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よいぞう

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

よいぞう(すいぞう)は、将棋しょうぎこまひとつ。ほん将棋しょうぎにはなく、しょう将棋しょうぎちゅう将棋しょうぎだい将棋しょうぎ天竺てんじくだい将棋しょうぎ訶大だい将棋しょうぎたい将棋しょうぎ大局たいきょく将棋しょうぎ存在そんざいする。よいしん字体じたいよいぞうとは「発情はつじょうして凶暴きょうぼうになったゆうぞう」もしくは「さけってあばれるぞう」という意味いみで、仏教ぶっきょうでは凶悪きょうあくしんのたとえにもちいられるかたりであるが、なぜ将棋しょうぎこま名前なまえになったかは不明ふめいである。

歴史れきしてきには、だい将棋しょうぎあらわれたものが最初さいしょかんがえられるが、1058ねんてん6ねん)と推定すいていされる興福寺こうふくじ境内けいだいあとからの出土しゅつどひんなかに「よいぞう」とかれた習書木簡もっかんふくまれており[1]平安へいあん将棋しょうぎ平安へいあんだい将棋しょうぎよいぞうこま存在そんざいした可能かのうせい指摘してきする研究けんきゅうしゃもいる[2][3]

16世紀せいきいちじょうたに朝倉あさくら遺跡いせきから発見はっけんされた174まいこまのうち1まいだけよいぞうがあり、うらはおそらく太子たいしであった。増川ますかわ宏一こういちは、当時とうじよいぞうのあるしょう将棋しょうぎと、しょう将棋しょうぎの2種類しゅるい共存きょうぞんしていたが、よいぞうのあるしょう将棋しょうぎはすでに衰退すいたいしつつあったと解釈かいしゃくしている[4]

江戸えど時代じだいかれた『しょぞうおどけ図式ずしき』や11だい大橋おおはしはじめかつらてた石碑せきひ拓本たくほんによると、こう奈良なら天皇てんのうしょう将棋しょうぎからよいぞうこまのぞかせ、現在げんざい将棋しょうぎかたちができたとされる[5]

太子たいし王子おうじについて

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よいぞう太子たいしると、玉将ぎょくしょう王将おうしょう)とおなはたらきをつ。 たとえ玉将ぎょくしょう王将おうしょう)がられても太子たいし存在そんざいする場合ばあい太子たいしられるまで対局たいきょく続行ぞっこうする。王子おうじ同様どうよう

こまうご

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こまうごきの凡例はんれい
表示ひょうじ うごきの解説かいせつ
当該とうがいマスへ移動いどう
 |  マスすう制限せいげんなくたて方向ほうこう移動いどう
 ―  マスすう制限せいげんなくよこ方向ほうこう移動いどう
 \  /  マスすう制限せいげんなくなな方向ほうこう移動いどう
当該とうがいマスへ移動いどう(こま)
 00  移動いどう不可ふか

しょう将棋しょうぎちゅう将棋しょうぎだい将棋しょうぎ天竺てんじくだい将棋しょうぎたい将棋しょうぎ大局たいきょく将棋しょうぎ

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しょう将棋しょうぎちゅう将棋しょうぎではぞうりゃくす。仲人なこうどなりこまると太子たいし

うごきのめんれば、しょう将棋しょうぎちゅう将棋しょうぎでは、なりこまもとこま完全かんぜん上位じょうい互換ごかんであるが、あらたなうごきが1マス追加ついかされるだけの唯一ゆいいつこまであり、だい将棋しょうぎではそのような性質せいしつつ2種類しゅるいこまのうちの1つである(もうひとつはあくおおかみ金将きんしょう)。

もとこま うご なりこま うご
よいぞう(すいぞう)
     
   
  よい
ぞう
 
     
         
真後まうし以外いがい方向ほうこうに1マスうごける[6] 太子たいし(たいし)
     
   
  ふとし
 
   
         
ぜん方向ほうこうに1マスうごける。

訶大だい将棋しょうぎ

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ると王子おうじ[7]

もとこま うご なりこま うご
よいぞう(すいぞう)
     
   
  よい
ぞう
 
     
         
真後まうし以外いがい方向ほうこうに1マスうごける。 王子おうじ(おうじ)
     
   
  おう
 
   
         
ぜん方向ほうこうに1マスうごける。

関連かんれん作品さくひん

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脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 木簡もっかん研究けんきゅう』16ごう(1994ねん)、26ページ「奈良なら興福寺こうふくじきゅう境内けいだい」(清水しみず康二こうじ小栗おぐり明彦あきひこ和田わだ萃)
  2. ^ 遊戯ゆうぎ研究けんきゅう』6ごう(1994ねん)、12ページ「将棋しょうぎ伝来でんらいについてのいち試論しろん」(清水しみず康二こうじ)。
  3. ^ 木村きむら義徳よしのり持駒もちごま使用しようなぞ』(日本にっぽん将棋しょうぎ連盟れんめい、2001ねんISBN 4-8197-0067-7)216ページ。
  4. ^ 増川ますかわ宏一こういち将棋しょうぎこまはなぜ40まいか』集英社しゅうえいしゃ新書しんしょ、2000ねん、69-74ぺーじISBN 4087200191 
  5. ^ 大内おおうちのべかい しるだんおにろく へん将棋しょうぎみち 日本にっぽんへんみょう)』作品社さくひんしゃ日本にっぽんめい随筆ずいひつ 8 将棋しょうぎ〉、1991ねん、151-153ぺーじISBN 4-87893-828-5 
  6. ^ 象棋しょうぎろくしゅ図式ずしき』のたい将棋しょうぎ解説かいせつでは、たてよこななまえに1マスうごける(金将きんしょうおなうごき)となっている。
  7. ^ ぞうおどけ図式ずしき』『しょぞうおどけ図式ずしき』には「王子おうじ」というこま記述きじゅつはない。訶大だい将棋しょうぎよいぞう記述きじゅつは、ちゅう将棋しょうぎなどとおなじという理由りゆう省略しょうりゃくされている。『象棋しょうぎろくしゅ図式ずしき』では、訶大だい将棋しょうぎこうよいぞうなりこまとして「王子おうじ」が明記めいきされ、「そくこれ太子たいし」と注釈ちゅうしゃくされている。

参考さんこう文献ぶんけん

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関連かんれん項目こうもく

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しょう将棋しょうぎこま自陣じじん初期しょき配置はいち括弧かっこないなりこま
歩兵ほへい
(ときん
歩兵ほへい
(ときん
歩兵ほへい
(ときん
歩兵ほへい
(ときん
歩兵ほへい
(ときん
歩兵ほへい
(ときん
歩兵ほへい
(ときん
歩兵ほへい
(ときん
歩兵ほへい
(ときん
  角行かっこう
竜馬りょうま
    よいぞう
太子たいし
    飛車ひしゃ
竜王りゅうおう
 
香車きょうしゃ
成香なるか
桂馬けいま
成桂せいけい
銀将ぎんしょう
なりぎん
金将きんしょう 玉将ぎょくしょう 金将きんしょう 銀将ぎんしょう
なりぎん
桂馬けいま
成桂せいけい
香車きょうしゃ
成香なるか
ちゅう将棋しょうぎこま自陣じじん初期しょき配置はいち括弧かっこないなりこま
      仲人なこうど
よいぞう
        仲人なこうど
よいぞう
     
歩兵ほへい
金将きんしょう
歩兵ほへい
金将きんしょう
歩兵ほへい
金将きんしょう
歩兵ほへい
金将きんしょう
歩兵ほへい
金将きんしょう
歩兵ほへい
金将きんしょう
歩兵ほへい
金将きんしょう
歩兵ほへい
金将きんしょう
歩兵ほへい
金将きんしょう
歩兵ほへい
金将きんしょう
歩兵ほへい
金将きんしょう
歩兵ほへい
金将きんしょう
横行おうこう
奔猪
たてぎょう
うし
飛車ひしゃ
龍王りゅうおう
龍馬りょうま
すみたか
龍王りゅうおう
わし
獅子しし 奔王 龍王りゅうおう
わし
龍馬りょうま
かくたか
飛車ひしゃ
龍王りゅうおう
たてぎょう
うし
横行おうこう
(奔猪)
はんくるま
くじらさんしょううお
  角行かっこう
龍馬りょうま
  めくらとら
鹿しか
麒麟きりん
獅子しし
鳳凰ほうおう
(奔王)
めくらとら
鹿しか
  角行かっこう
龍馬りょうま
  はんくるま
くじらさんしょううお
香車きょうしゃ
白駒しろこま
もうひょう
角行かっこう
どうしょう
横行おうこう
銀将ぎんしょう
たてゆき
金将きんしょう
飛車ひしゃ
玉将ぎょくしょう よいぞう
太子たいし
金将きんしょう
飛車ひしゃ
銀将ぎんしょう
たてゆき
どうしょう
横行おうこう
もうひょう
角行かっこう
香車きょうしゃ
白駒しろこま
だい将棋しょうぎこま自陣じじん初期しょき配置はいち括弧かっこないなりこま
        仲人なこうど
よいぞう
          仲人なこうど
よいぞう
       
歩兵ほへい
金将きんしょう
歩兵ほへい
金将きんしょう
歩兵ほへい
金将きんしょう
歩兵ほへい
金将きんしょう
歩兵ほへい
金将きんしょう
歩兵ほへい
金将きんしょう
歩兵ほへい
金将きんしょう
歩兵ほへい
金将きんしょう
歩兵ほへい
金将きんしょう
歩兵ほへい
金将きんしょう
歩兵ほへい
金将きんしょう
歩兵ほへい
金将きんしょう
歩兵ほへい
金将きんしょう
歩兵ほへい
金将きんしょう
歩兵ほへい
金将きんしょう
飛車ひしゃ
龍王りゅうおう
りゅう
金将きんしょう
横行おうこう
奔猪
たてぎょう
うし
角行かっこう
龍馬りょうま
龍馬りょうま
すみたか
龍王りゅうおう
わし
奔王 龍王りゅうおう
わし
龍馬りょうま
かくたか
角行かっこう
龍馬りょうま
たてぎょう
うし
横行おうこう
(奔猪)
りゅう
金将きんしょう
飛車ひしゃ
龍王りゅうおう
  もううし
金将きんしょう
  嗔猪
金将きんしょう
  あくおおかみ
金将きんしょう
麒麟きりん
獅子しし
獅子しし 鳳凰ほうおう
(奔王)
あくおおかみ
金将きんしょう
  嗔猪
金将きんしょう
  もううし
金将きんしょう
 
はんくるま
くじらさんしょううお
  ねこ
金将きんしょう
  もうひょう
角行かっこう
  めくらとら
鹿しか
よいぞう
太子たいし
めくらとら
鹿しか
  もうひょう
角行かっこう
  ねこ
金将きんしょう
  はんくるま
くじらさんしょううお
香車きょうしゃ
白駒しろこま
桂馬けいま
金将きんしょう
いししょう
金将きんしょう
てつしょう
金将きんしょう
どうしょう
横行おうこう
銀将ぎんしょう
たてゆき
金将きんしょう
飛車ひしゃ
玉将ぎょくしょう 金将きんしょう
飛車ひしゃ
銀将ぎんしょう
たてゆき
どうしょう
横行おうこう
てつしょう
金将きんしょう
いししょう
金将きんしょう
桂馬けいま
金将きんしょう
香車きょうしゃ
白駒しろこま