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北朝鮮きたちょうせんによるミサイル発射はっしゃ実験じっけん (1998ねん)

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

1998ねん北朝鮮きたちょうせんによるミサイル発射はっしゃ実験じっけん(1998ねんのきたちょうせんによるミサイルはっしゃじっけん)とは、1998ねん8がつ31にち北朝鮮きたちょうせん西側にしがわ諸国しょこくにおいてテポドン1ごうばれる弾道だんどうミサイル日本海にほんかいけて発射はっしゃした実験じっけん

概要がいよう

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発射はっしゃされたテポドン1ごう津軽海峡つがるかいきょう付近ふきんから日本にっぽん列島れっとうえるコースを飛行ひこうし、だい一段いちだん日本海にほんかいに、だいだん太平洋たいへいよう落下らっかした。この発射はっしゃ実験じっけんでは、大気圏たいきけんそととはいえ事前じぜん通告つうこくなしに日本にっぽん上空じょうくう通過つうかしたため、小渕おぶち内閣ないかくマスコミ世論せろん敏感びんかん反応はんのうし、北朝鮮きたちょうせん新型しんがた弾道だんどうミサイル発射はっしゃ実験じっけんおこなったとして、以前いぜんおこなった1993ねん5月のノドン発射はっしゃさいにはひょうあらわれなかった北朝鮮きたちょうせんたいする反発はんぱつがまきこった。また、アメリカ本土ほんどにもとど大陸たいりくあいだ弾道だんどうミサイルとなるため、北東ほくとうアジア平和へいわ深刻しんこく懸念けねん材料ざいりょうになったとされている。以下いか平成へいせい11年度ねんどばん防衛ぼうえい白書はくしょ記述きじゅつしるす。

防衛庁ぼうえいちょうは、北朝鮮きたちょうせんのミサイル発射はっしゃかんし、各種かくしゅ情報じょうほうなどから総合そうごうてき判断はんだんし、昨年さくねん8がつ中旬ちゅうじゅんごろより、艦艇かんてい航空機こうくうき派遣はけんするなど情報じょうほう収集しゅうしゅう態勢たいせい強化きょうかした。発射はっしゃ前後ぜんこう期間きかんは、海上かいじょう自衛隊じえいたいでは、P-3Cなどの航空機こうくうき護衛ごえいかん「みょうこう」などの艦艇かんてい日本海にほんかい派遣はけんし、情報じょうほう収集しゅうしゅうたらせていた。また、航空こうくう自衛隊じえいたいではE-2Cなどの航空機こうくうき派遣はけん情報じょうほう収集しゅうしゅうたらせていた。

防衛庁ぼうえいちょうは、8がつ31にち米国べいこくより、北朝鮮きたちょうせん東部とうぶ沿岸えんがんから弾道だんどうミサイル1日本にっぽん時間じかん同日どうじつ午後ごご0ぎに発射はっしゃされ、たま地域ちいき日本海にほんかいウラジオストク南方なんぽう海域かいいき予想よそうされるむね早期そうき警戒けいかい情報じょうほうちゅう6-11)を受領じゅりょうし、公表こうひょうした。その収集しゅうしゅうしたしょ情報じょうほう分析ぶんせき結果けっか1個いっこ物体ぶったい日本海にほんかいに、また、2物体ぶったい三陸さんりくおき落下らっかしたものと推測すいそくされたため、発射はっしゃされたものは2段式だんしきミサイルであり、だい1だん推進すいしん装置そうち日本海にほんかいに、また、だい2だん推進すいしん装置そうちおよ弾頭だんとう三陸さんりくおき落下らっかしたものと判断はんだんし、そのむね9がつ1にち公表こうひょうした(弾道だんどうミサイルの一部いちぶ三陸さんりくおき公海こうかいじょう落下らっかした可能かのうせいについては、8がつ31にちよる公表こうひょう)。

また、防衛庁ぼうえいちょうでは、9月1にちと2にちの2日間にちかん物体ぶったい落下らっかした可能かのうせいのある海域かいいき艦艇かんてい航空機こうくうき派遣はけんし、落下らっかぶつ捜索そうさくおこなったが、落下らっかぶつ破片はへんなどは発見はっけんされなかった。

9月4にち北朝鮮きたちょうせん朝鮮中央通信ちょうせんちゅうおうつうしんしゃ今回こんかい発射はっしゃは「人工じんこう衛星えいせいきん地点ちてん219km、遠地点えんちてん6,978kmの楕円だえん軌道きどう)」のげであるむね発表はっぴょうした。防衛庁ぼうえいちょうは、このてんについて、当該とうがい時点じてんまでに保有ほゆうしていた解析かいせき結果けっかをもとに検討けんとうし、北朝鮮きたちょうせん主張しゅちょうするような物体ぶったい地球ちきゅう周回しゅうかい軌道きどうったことをしめすデータは確認かくにんされなかったことなどから、北朝鮮きたちょうせん報道ほうどうう「人工じんこう衛星えいせい」は存在そんざいせず、実際じっさい人工じんこう衛星えいせい軌道きどう投入とうにゅうされた可能かのうせいちいさいものと判断はんだんした。

他方たほう防衛庁ぼうえいちょうは、今回こんかいのミサイル発射はっしゃについては、つづ詳細しょうさい各種かくしゅデータを解析かいせきする必要ひつようがあるとの観点かんてんから、米国べいこく協力きょうりょくつつ精密せいみつ解析かいせきおこなうとともに、9がつ中旬ちゅうじゅんには情報じょうほう本部ほんぶなどから専門せんもん米国べいこく派遣はけんして意見いけん交換こうかん実施じっしするなど、各種かくしゅ分析ぶんせき作業さぎょう継続けいぞくした。

現時点げんじてんまでに入手にゅうしゅしょ情報じょうほう分析ぶんせき検討けんとうしてられた今回こんかい発射はっしゃされた飛翔ひしょうたいかんする事実じじつ関係かんけいは、以下いかのとおりである。

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北朝鮮きたちょうせんのミサイル飛翔ひしょうじょうきょうおよかく物体ぶったい落下らっか地点ちてん
今回こんかい発射はっしゃされた飛翔ひしょうたい判読はんどく
  1. 8がつ31にち日本にっぽん時間じかん午後ごご0ぎ、北朝鮮きたちょうせん東部とうぶ大浦おおうらほら(テポドン)付近ふきんのミサイル発射はっしゃ施設しせつより1飛翔ひしょうたい発射はっしゃされた。
  2. 発射はっしゃやく1~2ふん飛翔ひしょうたい物体ぶったい物体ぶったいA)を分離ぶんりし、どう物体ぶったい日本海にほんかい落下らっかしたものと推定すいていされる。この物体ぶったいAは、だい1だん推進すいしん装置そうちであるとかんがえられる。
  3. 物体ぶったいAを分離ぶんりした飛翔ひしょうたいは、さら加速かそくつづけ、物体ぶったいAを分離ぶんりしてしばらくしたのちべつ物体ぶったい物体ぶったいB)を分離ぶんりした。この物体ぶったいBは、日本にっぽん上空じょうくう通過つうかし、三陸さんりくおき太平洋たいへいよう落下らっかしたものと推定すいていされる。なお、物体ぶったいBについては、その飛翔ひしょう態様たいようなどから、飛翔ひしょうたい先端せんたん外郭がいかくおおっている部分ぶぶんであると判断はんだんされるが、細部さいぶ不明ふめいである。
  4. 残余ざんよ部分ぶぶん物体ぶったいC)はさらすう分間ふんかん平坦へいたん弾道だんどう軌道きどうえがいて飛翔ひしょうしたのち大気圏たいきけんさい突入とつにゅうした。その三陸さんりくおきさら遠方えんぽう太平洋たいへいよう落下らっかしたものと推定すいていされる。
  5. さらに、精密せいみつ解析かいせき結果けっか物体ぶったいCがその推力すいりょくうしな直前ちょくぜんなんらかのちいさな物体ぶったい物体ぶったいD)が分離ぶんりし、この物体ぶったいDは、短時間たんじかん飛翔ひしょうしたのみであり、衛星えいせい軌道きどうるために必要ひつよう速度そくどにはたっしなかった。
なお、この物体ぶったいDには、その飛翔ひしょう態様たいようから、固体こたい燃料ねんりょう使用しようされていたものとおもわれる。 — 防衛ぼうえい白書はくしょ11年度ねんどばん だい6しょうだい2せつ[1]

北朝鮮きたちょうせん主張しゅちょう

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日本にっぽんがわ反発はんぱつたいし、北朝鮮きたちょうせんがわ自国じこく自主権じしゅけんみにじる行為こうい反論はんろんしていた。北朝鮮きたちょうせん最高さいこう人民じんみん会議かいぎ開催かいさいされた9月4にち朝鮮ちょうせん中央ちゅうおう放送ほうそう発射はっしゃ映像えいぞうとともに、発射はっしゃ人工じんこう衛星えいせい光明こうみょうほし1ごう」を搭載とうさいした「白頭山はくとうさん1ごう(ペクトゥサン イルホ)」ロケットのげであり、人工じんこう衛星えいせい地球ちきゅう周回しゅうかい軌道きどうへの投入とうにゅう成功せいこうしたと報道ほうどうした[2][3]

北朝鮮きたちょうせんがわ主張しゅちょうによれば、現地げんち時間じかん午後ごご127ふん発射はっしゃしたあと、4ふん53びょうに「光明こうみょうぼし1ごう」が地球ちきゅう周回しゅうかい軌道きどうり、きむ日成いるそんきむ正日じょんいる賞賛しょうさんする音楽おんがく旋律せんりつモールス符号ふごうはっしているとし、人工じんこう衛星えいせい軌道きどう要素ようそ発表はっぴょうした。しかし、地球ちきゅう軌道きどうじょう人工じんこう物体ぶったい監視かんししている、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくきたアメリカ航空こうくう宇宙うちゅう防衛ぼうえい司令しれい(NORAD)は、そのような人工じんこう衛星えいせい確認かくにんできないとした。

影響えいきょう

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この発射はっしゃ実験じっけんにより、国際こくさい連合れんごう安全あんぜん保障ほしょう理事りじかい招集しょうしゅうされ「ロケット推進すいしんによる物体ぶったいげた行為こういたい遺憾いかんしめす」との報道ほうどう発表はっぴょう(プレス声明せいめい)がおこなわれた。

国際こくさいほううえ、いかなる国家こっか周辺しゅうへんこくたい飛翔ひしょうたい発射はっしゃ事前じぜん通告つうこく義務ぎむがあるわけではないが、不測ふそく事態じたい回避かいひするために、発射はっしゃする通達つうたつおこなわれなかった。くしくもどう時期じきだいさん台湾たいわん海峡かいきょう危機ききで、中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく台湾たいわん牽制けんせいするために弾道だんどうミサイル発射はっしゃ実験じっけんおこなったが、すべて事前じぜん台湾たいわん海峡かいきょう目標もくひょう海域かいいき通告つうこくしていた。またイスラエルも、周辺しゅうへんアラブ諸国しょこくにロケットの残骸ざんがい落下らっかして紛争ふんそう火種ひだねにならないために、軌道きどう投入とうにゅう不利ふりになる西向にしむきに衛星えいせいロケットを発射はっしゃしている。

また前述ぜんじゅつ中国ちゅうごくのミサイルは目立めだつように白色はくしょく塗装とそうされていたが、テポドン1ごうは、核保有かくほゆうこく大陸たいりくあいだ弾道だんどうミサイル(ICBM)のようなオリーブドラブで塗装とそうしていた。

このげを契機けいきとして日本国にっぽんこく政府せいふは、このような事態じたい早期そうき把握はあくするためとして、偵察ていさつ目的もくてき情報じょうほう収集しゅうしゅう衛星えいせい導入どうにゅうすることを決定けっていした。

衆議院しゅうぎいん議員ぎいん近藤こんどう昭一しょういち民主党みんしゅとう)は、日本国にっぽんこく政府せいふ北朝鮮きたちょうせんによるミサイル発射はっしゃ実験じっけん抗議こうぎしたことを「過敏かびん反応はんのう」とし、北朝鮮きたちょうせんたいし「遺憾いかんおもう」と表明ひょうめいした[4]

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/1999/w1999_00.html 2012ねん3がつ閲覧えつらん
  2. ^ <북한 인공위성 발사> 발사성공 선전열중 - KBS NEWS(韓国かんこく放送ほうそう公社こうしゃ韓国かんこく(KBSニュース9、1998ねん9がつ5にち
  3. ^ 북한, 연일 인공위성 발사 선전 공세韓国かんこく(MBCニュースデスク、1998ねん9がつ6にち
  4. ^ 国防こくぼう委員いいんかい委員いいんちょう推戴すいたいいわう/各国かっこく大使たいし各界かくかい人士じんし談話だんわ」『朝鮮ちょうせん新報しんぽう』1998ねん9がつ18にち2023ねん2がつ28にち閲覧えつらん ※この記事きじちゅうに、近藤こんどうのメッセージも掲載けいさいされている。

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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  • ミサイル発射はっしゃ関連かんれん韓国かんこくのテレビニュース韓国かんこく