伊良部いらぶメジャーリーグ移籍いせき騒動そうどう

伊良部いらぶメジャーリーグ移籍いせき騒動そうどう（いらぶメジャーリーグいせきそうどう）とは、1996年ねんオフに起おこった当時とうじ千葉ちばロッテマリーンズに所属しょぞくしていた伊良部いらぶ秀輝ひできによるメジャーリーグへの移籍いせきを巡めぐる騒動そうどう。

概要がいよう

1996年ねん、伊良部いらぶは2年ねん連続れんぞくの最優秀さいゆうしゅう防御ぼうぎょ率りつと3年ねん連続れんぞくで二に桁けた勝利しょうりを獲得かくとくし、日本にっぽんを代表だいひょうする投手とうしゅとして名声めいせいをあげていた。しかし、1996年ねんは所属しょぞくチームのロッテは5位いと低迷ていめい。また、KOされた試合しあい後ごに広岡ひろおか達朗たつろうGMから受うけた「打うたれるのは闘争とうそう心しんが無ないからだ」という一言ひとことも要因よういんとなって、広岡ひろおかGMらロッテのフロントと確執かくしつを起おこしてしまう。

そこで「私わたしはメジャーに挑戦ちょうせんしたいんです!」と後日ごじつ表明ひょうめいし、この年としのオフに伊良部いらぶは中学ちゅうがく時代じだいからの夢ゆめであったニューヨーク・ヤンキース入団にゅうだんを実現じつげんすべく、メジャーリーグ挑戦ちょうせんを決意けついし熱望ねつぼうする。しかし、伊良部いらぶにはFA権けんがなく、ロッテ球団きゅうだんが持もつ保有ほゆう権けんが障害しょうがいとなった。

シーズン終了しゅうりょう後ごのファン感謝かんしゃデーにおいて、ファンは「ニューヨークに行いってくれ伊良部いらぶ秀輝ひでき」という横断幕おうだんまくを出だすが、その真意しんいは活躍かつやくを期待きたいしたものではなく、チームに迷惑めいわくかける輩やからは消きえて欲ほしいとの想おもいであったと伝つたえられている。

伊良部いらぶのメジャー挑戦ちょうせんに対たいする熱意ねついにより、ロッテ球団きゅうだんはサンディエゴ・パドレスと交渉こうしょうし、シェーン・デニス投手とうしゅ、ジェイソン・トンプソン外野がいや手しゅの両りょう選手せんしゅと伊良部いらぶの交換こうかんトレードをまとめる。これにより伊良部いらぶの保有ほゆう権けんがパドレスに譲ゆずる。

しかし、伊良部いらぶはあくまでもニューヨーク・ヤンキースとの契約けいやくを熱望ねつぼうし、代理人だいりにんの団だん野村のむらを通とおしてパドレスへの入団にゅうだんを拒否きょひ。日米にちべい球界きゅうかいを巻まき込こむ騒動そうどうとなる。

この事態じたいを受うけパドレスは、2選手せんしゅプラス300万まんドルの金銭きんせんを交換こうかん条件じょうけんに伊良部いらぶの保有ほゆう権けんをヤンキースにトレードすることに合意ごうい。パドレスは伊良部いらぶとホーマー・ブッシュ二塁手にるいしゅ、ヤンキースはルーベン・リベラ外野がいや手しゅ、ラファエル・メディーナ投手とうしゅの2対たい2のトレードを成立せいりつさせ、伊良部いらぶは三角さんかくトレードという形かたちで念願ねんがんのヤンキースに入団にゅうだんすることとなった。

この騒動そうどうは他たのMLB球団きゅうだんから機会きかい均等きんとうを求もとめる声こえが上あがり、日本にっぽん球界きゅうかいにおけるポスティングシステムの確立かくりつに繋つながった。

メジャーリーグでは、3球団きゅうだん間あいだで選手せんしゅの相互そうご移動いどうが行おこなわれる三角さんかくトレードは比較的ひかくてきありふれたものであるが、日本にっぽん球界きゅうかいでは三角さんかくトレードは1996年ねん時点じてんでは、1969年ねんのプロ野球やきゅうドラフト会議かいぎにおける荒川あらかわ尭たかし（荒川あらかわ事件じけん）と1978年ねんのプロ野球やきゅうドラフト会議かいぎにおける江川えがわ卓たく（江川えがわ事件じけん）の2例れいしか前例ぜんれいが無なく、この2つの事件じけんを契機けいきに「三角さんかくトレードに新人しんじん選手せんしゅを含ふくむことの禁止きんし」がNPB野球やきゅう協約きょうやくに明記めいきされた事ことにより、以後いご三角さんかくトレード自体じたいが事実じじつ上じょうタブー視しされていた事ことも、日本にっぽんにおいてこの一連いちれんのトレード劇げきが「移籍いせき騒動そうどう」として認識にんしきされる事ことに繋つながった。

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• 団だん野村のむら『日出ひのでづる国こくの「奴隷どれい野球やきゅう」―憎にくまれた代理人だいりにん・団だん野村のむらの闘たたかい』（文藝春秋ぶんげいしゅんじゅう）
• 康かん奉たてまつ雄ゆう『伊良部いらぶ秀輝ひでき 孤独こどくのマウンド』（早稲田わせだ出版しゅっぱん）

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