小槻おおづく国こく宗むね

小槻おおづく国こく宗むね（おづきのくにむね、生年せいねん不ふ詳しょう - 貞さだ応おう2年ねん7月がつ20日はつか（1223年ねん 8月がつ18日にち））は、平安へいあん時代じだい末期まっきから鎌倉かまくら時代ときよにかけての貴族きぞく。左ひだり大だい史し・小しょう槻けやき隆たかし職しょくの子こ。官位かんいは正せい五ご位い上じょう・左ひだり大だい史し。

経歴けいれき

治ち承うけたまわ3年ねん（1179年ねん）左ひだり少しょう史しとなり、翌よく治ち承うけたまわ4年ねん（1180年ねん）右みぎ大だい史しに昇任しょうにんされるが、同年どうねん中ちゅうにこれを辞じして一旦いったん弁わきまえ官かん局きょくを去さり、養和ようわ元年がんねん（1181年ねん）大膳だいぜん亮あきらに任にんぜられる。

建たて久ひさ9年ねん（1198年ねん）10月がつに父ちちの左ひだり大だい史し・小しょう槻けやき隆たかし職しょくが危篤きとくとなると、その後任こうにんを巡めぐって従兄弟いとこの小槻おおづく広こう房ぼうと争あらそうが、隆たかし職しょくが所帯じょたいの官職かんしょくを国くに宗むねに譲ゆずることを請願せいがんして許ゆるされ^[1]、12月になって国くに宗むねは左ひだり大だい史しに任にんぜられた。その後ご、約やく25年ねんに亘わたって国くに宗むねは大夫たいふ史しの地位ちいを占しめる一方いっぽう、主しゅ殿しんがり頭あたまや穀倉こくそう院いん別当べっとうを兼かねたほか、伊勢いせ守まもるの兼けん国こくにも与あずかっている。なお、主しゅ殿しんがり頭あたまについては国くに宗むね以降いこう、子孫しそんに世襲せしゅうされるようになったとされる^[2]。また隆たかし職しょくと同様どうように、国くに宗むねも大夫たいふ史しの立場たちばを利用りようして、その経済けいざい基盤きばんとなる官かん厨くりや家か便びん補ほ保ほ（太政官だじょうかん厨くりや家か領りょう）の開発かいはつ・立たて保ほを精力せいりょく的てきに行いった^[3]。承うけたまわ久ひさし3年ねん（1221年ねん）承久じょうきゅうの乱らんで鎌倉かまくら幕府ばくふ軍ぐんが入京にゅうきょうすると、後鳥羽上皇ごとばじょうこうの勅使ちょくしとして北条ほうじょう泰やすし時ときの陣じんに向むかい、院宣いんぜんを届とどけた。

貞さだ応おう2年ねん（1223年ねん）7月がつ20日はつか卒去そっきょするが、子息しそくの惟任これとうが幼少ようしょうであったことから広こう房ぼうの孫まごにあたる小槻おおづく季き継まましが大夫たいふ史しを継ついだ^[4]。国くに宗むねは儀礼ぎれいを好このんで様々さまざまな儀礼ぎれいを主張しゅちょうしたが、国くに宗むねによって打うち立たてられた儀礼ぎれいの流儀りゅうぎは、季き継つぎには故実こじつとして受うけ継つがれなったという^[5]。

官かん歴れき

時期じき不ふ詳しょう：正せい六ろく位い上じょう
治ち承うけたまわ3年ねん（1179年ねん）正月しょうがつ19日にち：左ひだり少しょう史し^[6]
治ち承うけたまわ4年ねん（1180年ねん）正月しょうがつ28日にち：右みぎ大だい史し^[6]。日付ひづけ不ふ詳しょう：辞じ右みぎ大だい史し^[7]
養和ようわ元年がんねん（1181年ねん） 3月がつ26日にち：大膳だいぜん亮あきら^[8]
建たて久ひさ9年ねん（1198年ねん） 12月9日にち：左ひだり大だい史し^[9]
建たて久ひさ10年ねん（1199年ねん）正月しょうがつ2日にち：官かん御ご祈願きがん所しょ行事ぎょうじ^[10]
建たて仁ひとし元年がんねん（1201年ねん） 7月がつ14日にち：見み修理しゅうり東大寺とうだいじ大仏だいぶつ長官ちょうかん正せい五ご位い下か行くだり左ひだり大だい史し兼けん丹後たんご権けん介かい^[11]
元久もとひさ2年ねん（1205年ねん） 2月がつ26日にち：見み主しゅ殿しんがり頭あたま^[12]
元もと久ひさ3年ねん（1206年ねん） 3月がつ29日にち：見兼みかね但馬たじま権けん介かい^[13]
承うけたまわ元もと2年ねん（1208年ねん） 4月がつ8日にち：兼けん伊勢いせ守まもる^[14]
建けん暦れき3年ねん（1213年ねん） 8月がつ2日にち：見み正せい五ご位い上じょう^[15]
時期じき不ふ詳しょう：穀倉こくそう院いん別当べっとう^[16]
貞さだ応おう2年ねん（1223年ねん） 7月がつ20日はつか：卒去そっきょ^[16]

系譜けいふ

『系図けいず纂要』による。

父ちち：小しょう槻けやき隆たかし職しょく
母はは：不ふ詳しょう
妻つま：兵部ひょうぶ大だい輔顕方かたの娘むすめ
- 男子だんし：小槻おおづく通どおり時じ（?-1214）
生母せいぼ不ふ詳しょうの子女しじょ
- 男子だんし：小槻おおづく通どおり成なり

脚注きゃくちゅう

^ 『自じ暦こよみ記き』建たて久ひさ9年ねん10月がつ23日にち条じょう
^ 『壬生みぶ家か文書ぶんしょ』3
^ 文ぶん永なが五ご年月日ねんがっぴ「官かん中ちゅう便びん補ほ地ち別べつ相伝そうでん並なみ由緒ゆいしょ注文ちゅうもん」『壬生みぶ家か文書ぶんしょ』314
^ 小しょう槻けやき惟任これとう申さる状じょう案あん『壬生みぶ家か文書ぶんしょ』23
^ 『小槻おおづく季き継つぎ記き』
^ ^a ^b 『玉たま葉は』
^ 官かん史し補任ほにん.
^ 『吉きち記き』
^ 『師し守もり記き』貞治さだはる6年ねん6月がつ28日にち条じょう先例せんれい
^ 『壬生みぶ家か文書ぶんしょ』1
^ 『九きゅう条じょう家か文書ぶんしょ』1525
^ 『醍醐寺だいごじ新しん要録ようろく』
^ 『石いし清水しみず文書ぶんしょ』「田中たなか家か文書ぶんしょ」643
^ 『明月めいげつ記き』
^ 『花押かおうかがみ』1763
^ ^a ^b 『系図けいず纂要』

参考さんこう文献ぶんけん

永井ながい晋すすむ『官かん史し補任ほにん』続ぞく群ぐん書しょ類従るいじゅう完成かんせい会かい、1998年ねん。ISBN 4797106581。 NCID BA35189676。全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:98090066。
遠藤えんどう珠紀たまき「官かん務つとむ家か・局きょく務つとむ家かの分立ぶんりつと官かん司し請負うけおい制せい : 中世ちゅうせい前期ぜんきにおける朝廷ちょうてい運営うんえいの変質へんしつ」『史学しがく雑誌ざっし』第だい111巻かん第だい3号ごう、史学しがく会かい、2002年ねん、293-322,441-44、doi:10.24471/shigaku.111.3_293、ISSN 0018-2478、NAID 110002365579。
宮内庁くないちょう書しょ陵りょう部ぶ『壬生みぶ家か文書ぶんしょ 1』宮内庁くないちょう書しょ陵りょう部ぶ〈圖書としょ寮りょう叢くさむら刊かん / 宮内庁くないちょう書しょ陵りょう部ぶ編へん〉、1979年ねん。 NCID BN00941070。全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:79027496。

[1] 『自じ暦こよみ記き』建たて久ひさ9年ねん10月がつ23日にち条じょう

[2] 『壬生みぶ家か文書ぶんしょ』3

[3] 文ぶん永なが五ご年月日ねんがっぴ「官かん中ちゅう便びん補ほ地ち別べつ相伝そうでん並なみ由緒ゆいしょ注文ちゅうもん」『壬生みぶ家か文書ぶんしょ』314

[4] 小しょう槻けやき惟任これとう申さる状じょう案あん『壬生みぶ家か文書ぶんしょ』23

[5] 『小槻おおづく季き継つぎ記き』

[gy-6] 『玉たま葉は』

[FOOTNOTE官史補任-7] 官かん史し補任ほにん.

[8] 『吉きち記き』

[9] 『師し守もり記き』貞治さだはる6年ねん6月がつ28日にち条じょう先例せんれい

[10] 『壬生みぶ家か文書ぶんしょ』1

[11] 『九きゅう条じょう家か文書ぶんしょ』1525

[12] 『醍醐寺だいごじ新しん要録ようろく』

[13] 『石いし清水しみず文書ぶんしょ』「田中たなか家か文書ぶんしょ」643

[14] 『明月めいげつ記き』

[15] 『花押かおうかがみ』1763

[ks-16] 『系図けいず纂要』

[1]

[2]

[3]

[4]

[5]

[6]

[7]

[8]

[9]

[10]

[11]

[12]

[13]

[14]

[15]

[16]