貝かい葉は

15世紀せいきまたは16世紀せいき頃ごろのタミル地方ちほうのキリスト教徒きりすときょうとがヤシの葉はに書かいた貝かい葉は

古代こだい（500 B.C. 以前いぜん）のタミル語ごの文法ぶんぽうが書かかれたヤシの葉は 'Thol.kaa.p.pi.am' の複製ふくせい

Corypha utan

貝かい葉は（ばいよう）とは、椰子やしなどの植物しょくぶつの葉はを加工かこうして、紙かみの代かわりに用もちいた筆記ひっき媒体ばいたい。東南とうなんアジア、南みなみアジアで多おおく利用りようされた。貝かい多た羅ら葉よう（ばいたらよう）の略称りゃくしょうである。

貝かい多た羅ら葉よう（ばいたらよう）の名称めいしょうは、古代こだいインドで植物しょくぶつの葉はが筆記ひっき媒体ばいたいとして用もちいられていたため、サンスクリットで「木この葉は」の意味いみを持もつパットラ (pattra) と、さらに主おもに用もちいられたオウギヤシ（パルミラヤシ）である「ターラ（tala、多た羅ら樹いつき）の葉は」を漢かん訳やくしたものを起源きげんとする。原材料げんざいりょうは地域ちいきや植生しょくせいによって様々さまざまな材料ざいりょうが用もちいられるが、主おもにヤシ科かのパルミラヤシ (Borassus flabellifer)、タラバヤシ（学名がくめい：Corypha umbraculifera、utan、グバンヤシ gebang utan とも）などが使用しようされる。貝かい葉はは、タイではバイ・ラーン (ใบลาน)、インドネシアではロンタール (lontar) と呼よばれる。

仏教ぶっきょうの経典きょうてんは初期しょきには「貝かい葉は」に書かかれた。たとえばパキスタンのギルギットで出土しゅつどした「法華経ほけきょう」は5-6世紀せいきのものと考かんがえられている。

日本にっぽんにおいてはタラヨウ（多た羅ら葉よう、モチノキ科か）があるが、この名なは葉はの裏うらに傷きずをつけると貝かい葉はのように文字もじを書かくことができるために付つけられた。

現存げんそんの古こ写本しゃほん

現存げんそんする貝かい葉は写本しゃほんで最古さいことされるのは、中央ちゅうおうアジアで発見はっけんされた推定すいてい2世紀せいき頃ごろの写本しゃほん断簡だんかんである。また4世紀せいき～5世紀せいきの断簡だんかんがやはり中央ちゅうおうアジアで発掘はっくつされており、日本にっぽんに奈良なら時代じだいに請来しょうらいし現在げんざいも寺院じいん等とうで保存ほぞんされている貝かい葉は写本しゃほん、ネパールで保存ほぞんされている貝かい葉は写本しゃほんがそれに次つぐ。インドでは、熱帯ねったい・亜熱帯あねったいの気候きこうのせいか、11世紀せいき以前いぜんの貝かい葉は写本しゃほんは発見はっけんされていない。

コレクション

日本にっぽんにおける貝かい葉はのコレクションは、京都大学きょうとだいがく、大谷大学おおたにだいがくなどにタイの貝かい葉はコレクションがある。さらに、タイではチェンマイ大学だいがくの体系たいけいだったラーンナー貝かい葉はコレクションが知しられている。

関連かんれん文献ぶんけん

• 安江やすえ明夫あきお「ヤシの葉は写本しゃほん研究けんきゅうノート」『研究けんきゅう年報ねんぽう』第だい57号ごう、學習院大學がくしゅういんだいがく文學部ぶんがくぶ、2010年ねん、105-140頁ぺーじ、ISSN 04331117、2022年ねん10月がつ8日にち閲覧えつらん。 
• 安江やすえ明夫あきお「ヤシの葉はから紙かみへ : ネパール写本しゃほん研究けんきゅうノート」『研究けんきゅう年報ねんぽう』第だい58号ごう、學習院大學がくしゅういんだいがく文學部ぶんがくぶ、2011年ねん、87-114頁ぺーじ、ISSN 04331117、2022年ねん10月がつ8日にち閲覧えつらん。 

関連かんれん項目こうもく

• オウギヤシ
• アガスティアの葉は