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てん

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
てん
金文きんぶんしるされた「てん
中国ちゅうごく てん
文字通もじどおりの意味いみheaven(s)
発音はつおん記号きごう
標準ひょうじゅん中国語ちゅうごくご
漢語かんご拼音tiān
ウェードしきt'ien1
IPA[ti̯ɛn]
マ字まじthi (T1)
贛語
マ字まじtien1
粤語
粤拼tin1
閩南
閩南白話はくわthiⁿ
ちゅう古音こおん
ちゅう古音こおんtʰen
上古じょうこおん
ていちょう/*qʰl'iːn/
日本語にほんご
漢字かんじ てん
篆書てんしょたいによる「てん
甲骨文字こうこつもじによる「てん

てん(Tiān、てん、あま)は、東洋とうよう思想しそうかぎ概念がいねんのひとつで、ひとうえにある存在そんざいひとえた存在そんざいをあらわす。また東洋とうよう思想しそう概念がいねんだけでなく、時代じだい中国ちゅうごくやアジアに伝来でんらいしたインド哲学てつがく仏教ぶっきょうや、西洋せいよう思想しそうキリスト教きりすときょう 等々とうとうふくまれる類似るいじ概念がいねん漢字かんじ表記ひょうきするためにも「てん」というかたりもちいられている。

てん」という言葉ことばには様々さまざま意味いみがある。まず基本きほんから説明せつめいすると、「てん」という漢字かんじは、ひと姿すがたあらわす「だい」のうえに、「いち」をいて、六書りくしょ指事しじ意味いみ内容ないようしめしており、ひと上方かみがたそら方向ほうこうしめしている。この意味いみにおけるてん陽気ようき象徴しょうちょうであり、陰気いんき象徴しょうちょうである「」と対義語たいぎごになる。ときに、「壌」と対義語たいぎごにする場合ばあいもある。ひと上方かみがた、という意味いみでは「そら」という意味いみがいくらかかさなっている。その意味いみでは(意味いみつらねることで意味いみしめ方法ほうほうで)「天空てんくう」ともう。

中国ちゅうごく思想しそうの「てん」「天帝てんてい」「天命てんめい

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ひとうえ存在そんざいひとえた存在そんざいという意味いみかんしては、中国ちゅうごく思想しそうでは、すべてのひとにはてんから、一生いっしょうをかけておこなうべき命令めいれいあたえられており、それを実行じっこうしようとするひとてんからたすけをけ、天命てんめいさからうものかならほろぶとかんがえられている。てんすべてのひとのふるまいをており、ぜんおこなうものには天恵てんけいを、あくおこなうものには天罰てんばつあたえる。そのとき朝廷ちょうてい悪政あくせいおこなえばてん自然しぜん災害さいがいかたちってこれをらせ、ぎゃくにこのせい天子てんしあらわれる前兆ぜんちょうとして、てんめずらしい動物どうぶつつかわしたり、めずらしい出来事できごとこしたりしてらせる、とかんがえられた。とく皇帝こうてい王朝おうちょう交代こうたいにはさかんに使つかわれ、ある王朝おうちょうたおそうとするものは「てんいのちかわ(あらた)まって我々われわれあたらしい天命てんめいさづけられた。」とかんがかたをする。つまり革命かくめいである。

近世きんせい日本にっぽんにおける解釈かいしゃく

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まくはん体制たいせいイデオロギーである朱子学しゅしがくにおけるてんは、とうおけされ、ひと内在ないざいする道徳どうとくてき原理げんりであるととも自然しぜん内在ないざいする自然しぜん法則ほうそくとも解釈かいしゃくされた(石毛いしげただし江戸えど時代じだい中期ちゅうきにおけるてん思想しそう」『日本にっぽん思想しそう研究けんきゅうさん)。これにたいし、徂徠そらいがくにおけるてんは、人格じんかくてき意味いみつよく、「対象たいしょう」ではなく、儒教じゅきょう中国ちゅうごく元来がんらいの「けい信仰しんこう)の対象たいしょう」であった[1]一方いっぽう国学こくがくものほんきょ宣長のりながは『古事記こじきでん』において天命てんめい思想しそう否定ひていしている(詳細しょうさいみち (国学こくがく)参照さんしょう)。

ひと上方かみがたひとえた存在そんざいとしてのてん

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  • アイヌの「カント」もてんやくされ、樺太からふとアイヌ文化ぶんか研究けんきゅうしゃ北原きたはらモコットゥナィによれば、てんのぞく、うみ山奥やまおくにあるカムイモシリのカムイおくかえされたのち、さらにてん=カントにくことになっているとされ、カムイモシリのうえ他界たかいかんとしてある[2]
  • インド思想しそう(インドの宗教しゅうきょう)や西洋せいよう思想しそう西洋せいよう宗教しゅうきょう)が中国ちゅうごく・アジアにつたわるにつれ、それらにふくまれる、ひとえた存在そんざいあらわ用語ようご翻訳ほんやくにも、「てん」のもちいられるようになった。
    • (仏教ぶっきょう)。梵語ぼんごサンスクリット)で「svarga」と表現ひょうげんされる、「かみ々の世界せかい」を漢字かんじ翻訳ほんやくするときに「てん」のもちいられた。「天界てんかい」とも。
六道ろくどうのひとつで、ひと世界せかいよりはすぐれているが、まだ輪廻りんねまぬかれていない領域りょういき。(なお、インド仏教ぶっきょう世界せかいかんでは、したからじゅんうと、「欲界よくかい六天ろくてんいろかいじゅうはちてん無色むしょくかいよんてん」という階層かいそうてき世界せかいがある、とされている[3]。)
  • (キリスト教きりすときょう万物ばんぶつ創造そうぞうした唯一ゆいいつかみがいる世界せかいラテン語らてんごで「cælum カエルム」、を漢字かんじあらわすために「てん」がもちいられている。「天主てんしゅ」とはかみのこと。「天使てんし」とはかみ使つかいのこと。
  • 冒頭ぼうとう説明せつめいしたように)「てん」のひと上方かみがたしめし、結果けっかとして漢字かんじでは「そら」の意味いみかさなるところがある。
なお、てんぶた(ふた)のように世界せかいおおっているとする天蓋てんがいせつや、卵殻らんかくがたてん地球ちきゅう卵黄らんおう相当そうとう)をかこんでいるとする渾天(こんてん)せつがある。
天候てんこうし、結果けっかとして気象きしょうをあらわす文字もじとしても頻用ひんようされている。(「晴天せいてん」「荒天こうてん等々とうとう
  • 単純たんじゅん方向ほうこうしめかたりとしては、「きた」がしばしばまえかたすのにたいして、「てん」はうえかたす。れい:「天地無用てんちむよう」(上下じょうげくつがえすな)

時間じかんとしてのてん

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てん関連かんれんふか太陽たいようとのむすきにより、派生はせいとして時間じかんをもすようになった。

  • てん太陽たいようのぼっているあいだ、すなわち昼間ひるます。「はくたかし」とおなじ。
  • 現代げんだい中国ちゅうごくでは、太陽たいようのぼってしずみ、ふたたのぼるまでのあいだ、すなわち「」(24時間じかん)をすこともおおい。
  • さらには、数ヶ月すうかげつあいだおよ時期じき場合ばあいもある。れい:「はるてん」。

引用いんようぶん

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てんひとうえひとつくらずひとしたひとつくらずとえり」
天下てんか ひとしす。」
天壌無窮てんじょうむきゅう」 --
日本書紀にほんしょき』、「神代かみしろおさむ

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ しろぶくいさむほんきょ宣長のりなが吉川弘文館よしかわこうぶんかん新装しんそうばんだい2さつ、1990ねん、139ぺーじISBN 4-642-06179-7ISBN 978-4-642-06179-7
  2. ^ 中川なかがわひろし 『アイヌ文化ぶんかく「ゴールデンカムイ」』 集英社しゅうえいしゃ新書しんしょ、2019ねん、23ぺーじISBN 978-4-08-721072-9
  3. ^ てん」『広辞苑こうじえんだい5はん、1848ぺーじ

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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