反射はんしゃ衛星えいせい砲ほう

反射はんしゃ衛星えいせい砲ほう（はんしゃえいせいほう）は、『宇宙うちゅう戦艦せんかんヤマト』『宇宙うちゅう戦艦せんかんヤマト2199』『宇宙うちゅう戦艦せんかんヤマト2202 愛あいの戦士せんしたち』に登場とうじょうする架空かくうの兵器へいき。『宇宙うちゅう戦艦せんかんヤマトIII』では改良かいりょう型がたの新しん反射はんしゃ衛星えいせい砲ほうが登場とうじょうする。

諸しょ設定せってい

ガミラス帝国ていこくの冥王星めいおうせい前線ぜんせん基地きちに配備はいびされていた、拠点きょてん防衛ぼうえい用ようエネルギー兵器へいき。デザイン担当たんとうは松本まつもと零れい士し。

冥王星めいおうせい基地きちの海底かいていに設置せっちされた単たん装そう砲ほうから衛星えいせい軌道きどう上うえにある反射はんしゃ衛星えいせい（人工じんこう衛星えいせい）に向むけてエネルギーを発射はっしゃし、衛星えいせいの反射はんしゃ板ばんの角度かくどを調整ちょうせいして任意にんいの方向ほうこうへ反射はんしゃさせて自在じざいに照準しょうじゅんを行おこなうことができる。また、複数ふくすうの反射はんしゃ衛星えいせいを経由けいゆすることで、惑星わくせいの裏側うらがわにも攻撃こうげきが可能かのうであり、惑星わくせい地表ちひょうから衛星えいせい軌道きどうに至いたるまで事実じじつ上じょう死角しかくがない。目標もくひょうが反射はんしゃ衛星えいせい砲ほう本体ほんたいから直接ちょくせつ照準しょうじゅんできる位置いちにあれば、反射はんしゃ衛星えいせいを使つかわず直接ちょくせつ攻撃こうげきすることも可能かのうである。

透明とうめいドームに覆おおわれた砲ほう本体ほんたいのデザインは、つぼみの閉とじたチューリップ状じょうで全ぜん周旋しゅうせん回かいが可能かのうになっている。反射はんしゃ衛星えいせいは発射はっしゃ態勢たいせいに入はいると4枚まいの反射はんしゃ板ばんを展開てんかいし、砲ほうから受うけたエネルギー放流ほうりゅうを正確せいかくに反射はんしゃさせる。後のちに真田さなだ志郎しろうは、この反射はんしゃ衛星えいせいをヒントに秘密裏ひみつりに空間くうかん磁力じりょくメッキを独自どくじ開発かいはつしている。

冥王星めいおうせい前線ぜんせん基地きち司令しれい官かんシュルツは「射程しゃていは波動はどう砲ほうより短みじかいが破壊はかい力りょくは上うえ」と劇げき中ちゅうで語かたっているが、実際じっさいの劇げき中ちゅう描写びょうしゃでは数すう発はつ命中めいちゅうさせてもヤマトを撃沈げきちんできないなど、威力いりょくが高たかく描えがかれてはいない。

目標もくひょうが海中かいちゅうにある場合ばあいには、海面かいめんでビームが反射はんしゃしてしまい届とどかない。また、反射はんしゃ衛星えいせいは敵てきにもその位置いちや軌道きどうが露呈ろていしていることから、おおよそ攻撃こうげきが加くわえられる方向ほうこうや、反射はんしゃ板ばんの展開てんかいにより発射はっしゃタイミングが把握はあくされるなどの欠点けってんが存在そんざいする。

劇げき中ちゅうでは第だい7話わと第だい8話わに登場とうじょうする。冥王星めいおうせい基地きちを叩はたきに来きたヤマトに連続れんぞく攻撃こうげきを加くわえ、一いち度どは冥王星めいおうせいの海うみに沈しずめるが、ヤマトを囮おとりとして排気はいき塔とうを見みつけ出だし、基地きち内部ないぶに侵入しんにゅうした古代こだい進すすむや真田さなだら特別とくべつ攻撃こうげき隊たいによって、砲ほうを爆破ばくはされる。その爆発ばくはつは大だい津波つなみを引ひき起おこし、冥王星めいおうせい基地きちも水没すいぼつして壊滅かいめつする。

漫画まんが版ばんでの登場とうじょう

松本まつもと零れい士しの漫画まんが版ばんにはシュルツがテストを行おこない標的ひょうてき艦かんのダミーヤマトを破壊はかいする描写びょうしゃがあるが、冥王星めいおうせい基地きち攻略こうりゃくエピソードが飛とばされたため、実際じっさいの戦闘せんとう時じでの活躍かつやくの有無うむは不明ふめいのままである。

ひおあきら版はんでは冥王星めいおうせいのエピソードには登場とうじょうせず、中盤ちゅうばんにおける宇宙うちゅう要塞ようさいに「衛星えいせい砲ほう」として同どうデザインのものが配備はいびされているが、反射はんしゃ衛星えいせいを介かいさない直射ちょくしゃタイプの要塞ようさい砲ほうである。

リメイクアニメにおける設定せってい

『宇宙うちゅう戦艦せんかんヤマト』のリメイク作品さくひんである『宇宙うちゅう戦艦せんかんヤマト2199』でも、冥王星めいおうせい前線ぜんせん基地きちに設置せっちされている砲ほうとして登場とうじょう。デザイン担当たんとうは、砲ほう本体ほんたいが宮武みやたけ一貴かずたかと石津いしづ泰志やすし、反射はんしゃ衛星えいせいが宮武みやたけ一貴かずたか。

本ほん作さくでは遊星ゆうせい爆ばく弾だんの加速かそくと軌道きどう角かく調整ちょうせいのための点火てんかシステムである大だい口径こうけい長ちょう射程しゃてい陽電子ようでんし砲ほうを、シュルツが兵器へいきへ転用てんようしたという設定せっていに変更へんこうされている。また、反射はんしゃ衛星えいせいは反射はんしゃ板ばんではなく、リフレクターによって形成けいせいされた反射はんしゃフィールドによってビームを反射はんしゃするという設定せっていになっている。砲ほう本体ほんたいは基地きちに面めんする凍結とうけつした湾わんの海底かいていに設置せっちされている。

劇げき中ちゅうでは第だい5話わと第だい6話わに登場とうじょうする。ヤマトへ第だい3射しゃまでを連続れんぞくで命中めいちゅうさせて冥王星めいおうせいの海うみに沈しずめるが、その際さいに反射はんしゃ衛星えいせいの存在そんざいと発射はっしゃ工程こうていを察知さっちされる。そのため、第だい4射しゃの発射はっしゃ間際まぎわにはヤマトに反射はんしゃ衛星えいせいへの起動きどうシグナルを逆ぎゃく探知たんちされて最終さいしゅう中継ちゅうけい衛星えいせいを特定とくていされ、ミサイル攻撃こうげきで衛星えいせいを破壊はかいされて砲撃ほうげきをしのがれてしまう。シュルツはビームの角度かくどを変更へんこうし、ヤマトの射程しゃてい圏外けんがいから第だい5射しゃを放はなつことで対処たいしょしようとしたが、第だい4射しゃの際さいに基地きち上空じょうくうで待機たいきしていた古代こだい進すすむと山本やまもと玲れいに砲ほう本体ほんたいの位置いちを突つき止とめられ、ヤマトの三さん式しき融合ゆうごう弾だんの直撃ちょくげきによって破壊はかいされる。

続編ぞくへんである『宇宙うちゅう戦艦せんかんヤマト2202 愛あいの戦士せんしたち』でも、第だい14話わにおいて登場とうじょう。ガトランティスがガミラスの科学かがく奴隷どれいに作つくらせたコピー品ひんであり、メダルーサ級きゅう重じゅう戦艦せんかん改あらため〈ヘルベスティア〉の旗艦きかん型がたの艦かん首くび大砲たいほう塔とうに装備そうびされている。コピー品ひんであるがゆえの粗悪そあくさにより、ヤマト側がわに対たいする命中めいちゅう弾だんを得えることはできず、逆ぎゃくに中継ちゅうけい制御せいぎょ衛星えいせいをハッキングされ、旗艦きかん型がたを除のぞくヘルベスティア全ぜん艦かんを自滅じめつに追おい込こませられる。なお、本編ほんぺんでの反射はんしゃ衛星えいせいは全すべてガミラスのものと同どう形状けいじょうとなっているが、シナリオや絵えコンテの段階だんかいでは、制御せいぎょ衛星えいせい以外いがいのビーム反射はんしゃはニードルスレイブが担になっていた。

新しん反射はんしゃ衛星えいせい砲ほう

『宇宙うちゅう戦艦せんかんヤマトIII』第だい8話わと第だい9話わでは、ガルマン・ガミラス帝国ていこくバーナード星ぼし第だい1惑星わくせい基地きちに配備はいびされた、発展はってん型がたの新しん反射はんしゃ衛星えいせい砲ほうが登場とうじょうする。デザイン担当たんとうは出渕いずぶち裕ひろし。

東部とうぶ方面ほうめん軍ぐんの将軍しょうぐん・ダゴンがヤマトを攻撃こうげきする際さいに使用しようした。

惑星わくせいの地表ちひょう面めん上じょうの基地きちから砲ほうを発射はっしゃし、中継ちゅうけいする機器ききを用もちいるのは反射はんしゃ衛星えいせい砲ほうと同おなじだが、異ことなるのは中継ちゅうけいセンターと呼よばれる発射はっしゃ砲塔ほうとうが無数むすうにあり、反射はんしゃする機器ききが人工じんこう衛星えいせいではなく反射はんしゃ板ばん搭載とうさい機き（デザイン担当たんとうは板橋いたばし克己かつみ）で、レーザーを反射はんしゃして目標もくひょうとする敵てきを攻撃こうげきする点てんである。

機動きどう性せいのある反射はんしゃ板ばん搭載とうさい機きの編隊へんたいでヤマトを包囲ほういすることで、人工じんこう衛星えいせいを利用りようした場合ばあいに比くらべ死角しかくを限かぎりなく減へらして敵てきを攻撃こうげきでき、地表ちひょう近ちかくの敵てきも確実かくじつに攻撃こうげきできること、機動きどう力りょくに富とむので次つぎの攻撃こうげきが予想よそうしにくいこと、そのために敵てきに発見はっけんされにくく、発射はっしゃ元もともまた中継ちゅうけいセンター（の一ひとつ）でしかなく砲ほう本体ほんたいは発見はっけんされにくいという特徴とくちょうがある。冥王星めいおうせいに設置せっちされた砲ほうと異ことなり、エネルギーの供給きょうきゅう体制たいせいが整ととのえば連続れんぞく発射はっしゃも可能かのうになる。しかし劇げき中ちゅう描写びょうしゃを見みる限かぎり、元もととなった反射はんしゃ衛星えいせい砲ほうに比較ひかくしてダメージは軽けいめで、一撃いちげきの威力いりょくよりも手数てかずの多おおさで攻せめている。

劇げき中ちゅうでは降ふり注そそぐ弾雨だんうでヤマトを追おい詰つめるが、反射はんしゃ板ばん搭載とうさい機き自体じたいが大型おおがたで機動きどう性せいも悪わるく防御ぼうぎょ力りょくもそれ程ほど高たかくなかった上うえに、護衛ごえい戦闘せんとう機きをつけなかったことが弱点じゃくてんとなって、コスモハウンドとコスモタイガー隊たいによって撃滅げきめつされ、あと一いち歩ほのところでヤマトの反撃はんげきを許ゆるすこととなる。その後ご、新しん反射はんしゃ衛星えいせい砲ほうはヤマトの索敵さくてき行動こうどうで基地きち自体じたいが発見はっけんされ、波動はどう砲ほうによって基地きちごと破壊はかいされる。

他た作品さくひんでの類似るいじの兵器へいき

『宇宙うちゅう戦艦せんかんヤマト』以降いこうに反射はんしゃ衛星えいせい砲ほうに類似るいじする兵器へいきが登場とうじょうする作品さくひんがある。

オリハルコンパワービーム

テレビアニメ『ムーの白鯨はくげい』に登場とうじょう。火星かせい付近ふきんに位置いちしていたアトランティス大陸たいりくから、巨大きょだいな反射はんしゃ鏡きょうの「月面げつめんポイント」や「地球ちきゅうターゲットポイント」と呼よばれるミラーボールのような衛星えいせいを介かいし、地球ちきゅう各地かくちを攻撃こうげきした。

地上ちじょうから宇宙うちゅう空間くうかんを狙ねらい撃うつ防御ぼうぎょ兵器へいきではなく、宇宙うちゅう空間くうかんから地上ちじょうを狙ねらう攻撃こうげき兵器へいきとして作つくられた点てんが反射はんしゃ衛星えいせい砲ほうとの最大さいだいの違ちがい。また、この衛星えいせいはビームを反射はんしゃさせるのではなく屈折くっせつさせていたようである。

バベルばべるの塔とう

テレビアニメ『ふしぎの海うみのナディア』に登場とうじょう。「ルシファー」や「ミカエル」など、計けい12個この「しもべの星ほし」と呼よばれる反射はんしゃ衛星えいせいを介かいし、地球ちきゅう各地かくちやΝにゅー-ノーチラス号ごうを攻撃こうげきした。

『ナディア』のスタッフには『ヤマト』のファンを公言こうげんしている者ものが多おおいため、反射はんしゃ衛星えいせい砲ほうへのオマージュであることが窺うかがえる。

レクイエム

テレビアニメ『機動きどう戦士せんしガンダムSEED DESTINY』に登場とうじょう。「軌道きどう間あいだ全ぜん方位ほうい戦略せんりゃく砲ほう」と呼よばれる地球ちきゅう連合れんごう軍ぐんの戦略せんりゃく兵器へいきシステムで、廃はいコロニーを中継ちゅうけいステーションとして利用りようする。後のちにザフトへ接収せっしゅうされた。

オリンポス・システム

小説しょうせつ『七なな都市とし物語ものがたり』に登場とうじょう。月面げつめんに拠点きょてんを置おく汎ひろし人類じんるい世界せかい政府せいふが地球人ちきゅうじん類るいを支配しはいするために設置せっちした。地上ちじょう500m以上いじょうを飛行ひこうする物体ぶったいを探知たんちし、撃墜げきついする。

反射はんしゃ衛星えいせい砲ほう

漫画まんが版ばん『銀河ぎんが英雄えいゆう伝説でんせつ』に登場とうじょう。OVA版ばんに登場とうじょうした全ぜん自動じどう防衛ぼうえい人工じんこう衛星えいせい群ぐん「アルテミスの首飾くびかざり」に代かわる形かたちで用もちいられた。

エクスキャリバー

フライトSTG『エースコンバット・ゼロ ザ・ベルカン・ウォー』に登場とうじょう。ベルカ公国こうこくのSDIの産物さんぶつとして製造せいぞうされた超ちょう高層こうそうレーザー兵器へいき。遠距離えんきょりの目標もくひょうへ反射はんしゃ衛星えいせいを介かいし、円柱えんちゅう状じょうの範囲はんい攻撃こうげきを行おこなう。プレイヤーに接近せっきんされた際さいには、直射ちょくしゃにより円錐えんすい状じょうの範囲はんい攻撃こうげきを行おこなった。

アルトネリコ

コンピュータRPG『アルトネリコ2 世界せかいに響ひびく少女しょうじょたちの創造そうぞう詩し』に登場とうじょう。世界せかいに残のこされた3本ほんの塔とうの1つで、同名どうめいの詩し魔法まほうを唱となえることにより上部じょうぶから巨大きょだいなレーザーを放はなつ魔ま導しるべ兵器へいきとなる。物語ものがたりの舞台ぶたいは遠とおく離はなれた別べつの塔とうであるため、攻撃こうげき時じには反射はんしゃ衛星えいせいを介かいする必要ひつようがある。なお、「ファンタスマゴリア」という上位じょうい互換ごかん版ばんが存在そんざいする。

バベル・キャノン

シミュレーションRPG『サモンナイト2』に登場とうじょう。機き属性ぞくせい最強さいきょうの召喚しょうかん獣じゅう、機き竜りゅうゼルゼノンの持もつ高こう出力しゅつりょくビーム砲ほう。衛星えいせいの反射はんしゃ鏡きょうは一種いっしゅのビームシールドとなっており、使用しよう時じにのみ展開てんかいされる。ゲームシステムの都合つごう上じょう、魔法まほうバリアには防ふせがれる。

光ひかりと闇やみの舞まい

OVA『勇者ゆうしゃ王おうガオガイガーFINAL』に登場とうじょう。

合体がったいビークルロボ・天竜てんりゅう神かみが使用しよう。EI-01の全ぜん方位ほうい反射はんしゃレーザーを解析かいせきして再現さいげんした技わざ。煙幕えんまくと電波でんぱ撹乱かくらんのチャフ、反射はんしゃ鏡きょうを搭載とうさいしたミサイルを発射はっしゃして攻撃こうげき対象たいしょうの視覚しかくを制限せいげんし、そこにメーザーを撃うち込こんで反射はんしゃ鏡きょうを利用りようすることにより全ぜん方位ほういから攻撃こうげきを仕掛しかける。

攻撃こうげき対象たいしょうは複数ふくすうでも問題もんだいないが、反射はんしゃ角かくの計算けいさんには光ひかり竜りゅうと闇やみ竜りゅうのAI出力しゅつりょくを合あわせた大変たいへん高度こうどな計算けいさんと速度そくどを必要ひつようとする。そのため、特とくにメーザー発射はっしゃ後ごは機体きたい制御せいぎょが制限せいげんされる。物的ぶってきな消費しょうひもかなり大おおきいが、EI-01の攻撃こうげき以上いじょうの威力いりょくを誇ほこる。

参考さんこう文献ぶんけん

• 『週刊しゅうかん宇宙うちゅう戦艦せんかんヤマト OFFICIAL FACTFILE』デアゴスティーニ・ジャパン、2010年ねん - 2011年ねん。 
• 『宇宙うちゅう戦艦せんかんヤマト2199 公式こうしき設定せってい資料集しりょうしゅう [GARMILLAS]』マッグガーデン、2013年ねん11月。ISBN 978-4-80-000193-1。