武田たけだ信しん豊ゆたか (若狭わかさ武田たけだ氏し)

凡例はんれい 武田たけだ 信しん豊ゆたか
時代じだい	戦国せんごく時代じだい
生誕せいたん	永えい正ただし11年ねん10月5日にち（1514年ねん10月22日にち）
死没しぼつ	天正てんしょう8年ねん（1580年ねん）？
改名かいめい	彦二ひこじ郎ろう（幼名ようみょう）→信しんじ豊ゆたか→紹真（号ごう）
戒名かいみょう	霊雲寺れいうんじ殿どの大仙だいせん紹其
官位かんい	伊豆いず守まもる、治部じぶ少しょう輔
幕府ばくふ	室町むろまち幕府ばくふ 若狭わかさ守護しゅご
主君しゅくん	足利あしかが義晴よしはる
氏族しぞく	若狭わかさ武田たけだ氏し
父母ちちはは	父ちち：武田たけだ元もと光ひかり
兄弟きょうだい	信しんじ豊ゆたか、信実しんじつ、内藤ないとう政信まさのぶ、山県やまがた盛もり信しん、 信しん高だか（信重のぶしげ?）
妻つま	六角ろっかく定頼さだより娘むすめ
子こ	義統よしむね、信しんじ方かた、信景さだかげ、信しんじ由ゆかり、義貞よしさだ

武田たけだ 信しん豊ゆたか（たけだ のぶとよ）は、戦国せんごく時代じだいの武将ぶしょう・大名だいみょう。武田たけだ元もと光ひかりの子こ。若狭わかさ国こく守護しゅご。若狭わかさ武田たけだ氏し7代だい当主とうしゅ。

生涯しょうがい

永えい正ただし11年ねん（1514年ねん）、若狭わかさ国こく守護しゅご・武田たけだ元もと光ひかりの子ことして誕生たんじょう。近江おうみ国こく守護しゅご・六角ろっかく定頼さだよりの娘むすめを妻つまに迎むかえた。

天文てんもん7年ねん（1538年ねん）、従弟じゅうていの武田たけだ信孝のぶたかを擁ようする粟屋あわや元もと隆たかしに勝利しょうり（『親おや俊しゅん日記にっき』）した前後ぜんご、もしくは天文てんもん8年ねん（1539年ねん）に父ちちから家督かとくを譲ゆずられたと考かんがえられている。天文てんもん8年ねん12月に伊豆いず守まもるに任にんぜられたが、同族どうぞくである甲斐かい武田たけだ氏しの武田たけだ晴信はるのぶ（信玄しんげん）が若狭わかさ武田たけだ氏しが代々だいだい任にんぜられてきた大膳だいぜん大夫たいふに任官にんかんされたために信しんじ豊ゆたかは最後さいごまで大膳だいぜん大夫たいふに任にんぜられることはなかった。

家督かとく継承けいしょう後ご、丹後たんご国こくに出兵しゅっぺいし、加佐かさ郡ぐんを平定へいていしたうえで家臣かしんの白井しらい氏しを郡代ぐんだいに配はいする。天文てんもん11年ねん（1542年ねん）、義兄ぎけいの細川ほそかわ晴はる元もとの要請ようせいにより河内かわうち国こくの太平寺たいへいじに拠よる三好みよし長慶ちょうけいを攻せめたが、逆ぎゃくに敗やぶれて有力ゆうりょく武将ぶしょうの多おおくを失うしなった。天文てんもん21年ねん（1552年ねん）、長慶ちょうけいに追おわれた晴はれ元もとを若狭わかさにて擁護ようごし、連歌れんがを興行こうぎょうした。天文てんもん23年ねん（1554年ねん）、晴はれ元もとの要請ようせいを受うけて逸見いつみ昌あきら経けいを丹波たんば国こくに出兵しゅっぺいさせ、長慶ちょうけいの家臣かしん・松永まつなが長ちょう頼よりゆきと戦たたかったが敗やぶれた。

弘治こうじ2年ねん（1556年ねん）頃ごろから、隠居いんきょの是非ぜひをめぐって嫡男ちゃくなん・義統よしむねとの争あらそいが起おこった。木下きのした聡さとしはこの隠居いんきょは義統よしむねではなくその弟おとうとの信しんじ由ゆかりに家督かとくを譲ゆずるためのものであったために義統よしむねが反発はんぱつしたとする。この渦中かちゅう、信しん豊ゆたか方かたに与くみしていた信しん高だかが死去しきょしたこともあり、劣勢れっせいとなり近江おうみへと逃亡とうぼうした。永えい禄ろく4年ねん（1561年ねん）、和議わぎが成立せいりつし帰国きこくした。この頃ころ、信しん豊ゆたかは出家しゅっけして紹真と号ごうした。しかし、その義統よしむねも永えい禄ろく10年ねん（1567年ねん）に病死びょうしし、翌よく永えい禄ろく11年ねん（1568年ねん）に、内乱ないらんの続つづく若狭わかさ国こくを越前えちぜん国こくの朝倉あさくら氏しが平定へいていし、義統よしむねの子こ・元明もとあきが朝倉あさくら氏しによって連行れんこうされたため、若狭わかさ武田たけだ氏しは事実じじつ上じょう、若狭わかさの支配しはい権けんを失うしなった。永えい禄ろく12年ねん（1569年ねん）、里村さとむら紹巴じょうはが若狭わかさを訪おとずれた際さいに連歌れんが会かいや『源氏物語げんじものがたり』の講釈こうしゃく会かいを催もよおした。また、元もと亀かめ3年ねん（1572年ねん）に朝倉あさくら義景よしかげが若狭わかさの寺院じいんに出だした安堵あんど状じょうの中なかで武田たけだ氏しの歴代れきだい当主とうしゅに触ふれた文言もんごんの中なかで信しんじ豊ゆたかだけを諱いみなで記しるしていることから、同年どうねん時点じてんでも信しんじ豊ゆたかが健在けんざいであった可能かのう性せいが高たかい。ただし、政治せいじ的てきな活動かつどうはみられないため、晩年ばんねんは若狭わかさ国内こくないへの影響えいきょう力りょくはほとんどない状態じょうたいであったとみられている。

没年ぼつねんは不ふ詳しょう、ただし息子むすこである義統よしむねの没年ぼつねんの異説いせつとされる天正てんしょう8年ねん（1580年ねん）4月がつ8日にちは信しんじ豊ゆたかの死去しきょの記事きじが誤あやまって既すでに死去しきょしている義統よしむねの死去しきょの記事きじとして記しるされた可能かのう性せいを指摘してきする説せつもある。法名ほうみょうは霊雲寺れいうんじ殿どの大仙だいせん紹其。

系譜けいふ

• 父ちち：武田たけだ元もと光ひかり
• 母はは：不ふ詳しょう
• 妻つま：六角ろっかく定頼さだより娘むすめ
  • 男子だんし：武田たけだ義統よしむね
  • 男子だんし：武田たけだ信景さだかげ
• 生母せいぼ不明ふめいの子女しじょ
  • 男子だんし：武田たけだ信しん方かた
  • 男子だんし：武田たけだ信しん由ゆかり
  • 男子だんし：武田たけだ義貞よしさだ

参考さんこう文献ぶんけん

• 米べい原はら正義まさよし「若狭わかさ武田たけだ氏しの文芸ぶんげい」『日本にっぽん歴史れきし』257号ごう、1969年ねん。 
• 米べい原はら正義まさよし「若狭わかさ武田たけだ氏しと禅僧ぜんそう」『小浜おばま市し史し紀要きよう』三さん諿、1972年ねん。 
• 木下きのした聡さとし「若狭わかさ武田たけだ氏しの研究けんきゅう史しとその系譜けいふ・動向どうこう」『シリーズ・中世ちゅうせい西国さいこく武士ぶしの研究けんきゅう 第だい四よん巻かん 若狭わかさ武田たけだ氏し』戎えびす光ひかり祥さち出版しゅっぱん、2016年ねん。ISBN 978-4-86403-192-9。 

外部がいぶリンク

• 福井ふくい県けん史し 年表ねんぴょう（1521～40年ねん）（2013-11-5アーカイブ） - 国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかんWeb Archiving Project