AGS・JH22

AGS・JH22

カテゴリー	F1
コンストラクター	AGS
デザイナー	クリスチャン・バンダープレイン
先代せんだい	AGS・JH21C
後継こうけい	AGS・JH23
主要しゅよう諸しょ元もと
シャシー	アルミニウムおよびカーボンファイバー製せいモノコック
サスペンション（前まえ）	ダブルウィッシュボーン, コイルスプリング, プッシュロッド
サスペンション（後ご）	ダブルウィッシュボーン, コイルスプリング, プッシュロッド
トレッド	前まえ：1,700 mm (67 in) 後ご：1,560 mm (61 in)
ホイールベース	2,870 mm (113.0 in)
エンジン	フォード-コスワース DFZ, 3,494 cc (213.2 cu in), 575ps 90° V8, NA, ミッドエンジン, 縦たて置おき
トランスミッション	ルノー / ヒューランド 5/6速そく MT
重量じゅうりょう	520 kg (1,150 lb)
燃料ねんりょう	アヴガス / アトコ
タイヤ	グッドイヤー
主要しゅよう成績せいせき
チーム	チーム・エル・チャーロAGS
ドライバー	14. パスカル・ファブル 14. ロベルト・モレノ
コンストラクターズタイトル	0
ドライバーズタイトル	0
初戦しょせん	1987年ねんブラジルグランプリ
出走しゅっそう 優勝ゆうしょう ポール Fラップ 16 (13 スタート) 0 0 0

AGS・JH22は、AGSチームが1987年ねんのF1世界せかい選手権せんしゅけん用ように製作せいさくしたフォーミュラ1カー。デザイナーはクリスチャン・バンダープレイン。前年ぜんねん用ようJH21Cの発展はってん型がたで、エンジンが自然しぜん吸気きゅうきのフォード・DFZへと変更へんこうされた。AGSはJH22で初はつの選手権せんしゅけんポイントを獲得かくとくした。

開発かいはつの背景はいけい

F2で実績じっせきを積つんでいたAGSが前年ぜんねんにスポット参戦さんせんでF1デビューし、1987年ねんシーズンから念願ねんがんのフル参戦さんせんを開始かいし。JH22はそれまでのAGSの車両しゃりょう同様どうようクリスチャン・バンダープレインが設計せっけいし、JH21Cの改良かいりょう型がたであった。エンジンを除のぞいてJH22はJH21Cとほぼ同一どういつであった。モノコックは同おなじ物ぶつを使用しようし、サスペンションやブレーキも同一どういつであったが、それはいずれも4年ねん前まえのルノーの技術ぎじゅつをベースとしていたため 、時代遅じだいおくれでもあった。外装がいそうはサイドポッドが低ひくい物ものに改あらためられた。

バンダープレインはシーズン途中とちゅうで何なん回かいかエンジンカバーのデザインを変更へんこうした。当初とうしょは長方形ちょうほうけいのエアボックスをエンジンカバー上じょうのスタンドに設置せっちしたが、その後ごこれらの時代遅じだいおくれに見みえるデザインは、エンジンの全幅ぜんぷくにわたって延長えんちょうされ低ひくい箱はこ状じょうのエアボックスに置おき換かえられている。 JH21Cはモトーリ・モデルニ製せいのターボエンジンを搭載とうさい、ピレリタイヤを装着そうちゃくしたが、JH22は自然しぜん吸気きゅうきエンジンのコスワース DFZを搭載とうさいし、グッドイヤータイヤを装着そうちゃくした。このエンジンはスイスのハイニー・マーダー・レーシング・コンポーネンツがチューンした。JH22は1987年ねんのマシン中ちゅう最もっとも遅おそい車くるまだったが、完走かんそう能力のうりょくだけは平均へいきん以上いじょうの性能せいのうを示しめした。

前年ぜんねん同様どうようAGSは1台だい体制たいせいでシーズンに臨のぞみ、シーズン中ちゅうに2台だいのJH22を製作せいさくした。1台だい目めは前年ぜんねんのJH21C（シャシーナンバー031）と同一どういつであった。このJH21Cは自然しぜん吸気きゅうきエンジンを搭載とうさいできるよう改造かいぞうされ、新あらたなシャシーナンバー032が与あたえられた。メキシコの靴くつ・衣料いりょう品ひん会社かいしゃエル・チャーロが前年ぜんねんに引ひき続つづいてメインスポンサーとなり、車体しゃたいは白しろで塗装とそうされノーズコーンに大おおきなバラが描えがかれた。ドライバーはイヴァン・カペリがレイトンハウス・マーチに移籍いせき、代かわって1982年ねんのヨーロッパF2選手権せんしゅけんに参戦さんせんしていたフランスの新人しんじんパスカル・ファブルが起用きようされた。

ファブルが乗のったこのシャシーナンバー032は、第だい10戦せんオーストリアGPのスタート時じに発生はっせいした多重たじゅうクラッシュにより激はげしく破損はそんし、シーズン残のこりで使用しようできなくなった。このシャシーは後のちに修理しゅうりされ、フランス、イル＝エ＝ヴィレーヌ県けんロエアックのマノワール・ドゥ・ロトモビルに展示てんじされている。

1987年ねんの夏なつに2台だい目め（シャシーナンバー033）が完成かんせいした。これは元々もともとはセカンドドライバー用ようの物ものだった。ファブルが1台だい目めを破損はそんした後のち、第だい11戦せんイタリアGPからこの2台だい目めを使用しようした。

1987年ねんは自然しぜん吸気きゅうきエンジン採用さいようチームを対象たいしょうとしたコーリン・チャップマン・トロフィーが実施じっしされ、AGSは通常つうじょうのコンストラクターズ・タイトルに加くわえてティレル 、マーチ、ラルース・カルメルとこのタイトルを争あらそった。また、ドライバーのファブルはジム・クラーク・トロフィーを争あらそった。

イタリアから使用しようされた2台だい目め（シャシーナンバー033）は、1989年ねんにMGN (自動車じどうしゃエンジン)のW12エンジンを搭載とうさいして再さい製作せいさくされた。これはエンジンワークショップのMGNが同おなじヴァール県けんに工場こうじょうがあることで提携ていけいしたもので、AGSの古ふるいシャシーをMGNの代表だいひょう者しゃGuy Nègreに提供ていきょうすることで、AGSにとって経済けいざい的てきに困難こんなんな時期じきに追加ついか収入しゅうにゅうを得えるためのものであり、本格ほんかく的てきな合同ごうどう参戦さんせんのために合弁ごうべん会社かいしゃを築きずくような本格ほんかく的てきな提携ていけいではなかった。あとにW12エンジンを切きり離はなし解体かいたいされた後のち、この車体しゃたいはロエアックで保管ほかんされている。

レース戦績せんせき

AGSはJH22でシーズン全すべてを戦たたかった。1台だい体制たいせいでドライバーはF1ルーキーのパスカル・ファブルを起用きようした。マシンの戦闘せんとう力不足ちからぶそくもあったが、ファブルの能力のうりょくも「走はしるシケイン」との異名いみょうが付つけられるなどワーストレベルのドライバーであり、常つねに予選よせん最下位さいかいであった。しかしレースでは下位かいながら完走かんそうを重かさねる信頼しんらい性せいを発揮はっきし、前半ぜんはん9戦中せんちゅう8戦せんで完走かんそうを果はたした。ラップタイムは遅おそく、周回しゅうかい数すうも何なん周しゅうも遅おくれていた。例外れいがいは第だい7戦せんフランスGPで、ファブルはポールリカールのミストラル・ストレートにおいて自然しぜん吸気きゅうき車中しゃちゅう最速さいそくタイムを記録きろくしている。最高さいこう位いは母国ぼこくフランスGPと、次つぎ戦せんイギリスGPでの9位いであった。第だい10戦せんオーストリアGPでもレースをフィニッシュしたが、最低さいてい周回しゅうかい数すうを満みたさず完走かんそう扱あつかいにはならなかった。後半こうはん戦せんでは1カーエントリーだったオゼッラとラルースがセカンドカーの出走しゅっそうを決きめ、コローニもスポット参戦さんせんしたためJH22での予選よせん通過つうかは至難しなんの業わざとなった。ファブルは第だい11戦せんイタリアGPで予選落よせんおちし、第だい14戦せんメキシコGPで3回かい目めの予選よせん落おちを喫きっした。

シーズン終盤しゅうばんの日本にっぽんとオーストラリアでのレースに、チームはファブルに代かえてロベルト・モレノを起用きようした。モレノは1982年ねんオランダグランプリにロータスから参戦さんせんしたが予選落よせんおちしていた。今回こんかいはいずれも予選よせん通過つうかし、最終さいしゅう戦せんオーストラリアGPでは最さい後列こうれつからのスタートにもかかわらず完走かんそう9台だいのサバイバルレースで3周しゅう遅おくれの7位いで完走かんそうした。しかしながら、2位いのアイルトン・セナがブレーキダクトのサイズ違反いはんで失格しっかくとなり、モレノは繰くり上あげで6位い入賞にゅうしょう、ポイントを獲得かくとくした。これはAGSにとって初はつのポイントとなった。

シーズンが終了しゅうりょうしてAGSはコンストラクターズでランキング11位い、コーリン・チャップマン・トロフィーではティレル、ラルースに次ついで3位いとなった。ファブルはジム・クラーク・トロフィーで35ポイント、5位いとなり、モレノは4ポイントで6位いとなった。モレノはまたドライバーズランキングでも19位いとなった。

MGNエンジン

1989年ねん初はじめ、2台だい目めのJH22（シャシーナンバー033）にモトール・ギ・ネグレ（MGN）製せいのW12エンジンを搭載とうさいしてテストが行おこなわれた。MGNの創立そうりつ者しゃギ・ネグレはロータリーバルブを持もつW型がた12気筒きとうエンジンを製作せいさくしていた。1988年ねんにネグレは数すう多おおくのベンチテストを行おこない、1989年ねんには実用じつよう試験しけんが行おこなわれた。彼かれはAGSが提供ていきょうしたJH22にこのエンジンを搭載とうさいしてテストを行おこなった。 テストは1989年ねん9月がつにエクス＝アン＝プロヴァンス近郊きんこうにある全長ぜんちょう2kmのグラン・サムビュック・サーキットで行おこなわれた。MGNはドライバーについて言及げんきゅうしていない。プレスリリースには「地元じもとのテストドライバー」としか記載きさいされなかった。Autohebdo誌しはこのドライバーをフィリップ・ビローだとしている。フィリップ・ビローは1970年代ねんだいから80年代ねんだいにかけて小しょう排気はいき量りょうのレースにいくつか参加さんかしただけだとされる。テストの結果けっかは公表こうひょうされず、周回しゅうかい数すうもラップタイムも不明ふめいである。テストの結果けっかはチームの関心かんしんを引ひくことなく、MGN-W12エンジンはF1デビューすることはなかった。しかしながら、MGNは1990年ねんにノーマ・オートコンセプトと共ともにW12エンジンでル・マン24時じ間あいだレースに参戦さんせんした。

F1における全ぜん成績せいせき

(key) （太字ふとじはポールポジション）

年とし	チーム	エンジン	タイヤ	No.	ドライバー	1	2	3	4	5	6	7	8	9	10	11	12	13	14	15	16	ポイント	順位じゅんい
1987年ねん	Team El Charro AGS	コスワース DFZ V8 NA	G			BRA	SMR	BEL	MON	DET	FRA	GBR	GER	HUN	AUT	ITA	POR	ESP	MEX	JPN	AUS	1	12位い
				14	ファブル	12	13	10	13	12	9	9	Ret	13	NC	DNQ	DNQ	Ret	DNQ
					モレノ															Ret	6

コーリン・チャップマン・トロフィー

(key) （太字ふとじはポールポジション）

年とし	チーム	エンジン	タイヤ	No.	ドライバー	1	2	3	4	5	6	7	8	9	10	11	12	13	14	15	16	ポイント	順位じゅんい
1987年ねん	Team El Charro AGS	コスワース DFZ V8 NA	G			BRA	SMR	BEL	MON	DET	FRA	GBR	GER	HUN	AUT	ITA	POR	ESP	MEX	JPN	AUS	41	3位い
				14	ファブル	3	3	3	3	2	3	2	Ret	4	NC	DNQ	DNQ	Ret	DNQ
					モレノ															Ret	3

その後ご

翌よく1988年ねん、AGSはJH22に代かえてJH23を投入とうにゅうした。JH22は2台だいがAGSのコレクションに収おさめられ、もう1台だいはフランス、イル＝エ＝ヴィレーヌ県けんロエアックのマノワール・ドゥ・ロトモビルに展示てんじされている。

参考さんこう文献ぶんけん

• Adriano Cimarosti: Das Jahrhundert des Rennsports. Autos, Strecken und Piloten. Motorbuch-Verlag, Stuttgart 1997, ISBN 3-613-01848-9.（ドイツ語ご）
• David Hodges: Rennwagen von A–Z nach 1945. Motorbuch-Verlag, Stuttgart 1994, ISBN 3-613-01477-7.（ドイツ語ご）
• David Hodges: A–Z of Grand Prix Cars. Crowood Press, Marlborough 2001, ISBN 1-86126-339-2.（英語えいご）
• Pierre Ménard: La Grande Encyclopédie de la Formule 1. 2. Auflage. Chronosports, St. Sulpice 2000, ISBN 2-940125-45-7.（フランス語ふらんすご）

参照さんしょう

All Formula One race and championship results are taken from Official Formula One website:

• Results: Fabre, Pascal - 1987 Season. Retrieved on March 27, 2008.
• Results: Moreno, Roberto - 1987 Season. Retrieved on March 27, 2008.

外部がいぶリンク

• Black-and-white pit lane photos of the AGS JH22 at the 1987 Hungarian Grand Prix: AtlasF1 The Nostalgia Forum (post)
• Fabre at the 1987 San Marino Grand Prix: Sutton Images
• Moreno at the 1987 Japanese Grand Prix: Sutton Images