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いっ叢書そうしょ

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いっ叢書そうしょ』(こいつそうしょ)は、きよしすえひかりいとぐち10ねん(1884ねん)にはじむ庶昌によって日本にっぽん出版しゅっぱんされた叢書そうしょぜん200かんよりなり、26種類しゅるい書物しょもつおさめる。日本にっぽん存在そんざいする、中国ちゅうごくではうしなわれた漢籍かんせき善本ぜんぽんあつめて覆刻ふっこくしている。

由来ゆらい

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楊守けい1880ねんきよしちゅうにち公使こうしであるなに如璋随員ずいいんとして日本にっぽんわたった。楊守けい日本にっぽんのこ漢籍かんせきもとめたが、1ねんたらずで3まんかん以上いじょう[1]明治維新めいじいしん日本にっぽんではふる漢籍かんせき重視じゅうしされなかったが、楊守けい大量たいりょうもとめたことによって値上ねあがりし、みな秘蔵ひぞうするようになったという[1]

よく1881ねんはじむ庶昌があらたにちゅうにち公使こうしとして赴任ふにんした。はじむ庶昌と楊守けい日本にっぽん古書こしょあつめ、そのうち重要じゅうようなものをよんだい木村きむら嘉平かへいによって覆刻ふっこくして『いっ叢書そうしょ』とづけ、1884ねん日本にっぽん東京とうきょう使しょ公使館こうしかん)から出版しゅっぱんした。

とくに貴重きちょう書籍しょせき写真しゃしん撮影さつえいして、その写真しゃしん覆刻ふっこくした。『いっ叢書そうしょ』では「かげ」としょうしているが、影印えいいんではない。

なお、楊守けい日本にっぽんもとめた漢籍かんせきは、その没後ぼつご国家こっかいあげ、現在げんざいその一部いちぶ台湾たいわん国立こくりつみや博物はくぶついん所蔵しょぞうする[2]。ほかに中国ちゅうごく国家こっか図書館としょかん湖北こほくしょう図書館としょかん浙江せっこう図書館としょかんなどにも所蔵しょぞうする[3]

収録しゅうろくしょ一覧いちらん

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  1. しかみやび3かん かげそうしょく大字だいじほん
  2. 春秋しゅんじゅうこくりょうつたえ12かん かげそう紹熙ほん
  3. 論語ろんごなにしゅうかい10かん くつがえ正平しょうへいほん
  4. しゅうえきほどつて6かん繋辞けいじ精義せいぎ2かん くつがえもといたりただしほん
  5. とうひらきもとちゅうこうけい1かん くつがえきゅう巻子本かんすぼん
  6. 老子ろうし道徳どうとくけいちゅう2かん しゅうから
  7. 荀子30かん かげそううてなしゅうほん
  8. そう注疏ちゅうそ10かん かげそうほん
  9. すわえしゅう註8かん くつがえ元本がんぽん
  10. 尚書しょうしょしゃくおと1かん かげそう大字だいじほん
  11. 原本げんぽんたまへん零本れいほん3かんはん かげきゅう巻子本かんすぼん
  12. だいそうしげるおさむこういん5かん くつがえそうほん
  13. こういん5かん くつがえもとたいじょうほん
  14. たましょく宝典ほうてん11かん くつがえきゅう巻子本かんすぼん
  15. ぶんかんりん13かんはん かげきゅう巻子本かんすぼん
  16. 琱玉しゅう2かん かげきゅう巻子本かんすぼん
  17. せいかい3かん かげきたそう刊本かんぽん
  18. いんきょう1かん くつがええいろくほん
  19. 日本にっぽん国見くにみざい書目しょもくろく1かん かげきゅう巻子本かんすぼん
  20. ふみりゃく6かん かげそうほん
  21. 漢書かんしょしょく貨志1かん かげから写本しゃほん
  22. きゅう就篇1かん 仿石けいたい写本しゃほん
  23. もりこう草堂そうどう詩箋しせん40かんそとしゅう1かん補遺ほい10かんつてじょ碑銘ひめい1かん目録もくろく2かん年譜ねんぷ2かん詩話しわ1かん くつがえあさすなほん
  24. 碣石調ちょうかそけらん1かん かげきゅう巻子本かんすぼん
  25. 天台山てんだいざん1かん かげきゅう巻子本かんすぼん
  26. 太平たいへい寰宇5かんはん かげそうほん

問題もんだいてん

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いっ叢書そうしょ所収しょしゅう書物しょもつすべてが善本ぜんぽんであるわけではない。楊守けいは『いっ叢書そうしょ』にたいしてしばしば不満ふまんべており、『日本にっぽんおとずれ書志しょし』のなかはじむ庶昌が『尚書しょうしょしゃくおと』を収録しゅうろくしたことや、そうほんこういん』『老子ろうし道徳どうとくけい』を覆刻ふっこくするときにれられていることを批判ひはんしている。『そう注疏ちゅうそ』はぼうこくほんなどをもとにだけそうのものを使つかったものであり、『草堂そうどう詩箋しせん』も善本ぜんぽんではない。

とくてるは『いっ叢書そうしょ』に収録しゅうろくされた『太平たいへい寰宇』が実際じっさいにはそうほんではないと批判ひはんしている[4]

影響えいきょう

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いっ叢書そうしょ』によって中国ちゅうごくではるか以前いぜんうしなわれた漢籍かんせきにふたたびれることができるようになったことはもちろんだが、またそのかみしち覆刻ふっこく印刷いんさつ技術ぎじゅつたか評価ひょうかけた[5]

いっぽう、はじむ庶昌や楊守けい漢籍かんせきあつめたことは日本にっぽん漢籍かんせき重要じゅうようせい日本人にっぽんじん認識にんしきさせ、漢籍かんせきブームがきた[6]

続篇ぞくへん

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ぞくいっ叢書そうしょ』は中華民国ちゅうかみんこくで1919ねん以降いこう上海しゃんはい商務しょうむしるししょかんから出版しゅっぱんされた。47しゅ書物しょもつ影印えいいんにより収録しゅうろくしている。

いっ叢書そうしょさんへん』は中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこくで1982ねん以降いこう中華ちゅうかしょきょくから出版しゅっぱんされた。43しゅ書物しょもつ影印えいいんによって収録しゅうろくしている。

いずれも日本にっぽんとも『いっ叢書そうしょ』とも直接ちょくせつ関係かんけいはなく、ふるめずらしい漢籍かんせきあつめてなるべく原本げんぽん忠実ちゅうじつ再現さいげんしようとしたものである。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ a b 楊守けい日本にっぽんおとずれ書志しょし縁起えんぎ(1881)
  2. ^ 鄰蘇かんうみいんぞう楊守けい蒐集しゅうしゅう図書としょ特別とくべつてん国立こくりつみや博物はくぶついんhttp://www.npm.gov.tw/ja/Article.aspx?sNo=04005584 
  3. ^ 冯汉あきら杨守けい图书とくてんあきらしょう台北たいぺい包括ほうかつもとめ购、捐赠部分ぶぶん中国ちゅうごく新聞しんぶんもう、2014ねん7がつ22にちhttp://www.chinanews.com/cul/2014/07-22/6412421.shtml 
  4. ^ とくてる書林しょりんきよしばなし日本にっぽんそうこくしょ不可ふかよりどころ
  5. ^ なつ日新にっしん杨守けいあずかいっ丛书》」『こう汉论坛』2009(11)、2009ねん、87-90ぺーじ 
  6. ^ 反町そりまち茂雄しげお紙魚しみむかしがたり 明治大めいじだい正篇せいへん八木やぎ書店しょてん、1990ねん、16-21ぺーじ 

参考さんこう文献ぶんけん

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関連かんれん文献ぶんけん

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  • 長澤ながさわ規矩きくいっ叢書そうしょ信憑しんぴょうせいについて」『長澤ながさわ規矩きく著作ちょさくしゅう』 1かん汲古書院しょいん、1982ねんISBN 9784762911118 
  • 阿部あべ隆一りゅういちぞうてい 中国ちゅうごくおとずれ書志しょし汲古書院しょいん、1983ねんISBN 9784762922299 
  • 賈二きょう「《いっ叢書そうしょこう」『古代こだい文獻ぶんけん研究けんきゅうしゅうりん』 1かん陝西せんせい師範しはん大学だいがく出版しゅっぱんしゃ、1989ねんISBN 9787561302149 
  • うまがつはないっ叢書そうしょ研究けんきゅう北京ぺきん大学だいがく出版しゅっぱんしゃ、2015ねんISBN 9787301253823