京都きょうと将棋しょうぎ

京都きょうと将棋しょうぎ（きょうとしょうぎ）とは将棋しょうぎの一種いっしゅであり、2人ふたりで行おこなうボードゲーム（盤上ばんじょう遊戯ゆうぎ）の一種いっしゅである。

1976年ねんに田宮たみや克哉かつやが発表はっぴょうした、ごく新あたらしい将棋しょうぎである。京都きょうと銀閣ぎんかく将棋しょうぎ、京都きょうと銀閣ぎんかく金鶏きんけい秘ひ譜ふ将棋しょうぎとも言いう。名前なまえの由来ゆらいは香車きょうしゃの裏うらがと金きんになることから、香こうと（きょうと）と同おなじ読よみの京都きょうとを名前なまえとして採用さいようしたという経緯けいいからとされる。駒こまを1手てごとに裏返うらがえすという斬新ざんしんなルールで知しられる。大山おおやま康晴やすはる十じゅう五ご世せい名人めいじんが絶賛ぜっさんしたとの逸話いつわがある。

特許とっきょ出願しゅつがんされたが、審査しんさの請求せいきゅうをしなかったために権利けんり化かはされていない。

先手せんてがミスをしない限かぎり、先手せんてが必勝ひっしょうとなる手順てじゅんが発見はっけんされている（後述こうじゅつ）。

ルール

京都きょうと将棋しょうぎの初期しょき配置はいち

ほぼ将棋しょうぎと同様どうようだが、以下いかの点てんで異ことなる。

• 盤面ばんめんは縦横じゅうおう5マス。自陣じじん・敵陣てきじんはない。
• 初期しょき状態じょうたいでは、右みぎ図ずのように駒こまを配置はいちする。
• 駒こまは次つぎの5種類しゅるい。動うごきは将棋しょうぎのものと同おなじ。
  • 玉たま - 表ひょうが玉たま、裏うらには何なにも書かかれてない
  • 香こうと（きょうと） - 表ひょうが香こう、裏うらがと
  • 銀ぎん角かく（ぎんかく） - 表ひょうが銀ぎん、裏うらが角かく
  • 金きむ桂かつら（きんけい） - 表ひょうが金きむ、裏うらが桂かつら
  • 飛ひ歩ふ（ひふ） - 表ひょうが飛ひ、裏うらが歩ふ
• 玉たま以外いがいの駒こまは1手て動うごくごとに元もとの位置いち・動うごいた先さきに関係かんけいなくその駒こまを「必かならず」裏返うらがえす。将棋しょうぎの不ふ成なりのように裏返うらがえさないことは許ゆるされない。すなわち玉たま以外いがいの駒こまは1手てごとに性能せいのうが変かわる。
• 将棋しょうぎ同様どうよう取とった駒こまは打うてるが、表裏ひょうりどちらで打うってもよい。
• 二に歩ほ、行いき所しょのない駒こま、打うち歩ふ詰づめはいずれも禁止きんしされていない。
  • もっとも持もち駒ごまは表裏ひょうりどちらで打うってもよいため、歩ふを打うって詰つむのであれば同おなじ場所ばしょに飛ひで打うっても詰つむので打うち歩ふ詰づめを禁止きんしにしたところでその意味いみはない。
  • 飛ひもしくはとを1段だん目め、もしくは金かねを2段だん目め以内いないに動うごかすとそれぞれ歩ふ、香こう、桂かつらになり動うごけなくなってしまうがルール違反いはんではない(通常つうじょうは自分じぶんの駒こまの働はたらきを自みずから断たつ行為こういにメリットはないが、相手あいての駒こまを取とる場合ばあいや、合ごう駒こまをしたい場合ばあい、さらにはパスをしたい場合ばあいは有効ゆうこうになる場合ばあいもある)。
    • 1段だん目めに歩ふもしくは香こう、もしくは2段だん目め以内いないに桂かつらを打うってもメリットはないが（合ごう駒こまやパス代かわりに打うつにしても飛とべ、と、金かねで打うつ方ほうが駒こまを動うごかせるので有効ゆうこうである）やはりルール違反いはんではない。
  • 二に歩ほは歩ふを打うつ他ほかに飛ひが歩ふのある筋すじに動うごいてできることもあるがいずれもルール違反いはんではない。
• 千日手せんにちては引ひき分わけである。
  • 発生はっせい条件じょうけんは本ほん将棋しょうぎと同様どうよう同どう一いち譜面ふめん4回かいである。
  • 連続れんぞく王手おうての千日手せんにちてでも引ひき分わけである。

先手せんて必勝ひっしょうの証明しょうめい

電気通信大学でんきつうしんだいがく大学院だいがくいん情報じょうほう理工りこう学がく研究けんきゅう科かの塩田しおだ雅弘まさひろと伊藤いとう毅志たけしは、2021年ねんに「京都きょうと将棋しょうぎの弱じゃく解決かいけつ」と題だいした論文ろんぶんを発表はっぴょうし、本ほんゲームを弱じゃく解決かいけつ (Weakly solved)した。具体ぐたい的てきには、メモリ32GBのAMD Ryzen 9 5950Xを使用しようした約やく11時じ間あいだの計算けいさんで、先手せんてが初手しょて1四よん歩ほ成なりとした場合ばあいに、先手せんてにミスがない限かぎり先手せんてが必勝ひっしょうとなることを証明しょうめいした。

これはどうぶつしょうぎと異ことなり、存在そんざいするすべての合法ごうほう局面きょくめんにおける勝敗しょうはいとその手順てじゅんが証明しょうめいされた「強つよ解決かいけつ（Strongly solved）」ではないため、先手せんてと後手ごてが双方そうほう最善さいぜんを尽つくした場合ばあいの最短さいたん手順てじゅんは未解決みかいけつであり、初手しょて1四よん歩ほ成なりが本当ほんとうに最善さいぜんの手てであるかということも示しめしていないが、京都きょうと将棋しょうぎが先手せんて必勝ひっしょうであることを証明しょうめいするにはこれで十分じゅうぶんである。

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