オタネニンジン

オタネニンジン根ね生せい^[17]
100 gあたりの栄養えいよう価か
炭水化物たんすいかぶつ	g
食物しょくもつ繊維せんい	g
脂肪しぼう	g
飽和ほうわ脂肪酸しぼうさん	g
一価いっか不ふ飽和ほうわ	g
多た価あたい不ふ飽和ほうわ	g
タンパク質たんぱくしつ	g
他たの成分せいぶん
水分すいぶん	g
水溶すいよう性せい食物しょくもつ繊維せんい	g
不溶性ふようせい食物しょくもつ繊維せんい	g
ビオチン（B7）	μみゅーg
	。廃棄はいき部位ぶい：茎くき、りん皮かわ及および根ね盤ばん部ぶ
	単位たんい; µg = マイクログラム (英語えいご版ばん) • mg = ミリグラム; IU = 国際こくさい単位たんい;
	%はアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくにおける; 成人せいじん栄養えいよう摂取せっしゅ目標もくひょう (RDI) の割合わりあい。

オタネニンジン
	オタネニンジン
分類ぶんるい（APG III）
学名がくめい
	Panax ginseng C.A.Mey. (1842)
和名わみょう
	オタネニンジン; チョウセンニンジン
英名えいめい
	Chinese ginseng; Korean ginseng

オタネニンジン（御ご種たね人じん蔘）は、ウコギ科かの多年草たねんそうである^[8]。原産地げんさんちは中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく・遼東りゃおとん半島はんとうから朝鮮半島ちょうせんはんとうにかけての地域ちいきと言いわれ、中国ちゅうごく東北とうほく部ぶやロシア沿海州えんかいしゅうにかけて自生じせいする。

薬用やくようまたは食用しょくように用もちいられ、チョウセンニンジン（朝鮮ちょうせん人じん蔘）、コウライニンジン（高こう麗人れいじん蔘）などと呼よばれる^[9]。また単たんに人ひと蔘（にんじん）とも呼よばれる^[9]。ただし、野菜やさいのニンジンはセリ科かであり、本ほん種しゅの近きん縁えん種しゅではない。

ロシア連邦れんぽう自生じせいのオタネニンジンは、ワシントン条約じょうやくの附属ふぞく書しょII類るいに指定していされている。

名称めいしょう

本ほん種しゅは元来がんらい「人ひと蔘」と呼よばれ、中国ちゅうごく、朝鮮半島ちょうせんはんとう、および日本にっぽんでは、昔むかしからよく知しられた薬草やくそうの1つだった。枝分えだわかれした根ねの形かたちが人ひとの姿すがたを思おもわせた事ことが、その名称めいしょうの由来ゆらいと言いわれている。

10世紀せいき前半ぜんはん成立せいりつの『和名わみょう類聚るいじゅう抄しょう』巻まき20「草くさ類るい」の人参にんじんに関かんする記述きじゅつでは、和名わみょうが「加か乃仁介かい久佐くざ」（カノニケ草そう）と表記ひょうきされていた^[10]。

朝鮮ちょうせん語ごでは漢字かんじ語ごの「인삼」がよく用もちいられ、特とくに貴重きちょうな野生やせい物ぶつは「山やま蔘（朝鮮ちょうせん語ご版ばん）」（산삼）と呼よばれる^[11]^[12]。別べつの固有こゆう語ご名なの「シム」（심）もあるが、現代げんだいの朝鮮ちょうせん語ごでは「シンマニ（朝鮮ちょうせん語ご版ばん）」（심마니、職業しょくぎょうとしての「山やま蔘採取さいしゅ者しゃ」の意い）や感嘆かんたん詞しの「シンバッタ」（심봤다!、「良よいものを見みつけた」の意い）ぐらいにだけ残のこっている^[11]^[12]。また、中国ちゅうごく東北とうほく部ぶでは「棒ぼう槌づち」（bàngchuí、「木き槌づち」「洗濯せんたく棒ぼう」の意い）とも呼よばれる^[13]。

御ご種たねの由来ゆらい

「御ご種たね人じん蔘」の名なに冠かんされる「御ご種たね」の部分ぶぶんの由来ゆらいには、幾いくつかの説せつが存在そんざいする。

1つには、江戸えど時代じだいの3代だい将軍しょうぐん徳川とくがわ家光いえみつの時代じだいに、関東かんとう地方ちほうの日光にっこうで栽培さいばいに成功せいこうし、江戸えど幕府ばくふが各かく藩はんに「種子しゅし」を与あたえたので「御ご種たね人参にんじん」と称しょうされたとも言いわれる^[14]。

また1つには、江戸えど幕府ばくふの8代だい将軍しょうぐん徳川とくがわ吉宗よしむねが対馬つしま藩はんに命めいじて朝鮮半島ちょうせんはんとうで種子しゅしと苗なえを入手にゅうしゅさせ、試ためし植うえと栽培さいばい・結実けつじつの後のちで各地かくちの大名だいみょうに種子しゅしを分わけ与あたえて栽培さいばいを奨励しょうれいし、これを敬うやまって「御ご種たね人参にんじん」と呼よぶようになったと言いわれる^[15]。

日本にっぽんでは栽培さいばい成功せいこう以前いぜんの「人ひと蔘」は、朝鮮半島ちょうせんはんとうからの輸入ゆにゅうに依存いぞんしていた。

人ひと蔘とニンジン

このように「人ひと蔘」の語かたりは元来がんらい本ほん種たねを指さしていたが、日本にっぽんにおいては、江戸えど時代じだい以降いこう、セリ科かの根菜こんさい“胡えびす蘿蔔”^{[注ちゅう 1]}（こらふ、現在げんざいのニンジンのこと）が舶来はくらいの野菜やさいとして知しられるようになると、本ほん種たねと同様どうように肥大ひだい化かした根ねの部分ぶぶんを用もちいるため、これを類似るいじ視しして「せりにんじん」などと呼よんだ^[16]。

時代じだいが下くだるにつれて“せりにんじん”は基本きほん野菜やさいとして広ひろく普及ふきゅうし、名称めいしょうも単たんに「にんじん」と呼よばれる事例じれいが多おおくなった。一方いっぽうで、本ほん種しゅは医学いがくの西洋せいよう化かにつれて、次第しだいに使つかわれなくなっていったため、いつしか日本語にほんごで「人ひと蔘」と言いえば“せりにんじん”を指さすのが普通ふつうとなった。

その後ご、区別くべつの必要ひつようから、本ほん種しゅに対たいしては、明示めいじ的てきに拡張かくちょうした「朝鮮ちょうせん人じん蔘」の名なが使つかわれるようになった（レトロニム）。

第だい2次じ世界せかい大戦たいせん後ご以降いこう、日本にっぽんの人ひと蔘取扱とりあつかい業者ぎょうしゃは、輸入ゆにゅう元もとの大韓民国だいかんみんこくで嫌いやがられる「朝鮮ちょうせん」の語かたりを避さけて「薬用やくよう人じん蔘」と呼称こしょうしてきた。しかし、後のちに「薬用やくよう」の名称めいしょうが薬事やくじ法ほうに抵触ていしょくすると行政ぎょうせい指導しどうを受うけ、呼称こしょうを「高こう麗人れいじん蔘」へ切きり替かえた。

以上いじょう2種類しゅるいの植物しょくぶつについて、各国かっこく語ごの呼よび名なの対照たいしょうは、以下いかの通とおり。

	日本語にほんご	中国ちゅうごく語ご（繁体字はんたいじ/簡体字かんたいじ）	朝鮮ちょうせん語ご	英語えいご
本ほん種たね	御ご種たね人参にんじん（御ご種たね人じん蔘）高麗こうらい人参にんじん（高こう麗人れいじん蔘）朝鮮人参ちょうせんにんじん（朝鮮ちょうせん人じん蔘）	人ひと蔘/人参にんじん [rénshēn、レンシェン]	인삼 （人ひと蔘） [insam、インサム] 심 [sim、シム]^[11]	ginseng [ジンセン] （中国ちゅうごく語ごの音おとを真似まねた）
ニンジン	にんじん（人参にんじん）	胡えびす蘿蔔/胡えびす萝卜 [húluóbo] 紅べに蘿蔔/红萝卜ぼく [hóngluóbo] など	당근 （唐から根ね） [danggeun、タンクン]	carrot

特徴とくちょう

地上ちじょう部ぶの草丈くさたけは、50 cmから60 cm程度ていどである^[8]。茎くきは1本ほんだけ直立ちょくりつし、茎くき頂いただきに5出で掌てのひら状じょう複葉ふくようを輪わ生せいする^[8]。葉はは楕円だえん形がた又または卵たまご形がたで鋸歯きょしが有あり、先端せんたんは尖とがっている^[8]。花はなは白色はくしょくを帯おびた淡あわ緑色みどりいろで、散ち形かたち花序かじょ^[8]。

産地さんち・栽培さいばい・加工かこう

古ふるくから薬効やっこうが知しられ珍重ちんちょうされていたものの、その栽培さいばいは困難こんなんで、18世紀せいき初頭しょとうの李り氏し朝鮮ちょうせんで初はじめて成功せいこうしたとされるが、それより100年ねん以上いじょう前まえの第だい3代だい征夷大将軍せいいたいしょうぐん徳川とくがわ家光いえみつの代だい^[14]、あるいは遅おそくとも8代だい将軍しょうぐん徳川とくがわ吉宗よしむねの命いのちにより享とおる保ほ14年ねん（1729年ねん）までに栽培さいばいに成功せいこうしている^[19]。韓国かんこくでは忠清ただきよ南道みなみどう錦山にしきやま郡ぐんと仁川にがわ広域こういき市し江こう華はな郡ぐん、北朝鮮きたちょうせんでは開城かいじょう特別とくべつ市しが産地さんちとして有名ゆうめいである。中国ちゅうごくでは長ちょう白山はくさん（白頭山はくとうさん）の麓ふもとで「長ちょう白しろ山人さんじん蔘」として栽培さいばいされる^[15]。

21世紀せいき初頭しょとうにおいて、オタネニンジンの栽培さいばいが行おこなわれているのは、中国ちゅうごく東北とうほく部ぶ、朝鮮半島ちょうせんはんとう、日本にっぽんの長野ながの県けん・福島ふくしま県けん・島根しまね県けんといった場所ばしょである^[20]。ただし、日本にっぽんでは会津あいづ地方ちほう、東あずま信しん地方ちほう、大根島おおねじまなどが古ふるくからの産地さんちとして知しられてきたものの^[15]、栽培さいばい農家のうかの高齢こうれい化かなどが原因げんいんで栽培さいばい面積めんせきが急速きゅうそくに減少げんしょうした^[21]。

栽培さいばいにはおよそ2 - 6年ねんほどの月日つきひを掛かけた上うえで根ねが収穫しゅうかくされるが、5年ねん以上いじょうの物ものが良品りょうひんとされ栽培さいばいが難むずかしい^[9]。日本にっぽんには野生やせいはなく、栽培さいばい地ちでは小屋掛こやがけで直射ちょくしゃ日光にっこうと雨除あまよけをして、通常つうじょうは6年ねんがかりで栽培さいばいする。皮かわを剥はぎ、根ねを天日てんじつで乾燥かんそうさせた生薬きぐすりを白しろ参さん（はくじん、ペ_クサ_ム、백삼 / 白しろ蔘）、皮かわを剥へがずに湯通ゆどおししてから乾燥かんそうさせた生薬きぐすりを紅べに参さん（こうじん、ホンサ_ム、홍삼 / 紅べに蔘）と呼よぶ。なお、日本にっぽん薬局方やっきょくほうにおいては、根ねを蒸むした生薬きぐすりを紅べに参まいりとしている^[15]。他たに、濃こい砂糖さとう水すいに漬つけ込こんでから乾燥かんそうさせた糖とう参さん（とうじん、タンサ_ム、당삼 / 糖とう蔘）もあり、白しろ参さんに分類ぶんるいされる。

なお、栽培さいばい物ぶつより天然てんねん物ぶつの方ほうが珍重ちんちょうされる向むきもあるものの、野生やせいの人ひと蔘の採取さいしゅは非常ひじょうに困難こんなんであり、その希少きしょう性せいから高値たかねで取引とりひきされる場合ばあいがある。

また、高麗こうらい人参にんじんの実みも食用しょくようや化粧けしょう品ひんとして加工かこうされている。高麗こうらい人参にんじんは4年ねんに一いち度どしか実みがならないため、流通りゅうつう量りょうが非常ひじょうに少すくなく希少きしょう性せいが高たかい。ジンセンベリー（ginseng berry)^[22]とも呼よばれ、高麗こうらい人参にんじんよりも多おおくのジンセノサイドが含有がんゆうされている場合ばあいもある。成熟せいじゅくすると実じつは赤あかくなり、ポリフェノールも多おおく含ふくまれている。

利用りよう法ほう

生薬きぐすり

民間みんかん療法りょうほう

オタネニンジンは、生薬きぐすりの1つ「人参にんじん」として古ふるくから利用りようされてきた。主要しゅような薬用やくよう部位ぶいは根ねで有用ゆうよう成分せいぶんに、オタネニンジンの学名がくめいであるPanax ginsengから名前なまえが取とられた、ジンセノサイド（ginsenoside）と呼よばれる化合かごう物ぶつ群ぐんなどが挙あげられる場合ばあいがある^{[注ちゅう 2]}。

民間みんかん療法りょうほう薬やくとして1日にち量りょう1 - 3グラムの人参にんじんを400 mLの水みずに入いれて30分ふんほど煎せんじ、3回かいに分わけて服用ふくようする^[9]。人参にんじん酒しゅとしては、紅べに参さんか白しろ参さん20 - 100グラム、または生せいのオタネニンジン80 - 90グラムを、35度どの焼酎しょうちゅう1リットルに漬つけて、冷暗所れいあんしょに約やく1 - 3か月げつ保存ほぞんした酒さけを、1日にち量りょうで約やく20 mLを目安めやすに飲用いんようする方法ほうほうがある^[15]。1回かい目めに浸ひたした人参にんじんを使つかって、再度さいど6か月げつ漬つけ込こみ2回かい目めの人参にんじん酒しゅを作つくることも出来できる^[15]。

日本にっぽん薬事やくじ法ほうにおいて高麗こうらい人参にんじんを浸つけた酒類しゅるいは「薬味やくみ酒しゅ」と分類ぶんるいし、薬効やっこうのある草根木皮そうこんもくひなどを浸ひたした酒さけまたは漬つけこんだ混成こんせい酒類しゅるい（アルコール飲料いんりょう）としており、酒販しゅはん店てんなどで販売はんばいされている。なお、薬局やっきょくで販売はんばいされている「薬用やくよう酒しゅ」は、その薬効やっこうについて薬事やくじ法ほうの規定きていにより厚生こうせい大臣だいじんの認可にんかを受うけているので別物べつものである^[23]。（例たとえ薬用やくよう酒しゅに高麗こうらい人参にんじん（ジンセノサイド）が含ふくまれていても、認可にんかは別べつの理由りゆう。）

漢かん方方かたがた剤ざい

漢方薬かんぽうやくでは、基本きほん的てきに他たの生薬きぐすりと組くみ合あわせて使つかう。また、白しろ参さんも紅べに参さんも原料げんりょうは同おなじオタネニンジンだが、収穫しゅうかく後ごの処理しょりの仕方しかたが異ことなり、これらは基本きほん的てきに異ことなる生薬きぐすりとして取とり扱あつかう。漢方薬かんぽうやくには「人参にんじん剤ざい」と総称そうしょうされる方かた剤ざい群ぐんが存在そんざいする。人参にんじん湯ゆを始はじめ、補おぎなえ中益なかます気き湯ゆ、六ろく君子くんし湯ゆ、小柴こしば胡えびす湯ゆ、参まいり蘇そ飲いんなど人参にんじんを含ふくむ漢かん方方かたがた剤ざいは多様たようであるものの、どちらかと言いえば虚きょ証しょう向むきの方かた剤ざいが多おおい。また、オタネニンジンの場合ばあいは、漢方かんぽうでも例外れいがい的てきに、独参湯どくじんとうと言いって、オタネニンジンだけを使つかう方かた剤ざいも知しられる。ただし、これは漢方薬かんぽうやく一般いっぱんに言いえる事ことで人参にんじん剤ざいに限かぎらず、いずれの方かた剤ざいにしても証あかしを見極みきわめた上うえで使つかう必要ひつようがある。

食材しょくざい

日本にっぽんにおいては、朝鮮ちょうせん料理りょうりの材料ざいりょうとして用もちいられる他ほか、生せいのまま短冊たんざく切ぎりにして酢す味噌和みそあえにしたり、天てんぷらの材料ざいりょうにする場合ばあいがある^[15]。外国がいこくでの使用しよう例れいで言いうと、韓国かんこくでは煎せんじた物ものを人参にんじん茶ちゃ（インサムチャ、人ひと蔘茶）として飲用いんようしたり、サムゲタン（参まいり鶏にわとり湯ゆ、蔘鷄湯ゆ）などの料理りょうりにも利用りようする。また、乾燥かんそうさせる前まえの「水みず参さん」（スサム、水みず蔘、수삼）をスライスし、蜂蜜はちみつに漬つけて食たべたりもする。人ひと蔘入いりの栄養えいようドリンクやガムなども市販しはんされている。北朝鮮きたちょうせんでは開城かいじょうの人ひと蔘酒が主要しゅような輸出ゆしゅつ品ひんの1つで、韓国かんこくでも京畿けいき道どう坡州市しの烏頭うとう山さん統一とういつ展望てんぼう台だいなどで購入こうにゅうできる。

成分せいぶんに関かんする研究けんきゅう

オタネニンジン植物しょくぶつ個体こたいについて

胃腸いちょう虚弱きょじゃくや食欲しょくよく不振ふしん、嘔吐おうと、下痢げり、病後びょうごの回復かいふく期き、疲労ひろう回復かいふく、滋養じよう強壮きょうそうに効能こうのうが有あるとされてきた^[24]^[25]^[15]^[9]。

各かく成分せいぶんについて

オタネニンジンの主要しゅような薬用やくよう部位ぶいである根ねには、ジンセノサイドと呼よばれるサポニン群ぐんだけですら、少すくなくとも38種しゅの化合かごう物ぶつ群ぐんが存在そんざいするとされる。なお、プロトパナキサジオール (PPD) 系けいサポニンと、プロトパナキサトリオール (PPT) 系けいサポニンの両方りょうほうを含ふくみ、PPD系けいジンセノサイドであるRb1やRb2などは腸ちょう内ない細菌さいきんで代謝たいしゃされてコンパウンドKとして体内たいないに吸収きゅうしゅうされる。しかしながら腸ちょう内ない細菌さいきん叢くさむらは日々ひびの状態じょうたいや個体こたい差さ、加か齢よわいによる変化へんかがあるため、コンパウンドKへの代謝たいしゃがスムーズに行おこなわれない例れいもある^[26]。

西洋せいよう医学いがくによる見解けんかい

オタネニンジンのヒトを対象たいしょうとした、西洋せいよう医学いがくに基もとづいた質しつが高たかいとされる試験しけんは無なく、健康けんこう的てき有益ゆうえき性せいを裏付うらづける西洋せいよう医学いがくにおけるエビデンスは限かぎられている^[27]^[28]。

日本にっぽんの厚生こうせい労働省ろうどうしょうによる見解けんかい

これまでに報告ほうこくされている朝鮮ちょうせんニンジンに関かんするランダム化か比較ひかく試験しけんの多おおくは、質しつの高たかい試験しけんではない可能かのう性せいがあります。したがって、朝鮮ちょうせんニンジンの健康けんこう促進そくしん効果こうかに対たいする理解りかいには限界げんかいがあります。

朝鮮ちょうせんニンジンを推奨すいしょう量りょうで短期間たんきかん経口けいこう摂取せっしゅする場合ばあい（最大さいだい6カ月かげつ）、多おおくの人ひとでは安全あんぜんだと考かんがえられます。しかし、長期ちょうき安全あんぜん性せいに関かんする疑問ぎもんが生しょうじており、一部いちぶの専門せんもん家かは幼児ようじ、子供こども、妊にん婦ふおよび授乳期じゅにゅうきの女性じょせいに対たいする朝鮮ちょうせんニンジンの使用しように反対はんたいしています。

朝鮮ちょうせんニンジンを含ふくむ複数ふくすうの特定とくてい成分せいぶんが配合はいごうされた製剤せいざいを皮膚ひふに短期間たんきかん局所きょくしょ使用しようする場合ばあいは、安全あんぜんだと考かんがえられます。長期間ちょうきかん繰くり返かえして局所きょくしょ使用しようした場合ばあいの安全あんぜん性せいは不明ふめいです。

不眠症ふみんしょう（睡眠すいみん障害しょうがい）は朝鮮ちょうせんニンジンで最もっとも多おおくみられる副作用ふくさようです。そのほかの副作用ふくさようには、月経げっけい異常いじょう、乳房ちぶさ痛つう、心拍しんぱく数すう増加ぞうか、高こう／低てい血圧けつあつ、頭痛ずつう、食欲しょくよく不振ふしん、消化しょうか不良ふりょうなどがあります。

朝鮮人参ちょうせんにんじんが血糖けっとう値ちに影響えいきょうすることを示唆しさするエビデンスが得えられています。糖尿とうにょう病びょうの人ひとは、朝鮮ちょうせんニンジンを使用しようする前まえにかかりつけの医療いりょうスタッフに相談そうだんしましょう。

朝鮮ちょうせんニンジンがカルシウムチャネル遮断しゃだん薬やくなどの降圧こうあつ剤ざい、スタチン、抗こううつ薬やくといった薬剤やくざいと相互そうご作用さようを有ゆうするかどうか、はっきりとはわかっていません。朝鮮ちょうせんニンジンが抗こう凝固ぎょうこ剤ざい（抗こう凝血ぎょうけつ剤ざい）のワルファリン（クマディン）に与あたえる影響えいきょうを調しらべた研究けんきゅうでは、結果けっかは一致いっちしていません。薬くすりを服用ふくようしている人ひとは、朝鮮ちょうせんニンジンを使用しようする前まえにかかりつけの医療いりょうスタッフに相談そうだんしましょう。

妊娠にんしん中ちゅうの朝鮮ちょうせんニンジンの経口けいこう（口くちから）摂取せっしゅは、安全あんぜんではない可能かのう性せいがあります。朝鮮ちょうせんニンジンに含ふくまれる化学かがく物質ぶっしつが、動物どうぶつで先天せんてん異常いじょうを引ひき起おこすことが明あきらかになっています。授乳じゅにゅう中ちゅうの朝鮮ちょうせんニンジン摂取せっしゅの安全あんぜん性せいについては、ほとんど分わかっていません。

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監訳かんやく：大野おおの智さとし（島根大学しまねだいがく）　翻訳ほんやく公開こうかい日び：2021年ねん3月がつ12日にち

厚生こうせい労働省ろうどうしょうのサイトに記載きさいされている見解けんかいは以下いかの米国べいこくwebサイト論文ろんぶんを参照さんしょうのうえ、大野おおの氏しによってまとめられたものです。尚なお、「本ほん項目こうもくの説明せつめい・解説かいせつは、米国べいこくの医療いりょう制度せいどに準じゅんじて記載きさいされているため、日本にっぽんに当あてはまらない内容ないようが含ふくまれている場合ばあいがあることをご承知しょうちください。」との注釈ちゅうしゃくあり^[29]。

他たの生薬きぐすりとの関係かんけい

アメリカニンジン（花はな旗はた参さん）、トチバニンジン（竹節たけふし人じん蔘）、サンシチニンジン（田た七なな人にん蔘）、エゾウコギ - ウコギ科かの薬用やくよう植物しょくぶつ。一部いちぶではこれらから抽出ちゅうしゅつ精製せいせいした物ものを『ジンセン』などと呼称こしょうしているが、本来ほんらいの『ジンセン』は、オタネニンジンから抽出ちゅうしゅつされたエキスを指さす。^{[要よう出典しゅってん]}
クララ - マメ科かの薬用やくよう植物しょくぶつ。形状けいじょうがウコギ科かの「人参にんじん」に似にているため生薬きぐすり「苦く参さんくじん」の名称めいしょうで原料げんりょうとなっているが全まったく異ことなる植物しょくぶつ。アルカロイド系けいの漢方かんぽう作用さよう。
ナマコ - 強壮きょうそう作用さようから中国語ちゅうごくごで「海うみの人参にんじん（御ご種たね人参にんじん）」を意味いみする「海参いりこ（ハイシェン）」と呼よばれる。

慣用かんよう句く

「人参にんじんで行水ぎょうずい」は医薬いやくの限かぎりを尽つくして治療ちりょうをすること^[30]。

脚注きゃくちゅう　

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

注釈ちゅうしゃく

^ 「蘿蔔」は「大根だいこん」を意味いみし、「胡えびす蘿蔔」はいわば「南蛮なんばん大根だいこん」、また「紅べに蘿蔔」は「赤あか大根だいこん」といった意味いみになる。
^ いわゆる西洋せいよう薬やくと異ことなり、生薬きぐすりの多おおくの場合ばあいは、様々さまざまな成分せいぶんが含有がんゆうされており、その全すべてを列挙れっきょする事ことは現実げんじつ的てきでない。

出典しゅってん

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^ 日本にっぽん薬やく学会がっかい（編集へんしゅう）『薬学やくがく生せい・薬剤師やくざいしのための知しっておきたい生薬きぐすり100 ―含漢方かんぽう処方しょほう―』東京とうきょう化学かがく同人どうじん、2004年ねん3月がつ10日とおか発行はっこう、92頁ぺーじ、ISBN 4-8079-0590-2、ISBN-13:978-4-8079-0590-4。
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^ ジンセンベリー
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^ 広辞苑こうじえん第だい5版はん

参考さんこう文献ぶんけん

貝津かいづ好孝よしたか『日本にっぽんの薬草やくそう』小学館しょうがくかん〈小学館しょうがくかんのフィールド・ガイドシリーズ〉、1995年ねん7月がつ20日はつか、46頁ぺーじ。ISBN 4-09-208016-6。
田中たなか孝治こうじ『効ききめと使つかい方かたがひと目めでわかる薬草やくそう健康けんこう法ほう』講談社こうだんしゃ〈ベストライフ〉、1995年ねん2月がつ15日にち、74頁ぺーじ。ISBN 4-06-195372-9。

外部がいぶリンク

朝鮮ちょうせんニンジン(オタネニンジン) - 素材そざい情報じょうほうデータベース＜有効ゆうこう性せい情報じょうほう＞（国立こくりつ健康けんこう・栄養えいよう研究所けんきゅうじょ）
厚生こうせい労働省ろうどうしょうeJIM | 朝鮮ちょうせんニンジン | ハーブ | 医療いりょう関係かんけい者しゃの方ほうへ | 「統合とうごう医療いりょう」情報じょうほう発信はっしんサイト
オタネニンジン（人参にんじん） – 日本にっぽん粉末ふんまつ薬品やくひん株式会社かぶしきがいしゃ
紅べに参さんエキス | （株）かぶしきがいしゃエル・エスコーポレーション

[16] 「蘿蔔」は「大根だいこん」を意味いみし、「胡えびす蘿蔔」はいわば「南蛮なんばん大根だいこん」、また「紅べに蘿蔔」は「赤あか大根だいこん」といった意味いみになる。

[24] いわゆる西洋せいよう薬やくと異ことなり、生薬きぐすりの多おおくの場合ばあいは、様々さまざまな成分せいぶんが含有がんゆうされており、その全すべてを列挙れっきょする事ことは現実げんじつ的てきでない。

[ohba2010-1] 大場おおば秀章ひであき（編著へんちょ）『植物しょくぶつ分類ぶんるい表ひょう』（第だい2刷さつ）アボック社しゃ、2010年ねん。ISBN 978-4-900358-61-4。

[yonekura2010-2] 米倉よねくら浩司こうじ『高等こうとう植物しょくぶつ分類ぶんるい表ひょう』（重版じゅうはん）北きた隆たかし館かん、2010年ねん。ISBN 978-4-8326-0838-2。

[YList_page-3] 米倉よねくら浩司こうじ・梶田かじた忠ただし (2003-). “Panax ginseng C.A.Mey.”. BG Plants 和名わみょう−学名がくめいインデックス（YList）. 2012年ねん8月がつ13日にち閲覧えつらん。

[Tropicos_page-4] "'Panax ginseng C.A. Mey.". Tropicos. Missouri Botanical Garden. 2200621. 2012年ねん8月がつ13日にち閲覧えつらん。

[ITIS_page-5] "Panax ginseng C.A. Mey" (英語えいご). Integrated Taxonomic Information System. 2012年ねん8月がつ13日にち閲覧えつらん。

[EOL_page-6] "Panax ginseng" - Encyclopedia of Life

[NCBI_page-7] "Panax ginseng". National Center for Biotechnology Information（NCBI） (英語えいご).

[kobe-8] “薬草やくそう園えんだより Vol.2015.春はる夏なつ号ごう（第だい6刊かん）” (PDF). 神戸学院大学こうべがくいんだいがく薬学部やくがくぶ附属ふぞく薬用やくよう植物しょくぶつ園えん (2015年ねん). 2019年ねん2月がつ4日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。2020年ねん3月がつ8日にち閲覧えつらん。

[FOOTNOTE貝津好孝1995-9] 貝津かいづ好こう孝こう 1995.

[10] 中田なかた祝はじめ夫おっと（編へん）『和名わみょう類聚るいじゅう抄しょう元和がんわ三さん年ねん古こ活字かつじ版ばん二に十じゅう巻かん本ほん附ふ関係かんけい資料集しりょうしゅう』勉つとむ誠まこと社しゃ文庫ぶんこ23、第だい3刷さつ、1987年ねん、229頁ぺーじ。国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかん蔵ぞう。

[:0-11] “인삼(人ひと蔘)” (朝鮮ちょうせん語ご). 韓国かんこく民族みんぞく文化ぶんか大だい百科ひゃっか事典じてん. 2023年ねん10月がつ2日にち閲覧えつらん。

[:1-12] 木口きぐち政樹まさき (2018年ねん4月がつ12日にち). “＜コラム＞「崇拝すうはい」する日本人にっぽんじんもいる、韓国かんこくのチョーセンニンジンとは”. Record China. 2023年ねん10月がつ2日にち閲覧えつらん。

[13] 昆こん明あきら植物しょくぶつ研究所けんきゅうじょ. “人ひと蔘”. 《中国ちゅうごく高等こうとう植物しょくぶつ数すう据すえ库全库》. 中国科学院ちゅうごくかがくいん微生物びせいぶつ研究所けんきゅうじょ. 2009年ねん2月がつ24日にち閲覧えつらん。

[NPh_herb100_p93-14] 日本にっぽん薬やく学会がっかい（編集へんしゅう）『薬学やくがく生せい・薬剤師やくざいしのための知しっておきたい生薬きぐすり100 ―含漢方かんぽう処方しょほう―』東京とうきょう化学かがく同人どうじん、2004年ねん3月がつ10日とおか発行はっこう、93頁ぺーじ、ISBN 4-8079-0590-2、ISBN-13:978-4-8079-0590-4。

[FOOTNOTE田中孝治1995-15] ^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f ^g ^h 田中たなか孝治こうじ 1995.

[17] 貝原かいばら益軒えきけん『菜さい譜ふ』に「胡えびす蘿蔔」の項目こうもくあり、「せりにんじん」と訓くんじている。明治めいじ時代じだいの刊本かんぽんが国会図書館こっかいとしょかん近代きんだいデジタルライブラリー[1] で閲覧えつらんできる。

[mext7-18] 文部もんぶ科学かがく省しょう『日本にっぽん食品しょくひん標準ひょうじゅん成分せいぶん表ひょう2020年版ねんばん（八はち訂てい）』

[19] 厚生こうせい労働省ろうどうしょう『日本人にっぽんじんの食事しょくじ摂取せっしゅ基準きじゅん（2020年版ねんばん）』

[20] 大場おおば秀章ひであき編へん「小石川こいしかわ植物しょくぶつ園えん前史ぜんし「吉宗よしむねと小石川こいしかわ薬園やくえん」」『日本にっぽん植物しょくぶつ研究けんきゅうの歴史れきし小石川こいしかわ植物しょくぶつ園えん300年ねんの歩あゆみ』東京大学とうきょうだいがく。2023年ねん4月がつ4日にち閲覧えつらん。

[NPh_herb100_p92-21] 日本にっぽん薬やく学会がっかい（編集へんしゅう）『薬学やくがく生せい・薬剤師やくざいしのための知しっておきたい生薬きぐすり100 ―含漢方かんぽう処方しょほう―』東京とうきょう化学かがく同人どうじん、2004年ねん3月がつ10日とおか発行はっこう、92頁ぺーじ、ISBN 4-8079-0590-2、ISBN-13:978-4-8079-0590-4。

[matumoto_2014-22] 松本まつもと真しん悟さとる「島根しまね県けんの土壌どじょうと農業のうぎょう」『ペドロジスト』第だい58巻かん第だい2号ごう、日本にっぽんペドロジー学会がっかい、2014年ねん、88-92頁ぺーじ、doi:10.18920/pedologist.58.2_88、ISSN 0031-4064。

[23] ジンセンベリー

[25] “日本にっぽん食品しょくひん標準ひょうじゅん成分せいぶん表ひょう2020年版ねんばん（八はち訂てい）494頁ぺーじ” (PDF). 文部もんぶ科学かがく省しょう (2022年ねん5月がつ30日にち). 2023年ねん1月がつ31日にち閲覧えつらん。

[26] Hitoshi Kaneko and Kozo Nakanishi (2004). “Proof of the Mysterious Efficacy of Ginseng: Basic and Clinical Trials: Clinical Effects of Medical Ginseng, Korean Red Ginseng: Specifically, Its Anti-stress Action for Prevention of Disease”. Journal of Pharmacological Sciences 95 (2): 158-162. doi:10.1254/jphs.FMJ04001X5.

[27] CHOI, Kwang-tae (2008). “Botanical characteristics, pharmacological effects and medicinal components of Korean Panax ginseng CA Meyer”. Acta Pharmacologica Sinica (Wiley Online Library) 29 (9): 1109-1118. doi:10.1111/j.1745-7254.2008.00869.x.

[28] Lee, Jayeul and Lee, Euiju and Kim, Donghyun and Lee, Junhee and Yoo, Junghee and Koh, Byunghee (2009). “Studies on absorption, distribution and metabolism of ginseng in humans after oral administration”. Journal of ethnopharmacology (Elsevier) 122 (1): 143-148. doi:10.1016/j.jep.2008.12.012.

[NCCIH-29] “Asian Ginseng”. National Center for Complementary and Integrative Health (2016年ねん11月29日にち). 2019年ねん11月がつ10日とおか閲覧えつらん。

[30] Geng J, Dong J, Ni H, Lee MS, Wu T, Jiang K, Wang G, Zhou AL, Malouf R (2010年ねん12月8日にち). “朝鮮人参ちょうせんにんじんの認知にんち機能きのう向上こうじょう効果こうかの確証かくしょう的てきなエビデンスはない”. Cochrane. 2019年ねん11月がつ10日とおか閲覧えつらん。

[31] “医療いりょう関係かんけい者しゃの方ほうへホーム > 海外かいがいの情報じょうほう > 朝鮮ちょうせんニンジン”. 厚生こうせい労働省ろうどうしょう『「統合とうごう医療いりょう」に係かかる情報じょうほう発信はっしん等とう推進すいしん事業じぎょう』 (2021年ねん3月がつ12日にち). 2022年ねん8月がつ20日はつか閲覧えつらん。

[kojien-32] 広辞苑こうじえん第だい5版はん

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名称めいしょう

御ご種たねの由来ゆらい

人ひと蔘とニンジン

特徴とくちょう

産地さんち・栽培さいばい・加工かこう

利用りよう法ほう

生薬きぐすり

民間みんかん療法りょうほう

漢かん方方かたがた剤ざい

食材しょくざい

成分せいぶんに関かんする研究けんきゅう

オタネニンジン植物しょくぶつ個体こたいについて

各かく成分せいぶんについて

西洋せいよう医学いがくによる見解けんかい

日本にっぽんの厚生こうせい労働省ろうどうしょうによる見解けんかい

他たの生薬きぐすりとの関係かんけい

慣用かんよう句く

脚注きゃくちゅう

注釈ちゅうしゃく

出典しゅってん

参考さんこう文献ぶんけん

関連かんれん項目こうもく

外部がいぶリンク

脚注きゃくちゅう　