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ベニバナ

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紅花べにばなから転送てんそう
ベニバナ
ベニバナ
分類ぶんるい
さかい : 植物しょくぶつかい Plantae
もん : 被子植物ひししょくぶつもん Magnoliophyta
つな : そう子葉しよう植物しょくぶつつな Magnoliopsida
つな : キクつな Asteridae
: キク Asterales
: キク Asteraceae
: アザミ Carduoideae
ぞく : ベニバナぞく Carthamus
たね : ベニバナ C. tinctorius
学名がくめい
Carthamus tinctorius (Mohler, Roth, Schmidt & Boudreaux, 1967)
和名わみょう
ベニバナ
英名えいめい
Safflower
ベニバナはたけ埼玉さいたまけん桶川おけがわ
生薬きぐすりとして利用りようされる乾燥かんそうした紅花べにばな
Carthamus tinctorius

ベニバナ紅花べにばな学名がくめいCarthamus tinctorius)は、キクベニバナぞくいちねんくさまたは越年えつねんそう雅称がしょう末摘花すえつむはな(すえつむはな)ともいう[1]紅色こうしょく染料せんりょう食用しょくよう原料げんりょうとして栽培さいばいされる。

特徴とくちょう

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原産げんさんアフリカエチオピアといわれ地中海ちちゅうかいエジプトとお世界せかいひろまった。紀元前きげんぜん2世紀せいきごろには北方ほっぽう遊牧ゆうぼく民族みんぞく匈奴きょうどつたわり甘粛かんせいしょう付近ふきん栽培さいばいされていたが、かんたけみかどがこの占領せんりょうした。こうかん時代じだい(2 - 3世紀せいきごろ)には中国ちゅうごく本土ほんどでも栽培さいばいがされており、日本にっぽんには5世紀せいきごろ渡来とらいしたといわれている(6世紀せいき伝来でんらいせつもあり[2])。ふるくは和名わみょうを「くれのあい(あい)」といい、中国ちゅうごく伝来でんらい染料せんりょうとの意味いみ[2]。「すえつむはな(末摘花すえつむはな)」ともばれる[1]

たかさは1m。花期かきは6 - 7がつで、えださき頭状花とうじょうかをつける。はなは、はじめあざやかな黄色きいろで、オレンジを徐々じょじょあかくなる。

形態けいたい

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植物しょくぶつあぶらよう

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おおきくけてハイリノールしゅとハイリノレイックしゅけられる。後者こうしゃリノールさん代表だいひょうされる脂肪酸しぼうさん含有がんゆうりつひくく、リノールさん過剰かじょう摂取せっしゅ問題もんだいとなって以降いこう生産せいさんりょうばした[3]

食用しょくようはなるい

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ベニバナには食用しょくよう品種ひんしゅ食用しょくようべにばな)もある[4]

日本にっぽんでの産地さんち

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日本にっぽんでは、平安へいあん時代じだい千葉ちばけん長南ちょうなんまちさかんに栽培さいばいされた。

江戸えど時代じだい中期ちゅうき以降いこう現在げんざい山形やまがたけん最上もがみ地方ちほう埼玉さいたまけん桶川おけがわ上尾あげお周辺しゅうへん桶川おけがわ宿やどぺーじ参照さんしょう)でさかんに栽培さいばいされた。米沢よねざわはんでは江戸えど時代じだい初期しょき紅花べにばなげをはじめ、「べにもち」として商品しょうひんして京都きょうと大坂おおさかおくった[5][6][7]。また、9だい藩主はんしゅ上杉うえすぎ治憲はるのり鷹山ようざん)が奨励しょうれいした米沢よねざわにも紅花べにばなもちいられた[7][8][9]

また、『朝鮮ちょうせん王朝おうちょう実録じつろく』には、1497ねん朝鮮ちょうせん漂着ひょうちゃくした宮古列島みやこれっとう多良間島たらましま現在げんざい沖縄おきなわけん宮古みやふるぐん多良間たらまむら)の住民じゅうみんが「わがしま紅花べにばなおおし」とこたえたという記録きろくのこっており、多良間島たらましまでは当時とうじからベニバナが栽培さいばいされていたことがかっている[10]多良間島たらましまのベニバナは琉球りゅうきゅうおうみつげおさめされ、タラマバナとばれて珍重ちんちょうされた[11]

しかし、明治めいじ時代じだい以降いこう中国ちゅうごくさんのベニバナがさかんに輸入ゆにゅうされ、いで化学かがくてき合成ごうせい可能かのうアニリン染料せんりょう普及ふきゅうしたことから、ベニバナ生産せいさん急速きゅうそく衰退すいたいした。現在げんざいでは紅花べにばなめや観光かんこうようなどにわずかに栽培さいばいされている。

山形やまがたけんではベニバナが県花けんかになっており[12]どうけん河北かほくまちには「紅花べにばな資料しりょうかん」がある[13]。また、千葉ちばけん長南ちょうなんまちもベニバナをまちはな指定していしている[14]沖縄おきなわけん多良間たらまむらでもベニバナがむらはな指定していされている[15]

山形やまがたけん最上川もがみがわ流域りゅういき自治体じちたい山形やまがた米沢よねざわ酒田さかた天童てんどう山辺やまべまち中山ちゅうざんまち河北かほくまち白鷹しらたかまち)におけるベニバナ栽培さいばいやその生産せいさん加工かこう流通りゅうつう景観けいかんが「歴史れきし伝統でんとうつな山形やまがたの『最上さいじょう紅花べにばな日本にっぽん唯一ゆいいつ世界せかいでも稀有けう紅花べにばな生産せいさん染色せんしょくよう加工かこうシステム」として日本にっぽん農業のうぎょう遺産いさん認定にんていされている[16]

染料せんりょう

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ベニバナのはなんでから発酵はっこう乾燥かんそうさせたものが、紅色こうしょく染料せんりょう着色ちゃくしょくりょう食品しょくひん添加てんかぶつ化粧けしょうひん口紅くちべに)の材料ざいりょうとなる。

べに分離ぶんり

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ベニバナのはな黄色きいろないし紅色こうしょくをしている。はななかにはみずけやすい黄色おうしょく色素しきそサフロールイエローとみずけにくい紅色こうしょく色素しきそカルタミン混在こんざいしており、みずにさらすことによって分離ぶんりすることができる。紅色こうしょくだけをすにははなんですぐにみずにさらして乾燥かんそうさせる。そのかえすいさらしてはかわかすことで紅色こうしょくになる。日本にっぽん伝統でんとうてき製法せいほうでは、石灰せっかいすいふくかわみずもちいられる。

紅花べにばな

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紅花べにばなめは、みずにさらして乾燥かんそうさせたはなみずふくませてもちつきおな方法ほうほうきねでついたのちまるもちかたちにして乾燥かんそうさせた状態じょうたいべにもち(べにもち)を灰汁あくなかれてかきぜた状態じょうたいにしたのち、衣類いるいんでみずにさらす(いちめ。灰汁あくアルカリ性あるかりせいえきなのでにがく、いろもオレンジしょく仕上しあがる)。つぎに、べにもちりの灰汁あくがらすうめ少量しょうりょうくわえたものにんでみずにさらす(め。がらすうめクエン酸くえんさんおお酸性さんせい液体えきたいなのでっぱく、いろあかみがくわわってくる)。さらに、がらすうめすこしずつくわえて配合はいごうえながらなんげてみずにさらし乾燥かんそうさせると完成かんせいする。このような手間てまをかけるのは、いろ繊維せんいちゅうみにくい特性とくせいつことによる。

そのほかの利用りよう方法ほうほう

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生薬きぐすり

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漢方薬かんぽうやく原料げんりょうである乾燥かんそうしたベニバナ(丹波たんば市立しりつ薬草やくそうやくじゅ公園こうえん

乾燥かんそうさせたはな紅花べにばな(こうか)とばれ、血行けっこう促進そくしん作用さようがある生薬きぐすりとして日本にっぽん薬局方やっきょくほう収録しゅうろくされている。この生薬きぐすりは、やしなえいのちしゅなどにもふくまれる。また、ベニバナからつくった生薬きぐすりをツボなどの部位ぶいべにやいと(べにきゅう)というやいと一種いっしゅもある。葛根かずらね紅花べにばなしげるじゅんちょうつうみちびけなどのかん方方かたがたざい使つかわれる。

紅花べにばな

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口紅くちべに

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  • ベニバナから赤色あかいろ色素しきそ抽出ちゅうしゅつし、陶磁器とうじきせい猪口ちょこ内側うちがわなどにすり乾燥かんそうさせたもの。良質りょうしつべに赤色あかいろ反対はんたいしょくである玉虫色たまむしいろかがやきをはなち、江戸えど時代じだいには小町こまちくれない製造せいぞう販売はんばいされた。

その

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ベニバナにちな事物じぶつ

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脚注きゃくちゅう

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  1. ^ a b c 6~7がつほこるベニバナと『源氏物語げんじものがたり』の意外いがい関係かんけい”. Weathernews (2018ねん6がつ25にち). 2024ねん4がつ28にち閲覧えつらん
  2. ^ a b しょうよう日本にっぽん薬局方やっきょくほう』(15改正かいせい収載しゅうさいかんやくらいみなもと」『生薬きぐすりがく雑誌ざっしだい61かんだい2ごう、2007ねん、p.72、ISSN 00374377 
  3. ^ 紅花べにばな(サフラワー)って危険きけんあぶら?その成分せいぶん効果こうか”. タベルゴ (2017ねん5がつ17にち). 2018ねん4がつ8にち閲覧えつらん
  4. ^ 食用しょくようはなるい Edible flowers”. 農林水産省のうりんすいさんしょう. 2022ねん2がつ23にち閲覧えつらん
  5. ^ 米沢よねざわく、紅花べにばな」(PDF)『広報こうほうよねざわ』2022ねん9がつ1にちごう No1647、米沢よねざわ、2022ねん9がつ1にち、3-7ぺーじオリジナルの2023ねん8がつ12にち時点じてんにおけるアーカイブ。 
  6. ^ 米沢よねざわ織物おりものとは”. 米沢よねざわ繊維せんい協議きょうぎかい. 2023ねん6がつ4にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2023ねん8がつ12にち閲覧えつらん
  7. ^ a b 紅花べにばなとは”. 最上川もがみがわ源流げんりゅうよねざわ紅花べにばなプロジェクト推進すいしん協議きょうぎかい. 2023ねん6がつ5にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2023ねん8がつ12にち閲覧えつらん
  8. ^ 藤原ふじわら正彦まさひこわたし代表だいひょうてき日本人にっぽんじん 文藝春秋ぶんげいしゅんじゅう2023ねん9がつごうp329.
  9. ^ 歴史れきし伝統でんとうがつなぐ山形やまがたの「最上さいじょう紅花べにばな”. 農水省のうすいしょう. 2023ねん8がつ12にち閲覧えつらん
  10. ^ 多良間たらまでベニバナ満開まんかい. 宮古みやこ毎日新聞まいにちしんぶん. (2015ねん4がつ17にち). オリジナルの2015ねん7がつ8にち時点じてんにおけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20150708083824/http://www.miyakomainichi.com/2015/04/74999/ 
  11. ^ 桃色ももいろ衣裳いしょう王国おうこくうるし工芸こうげい技術ぎじゅつ螺鈿らでんはく沈金ちんきん”. 那覇なは歴史れきし博物館はくぶつかん. 2017ねん6がつ9にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2022ねん1がつ10日とおか閲覧えつらん
  12. ^ 生産せいさんりょう日本一にっぽんいち けんはな紅花べにばな」の収穫しゅうかく最盛さいせいむかえる」『山形やまがた NEWS WEB』NHK、2023ねん7がつ11にち2024ねん4がつ28にち閲覧えつらん
  13. ^ 紅花べにばな資料しりょうかん/ひなとべにばなさと河北かほくまち”. 河北かほくまち役場やくば (2023ねん10がつ31にち). 2024ねん4がつ28にち閲覧えつらん
  14. ^ まちのプロフィール”. 長南ちょうなんまち. 2021ねん5がつ16にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2022ねん1がつ10日とおか閲覧えつらん
  15. ^ 、オレンジ しょくあざやかタラマバナ 収穫しゅうかく最盛さいせい ちゃ染料せんりょうに”. 琉球新報りゅうきゅうしんぽう. (2020ねん4がつ25にち). オリジナルの2020ねん4がつ29にち時点じてんにおけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20200429173113/https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1113072.html 
  16. ^ 歴史れきし伝統でんとうがつなぐ山形やまがたの「最上さいじょう紅花べにばな」が日本にっぽん農業のうぎょう遺産いさん認定にんていされました”. 山形やまがた (2021ねん10がつ29にち). 2024ねん5がつ24にち閲覧えつらん
  17. ^ 蔵王ざおうべにばなにわとり - 食肉しょくにく用語ようごだい辞典じてんHP、2016ねん6がつ11にち閲覧えつらん
  18. ^ 米国べいこくでのベニバナでつくったインスリンのヒト臨床りんしょう試験しけんちか実施じっし予定よてい”. HOBIA (2008ねん9がつ21にち). 2020ねん9がつ28にち閲覧えつらん
  19. ^ 紅花べにばなせられて…映画えいが「おもひでぽろぽろ」の舞台ぶたいから”. 読売新聞よみうりしんぶん. (2021ねん5がつ13にち). オリジナルの2021ねん5がつ13にち時点じてんにおけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20210513051829/https://www.yomiuri.co.jp/local/michinoku/20210511-OYT8T50033/ 

外部がいぶリンク

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