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KN-23

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
火星かせい11A(KN-23)
種類しゅるい 戦術せんじゅつ弾道だんどうミサイル
はら開発かいはつこく 朝鮮民主主義人民共和国の旗 朝鮮民主主義人民共和国ちょうせんみんしゅしゅぎじんみんきょうわこく
運用うんよう
配備はいびさき 朝鮮民主主義人民共和国の旗 朝鮮民主主義人民共和国ちょうせんみんしゅしゅぎじんみんきょうわこく
ロシアの旗 ロシア
関連かんれん戦争せんそう紛争ふんそう ロシアのウクライナ侵攻しんこう
開発かいはつ
開発かいはつ期間きかん 2018ねん
製造せいぞう業者ぎょうしゃ 2がつ11にち工場こうじょう
しょもと
重量じゅうりょう 3,415 kg (7,529 lb)
全長ぜんちょう 8.7 m (29 ft) (early)
9.8 m (32 ft) (late)
直径ちょっけい 1.1 m (3 ft 7 in)[1]

精度せいど 35 m[4]
弾頭だんとう 500 kg (1,100 lb), 核弾頭かくだんとうおよび通常つうじょう弾頭だんとう[2]

エンジン 固体こたいコンポジット燃料ねんりょう
誘導ゆうどう方式ほうしき 慣性かんせい航法こうほう装置そうち (INS)、衛星えいせい誘導ゆうどう可能かのうせい
発射はっしゃ
プラットフォーム
8×8りんTEL
10×10りんTEL
移動いどうしき発射はっしゃだい
鉄道てつどう車両しゃりょう
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KN-23、正式せいしき名称めいしょう火星かせい11A (《화성-11가》 Hwasong-11Ga) (火星かせい11改良かいりょうがた)[5][6] とは、北朝鮮きたちょうせん固体こたい燃料ねんりょうしき戦術せんじゅつ弾道だんどうミサイルである。

設計せっけい

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初期しょきがた

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KN-23の外観がいかんロシアイスカンデルMおよび韓国かんこく玄武げんぶ2B短距離たんきょり弾道だんどうミサイルに類似るいじしており、38ノースでは「イスカンデルMを土台どだい開発かいはつされた」と推定すいていしているが[7]、それらと比較ひかくしてケーブル・レースウェイが細長ほそながいこと、ジェットベーン・アクチュエータの形状けいじょうことなること、イスカンデルMには設置せっちされている9B899デコイたま射出しゃしゅつあながなく、底面ていめんなめらかなことによって外観がいかんじょう区別くべつされる[8][9]

KN-23はイスカンデルMと同様どうようじゅん弾道だんどう軌道きどう飛行ひこうするミサイルであり、十分じゅうぶん濃度のうど大気たいき存在そんざいする高度こうど50km付近ふきん比較的ひかくてき平坦へいたん軌道きどうりながら、操舵そうだつばさ動作どうささせて飛行ひこうちゅう進路しんろ変更へんこうすることもできる。重量じゅうりょう500kgの弾頭だんとう装着そうちゃくした場合ばあい射程しゃてい距離きょりは450kmであり、韓国かんこく全土ぜんど射程しゃてい範囲はんいおさめているが、より軽量けいりょう弾頭だんとう装着そうちゃくすることによって射程しゃていを690kmまで延伸えんしんすることも可能かのうとされている。弾頭だんとう通常つうじょう単一たんいつ弾頭だんとうほかクラスターばくだん弾頭だんとう核弾頭かくだんとう搭載とうさいできるとかんがえられている。弾頭だんとう分離ぶんりせず、ロケットモーターと弾頭だんとう一体いったいのまま目標もくひょう突入とつにゅうする[10]。ミサイルの着弾ちゃくだん精度せいどしめ平均へいきん誤差ごさ半径はんけい(CEP)は衛星えいせい誘導ゆうどう併用へいようした場合ばあいで100m、慣性かんせい航法こうほう装置そうちのみを使用しようした場合ばあいは200mとされる。発射はっしゃには移動いどう可能かのうな8×8りん輸送ゆそう起立きりつ発射はっしゃ(TEL)がもちいられる。

外見がいけんこそイスカンデルMに類似るいじするKN-23であるが、直径ちょっけいは1.1mと推定すいていされており、これはイスカンデルMよりおおきい。この差異さいはKN-23が北朝鮮きたちょうせん潜水艦せんすいかん発射はっしゃ弾道だんどうミサイルの1つである北極星ほっきょくせい1ごう(KN-11)と同一どういつ固体こたいロケットモーター使用しようしているためであるとかんがえられている。1段式だんしきであるてん共通きょうつうであるが、ロケットモーターの全長ぜんちょう北極星ほっきょくせい1ごうより多少たしょうながくとられている。このことから、KN-23のロケットモーターはイスカンデルMのそれとは構造こうぞうおおきくことなっており、それゆえにTELもイスカンデルMのそれとはことなるものが使用しようされている[11]

KN-23は、北朝鮮きたちょうせん従来じゅうらい保有ほゆうしてきた液体えきたい燃料ねんりょうしきミサイルである火星かせい5およ火星かせい6える可能かのうせいたかい。固体こたい燃料ねんりょうしきであり発射はっしゃ準備じゅんび時間じかんようしないこと、移動いどう可能かのうであることから、交戦こうせんこく発射はっしゃ事前じぜん探知たんちしミサイルを破壊はかいすることがよりむずかしくなるとかんがえられる。また、発射はっしゃ低空ていくう飛行ひこうしつつ複雑ふくざつ軌道きどうとく終末しゅうまつ段階だんかいでのプルアップ機動きどう)をとり、短時間たんじかん飛来ひらいすることから、従来じゅうらいミサイル防衛ぼうえいシステムによる探知たんち迎撃げいげき困難こんなんとされる。攻撃こうげきがわとしては、たか着弾ちゃくだん精度せいどかして従来じゅうらいよりもすくないかずのミサイルで目標もくひょう破壊はかいすることが可能かのうとなる。

KN-23にかんする朝鮮中央通信ちょうせんちゅうおうつうしん報道ほうどうは、せんぐんへの配備はいび過程かてい焦点しょうてんてられており、開発かいはつ過程かていかんする報道ほうどうはほとんどなされていない。このことから、KN-23の開発かいはつ部品ぶひん供給きょうきゅうなどなんらかのかたち外国がいこく勢力せいりょく関与かんよしていた可能かのうせい示唆しさされている。また、KN-23よりものち登場とうじょうしたKN-24が「主体しゅたいたま」とばれているのにたいし、KN-23にたいしては「主体しゅたいだん」の呼称こしょうもちいられていない。報道ほうどうにおいて配備はいび過程かてい戦闘せんとう準備じゅんび側面そくめんばかりが強調きょうちょうされていることにかんしては、火星かせい10(ムスダン)のように配備はいびしばらく実験じっけんおこなわれていなかったことを反映はんえいしている可能かのうせいもある[12]

ただし、前述ぜんじゅつのとおりイスカンデルMとKN-23のあいだには随所ずいしょおおきな差異さい存在そんざいしている[13]

KN-23の弾頭だんとうスカッドBやイスカンデルMと比較ひかくして大型おおがたされており、最大さいだい1,500kgの高性能こうせいのう炸薬さくやく充填じゅうてんするのに十分じゅうぶんなスペースがあるとかんがえられている。参考さんこうまでに、スカッドBの炸薬さくやく搭載とうさいりょうは700kg、イスカンデルMのそれは800kgである。

拡大かくだいがた

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KN-23拡大かくだいがたのイラスト

2021ねん1がつ14にちおこなわれた軍事ぐんじパレードにてはじめて存在そんざい確認かくにんされた。この拡大かくだいがた全長ぜんちょう9.8mと推定すいていされ、ロケットモーターに追加ついかのセグメントがあるとかんがえられている。また、TELも10×10りんのものが採用さいようされ、従来じゅうらいがたの8×8りんのものとして大型おおがたしている[14]

なお、ノーズコーンの形状けいじょうはKN-24のそれと類似るいじしている[15]

潜水艦せんすいかん発射はっしゃがた

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2021ねん10がつ19にち北朝鮮きたちょうせんはKN-23をしんうらきゅう潜水せんすいかんから潜水艦せんすいかん発射はっしゃ弾道だんどうミサイル(SLBM)として発射はっしゃする実験じっけんおこなった。発射はっしゃされたミサイルは590km飛行ひこうし、高度こうどは60kmにたっした。水中すいちゅう発射はっしゃにはコールド・ローンチ方式ほうしき採用さいようされており、ガス発生はっせい追加ついかされている。

KN-23潜水せんすいかん発射はっしゃがた北極星ほっきょくせい1ごうなど従来じゅうらい北朝鮮きたちょうせん開発かいはつしてきたSLBMとことなり、基本きほんがたのKN-23とおなじく変則へんそくてき軌道きどう飛行ひこうするため、ミサイル防衛ぼうえいシステムへの回避かいひ能力のうりょく向上こうじょうしている。しかし、北極星ほっきょくせい1ごうなどとくらべて射程しゃていみじかいため、KN-23潜水せんすいかん発射はっしゃがた搭載とうさいした母艦ぼかん発射はっしゃ攻撃こうげき目標もくひょう接近せっきんする必要ひつようがあり、母艦ぼかん発射はっしゃまえ探知たんち破壊はかいされる危険きけんせいたかくなっている。また、KN-23潜水せんすいかん発射はっしゃがた発射はっしゃ実験じっけんおこなわれた時期じきが、韓国かんこくがやはりイスカンデルMと外観がいかん類似るいじする玄武げんぶミサイル潜水艦せんすいかん発射はっしゃがたである玄武げんぶ4-4発射はっしゃ実験じっけんおこなったすう週間しゅうかんであることから、KN-23潜水せんすいかん発射はっしゃがた実用じつよう兵器へいきとしてよりも政治せいじてき宣伝せんでんのために開発かいはつされた可能かのうせい指摘してきされている。

2022ねん5がつ7にち、KN-23潜水せんすいかん発射はっしゃがた推定すいていされているSLBMの発射はっしゃ実験じっけんおこなわれた。このミサイルは600km飛行ひこうし、高度こうどは60kmにたっした[1]

2022ねん9がつ25にちには、内陸ないりくにある貯水池ちょすいちもうけられた発射はっしゃサイロからKN-23を発射はっしゃする実験じっけんおこなわれた。公表こうひょうされた写真しゃしんかぎり、従来じゅうらい確認かくにんされてきた潜水艦せんすいかん発射はっしゃがた同様どうよう水中すいちゅうから発射はっしゃされたとみられている。発射はっしゃサイロはポンツーンもうけられたと推定すいていされているが、このような発射はっしゃ方法ほうほう実戦じっせん使用しようする目的もくてき開発かいはつしたのか、あらゆる方法ほうほう発射はっしゃできることを誇示こじして韓国かんこく先制せんせい攻撃こうげき戦略せんりゃく抑止よくしする目的もくてきおこなったデモンストレーションであるのかはさだかではない。

縮小しゅくしょうがた

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2022ねん4がつ16にち発射はっしゃ実験じっけんおこなわれた新型しんがた短距離たんきょり弾道だんどうミサイルはKN-23の縮小しゅくしょうがたであると推定すいていされている。このミサイルは4長方形ちょうほうけいキャニスターを搭載とうさいした移動いどうしき発射はっしゃだいより発射はっしゃされる。

実験じっけんでは2はつのミサイルが発射はっしゃされ、いずれも最高さいこう速度そくどマッハ4で110km飛行ひこうし、高度こうどは25kmにたっした。

このミサイルは従来じゅうらい北朝鮮きたちょうせん保有ほゆうしてきたトーチカ戦術せんじゅつ弾道だんどうミサイル派生はせいがたであるKN-02ちか射程しゃてい距離きょりゆうしており、韓国かんこく保有ほゆうする同級どうきゅう戦術せんじゅつ弾道だんどうミサイルであるKTSSMたいになる可能かのうせいがある。また、この実験じっけんさいされた声明せいめいにおいて北朝鮮きたちょうせんは、KN-23縮小しゅくしょうがた戦術せんじゅつ核弾頭かくだんとう搭載とうさいする可能かのうせい示唆しさしている。

かりにKN-23縮小しゅくしょうがた小型こがた軽量けいりょう戦術せんじゅつ核弾頭かくだんとう搭載とうさいされた場合ばあい、KN-23のゆうするたか機動きどうせいによりミサイル防衛ぼうえいシステムを突破とっぱし、短距離たんきょり目標もくひょうたいする重大じゅうだい脅威きょういとなる可能かのうせいたかい。

歴史れきし

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北朝鮮きたちょうせんがKN-23の存在そんざいはじめて公表こうひょうしたのは2018ねん2がつ8にち軍事ぐんじパレードにおいてのことである。最初さいしょ発射はっしゃ実験じっけんは2019ねん5がつ4にち元山もとやま付近ふきんおこなわれ、発射はっしゃされたミサイルは240kmを飛行ひこう高度こうど60kmにたっした。ただし、この実験じっけんさいして北朝鮮きたちょうせん公表こうひょうした映像えいぞうにはあきらかな編集へんしゅう操作そうさがなされていた[11]。5にちふたた発射はっしゃ実験じっけんおこなわれた。亀城かめしろ付近ふきんから2はつ発射はっしゃされ、1はつは420km、もう1はつは270kmを飛行ひこうし、いずれも高度こうど50kmにたっした。その同月どうげつ17にちまでに、ざい韓米かんべいぐんはこのミサイルに「KN-23」のコードネームをばんした。2019ねん7がつ25にちおこなわれた3かい発射はっしゃ実験じっけんでは、発射はっしゃされたミサイルのうち1はつがこれまででもっとながい690kmを飛行ひこうし、もう1はつは430kmを飛行ひこう日本海にほんかい着水ちゃくすいした。飛行ひこう高度こうどはいずれも50kmであった。2019ねん8がつ6にちおこなわれた4かい発射はっしゃ実験じっけんでは、北朝鮮きたちょうせん西岸せいがんから発射はっしゃされたミサイルが平壌ぴょんやん都市としけん上空じょうくう37kmを通過つうかし、450km飛行ひこうした。

また北朝鮮きたちょうせん発表はっぴょうによると、2022ねん1がつ27にちおこなわれたKN-23TEL搭載とうさいがた2はつ発射はっしゃ実験じっけんでは、曳火攻撃こうげきもちいられる空中くうちゅう炸裂さくれつがた通常つうじょう弾頭だんとう性能せいのう確認かくにんおこなったとしている。 発射はっしゃされたミサイルは190km飛行ひこうしたが、このさいディプレスト軌道きどうばれる通常つうじょうよりも高度こうどひくく(KN-23の場合ばあい通常つうじょう飛行ひこう高度こうどは37kmから60kmのあいだであるが、今回こんかい飛行ひこう高度こうど最大さいだいでも20kmであった)探知たんち困難こんなん軌道きどうをとったことがわかっており、このことはミサイル防衛ぼうえいシステムが飛来ひらいするミサイルに対処たいしょできる時間じかん従来じゅうらいよりみじかくなることを意味いみしている。以上いじょう事実じじつ総合そうごうすると、KN-23の開発かいはつ実戦じっせん使用しよう可能かのう段階だんかいまですすんでいることが示唆しさされている[16]

拡大かくだいがた

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2021ねん3がつ25にちおこなわれた発射はっしゃ実験じっけんでは2はつのKN-23拡大かくだいがた発射はっしゃされ、KN-23拡大かくだいがた存在そんざいはじめて公表こうひょうされた。KN-23拡大かくだいがた通常つうじょうがたのそれよりも円錐えんすいがたちか形状けいじょうのノーズコーンをゆうしていることで、通常つうじょうがた識別しきべつされる。北朝鮮きたちょうせんはこの発射はっしゃ実験じっけんについて、発射はっしゃされたミサイルは2,500kgの弾頭だんとう搭載とうさいした状態じょうたいで600kmを飛行ひこうしたと主張しゅちょうしているが、日本にっぽんおよ韓国かんこく国防こくぼう当局とうきょくによる初期しょき分析ぶんせきでは最大さいだい高度こうど60kmで420kmから450kmしか飛行ひこうしておらず、弾頭だんとう重量じゅうりょうかんしては誇張こちょううたがいがつよいと結論けつろんけられた。弾頭だんとう重量じゅうりょうめぐっては、韓国かんこく玄武げんぶ4ミサイルが2,000kgの弾頭だんとう搭載とうさいしていることがられていることから、北朝鮮きたちょうせんはKN-23拡大かくだいがたがさらにおもい2,500kgの弾頭だんとう搭載とうさいしていると主張しゅちょうすることにより(事実じじつ、KN-23拡大かくだいがたについて北朝鮮きたちょうせんは「世界せかい最大さいだい弾頭だんとう重量じゅうりょうゆうするミサイル」であると宣言せんげんしている)、敵国てきこくのミサイル技術ぎじゅつ進歩しんぽ歩調ほちょうわせているとするプロパガンダをおこなっている可能かのうせいたかい。しかし翌月よくげつ韓国かんこくじょあさひ国防こくぼう長官ちょうかん射程しゃてい距離きょりかんする分析ぶんせき修正しゅうせいし、北朝鮮きたちょうせん主張しゅちょうどおり600km飛行ひこうしていたと発言はつげんした。このようなちがいがきた原因げんいんについてじょあさひ国防こくぼう長官ちょうかんは、「地球ちきゅう湾曲わんきょくによってしょうじたレーダーの死角しかくによるもの」とした[17]

射程しゃてい距離きょりが600kmあると判明はんめいしたことで、KN-23拡大かくだいがた韓国かんこくのほぼ全土ぜんど射程しゃてい範囲はんいおさめることとなったほか、北朝鮮きたちょうせん主張しゅちょうする弾頭だんとう重量じゅうりょう事実じじつであれば、KN-23拡大かくだいがた強力きょうりょくなバンカーバスターとしてもちいられる可能かのうせいたか[15]。ただ、国連こくれん安全あんぜん保障ほしょう理事りじかいのメンバーこくなかには、北朝鮮きたちょうせん弾頭だんとう重量じゅうりょうだと主張しゅちょうする「2,500kg」は、じつ燃焼ねんしょう終了しゅうりょうのミサイルのそう重量じゅうりょうではないかとうたがきもある[18]

鉄道てつどう発射はっしゃがた

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2021ねん9がつ15にちとくぐんから2はつのミサイルが発射はっしゃされた。このミサイルはいずれも800kmを飛行ひこうし、高度こうどは60kmにたっした。発射はっしゃされたミサイルはKN-23基本きほんがた推定すいていされたが、800kmという数字すうじはこれまでのKN-23の発射はっしゃ実験じっけんなかではもっとなが飛行ひこう距離きょりであり、同年どうねん初頭しょとう実験じっけんおこなわれた拡大かくだいがたよりも長距離ちょうきょり飛行ひこうした。射程しゃてい距離きょり増大ぞうだいした理由りゆうとしては複数ふくすうかんがえられており、過去かこ実験じっけんでは意図いとてき射程しゃていおさえていたか、今回こんかい実験じっけんさいして弾頭だんとう重量じゅうりょうかるくした、もしくは性能せいのう改善かいぜんした可能かのうせいがあるとされている。

興味深きょうみぶかいことに、この発射はっしゃ実験じっけんにおいてKN-23を発射はっしゃしたのは通常つうじょう道路どうろじょう移動いどうするTELではなく、鉄道てつどう車両しゃりょう搭載とうさいされたTELであった[19]鉄道てつどう車両しゃりょう搭載とうさいがたTELは一般いっぱん道路どうろ移動いどうがたKN-23ようTELと同様どうよう、2はつのミサイルをたがちがいにならべておくことができる仕様しようであった。

短距離たんきょり弾道だんどうミサイルにおいて鉄道てつどう発射はっしゃがた採用さいようされることは異例いれいである。これは、短距離たんきょり弾道だんどうミサイルにおいてはそれを搭載とうさいするTELが比較的ひかくてき小型こがたであるため、道路どうろ移動いどうがた道路どうろもうなどをひろ利用りようして移動いどう待避たいひすることによりなまざんりつげることができるのにたいし、鉄道てつどう発射はっしゃがたでは移動いどう範囲はんい鉄道てつどうもうかぎられ、道路どうろ移動いどうがたくらべてなまざんりつ向上こうじょう効果こうか限定げんていてきなためである。

KN-23鉄道てつどう発射はっしゃがた開発かいはつ目的もくてきとしては、鉄道てつどう車両しゃりょう改造かいぞうによってすくない道路どうろ移動いどうがたTELのかずおぎなうためであるという推測すいそくと、鉄道てつどう発射はっしゃがたミサイルというコンセプトを大陸たいりくあいだ弾道だんどうミサイル(ICBM)適応てきおうするための実験じっけんであるとする推測すいそくがある。ICBMを搭載とうさいした道路どうろ移動いどうがたTELは大型おおがたであり利用りようできる道路どうろもうかぎられることから、鉄道てつどう発射はっしゃがたICBMのほうなまざんりつ向上こうじょうさせることができる。とくに、北朝鮮きたちょうせんのICBMはほとんどが液体えきたい燃料ねんりょうしきであるため、鉄道てつどう発射はっしゃがた利点りてんおおきい。

2022ねん1がつ14にち再度さいどKN-23鉄道てつどう発射はっしゃがた発射はっしゃ実験じっけんおこなわれた。この実験じっけんではよししゅうぐんより2はつのミサイルが発射はっしゃされ、430kmを飛行ひこうした。よく15にち実験じっけん写真しゃしん朝鮮中央通信ちょうせんちゅうおうつうしんつうじて公表こうひょうされた[20]

実戦じっせん使用しよう

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KN-23はロシアのウクライナ侵攻しんこうにおいてはじめて実戦じっせん投入とうにゅうされた可能かのうせいたかい。アメリカ政府せいふ機密きみつ解除かいじょした情報じょうほうによると、2023ねん10がつ北朝鮮きたちょうせんからロシアへ複数ふくすう詳細しょうさいかず不明ふめい)の弾道だんどうミサイルがわたされた。

その2023ねん12月30にちロシア連邦れんぽうぐんウクライナへのミサイル攻撃こうげきおこなったが、このさい着弾ちゃくだん地点ちてんから発見はっけんされた破片はへんに、KN-23あるいはKN-24に特徴とくちょうてき部品ぶひんふくまれていたと報告ほうこくされている[21]報告ほうこくによると、ミサイルにけられていた気圧きあつけいハングルかれていたほか、 各種かくしゅ部品ぶひん北朝鮮きたちょうせん国内こくない工場こうじょうめいおぼしき刻印こくいんがなされていた。

イギリス本部ほんぶ紛争ふんそう兵器へいき研究所けんきゅうじょ調査ちょうさによると、ハルキウへの攻撃こうげきもちいられたKN-23の誘導ゆうどう制御せいぎょ装置そうち部品ぶひんのうち、75%がアメリカせい部品ぶひんをベースとしたものであった[22]。また、ハルキウ地方ちほう検察庁けんさつちょう発表はっぴょうした調査ちょうさなかあいだ報告ほうこくによると、KN-23とおぼしきミサイルの部品ぶひんにはソ連それん・ロシアせいのミサイルの特徴とくちょうである詳細しょうさい刻印こくいん製造せいぞう担当たんとうしゃ署名しょめいがないこと、配線はいせん電線でんせんかんなかでむきしの状態じょうたいとなっており、イスカンデルMではほどこされている電子でんしせんへの防護ぼうごがなされていないことがあきらかになっている。報告ほうこくではミサイルの種類しゅるい断定だんていけており、ロシアせいイスカンデルMの戦時せんじ設計せっけいばんなどの可能かのうせい示唆しさしているが、状況じょうきょう証拠しょうこ総合そうごうするとKN-23である可能かのうせいもっとたかいとしている[23]

なお、2024ねん2がつ16にちまでにウクライナがわがまとめたデータによると、ロシアぐん北朝鮮きたちょうせんから提供ていきょうされたKN-23およびKN-24をけい24はつ使用しようしているが、いずれも精度せいどひくいと報告ほうこくされている[24]精度せいどひく要因よういんの1つとして、日本にっぽんせい欧州おうしゅうせいよそおった模倣もほうひん部品ぶひんがKN-23およびKN-24に使つかわれていることが関係かんけいしているのではないかと指摘してきされている[25]

かくかた

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火星かせい11A
基本きほんがた外観がいかんがイスカンデルMに類似るいじ
火星かせい11C
拡大かくだいがた弾頭だんとう重量じゅうりょうを2.5tに拡大かくだいしたと北朝鮮きたちょうせん主張しゅちょう[26]
火星かせい11D
縮小しゅくしょうがた射程しゃてい距離きょり短縮たんしゅく[26]
火星かせい11S
潜水艦せんすいかん発射はっしゃがた[26]

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ Research, Conflict Armament (2024ねん1がつ19にち). “Documenting a North Korean missile in Ukraine” (英語えいご). ArcGIS StoryMaps. 2024ねん1がつ21にち閲覧えつらん
  2. ^ Report to Congress on North Korea's Nuclear Weapons and Missile Programs 2023ねん1がつ26にち.
  3. ^ https://www.mod.go.jp/j/press/news/2023/06/15g.html
  4. ^ https://www.nonproliferation.eu/hcoc/wp-content/uploads/2023/01/NORTH-KOREAN-SHORT-RANGE-SYSTEMS.pdf
  5. ^ Zwirko (2023ねん7がつ26にち). “Twitter1” (英語えいご). Twitter. Template:Cite webしエラー:引数ひきすう accessdate必須ひっすです。
  6. ^ Lewis. “Twitter2” (英語えいご). Twitter. 2023ねん4がつ9にち閲覧えつらん
  7. ^ “North Korea’s Army Day Military Parade: One New Missile System Unveiled”. 38 NORTH. (2018ねん2がつ8にち). https://www.38north.org/2018/02/melleman020818/ 
  8. ^ Preliminary Analysis: KN-23 SRBM - ジェームズ・マーティン拡散かくさん研究けんきゅうセンター(2019ねん6がつ5にち)、2024ねん3がつ3にち閲覧えつらん
  9. ^ 画像がぞう検証けんしょう】ロシアぐん北朝鮮きたちょうせんせいKN-23弾道だんどうミサイルをウクライナで使用しよう、ハルキウで残骸ざんがい回収かいしゅう(JSF) - 個人こじん - Yahoo!ニュース(2024ねん1がつ6にち)、2024ねん3がつ3にち閲覧えつらん
  10. ^ 北朝鮮きたちょうせん機動きどうしき弾道だんどうミサイルの系譜けいふ(JSF) - 個人こじん - Yahooニュース(2022ねん1がつ9にち)、2024ねん3がつ10日とおか閲覧えつらん
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  13. ^ Preliminary Analysis: KN-23 SRBM” (英語えいご). James Martin Center for Nonproliferation Studies (2019ねん6がつ5にち). 2021ねん10がつ13にち閲覧えつらん
  14. ^ Pukguksong GLBM-3”. www.b14643.de. 2021ねん10がつ25にち閲覧えつらん
  15. ^ a b ONN Korean Peninsula Risk Assessment | March 2021”. oneearthfuture.org. 2021ねん10がつ25にち閲覧えつらん
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  17. ^ Seoul says North Korean SRBMs test-launched on 25 March travelled 600 km”. Jane's Information Group (2021ねん4がつ29にち). 2021ねん5がつ2にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ2021ねん5がつ2にち閲覧えつらん
  18. ^ DPRK Military Parade Viewbook 2022 - Open Nuclear Network(2022ねん4がつ21にち)、2024ねん3がつ10日とおか閲覧えつらん
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外部がいぶリンク

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