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世界せかい人権じんけん宣言せんげん

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世界せかい人権じんけん宣言せんげん
エレノア・ルーズベルトとスペイン語ご版はんの世界せかい人権じんけん宣言せんげん（1949年ねん撮影さつえい）。
作成さくせい日び1948
批准ひじゅん日び1948年ねん12月16日にち
所在地しょざいちシャイヨ宮みや、パリ、フランス
作成さくせい者しゃ世界せかい人権じんけん宣言せんげん起草きそう委員いいん会かい（主要しゅようメンバーは、エレノア・ルーズベルト (アメリカ)、ジョン・ピーターズ・ハンフリー（英語えいご版ばん） (カナダ)、ルネ・カサン (フランス)、P. C. チャン(中華民国ちゅうかみんこく)、Charles Malik (レバノン)、Hansa Mehta(インド)、など
目的もくてき人権じんけん

世界せかい人権じんけん宣言せんげん（せかいじんけんせんげん、Universal Declaration of Human Rights、略称りゃくしょう：UDHR）は、1948年ねん12月10日にちの第だい3回かい国際こくさい連合れんごう総会そうかいで採択さいたくされた、すべての人民じんみんとすべての国くにが達成たっせいすべき基本きほん的てき人権じんけんについての宣言せんげんである（国際こくさい連合れんごう総会そうかい決議けつぎ217(III)）[1]。正式せいしき名称めいしょうは、人権じんけんに関かんする世界せかい宣言せんげん。

世界せかい人権じんけん宣言せんげんは、この宣言せんげんの後のちに国際こくさい連合れんごうで結むすばれた人権じんけん規約きやくの基礎きそとなっており、世界せかいの人権じんけんに関かんする規律きりつの中なかでもっとも基本きほん的てきな意義いぎを有ゆうする。

これを記念きねんして、1950年ねんの第だい5回かい総会そうかいにおいて、毎年まいとし12月10日にちを「世界せかい人権じんけんの日ひ」とすることが決議けつぎされた。日本にっぽんは、この日ひに先立さきだつ1週間しゅうかんを人権じんけん週間しゅうかんとしている[2]。

歴史れきし

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国際こくさい連合れんごう経済けいざい社会しゃかい理事りじ会かいの機能きのう委員いいん会かいとして1946年ねんに国際こくさい連合れんごう人権じんけん委員いいん会かいが設置せっちされると、同どう委員いいん会かいは国際こくさい人権じんけん章典しょうてんと呼よばれる単一たんいつ規範きはんの作成さくせいを目指めざし起草きそう委員いいん会かいを設置せっちしたが、権利けんりの範囲はんいや拘束こうそく力りょくの有無うむを巡めぐって意見いけんが対立たいりつし作成さくせいのめどが立たたなかったため、いったん基礎きそとなる宣言せんげんを採択さいたくし、その後ごそれを補強ほきょうする複数ふくすうの条約じょうやく及および実施じっし措置そちを採択さいたくすることとなった[3]。

起草きそう委員いいん会かいは、オーストラリア、ベルギー、白はくロシア[注ちゅう 1]、チリ、中華民国ちゅうかみんこく、エジプト、フランス、インド、イラン、レバノン、パナマ、フィリピン、イギリス、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく、ソビエト連邦れんぽう、ウルグアイ、およびユーゴスラビアからの代表だいひょうによって構成こうせいされており[4]、広範囲こうはんいに国際こくさい社会しゃかいを代表だいひょうできるよう設計せっけいされていた。委員いいん会かいの著名ちょめいなメンバーは、委員いいん長ちょうであるアメリカのエレノア・ルーズベルトをはじめ、ルネ・カサン（フランス）、ジョン・ピーターズ・ハンフリー（英語えいご版ばん）（カナダ）、張ちょう彭春（中華民国ちゅうかみんこく）、チャールズ・マリク（レバノン）、ハンサ・ジブラージ・メフタ（インド）などだった[5]。ハンフリーは、委員いいん会かいのたたき台だいになった最初さいしょの草案そうあんを提供ていきょうした。

こうして世界せかい人権じんけん宣言せんげんが起草きそうされ、1948年ねん12月がつ10日とおかに賛成さんせい48票ひょう、反対はんたい0、棄権きけん8（ソビエト連邦れんぽう、ウクライナ・ソビエト社会しゃかい主義しゅぎ共和きょうわ国こく[注ちゅう 2]、白はくロシア[注ちゅう 1]、ユーゴスラビア、ポーランド、南みなみアフリカ連邦れんぽう、チェコスロバキア、サウジアラビア）で採択さいたくされた[6][7]。また、イエメンとホンジュラスの代表だいひょうは欠席けっせきした[8]。南みなみアフリカが棄権きけんしたのは、彼かれらが維持いじしようとしていたアパルトヘイトのシステムが世界せかい人権じんけん宣言せんげんの内容ないように明確めいかくに違反いはんしていたためだった[6]。サウジアラビアの棄権きけんは、世界せかい人権じんけん宣言せんげんのうちの2つの項目こうもく、すなわち16条じょうの結婚けっこんの権利けんり、および18条じょうの宗教しゅうきょう変更へんこうの自由じゆうに同意どういできなかったためだった[6]。また、この宣言せんげんはファシズムやナチズムに対たいする批判ひはんを十分じゅうぶんに行いっていないとの理由りゆうでソ連それんをはじめとする6共産きょうさん国こくが棄権きけんに回まわった[9]。エレノア・ルーズベルトは、ソ連それん圏けんの棄権きけんの理由りゆうとして13条じょうの移動いどうの自由じゆうの保障ほしょうを挙あげた[10]。

採択さいたく結果けっか

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世界せかい地図ちずで見みた国連こくれん総会そうかいでの投票とうひょう結果けっか。緑色みどりいろで塗ぬられた国くにが「賛成さんせい」、オレンジ色しょくで塗ぬられた国くにが「棄権きけん」、黒くろで塗ぬられた国くにが「欠席けっせき」、灰色はいいろで塗ぬられた国くには当時とうじ国連こくれん非ひ加盟かめいの国くに。

以下いかの48か国こくが、この案あんに賛成さんせい票ひょうを投とうじた。[11]

カナダのジョン・ピーターズ・ハンフリーが果はたした中心ちゅうしん的てきな役割やくわりにもかかわらず、カナダ政府せいふは、最初さいしょの宣言せんげんの草案そうあんに棄権きけんしたものの、総会そうかいでの最終さいしゅう案あんには賛成さんせい票ひょうを投とうじた[12]。

以下いかの8か国こくが、この案あんに棄権きけん票ひょうを投とうじた。

以下いかの2か国こくは採決さいけつを欠席けっせきした。

宣言せんげんの内容ないよう

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すべての人間にんげんは、生うまれながらにして自由じゆうであり、かつ、尊厳そんげんと権利けんりとについて平等びょうどうである。
世界せかい人権じんけん宣言せんげん 第だい1条じょう

影響えいきょう

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もともと世界せかい人権じんけん宣言せんげんは国際こくさい人権じんけん章典しょうてんの一部いちぶとして計画けいかくされたものであり、法的ほうてき拘束こうそく力りょくを持もたないと考かんがえられていた。そのため、世界せかい人権じんけん宣言せんげんの内容ないようを基礎きそとした条約じょうやくの起草きそうが人権じんけん宣言せんげん採択さいたく後ごすぐに開始かいしされたが、条約じょうやく内容ないようを自由じゆう権けんのみとするか、社会しゃかい権けんを含ふくめるか、またこれら二ふたつの権利けんりを同一どういつの条約じょうやくで規定きていするか別べつの条約じょうやくにするかで参加さんか国こくの意見いけんが対立たいりつし、条約じょうやくの作成さくせい・採択さいたくは大おおきくずれ込こんだ。そしてその間あいだに世界せかい人権じんけん宣言せんげんは人権じんけんの判断はんだん基準きじゅんとして世界せかい各国かっこくで用もちいられるようになり、慣習かんしゅう国際こくさい法ほうとしての地位ちいを獲得かくとくしていった。

また、採択さいたくの遅おくれていた条約じょうやくも1966年ねん12月16日にちに国際こくさい連合れんごう総会そうかいで経済けいざい的てき、社会しゃかい的てき及および文化ぶんか的てき権利けんりに関かんする国際こくさい規約きやく（社会しゃかい権けん規約きやく、A規約きやく）と市民しみん的てき及および政治せいじ的てき権利けんりに関かんする国際こくさい規約きやく（自由じゆう権けん規約きやく、B規約きやく）、および市民しみん的てき及および政治せいじ的てき権利けんりに関かんする国際こくさい規約きやくの選択せんたく議定ぎてい書しょが同時どうじに採択さいたくされ、これら条約じょうやくによって国際こくさい人権じんけん規約きやくと呼よばれる人権じんけんに関かんする多国たこく間あいだ条約じょうやくが成立せいりつした[13]。

法ほう規範きはん性せいについての争あらそい

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世界せかい人権じんけん宣言せんげんは、条約じょうやくではなく、総会そうかいにおいて採択さいたくされた決議けつぎである。国際こくさい連合れんごう総会そうかい決議けつぎは勧告かんこくであり法的ほうてき拘束こうそく力りょくがないために、世界せかい人権じんけん宣言せんげんも拘束こうそく力りょくがないのではないかという問題もんだいがある。

これに対たいして、慣習かんしゅう国際こくさい法ほうを明文化めいぶんかしたものであり、慣習かんしゅう国際こくさい法ほうとしての拘束こうそく力りょくがあるとする説せつがある。しかし、宣言せんげんが自みずから前文ぜんぶんで、「権利けんりを創設そうせつする」としており、また、当時とうじの人権じんけん状況じょうきょうをみれば慣習かんしゅう国際こくさい法ほうとは言いい難がたいと批判ひはんされてもいる。

そこで、宣言せんげんに法的ほうてき拘束こうそく力りょくを認みとめる有力ゆうりょく説せつとして、現在げんざいでは、慣習かんしゅう法ほうになる手前てまえの段階だんかいである「ソフト・ロー」として法的ほうてき拘束こうそく力りょくがあるとする説せつや宣言せんげんが採択さいたくされた当時とうじは拘束こうそく力りょくがなかったものの、その後ごに宣言せんげんを基礎きそにした各種かくしゅ人権じんけん条約じょうやくの発効はっこうや各国かっこくの行動こうどうによって現在げんざいは慣習かんしゅう国際こくさい法ほうになっているとする説せつがある。後者こうしゃが多数たすうにおいて支持しじされている説せつになるため、実質じっしつ的てきには慣習かんしゅう国際こくさい法ほうとしての地位ちいを獲得かくとくしていると考かんがえられている[14]。

なお、世界せかい人権じんけん宣言せんげんの内容ないようの多おおくは、国際こくさい人権じんけん規約きやくなどによっても明文化めいぶんかされており、その後ごの国際こくさい人権じんけん法ほうに係かかる人権じんけん条約じょうやくはすべてその前文ぜんぶんにおいて国際こくさい連合れんごう憲章けんしょうの原則げんそくと共ともに、世界せかい人権じんけん宣言せんげんの権威けんいを再さい確認かくにんしている。しかし、人権じんけん状況じょうきょうに問題もんだいがある多おおくの国くには、これらの条約じょうやくに署名しょめいしていないことが多おおい。そのため、世界せかい人権じんけん宣言せんげんそのものの法的ほうてき拘束こうそく力りょくを認みとめるための論議ろんぎが行おこなわれるのである。日本にっぽん国こくは1952年ねんに発効はっこうしたサンフランシスコ講和こうわ条約じょうやくの前文ぜんぶんで世界せかい人権じんけん宣言せんげんの実現じつげんに向むけた努力どりょくを宣言せんげんしている。

しかしながら世界せかい人権じんけん宣言せんげんを根拠こんきょとした「人権じんけんと基本きほん的てき自由じゆうの保護ほごのための条約じょうやく」は欧州おうしゅう人権じんけん裁判所さいばんしょによって加盟かめい国こくの憲法けんぽうをも上回うわまわる法的ほうてき拘束こうそく力りょくを与あたえられ、欧州おうしゅう連合れんごう加盟かめい国こくによって議論ぎろんされた「欧州おうしゅう憲法けんぽう」中ちゅうにもこの世界せかい人権じんけん宣言せんげんが含ふくまれている。 ただし欧州おうしゅう憲法けんぽうと関連かんれんして成立せいりつした欧州おうしゅう連合れんごう基本きほん権けん憲章けんしょうは連邦れんぽう制せい国家こっかにおける国内こくない法ほう（欧州おうしゅう連合れんごう内ないでしか通用つうようしない）とみなすのが通常つうじょうである。欧州おうしゅう連合れんごうに加盟かめいしていないスイス、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくや日本にっぽん国こくなどに対たいする拘束こうそく力りょくの根拠こんきょとなるわけではない。

出典しゅってん

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[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]
  1. ^ “世界せかい人権じんけん宣言せんげん（せかいじんけんせんげん）の意味いみ”. goo国語こくご辞書じしょ. 2019年ねん11月24日にち閲覧えつらん。
  2. ^ https://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken03.html　「第だい74回かい人権じんけん週間しゅうかん 　令れい和わ4年ねん12月4日にち（日にち）～12月がつ10日とおか（土ど）」日本国にっぽんこく法務省ほうむしょう　2022年ねん12月25日にち閲覧えつらん
  3. ^ 「国際こくさい関係かんけい学がく　地球ちきゅう社会しゃかいを理解りかいするために　第だい2版はん」p258　滝田たきた賢治けんじ・大芝おおしば亮あきら・都留つる康子やすこ編へん　有信ありのぶ堂どう高だか文ぶん社しゃ　2017年ねん4月がつ20日はつか第だい2版はん第だい1刷さつ発行はっこう
  4. ^ Morsink 1999, p. 4
  5. ^ http://www.un.int/india/india%20&%20un/humanrights.pdf Archived 2014年ねん1月がつ12日にち, at the Wayback Machine.
  6. ^ a b c CCNMTL. “default”. Center for New Media Teaching and Learning (CCNMTL). Columbia University. 2013年ねん7月がつ12日にち閲覧えつらん。
  7. ^ UNAC. “Questions and answers about the Universal Declaration of Human Rights”. United Nations Association in Canada (UNAC). p. "Who are the signatories of the Declaration?". 2012年ねん9月がつ12日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2006年ねん6月がつ23日にち閲覧えつらん。
  8. ^ Jost Müller-Neuhof (2008年ねん12月10日にち). “Menschenrechte: Die mächtigste Idee der Welt” (German). Der Tagesspiegel. 2013年ねん7月がつ12日にち閲覧えつらん。
  9. ^ Peter Danchin. “The Universal Declaration of Human Rights: Drafting History - 10. Plenary Session of the Third General Assembly Session”. 2015年ねん2月がつ25日にち閲覧えつらん。
  10. ^ Glendon 2002, pp. 169–70
  11. ^ “Yearbook of the United Nations 1948–1949 p 535”. 2013年ねん9月がつ27日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2014年ねん7月がつ24日にち閲覧えつらん。
  12. ^ Schabas, William (1998). “Canada and the Adoption of Universal Declaration of Human Rights”. McGill Law Journal 43: 403. http://www.lawjournal.mcgill.ca/userfiles/other/5890478-43.Schabas.pdf. 
  13. ^ 「国際こくさい関係かんけい学がく　地球ちきゅう社会しゃかいを理解りかいするために　第だい2版はん」p259　滝田たきた賢治けんじ・大芝おおしば亮あきら・都留つる康子やすこ編へん　有信ありのぶ堂どう高だか文ぶん社しゃ　2017年ねん4月がつ20日はつか第だい2版はん第だい1刷さつ発行はっこう
  14. ^ 「世界せかい地理ちり大だい百科ひゃっか事典じてん1　国際こくさい連合れんごう」p211　2000年ねん2月がつ1日にち初版しょはん第だい1刷さつ　朝倉書店あさくらしょてん

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ a b 現在げんざいのベラルーシ。当時とうじはソビエト連邦れんぽうの構成こうせい国こくでありながらウクライナと共ともに「ソビエト連邦れんぽう」とは別枠べつわくで、「白はくロシア・ソビエト社会しゃかい主義しゅぎ共和きょうわ国こく」(白はくロシアSSR)として国際こくさい連合れんごうに加盟かめいしていた。
  2. ^ 現在げんざいのウクライナ。当時とうじ、同国どうこくは白はくロシア(ベラルーシ)と共ともにソビエト連邦れんぽうの構成こうせい国こくでありながら、「ソビエト連邦れんぽう」とは別枠べつわくで国際こくさい連合れんごうに加盟かめいしていた。

関連かんれん項目こうもく

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ウィキソースに世界せかい人権じんけん宣言せんげんの日本語にほんご訳やくがあります。
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国際こくさい人権じんけん法ほう

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