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柔道じゅうどう整復せいふく術じゅつ

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曖昧さ回避 この項目こうもくでは、伝統でんとう医療いりょう技術ぎじゅつとしての柔道じゅうどう整復せいふくについて説明せつめいしています。日本にっぽんでの医療いりょう系けい資格しかくとしての柔道じゅうどう整復せいふく師しについては「柔道じゅうどう整復せいふく師し」を、柔道じゅうどう整復せいふくの施術しじゅつ所しょについては「接骨せっこつ院いん」をご覧らんください。

柔道じゅうどう整復せいふく術じゅつ（じゅうどうせいふくじゅつ）とは、柔術じゅうじゅつに含ふくまれる活かつ法ほうの技術ぎじゅつを応用おうようして、骨ほね・関節かんせつ・筋すじ・腱けん・靭帯じんたいなどの原因げんいんによって発生はっせいする骨折こっせつ・脱臼だっきゅう・捻挫ねんざ・挫傷ざしょう・打撲だぼくなどの損傷そんしょうに対たいし手術しゅじゅつをしない「非ひ観かん血ち的てき療法りょうほう」という独特どくとくの手技しゅぎによって整復せいふくや固定こていを行おこない人間にんげんの持もつ自然しぜん治癒ちゆ能力のうりょくを最大限さいだいげんに発揮はっきさせる[要よう出典しゅってん]治療ちりょう術じゅつ。日本にっぽん独自どくじの治療ちりょう技術ぎじゅつである。WHOの『伝統でんとう医療いりょうと相補そうほ・代替だいたい医療いりょうに関かんする報告ほうこく』[1]では、日本にっぽんの伝統でんとう医療いりょう、民間みんかん療法りょうほうとして柔道じゅうどうセラピーという名称めいしょうのみ紹介しょうかいされているが具体ぐたい的てきな内容ないようの記述きじゅつはない。

歴史れきし

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柔道じゅうどう整復せいふく術じゅつの源流げんりゅうは戦国せんごく時代じだいの武術ぶじゅつにたどることができる。武術ぶじゅつの書物しょもつには「殺ころせ法ほう」「活かつ法ほう」の記述きじゅつがみられる。殺ころせ法ほうは敵てきを殺傷さっしょうする技わざ、活かつ法ほうは外傷がいしょうを治療ちりょうする技術ぎじゅつであり、殺ころせ法ほうと活かつ法ほうは時代じだいとともに発展はってん・変遷へんせんをとげた。これらのうち活かつ法ほうが発展はってんして現在げんざいの柔道じゅうどう整復せいふく術じゅつができあがったといわれる。武芸者ぶげいしゃが道場どうじょうを構かまえるようになって以降いこう、道場どうじょう生せいの怪我けがを治なおせる技術ぎじゅつがあることが道場どうじょう主ぬしに必要ひつような要素ようそとなった。江戸えど時代じだいに柔道じゅうどう整復せいふく術じゅつの体系たいけい化かに寄与きよした人物じんぶつとして以下いかがあげられる[2]。


また整形せいけい外科げかの歴史れきしと重複じゅうふくするが、海外かいがいではアンブロワーズ・パレ[3]が記しるした外科げか書しょ『パレ大全たいぜん』が全ぜん世界せかいに広ひろがり、オランダでも翻訳ほんやくされ、日本にっぽんにも蘭学らんがくの1つとして伝つたわった。オランダ経由けいゆで日本にっぽんに入はいってきたパレの書しょは、日本にっぽんでは楢なら林りん鎮山が『紅べに夷えびす外科げか宗そう伝つたえ』[4]として翻訳ほんやくしたものや、そこからさらに『整骨せいこつ書しょ』[5]や二宮にのみや彦可の『正せい骨ほね範はん』として出版しゅっぱんされるに至いたった。内容ないようは骨折こっせつや脱臼だっきゅうの治療ちりょう方法ほうほうについて解説かいせつがなされたものであった。柔道じゅうどう整復せいふくは折おれた骨ほねや脱臼だっきゅうの整復せいふくを行おこなうというように、どちらもこの流ながれを汲くむものである[6]。

明治維新めいじいしん後ごの西洋せいよう万能ばんのうの風潮ふうちょうの中なか、1881年ねん（明治めいじ14年ねん）の漢方かんぽう医学いがく廃止はいしによってそれまでの接骨せっこつ術じゅつが顧かえりみられなくなった。公認こうにん運動うんどうに際さいして、柔道じゅうどう家かまたは柔術じゅうじゅつ家かの職業しょくぎょうとして「接骨せっこつ院いん」の公認こうにん希望きぼうが多おおかった。しかし、接骨せっこつの業務ぎょうむに関かんして、明治めいじ期きの文明開化ぶんめいかいかによって、接骨せっこつは，内務省ないむしょう令れいで禁止きんしになっていたから、接骨せっこつの名称めいしょうは使用しようできない理由りゆうで、柔道じゅうどうによる整復せいふくだから柔道じゅうどう整復せいふく術じゅつとしたのである。これに対たいして1912年ねん（明治めいじ45年ねん）、柔道じゅうどう家か・柔術じゅうじゅつ家かの職業しょくぎょうとして認みとめられるよう柔術じゅうじゅつ家か(天神てんじん真ま楊流の門人もんじんが中心ちゅうしん)を中心ちゅうしんに運動うんどうが起おこり、1920年ねん（大正たいしょう9年ねん）の内務省ないむしょう令れいによって柔道じゅうどう整復せいふく術じゅつとして公認こうにんされた。その技術ぎじゅつをもつ者ものは柔道じゅうどう整復せいふく師しとして認定にんていされ柔道じゅうどう家か、柔術じゅうじゅつ家かの収入しゅうにゅう源げんとなった。その後ご、1970年ねん（昭和しょうわ45年ねん）の柔道じゅうどう整復せいふく師し法ほうの成立せいりつ、1989年ねん（平成へいせい元年がんねん）の同どう法ほう改正かいせいで教育きょういく内容ないようの充実じゅうじつが図はかられ、試験しけん及および免許めんきょに関かんする事務じむ権限けんげんが都道府県とどうふけん知事ちじから厚生こうせい労働ろうどう大臣だいじんへの変更へんこう[要よう出典しゅってん]、1993年ねん（平成へいせい5年ねん）に第だい1回かい目めの国家こっか試験しけんの実施じっしなどを経へて今日きょうに至いたる。

施術しじゅつの特徴とくちょう

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柔道じゅうどう整復せいふく術じゅつの施術しじゅつには、次つぎのような特徴とくちょうがある。

  • 受身うけみを重視じゅうしする柔術じゅうじゅつ/柔道じゅうどうでは、他たの打撃だげきなどを重視じゅうしする格闘技かくとうぎと比較ひかくして、打撃だげきなどによる身体しんたいの重大じゅうだいな損傷そんしょうは少すくない。しかし、体からだを組くみ、投なげを打うち、関節かんせつを極きわめるという柔術じゅうじゅつ/柔道じゅうどうそのものの特性とくせいから、脱臼だっきゅうや骨折こっせつ、捻挫ねんざなどの怪我けがを負おう比率ひりつが多おおい。柔道じゅうどう整復せいふく術じゅつは、柔術じゅうじゅつ/柔道じゅうどうの技わざと表裏一体ひょうりいったいの関係かんけい（活殺かっさつ自在じざい）にあるので、回復かいふくに役立やくだつ。（本来ほんらい、柔術じゅうじゅつでは当身あてみを用もちいていたため、打撃だげきによる身体しんたいの損傷そんしょうがないということではない。）
  • 昔むかしから柔術じゅうじゅつ道場どうじょうの隣となりに接骨せっこつ院いん（整骨せいこつ院いん）が多おおかったのは、その道場どうじょう主ぬしが柔術じゅうじゅつの技わざとともに柔道じゅうどう整復せいふく術じゅつ（接骨せっこつ術じゅつ）を身みにつけており、道場みちば経営けいえいの余技よぎとして接骨せっこつ院いんを営いとなんでいたからとされる。
  • 単たんに施術しじゅつするだけではなく、そのスポーツ経験けいけんや伝統でんとうの技わざによって、早はやく使つかえる状態じょうたいに戻もどすことができる[要よう出典しゅってん]。
  • ただし、現在げんざいでは柔道じゅうどう経験けいけんと柔道じゅうどう整復せいふく師しの資格しかくには関係かんけいがない。資格しかくを取とるのに柔道じゅうどうの経験けいけんは不要ふようであるものの、養成ようせい施設しせつにおいては柔道じゅうどうの実技じつぎを必須ひっす授業じゅぎょうとしてカリキュラムに組くみ込こんでいるところもある[7]。
  • 平成へいせい3年ねんになされた厚生こうせい労働省ろうどうしょう通知つうち[8]によると、柔道じゅうどう整復せいふくはあん摩まマッサージ指圧しあつ、はり、きゅうと並ならんで医業いぎょう類似るいじ行為こういの一ひとつとされ、その後ごの厚生こうせい労働省ろうどうしょうの平成へいせい23年ねんの国民こくみんの質問しつもんに対たいする回答かいとうでも、その姿勢しせいを踏襲とうしゅうしている[9]。
  • 柔道じゅうどう整復せいふく分野ぶんやにおいて、捻挫ねんざと挫傷ざしょうの概念がいねんについては一般いっぱん医学いがくの使つかわれた方ほうと違ちがい独自どくじの解釈かいしゃくをしており、柔道じゅうどう整復せいふく教科書きょうかしょの年代ねんだいごとにも開ひらきがあるため、医療いりょう間あいだのコミュニケーション疎通そつう性せいを欠かくことが指摘してきされている[10]。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ http://apps.who.int/medicinedocs/en/d/Jh2943e/
  2. ^ 社団しゃだん法人ほうじん全国ぜんこく柔道じゅうどう整復せいふく学校がっこう協会きょうかい・教科書きょうかしょ委員いいん会かい『柔道じゅうどう整復せいふく学がくー理論りろん編へん（改訂かいてい第だい5版はん）』、南江堂なんこうどう、2009年ねん、3頁ぺーじ
  3. ^ アンブロワーズ・パレ（1510 - 1590）は、フランス王室おうしつ公式こうしき外科げか医い。戦場せんじょう医いとして活躍かつやくした。整形せいけい外科げかの元祖がんそとされる。当時とうじ、ヨーロッパでは一言ひとことで「医いを行おこなう人ひと」と言いっても、いくつかタイプがあって、大学だいがくでガレノス医学いがくなど、伝統でんとうや慣習かんしゅうで成なり立たった医学いがくを学まなんだ者ものたち（古ふるい理論りろんばかりを学まなび、そうした理論りろんを疑うたがうことや自分じぶんたちで新あらたな発見はっけんを付つけ加くわえることは許ゆるされず、まともな外科げか治療ちりょうはほとんど行おこなっていなかった人ひとたち）と、「床屋とこや外科医げかい」と呼よばれる、メスなどを用もちいて実際じっさいに外科げか的てき治療ちりょうも行おこなう人ひとたちがいた。当時とうじ、「人ひとの髪かみを切きることは、ひとの身体しんたいに刃物はものを入いれること」として、外科げかと髪かみを切きることは同列どうれつに考かんがえられ、それら（外科げかと床屋とこや業ぎょう）は同どう一人ひとり物ぶつによって兼業けんぎょうで行おこなわれていたのである。 パレは大学だいがくの教育きょういくを受うけなかった（『近代きんだい外科げかの父ちち・パレ』〈NHKブックス〉、83-87頁ぺーじ。「パレは床屋とこやから身みを立たて、外科げかの実技じつぎには通つうじていたが大学だいがくで教育きょういくされたわけではなく」 ）が（というよりむしろ、そのおかげで、当時とうじの大学だいがくでの医学いがく教育きょういくを受うけずに済すみ、実践じっせん的てきに現場げんばで各かく治療ちりょう法ほうの実際じっさいの効果こうかを比較ひかくできたからこそ）実際じっさいに効果こうかのある治療ちりょう法ほうを選えらびとることができ、その成果せいかを書物しょもつとして残のこしたので、整形せいけい外科げか医いの元祖がんそと称しょうされることになったのである。 パレの業績ぎょうせきで特筆とくひつすべき事項じこうは、当時とうじの“医師いし”がキズを火ひで赤あかくなるまで熱ねっした鉄てつのコテで焼やく、という“治療ちりょう”をしていたのに対たいして、出血しゅっけつを結紮けっさつにより止とめ、軟膏なんこうや湿布しっぷにより治療ちりょうする方ほうが治なおりや回復かいふくがよかったということを実績じっせきで証明しょうめいし、書籍しょせきにしたことである(『近代きんだい外科げかの父ちち・パレ』〈NHKブックス〉、100-102頁ぺーじ。「銃創じゅうそうの治療ちりょうに新あたらしい方法ほうほう」 ）。 それに対たいして、当時とうじの大学だいがく出での者ものたち（“医師いし”たち）は自分じぶんたちがなかなか成果せいかをあげられないのに、パレが実績じっせきをあげたことを妬ねたみ、徒党ととうを組くんで、パレの書物しょもつの出版しゅっぱんを妨害ぼうがいしようとしたり、あげくは（医師いしでありながら）パレを毒殺どくさつしようとする者ものまでいた、と伝つたえられている（『床屋とこや医者いしゃパレ』〈福武ふくたけ文庫ぶんこ〉、288,288-289頁ぺーじ。「当時とうじの医師いし会かいはパレの本ほんの焼却しょうきゃくそして出版しゅっぱんを差さしと止とめようとした」 ）。 だが幸さいわいなことに、王おうにその腕うでを見込みこまれ、侍医じいにもなったパレは王おうに守まもられて、現在げんざいにその名なを残のこすことができた。(『床屋とこや医者いしゃパレ』〈福武ふくたけ文庫ぶんこ〉、96頁ぺーじ。 )
  4. ^ 長崎ながさきのオランダ医学いがく(長崎大学ながさきだいがく附属ふぞく図書館としょかん医学いがく分館ぶんかん所蔵しょぞう) (Report). 2013年ねん6月がつ25日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。
  5. ^ 柔道じゅうどう整復せいふく術じゅつの歴史れきし(公益社こうえきしゃ団だん法人ほうじん 大阪おおさか府ふ柔道じゅうどう整復せいふく師し会かい) (Report). 2012年ねん12月19日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。
  6. ^ 柔道じゅうどう整復せいふく師し-その歴史れきしと展望てんぼう-最新さいしんのバイオメカニクス(第だい35回かい北きた整せい学会がっかい 日本整形外科学会にほんせいけいげかがっかい名誉めいよ会員かいいん) (Report). 2012年ねん12月19日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。
  7. ^ [1]
  8. ^ “医業いぎょう類似るいじ行為こういに対たいする取扱とりあつかいについて”. 厚生こうせい労働省ろうどうしょう (1991年ねん6月がつ28日にち). 2023年ねん12月8日にち閲覧えつらん。
  9. ^ 厚生こうせい労働省ろうどうしょうに寄よせられた「国民こくみんの皆様みなさまの声こえ」の集計しゅうけい報告ほうこくについて
  10. ^ 佐藤さとう揵「柔道じゅうどう整復せいふく師し養成ようせい学校がっこうの教科書きょうかしょに見みる「捻挫ねんざ」「挫傷ざしょう」の概念がいねんとその歴史れきし的てき変遷へんせん」『日本にっぽん補完ほかん代替だいたい医療いりょう学会がっかい誌し』第だい8巻かん第だい2号ごう、2011年ねん、123-127頁ぺーじ、doi:10.1625/jcam.8.123、NAID 130001089228。 

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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