金城きんじょうの戦たたかい

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金城きんじょうの戦たたかい
戦争せんそう：朝鮮ちょうせん戦争せんそう
年月日ねんがっぴ：1953年ねん7月がつ13日にち - 27日にち
場所ばしょ：朝鮮半島ちょうせんはんとう江原えばら道みち華川はなかわ郡ぐん
結果けっか：中国ちゅうごく軍ぐんの勝利しょうり、韓国かんこくは金城きんじょう突出とっしゅつ部ぶを喪失そうしつ
交戦こうせん勢力せいりょく
国際連合の旗 国際こくさい連合れんごう 中華人民共和国の旗 中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく
指導しどう者しゃ・指揮しき官かん
マーク・W・クラーク
アメリカ合衆国の旗 マクスウェル・D・テイラー
アメリカ合衆国の旗 アイザック・ホワイト（英語えいご版ばん）
大韓民国の旗 丁ひのと一いち権けん 		中華人民共和国の旗 鄧華
中華人民共和国の旗 楊勇
戦力せんりょく
第だい8軍ぐん
 第だい20兵団へいだん
損害そんがい
韓国かんこく側がわ資料しりょう：14,373[1]
  • 戦死せんし：2,689[1]
  • 戦傷せんしょう：7,548[1]
  • 不明ふめい：4,136[1]

中国ちゅうごく側がわ資料しりょう：78,000[1]

中国ちゅうごく側がわ資料しりょう：21,578
  • 戦死せんし：9,187
  • 戦傷せんしょう：12,391

韓国かんこく側がわ資料しりょう：約やく66,000[1]

  • 戦死せんし：27,126[1]
  • 戦傷せんしょう：約やく38,700[1]
  • 捕虜ほりょ：166[1]
朝鮮ちょうせん戦争せんそう

金城きんじょうの戦たたかい（日本語にほんご：クムソンのたたかい、韓国かんこく語ご：금성 전투、中国ちゅうごく語ご：金城きんじょう战役、英語えいご：Battle of Kumsong）は、朝鮮ちょうせん戦争せんそう停戦ていせん間際まぎわの1953年ねん7月がつ13日にちから7月がつ27日にちにかけて行おこなわれた国連こくれん軍ぐん及および中国ちゅうごく人民じんみん志願しがん軍ぐんによる戦闘せんとう。金城きんじょうはかつての金かね化か郡ぐん金城きんじょう里さと（現在げんざいの北朝鮮きたちょうせんの金かね化か邑）で、この戦闘せんとうの前まえまでは国連こくれん軍ぐん・韓国かんこく軍ぐんの戦線せんせんは金城きんじょうの近ちかくまで突出とっしゅつしていた。

経緯けいい[編集へんしゅう]

1953年ねん3月がつ、ヨシフ・スターリンが急死きゅうしすると共産きょうさん側がわは態度たいどを軟化なんかし、休戦きゅうせん交渉こうしょうは進展しんてんした[2][3]。1953年ねん春はるから中ちゅう朝ちょう軍ぐんはにわかに攻勢こうせいを開始かいしした[4]。5月に始はじまった第だい1次じ進攻しんこう、第だい2次じ進攻しんこうによって、中ちゅう朝ちょう軍ぐんは金城きんじょう東側ひがしがわで正面しょうめん10キロ、縦たて深ふか3-8キロの地歩ちほを獲得かくとくした[4]。このため国連こくれん軍ぐんの前線ぜんせんは金城きんじょう地区ちくの20キロ正面しょうめんが突出とっしゅつする形かたちとなった[4]。

6月がつ初旬しょじゅん頃ごろから中共ちゅうきょう軍ぐんの局地きょくち攻勢こうせいの頻度ひんどが増ましてきた[3]。当初とうしょは、小しょう・中隊ちゅうたい規模きぼの攻撃こうげきであったが、ついには連隊れんたい規模きぼで前哨ぜんしょう陣地じんちの争奪そうだつを繰くり返かえし、7月がつになると、ますます規模きぼが大おおきくなった[3]。この間あいだに金城きんじょう突出とっしゅつ部ぶでは変化へんかが起おきなかったが、捕虜ほりょの供述きょうじゅつや偵察ていさつから中共ちゅうきょう軍ぐんの集結しゅうけつを察知さっちしており、「華川はなかわダムを目標もくひょうとして大だい攻勢こうせいをとる」という捕虜ほりょの陳述ちんじゅつもあった[5]。

当時とうじ、韓国かんこく軍ぐん第だい2軍団ぐんだん（軍団ぐんだん長ちょう：丁ひのと一いち権けん中将ちゅうじょう）は、西にしから第だい6師団しだん、第だい8師団しだん、第だい3師団しだん、第だい5師団しだんを並列へいれつして金城きんじょう川がわに沿そう20キロ正面しょうめんを防御ぼうぎょしていた[5]。さらに第だい2軍団ぐんだんの西にしにはアメリカ軍ぐん第だい9軍団ぐんだん隷下れいかの首都しゅと師団しだん、第だい9師団しだんが配備はいびされ、東ひがしにはアメリカ軍ぐん第だい10軍団ぐんだんの第だい7師団しだんが北きた漢江かんこうの東岸とうがんを防御ぼうぎょしており、金城きんじょう突出とっしゅつ部ぶを中心ちゅうしんとして韓国かんこく軍ぐんの7個こ師団しだんが防御ぼうぎょしていた[5]。

第だい2軍団ぐんだんは、軍団ぐんだん長ちょうの丁ひのと一いち権けんが体調たいちょうを崩くずしており、一部いちぶの師団しだんは経験けいけんの浅あさい師団しだん長ちょうが指揮しきをしていた[6]。また中共ちゅうきょう軍ぐんについては局地きょくち争奪そうだつ戦せんを仕掛しかけてくると判断はんだんし、大だい攻勢こうせいを予想よそうしていなかった[7][8]。

中共ちゅうきょう軍ぐんの攻勢こうせい理由りゆうについては、「韓国かんこく軍ぐんの面目めんぼくを失墜しっついさせ、戦後せんごの政治せいじ的てき立場たちばを有利ゆうりに運はこぶ」、「華川はなかわダムを奪取だっしゅして韓国かんこくの復興ふっこうを妨さまたげ、北朝鮮きたちょうせんの復興ふっこうを容易よういにさせる」、「弾薬だんやくを撃うち尽つくす」などが挙あげられる[7][9]。

中共ちゅうきょう軍ぐんの作戦さくせん構想こうそうは、西にし集団しゅうだん、中ちゅう集団しゅうだん、東ひがし集団しゅうだんの3つの作戦さくせん集団しゅうだんをもって、金城きんじょう突出とっしゅつ部ぶの中央ちゅうおう部ぶに当あたる利り船せん洞ほらを求心きゅうしん的てきに攻撃こうげきし、韓国かんこく軍ぐん第だい2軍団ぐんだんを包囲ほうい殲滅せんめつした後のち、梨なし実じつ洞ほら-北きた亭てい嶺みね-利とぎ船せん洞ほら-広大こうだい洞ほらを占領せんりょう（第だい1段階だんかい）[4]。戦果せんかを拡張かくちょうして、南方なんぽう数すうキロの三さん天てん峰ほう-赤根あかね山さん-白岩山しらいわやまを占領せんりょう（第だい2段階だんかい）し、またこの攻勢こうせいを容易よういにするために、西側にしがわでは第だい54軍ぐんで韓国かんこく軍ぐん第だい2軍団ぐんだんの西にし翼つばさを攻撃こうげきし、東側ひがしがわでは第だい21軍ぐんを進出しんしゅつさせてアメリカ軍ぐん第だい10軍団ぐんだんを阻止そしすることであった[4]。

編制へんせい[編集へんしゅう]

国連こくれん軍ぐん[編集へんしゅう]

中共ちゅうきょう軍ぐん[編集へんしゅう]

師しは師団しだん、団だんは連隊れんたい、営は大隊だいたい、連れんは中隊ちゅうたいである。

  • 第だい20兵団へいだん 司令しれい員いん：楊勇、政治せいじ委員いいん：王おう平たいら、参謀さんぼう長ちょう：蕭しょう文ぶん玖、副ふく参謀さんぼう長ちょう：趙ちょう冠かんむり英すぐる
    • 西にし集団しゅうだん 第だい68軍ぐん副ふく軍ぐん長ちょう：宋そう玉たま琳、第だい54軍ぐん副ふく軍ぐん長ちょう：呉ご瑞みずほ山さん、第だい68軍ぐん政治せいじ委員いいん：李り致遠、第だい68軍ぐん副ふく参謀さんぼう長ちょう：廖鼎祥さち
      • 第だい68軍ぐん第だい203師し
      • 第だい68軍ぐん第だい204師し
      • 第だい54軍ぐん第だい130師し
      • 砲兵ほうへい
        • 第だい135師し野砲やほう営
        • 第だい199師し野砲やほう営
        • 第だい198師し野砲やほう営
        • 第だい200師し2個こ榴砲連れん
        • 第だい130師し山砲さんぽう営
        • 第だい134師し山砲さんぽう営
        • 第だい134師し野砲やほう営
        • 第だい135師し山砲さんぽう営
        • 第だい203師し山砲さんぽう営
        • 戦車せんしゃ第だい3師し砲兵ほうへい団だん1個いっこ営1個いっこ連れん
        • 砲兵ほうへい第だい6団だん第だい2営
        • 砲兵ほうへい第だい30団だん第だい1営
        • 砲兵ほうへい第だい20団だん1個いっこ連れん
        • 砲兵ほうへい第だい201団だん
        • 砲兵ほうへい第だい404団だん第だい2営
        • 高射こうしゃ砲兵ほうへい
          • 第だい601団だん
          • 第だい50団だん
          • 第だい49団だん
          • 第だい135師し独立どくりつ高射こうしゃ砲ほう兵営へいえい
      • 工兵こうへい第だい4団だん2個こ営
      • 戦車せんしゃ独立どくりつ第だい2団だん1個いっこ連れん
      • 57ミリ対たい戦車せんしゃ砲ほう1個いっこ営
    • 中ちゅう集団しゅうだん 第だい67軍ぐん軍ぐん長ちょう：邱蔚、第だい54軍ぐん軍ぐん長ちょう：丁ちょう盛もり、第だい67軍ぐん政治せいじ委員いいん：曠伏兆ちょう、第だい54軍ぐん政治せいじ委員いいん：謝しゃ明あきら
      • 第だい67軍ぐん199師し
      • 第だい67軍ぐん200師し
      • 第だい67軍ぐん201師し
      • 第だい57軍ぐん135師し
      • 第だい68軍ぐん202師し2個こ団だん
      • 砲兵ほうへい
        • 第だい201師し野砲やほう営
        • 第だい199師し山砲さんぽう連れん
        • 第だい200師し山砲さんぽう連れん
        • 第だい201師し山砲さんぽう連れん
        • 第だい196師し砲兵ほうへい団だん第だい3営
        • 砲兵ほうへい第だい29団だん第だい2、3営
        • 砲兵ほうへい第だい28団だん第だい1、2営
        • 砲兵ほうへい第だい41団だん
        • 砲兵ほうへい第だい207団だん
        • 高射こうしゃ砲兵ほうへい
          • 第だい607団だん
          • 第だい45営
          • 第だい46営
          • 第だい47営
          • 第だい22営
      • 工兵こうへい
        • 第だい10団だん1個いっこ営
        • 第だい20団だん1個いっこ営
      • 戦車せんしゃ独立どくりつ団だん1個いっこ連れん
      • 57ミリ対たい戦車せんしゃ砲ほう1個いっこ営
    • 東ひがし集団しゅうだん 第だい60軍ぐん軍ぐん長ちょう：張ちょう祖そ諒りょう、第だい60軍ぐん副ふく軍ぐん長ちょう：王おう誠まこと漢かん、第だい60軍ぐん副ふく軍ぐん長ちょう兼けん参謀さんぼう長ちょう：鄧仕俊しゅん、第だい60軍ぐん副ふく政治せいじ委員いいん：趙ちょう蘭らん田た
      • 第だい60軍ぐん第だい179師し
      • 第だい60軍ぐん第だい180師し
      • 第だい60軍ぐん第だい181師し
      • 第だい68軍ぐん第だい202師し第だい605団だん
      • 第だい21軍ぐん第だい61師し
      • 第だい21軍ぐん第だい63師し
      • 第だい33師し（第だい21軍ぐん指揮しき）
      • 砲兵ほうへい
        • 第だい60軍ぐん野砲やほう団だん
        • 砲兵ほうへい第だい20団だん第だい1、2営
        • 第だい179師し山砲さんぽう営
        • 第だい180師し山砲さんぽう営
        • 第だい181師し山砲さんぽう営
        • 第だい33師し1個いっこ榴砲連れん
        • 第だい196師し砲兵ほうへい団だん第だい2営
        • 高射こうしゃ砲兵ほうへい
          • 第だい48営
          • 第だい53営
      • 工兵こうへい
        • 第だい10団だん1個いっこ営
        • 第だい18団だん1個いっこ営
    • 予備よび 第だい54軍ぐん第だい134師し

戦闘せんとう[編集へんしゅう]

7月がつ13日にち、大雨おおあめの中なかで数時間すうじかんに及およぶ攻撃こうげき準備じゅんび射撃しゃげきが開始かいしされた[5]。砲撃ほうげきで河川かせんが氾濫はんらんし、後退こうたい中ちゅうに溺死できし者しゃが出でるほどであった[9]。夜よるになると中共ちゅうきょう軍ぐんは攻勢こうせいを開始かいしした。大雨おおあめで空軍くうぐんや砲兵ほうへいの支援しえんが思おもうように受うけられず、第だい2軍団ぐんだんは後退こうたいし、7月がつ15日にちに中共ちゅうきょう軍ぐんは小土こひじ古味こみ里さと（소토고미리）にある第だい2軍団ぐんだん司令しれい部ぶの北きた8キロにまで迫せまった[5]。もし第だい2軍団ぐんだんが突破とっぱされれば、中共ちゅうきょう軍ぐんは春川はるかわにまで進出しんしゅつし、両隣りょうどなりの第だい10軍団ぐんだん、第だい9軍団ぐんだんの側がわ背せに向むかって戦果せんかを拡張かくちょうし、再ふたたび初期しょきの大だい機動きどう戦せんに逆戻ぎゃくもどりする恐おそれがあった[5]。

金城きんじょう突出とっしゅつ部ぶ西部せいぶ[編集へんしゅう]

金城きんじょう突出とっしゅつ部ぶ左肩ひだりかた部ぶを防御ぼうぎょしていた首都しゅと師団しだんは、下した所しょ里さと（하소리）から灰はい古こ介かい（회고개）に至いたる主しゅ抵抗ていこう線せんに西にしから第だい26連隊れんたいと第だい1連隊れんたいを配置はいちし、第だい1機甲きこう連隊れんたいを予備よびとしていた[11]。この正面しょうめんには第だい68軍ぐん（第だい202師し欠かけ）と第だい54軍ぐん第だい130師しで編成へんせいされた西にし集団しゅうだんが配置はいちされ、外そと也洞（외야동）-灰はい古こ介かい間あいだを攻撃こうげきして首都しゅと師団しだん第だい1連隊れんたいを殲滅せんめつした後のち、梨なし室しつ洞ほら（이실동）-北きた亭てい嶺みね（북정령）-月がつ峰山みねやま（월봉산）以北いほく地域ちいきの韓国かんこく軍ぐんを攻撃こうげきする任務にんむを与あたえられていた[12][13]。

7月がつ13日にち午後ごご9時じ、西にし集団しゅうだんは首都しゅと師団しだん第だい26連隊れんたいに重点じゅうてんを置おいた攻撃こうげき準備じゅんび射撃しゃげきを行おこなった後のち、攻撃こうげきを開始かいしした[12]。約やく30分ふん後ご、砲撃ほうげき方向ほうこうを変かえて、第だい1連隊れんたいを攻撃こうげきした中共ちゅうきょう軍ぐんは主しゅ攻おさむを中ちゅう峙嶺（중치령）と灰はい古こ介かい方面ほうめんに向むけた[12]。第だい1連隊れんたいは中共ちゅうきょう軍ぐんの突破とっぱを阻止そしするために予備よびの機甲きこう連隊れんたい第だい3大隊だいたいを中ちゅう峙嶺接近せっきん路ろに配置はいちするが、阻止そしに失敗しっぱいして部隊ぶたいが完全かんぜんに分散ぶんさんした[12]。

7月がつ13日にち午後ごご11時じ頃ごろ、第だい26連隊れんたいが主しゅ抵抗ていこう線せんの崩壊ほうかいにより南みなみ大川おおかわ南側みなみがわに撤収てっしゅうを開始かいしすると、師団しだん長ちょうは14日にち午前ごぜん2時じに機甲きこう連隊れんたい第だい1大隊だいたい第だい59戦車せんしゃ中隊ちゅうたいを配属はいぞくさせて第だい26連隊れんたいを支援しえんした[12]。約やく2時じ間あいだ後ご、師団しだん長ちょうは第だい26連隊れんたいより第だい1連隊れんたいが危機きき的てき状況じょうきょうだと判断はんだんし、予備よび隊たいの任務にんむを変更へんこうした[12]。第だい1連隊れんたいは指揮しき所しょを襲撃しゅうげきされ、多おおくの兵力へいりょくが包囲ほういされ脱出だっしゅつできずにいた一方いっぽうで、第だい26連隊れんたいは大おおきな損害そんがいなしに撤退てったいして芳よし洞ほら（방동）南側みなみがわで再さい編成へんせいに入はいった[12]。

7月がつ14日にち午前ごぜん6時じ、第だい9軍団ぐんだん長ちょうは首都しゅと師団しだん指揮しき所しょを訪問ほうもんし、米べい第だい15連隊れんたいを師団しだん予備よびとして117番ばんA道路どうろ南側みなみがわ一帯いったいに投入とうにゅうするよう命めいじた[12]。午前ごぜん10時じにテイラー大将たいしょうが訪おとずれ、117番ばんA道路どうろの確保かくほと中共ちゅうきょう軍ぐんの攻撃こうげきの撃退げきたいするための措置そちを講こうずるよう軍団ぐんだん長ちょうに指示しじした[12]。

首都しゅと師団しだんは、新あらたな主しゅ抵抗ていこう線せんの構築こうちくとまだ撤収てっしゅうしていない兵力へいりょくの救出きゅうしゅつのため、米べい第だい15連隊れんたいが第だい2阻止そし線せんを形成けいせいしていた正午しょうごから午後ごご5時じまで、第だい1連隊れんたいと第だい26連隊れんたいで117番ばんA道路どうろ北側きたがわの稜線りょうせんを確保かくほするための攻撃こうげきを敢行かんこうした[12]。中共ちゅうきょう軍ぐんの抵抗ていこうで攻撃こうげきは失敗しっぱいしたが、この攻撃こうげきで中共ちゅうきょう軍ぐんの攻勢こうせいを阻止そしし、撤収てっしゅう部隊ぶたいの兵力へいりょくのいくらかを救出きゅうしゅつすることができた[12]。

7月がつ15日にち午前ごぜん8時じ、師団しだん指揮しき所しょに軍団ぐんだん長ちょうと米べい第だい3師団しだん長ちょうが訪問ほうもんし、正午しょうごまでに前線ぜんせんを米べい第だい3師団しだんに引ひき継つがすように指示しじした[12]。首都しゅと師し団長だんちょうは撤収てっしゅうしていない兵力へいりょくを収拾しゅうしゅうするため、計画けいかくされた攻撃こうげきを行おこなった後のち、引継ひきつぎをすると報告ほうこくして午後ごご0時じ30分ふんに第だい1、26連隊れんたいによる攻撃こうげきを開始かいしし、午後ごご3時じ頃ごろに稜線りょうせんを占領せんりょうした[12]。しかし中共ちゅうきょう軍ぐんの夜間やかん攻撃こうげきを受うけて、道路どうろ南側みなみがわの稜線りょうせんに主しゅ抵抗ていこう線せんを形成けいせいした米べい第だい3師団しだんの後方こうほうに撤収てっしゅうし、軍団ぐんだん予備よびとなった[12]。7月13日にちから15日にちまでの戦闘せんとうで、首都しゅと師団しだんは前方ぜんぽう大隊だいたい観測かんそく所しょと第だい1連隊れんたい指揮しき所しょが襲撃しゅうげきされ、指揮しき機能きのうが途絶とぜつして機甲きこう連隊れんたい長ちょうの陸りく根ね洙大領りょうが戦死せんしするなど混乱こんらんが生しょうじたが、117番ばんA道路どうろ北側きたがわ稜線りょうせんで中共ちゅうきょう軍ぐんの突破とっぱを阻止そしすることができた[14]。

金城きんじょう突出とっしゅつ部ぶ東部とうぶ[編集へんしゅう]

金城きんじょう突出とっしゅつ部ぶ右肩みぎかた部ぶには第だい3師団しだんと第だい5師団しだんが配置はいちされていた[14]。第だい3師団しだんは、指ゆび形がた稜線りょうせん西側にしがわから登のぼり大里おおさと（등대리）までの金城きんじょう川がわ北方ほっぽうを防御ぼうぎょしており、第だい22、23連隊れんたいを前線ぜんせんに配置はいちして第だい18連隊れんたいを予備よびとした[14]。第だい5師団しだんは、陽ひ地ち村むら（양지촌）-舊きゅう垈ぬた（구대）-後こう洞ほら（후동）-748高地こうちを結むすぶ北きた漢江かんこう西岸せいがんと東岸とうがんを防御ぼうぎょしており、西岸せいがんに第だい35連隊れんたい、東岸とうがんに第だい36連隊れんたいを配置はいちし、第だい27連隊れんたいは予備よびとしていた[14]。

韓国かんこく軍ぐん2個こ師団しだんの正面しょうめんには第だい60軍ぐん、第だい21軍ぐん（1個いっこ師し欠かけ、第だい33師し配属はいぞく）、第だい68軍ぐん第だい605団だんで編成へんせいされた東ひがし集団しゅうだんがあった[14][13]。松まつ實里みさと（송실리）-龍りゅう湖みずうみ洞ほら（송실리）間あいだを攻撃こうげきして地域ちいき西側にしがわの韓国かんこく軍ぐんを殲滅せんめつ後ご、攻撃こうげきを拡大かくだいして金城きんじょう川がわ橋梁きょうりょうと浦口うらぐち及および金城きんじょう-華川はなかわ間あいだの道路どうろを確保かくほし、韓国かんこく軍ぐんの反撃はんげきと増援ぞうえんを遮断しゃだんする任務にんむを与あたえられていた[14]。

7月がつ13日にち午後ごご9時じ、第だい3師団しだんに砲撃ほうげきを集中しゅうちゅうさせた後のち、第だい3師団しだん左ひだり第だい一線いっせんの第だい22連隊れんたい第だい3大隊だいたい正面しょうめんを2個こ大隊だいたいで攻撃こうげきする一方いっぽうで、第だい23連隊れんたいには中規模ちゅうきぼから大だい規模きぼの兵力へいりょくで牽制けんせい攻撃こうげきさせ、第だい5師団しだん左側ひだりがわ背せの金城きんじょう突出とっしゅつ部ぶに兵力へいりょくを浸透しんとうさせて第だい23連隊れんたいの後方こうほうを遮断しゃだんした[14]。砲撃ほうげきと奇襲きしゅう攻撃こうげきによって第だい22連隊れんたい第だい3大隊だいたいは有線ゆうせん及および無線むせんが途絶とぜつした状態じょうたいで陣地じんちを突破とっぱされ、主要しゅよう高地こうちである485高地こうちを失うしなった[14]。夜間やかん、第だい22連隊れんたいは、左側ひだりがわの第だい2大隊だいたいが孤立こりつした状態じょうたいで陣地じんちを維持いじしていたが、右側みぎがわの第だい3大隊だいたいは通信つうしんと砲兵ほうへい支援しえんが途絶とだえると連隊れんたい指揮しき所しょに向むかって分散ぶんさん撤退てったいし始はじめた[14]。第だい23連隊れんたいでも後方こうほうに浸透しんとうした部隊ぶたいによって連隊れんたい指揮しき所しょが襲撃しゅうげきされるなど、連隊れんたい後方こうほうは混乱こんらんに陥おちいった[14]。同時どうじに前方ぜんぽうでは中共ちゅうきょう軍ぐんは前哨ぜんしょう線せんを通過つうかし、第だい23連隊れんたい左側ひだりがわの第だい1大隊だいたい主ぬし抵抗ていこう線せんを攻撃こうげきした後のち、連隊れんたい右側みぎがわの第だい3大隊だいたいを圧迫あっぱくした。

国連こくれん軍ぐんの反撃はんげき[編集へんしゅう]

テーラー軍ぐん司令しれい官かんの要請ようせいで視察しさつに来きた白はく善よし燁参謀さんぼう総長そうちょうは状況じょうきょうを確認かくにんすると、第だい8軍ぐんに補給ほきゅうを要請ようせいし、前任ぜんにんの経験けいけん豊富ほうふな師団しだん長ちょうを呼よび戻もどした[6][15]。アメリカ軍ぐん第だい8軍ぐんと韓国かんこく陸軍りくぐん本部ほんぶはこれが最後さいごの戦闘せんとうになると見みて、すでに日本にっぽんに引ひき揚あげていた第だい187空挺くうてい連隊れんたいや第だい24師団しだんの増派ぞうはを急いそぎ、予備よびの韓国かんこく軍ぐん第だい11師団しだん（師団しだん長ちょう：林はやし富澤とみざわ准じゅん将しょう）、第だい22師団しだん（師団しだん長ちょう：朴ぼく基はじめ丙へい准じゅん将しょう）を戦線せんせんに投入とうにゅうした。

国連こくれん軍ぐんの迅速じんそくな補給ほきゅうと増援ぞうえんにより第だい2軍団ぐんだんは態勢たいせいを立たて直なおし、東ひがしからは第だい10軍団ぐんだんの韓国かんこく軍ぐん第だい7師団しだん、西にしから第だい9軍団ぐんだんの第だい3師団しだんが中共ちゅうきょう軍ぐんの突破口とっぱこうの肩かた部ぶに向むかって攻撃こうげきを開始かいしした[6][16]。予備よびの韓国かんこく軍ぐん第だい11師団しだんは中共ちゅうきょう軍ぐんの尖端せんたんに向むけ、西にしから第だい22師団しだんが中共ちゅうきょう軍ぐんの右側みぎがわ背せに攻撃こうげきした[6]。反撃はんげきは順調じゅんちょうに進展しんてんし、失地しっちの半分はんぶんほどを奪回だっかいしたところで停止ていしを命めいじられた[1]。中国ちゅうごく・北朝鮮きたちょうせん側がわが休戦きゅうせん会談かいだんを希望きぼうし、これに国連こくれん軍ぐんが応おうじたためであった[1]。この時ときの戦線せんせんが現在げんざいの軍事ぐんじ境界きょうかい線せんを形成けいせいした[17]。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

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  6. ^ a b c d 白しろ 2013, p. 529.
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  8. ^ 佐々木ささき 1977, p. 515.
  9. ^ a b 佐々木ささき 1977, p. 519.
  10. ^ 国防こくぼう部ぶ軍ぐん史し編纂へんさん研究所けんきゅうじょ 2013, p. 359.
  11. ^ 国防こくぼう部ぶ軍ぐん史し編纂へんさん研究所けんきゅうじょ 2017, p. 158.
  12. ^ a b c d e f g h i j k l m n 国防こくぼう部ぶ軍ぐん史し編纂へんさん研究所けんきゅうじょ 2017, p. 159.
  13. ^ a b 国防こくぼう部ぶ軍ぐん史し編纂へんさん研究所けんきゅうじょ 2013, p. 345.
  14. ^ a b c d e f g h i j 国防こくぼう部ぶ軍ぐん史し編纂へんさん研究所けんきゅうじょ 2017, p. 160.
  15. ^ 佐々木ささき 1977, p. 516.
  16. ^ 田中たなか 2011, p. 113.
  17. ^ 佐々木ささき 1977, p. 518.

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • 白はく善よし燁『若わかき将軍しょうぐんの朝鮮ちょうせん戦争せんそう』草くさ思おもえ社しゃ〈草くさ思おもえ社しゃ文庫ぶんこ〉、2013年ねん。ISBN 978-4-79-421966-4。 
  • 田中たなか恒夫つねお『図説ずせつ朝鮮ちょうせん戦争せんそう』河出書房新社かわでしょぼうしんしゃ〈ふくろうの本ほん〉、2011年ねん。ISBN 978-4-30-976162-6。 
  • 『朝鮮ちょうせん戦争せんそう（下した） 中国ちゅうごく軍ぐん参戦さんせんと不毛ふもうの対峙たいじ戦せん』学習研究社がくしゅうけんきゅうしゃ〈歴史れきし群ぐん像ぞうシリーズ〉、1999年ねん。ISBN 4-0560-2130-9。 
  • 佐々木ささき春はる隆たかし『朝鮮ちょうせん戦争せんそう/韓国かんこく篇へん 下巻げかん 漢江かんこう線せんから休戦きゅうせんまで』原はら書房しょぼう、1977年ねん。 
  • “韓國かんこく戰爭せんそう史し第だい9巻かん 對陣たいじん末期まっき（1953.1.1～1953.7.27）” (PDF). 韓国かんこく国防こくぼう部ぶ軍ぐん史し編纂へんさん研究所けんきゅうじょ. 2020年ねん2月がつ17日にち閲覧えつらん。
  • “6·25戦争せんそう史し 第だい11巻かん-고지쟁탈전과 정전협정 체결” (PDF) (韓国かんこく語ご). 韓国かんこく国防こくぼう部ぶ軍ぐん史し編纂へんさん研究所けんきゅうじょ. 2020年ねん12月27日にち閲覧えつらん。
  • “6.25전쟁 주요전투 2” (PDF) (韓国かんこく語ご). 韓国かんこく国防こくぼう部ぶ軍ぐん史し編纂へんさん研究所けんきゅうじょ. 2020年ねん12月27日にち閲覧えつらん。
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