飛鳥山あすかやま公園こうえん

飛鳥山あすかやま公園こうえん
分類ぶんるい	都市とし公園こうえん
所在地しょざいち	東京とうきょう都と北きた区く王子おうじ1-1-3
座標ざひょう	北緯ほくい35度ど45分ふん2.02秒びょう 東経とうけい139度ど44分ふん20.00秒びょう
面積めんせき	73,000 m2
設計せっけい者しゃ	（1878年ねん改修かいしゅう）長岡ながおか安平あびら
設備せつび・遊具ゆうぐ	博物館はくぶつかん、庭園ていえん、野外やがいステージ、児童じどう公園こうえん、噴水ふんすい
駐車ちゅうしゃ場じょう	普通ふつう車しゃ21台だい、障害しょうがい者しゃ用よう2台だい、大型おおがた車輌しゃりょう4台だい

歌川うたがわ広重ひろしげ『名所めいしょ江戸えど百ひゃく景けい』より「飛鳥山あすかやま北きたの眺望ちょうぼう」。飛鳥山あすかやまは江戸えどきっての花見はなみの名所めいしょの一ひとつであった。

飛鳥山あすかやま公園こうえん（あすかやまこうえん）は、東京とうきょう都と北きた区くにある区立くりつ公園こうえん。東京とうきょう都内とないの桜さくらの名所めいしょの一ひとつ。江戸えど時代じだい享とおる保ほ年間ねんかんに行楽こうらく地ちとして整備せいびされ、明治めいじ6年ねん（1873年ねん）3月がつには日本にっぽん最初さいしょの公園こうえんの一ひとつに指定していされた。旧きゅう渋沢しぶさわ家か飛鳥山あすかやま邸ていが位置いちしており、晩ばん香こう廬いおり（ばんこうろ）と青あお淵ふかし文庫ぶんこ（せいえんぶんこ）の建物たてものは国くにの重要じゅうよう文化財ぶんかざいに指定していされている。

起源きげん

都内とない有数ゆうすうの桜さくらの名所めいしょとして知しられる

江戸えど幕府ばくふ第だい8代だい将軍しょうぐん徳川とくがわ吉宗よしむねが享とおる保ほの改革かいかくの一環いっかんとして整備せいび・造成ぞうせいを行おこなった公園こうえんとして知しられる。吉宗よしむねの治世ちせいの当時とうじ、江戸えど近辺きんぺんの桜さくらの名所めいしょは寛永寺かんえいじ程度ていどしかなく、花見はなみの時期じきは風紀ふうきが乱みだれた。このため、庶民しょみんが安心あんしんして花見はなみができる場所ばしょを求もとめたという。開放かいほう時じには、吉宗よしむね自みずから飛鳥山あすかやまに宴席えんせきを設もうけ、名所めいしょとしてアピールを行おこなった。1720年ねんから翌年よくねんにかけて1270本ほんの桜さくらが植うえられ、現在げんざいもソメイヨシノを中心ちゅうしんに約やく650本ほんの桜さくらが植うえられている。

地形ちけい

「飛鳥山あすかやま公園こうえん」の名なの通とおり一帯いったいは小高こだかい丘おかになっているが、「飛鳥山あすかやま」という名前なまえは国土こくど地理ちり院いんの地形ちけい図ずには記載きさいされておらず、その標高ひょうこうも正確せいかくには測量そくりょうされていなかった。北きた区くでは、「東京とうきょう都とで一番いちばん低ひくい」とされる港みなと区くの愛宕山あたごやま（25.7メートル）よりも低ひくい山やまではないかとして、2006年ねんに測量そくりょうを行おこない、実際じっさいに愛宕山あたごやまよりも低ひくい25.4メートルであることを確認かくにんしたとしている。北きた区くは国土こくど地理ちり院いんに対たいし、飛鳥山あすかやまを地形ちけい図ずに記載きさいするよう要望ようぼうしたが採択さいたくされなかった。

また『鉄道てつどう唱歌しょうか』奥州おうしゅう・磐城いわき篇へんの第だい2番ばんにて「森もりは花見はなみし飛鳥山あすかやま」と歌うたわれている。

公園こうえんの地下ちかを東京とうきょうメトロ南北線なんぼくせんおよび首都高しゅとこう速そく中央ちゅうおう環状かんじょう線せん（飛鳥山あすかやまトンネル）が通過つうかしている。

歴史れきし

• 1720年ねん（享とおる保ほ5年ねん）：徳川とくがわ吉宗よしむねがサクラの苗木なえぎを植うえさせる。
• 1737年ねん（元もと文ぶん2年ねん）：江戸えど庶民しょみんに一般いっぱん開放かいほう。
• 1873年ねん（明治めいじ6年ねん）：太政官だじょうかん布達ふたつ第だい16号ごうにより、上野公園うえのこうえん・芝公園しばこうえん・浅草あさくさ公園こうえん・深川ふかがわ公園こうえんと共ともに日本にっぽん最初さいしょの公園こうえんに指定していされる。
• 1879年ねん（明治めいじ12年ねん）：渋沢しぶさわ栄一えいいちが飛鳥山あすかやま公園こうえん南東なんとう側がわの敷地しきちに別荘べっそうを構かまえる。1901年ねんから栄一えいいちが死去しきょした1931年ねんまでは本邸ほんていとして使用しよう（実際じっさいは子息しそくのいる三田みた綱つな町まちの邸宅ていたくとの併用へいようである）。
• 1883年ねん（明治めいじ16年ねん）：日本にっぽん鉄道てつどうにより、上野うえの駅えきと熊谷くまがや駅えきを結むすぶ鉄道てつどう路線ろせん（現在げんざいの東北本線とうほくほんせん・高崎線たかさきせんの各かく一部いちぶ区間くかん）が開通かいつうしたことに伴ともない、かわらけ（土器どき）投なげが禁止きんし。
• 1927年ねん（昭和しょうわ2年ねん）：来きたるべき東京とうきょうオリンピックの会場かいじょうを想定そうていし、運動うんどう場じょうを整備せいび。
• 1933年ねん（昭和しょうわ8年ねん）4月がつ23日にち：渋沢しぶさわ栄一えいいちの遺言ゆいごんにより飛鳥山あすかやま邸宅ていたくを龍りゅう門もん社しゃに寄贈きぞう。
• 1945年ねん（昭和しょうわ20年ねん）
  • 3月16日にち：太平洋戦争たいへいようせんそう下した、龍りゅう門もん社しゃは渋沢しぶさわ家か邸宅ていたくを政府せいふに寄贈きぞう。
  • 4月がつ13日にち：空襲くうしゅうで罹災りさいし、旧きゅう渋沢しぶさわ家か邸宅ていたくの大だい部分ぶぶんを焼失しょうしつ。
• 1949年ねん（昭和しょうわ24年ねん）
  • 3月31日にち：政府せいふより龍りゅう門もん社しゃに旧きゅう渋沢しぶさわ家か邸宅ていたく跡地あとちが返還へんかん。
  • 7月がつ16日にち：龍りゅう門もん社しゃは渋沢しぶさわ栄一えいいち顕彰けんしょう事業じぎょうの基金ききんとするため旧きゅう渋沢しぶさわ家か邸宅ていたく跡地あとちの3分ぶんの2を売却ばいきゃくし飛鳥山あすかやま公園こうえんが拡張かくちょうされる。
• 1970年ねん（昭和しょうわ45年ねん）：回転かいてん式しき展望てんぼうタワー「スカイラウンジ」（通称つうしょう・飛鳥山あすかやまタワー）開業かいぎょう。
• 1993年ねん（平成へいせい5年ねん）：スカイラウンジ廃止はいし。
• 1998年ねん（平成へいせい10年ねん）：園内えんないに三みっつの博物館はくぶつかんが開館かいかん（渋沢しぶさわ史料しりょう館かん、北きた区く飛鳥山あすかやま博物館はくぶつかん、紙かみの博物館はくぶつかん）。
• 2009年ねん（平成へいせい21年ねん）7月がつ17日にち：スロープカー「飛鳥山あすかやま公園こうえんモノレール」運転うんてん開始かいし。

150周年しゅうねん事業じぎょう

1873年ねんの公園こうえん指定していから2023年ねんは150周年しゅうねんにあたり、区役所くやくしょと商工しょうこう会議かいぎ所しょ、民間みんかん企業きぎょうが「飛鳥山あすかやま150周年しゅうねんプロジェクト」を展開てんかいしている。2023年ねん3月がつに飛鳥山あすかやまを活用かつようするアイデアをインターネットで募集ぼしゅうを始はじめたほか、6月がつ10日とおかには、たき火びや、江戸えど時代じだいの娯楽ごらくをヒントにした「昔むかし遊あそび」（願ねがい事ごとを書かいた土器どき投なげの代かわりにコースター投なげ、鍋なべ蓋ぶた転ころがしの代かわりに自転車じてんしゃの車輪しゃりん転ころがし）などを楽たのしむイベントを開ひらいた。

園内えんないの施設しせつ

飛鳥山あすかやま3つの博物館はくぶつかん

1998年ねん（平成へいせい10年ねん）3月がつに「飛鳥山あすかやま3つの博物館はくぶつかん」として飛鳥山あすかやま公園こうえんに博物館はくぶつかんゾーンが設置せっちされた。

北きた区く飛鳥山あすかやま博物館はくぶつかん

地域ちいきの郷土きょうど資料しりょうを展示てんじする博物館はくぶつかん。

紙かみの博物館はくぶつかん

世界せかいでも有数ゆうすうの紙かみ専せん門もんの博物館はくぶつかん。日本にっぽん最初さいしょの洋紙ようし工場こうじょうだった旧きゅう王子製紙おうじせいし（1949年ねん分割ぶんかつ）の収蔵しゅうぞう資料しりょうを引ひき継つぎ、1950年ねんに製紙せいし記念きねん館かんとして設立せつりつ。1998年ねんに飛鳥山あすかやま公園こうえん内ないに移転いてん。

渋沢しぶさわ史料しりょう館かん

同地どうちに本邸ほんていを構かまえていた実業じつぎょう家か渋沢しぶさわ栄一えいいちに関かんする資料しりょうを収蔵しゅうぞう展示てんじする博物館はくぶつかん。

史跡しせき・展示てんじ物ぶつ

旧きゅう渋沢しぶさわ庭園ていえん

旧きゅう渋沢しぶさわ家か飛鳥山あすかやま邸てい「曖依村荘そんそう（あいいそんそう）」跡あとの庭園ていえん。1992年ねん（平成へいせい4年ねん）から北きた区くが管理かんりしている。現存げんそんする晩ばん香こう廬いおり（ばんこうろ）と青あお淵ふかし文庫ぶんこ（せいえんぶんこ）の建物たてものは国くにの重要じゅうよう文化財ぶんかざいに指定していされている。詳細しょうさいは旧きゅう渋沢しぶさわ家か飛鳥山あすかやま邸ていを参照さんしょう。

静態せいたい保存ほぞん車両しゃりょう

いずれも屋外おくがい保存ほぞん。保存ほぞん状態じょうたいが悪わるく荒廃こうはいが著いちじるしかったが、2005年ねんの園内えんない整備せいびに併あわせて修復しゅうふく・再さい塗装とそうが行おこなわれ、上屋うわやが設置せっちされた。

• 国鉄こくてつD51形かたち蒸気じょうき機関きかん車しゃ 853号機ごうき：1943年ねん製造せいぞう、1972年ねん6月がつまで走行そうこう。
• 東京とうきょう都と交通こうつう局きょく6000形かたち電車でんしゃ 6080号ごう：1949年ねん製造せいぞう、1978年ねん4月がつまで走行そうこう。

石碑せきひ

• 飛鳥山あすかやま碑ひ：1737年ねん（元もと文ぶん2年ねん）建立こんりゅうで、飛鳥山あすかやまの由来ゆらいを記しるす。あまりに難解なんかいな漢文かんぶんであるため、江戸えど時代じだいは読よめない碑いしぶみとして知しられた。
• 桜さくらの賦ふの碑いしぶみ：1881年ねん（明治めいじ14年ねん）建立こんりゅう。佐久間さくま象山ぞうさんの書かいた「桜さくら賦ふ」を、門弟もんてい勝かつ海舟かいしゅうの意いで碑いしぶみにしたもの。
• 船津ふなつ翁おうの碑いしぶみ：1899年ねん（明治めいじ32年ねん）建立こんりゅう。大久保おおくぼ利通としみちの招まねきで駒場こまば農みのり学校がっこう農場のうじょう監督かんとくとなり、後のちに西ケ原にしがはらの農事のうじ試験場しけんじょう技師ぎしとして農業のうぎょうの発展はってんに努つとめた船津ふなつ伝次でんじ平たいらの功績こうせきを顕彰けんしょうする。こどもの広場ひろば脇わきの茶店ちゃみせ隣となりに位置いちする。

古墳こふん

• 飛鳥山あすかやま古墳こふん群ぐん：公園こうえん内ないに分布ぶんぷする古墳こふん群ぐんで、円えん墳ふん5基き以上いじょうから構成こうせいされる。1989年ねん（平成へいせい元年がんねん）・1991年ねん（平成へいせい3年ねん）に発掘はっくつ調査ちょうさが実施じっしされている。1号ごう墳ふんは直径ちょっけい31メートルの円えん墳ふんで、埋葬まいそう施設しせつは凝灰岩ぎょうかいがん質しつ石材せきざいによる切石きりいし積づみの横穴よこあな式しき石室いしむろであり、石室いしむろの平面へいめん形がたは石室いしむろ中央ちゅうおう部ぶが膨ふくらむ胴どう張はり形がたを呈ていする。その他たの古墳こふんは直径ちょっけい20メートル程度ていどの円えん墳ふんで、周しゅう溝みぞが認みとめられる。古墳こふん時代じだい後期こうき-終末しゅうまつ期きの6世紀せいき後半こうはん-7世紀せいき初頭しょとう頃ごろの営造えいぞうと推定すいていされる。

• 
  晩ばん香こう廬いおり
• 
  青あお淵ふかし文庫ぶんこ
• 
  D51 853
• 
  飛鳥山あすかやま碑ひ
• 
  桜さくらの賦ふの碑いしぶみ

アクセス

住所じゅうしょは東京とうきょう都と北きた区く王子おうじ1-1-3。

最寄もより駅えきはJR京浜東北線けいひんとうほくせんおよび南北線なんぼくせん王子おうじ駅えきから徒歩とほ5分ふん程度ていど、都電とでん荒川線あらかわせん（東京とうきょうさくらトラム）の王子駅前おうじえきまえ停留ていりゅう場じょうまたは飛鳥山あすかやま停留ていりゅう場じょうから下車げしゃ徒歩とほ3分ふん。有料ゆうりょう駐車ちゅうしゃ場じょうもある。

前述ぜんじゅつのように、園内えんないには飛鳥山あすかやま公園こうえんモノレール（スロープカー）が設置せっちされており、飛鳥山あすかやま山頂さんちょう駅えきへ登のぼれる。

関連かんれん文献ぶんけん

• 斎藤さいとう長ちょう秋あき 編へん「卷まき之の五ご 玉たま衡之部ぶ 飛鳥山あすかやま」『江戸えど名所めいしょ図会ずえ』 3巻かん、有朋ありとも堂どう書店しょてん〈有朋ありとも堂どう文庫ぶんこ〉、1927年ねん、317-328頁ぺーじ。NDLJP:1174157/163。 

関連かんれん項目こうもく

• 旧きゅう渋沢しぶさわ家か飛鳥山あすかやま邸てい - 栄一えいいちが晩年ばんねんに別荘べっそうさらに本邸ほんていとした東京とうきょう都と北きた区くにある建物たてもの。
• 旧きゅう渋沢しぶさわ家か住宅じゅうたく - 栄一えいいちが明治めいじ期き以降いこうに住すまいとした東京とうきょう都と江東こうとう区くの建物たてもの（数すう度ど移築いちく）。
• 渋沢しぶさわ栄一えいいち
• 渋沢しぶさわ敬三けいぞう
• 渋沢しぶさわ雅英まさひで

外部がいぶリンク

• 飛鳥山あすかやま公園こうえん
• 飛鳥山あすかやま3つの博物館はくぶつかん

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