとうする後期こうき課程かていがある。前期ぜんき課程かていを修了しゅうりょうすると中学校ちゅうがっこうを卒業そつぎょうしたものと同おなじ資格しかくを持もつ。通常つうじょう後期こうき課程かていの募集ぼしゅうは行おこなわれないが、発足ほっそく当初とうしょは生徒せいとを募集ぼしゅうすることがある。また、2013年ねん1月がつには海陽かいよう中等ちゅうとう教育きょういく学校がっこうの後期こうき課程かていで30名めいを募集ぼしゅうする第だい4学年がくねん編へん入学にゅうがく試験しけんが行おこなわれる。
  • 全ぜん48校こう。国立こくりつ4校こう。公立こうりつ28校こう。私立しりつ16校こう。
• 併設へいせつ型がた（中学校ちゅうがっこう・高等こうとう学校がっこう）
  • 同おなじ設置せっち者しゃが中学校ちゅうがっこうと高等こうとう学校がっこうを設置せっちして接続せつぞくするタイプ。中学校ちゅうがっこうから高等こうとう学校がっこうへは無む選抜せんばつで進学しんがくすることができる。また高等こうとう学校がっこうは外部がいぶからの募集ぼしゅうも行おこなう。私立しりつの場合ばあいは外部がいぶ募集ぼしゅうがないこともある。
  • 全ぜん273組くみ。国立こくりつ1組くみ。公立こうりつ69組くみ。私立しりつ203組くみ。
  • 比較的ひかくてき都市とし部ぶに設置せっちされることが多おおい。また交通こうつうの便びんのよい学校がっこうに設置せっちされることが多おおい。都道府県とどうふけん立中たつなか学校がっこうが設置せっちされることにより、地域ちいきの市区しく町村ちょうそん立中たつなか学校がっこうに影響えいきょうが出でる。広ひろく広範囲こうはんいから生徒せいとを集あつめることができれば、地元じもと中学校ちゅうがっこうへの影響えいきょうが小ちいさくなる利点りてんがある。一方いっぽう、過疎かそ地ちに設置せっちされた県立けんりつ中学校ちゅうがっこうでは定員ていいん割われを起おこすなどしたことが原因げんいんで廃止はいしされるケースが出でてきている(新潟にいがた県けんなど）。
  • 理数りすう教育きょういくに重点じゅうてんを置おく学校がっこう、グローバル教育きょういくを重視じゅうしする学校がっこう、将来しょうらいのリーダーの養成ようせいを目指めざす学校がっこうなどそれぞれの学校がっこうが特色とくしょくを作つくって教育きょういく活動かつどうを行おこなっている。
  • 外そと進しん生せいと内うち進しん生せいはミックスしてホームルームを形成けいせいする場合ばあいと、3年間ねんかん別べつのクラスを形成けいせいする場合ばあいがある。
  • 中学校ちゅうがっこうにおいては、中学校ちゅうがっこうの標準ひょうじゅん授業じゅぎょう時間じかん数すうよりも授業じゅぎょう時間じかんを増ふやして教育きょういくを行おこなっているところが多おおい。また、高校こうこう受験じゅけんがないことや教育きょういく課程かていの特例とくれいを生いかし、高校こうこう内容ないようの先取さきどり学習がくしゅうを行おこなう学校がっこうが多おおい。
  • 部ぶ活動かつどうは中学校ちゅうがっこう・高等こうとう学校がっこうが連携れんけいして行いっており、文化ぶんか部ぶを中心ちゅうしんに中高なかだか合同ごうどうで行おこなっている。
• 連携れんけい型がた（中学校ちゅうがっこう・高等こうとう学校がっこう）
  • 設置せっち者しゃが異ことなる中学校ちゅうがっこうと高等こうとう学校がっこうが連携れんけいして教育きょういくを行おこなうタイプ。中学校ちゅうがっこうの教師きょうしと高校こうこうの教師きょうしがチームティーチングを行おこなったり、教育きょういく課程かていをスムーズに接続せつぞくしたりする。連携れんけい中学校ちゅうがっこうから高校こうこうへは簡便かんべんな試験しけんで選抜せんばつする。また高校こうこうは、一般いっぱんの試験しけんで、他たの中学校ちゅうがっこう出身しゅっしん者しゃを受うけ入いれる。
  • 全ぜん177組くみ。国立こくりつ2組くみ。公立こうりつ174組くみ。私立しりつ1組くみ（水戸みと英えい宏ひろし中学校ちゅうがっこうならびに水戸みと葵まもる陵りょう高等こうとう学校がっこうおよび水戸みと啓明ひろあき高等こうとう学校がっこう）。
  • 過疎かそ地域ちいきで採用さいようされることが多おおい。その地域ちいきに根ねざした教育きょういくが展開てんかいされる。
  • あくまで連携れんけいであるため、中高なかだか一貫いっかん教育きょういくの効果こうかは中等ちゅうとう教育きょういく学校がっこうや併設へいせつ型がたより小ちいさい。特色とくしょく的てきな教育きょういく課程かていを組くむこともしにくい欠点けってんがある。

上記じょうきの数字すうじは「学校がっこう基本きほん調査ちょうさ」（文部もんぶ科学かがく省しょう統計とうけい）で対象たいしょうにしている中高なかだか一貫いっかん校こうのみであり、ある中学ちゅうがくからある高校こうこうに一般いっぱん入試にゅうしをせずに進学しんがくできる場合ばあい（内部ないぶ進学しんがく）も両校りょうこうを中高なかだか一貫いっかん校こうと呼よんでいるため、実質じっしつ的てきな一貫いっかん校こうはもっと多おおい。このように実際じっさいには私立しりつ中高なかだかの大だい部分ぶぶんが一貫いっかん校こうと考かんがえられる。実質じっしつ的てきな私立しりつ中高なかだか一貫いっかん校こうの数かずは、2012年ねん5月1日にち現在げんざい732校こう（中等ちゅうとう教育きょういく学校がっこうに転換てんかんしない私立しりつ中高なかだか一貫いっかん校こうは715校こう）に上のぼる。傾向けいこうとしては、国立こくりつ・私立しりつには中等ちゅうとう教育きょういく学校がっこう（完全かんぜん中高なかだか一貫いっかん校こう）や併設へいせつ型がた（別べつクラス型がたと混合こんごう型がたに大別たいべつされる）が多おおく、公立こうりつには連携れんけい型がたが多おおい。

高校こうこう募集ぼしゅう

外部がいぶからの生徒せいとを受うけ入いれることによって、生徒せいとに一定いっていの緊張きんちょう感かんを持もたせて一貫いっかん校こう特有とくゆうの中なかだるみを防ふせぐことを目的もくてきとしている学校がっこうもある。中高なかだか一貫いっかん校こうの高校こうこう入学にゅうがく組ぐみの中なかには、中学ちゅうがく受験じゅけん失敗しっぱいの巻まき返かえしを目指めざした生徒せいとも少すくなくない。近年きんねん、中学ちゅうがく受験じゅけんの普及ふきゅうと少子化しょうしかの影響えいきょうにより優秀ゆうしゅうな外部がいぶ進学しんがく者しゃが減少げんしょうしているため、多おおくの学校がっこうが高校こうこう入学にゅうがくを廃止はいしして完全かんぜん中高なかだか一貫いっかん校こうへ移行いこうしている。また、高校こうこう入学にゅうがく組ぐみの進学しんがく実績じっせきが内部ないぶ進学しんがく組ぐみに比くらべて著いちじるしく低ひくいことも要因よういんとなっている。

それに対たいして、高校こうこう募集ぼしゅうをしない学校がっこうを完全かんぜん中高なかだか一貫いっかん校こうという。完全かんぜん中高なかだか一貫いっかん校こうは中等ちゅうとう教育きょういく学校がっこうとは制度せいど上じょうは別物べつものである。高校こうこう募集ぼしゅうを停止ていしして完全かんぜん中高なかだか一貫いっかん校こうになる学校がっこうが徐々じょじょに増ふえつつある。その背景はいけいとして、外部がいぶ生せい（高校こうこう入学にゅうがく組ぐみ）は中高なかだか一貫いっかんのカリキュラムを受うけた内部ないぶ生せいに比くらべて進度しんどが遅おそいことがある。高校こうこう募集ぼしゅうを継続けいぞくしていても、高校こうこうから入学にゅうがくした生徒せいとへの未み履修りしゅう分野ぶんやの補講ほこうが必要ひつようとなったり、中なかには、高校こうこうから入学にゅうがくした生徒せいとを中学ちゅうがくからの内うち進しん生せいのクラスに組くみ込こまず、別べつクラスにする学校がっこうもある。中等ちゅうとう教育きょういく学校がっこうも基本きほん的てきに後期こうき課程かてい募集ぼしゅうはしない。

なお、中高なかだか一貫いっかん校こうと銘打めいうちながら、中学ちゅうがく卒業そつぎょう段階だんかいで県立けんりつの高等こうとう学校がっこうに生徒せいとの多おおくが流出りゅうしゅつし、系列けいれつ高校こうこうへの進学しんがくが少すくないため、中学ちゅうがくは評価ひょうかが高たかいものの、高校こうこうは中学ちゅうがくと比較ひかくして評価ひょうかが著いちじるしく低ひくく、中高なかだか一貫いっかん校こうとしての評価ひょうかが全まったく得えられていないという、南関東みなみかんとう、近畿きんき等ひとしの中高なかだか一貫いっかん校こう（中高なかだか一貫いっかん教育きょういくを提供ていきょうする6年ねん制せいコースと高校こうこう受験じゅけん準備じゅんび教育きょういくを提供ていきょうする3年ねん制せいコースがある履くつ正せい社中しゃちゅう学校がっこう・高等こうとう学校がっこうを除のぞく）では見みられない特異とくいな現象げんしょうが起おきている学校がっこうもある（愛知あいち県けん東ひがし三さん河かわ地方ちほうの桜丘さくらがおか中学校ちゅうがっこう・高等こうとう学校がっこう・愛知あいち産業さんぎょう大学だいがく三河そうご中学校ちゅうがっこう・高等こうとう学校がっこうなど）。

私立しりつの中高なかだか一貫いっかん校こうでは同おなじ学校がっこう法人ほうじんによって、「高等こうとう学校がっこうのみ」の学校がっこうを別べつに設置せっちしている所ところもある。学校がっこうにより、中高なかだか一貫いっかん校こうで「○○中学ちゅうがく高等こうとう学校がっこう」、高等こうとう学校がっこうでは「○○高等こうとう学校がっこう」と名称めいしょうするところや中高なかだか一貫いっかん校こうを6年ねん制せい、高等こうとう学校がっこうを3年ねん制せいとコースづけしていたりする。

同おなじ名めいを冠かんする学校がっこうでありながらそれぞれ「進学校しんがくこう」「非ひ進学校しんがくこう」という二に極きょく分化ぶんかが起おきることがある。

制度せいど変更へんこう

中学ちゅうがく・高校こうこう併設へいせつの私立しりつ校こうや国立こくりつ校こうでは従来じゅうらいから行おこなわれてきた教育きょういく方式ほうしきだが、公立こうりつ校こうでは、東京とうきょう都立とりつ世田谷せたがや工業こうぎょう高等こうとう学校がっこうが1959年ねんから1973年ねんにかけて付属ふぞく中学校ちゅうがっこうを設置せっちしたくらいしか例れいが無なく、1998年ねんの学校がっこう教育きょういく法ほう改正かいせいにより正式せいしきに認みとめられ、積極せっきょく的てきに一貫いっかん教育きょういくができるようになった。

法的ほうてきに中高なかだか一貫いっかん校こうの形かたちをとっている学校がっこうとしては、1999年ねん度どに公立こうりつ中等ちゅうとう教育きょういく学校がっこうの宮崎みやざき県立けんりつ五ヶ瀬ごかせ中等ちゅうとう教育きょういく学校がっこう、公立こうりつ併設へいせつ型がたの岡山おかやま市立しりつ岡山おかやま後楽こうらく館かん中学校ちゅうがっこう・高等こうとう学校がっこう、公立こうりつ連携れんけい型がたの松阪まつさか市立しりつ飯南いいなん中学校ちゅうがっこう・松阪まつさか市立しりつ飯高ひだか中学校ちゅうがっこう・三重みえ県立けんりつ飯南いいなん高等こうとう学校がっこう、私立しりつ併設へいせつ型がたの横浜よこはま共立きょうりつ学園がくえん中学校ちゅうがっこう・高等こうとう学校がっこうの4組くみが設置せっちされたのが最初さいしょである。文部もんぶ科学かがく省しょうは日本にっぽんに500校こうの中高なかだか一貫いっかん校こうを設置せっちする予定よていである。

中高なかだか一貫いっかん教育きょういくのメリット・デメリット

「日本にっぽんの中高なかだか一貫いっかん校こう#問題もんだい点てん」および「格差かくさ社会しゃかい#教育きょういくによる階層かいそう化か」も参照さんしょう

中高なかだか一貫いっかん校こうでは高校こうこう・後期こうき課程かてい進学しんがく時じに高校こうこう受験じゅけんが不要ふようまたは簡単かんたんな試験しけんで済すむため、6年間ねんかんのうち大だい部分ぶぶんを試験しけん勉強べんきょうに追おわれずに過すごせるという点てんが人気にんきの一因いちいんとなっている。これは従来じゅうらい、一定いってい以上いじょうの学力がくりょく成績せいせきを達成たっせいしていれば、確実かくじつに地元じもとの公立こうりつ普通ふつう科か高校こうこうに進学しんがくできるようにした総合そうごう選抜せんばつ制度せいどなどで実現じつげんされていたことでもある（その後ご総合そうごう選抜せんばつは、少子化しょうしかの影響えいきょうや、進路しんろ選択せんたくの余地よちが少すくないなどの拘束こうそく性せいが嫌気いやけされて、徐々じょじょに衰退すいたいしていった）。

高校こうこう受験じゅけんが必要ひつようない、もしくは負担ふたんが少すくないことはメリットの一ひとつであるが、学年がくねんが上あがるにつれて、学校がっこう内ないでの生徒せいと間あいだの学力がくりょく差さが顕著けんちょになる傾向けいこうがある。中高なかだか一貫いっかん校こうの中なかには高校こうこう段階だんかいで募集ぼしゅうをやめた学校がっこうも多おおいため、学校がっこうの校風こうふうが自分じぶんに合あわなくても別べつの学校がっこうに進学しんがくしにくいという問題もんだいもある。

しかし、一般いっぱんの地元じもと公立こうりつ中学校ちゅうがっこうにはゆとり教育きょういくやいじめ問題もんだいや学級がっきゅう崩壊ほうかいなどの諸しょ問題もんだいが発生はっせいする場合ばあいが比較的ひかくてき多おおいため、公立こうりつ中学校ちゅうがっこうに入学にゅうがくすることへの不安ふあんも強つよい。

典型てんけい的てきな中高なかだか一貫いっかん校こうの教育きょういく課程かていは高校こうこう2年ねん（中等ちゅうとう教育きょういく学校がっこう第だい5学年がくねん）までに中高なかだかの内容ないようを終おわらせ、最後さいごの1年ねんで大学だいがく受験じゅけんに特とく化かした学習がくしゅうをするというものである。現在げんざいの学習がくしゅう指導しどう要領ようりょうでは中学校ちゅうがっこうの内容ないようがゆとり教育きょういくのため薄うすく、その代かわり高校こうこうの内容ないようが濃こい。それを5年間ねんかんで均等きんとうに引ひき延のばしているわけなので、必かならずしもこの方法ほうほうが詰つめ込こみ型がたの教育きょういくとはいえない。ただし、2002年ねんの学習がくしゅう指導しどう要領ようりょうにおいて、中学ちゅうがく段階だんかいで削除さくじょされて高校こうこうに移うつされた内容ないようについては、2002年ねん以降いこうも引ひき続つづき中学ちゅうがく段階だんかいで学習がくしゅうしている学校がっこうが多おおい。

灘なだ高等こうとう学校がっこうが、理工りこう系けいの数学すうがく入門にゅうもんコースを教科書きょうかしょとして採用さいようしているなど、学習がくしゅう指導しどう要領ようりょうの逸脱いつだつが容認ようにんされている学校がっこうもある。

その他た

中高なかだか一貫いっかん校こうは高たかい進学しんがく実績じっせきを残のこすのに有利ゆうりとされている。都市とし圏けんでは中高なかだか一貫いっかん校こうによる一部いちぶの大学だいがく合格ごうかく者しゃの寡占かせん状態じょうたいが問題もんだい視しされている。

また、「公立こうりつ中高なかだか一貫いっかん校こう」の設置せっちも全国ぜんこくで進すすんでおり、東京とうきょう都立とりつ小石川こいしかわ中等ちゅうとう教育きょういく学校がっこうや千葉ちば県立けんりつ千葉ちば中学校ちゅうがっこう・高等こうとう学校がっこうがその例れいである。

一貫いっかん教育きょういくのメリットは中高なかだかにとどまらず、公立こうりつ学校がっこうを中心ちゅうしんとして小中こなか一貫いっかん校こうを設立せつりつするところも現あらわれている。埼玉さいたま県けんさいたま市し岩槻いわつき区く（旧きゅう岩槻いわつき市し）に所在しょざいする開智かいち中学校ちゅうがっこう・高等こうとう学校がっこうでは、小学校しょうがっこうも設置せっちして小中しょうちゅう高だか一貫いっかん校こうにする予定よていである。幼稚園ようちえんから短期大学たんきだいがく、大学だいがくまで擁ようしている学校がっこう法人ほうじんもある。ちなみに特別とくべつ支援しえん学校がっこうは小中しょうちゅう高だか一貫いっかん校こうである場合ばあいがある。

また、トヨタ自動車とよたじどうしゃ・中部電力ちゅうぶでんりょく・JR東海とうかいの中部ちゅうぶ財界ざいかい3社しゃは、2006年ねん4月がつに中高なかだか一貫いっかん校こう「海陽かいよう中等ちゅうとう教育きょういく学校がっこう」を愛知あいち県けん蒲郡がまごおり市しのラグーナ蒲かばの郡ぐん内うちに開校かいこうした。イギリスの名門めいもんイートン校こうをモデルにしており、同時どうじに設立せつりつされた学校がっこう法人ほうじん海陽かいよう学園がくえん（理事りじ長ちょう: 豊田とよだ章一郎しょういちろう）が運営うんえいする。

また、叡明館えいみょうかん中等ちゅうとう部ぶ・高等こうとう部ぶという中高なかだか一貫いっかん教育きょういくの全寮ぜんりょう制せい校こうが石川いしかわ県けんに1984年ねんに開校かいこうしたが、1995年ねんに休校きゅうこうとなっている。

地域ちいき総合そうごう中等ちゅうとう学校がっこう構想こうそう

日本にっぽん教職員きょうしょくいん組合くみあいの第だい2次じ教育きょういく制度せいど検討けんとう委員いいん会かいが、1983年ねんに『現代げんだい日本にっぽんの教育きょういく改革かいかく』で報告ほうこくした地域ちいき総合そうごう中等ちゅうとう学校がっこうは、次つぎのような構想こうそうである。この構想こうそうの具体ぐたい的てきな内容ないようは、吉田よしだ昇のぼる・長尾ちょうび十じゅう三さん二に・柴田しばた義松よしまつ編へん『中等ちゅうとう教育きょういく原理げんり〔新版しんぱん〕』（有斐閣ゆうひかく双書そうしょ、1986年ねん5月がつ初版しょはん発行はっこう）の「4章しょう　中等ちゅうとう教育きょういくの社会しゃかい的てき性格せいかく」（小川おがわ利夫としお執筆しっぴつ）の「4　現代げんだいの教育きょういく改革かいかくと青年せいねん期き教育きょういくの創造そうぞう」の「高校こうこう入試にゅうし改革かいかくと中等ちゅうとう教育きょういく改革かいかくの構想こうそう－「6年ねん制せい中等ちゅうとう学校がっこう」そのふたつの道みち」(pp.123-132) の126ページの表ひょうに明記めいきされている。この項目こうもくではこの表ひょうに基もとづいて記載きさいする。

1. 接続せつぞくの前提ぜんてい：現行げんこうの中学校ちゅうがっこう、高等こうとう学校がっこうを接続せつぞくした6年間ねんかんの地域ちいき総合そうごう中等ちゅうとう学校がっこうとする。前期ぜんきを中学校ちゅうがっこう、後期こうきを高等こうとう学校がっこうとし、進学しんがくに際さいしての選抜せんばつ試験しけんは行おこなわない。男女だんじょ共学きょうがくで小しょう学区がっく制せいとする。
2. 教育きょういく課程かてい：国民こくみん的てき教養きょうようとしての普通ふつう教育きょういくと専門せんもん教育きょういくを提供ていきょうし、教育きょういく課程かていの編成へんせいは学校がっこうや地域ちいきの実情じつじょうや生徒せいとの選択せんたくに対応たいおうして柔軟じゅうなんに編成へんせいされる。
3. 行財政ぎょうざいせい：地域ちいき総合そうごう中等ちゅうとう学校がっこうへの就学しゅうがくは、すべての青年せいねんの権利けんりとして保障ほしょうされる。ただし、前期ぜんき中学校ちゅうがっこうまでは、就学しゅうがく義務ぎむを伴ともなう。地域ちいき総合そうごう中等ちゅうとう学校がっこうは無償むしょう制せいとする。市町村しちょうそんないし都道府県とどうふけんは、地域ちいき総合そうごう中等ちゅうとう学校がっこうを設置せっちする義務ぎむをもつとともに、就学しゅうがく援助えんじょ義務ぎむを負おう。

中高なかだか一貫いっかん教育きょういく推進すいしん法案ほうあん

民主党みんしゅとうは、1998年ねん4月がつ28日にちに、中学校ちゅうがっこうと高等こうとう学校がっこうを中等ちゅうとう教育きょういく学校がっこうに全面ぜんめん的てきに転換てんかんする形かたちで、中高なかだか一貫いっかん教育きょういくを全部ぜんぶ導入どうにゅうするために『中高なかだか一貫いっかん教育きょういくの推進すいしんに関かんする法律ほうりつ案あん』（1424国会こっかい衆議院しゅうぎいん・法ほう14号ごう）を発表はっぴょうした。この法案ほうあんの概要がいようは次つぎの通とおりである。中高なかだか一貫いっかん教育きょういく推進すいしん法案ほうあんは、10年ねん以内いないに中学校ちゅうがっこうと高等こうとう学校がっこうを公立こうりつの中高なかだか一貫いっかんの中等ちゅうとう教育きょういく学校がっこうに統一とういつすることによって、全すべての子こどもに中高なかだか一貫いっかん教育きょういくを提供ていきょうし高校こうこう入試にゅうしを全廃ぜんぱい、高校こうこうは無償むしょう化かするものであった。

（目的もくてき）

中高なかだか一貫いっかん教育きょういくを専もっぱら中等ちゅうとう教育きょういく学校がっこうにおいて実施じっしすることを明あきらかにするとともに、その設置せっちの促進そくしんに関かんし必要ひつようなどの措置そちを定さだめ、もって中高なかだか一貫いっかん教育きょういくの促進そくしんを図はかることを目的もくてきとする。

（定義ていぎ） この法律ほうりつにおいて「中高なかだか一貫いっかん教育きょういく」とは小学校しょうがっこうにおける教育きょういくの基礎きその上うえに心身しんしんの発達はったつに応おうじて中等ちゅうとう普通ふつう教育きょういく並ならびに専門せんもん教育きょういくを一貫いっかんして施ほどこすことをいう。

1　中高なかだか一貫いっかん教育きょういくの実施じっし

中高なかだか一貫いっかん教育きょういく（中等ちゅうとう教育きょういくに係かかるものに限かぎる。）は中等ちゅうとう教育きょういくが次世代じせだいを担になう青少年せいしょうねんの人間にんげん形成けいせいの基盤きばんを要請ようせいする極きわめて重要じゅうようなものであることに鑑かんがみ、学校がっこう教育きょういく法ほうに掲かかげる目標もくひょうのほか、ゆとりある学校がっこうの生活せいかつの中なかで、多方面たほうめんにわたる交流こうりゅう及および体験たいけんを通つうじた教育きょういく並ならびに個性こせいに応おうじた多様たよう性せいのある教育きょういくを実施じっしすることにより、自助じじょ、自立じりつ及および共生きょうせいの精神せいしんを養やしなうことを目標もくひょうとして、専もっぱら中等ちゅうとう教育きょういく学校がっこうにおいて実施じっしされるものとする。

2　中学校ちゅうがっこう及および高等こうとう学校がっこうの廃止はいし等とう

中学校ちゅうがっこう及および高等こうとう学校がっこうは遅おそくともこの法律ほうりつの施行しこう後ご10年ねん以内いないに廃止はいしされ、中等ちゅうとう教育きょういくは専もっぱら中等ちゅうとう教育きょういく学校がっこうにおいて実施じっしされるものとする。中等ちゅうとう教育きょういくが中等ちゅうとう教育きょういく学校がっこうにおいて実施じっしされることとなった後のちは、国立こくりつ、公立こうりつの中等ちゅうとう教育きょういく学校がっこうの後期こうき課程かていにおいて授業じゅぎょう料りょうを徴収ちょうしゅうしない。

3　公立こうりつ中等ちゅうとう教育きょういく学校がっこう整備せいび計画けいかく

都道府県とどうふけんは、その区域くいき内ないの公立こうりつの中等ちゅうとう教育きょういく学校がっこうの整備せいびに関かんする基本きほん的てきな計画けいかく（以下いか「公立こうりつ中等ちゅうとう教育きょういく学校がっこう整備せいび計画けいかく」という。）を定さだめる。

4　中高なかだか一貫いっかん教育きょういく推進すいしん審議しんぎ会かい

都道府県とどうふけんに条例じょうれいの定さだめるところにより、中高なかだか一貫いっかん推進すいしん審議しんぎ会かい（以下いか「審議しんぎ会かい」という。）を置おくことができる。

5　法制ほうせい上じょう措置そち

国くには中等ちゅうとう教育きょういく学校がっこうの設置せっちの促進そくしんに関かんする施策しさくを実施じっしするため必要ひつような法制ほうせい上じょう、財政ざいせい上じょう又または金融きんゆう上じょうの措置そちその他たの措置そちを講こうずるものとする。

ヨーロッパ

• イギリス - パブリックスクール
• ドイツ - ギムナジウム
• オーストリア - ギムナジウム
• スイス - ギムナジウム
• オランダ - 大学だいがく準備じゅんび中等ちゅうとう教育きょういく (VWO)

関連かんれん項目こうもく

• 中学校ちゅうがっこう - 高等こうとう学校がっこう - 中等ちゅうとう教育きょういく学校がっこう
• 中学ちゅうがく受験じゅけん - 高校こうこう受験じゅけん
• 中高なかだか一貫いっかん校こう
• 幼よう小中しょうちゅう高だか一貫いっかん教育きょういく - 幼よう小中しょうちゅう高だか一貫いっかん校こう - 小中しょうちゅう高だか一貫いっかん教育きょういく - 中高なかだか大だい一貫いっかん教育きょういく - 小中こなか高大こうだい一貫いっかん教育きょういく
• 中学校ちゅうがっこう教員きょういん - 高等こうとう学校がっこう教員きょういん
• 旧制きゅうせい高等こうとう学校がっこう - 旧制きゅうせい中学校ちゅうがっこう - 高等こうとう女学校じょがっこう
• 特別とくべつ科学かがく学級がっきゅう - スーパーサイエンスハイスクール
• 日本にっぽんの公立こうりつ中高なかだか一貫いっかん校こうの一覧いちらん

関連かんれん図書としょ・関連かんれん文献ぶんけん

• 中高なかだか一貫いっかん教育きょういく総論そうろん
  • 月刊げっかん高校こうこう教育きょういく編集へんしゅう部ぶ編へん『中高なかだか一貫いっかん教育きょういく推進すいしんの手引てびき』(学事がくじ出版しゅっぱん、2000年ねん7月がつ21日にち発行はっこう)
  • 東京大学とうきょうだいがく教育きょういく学部がくぶ附属ふぞく中ちゅう・高等こうとう学校がっこう著ちょ『中高なかだか一貫いっかん教育きょういく1/2世紀せいき－学校がっこうの可能かのう性せいへの直線ちょくせん』（東京書籍とうきょうしょせき、1998年ねん4月がつ27日にち発行はっこう）
  • 山住やまずみ正せい己おのれ・中島なかじま平三へいぞう・山崎やまざき憲治けんじ・越田こしだ年彦としひこ著ちょ「中高なかだか一貫いっかん教育きょういく試論しろん」（『世界せかい』1997年ねん4月がつ号ごう所蔵しょぞう、pp.257-267）
  • 「中高なかだか一貫いっかん教育きょういくのゆくえ－多様たよう化かする中等ちゅうとう教育きょういく－」（『教育きょういく評論ひょうろん』通巻つうかん631号ごう所蔵しょぞう（1999年ねん11月1日にち発行はっこう）、pp.10-41）
  • おおたとしまさ著ちょ『中学ちゅうがく受験じゅけん 名門めいもん中学ちゅうがくの子こどもたちは何なにを学まなんでいるのか 東西とうざい難関なんかん12校こうの教育きょういく力りょく』（ダイヤモンド社だいやもんどしゃ、2012年ねん11月1日にち発行はっこう）
  • 鈴木すずき隆たかし祐ゆう著ちょ『「授業じゅぎょう」で選えらぶ中高なかだか一貫いっかん校こう』（学研がっけんマーケティング、2008年ねん4月がつ11日にち発行はっこう）
  • 鈴木すずき隆たかし祐ゆう著ちょ『名門めいもん中学ちゅうがく・最高さいこうの授業じゅぎょう』（学研がっけんパブリッシング、2008年ねん2月がつ1日にち発行はっこう）
• 中高なかだか一貫いっかん校こう各論かくろん
  • 東京大学とうきょうだいがく教育きょういく学部がくぶ附属ふぞく中ちゅう・高等こうとう学校がっこう著ちょ『中高なかだか一貫いっかん教育きょういく1/2世紀せいき－学校がっこうの可能かのう性せいへの挑戦ちょうせん』（東京書籍とうきょうしょせき、1998年ねん4月がつ27日にち発行はっこう）
  • 東京大学とうきょうだいがく教育きょういく学部がくぶ附属ふぞく中等ちゅうとう教育きょういく学校がっこう編著へんちょ『新版しんぱん　学まなび合あいで育そだつ未来みらいへの学力がくりょく－中高なかだか一貫いっかん教育きょういくのチャレンジ』（明石書店あかししょてん、2010年ねん6月がつ10日とおか初版しょはん発行はっこう）
  • 鈴木すずき隆たかし祐ゆう著ちょ『海陽かいよう学園がくえんが変かえる日本にっぽんの教育きょういく』（日本にっぽん実業じつぎょう出版しゅっぱん社しゃ、2013年ねん8月がつ24日にち発行はっこう）

外部がいぶリンク

• 中高なかだか一貫いっかん教育きょういく - 文部もんぶ科学かがく省しょう