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脱だつ炭素たんそ化かやデジタル化かを支ささえる新あたらしいインフラの整備せいびに、巨額きょがくの資金しきんが投とうじられている。これまで社会しゃかいを支ささえてきた既存きそんのインフラにも、運営うんえいや維持いじ管理かんりの場面ばめんで民間みんかん企業きぎょうが参画さんかくする機会きかいは増ます。時代じだいの変化へんかは新しん事業じぎょう創出そうしゅつや新分野しんぶんや参入さんにゅうのチャンスだ。インフラ投資とうし・運営うんえいビジネスの動向どうこうを最近さいきんの出来事できごとから読よみ解とく。今回こんかい、トップの話題わだいとして取とり上あげるのは、建設けんせつにコンセッションや各種かくしゅサービスを加くわえて展開てんかいする海外かいがい総合そうごうインフラ事業じぎょう者しゃの業績ぎょうせきだ。コロナ禍かから回復かいふくした経済けいざい活動かつどうに支ささえられ、道路どうろや空港くうこうのコンセッション事業じぎょうが収益しゅうえきを押おし上あげている。

  1. 売上うりあげ高だか10兆ちょう円えんも、コンセッションで稼かせぐ海外かいがいインフラ事業じぎょう者しゃ
  2. 商社しょうしゃや海外かいがい企業きぎょうなど多様たような顔かおぶれ、洋上ようじょう風力ふうりょく第だい2ラウンド分析ぶんせき
  3. 令れい和わの列島れっとう改造かいぞうとなるか、デジタルライフライン構想こうそう

1. 売上うりあげ高だか10兆ちょう円えんも、コンセッションで稼かせぐ海外かいがいインフラ事業じぎょう者しゃ

　建設けんせつにコンセッションや各種かくしゅサービスを加くわえて展開てんかいする海外かいがい総合そうごうインフラ事業じぎょう者しゃの業績ぎょうせきが好調こうちょうだ。コロナ禍かから回復かいふくした経済けいざい活動かつどうに支ささえられ、道路どうろや空港くうこうのコンセッション事業じぎょうが収益しゅうえきを押おし上あげている。代表だいひょう的てきな総合そうごうインフラ事業じぎょう者しゃであるフランスのVINCI（バンシ）、スペインのACS（Actividades de Construcción y Servicios）、Ferrovial（フェロビアル）の事業じぎょう内容ないようと収益しゅうえき状況じょうきょうを見みていこう。

VINCI、ACS、Ferrovialの事業じぎょう内容ないよう
VINCI、ACS、Ferrovialの事業内容
2023年ねんの売上うりあげ高だかは同年どうねん末まつ時点じてんの1ユーロ＝157円えんで換算かんさん。各社かくしゃとも複数ふくすうの子会社こがいしゃを通つうじてインフラ事業じぎょうを展開てんかいしている。青地あおじ部分ぶぶんがコンセッション事業じぎょう（出所しゅっしょ：各社かくしゃの決算けっさん報告ほうこく書しょなどを基もとに日経にっけい不動産ふどうさんマーケット情報じょうほうが作成さくせい）
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過去かこ最高さいこう益えきのVINCI、コンセッションがEBITの過半かはん占しめる

　VINCIの2023年ねん売上うりあげ高だかは688億おく3800万まんユーロ（22年ねん比ひ12％増ぞう）、純じゅん利益りえきは47億おく200万まんユーロ（同どう10％増ぞう）で、売上うりあげ高だか、純じゅん利益りえきとも過去かこ最高さいこうとなった。23年ねん末まつ時点じてんの為替かわせレート（1ユーロ＝157円えん）で換算かんさんすると、売上うりあげ高だかは10兆ちょう8100億おく円えんと10兆ちょう円えんを超こえた。純じゅん利益りえきは7400億おく円えんだ。コンセッション、エネルギー、建設けんせつ、不動産ふどうさんの4部門ぶもんのうち、不動産ふどうさんを除のぞく各かく部門ぶもんが増収ぞうしゅう増益ぞうえき。特とくに空港くうこうコンセッション事業じぎょうの回復かいふくが鮮明せんめいだ。

　企業きぎょうの収益しゅうえき能力のうりょくを示しめすEBIT（利払りばらい・税引ぜいびき前ぜん利益りえき）の売上うりあげ高だかに対たいする比率ひりつが会社かいしゃ全体ぜんたいでは12％のところ、コンセッション事業じぎょうは49％と他た部門ぶもんに比くらべて際立きわだって高たかい。全ぜんEBITに対たいするコンセッション事業じぎょうの割合わりあいは64％を占しめた。22年ねんの61％から比率ひりつを高たかめており、コンセッション事業じぎょうの存在そんざい感かんが増ましている。

　VINCIのコンセッション事業じぎょうは道路どうろ、空港くうこう、鉄道てつどう、スタジアムなど多岐たきにわたる。子会社こがいしゃのVINCI Autoroutesはフランス国内こくないの道路どうろ4443kmを運営うんえい。VINCI Highwaysは英国えいこく、ドイツ、ギリシャ、カナダなど、フランス国外こくがいの11カ国かこくにある道路どうろ2500km超ちょうを運営うんえいしている。VINCI Airportsはオリックスなどとともに関西国際空港かんさいこくさいくうこう、大阪おおさか国際こくさい（伊丹いたみ）空港くうこう、神戸こうべ空港くうこうの運営うんえいに参画さんかくするなど、13カ国かこくの71空港くうこうを運営うんえい。対象たいしょう空港くうこうは22年ねんから6つ増ふえている。

　コンセッション事業じぎょうのほか、エネルギーマネジメントやビルソリューションなどのエネルギーサービス事業じぎょうも堅調けんちょうだ。21年ねん末まつにスペインのACSから買収ばいしゅうしたCobra ISは、売上うりあげ高だか64億おく9500万まんユーロ（同どう18％増ぞう、1兆ちょう200億おく円えん）と収益しゅうえきに貢献こうけん。事業じぎょう部門ぶもんの中なかで売上うりあげ高だかが最もっとも大おおきい建設けんせつ事業じぎょうは、売上うりあげ高だか314億おく5900万まんユーロ（同どう8％増ぞう、4兆ちょう9400億おく円えん）と伸のびたものの、売上うりあげ高だかに対たいするEBITの比率ひりつは4％と低ひくい。不動産ふどうさん事業じぎょうはわずかながら赤字あかじに沈しずんだ。

VINCIの売上うりあげ高だか、EBIT、EBIT／売上うりあげ高だか比率ひりつの推移すいい
VINCIの売上高、EBIT、EBIT／売上高比率の推移
（出所しゅっしょ：VINCIの決算けっさん報告ほうこく書しょを基もとに日経にっけい不動産ふどうさんマーケット情報じょうほうが作成さくせい）
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純じゅん利益りえき17％増ぞうのACS、8600km超ちょうの道路どうろを運営うんえい

　コンセッションと建設けんせつを事業じぎょうの柱はしらとするACSは、23年ねん売上うりあげ高だかが357億おく3800万まん億おくユーロ（同どう6％増ぞう、5兆ちょう6100億おく円えん）、純じゅん利益りえきが7億おく8000万まんユーロ（同どう17％増ぞう、1220億おく円えん）。子会社こがいしゃを通つうじて事業じぎょう展開てんかいしており、コンセッション部門ぶもんは100％出資しゅっしのIridiumと50％出資しゅっしのAbertis、建設けんせつ部門ぶもんは100％出資しゅっしのDragadosと78.5％出資しゅっしのドイツ総合そうごうインフラ事業じぎょう者しゃHOCHTIEF（ホッホティーフ）を傘下さんかに持もつ。

　コンセッション部門ぶもんでは、Iridiumが694kmの道路どうろ、289kmの鉄道てつどうに加くわえ、公共こうきょう施設しせつや病院びょういんといった社会しゃかいインフラを運営うんえいしている。Abertisは世界せかい10カ国かこくで7900km超ちょうの道路どうろを運営うんえいしており、同社どうしゃの貢献こうけん利益りえきはコンセッション部門ぶもんの90％近ちかくを占しめた。ACSがAbertisとIridiumを通つうじて運営うんえいに関かかわる道路どうろは世界せかいで8600km超ちょうに及およぶ。

　AbertisのACS以外いがいの株式かぶしき50％保有ほゆう者しゃは、イタリアの道路どうろ・空港くうこう運営うんえい事業じぎょう者しゃであるMundysだ。Mundysは18年ねんにイタリアのジェノバで子会社こがいしゃが運営うんえいする道路どうろで橋梁きょうりょう崩落ほうらく事故じこを起おこした旧きゅうAtlantiaが、株主かぶぬし構成こうせいを再編さいへんして23年ねんに再さい出発しゅっぱつした会社かいしゃだ。MundysとACSは23年ねん、Abertisの事業じぎょう強化きょうかを図はかる目的もくてきで3社しゃ協定きょうていを締結ていけつ。ACSが全ぜん株式かぶしきを保有ほゆうしていた米国べいこくテキサス州しゅうの有料ゆうりょう道路どうろSH-288（96km）の株式かぶしき57％をAbertisに売却ばいきゃくしたのも、その一環いっかんだ。

米べい有料ゆうりょう道路どうろが好調こうちょうのFerrovial、平均へいきん料金りょうきん収入しゅうにゅう28％増ぞうの路線ろせんも

　スペインでACSと並ならぶ総合そうごうインフラ事業じぎょう者しゃであるFerrovialも、コンセッションと建設けんせつを事業じぎょうの柱はしらとする。23年ねん売上うりあげ高だか（継続けいぞく事業じぎょう）は85億おく1400万まんユーロ（同どう13％増ぞう、1兆ちょう3400億おく円えん）、純じゅん利益りえきは6億おく1400万まんユーロ（同どう158％増ぞう、960億おく円えん）だった。

　道路どうろ・空港くうこう運営うんえい資産しさんの収益しゅうえき状況じょうきょうを見みると、出資しゅっし比率ひりつが50％超ちょうの連結れんけつ会計かいけい対象たいしょうとなる有料ゆうりょう道路どうろ（米国べいこくの5路線ろせん、スペインとポルトガルの各かく2路線ろせん）のうち、米国べいこく有料ゆうりょう道路どうろが好調こうちょうだ。無料むりょう車線しゃせんと並行へいこうして、混雑こんざつ状じょう況きょうに応おうじて通行つうこう料金りょうきんなどをコントロールする有料ゆうりょうの管理かんり車線しゃせん（Managed Lanes）を持もつテキサス州しゅうの3路線ろせん（NTE、LBJ、NTE 35W）の交通こうつう量りょうが増加ぞうか。通行つうこう車両しゃりょうの支払しはらい1回かい当あたりの平均へいきん料金りょうきん収入しゅうにゅうが通行つうこう料金りょうきんの値上ねあげ許容きょよう上限じょうげん（ソフトキャップ）の＋6.5％を上回うわまわり、22年ねん比ひでそれぞれ9～15％増ぞうとなった。通行つうこう料金りょうきんの値上ねあげ制限せいげんのないノースカロライナ州しゅうのI-77では、平均へいきん料金りょうきん収入しゅうにゅうが28％増ぞうと大幅おおはばに伸のびた。

米国テキサス州フォートワース近郊を横断するNTE（the North Tarrant Express highway）。無料車線に加え、有料車線が東行き、西行きで2車線ずつ備わる（写真：Ferrovial）
米国べいこくテキサス州しゅうフォートワース近郊きんこうを横断おうだんするNTE（the North Tarrant Express highway）。無料むりょう車線しゃせんに加くわえ、有料ゆうりょう車線しゃせんが東ひがし行いき、西にし行いきで2車線しゃせんずつ備そなわる（写真しゃしん：Ferrovial）
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　出資しゅっし比率ひりつが50％以下いかの持もち分ぶん法ほう適用てきようとなる道路どうろ（6カ国かこくの10路線ろせん）では、カナダ・トロント郊外こうがいの道路どうろ407ETRの貢献こうけんが大おおきい。1路線ろせんで持もち分ぶん法ほう適用てきよう道路どうろの全ぜん利益りえきの70％超ちょうを稼かせいだ。

　空港くうこう部門ぶもんでは、トルコのダラマン、英国えいこくのヒースロー、AGS（アバディーン、グラスゴー、サウサンプトン）の5空港くうこうが利用りよう旅客りょかく数すうを伸のばして増収ぞうしゅうとなった。

　一方いっぽう、Ferrovialは23年ねん12月、ポルトガルのAzores有料ゆうりょう道路どうろの株式かぶしき89.2％を投資とうしファンドに売却ばいきゃくした。ヒースロー空港くうこうの親会社おやがいしゃ株かぶ25％も投資とうしファンドに売却ばいきゃくすることで合意ごういしている。需要じゅよう増ぞうやインフレに連動れんどうした道路どうろの通行つうこう料金りょうきん値上ねあげによって収益しゅうえきを確保かくほするとともに、道路どうろ・空港くうこうのアセットローテーション（資産しさん回転かいてん）も実現じつげんしている。