台湾たいわん積せき体たい電路でんろ製造せいぞう

台湾たいわん積せき体たい電路でんろ製造せいぞう股また份有限げん公司こうし
（臺灣たいわん積せき體たい電路でんろ製造せいぞう股また份有限げん公司こうし）
Taiwan Semiconductor Manufacturing Company, Ltd.

Fab 5ビル（TSMC ブック）
種類しゅるい	株式会社かぶしきがいしゃ
市場いちば情報じょうほう	TWSE 2330 (PDF) NYSE TSM
略称りゃくしょう	TSMC、台たい積せき電でん
本社ほんしゃ所在地しょざいち	中華民国ちゅうかみんこく（台湾たいわん） 新しん竹市たけいち東ひがし区く力行りっこう六ろく路ろ8号ごう
設立せつりつ	1987年ねん2月がつ
業種ぎょうしゅ	電気でんき機器きき
事業じぎょう内容ないよう	ファウンドリ、半導体はんどうたい素子そしの製造せいぞう・販売はんばいなど
代表だいひょう者しゃ	張ちょう忠ただし謀はかりごと（創業そうぎょう者しゃ） 劉りゅう徳いさお音おん（会長かいちょう） 魏ぎ哲あきら家か（最高さいこう経営けいえい責任せきにん者しゃ）
資本しほん金きん	259,303,804,580 台湾たいわんドル（2022年ねん）
売上うりあげ高だか	1,587,415,037,000台湾たいわんドル（2021年ねん）
営業えいぎょう利益りえき	649,980,897,000台湾たいわんドル（2021年ねん）
総そう資産しさん	3,725,503,455,000台湾たいわんドル（2021年ねん）
従業じゅうぎょう員数いんずう	65,152 人にん（2021年ねん）
決算けっさん期き	12月末日まつじつ
主要しゅよう子会社こがいしゃ	TSMC ジャパン株式会社かぶしきがいしゃ TSMCデザインテクノロジージャパン株式会社かぶしきがいしゃ TSMCジャパン3DIC研究けんきゅう開発かいはつセンター株式会社かぶしきがいしゃ Japan Advanced Semiconductor Manufacturing株式会社かぶしきがいしゃ
外部がいぶリンク	www.tsmc.com

TSMCジャパン株式会社かぶしきがいしゃ
TSMC Japan Limited

日本にっぽん法人ほうじんが入居にゅうきょするクイーンズタワー
種類しゅるい	株式会社かぶしきがいしゃ
本社ほんしゃ所在地しょざいち	日本にっぽん 〒220-6221 神奈川かながわ県けん横浜よこはま市し西にし区くみなとみらい2丁目ちょうめ3番ばん5号ごう クイーンズタワーC棟とう21階かい
設立せつりつ	1997年ねん9月がつ
業種ぎょうしゅ	電気でんき機器きき
法人ほうじん番号ばんごう	6020001032902
代表だいひょう者しゃ	代表だいひょう取締役とりしまりやく社長しゃちょう 小野寺おのでら誠まこと
資本しほん金きん	3億おく円えん（2020年ねん12月31日にち現在げんざい）
純じゅん利益りえき	1555万まん4000円えん（2020年ねん12月がつ期き）
総そう資産しさん	8億おく7206万まん7000円えん （2020年ねん12月31日にち現在げんざい）
決算けっさん期き	12月31日にち

台湾たいわん積せき体たい電路でんろ製造せいぞう股また份有限げん公司こうし（たいわんせきたいでんろせいぞうこふんゆうげんこうし、繁しげる: 臺灣たいわん積せき體たい電路でんろ製造せいぞう股また份有限げん公司こうし、英語えいご: Taiwan Semiconductor Manufacturing Company, Ltd.、略称りゃくしょう：台たい積せき電でん・TSMC）は、中華民国ちゅうかみんこく (台湾たいわん) にある世界せかい最大さいだいの半導体はんどうたい受託じゅたく製造せいぞう企業きぎょう（ファウンドリ）である。世界せかい初はつの半導体はんどうたい専業せんぎょうファウンドリであり、世界せかいで最もっとも時価じか総額そうがくの高たかい半導体はんどうたい企業きぎょうの一ひとつである。台湾たいわん最大さいだい級きゅうの企業きぎょうでもあり、新しん竹市たけいちの新しん竹たけサイエンスパークに本社ほんしゃを置おく。

TSMCが製造せいぞうした半導体はんどうたい集積しゅうせき回路かいろ（ICウェハ）を用もちいた顧客こきゃくの製品せいひんは、補聴器ほちょうきやスマートフォン、クラウドデータセンターから、科学かがく研究けんきゅう用よう機器きき・医療いりょう用よう機械きかい・人工じんこう衛星えいせい・宇宙船うちゅうせんなど、幅広はばひろい電子でんし機器ききに採用さいようされている。現時点げんじてんで世界せかいで最もっとも進すすんだ半導体はんどうたいプロセス技術ぎじゅつである5 nmを用もちいた製造せいぞうサービスを提供ていきょうする最初さいしょのファウンドリである。

概要がいよう

TSMCは、1987年ねんに創業そうぎょう者しゃである張ちょう忠ただし謀はかりごと（Morris Chang、モリス・チャン）によって、台湾たいわんや世界せかい初はつの半導体はんどうたい専攻せんこうのファウンドリとして設立せつりつされ、現在げんざいもこの分野ぶんやにおけるリーディングカンパニーとなっている。1993年ねんに台湾たいわん証券しょうけん取引とりひき所しょ（TWSE: 2330）に上場じょうじょう。1997年ねんには台湾たいわん企業きぎょうとして初はじめてニューヨーク証券しょうけん取引とりひき所しょ（NYSE:TSM）に上場じょうじょうした。

2018年ねん6月がつ、31年間ねんかん同社どうしゃを率ひきいてきた張ちょう忠ただし謀はかりごとの退任たいにんに伴ともない、劉りゅう徳いさお音おん（Mark Liu、マーク・リウ）が会長かいちょうに、魏ぎ哲あきら家か（C.C. Wei、シーシー・ウェイ）が最高さいこう経営けいえい責任せきにん者しゃに就任しゅうにんした。2005年ねんから2009年ねんまで、曾繁城じょう（リック・ツァイ）が最高さいこう経営けいえい責任せきにん者しゃを務つとめた。

2022年ねん現在げんざい、TSMCは全ぜん世界せかいで6万まん人にん以上いじょうの従業じゅうぎょう員いんを擁ようし、2021年ねんの売上うりあげ高だかは568億おく米あめりかドルとなった。

TSMCは、米国べいこく、中国ちゅうごく、シンガポール、台湾たいわん北部ほくぶ、中部ちゅうぶ、南部なんぶでファブ（半導体はんどうたい製造せいぞう工場こうじょう）事業じぎょうに投資とうししている。また、日本にっぽん、北米ほくべい、欧州おうしゅう、中国ちゅうごく、韓国かんこくに拠点きょてんを置おく。

TSMCは、世界せかい的てきな半導体はんどうたい需要じゅようの高たかまりが続つづく中なか、台湾たいわんに加くわえ海外かいがいの施設しせつを拡張かくちょうしており、AIや5Gを搭載とうさいしたアプリケーションで使用しようされるチップなどの需要じゅよう拡大かくだいに対応たいおうするため、2023年ねんまでに1000億おく米あめりかドルを投資とうしして製造せいぞう能力のうりょくの強化きょうかを計画けいかくしている。

2020年ねんには、米国べいこくアリゾナ州しゅうフェニックスに12インチファブを開設かいせつする計画けいかくを発表はっぴょう。この第だい1工場こうじょうでは、2,000人にんの雇用こようが創出そうしゅつされる見込みこみで、4 nmプロセスを採用さいようし、ICウェハ月産げっさん2万まん枚まいを予定よていしている。2024年ねんのフル稼働かどうを予定よていしており、その時点じてんで米国べいこく最先端さいせんたんのファブとなる見込みこみである。さらに2022年ねん12月に計画けいかくが発表はっぴょうされた第だい2工場こうじょうでは3nmプロセスを採用さいようし、第だい1工場こうじょうとの合計ごうけい400億おくドルの投資とうしで4,500人にんの雇用こようを生うみ出だす予定よていである。

JASM

JASM熊本くまもと工場こうじょう

JASM（Japan Advanced Semiconductor Manufacturing株式会社かぶしきがいしゃ）は、TSMCが過半数かはんすうを出資しゅっしする子会社こがいしゃで、ソニーセミコンダクタソリューションズとデンソーが少数しょうすう株主かぶぬしとして参画さんかくしている。

2021年ねん12月設立せつりつ。本社ほんしゃは2022年ねん4月がつ現在げんざいは熊本くまもと県けん熊本くまもと市し。

工場こうじょうは熊本くまもと県けん菊陽きくよう町まちに2022年ねん4月がつより建設けんせつされ、2024年ねんに、12/16 nm FinFETプロセスと22/28 nmプロセス技術ぎじゅつにより生産せいさんを開始かいしする予定よていで、月産げっさん能力のうりょくは12インチウェハで55,000枚まいとなる予定よてい。また、生産せいさん開始かいし時じには本社ほんしゃも工場こうじょう敷地しきち内ないに移転いてん予定よてい。

ジャパンデザインセンターと3DIC研究けんきゅう開発かいはつセンター

グローバル顧客こきゃく対応たいおうのために2020年ねんに設立せつりつされた横浜よこはまのTSMCジャパンデザインセンターは、台湾たいわん本社ほんしゃや世界せかい各地かくちのデザインセンターと協力きょうりょくし、5 nm、3 nm、さらにその先さきの最先端さいせんたんプロセスを使用しようする顧客こきゃくをサポートしている。その一環いっかんとして、社内しゃないテストチップやSRAMマクロ、コンパイラ等とうの開発かいはつ、 TSMCプロセスのデザインフローの開発かいはつ、設計せっけい環境かんきょうの構築こうちくを行おこなっている。

TSMCジャパン3DIC研究けんきゅう開発かいはつセンターは、複数ふくすうのシリコンウェハーまたはダイを垂直すいちょく方向ほうこうに統合とうごうし、それらを接続せつぞくして1つのデバイスとして機能きのうさせる最先端さいせんたん半導体はんどうたいの開発かいはつを目的もくてきに茨城いばらき県けんつくば市しに設立せつりつされた。

主要しゅよう顧客こきゃくと技術ぎじゅつの提供ていきょう

2021年ねん時点じてんで、TSMC全体ぜんたいで年間ねんかん1300万まん枚まい (12インチ換算かんさん)を超こえるICウェハ製造せいぞう能力のうりょくを持もち、2ミクロンから5ナノメートルまでのプロセスノードを用もちいて顧客こきゃく向むけに集積しゅうせき回路かいろを製造せいぞうしている。

2021年ねん、TSMCは290の異ことなるプロセス技術ぎじゅつを展開てんかいし、500社しゃを超こえる顧客こきゃくに12,300以上いじょうの製品せいひんを製造せいぞうした。

主おもな顧客こきゃくは、アップル、インテル、クアルコム、AMD、Nvidiaとなっている。

TSMCは、7 nmと5 nmプロセスによるICウェハを大量たいりょうに生産せいさんしており、7nmプラス（N7+）プロセスによりEUV（極端きょくたん紫外線しがいせん）技術ぎじゅつを商用しょうよう化かした、初はつのファウンドリとなっている。2022年ねんには、3nm製品せいひんの量産りょうさんを開始かいしした。3nmプロセスのトランジスタの幅はばは、人間にんげんの髪かみの毛けの2万まん分ぶんの1に過すぎない。

技術ぎじゅつ、製品せいひん、サービス

7 nmプラス（N7+） によって、TSMCは、半導体はんどうたい業界ぎょうかいで EUV（極端きょくたん紫外線しがいせん）技術ぎじゅつを商用しょうよう化かした、初はつのファウンドリとなっている。 紫外線しがいせんパターンを用もちいてシリコン上じょうに微細びさいな回路かいろを実現じつげんし、従来じゅうらいの技術ぎじゅつに比くらべトランジスタ密度みつどを15 - 20 %向上こうじょうさせ、消費しょうひ電力でんりょくを10 %低減ていげんしている。N5プロセスは、トランジスタ密度みつどを2倍ばい、性能せいのうをさらに15%向上こうじょうさせた。

TSMCは、現在げんざい300 mmウェハを用もちいて以下いかのプロセスを生産せいさんしている。

• 0.13 μみゅーm (用途ようと: 汎用はんよう (G), 低てい消費しょうひ電力でんりょく (LP),ハイパフォーマンス低てい電圧でんあつ (LV)) 1215
• 90 nm (2006年ねん第だい四よん四半期しはんきからの80GCに基もとづく)
• 65 nm (用途ようと: 汎用はんよう (GP), 低てい消費しょうひ電力でんりょく (LP), 超ちょう低てい消費しょうひ電力でんりょく (ULP), LPG)
• 55 nm (用途ようと: 汎用はんよう (GP), 低てい消費しょうひ電力でんりょく (LP))
• 40 nm (用途ようと: 汎用はんよう (GP), 低てい消費しょうひ電力でんりょく (LP), 超ちょう低てい消費しょうひ電力でんりょく (ULP))

• 28 nm (用途ようと: ハイパフォーマンス (HP), ハイパフォーマンスモバイル (HPM), ハイパフォーマンスコンピューティング (HPC), ハイパフォーマンス低てい消費しょうひ電力でんりょく (HPL), 低てい消費しょうひ電力でんりょく (LP), ハイパフォーマンスコンピューティングプラス (HPC+), HKMGを使用しようした超ちょう低てい消費しょうひ電力でんりょく (ULP)
• 22 nm (用途ようと: 超ちょう低てい消費しょうひ電力でんりょく (ULP), 超ちょう低ていリーク (ULL))
• 20 nm
• 16 nm (用途ようと: FinFET (FF), FinFET Plus (FF+), FinFET Compact (FFC))
• 12 nm (用途ようと: FinFET Compact (FFC), FinFET, NVIDIA (FFN)), 16 nm プロセスの拡張かくちょう版ばん

• 10 nm (用途ようと: FinFET (FF))
• 7 nm (用途ようと: FinFET (FF), FinFET Plus (FF+), FinFET Pro (FFP), ハイパフォーマンスコンピューティング (HPC))
• 6 nm (用途ようと: FinFET (FF), 2020年ねん第だい一いち四半期しはんきよりリスク生産せいさん開始かいし, 7 nmプロセスの拡張かくちょう版ばん)
• 5 nm (用途ようと: FinFET (FF))
• 4 nm (用途ようと: FinFET (FF), 2022年ねんより生産せいさん開始かいし, 5 nmプロセスの拡張かくちょう版ばん)
• 3 nm, 2022年ねん12月より生産せいさん開始かいし

また、TSMCでは、より高たかい性能せいのうと精度せいどを、高たかいコスト効率こうりつで提供ていきょうすることを目的もくてきとしたDFM（Design For Manufacturing）を提供ていきょうしている。

ESGへの取とり組くみ

2021年ねん、TSMCは2050年ねんまでにネット・ゼロ・エミッションを達成たっせいすることを約束やくそくし、2020年ねん、温室おんしつ効果こうかガスの実質じっしつゼロを達成たっせい。同社どうしゃは、2025年ねんまでに排出はいしゅつ量りょうの増加ぞうかをゼロにし、2030年ねんまでに排出はいしゅつ量りょうを2020年ねんレベルまで削減さくげんするという短期たんき目標もくひょうを掲かかげている。

2020年ねん、TSMCは半導体はんどうたい企業きぎょうとして世界せかいで初はじめてRE100に加盟かめいし、2050年ねんまでに再生さいせい可能かのうエネルギーを100 %使用しようすることを発表はっぴょうした。TSMCは台湾たいわんのエネルギー消費しょうひの約やく5 %を占しめており、この動うごきは、台湾たいわん全土ぜんどでの再生さいせい可能かのうエネルギーへの転換てんかんのために重要じゅうようだと見みられている。

2020年ねんから、TSMCはOrsted社しゃと20年間ねんかんの契約けいやくを締結ていけつし、台湾たいわん西海岸にしかいがんで開発かいはつ中ちゅうの洋上ようじょう風力ふうりょく発電はつでん所ところ2基きの全ぜん生産せいさん量りょうを購入こうにゅうすることとした。調印ちょういん当時とうじは、企業きぎょうのグリーンエネルギー受注じゅちゅうとしては世界せかいでも史上しじょう最大さいだい規模きぼだった。2020年ねんにエネルギーの7.6 %を再生さいせい可能かのうエネルギーで取得しゅとくし、2030年ねんまでに40 %に増ふやすことを目指めざしている。

TSMCは、生産せいさんに大量たいりょうの水みずを使用しようする半導体はんどうたい業界ぎょうかいにおいて、節水せっすいを最さい重要じゅうよう課題かだいと位置いちづけている。水源すいげん管理かんりを生産せいさんコストとして捉とらえ、全すべての水みずを3.5回かい以上いじょう使用しようし、リサイクル水すいを主要しゅよう水源すいげん（90 %近ちかく）としている。

水みずの使用しよう量りょう削減さくげんの必要ひつよう性せいは、5 nmプロセスによる集積しゅうせき回路かいろの生産せいさん量りょう増加ぞうかや新しんファブの建設けんせつにより、一層いっそう高たかまっている。TSMCは2020年ねん、ウェーハ製造せいぞう時じの水みず使用しよう量りょうを8.9 %削減さくげんしたが、目標もくひょうの10 %にはわずかに届とどかなかった。2020年ねんの1日にちの水みず使用しよう量りょうは19万まん3千せんトンとなった。

2020年ねんのCSRレポートによると、TSMCは2015年ねん以降いこう、１製品せいひんあたりの大気たいき汚染おせん物質ぶっしつ排出はいしゅつ量りょうを46 %削減さくげんし、2030年ねんのSDGsを前倒まえだおしで達成たっせいしている。また、6年ねん連続れんぞくで廃棄はいき物ぶつの95 %をリサイクルし、11年ねん連続れんぞくで廃棄はいき物ぶつの埋立うめたて地ちへの排出はいしゅつを1%未満みまんに抑おさえている。

参考さんこう文献ぶんけん

• 朝あさ元げん照雄てるお『台湾たいわんの企業きぎょう戦略せんりゃく』勁草書房しょぼう、2014年ねん、ISBN 4326503998。

  第だい1章しょう「台湾たいわん積せき体たい電路でんろ製造せいぞう（TSMC）の企業きぎょう戦略せんりゃく」に詳くわしい。

外部がいぶリンク

• 公式こうしきウェブサイト