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Web3

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曖昧さ回避 この項目こうもくでは、パブリック型がたブロックチェーンに基もとづいたワールド・ワイド・ウェブの構想こうそうについて説明せつめいしています。Web 3.0とも呼よばれる機械きかい可読かどく性せいを中心ちゅうしんとした構想こうそうについては「セマンティック・ウェブ」をご覧らんください。

Web3（ウェブスリー）とは、次世代じせだいのワールド・ワイド・ウェブとして提唱ていしょうされている概念がいねんである。分散ぶんさん化か・ブロックチェーン・トークンベース経済けいざいなどの要素ようそが取とり入いれられており[1]、一部いちぶの技術ぎじゅつ者しゃやジャーナリストは、「ビッグ・テック」と呼よばれる大手おおてIT企業きぎょうにデータやコンテンツが集中しゅうちゅうしているとされるWeb 2.0とこれを対比たいひさせている[2]。「Web3」という用語ようごは、2014年ねんにイーサリアムの共同きょうどう設立せつりつ者しゃであるギャビン・ウッドによって作つくられ、2021年ねんに暗号あんごう通貨つうか愛好あいこう家かや大手おおてIT企業きぎょう、およびベンチャーキャピタルなどから関心かんしんを集あつめた[2][3]。Web 3.0とも呼よばれる[4][5][6]。

一部いちぶの評論ひょうろん家かは、「Web3は、ユーザーにより優すぐれたデータ・セキュリティ（英語えいご版ばん）、スケーラビリティ、プライバシー（英語えいご版ばん）を提供ていきょうし、第三者だいさんしゃが簡単かんたんにアクセスできる方法ほうほうでデータが保存ほぞんされなくなる為ため、ユーザーは民間みんかんおよび政府せいふの監視かんしからより適切てきせつに保護ほごされる。」と評価ひょうかしている[7]。一方いっぽう、分散ぶんさん型がたウェブ（英語えいご版ばん）について、モデレーションの低下ていかや有害ゆうがいなコンテンツの拡散かくさん[8]、少数しょうすうの投資とうし家かや個人こじんへの富とみの集中しゅうちゅう[9]、より広範こうはんなデータ収集しゅうしゅうによるプライバシーの侵害しんがい[10]などの可能かのう性せいを懸念けねんする声こえもある。また、イーロン・マスクやジャック・ドーシーなど、Web3は単たんなるバズワードやマーケティング用語ようごでしかないと主張しゅちょうする者ものもいる[11][12][13]。そして情報じょうほうの双方向そうほうこう性せいを特徴とくちょうとしたWeb2.0では、ブログやwikiやBitTorrent（P2P）などの日常にちじょう的てきに利用りようするウェブサービス群ぐんがあったが、Ｗeb3にはそれらが見当みあたらないという指摘してきもある[14]。

背景はいけい[編集へんしゅう]

詳細しょうさいは「Web 2.0」を参照さんしょう
Web2.0のタグクラウド

「Web 1.0」と「Web 2.0」は、さまざまな技術ぎじゅつと形式けいしきを通つうじて進化しんかしてきたワールド・ワイド・ウェブの歴史れきし上じょうの期間きかんを指さす。Web 1.0は、静的せいてきウェブページで構成こうせいされるウェブサイトが大だい多数たすうを占しめ、ユーザーのほとんどがコンテンツの生産せいさん者しゃではなく消費しょうひ者しゃであった1991年ねんから2004年ねん頃ころまでの期間きかんを指さす[15][16]。Web 2.0は、「プラットフォームとしてのウェブ」という構想こうそうに基もとづき[17]、フォーラムやソーシャルメディア、ネットワーキングサービス、ブログ、およびウィキなどのサービスにアップロードされたユーザー生成せいせいコンテンツを中心ちゅうしんとしたものである[18]。これは、2004年ねん頃ごろに始はじまり、現在げんざいまで続つづいていると考かんがえられている[17][19][2]。

用語ようご[編集へんしゅう]

Web3は、ティム・バーナーズ=リーが1999年ねんに提唱ていしょうし、2006年ねんにWeb 3.0の構成こうせい要素ようそに位置いちづけたセマンティック・ウェブとは異ことなる[20]。Web3という用語ようごは、イーサリアムの共同きょうどう設立せつりつ者しゃであるギャビン・ウッドが、2014年ねんに「ブロックチェーンに基もとづく分散ぶんさん型がたオンライン・エコシステム」を指さして作つくった造語ぞうごである[4]。この構想こうそうは2021年ねんに人気にんきを博はくし[21]、暗号あんごう通貨つうか愛好あいこう家かが関心かんしんを寄よせ、著名ちょめいな技術ぎじゅつ者しゃや企業きぎょうが投資とうしを行おこなったことにより、特とくに同年どうねん末まつに急速きゅうそくに注目ちゅうもくを浴あびた[2][3]。ベンチャーキャピタルのアンドリーセン・ホロウィッツの幹部かんぶは、2021年ねん10月がつにワシントンD.C.を訪おとずれ、政策せいさく立案りつあん者しゃが取とり組くんできたインターネット規制きせいに関かんする問題もんだいの解決かいけつ策さくになりうるとして、Web3のロビー活動かつどうを行おこなった[22]。

一部いちぶの作家さっかは、Web3を指さしてWeb 3.0という用語ようごを使つかっており、この2つの概念がいねんの混同こんどうにつながっている[5][6]。さらに、Web3の構想こうそうの中なかには、セマンティック・ウェブに関連かんれんするアイデアも含ふくまれている[8][23]。

構想こうそう[編集へんしゅう]

Web3の具体ぐたい的てきな構想こうそうは人ひとによって異ことなり、ブルームバーグはこの用語ようごについて「漠然ばくぜんとしている」と評ひょうしている。しかしながら、基本きほん的てきには分散ぶんさん化か（英えい: decentralization、非ひ中央ちゅうおう集権しゅうけん・脱だつ中央ちゅうおう集権しゅうけん）というアイデアに準拠じゅんきょしており、さまざまな暗号あんごう通貨つうかや、非ひ代替だいたい性せいトークン（英えい: non-fungible token、NFT）などのブロックチェーン技術ぎじゅつが組くみ込こまれていることが多おおい[2]。ブルームバーグは、Web3について「オンラインで行おこなうほぼすべてのことのメカニズムに、トークンという形かたちで金融きんゆう資産しさんを組くみ込こむアイデアである」と説明せつめいしている[24]。ケンブリッジ大学けんぶりっじだいがくのベネット公共こうきょう政策せいさく研究所けんきゅうじょ（英語えいご版ばん）が公表こうひょうした政策せいさく概要がいようでは、「ブロックチェーン、スマート・コントラクト、暗号あんごう通貨つうかを含ふくむ、ウェブの技術ぎじゅつ・法律ほうりつ・決済けっさいインフラの次世代じせだい型がたと目めされるもの」と定義ていぎされている[25]。Web3を実現じつげんする基本きほん的てきなアーキテクチャは、分散ぶんさん型がた（decentralized）、または連合れんごう型がた（federated）のプラットフォーム、安全あんぜんな相互そうご運用うんよう性せい、および分散ぶんさん型がた台帳だいちょう技術ぎじゅつによる検証けんしょう可能かのうなコンピューティングの3つとされる[26]。

いくつかのビジョンは、分散ぶんさん型がた自律じりつ組織そしき（英語えいご版ばん）（DAOs）のコンセプトに基もとづいている[27]。また、銀行ぎんこうや政府せいふを介かいさずに通貨つうかを交換こうかん可能かのうなシステムである分散ぶんさん型がた金融きんゆう（DeFi）も重要じゅうようなコンセプトとなっている[2]。自己じこ主権しゅけん型がたアイデンティティ（英語えいご版ばん）では、OAuthのような、信頼しんらいできる第三者だいさんしゃ機関きかん（英語えいご版ばん）と接触せっしょくしてアイデンティティを評価ひょうかする認証にんしょうシステムに依存いぞんすることなく、ユーザーが自分じぶん自身じしんを識別しきべつすることができる[28]。一部いちぶの研究けんきゅう者しゃは、Web3はWeb 2.0のウェブサイトと連動れんどうし、Web 2.0のウェブサイトはサービスを適切てきせつに維持いじするためにWeb3の技術ぎじゅつを採用さいようする可能かのう性せいが高たかいと主張しゅちょうしている[29]。

反応はんのう[編集へんしゅう]

技術ぎじゅつ者しゃやジャーナリストは、Web3について、少数しょうすうの「ビッグ・テック」企業きぎょうにウェブが過度かどに集中しゅうちゅうしているという懸念けねんに対たいする解決かいけつ策さくになりうると述のべている[2][22]。また、現行げんこうのWeb 2.0のプラットフォームで可能かのうな以上いじょうに、データ・セキュリティ（英語えいご版ばん）、スケーラビリティ、プライバシー（英語えいご版ばん）を向上こうじょうさせられるという見解けんかいも表明ひょうめいしている[23]。ブルームバーグは、懐疑かいぎ的てきな意見いけんとして「暗号あんごう通貨つうかトレーダーを対象たいしょうとしたニッチなツール以上いじょうの用途ようとを証明しょうめいするには長ながい道みちのりだ」と述のべている[24]。ニューヨーク・タイムズは、複数ふくすうの投資とうし家かがWeb3が「インターネットの未来みらい」であることに270億おくドルを賭かけていると報ほうじている[30][31]。

RedditやDiscordなどの一部いちぶのWeb 2.0企業きぎょうは、Web3の技術ぎじゅつを自社じしゃのプラットフォームに導入どうにゅうすることを検討けんとうしている[2][32]。2021年ねん11月8日にち、OpenFeintのCEOであるジェイソン・シトロン（英えい: Jason Citron）は、Discordが自社じしゃプラットフォームへの暗号あんごう通貨つうかウォレットの導入どうにゅうを検討けんとうしていることを示唆しさするスクリーンショットをツイートした[32][33]。その2日にち後ご、ユーザーから激はげしい反発はんぱつを受うけたDiscordは、そのような技術ぎじゅつを導入どうにゅうする計画けいかくはなく、社内しゃないで開催かいさいされたハッカソンで作つくられた社内しゃない向むけのコンセプトであると表明ひょうめいした[33]。

ニュースサイトの『The Conversation（英語えいご版ばん）』で紹介しょうかいされた一部いちぶの法学ほうがく者しゃは、分散ぶんさん型がたウェブ（英語えいご版ばん）の規制きせいの困難こんなんさに懸念けねんを示しめしており、サイバー犯罪はんざいやネットいじめ、ヘイトスピーチ、児童じどう虐待ぎゃくたい画像がぞうの拡散かくさんなどの防止ぼうしが困難こんなんになる可能かのう性せいがあると報告ほうこくしている[8]。しかし、「インターネットが既存きそんの権力けんりょく構造こうぞうを打破だはし、普通ふつうの人々ひとびとに力ちからが与あたえられるという、過去かこのサイバー・リバタリアンの希望きぼうと見解けんかいを表あらわしている」とも述のべられている。他たの批評ひひょう家かは、Web3について、「暗号あんごう通貨つうかバブル（英語えいご版ばん）の一部いちぶ、あるいは過剰かじょうにブロックチェーンを推進すいしんする有害ゆうがいな風潮ふうちょう、特とくにNFTの延長線えんちょうせん上じょうにある」と評ひょうしている[32]。また、暗号あんごう通貨つうかやNFTが環境かんきょうに与あたえる影響えいきょうについて懸念けねんを示しめしている批評ひひょう家かも存在そんざいする[3]。暗号あんごう通貨つうかの効率こうりつはさまざまであり、プルーフ・オブ・ステーク（英えい: Proof-of-stake、PoS）は、より普及ふきゅうしているプルーフ・オブ・ワーク（英えい: Proof-of-work、PoW）よりもエネルギー消費しょうひが少すくないように設計せっけいされているが、これが実際じっさいにどの程度ていど安全あんぜんで分散ぶんさん化かされているのかについては意見いけんが分わかれている[34][35][36][37]。また、Web3とその関連かんれん技術ぎじゅつは無限むげん連鎖れんさ講こうであるとの意見いけんも見みられる[3]。

Twitterの共同きょうどう設立せつりつ者しゃで元もとCEOのジャック・ドーシーは、Web3について「ベンチャーキャピタルのおもちゃ」と断だんじた[38]。ドーシーは、Web3はインターネットを民主みんしゅ化かせず、その代かわりにFacebookのようなプレイヤーからアンドリーセン・ホロウィッツのようなベンチャーキャピタルに権力けんりょくを移うつすだろうとの見方みかたを示しめしている[9]。

2021年ねん12月14日にち、ソフトウェアエンジニアのモリー・ホワイト（英語えいご版ばん）は、暗号あんごう通貨つうかとWeb3に関かかわる「著名ちょめいな詐欺さぎやラグプル」を記録きろくした風刺ふうしサイト『Web3 Is Going Just Great』を立たち上あげた[39][40]。

バズワードであるという評価ひょうか[編集へんしゅう]

『The Register（英語えいご版ばん）』に寄稿きこうしたリアム・プルーブン（英えい: Liam Proven）は、「Web3は神話しんわ、おとぎ話ばなし。『経済けいざい学者がくしゃに育そだつように』と親おやが子供こどもに夜よな夜よな語かたるようなものだ」と結論けつろんづけている[41]。

2021年ねん、スペースXとテスラのCEOであるイーロン・マスクは、「現実げんじつのものというより、マーケティングのためのバズワードのようだ」とツイートし、懐疑かいぎ的てきな見方みかたを示しめした[11]。

2021年ねん11月、コーネル大学だいがくのジェームス・グリメルマン（英えい: James Grimmelmann）は、Web3はベーパーウェアであると述のべた上うえで、「現行げんこうのインターネットの気きに入いらない点てんを、たとえ矛盾むじゅんしていても修正しゅうせいしてくれる、約束やくそくされた未来みらいのインターネット」であると評ひょうした。また、インターネットをブロックチェーンに特とく化かしたインフラに移行いこうすると、むしろ現行げんこうのインターネットよりも中央ちゅうおう集権しゅうけん化かし、より多おおくのデータ収集しゅうしゅうが発生はっせいすると主張しゅちょうした[10]。

ソフトウェアエンジニアのステファン・ディール（英えい: Stephen Diehl）は、「一般人いっぱんじんに定着ていちゃくした暗号あんごう資産しさんに対たいするネガティブなイメージを、既存きそんの大手おおてIT企業きぎょうの覇権はけんを揺ゆるがすという偽いつわりの物語ものがたりに作つくり変かえようとする、くだらないマーケティング・キャンペーンである」と評ひょうしている[42]。

分散ぶんさん化かされていないという評価ひょうか[編集へんしゅう]

ケビン・ワーバッハ（英語えいご版ばん）は、「いわゆる『Web 3.0』のソリューションの多おおくは、見みかけほど分散ぶんさん化かされておらず、また、マス市場いちば向むけに十分じゅうぶんな拡張かくちょう性せい・安全あんぜん性せい・アクセス性せいを示しめすに至いたっていないものもある」と述のべており、さらに「変かわるかもしれないが、これらの制限せいげんがすべて克服こくふくされるとも限かぎらない」と付つけ加くわえている[43]。

2022年ねん初頭しょとう、Signalの作成さくせい者しゃであるモクシー・マーリンスパイク（英語えいご版ばん）は、AlchemyやInfuraなどの企業きぎょうが主おもに支配しはいしているブロックチェーンAPI、およびBinance、Coinbase、MetaMask、OpenSeaなどが主おもに支配しはいしている暗号あんごう通貨つうか取引とりひき所しょ（英語えいご版ばん）、そしてTetherによって支配しはいされているステーブルコイン市場いちばなど、暗号あんごう通貨つうか分野ぶんやの結合けつごうにより、Web3は見みた目めほど分散ぶんさん化かされていないと言明げんめいした。また、この「新あたらしいウェブ」は「古ふるいウェブ」を彷彿ほうふつとさせるとも述のべている[44][45][46]。そして、Web3とかつてのP2Pの分散ぶんさんアプリを比較ひかくして、Web3を重量じゅうりょう級きゅうリバタリアン的てき、P2Pを軽量けいりょう級きゅう共産きょうさん主義しゅぎ的てきと例たとえた[14]。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]
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関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]

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