大だい将棋しょうぎ

大だい将棋しょうぎ（だいしょうぎ）は、日本にっぽんの将棋しょうぎ類るいの一ひとつであり、二人ふたりで行おこなうボードゲーム（盤上ばんじょう遊戯ゆうぎ）の一種いっしゅである。主おもに鎌倉かまくら時代ときよにおいて指さされており、鎌倉かまくら大だい将棋しょうぎという名称めいしょうも提案ていあんされている。

ルール

水無瀬みなせ兼けん成なりの象ぞう戯おどけ図ずには大だい将棋しょうぎの成なりについて、

大だい象ぞう戯おどけ成なり馬ば　以上いじょう三さん枚まい

酔よい象ぞう成なり太子たいし　鳳凰ほうおう成なり奔王　麒麟きりん成なり師し子こ

と、酔よい象ぞうが太子たいしに、鳳凰ほうおうが奔王に、麒麟きりんが獅子ししに成なるということしか書かかれていないため、成立せいりつ時じより駒こまの成なりが変かわっている可能かのう性せいがある。

基本きほんルール

• 縦横じゅうおう15マスずつに区切くぎられた将棋しょうぎ盤ばんの上うえで行おこなう。
• 自分じぶんから見みて手前てまえの五ご段だんを自陣じじん、反対はんたいに相手あいてから見みて五ご段だんを敵陣てきじんという。
• 駒こまは、中ちゅう将棋しょうぎの21種類しゅるいに鐵てつ将しょう・石いし将しょう・桂馬けいま・悪あく狼おおかみ・嗔猪・猫ねこ刄・猛もう牛うし・飛ひ龍りゅうを加くわえた29種類しゅるいあり、それぞれ動うごきが決きまっている。
• その他たのルールはほぼ中ちゅう将棋しょうぎに準じゅんずると思おもわれる。
  • 成なりのルールに関かんしては、本来ほんらいのルールは敵陣てきじんの段数だんすうが5段だんである以外いがいは中ちゅう将棋しょうぎの日本にっぽん中ちゅう将棋しょうぎ連盟れんめいのルールと同様どうようと思おもわれるが、現在げんざいネット上じょうに出回でまわっているプログラムでは敵陣てきじんの段数だんすう以外いがい本ほん将棋しょうぎと同様どうようの成なりルールとなっている場合ばあいがある。

初期しょき配置はいち図ず

香車きょうしゃ

桂馬けいま

石いし将しょう

鐵てつ将しょう

銅どう将しょう

銀将ぎんしょう

金将きんしょう

玉将ぎょくしょう

金将きんしょう

銀将ぎんしょう

銅どう将しょう

鐵てつ将しょう

石いし将しょう

桂馬けいま

香車きょうしゃ

反はん車くるま

猫ねこ刄

猛もう豹ひょう

盲めくら虎とら

醉よい象ぞう

盲めくら虎とら

猛もう豹ひょう

猫ねこ刄

反はん車くるま

猛もう牛うし

嗔猪

悪あく狼おおかみ

鳳凰ほうおう

獅子しし

麒麟きりん

悪あく狼おおかみ

嗔猪

猛もう牛うし

飛車ひしゃ

飛ひ龍りゅう

横行おうこう

竪たて行ぎょう

角行かっこう

龍馬りょうま

龍王りゅうおう

奔王

龍王りゅうおう

龍馬りょうま

角行かっこう

竪たて行ぎょう

横行おうこう

飛ひ龍りゅう

飛車ひしゃ

歩兵ほへい

歩兵ほへい

歩兵ほへい

歩兵ほへい

歩兵ほへい

歩兵ほへい

歩兵ほへい

歩兵ほへい

歩兵ほへい

歩兵ほへい

歩兵ほへい

歩兵ほへい

歩兵ほへい

歩兵ほへい

歩兵ほへい

仲人なこうど

仲人なこうど

仲人なこうど

仲人なこうど

歩兵ほへい

歩兵ほへい

歩兵ほへい

歩兵ほへい

歩兵ほへい

歩兵ほへい

歩兵ほへい

歩兵ほへい

歩兵ほへい

歩兵ほへい

歩兵ほへい

歩兵ほへい

歩兵ほへい

歩兵ほへい

歩兵ほへい

飛車ひしゃ

飛ひ龍りゅう

横行おうこう

竪たて行ぎょう

角行かっこう

龍馬りょうま

龍王りゅうおう

奔王

龍王りゅうおう

龍馬りょうま

角行かっこう

竪たて行ぎょう

横行おうこう

飛ひ龍りゅう

飛車ひしゃ

猛もう牛うし

嗔猪

悪あく狼おおかみ

麒麟きりん

獅子しし

鳳凰ほうおう

悪あく狼おおかみ

嗔猪

猛もう牛うし

反はん車くるま

猫ねこ刄

猛もう豹ひょう

盲めくら虎とら

醉よい象ぞう

盲めくら虎とら

猛もう豹ひょう

猫ねこ刄

反はん車くるま

香車きょうしゃ

桂馬けいま

石いし将しょう

鐵てつ将しょう

銅どう将しょう

銀将ぎんしょう

金将きんしょう

王将おうしょう

金将きんしょう

銀将ぎんしょう

銅どう将しょう

鐵てつ将しょう

石いし将しょう

桂馬けいま

香車きょうしゃ

駒こまの動うごき

駒こまの動うごきに関かんして、便宜上べんぎじょう●、★と書かく。

• ●はその位置いちに動うごける。
• ★はその場所ばしょまで飛とび越こえていける。

駒こまの表記ひょうきは1文字もじ表記ひょうきを行おこなうため、便宜上べんぎじょう「龍王りゅうおう」を「竜りゅう」、「飛ひ龍りゅう」を「龍りゅう」、「飛ひ牛うし」を「丑うし」、「猛もう牛うし」を「牛うし」と表記ひょうきしている。

元もとの駒こま	動うごき		成なり駒こま	動うごき
玉将ぎょくしょう（ぎょくしょう） 王将おうしょう（おうしょう）	● ● ●     ● 玉たま ●     ● ● ●	全ぜん方向ほうこうに1マス動うごける。	-	-	-
金将きんしょう（きんしょう）	● ● ●     ● 金きむ ●       ●	縦横じゅうおうと斜ななめ前まえに1マス動うごける。	飛車ひしゃ（ひしゃ）	│       │     ─ ─ 飛ひ ─ ─     │         │	飛車ひしゃを参照さんしょう。
銀将ぎんしょう（ぎんしょう）	● ● ●       銀ぎん       ●   ●	前まえと斜ななめに1マス動うごける。	竪たて行ゆき（しゅぎょう）	│         │       ● 竪たて ●       │         │	竪たて行ゆきを参照さんしょう。
銅どう将はた（どうしょう）	● ● ●       銅どう         ●	縦たてと斜ななめ前まえに1マス動うごける。	横行おうこう（おうぎょう）	●     ─ ─ 横よこ ─ ─     ●	横行おうこうを参照さんしょう。
猛もう豹ひょう（もうひょう）	● ● ●       豹ひょう       ● ● ●	縦たてと斜ななめに1マス動うごける。	角行かっこう（かくぎょう）（小角おがく（ちょろかく）ともいう）	＼       ／   ＼   ／       角かく       ／   ＼   ／       ＼	角行かっこうを参照さんしょう。
香車きょうしゃ（きょうしゃ）	│         │         香こう	前方ぜんぽうに何なにマスでも動うごける。飛とび越こえては行いけない。	白駒しろこま（はくく、はっく）	＼   │   ／   ＼ │ ／       駒こま         │         │	前後ぜんごと斜ななめ前まえに何なにマスでも動うごける。飛とび越こえては行いけない。
反はん車くるま（へんしゃ）	│         │         反はん         │         │	前後ぜんごに何なにマスでも動うごける。飛とび越こえては行いけない。	鯨くじら鯢さんしょううお（けいげい）	│         │         鯨くじら       ／ │ ＼   ／   │   ＼	縦たてと斜ななめ後うしろに何なにマスでも動うごける。飛とび越こえては行いけない。
盲めくら虎とら（もうこ）	●   ●     ● 虎とら ●     ● ● ●	前まえ以外いがいの方向ほうこうに1マス動うごける。	飛ひ鹿しか（ひろく）	│       ● │ ●     ● 鹿しか ●     ● │ ●       │	縦たてにどこまでも動うごけ、それ以外いがいの方向ほうこうに1マス動うごける。
麒麟きりん（きりん）	★       ●   ●   ★   麒   ★   ●   ●       ★	斜ななめに1マス動うごけ、縦横じゅうおうに2目先めさきに飛とび越こえて移動いどうできる。	獅子しし（しし）	□ □ □ □ □ □ ■ ■ ■ □ □ ■ 獅 ■ □ □ ■ ■ ■ □ □ □ □ □ □	獅子ししを参照さんしょう。
鳳凰ほうおう（ほうおう）	★       ★     ●       ● 鳳おおとり ●       ●     ★       ★	縦横じゅうおうに1マス動うごけ、斜ななめに2マス先さきに飛とび越こえて移動いどうできる。	奔王（ほんおう、ほんのう）	＼   │   ／   ＼ │ ／   ─ ─ 奔 ─ ─   ／ │ ＼   ／   │   ＼	奔王を参照さんしょう。
歩兵ほへい（ふひょう）	●         歩ふ	前まえに1マス動うごける。	と金きん（ときん）	● ● ●     ● と ●       ●	金将きんしょうを参照さんしょう。
仲人なこうど（ちゅうにん）	●         仲なか         ●	縦たてに1マス動うごける。	醉よい象ぞう（すいぞう）	● ● ●     ● 象ぞう ●     ●   ●	醉よい象ぞうを参照さんしょう。
角行かっこう（かくぎょう）	＼       ／   ＼   ／       角かく       ／   ＼   ／       ＼	斜ななめに何なにマスでも動うごける。飛とび越こえては行いけない。	龍馬りょうま（りゅうま、りゅうめ）	＼       ／   ＼ ● ／     ● 馬うま ●     ／ ● ＼   ／       ＼	龍馬りょうまを参照さんしょう。
飛車ひしゃ（ひしゃ）	│         │     ─ ─ 飛ひ ─ ─     │         │	縦横じゅうおうに何なにマスでも動うごける。飛とび越こえては行いけない。	龍王りゅうおう（りゅうおう）	│       ● │ ●   ─ ─ 竜りゅう ─ ─   ● │ ●       │	龍王りゅうおうを参照さんしょう。
醉よい象ぞう（すいぞう）	● ● ●     ● 象ぞう ●     ●   ●	後方こうほう以外いがいの方向ほうこうに1マス動うごける。	太子たいし（たいし）	● ● ●     ● 太ふとし ●     ● ● ●	玉将ぎょくしょうと同おなじ。太子たいしが存在そんざいするときは玉将ぎょくしょうを取とられてもゲームを続行ぞっこうできる。
横行おうこう（おうぎょう）	●     ─ ─ 横よこ ─ ─     ●	横よこに何なにマスでも動うごけ、縦たてには1マス動うごける。飛とび越こえては行いけない。	奔猪（ほんちょ）	＼       ／   ＼   ／   ─ ─ 猪いのしし ─ ─   ／   ＼   ／       ＼	横よこと斜ななめに何なにマスでも動うごける。飛とび越こえては行いけない。
竪たて行ゆき（しゅぎょう）	│         │       ● 竪たて ●       │         │	縦たてに何なにマスでも動うごけ、横よこには1マス動うごける。飛とび越こえては行いけない。	飛ひ牛うし（ひぎゅう）	＼   │   ／   ＼ │ ／       丑うし       ／ │ ＼   ／   │   ＼	縦たてと斜ななめに何なにマスでも動うごける。飛とび越こえては行いけない。
龍馬りょうま（りゅうま、りゅうめ）	＼       ／   ＼ ● ／     ● 馬うま ●     ／ ● ＼   ／       ＼	斜ななめに何なにマスでも動うごけ、それ以外いがいの方向ほうこうには1マス動うごける。飛とび越こえては行いけない。	角すみ鷹たか（かくおう）	＼   □   ／   ＼ ■ ／   ─ ─ 鷹たか ─ ─   ／ │ ＼   ／   │   ＼	横よこと後方こうほうと斜ななめに何なにマスでも動うごける。この時とき飛とび越こえては行いけない。■に1マス進すすんだ後のちに元もといたマスに戻もどるか奥おくの□に行いくか選択せんたくできる。
龍王りゅうおう（りゅうおう）	│       ● │ ●   ─ ─ 竜りゅう ─ ─   ● │ ●       │	縦横じゅうおうに何なにマスでも動うごけ、それ以外いがいの方向ほうこうには1マス動うごける。飛とび越こえては行いけない。	飛ひ鷲わし（ひじゅう）	□   │   □   ■ │ ■   ─ ─ 鷲わし ─ ─   ／ │ ＼   ／   │   ＼	縦横じゅうおうと斜ななめ後うしろ何なんマスまでも動うごける。この時とき飛とび越こえては行いけない。どちらかの■に1マス進すすんだ後のちに元もといたマスに戻もどるか奥おくの□に行いくか選択せんたくできる。
奔王（ほんおう、ほんのう）	＼   │   ／   ＼ │ ／   ─ ─ 奔 ─ ─   ／ │ ＼   ／   │   ＼	縦横じゅうおうと斜ななめに何なにマスでも動うごける。飛とび越こえては行いけない。	-	-	-
獅子しし（しし）	□ □ □ □ □ □ ■ ■ ■ □ □ ■ 獅 ■ □ □ ■ ■ ■ □ □ □ □ □ □	■に1マス進すすんだ後のちに元もといたマスに戻もどるか隣接りんせつする□又または■に行いくか選択せんたくできる。	-	-	-
鐵てつ将はた（てつしょう）	● ● ●       鉄てつ	前方ぜんぽう3方ぽうに1マスだけ動うごける。	金将きんしょう（きんしょう）	● ● ●     ● 金きむ ●       ●	金将きんしょうを参照さんしょう。
石いし将はた（せきしょう）	●   ●       石いし	斜ななめ前方ぜんぽうに1マスだけ動うごける。
桂馬けいま（けいま）	★   ★                 桂かつら	前まえへ2、横よこへ1の位置いちに移動いどうできる。 その際さい、駒こまを飛とび越こえることができる。
悪あく狼おおかみ（あくろう）	● ● ●     ● 狼おおかみ ●	前方ぜんぽうと真横まよこに1マスだけ動うごける。
嗔猪（しんちょ）	●       ● 嗔 ●       ●	前後ぜんごと真横まよこの4方ぽうに1マスだけ動うごける。
猫ねこ刄（みょうじん）（猫ねこ叉また（ねこまた））	●   ●       猫ねこ       ●   ●	斜ななめ4方ぽうに1マスだけ動うごける。
猛もう牛うし（もうぎゅう）	●         ●     ● ● 牛うし ● ●     ●         ●	前後ぜんごと真横まよこに2マスまで動うごける。 2マス目めに動うごくときは飛とび越こえては行いけない。
飛ひ龍りゅう（ひりゅう）	●       ●   ●   ●       龍りゅう       ●   ●   ●       ●	斜ななめ四方しほうに2マスまで動うごける。 2マス目めに動うごくときは飛とび越こえては行いけない。

各かく駒こまの移動いどう能力のうりょく及および成なりの特徴とくちょう

• 歩兵ほへい・香車きょうしゃ・鐵てつ将しょう・石せき将すすむ・桂馬けいまは成なるまでは前まえにしか進すすめず、仮かりに不ふ成なりのまま敵陣てきじん1段だん目めに進すすんだ場合ばあいは行いき所しょのない駒こまとなるが、日本にっぽん中ちゅう将棋しょうぎ連盟れんめいと同様どうようの成なりルールとすればいずれもルール上じょう認みとめられていることになる。
  • ただし桂馬けいま以外いがいは、成なりによって元もとの駒こまの完全かんぜん上位じょうい互換ごかんになる駒こまであり、基本きほん的てきに不ふ成なりとする意味いみが皆無かいむであるため（歩兵ほへいについては中ちゅう将棋しょうぎ同様どうようの獅子ししの特別とくべつルールがあるとした場合ばあい、ごく稀まれに不ふ成なりが戦略せんりゃく的てきに有効ゆうこうになるケースもあるが）、実戦じっせん的てきには敵陣てきじんに突入とつにゅうして即そく成なっているはずである。
• 香車きょうしゃ・反はん車くるまは成ならない限かぎり端はし以外いがいの列れつに動うごけず、仲人なこうども成ならない限かぎり初期しょき配置はいち以外いがいの列れつに動うごけない。
• 生駒いこまの角行かっこう・麒麟きりん・石せき将すすむ・猫ねこ刄・飛ひ龍りゅうは成ならない限かぎり何なん手てかけても筋違すじちがいの場所ばしょに到達とうたつできず、このうち石いし将しょうは成なるまでは盤ばんの一部いちぶのマス目めにしか動うごけない。
  • 成ならない限かぎり筋違すじちがいの場所ばしょに到達とうたつできない駒こまについては、次つぎに示しめす駒こまが筋すじAと筋すじBで別々べつべつの筋すじに配置はいちされている。
    • 筋すじA：石いし将しょう2枚まい・麒麟きりん・飛ひ龍りゅう2枚まい
    • 筋すじB：猫ねこ刄2枚まい・角行かっこう2枚まい
• その他た鐵てつ将しょう・桂馬けいまは成なるまでは盤ばんの一部いちぶのマス目めにしか動うごけない。
• 獅子しし・飛ひ鷲わし・角すみ鷹たかは二に歩ほ移動いどうできる。
• 成なりによる性能せいのう変化へんかに関かんする特徴とくちょうは次つぎの通とおりである：
  • 成なりによって元もとの駒こまの完全かんぜん上位じょうい互換ごかんになるもの：醉よい象ぞう（→太子たいし）、香車きょうしゃ（→白駒しろこま）、麒麟きりん（→獅子しし）、盲めくら虎とら（→飛ひ鹿しか）、角行かっこう（→龍馬りょうま）、反はん車くるま（→鯨くじら鯢さんしょううお）、龍王りゅうおう（→飛ひ鷲わし）、龍馬りょうま（→角すみ鷹たか）、飛車ひしゃ（→龍王りゅうおう）、歩兵ほへい（→金将きんしょう（と金きん））、鐵てつ将はた（→金将きんしょう）、石いし将はた（→金将きんしょう）、悪あく狼おおかみ（→金将きんしょう）、嗔猪（→金将きんしょう）
    • このうち歩兵ほへいと麒麟きりんについては、中ちゅう将棋しょうぎ同様どうようの獅子ししの特別とくべつルールがあるとした場合ばあい、前者ぜんしゃは獅子ししの付つけ喰くいに使つかえないルール、後者こうしゃは先さき獅子じしのルールとの関連かんれんで、ごく稀まれに不ふ成なりが戦略せんりゃく上じょう有効ゆうこうになるケースもある。
  • 成なりによって元もとの駒こまの完全かんぜん上位じょうい互換ごかんにならず、利ききの変化へんかにおいてデメリットを伴ともなうもの：金将きんしょう（→飛車ひしゃ）、銀将ぎんしょう（→竪たて行ゆき）、銅どう将はた（→横行おうこう）、猛もう豹ひょう（→角行かっこう）、鳳凰ほうおう（→奔王）、竪たて行ゆき（→飛ひ牛うし）、横行おうこう（→奔猪）、仲人なこうど（→醉よい象ぞう）、桂馬けいま（→金将きんしょう）、猫ねこ刄（→金将きんしょう）、猛もう牛うし（→金将きんしょう）、飛ひ龍りゅう（→金将きんしょう）
    • これを失うしなう利ききの数かずで分類ぶんるいすると次つぎの通とおりとなる：
      • 1マスの利ききを失うしなうもの：仲人なこうど（→醉よい象ぞう）
      • 2マスの利ききを失うしなうもの：金将きんしょう（→飛車ひしゃ）、銅どう将はた（→横行おうこう）、猛もう豹ひょう（→角行かっこう）、竪たて行ゆき（→飛ひ牛うし）、横行おうこう（→奔猪）、桂馬けいま（→金将きんしょう）、猫ねこ刄（→金将きんしょう）
      • 4マスの利ききを失うしなうもの：銀将ぎんしょう（→竪たて行ゆき）、鳳凰ほうおう（→奔王、斜ななめ四方しほう2マス目めへは飛とび越こしで移動いどうできなくなる）、猛もう牛うし（→金将きんしょう）
      • 6マスの利ききを失うしなうもの：飛ひ龍りゅう（→金将きんしょう）
    • これらの駒こまでは、成なるか成ならないかについて慎重しんちょうな検討けんとうを要ようすることもある。
    • 猛もう豹ひょうについては、角行かっこう（ちょろ角かく）に成なると何なん手てかけても筋違すじちがいの場所ばしょに到達とうたつできなくなってしまうという独特どくとくのデメリットがある。
    • 猛もう牛うしと飛ひ龍りゅうについては、成なることにより全体ぜんたい的てきな利ききのマス目めの数かずが8マスから6マスに減へってしまう駒こまであり、成なりによるデメリットがやや大おおきめである。
      • これらの駒こまの成なるメリットとしては、前者ぜんしゃは斜ななめ前まえ、後者こうしゃは縦横じゅうおうに動うごけるようになる点てんが挙あげられる。後者こうしゃの場合ばあいは筋違すじちがいの場所ばしょに到達とうたつできるようになる。
    • 本ほん将棋しょうぎと同様どうようの成なりルールの場合ばあいは、不ふ成なりで進すすんだ小しょう駒こまを敵陣てきじんから引ひいて成なる場合ばあい（本ほん将棋しょうぎの4段だん目めでの銀ぎん成なりと同様どうようの例れい）、金将きんしょう・銀将ぎんしょう・銅どう将しょう・猛もう豹ひょう・仲人なこうど・猫ねこ刄について6段だん目めでの成なりがありうる（ルール上じょうは醉よい象ぞう・盲めくら虎とら・嗔猪も同様どうようだが、元もとの駒こまの完全かんぜん上位じょうい互換ごかんの駒こまに成なるため、実戦じっせん的てきには敵陣てきじんに突入とつにゅうして即そく成なっているはずであり、実戦じっせんではまず起おこりえない）。またその成なりルールでは鳳凰ほうおう・猛もう牛うし・飛ひ龍りゅう（ルール上じょう、成なりによって元もとの駒こまの完全かんぜん上位じょうい互換ごかんになる駒こまも含ふくめれば、麒麟きりんも同様どうよう）については6段だん目めのみならず7段だん目めでの成なりがありうる。
  • 中ちゅう将棋しょうぎにある駒こまは、利ききの変化へんかにおいてデメリットを伴ともなう成なりであっても、小しょう駒こまが走はしり駒こまになるなど、駒こまの動うごきが総体そうたい的てきに強力きょうりょくになる傾向けいこうがある。

歴史れきし

主おもに平安へいあん大だい将棋しょうぎから派生はせいして誕生たんじょうしたものと考かんがえられている。あまりに大だい規模きぼなため実際じっさいに指さされていたかの疑惑ぎわくもあったが、鎌倉かまくら時代じだいには普及ふきゅうしていたことが明あきらかになっている。

本ほん項こうで示しめす形かたちの大だい将棋しょうぎが文献ぶんけんに最初さいしょに現あらわれるのは、1297年ねん-1304年ねんにかけて書かかれたとされる「普通ふつう唱導しょうどう集しゅう」とされる。ここには大だい将棋しょうぎ指さしに対たいしての死後しごの追悼ついとう文ぶんに、

大将たいしょう基もと 伏ふく惟おもんみ 々々々々

反はん車くるま香車きょうしゃ之の破やぶ耳みみ 退すさ飛車ひしゃ而取勝しょう

仲人なこうど嗔猪之の合ごう腹はら 昇のぼり桂馬けいま而支得とく

という表現ひょうげんが見みられる。この表現ひょうげんは130枚まい制せい大だい将棋しょうぎの初期しょき配置はいちや駒こまの動うごきと矛盾むじゅんせず、13世紀せいきには大だい将棋しょうぎがあったものと強つよく推測すいそくされる。

また、出土しゅつど資料しりょうでは、鶴岡つるおか八幡宮はちまんぐうの鎌倉かまくら時代じだいの出土しゅつど品ひんに「鳳凰ほうおう」（裏うらが「奔王」）と書かかれた駒こまが含ふくまれている。

関連かんれん項目こうもく

• 中ちゅう将棋しょうぎ
• 平安へいあん大だい将棋しょうぎ
• 将棋しょうぎ類るいの一覧いちらん
• 将棋しょうぎ類るいの駒こまの一覧いちらん

参考さんこう資料しりょう

• 『象ぞう戯おどけ図式ずしき』江戸えど時代じだいに発刊はっかんされた古こ将棋しょうぎの解説かいせつ書しょ
• 『ものと人間にんげんの文化ぶんか史し23 将棋しょうぎ』増川ますかわ宏一こういち・法政大学ほうせいだいがく出版しゅっぱん局きょく・1977年ねん・ISBN 4588202316（象ぞう戯おどけ図式ずしきの解説かいせつ図ずが収録しゅうろくされている）

外部がいぶリンク

• SDIN無料むりょうゲーム 大だい将棋しょうぎ

大だい将棋しょうぎの駒こま（自陣じじん初期しょき配置はいち・括弧かっこ内ないは成なり駒こま）

仲人なこうど （醉よい象ぞう）           仲人なこうど （醉よい象ぞう）         歩兵ほへい （金将きんしょう） 歩兵ほへい （金将きんしょう） 歩兵ほへい （金将きんしょう） 歩兵ほへい （金将きんしょう） 歩兵ほへい （金将きんしょう） 歩兵ほへい （金将きんしょう） 歩兵ほへい （金将きんしょう） 歩兵ほへい （金将きんしょう） 歩兵ほへい （金将きんしょう） 歩兵ほへい （金将きんしょう） 歩兵ほへい （金将きんしょう） 歩兵ほへい （金将きんしょう） 歩兵ほへい （金将きんしょう） 歩兵ほへい （金将きんしょう） 歩兵ほへい （金将きんしょう） 飛車ひしゃ （龍王りゅうおう） 飛ひ龍りゅう （金将きんしょう） 横行おうこう （奔猪） 竪たて行ぎょう （飛ひ牛うし） 角行かっこう （龍馬りょうま） 龍馬りょうま （角すみ鷹たか） 龍王りゅうおう （飛ひ鷲わし） 奔王 龍王りゅうおう （飛ひ鷲わし） 龍馬りょうま （角かく鷹たか） 角行かっこう （龍馬りょうま） 竪たて行ぎょう （飛ひ牛うし） 横行おうこう （奔猪） 飛ひ龍りゅう （金将きんしょう） 飛車ひしゃ （龍王りゅうおう）   猛もう牛うし （金将きんしょう）   嗔猪 （金将きんしょう）   悪あく狼おおかみ （金将きんしょう） 麒麟きりん （獅子しし） 獅子しし 鳳凰ほうおう （奔王） 悪あく狼おおかみ （金将きんしょう）   嗔猪 （金将きんしょう）   猛もう牛うし （金将きんしょう）   反はん車くるま （鯨くじら鯢さんしょううお）   猫ねこ刄 （金将きんしょう）   猛もう豹ひょう （角行かっこう）   盲めくら虎とら （飛ひ鹿しか） 醉よい象ぞう （太子たいし） 盲めくら虎とら （飛ひ鹿しか）   猛もう豹ひょう （角行かっこう）   猫ねこ刄 （金将きんしょう）   反はん車くるま （鯨くじら鯢さんしょううお） 香車きょうしゃ （白駒しろこま） 桂馬けいま （金将きんしょう） 石いし将しょう （金将きんしょう） 鐵てつ将しょう （金将きんしょう） 銅どう将しょう （横行おうこう） 銀将ぎんしょう （竪たて行ゆき） 金将きんしょう （飛車ひしゃ） 玉将ぎょくしょう 金将きんしょう （飛車ひしゃ） 銀将ぎんしょう （竪たて行ゆき） 銅どう将しょう （横行おうこう） 鐵てつ将しょう （金将きんしょう） 石いし将しょう （金将きんしょう） 桂馬けいま （金将きんしょう） 香車きょうしゃ （白駒しろこま）