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KN-24

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
火星かせいほう-11B、火星かせい-11B(KN-24)
種類しゅるい 短距離たんきょり弾道だんどうミサイル
はら開発かいはつこく 朝鮮民主主義人民共和国の旗 朝鮮民主主義人民共和国ちょうせんみんしゅしゅぎじんみんきょうわこく
運用うんよう
配備はいびさき 朝鮮民主主義人民共和国の旗 朝鮮民主主義人民共和国ちょうせんみんしゅしゅぎじんみんきょうわこく
ロシアの旗 ロシア
関連かんれん戦争せんそう紛争ふんそう ロシアのウクライナ侵攻しんこう
開発かいはつ
開発かいはつ期間きかん 2019ねん -
しょもと
全長ぜんちょう 7.2m
直径ちょっけい 1.1m

精度せいど 35 m[1]
弾頭だんとう 400–500 kg (880–1,100 lb)、通常つうじょう弾頭だんとうおよ核弾頭かくだんとう可能かのうせい

エンジン 固体こたい燃料ねんりょう
誘導ゆうどう方式ほうしき 慣性かんせい航法こうほう装置そうち (INS)、衛星えいせい誘導ゆうどう可能かのうせい
発射はっしゃ
プラットフォーム
8×8りん輸送ゆそう起立きりつ発射はっしゃ[2]
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KN-24、正式せいしき名称めいしょう火星かせいほう-11B朝鮮ちょうせん: 《화성포-11나》형; 漢字かんじ表記ひょうき火星かせいほう 11나かた) (火星かせい-11改良かいりょうがた[3] とは、朝鮮民主主義人民共和国ちょうせんみんしゅしゅぎじんみんきょうわこく以後いご北朝鮮きたちょうせん)の固体こたい燃料ねんりょうしき戦術せんじゅつ弾道だんどうミサイルである。

設計せっけい

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KN-24の外観がいかんアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく戦術せんじゅつ弾道だんどうミサイルであるMGM-140 ATACMSのそれに類似るいじしており、戦場せんじょうにおける作戦さくせん支援しえんという運用うんよう目的もくてき類似るいじしているとかんがえられている。ただ、たたしき操舵そうだつばさゆうするATACMSとことなりKN-24の操舵そうだつばさ固定こていしきであるため、長方形ちょうほうけいキャニスターから発射はっしゃする必要ひつようがある。

KN-24はじゅん弾道だんどう軌道きどう飛行ひこうするミサイルであり、スカッドなどの弾道だんどう軌道きどうえがいて飛行ひこうする従来じゅうらい短距離たんきょり弾道だんどうミサイル(SRBM)とはことなり十分じゅうぶん濃度のうど大気たいき存在そんざいする高度こうど50km付近ふきん比較的ひかくてき平坦へいたん軌道きどうりながら、操舵そうだつばさ動作どうささせて飛行ひこうちゅう進路しんろ変更へんこうし、目標もくひょうたいして急降下きゅうこうかすることも可能かのうである。ミサイルの着弾ちゃくだん精度せいどしめ平均へいきん誤差ごさ半径はんけい(CEP)は衛星えいせい誘導ゆうどう併用へいようした場合ばあいで100m、慣性かんせい航法こうほう装置そうち(INS)のみを使用しようした場合ばあいは200mとされる。また、弾頭だんとうには400 - 500kgの単一たんいつ弾頭だんとうもしくはクラスターばくだん弾頭だんとう搭載とうさいできると推定すいていされている。弾頭だんとう分離ぶんりせず、ロケットモーターと弾頭だんとう一体いったいのまま目標もくひょう突入とつにゅうする[4]

KN-24は低空ていくう飛行ひこうしつつ複雑ふくざつ軌道きどうをとることから、従来じゅうらいミサイル防衛ぼうえいシステムによる探知たんち迎撃げいげき困難こんなんとされる。攻撃こうげきがわとしては、たか着弾ちゃくだん精度せいどかして従来じゅうらいよりもすくないかずのミサイルで目標もくひょう破壊はかいすることが可能かのうとなる。これらのことからKN-24は、北朝鮮きたちょうせん従来じゅうらい保有ほゆうしてきた液体えきたい燃料ねんりょうしきミサイルである火星かせい5およ火星かせい6える可能かのうせいたかい。

先述せんじゅつしたようにKN-24の外観がいかんはATACMSと類似るいじしているが、KN-24のほうがかなり寸法すんぽうおおきいほか、ジェットベーンの存在そんざい確認かくにんされている。このことから、KN-23おなじく北朝鮮きたちょうせん潜水艦せんすいかん発射はっしゃ弾道だんどうミサイル(SLBM)の1つである北極星ほっきょくせい1ごう(KN-11)と同一どういつ固体こたいロケットモーター使用しようしているとかんがえられているほか、外観がいかん発射はっしゃ方式ほうしきのみATACMSを模倣もほうした可能かのうせいこそあれど、技術ぎじゅつてきにはむしろ後述こうじゅつするイスカンデルMの技術ぎじゅつてき要素ようそつよいKN-23の派生はせいがたであるとみられている[5]発射はっしゃもちいられるコンテナははば1.26m、輸送ゆそう起立きりつ発射はっしゃ(TEL)の車輪しゃりんみちは0.78mと推定すいていされており、これは北極星ほっきょくせい1ごう派生はせいがたじゅん中距離ちゅうきょり弾道だんどうミサイルである北極星ほっきょくせい2ごう(KN-15)のTELと同様どうようである。なお、北朝鮮きたちょうせん公表こうひょうしたKN-24発射はっしゃうつした画像がぞうおおくは加工かこうされており、実際じっさいより発射はっしゃおおきくせているうたがいがある[6]

北朝鮮きたちょうせん戦術せんじゅつ弾道だんどうミサイルとしては先述せんじゅつしたKN-23がすでにあり、KN-24は役割やくわり性能せいのうがKN-23と重複じゅうふくしている。本来ほんらいであれば、KN-23を配備はいびした直後ちょくご性能せいのう役割やくわり重複じゅうふくする同種どうしゅのミサイルを開発かいはつする理由りゆうはないはずであるが、実際じっさいにはKN-24が開発かいはつされている。しかし、朝鮮中央通信ちょうせんちゅうおうつうしんのミサイルにかんする報道ほうどう分析ぶんせき結果けっかによると、KN-23は外観がいかん類似るいじ指摘してきされるロシアイスカンデルMとはことなるものの、開発かいはつ過程かてい外国がいこく勢力せいりょく関与かんよしている、あるいは外国がいこくせい部品ぶひん使用しようされている可能かのうせいたかい。というのも、KN-23にかんする報道ほうどう配備はいび過程かてい性能せいのう新規しんきせい焦点しょうてんかれているのにたいし、KN-24にかんする報道ほうどう最初さいしょ発射はっしゃ実験じっけんいたるまでの研究けんきゅう開発かいはつ過程かてい焦点しょうてんかれている。また、報道ほうどうにおいてKN-24にたいしては「朝鮮ちょうせんしき主体しゅたいたま」という呼称こしょうもちいられている一方いっぽう、KN-23にたいしてはもちいられていない。

これらを総合そうごうして、KN-24は発表はっぴょうされた時点じてんでは研究けんきゅう開発かいはつ段階だんかいであった一方いっぽう、KN-23は火星かせい10(ムスダン)のように配備はいびしばらく実験じっけんおこなわれておらず、発表はっぴょうまえにはすでに開発かいはつおよ限定げんていてき配備はいび完了かんりょうしており、その過程かていなんらかのかたち外国がいこく勢力せいりょく関与かんよしている可能かのうせいたかいと結論けつろんけられている[7]

2021ねんおこなわれた国防こくぼう展覧てんらんかい自衛じえい2021」においてKN-24の展示てんじおこなわれ[6]、そのさい北朝鮮きたちょうせんにおける正式せいしき名称めいしょうが「火星かせいほう-11B(화성포-11나)」であることがあきらかにされた[3]。 「나」(ナ)はハングルアルファベットじゅんで2番目ばんめたる文字もじであり、このことからKN-24は北朝鮮きたちょうせん保有ほゆうするトーチカ戦術せんじゅつ弾道だんどうミサイル派生はせいがたである火星かせい-11(KN-02)改良かいりょうがたもしくは後継こうけいかんがえられている。

歴史れきし

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KN-24の最初さいしょ発射はっしゃ実験じっけんは2019ねん8がつ10日とおか北朝鮮きたちょうせん東岸とうがんきょう付近ふきんおこなわれた。2はつのミサイルが発射はっしゃされ、いずれも最高さいこう速度そくど2.1km/s(7,600km/h)で400kmを飛行ひこうし、高度こうどは48kmにたっした。

6にち同年どうねん8がつ16にち、2度目どめ発射はっしゃ実験じっけん日本海にほんかい沿岸えんがんつうかわぐんおこなわれた。発射はっしゃされたミサイルは230kmを飛行ひこうし、高度こうどは30kmにたっした。ミサイルは通常つうじょうよりも高度こうどひくいディプレスト軌道きどう飛行ひこうした。

2020ねん3がつ21にち、3度目どめ発射はっしゃ実験じっけん黄海こうかい沿岸えんがんせんかわぐんおこなわれた。2はつのミサイルが発射はっしゃされ、いずれも410kmを飛行ひこうしてそのうち1はつはば100mのしま着弾ちゃくだんし、高度こうどは50kmにたっした。また、この実験じっけんではプルアップ機動きどう試験しけんおこなわれた。

2022ねん1がつ17にち平壌ぴょんやん国際こくさい空港くうこう付近ふきんから2はつのKN-24が発射はっしゃされた。いずれも最高さいこう速度そくどマッハ5(1.5 - 1.8 km/s)で380kmを飛行ひこうし、高度こうどは42kmにたっした。今回こんかい発射はっしゃ実験じっけん過去かこ実験じっけんとはことなり、「検収けんしゅう射撃しゃげき試験しけん」として運用うんよう体制たいせいおよびKN-24量産りょうさんがた品質ひんしつ性能せいのう検証けんしょうするために実施じっしされた[8]

実戦じっせん使用しよう

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KN-24はロシアのウクライナ侵攻しんこうにおいてはじめて実戦じっせん投入とうにゅうされた可能かのうせいたかい。アメリカ政府せいふ機密きみつ解除かいじょした情報じょうほうによると、2023ねん10がつ北朝鮮きたちょうせんからロシアへ複数ふくすう詳細しょうさいかず不明ふめい)の弾道だんどうミサイルがわたされた。ロシア連邦れんぽうぐん北朝鮮きたちょうせんから複数ふくすう弾道だんどうミサイルの提供ていきょうけてウクライナ侵攻しんこう使用しようしており、2024ねん2がつ15にちおこなわれたキーウ郊外こうがいブチャへの攻撃こうげきにKN-24が使用しようされたとほうじられている[9]

また、同月どうげつ16にちまでにウクライナがわがまとめたデータによると、ロシアぐん北朝鮮きたちょうせんから提供ていきょうされたKN-23およびKN-24をけい24はつ使用しようしているが、いずれも精度せいどひくいと報告ほうこくされている[10]精度せいどひく要因よういんの1つとして、日本にっぽんせい欧州おうしゅうせいよそおった模倣もほうひん部品ぶひんがKN-23およびKN-24に使つかわれていることが関係かんけいしているのではないかと指摘してきされている[11]

脚注きゃくちゅう

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出典しゅってん

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  1. ^ North Korean Short Range Systems
  2. ^ Brief on 27 July 2023 Parade of the DPRK. Open Nuclear Network. 8 August 2023.
  3. ^ a b “Kim Jong Un speaks at Defence Development Exhibition”. Pyongyang Times (13014–2180219): p. 6. (October 16, 2021). http://www.pyongyangtimes.com.kp/timesContents/data/2021/42.pdf 
  4. ^ 北朝鮮きたちょうせん機動きどうしき弾道だんどうミサイルの系譜けいふ(JSF) - 個人こじん - Yahooニュース(2022ねん1がつ9にち)、2024ねん3がつ10日とおか閲覧えつらん
  5. ^ 北朝鮮きたちょうせんのATACMSもどきはATACMSではない(JSF) - 個人こじん - Yahooニュース(2019ねん9がつ4にち)、2024ねん3がつ10日とおか閲覧えつらん
  6. ^ a b Pukguksong GLBM-1”. www.b14643.de. 2021ねん10がつ25にち閲覧えつらん
  7. ^ A Tale of Two Missiles: Analysis of KCNA Reports on North Korea's KN-23 and KN-24 Short-Range Ballistic Missiles” (英語えいご). datayo.org. 2021ねん1がつ15にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2021ねん10がつ12にち閲覧えつらん
  8. ^ 北朝鮮きたちょうせんばんATACMS「検収けんしゅう射撃しゃげき試験しけん」とはなに意味いみするのか(JSF) - 個人こじん - Yahooニュース(2022ねん1がつ18にち)、2024ねん3がつ10日とおか閲覧えつらん
  9. ^ North Korean KN-24 missile leaves huge crater in Bucha district - ウクラインスカ・プラウダ(2024ねん2がつ16にち)、2024ねん3がつ5にち閲覧えつらん
  10. ^ Balforth (February 16, 2024). “Ukrainian data casts doubt on precision of N.Korea missiles fired by Russia”. Reuters. 2024ねん2がつ16にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ2024ねん2がつ17にち閲覧えつらん
  11. ^ 北朝鮮きたちょうせんせいミサイルにきざまれた「JAPAN」 メーカーにたずねると - 朝日新聞あさひしんぶんデジタル(2024ねん4がつ25にち)、2024ねん4がつ25にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく

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