豊ゆたか渓けい里さと核かく実験じっけん場じょう

豊ゆたか渓けい里さと核かく実験じっけん場じょう
各種かくしゅ表記ひょうき
ハングル：	풍계리핵실험장
漢字かんじ：	豐ゆたか溪けい里さと核かく實驗じっけん場じょう
発音はつおん：	プンゲリカクヘクシルホムジャン
日本語にほんご読よみ：	ほうけいりかくじっけんじょう
英語えいご表記ひょうき：	Punggyeri Haek Silheomjang

北朝鮮きたちょうせん内ないの位置いち

豊ゆたか渓けい里さと核かく実験じっけん場じょう（プンゲリかくじっけんじょう）は、朝鮮民主主義人民共和国ちょうせんみんしゅしゅぎじんみんきょうわこく（北朝鮮きたちょうせん）の核かく実験じっけん場じょうである。北朝鮮きたちょうせん北東ほくとう部ぶの咸鏡北道ほくどう吉よし州しゅう郡ぐん豊ゆたか渓けい里さとにあり、人工じんこう衛星えいせい画像がぞうに基もとづく正確せいかくな座標ざひょうは、北緯ほくい41度ど16分ふん41秒びょう 東経とうけい129度ど05分ふん15秒びょうである。付近ふきんの化成かせい強制きょうせい収容しゅうよう所しょに収容しゅうようされた政治せいじ犯はんらによって建設けんせつされたとされる。

地理ちり

万ばん塔山とうやま（만탑산）から2キロメートル南みなみ、化成かせい強制きょうせい収容しゅうよう所しょから12キロメートル西にし、豊ゆたか渓けい里さとの12キロメートル北きたにある。人工じんこう衛星えいせい画像がぞうからは3つの隧道すいどうが視認しにんできる。また、承うけたまわ旨むね白岩しらいわという集落しゅうらくが、2013年ねんの実験じっけんの際さいの震央しんおうから24キロメートル離はなれて立地りっちされている。中ちゅう朝ちょう国境こっきょうに位置いちする恵山えさん市しと鉄路てつろで結むすばれた豊ゆたか渓けい駅えきが北緯ほくい41.130833度ど 東経とうけい129.163611度ど / 41.130833; 129.163611に立地りっちしている。交通こうつうの便びんの良よさから、核かく実験じっけんに必要ひつような資材しざいの搬入はんにゅうが容易よういにでき、人員じんいんも収容しゅうよう所しょから調達ちょうたつできると考かんがえられる。

2006年ねんから2017年ねんまでに北朝鮮きたちょうせんが行おこなった全ぜん6回かいの核かく実験じっけんはここで行おこなわれてきた。内部ないぶの正確せいかくな構造こうぞうはよくわかっていないが、万ばん塔山とうやまに多数たすうの坑道こうどうが掘ほられていると推測すいそくされる。

アメリカ地震じしん学会がっかい誌しは2018年ねん11月がつ号ごうで、アメリカや中国ちゅうごくの地震じしん学者がくしゃによる、北朝鮮きたちょうせんの核かく実験じっけん (2017年ねん9月がつ)を分析ぶんせきした複数ふくすうの論文ろんぶんを掲載けいさい。地震じしん波はの分析ぶんせきなどから、核かく爆発ばくはつの高熱こうねつで約やく600メートル地下ちかの岩盤がんばんが融解ゆうかいして半径はんけい41メートルの空洞くうどうができて、8分ふん後ごに崩壊ほうかい。地表ちひょうで陥没かんぼつや土石流どせきりゅうを誘発ゆうはつしたと推測すいそくしている。後述こうじゅつのように、北朝鮮きたちょうせんは2018年ねん5月がつに一部いちぶ施設しせつを爆破ばくはする映像えいぞう付つきで実験じっけん場じょうの閉鎖へいさを発表はっぴょうしたが、それ以前いぜんから、核かく実験じっけん場じょうとしては使用しよう困難こんなんになったと見みられている。

また、2018年ねん4月がつ27日にちに行おこなわれた2018年ねん南北なんぼく首脳しゅのう会談かいだんの席上せきじょうで、金きむ正ただし恩おん朝鮮ちょうせん労働党ろうどうとう委員いいん長ちょうは「5月がつ中ちゅうに閉鎖へいさする」と述のべ、「まだ使つかわれていない坑道こうどうが2つある」とも言及げんきゅうした。 さらに「閉鎖へいさするときには、対外たいがい公開こうかいすることを約束やくそくする」とも述のべた。

沿革えんかく

2013年ねん1月がつ、Google マップが更新こうしんされ、北朝鮮きたちょうせんの様々さまざまな施設しせつが見みられるようになった。2013年ねん2月がつ4日にち、韓国かんこく国防省こくぼうしょうは一部いちぶの坑道こうどう構造こうぞう図ずと思おもわれる写真しゃしんを公開こうかいした。この写真しゃしんによれば、坑道こうどうの長ながさは1キロメートルに上のぼり、放射線ほうしゃせんの漏出ろうしゅつを防ふせぐための遮蔽しゃへい壁かべが9箇所かしょにあるという。2013年ねん4月がつ8日にち、韓国かんこく軍ぐんは豊ゆたか渓けい里さと周辺しゅうへんでの活動かつどうを監視かんしし、4度目どめの実験じっけん準備じゅんびが進行しんこうしているのではないかという推測すいそくを立たてた。後のちに、この活動かつどうは長期ちょうき活動かつどうによるものではないかと考かんがえられるようになり、すぐさまの実験じっけんはないだろうと結論けつろん付つけられた。2016年ねん1月がつ6日にち、平壌放送ぴょんやんほうそうは、2013年ねんから準備じゅんびしていた場所ばしょで水爆すいばく実験じっけんを行おこなったと公表こうひょうした。当初とうしょは、観測かんそくされた爆発ばくはつの規模きぼから水爆すいばくではないという疑うたがいを日米にちべいは持もっていたが、その後ごの解析かいせきから、実験じっけん場所ばしょが当初とうしょ想定そうていの2倍ばい深ふかいところにあることが判明はんめいし、水爆すいばくの部品ぶひんが一部いちぶだけ作動さどうした失敗しっぱいの疑うたがいが持もたれている。

2017年ねん1月がつと4月がつには、38ノース提供ていきょうの衛星えいせい写真しゃしんから活動かつどうが示唆しさされ、同年どうねん9月がつ3日にちに実験じっけんがあった。中国ちゅうごく地震じしん局きょくは、この核かく実験じっけんの10分ふん後ごに、豊ゆたか渓けい里さと核かく実験じっけん場じょう付近ふきんでマグニチュード4.6・震源しんげんの深ふかさ0キロメートルの地震じしんを観測かんそくしており、周辺しゅうへんの地盤じばんが陥没かんぼつした可能かのう性せいを指摘してきしている。また、『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』は同年どうねん9月がつ4日にち付づけの紙面しめんにて、これ以上いじょうの核かく実験じっけんは山やま体たい自体じたいの崩壊ほうかいを招まねき、放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつの拡散かくさんが懸念けねんされるとした、中国ちゅうごくの専門せんもん家かの意見いけんを掲載けいさいした。このような懸念けねんは同年どうねん9月がつ20日はつかに北京ぺきんで開催かいさいされた中なか朝あさの地質ちしつ学者がくしゃの会合かいごうにて中国ちゅうごく側がわから北朝鮮きたちょうせん側がわに伝つたえられたと報ほうじられている。

2017年ねん10月がつ31日にち、テレビ朝日てれびあさひが、北朝鮮きたちょうせん消息筋しょうそくすじの情報じょうほうとして同年どうねん9月がつ、核かく実験じっけん後ごの地下ちか坑道こうどうで大だい規模きぼな崩落ほうらく事故じこが起おき、200人にん余あまりが死亡しぼうした可能かのう性せいがあると報道ほうどうした。これに対たいして同年どうねん11月がつ2日にち、朝鮮中央通信ちょうせんちゅうおうつうしんは、実験じっけん場じょうの崩落ほうらく報道ほうどうが虚偽きょぎであると反論はんろん。日本にっぽん当局とうきょくがテレビ朝日てれびあさひに、虚偽きょぎ報道ほうどう・謀略ぼうりゃく報道ほうどうをさせたとして批判ひはんした。

この北朝鮮きたちょうせんの核かく実験じっけん (2017年ねん9月がつ)により、万ばん塔山とうやまで地表ちひょう部ぶのずれや沈下ちんかが発生はっせいしたとの分析ぶんせきが、米べい科学かがく誌し『サイエンス』2018年ねん5月がつ10日にち付づけに掲載けいさいされた。

2018年ねん1月がつに『毎日新聞まいにちしんぶん』が、豊ゆたか渓けい里さと周辺しゅうへんで放射線ほうしゃせん被曝ひばくによるとみられる健康けんこう被害ひがいが発生はっせいしており、当該とうがい地域ちいきからの脱北者だっぽくしゃに染色せんしょく体たい異常いじょうが確認かくにんされたと報道ほうどうした。

2018年ねん4月がつ20日はつかに開催かいさいされた朝鮮ちょうせん労働党ろうどうとう中央ちゅうおう委員いいん会かい第だい7期き第だい3回かい総会そうかいで豊ゆたか渓けい里さと核かく実験じっけん場じょうの廃棄はいきが決定けっていされた。

2018年ねん5月がつに北朝鮮きたちょうせんはアメリカのメディアに核かく実験じっけん場じょうでの取材しゅざいには1人ひとり当あたり1万まんドル(110万まん円えん)を支払しはらうことを要求ようきゅうした。

5月24日にちには、残のこりの坑道こうどう、施設しせつを爆破ばくはした

2022年ねん3月がつ7日にち、アメリカのNBCテレビは豊ゆたか渓けい里さと核かく実験じっけん場じょうで、新あらたな建物たてものの建設けんせつや施設しせつ復旧ふっきゅうに向むけた動うごきがあることを衛星えいせい画像がぞうで確認かくにんしたと報ほうじた。