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カーオーディオ - Wikipedia

カーオーディオ(Car Audio)は、自動車じどうしゃ搭載とうさいされる音響おんきょう機器ききのことで、「カーステレオ」ともいわれる。また、ラジオ放送ほうそう受信じゅしん機能きのうのみのものはカーラジオともいう。

センターコンソールにはめまれたカーオーディオ

初期しょきのカーオーディオは、米国べいこくの「ガルビン・コーポレーション」が1930ねん製作せいさくしたカーラジオからはじまった。これはモトローラ5T71がたという名前なまえであり、モトローラとは、モーター(自動車じどうしゃ)のオーラ(おと)という意味いみである。この会社かいしゃはのちに、この名前なまえ社名しゃめいにした。おなじく、米国べいこくゼネラルモーターズ傘下さんかでは子会社こがいしゃデルコ・エレクトロニクス1936ねんダッシュボードうち装着そうちゃくしたカーラジオを製作せいさくした。ラジオによる移動いどうちゅう情報じょうほう入手にゅうしゅ音楽おんがく放送ほうそうたのしみはあったが、ドライバーや同乗どうじょうしゃができることきな放送ほうそうきょくえらぶことだけであった。

半導体はんどうたい素子そし実用じつようされるまえ時代じだいであり、真空しんくうかん回路かいろにより構成こうせいされていた。放送ほうそう中波ちゅうは放送ほうそう(AM)しかない時代じだいで(ちょう短波たんぱ放送ほうそう(FM)きょく本格ほんかくてき普及ふきゅうするのは1960年代ねんだい以降いこう)、ラジオも中波ちゅうはのAM放送ほうそう受信じゅしん専用せんようであった。カーラジオは今日きょうう「オプション」であり、標準ひょうじゅん装備そうびになっていることは皆無かいむであった。

カーラジオ本体ほんたい電源でんげん中間なかま周波しゅうは増幅ぞうふく検波けんぱてい周波しゅうは増幅ぞうふく電力でんりょく増幅ぞうふく)はべつ筺体で、トランクない収容しゅうようされていた。せんきょく入力にゅうりょく同調どうちょう回路かいろ周波数しゅうはすう変換へんかん)と音量おんりょう調整ちょうせい可変かへん抵抗ていこうのみが運転うんてんせきダッシュボードにかれ、本体ほんたいとケーブルで接続せつぞくされていた。スピーカーは運転うんてんせき足元あしもと付近ふきん取付とりつけるのが一般いっぱんてきであった。電源でんげんには自動車じどうしゃの6V(乗用車じょうようしゃおおくは6V電源でんげんであった)または12V直流ちょくりゅう電源でんげんもちいられ、真空しんくうかん陽極ようきょく電源でんげん直流ちょくりゅう200V程度ていど)をるためにバイブレーターによるチョッパーをもちいて矩形くけい交流こうりゅうてトランスで昇圧しょうあつし、2きょく真空しんくうかん直流ちょくりゅうとしていた。カーラジオは比較的ひかくてき消費しょうひ電力でんりょくおおきかったため、エンジンを停止ていししてラジオをくことはバッテリーあがりの危険きけんがあった。

実用じつよう貢献こうけんした技術ぎじゅつしゃのビル・リアは、モトローラのメガブランド皮切かわきりに8トラックテープの実用じつようなどでにしたきょまんとみ元手もとでに、航空機こうくうきメーカーのスイス・アメリカン・アビエーションしゃリアジェット)を創設そうせつした。

1950年代ねんだい

編集へんしゅう

1950年代ねんだい中期ちゅうきには、振動しんどうよわいとされていたレコードを車載しゃさい演奏えんそうすることに成功せいこうした[1]。スロットイン形状けいじょうものやオートチェンジャーですうまいのレコードをこと出来できものてきた[2]

1960年代ねんだい - 1970年代ねんだい

編集へんしゅう

FM放送ほうそう一般いっぱんし、カーラジオにもFMを聴取ちょうしゅできるものがてきた。またトランジスタラジオ一般いっぱん普及ふきゅうするようになり、カーラジオもトランジスタされた。カーラジオの普及ふきゅう当時とうじのラジオきょく番組ばんぐみ編成へんせいにも影響えいきょうあたえた(ニッポン放送にっぽんほうそう#オーディエンス・セグメンテーションラジオばなれ#1960年代ねんだい参照さんしょう)。

しばらくして、自分じぶんきな音楽おんがくきたいときにける仕組しくみができた。音声おんせいよう磁気じきテープを使用しようしたものとしては、最初さいしょ4トラックカートリッジが1964ねん開発元かいはつもとのある米国べいこくでは前年ぜんねん1963ねん)に発売はつばいされる。寸法すんぽう後述こうじゅつの8トラックとほぼおなじであるが、ピンチローラーは再生さいせいがわ搭載とうさいされている。また、プログラムえは当初とうしょ手動しゅどうのみであった。その自動じどう機能きのう搭載とうさいした機種きしゅ発売はつばいされたが、日本にっぽん市場いちばでは本格ほんかくてき普及ふきゅうにはいたらなかった。

つぎあらわれたのが、初期しょきカラオケシステムで使用しようされた8トラックカートリッジである。しかし、当時とうじのオーディオソースの主流しゅりゅうはレコードであり、った楽曲がっきょくでも家庭かていくためのレコードとくるまくための8トラックカートリッジとそれぞれべつ購入こうにゅうするのが一般いっぱんてきだった。録音ろくおんようせいテープや録音ろくおんよう機器ききもあるにはあったが、主流しゅりゅう家庭かていではレコードプレーヤーとコンパクトカセットであり、そのうえ録音ろくおんよう8トラック機器きき購入こうにゅうというのはよほどのオーディオきであった(日本にっぽん市場いちばでのカーステレオとしては1964ねんクラリオン日本にっぽんはつカーステレオを発売はつばい)。

このほかにも、1970年代ねんだいにはパイオニアからハイパックというカセットテープだいのエンドレスカートリッジを採用さいようしたカーオーディオも発売はつばいされたが、もととなったプレーテープ規格きかくおなじく収録しゅうろく時間じかんみじかさや一般いっぱんユーザーけに録音ろくおん機器ききなかったこともあり、すうねんあいだ姿すがたした。

この時代じだいには純正じゅんせい装着そうちゃくがAMラジオ、オプション装備そうびで8トラックという構成こうせいおおく、8トラック機器ききかいしてFMラジオをくためのカセットしきFMチューナーなどが存在そんざいした。さらにコンパクトカセットテープをくための8トラック形式けいしきのカセットアダプターも存在そんざいしていたがカセットプレーヤーを内蔵ないぞうしていることになるため乾電池かんでんちたんさん2ほんほど)が必要ひつようとなりかなり不経済ふけいざいなアダプターであった。アダプターはメーカーによっては様々さまざま挿入そうにゅう方法ほうほうのモノがありある意味いみではソニーのウォークマンなどに代表だいひょうされるヘッドホンステレオの先駆さきがけにちかかたちをしていた。また、1970年代ねんだい後半こうはんからはパイオニアロンサムカーボーイクラリオンシティコネクション代表だいひょうされる社外しゃがいカーオーディオ機器きき登場とうじょうしたが、当時とうじ車体しゃたいがわにもオーディオがわにもDIN規格きかくISO 7736原典げんてんとなったDIN 75490)が適用てきようされていなかったため、当時とうじ主流しゅりゅうであった冷房れいぼう機器ききであるのちしきカークーラーなどと同様どうようダッシュボードげるかたち搭載とうさいされることおおかった。

1970年代ねんだい前半ぜんはんまではAMチューナーのみが主流しゅりゅうであり、主要しゅよう車種しゃしゅ設定せっていされる「デラックス」グレードに標準ひょうじゅん装備そうびされることもおおかった。どう時期じきからFMチューナー搭載とうさい機種きしゅはじめ、電子でんしチューナー登場とうじょうした。

1980年代ねんだい

編集へんしゅう
 
AM・FMのラジオのみのカーオーディオ。1980ねんごろ

1980年代ねんだいになると、FMチューナー内蔵ないぞうがたコンパクトカセット主流しゅりゅうになる。8トラックと同様どうよう録音ろくおん市販しはんテープ(音楽おんがくソフト)も購入こうにゅうくことはできたが、それ以上いじょう自分じぶん所有しょゆうするレコードやFMラジオなどからのエアチェックによる個人こじん趣味しゅみてき録音ろくおんによる自由じゆう選曲せんきょくのカセットテープを車内しゃないめるようになったことが画期的かっきてきであった。

1980年代ねんだい後半こうはんになるとCDプレーヤー搭載とうさい機種きしゅ高級こうきゅう中心ちゅうしん登場とうじょうした。購入こうにゅうした音楽おんがくソースをそのままかけられることは8トラック時代じだいから同様どうようであるが、8トラックが酒場さかばカラオケソング中心ちゅうしんであったのにたいし、レコードと主役しゅやく交代こうたいし、ほとんどすべての音楽おんがくソースがCD形態けいたい販売はんばいされたことで、車内しゃないける音楽おんがくソースを多様たようした。マイテープをつくらないのであれば、家庭かていのオーディオ機器ききがなくともくるまのオーディオだけでんでしまう時代じだい到来とうらいとなった。

また、1980年代ねんだいまつからそれぞれのメーカーのくるまめいかんし、CDやイコライザーきデッキを標準ひょうじゅん装備そうびしたり、スピーカーのかずやして臨場りんじょうかんあふれるおと実現じつげんした「スーパーライブサウンドシステム」「ロイヤルサウンドシステム」(トヨタ自動車とよたじどうしゃ)、「スーパーサウンドシステム」「ホログラフィックサウンドシステム」(日産自動車にっさんじどうしゃ)といった高級こうきゅうオーディオシステムがメーカーオプション(一部いちぶ車種しゃしゅには標準ひょうじゅん装備そうび)で設定せっていされる車種しゃしゅえてきた。

1990年代ねんだい

編集へんしゅう

1990年代ねんだいになるとデジタルなみ急激きゅうげきすすみ、CDが主流しゅりゅうとなる一方いっぽうMD登場とうじょうしコンパクトカセットの機能きのうはMDにがれる。純正じゅんせいFMラジオと接続せつぞくするのちがたCD/MDチェンジャーデッキや、ポータブルCD/MDプレイヤーの登場とうじょうでカセットアダプターやFMトランスミッターした。1990年代ねんだい前半ぜんはんだとまだまだ1DINのCDチューナーだけでは無理むりがありCDチェンジャーは純正じゅんせい社外しゃがいひんともAM/FMカセットデッキとのセット販売はんばい新車しんしゃ成約せいやくのオプションプレゼント、特別とくべつ仕様しようしゃ装備そうびひんにされることもおお人気にんき拍車はくしゃをかけた。オーディオメーカーはまった推奨すいしょうすることはかったがCDチェンジャー利用りよう必須ひっすである8cmシングルCDアダプターもれた。1990年代ねんだい後半こうはんになると1DINのMDチューナーとCDチェンジャーをセットで販売はんばいするオーディオメーカーもあらわれた。一方いっぽうDCCパナソニック CQ-DC1D)やDATソニー DTX-10とう三菱電機みつびしでんき)を搭載とうさいした機種きしゅ発売はつばいされ三菱みつびし場合ばあいカーDATレコーダーまでラインナップされていたがカセットチューナーとして非常ひじょう高価こうかでありほとんどれなかった。またデジタル・シグナル・プロセッサー(DSP)を内蔵ないぞうしたモデルも登場とうじょうし、高音こうおんしつもとめるユーザーに対応たいおうしている。

デザインめんでは、社外しゃがいひんFLかん発光はっこうダイオード使つかったったものとなり、多彩たさいスペアナ表示ひょうじおこなうなど純正じゅんせいオーディオとの差別さべつはかった。一部いちぶ自動車じどうしゃメーカーでは、社外しゃがいひんオーディオにスペアナなどの表示ひょうじはそのままにし自社じしゃあるいは純正じゅんせいひんブランドのマークをかんし、多少たしょうデザインを変更へんこうしてメーカーオプションにすることもおおい。この場合ばあい純正じゅんせいオーディオの特徴とくちょうであるシンプルな操作性そうさせいわるれることもおおい。

1990年代ねんだい中盤ちゅうばんから後半こうはんにはAMステレオ放送ほうそうやFM文字もじ多重たじゅう放送ほうそう愛称あいしょうえるラジオ)対応たいおうのチューナーも存在そんざいした。

2000ねん - 現在げんざい

編集へんしゅう

2000年代ねんだいになるとカーナビゲーションシステムが普及ふきゅうしてきたことで、それまでディスプレイ部分ぶぶん採用さいようされていたFLかん発光はっこうダイオードにくわえて液晶えきしょうディスプレイんだ一体いったいがたおおくなり、操作そうさボタンがタッチパネルになったものがてきた。また純正じゅんせいモデルでも操作性そうさせいわる向上こうじょうからステアリングのパッド音量おんりょう・ファンクションえなどのスイッチをんだものが登場とうじょうした。

ハードディスクドライブ内蔵ないぞうした機種きしゅもあった。MP3AACWindows Media Audio再生さいせい対応たいおうしたものがてきた。デジタル音楽おんがくプレーヤー普及ふきゅうにより、AUえーゆーX端子たんしそなえた機種きしゅ普及ふきゅうしている。

BOSEマークレビンソンロックフォード・フォズゲートといった、海外かいがい高級こうきゅうオーディオメーカーのサウンドシステムを標準ひょうじゅんまたはメーカーオプションで用意よういする車種しゃしゅ高級こうきゅうしゃ中心ちゅうしんおおい。

日本にっぽん国外こくがい中心ちゅうしんA2DPプロファイルに対応たいおうしたBluetooth搭載とうさいしたものもてきており、日本にっぽん国内こくないでは2014ねんごろからBluetoothを搭載とうさいした機種きしゅ登場とうじょうした。

米国べいこくではテレマティックス基盤きばんとしたエンターテイメントサービスとして、ゼネラルモーターズオンスター提供ていきょうしているXM Satellite Radio地上ちじょうデジタルラジオ"HD Radio"などのデジタルラジオチューナーが登場とうじょうしている。

2007ねんなつには米国べいこくで、SACD再生さいせい対応たいおうカーオーディオがべいソニーから登場とうじょうしている。

カーナビゲーションがカーオーディオにってわるほどの普及ふきゅうたしたためか2010ねんはいるとパナソニックと富士通ふじつうテン(Sound Monitorとばれるハイエンドカーオーディオは少数しょうすうながら販売はんばい継続けいぞく)、2014ねん中期ちゅうき三菱電機みつびしでんきがそれぞれ社外しゃがいひんカーオーディオを生産せいさん終了しゅうりょうしている。いずれのメーカーもカーナビはもちろんのことスピーカーやアダプターるい販売はんばい。また長年ながねんパイオニアのカロッツェリアとJVCケンウッドがカセットチューナーを発売はつばいつづけていたが、2011ねんにケンウッドが1DIN機械きかいしきカセットを、2012ねんにカロッツェリアがMP3対応たいおうCD+フルロジックカセットをそれぞれ生産せいさん終了しゅうりょう社外しゃがいひんカーオーディオの分野ぶんやからカセット対応たいおう機器きき消滅しょうめつしている。そのためカセットチューナーはトヨタ・センチュリー地上ちじょうデジタルテレビ搭載とうさいDVDナビゲーションとセットで標準ひょうじゅん装備そうび)、ホンダのオプションひん(クラリオンせい・2012ねんには生産せいさん終了しゅうりょう)と農業のうぎょう建設けんせつ機械きかいけカーオーディオメーカーのエスペリアせいのみとなっていた。

しかし、2014ねんあきにカーオーディオ関連かんれん機器ききメーカーであるビートソニックしん製品せいひんとしてカセットテープ再生さいせいほか、AM/FMチューナー内蔵ないぞう、SDカードとUSBメモリーにれたMP3音楽おんがく再生さいせい可能かのうで、AUXでスマホなどの音楽おんがく再生さいせい出来でき、ラインアウト端子たんしいていてウーハーの追加ついかなどシステム拡張かくちょう可能かのうという最新さいしんメディア要素ようそ十分じゅうぶん付加ふかした画期的かっきてきな1DIN機械きかいしきカセットをカーオーディオ市場いちば投入とうにゅうした。 このカセットデッキは一度いちどモデルチェンジして市場いちばからおおきな支持しじけながらも2018ねんなつ販売はんばい終了しゅうりょうとなった。[1]

また1DINのMDチューナーは市場いちばから消滅しょうめつしている。

USBメモリ場合ばあいによってはSDカードなども使つかわれる)による音楽おんがく再生さいせいと、デジタル音楽おんがくプレーヤースマートフォン普及ふきゅうしたことにより、2011ねん以降いこう、これらと接続せつぞくするUSB端子たんし外部がいぶ入力にゅうりょく端子たんしそなえCD削除さくじょした機種きしゅってしまえば「外部がいぶ入力にゅうりょく対応たいおうしたカーラジオ」が登場とうじょうした。(カセット、MDの時代じだいふくめ)最大さいだい故障こしょう原因げんいんである物理ぶつりドライブがくなったことによる耐久たいきゅうせい向上こうじょうてい価格かかく小型こがた(ただDIN規格きかく前提ぜんていとする場合ばあい事実じじつじょう奥行おくゆきしか削減さくげんできない)、(使用しよう部品ぶひん減少げんしょうによる)環境かんきょう負荷ふか低減ていげんとう特徴とくちょうである。操作そうさ簡単かんたんさやCDのえが不要ふようになるとう手軽てがるさもあり、普及ふきゅうしつつある。 また再生さいせいがコンパクトできたことを利用りようして付加ふか価値かちたかめたれいもあり、前述ぜんじゅつのビートソニックからはスピーカーレスしゃをターゲットに「電源でんげんとラジオ電波でんぱさえれば音楽おんがくける」ことをりにしたSD/USB/AUX対応たいおうラジオ「デッキスピーカー HDS2」登場とうじょうした。これはこの1DINオーディオASSYのなかにスピーカー3んだものであり、スピーカーレスしゃどころであるスピーカー(場合ばあいによっては配線はいせんも)の増設ぞうせつ不要ふようになるというめん差別さべつはかられた。

近年きんねんハンドルにカーオーディオやカーナビゲーションの音量おんりょう調節ちょうせつやラジオきょくせんきょくとうおこなうボタンが自動車じどうしゃえているが、カーオーディオやカーナビゲーションの機種きしゅによっては対応たいおうしていない場合ばあいがあるので、購入こうにゅうまえ確認かくにん重要じゅうようである。このボタンは、自動車じどうしゃメーカーやカーオーディオメーカーにより、「ステアリングスイッチ」、「ステアリングリモコン」とうかたことなる。

2010年代ねんだいなか以降いこう、2DINサイズで、モニターを搭載とうさいしたカーオーディオを各社かくしゃが「ディスプレイオーディオ」と名付なづ発売はつばいしている。これは、カーナビゲーション不要ふようだが、どちらも急速きゅうそく搭載とうさいえている、駐車ちゅうしゃはじめとした後退こうたい支援しえんのための後方こうほうカメラ(またはぜんしゅうカメラ)や、ドライブレコーダー映像えいぞうたい、という利用りようしゃえているためである。 なかには、地上ちじょうデジタルテレビのワンセグ放送ほうそうフルセグ放送ほうそう受信じゅしん機能きのう搭載とうさいしたり、ハイレゾリューションオーディオ対応たいおうし、車内しゃないAVシステムのような高機能こうきのう製品せいひんもある。Android AutoCarPlay対応たいおうし、カーナビゲーションや情報じょうほう端末たんまつとして使用しようできる製品せいひんもある。カーナビ機能きのうとしては、専用せんようくらべ、機能きのう性能せいのうおと場合ばあいがあるものの、機器ききそのものの購入こうにゅうえと有料ゆうりょう地図ちずデータ更新こうしん不要ふようになり、使つかれたスマートフォンのナビゲーション機能きのうをそのまま使つかえる長所ちょうしょがある。

スマートフォンの普及ふきゅうともない、専用せんようアプリをれたスマートフォンからも操作そうさできるカーオーディオもえている。

2018ねん、パイオニアはスマートフォンを装着そうちゃくして表示ひょうじ入力にゅうりょくとして使つかうクレードルきカーオーディオを発売はつばいした。

2020ねん、アルパインとパイオニアは、1DINの本体ほんたい前面ぜんめんに、2DINよりおおきいディスプレイをせりして搭載とうさいするディスプレイオーディオをそれぞれ発売はつばいした。これにより、ながらくつづいた2DINのディスプレイのおおきさの限界げんかいえた。同様どうよう機構きこうどう2しゃのカーナビゲーションの一部いちぶ上位じょうい機種きしゅでもはじまった。

一部いちぶくるまでは、カーナビゲーションを廃止はいしし、ディスプレイオーディオを標準ひょうじゅん搭載とうさいするくるま発売はつばいされるようになっている。

自動車じどうしゃようオーディオ機器ききとしての特徴とくちょう

編集へんしゅう

ドライバーが運転うんてんちゅう使用しようすることを考慮こうりょし、ボタンやスイッチの位置いちおおきくしたりするなど、家庭かていようがたくら操作性そうさせいわる配慮はいりょした設計せっけいとなっている。初期しょき段階だんかいから人間にんげん工学こうがくユニバーサルデザイン相当そうとうする観点かんてんった設計せっけいがなされていた。また、自動車じどうしゃは、きょくけん寒冷かんれいから熱帯ねったいにわたる広範囲こうはんい温度おんど条件じょうけんと、つね振動しんどうにさらされる悪条件あくじょうけんしたでも、安易あんいこわれたり誤動作ごどうさこさないように設計せっけいされている。カセットテープやCDの再生さいせいメカニズムに使つかわれる駆動くどうようベルトるいは、低温ていおん柔軟じゅうなんせいたい熱性ねっせいとをそなえた設計せっけいとなっている。

基本きほんてきチューナー(ラジオ)をそなえており、路側ろそく放送ほうそう専用せんようボタンを機種きしゅおおい。

2024ねんにはコストめんとデザインめん(スマートかん)の両面りょうめんから普及ふきゅうすすむいわゆるディスプレイオーディオやそれをもちいたエアコン操作そうさなどにたいユーロNCAPが「物理ぶつりボタンにもどすべき」とし、またNHTSAかんしても「ドライバーが運転うんてんちゅう車道しゃどうからはな時間じかんいち操作そうさあたり2びょう以下いか累積るいせきでも12びょう以下いか)になるようデバイスを設計せっけいせよ」という指針ししん発表はっぴょうしたとほうじられている。これにかんしてはタッチパネルしきのスイッチは物理ぶつりスイッチの操作そうさより4ばい時間じかんがかかることがあり、ヒョンデ・コナ(SX2)やフォルクスワーゲン・ゴルフなど一部いちぶ車種しゃしゅにおいて物理ぶつりスイッチ回帰かいきうごきがある。[3]

 
AM専用せんようカーラジオ(日産にっさん・セドリック
 
スピーカー内蔵ないぞうのAM専用せんようカーラジオの装着そうちゃくれい三菱みつびし・ミニキャブ
 
クラリオンせい1DINオーディオ(シトロエン・C2装着そうちゃく

一般いっぱんラジオ放送ほうそう受信じゅしん機能きのうのみの製品せいひんす。おも商用しょうようしゃ(ライトバン・トラックなど)や社用しゃようしゃ公用こうようしゃ法人ほうじんけモデルや廉価れんかグレードに装備そうびされていることがおおい。以前いぜんはメーカーオプションでカセットデッキなどをこう出来でき機器きき存在そんざいし、それらの機器きき電源でんげんれるとラジオの電源でんげんれる仕組しくみになっていた。こうした形式けいしきのカセットデッキなどはかつては特別とくべつ仕様しようしゃ装備そうびひんおおかった。日本にっぽんでは、通常つうじょうグレードしゃ標準ひょうじゅん装備そうびがカセットなども一体化いったいかした「カーオーディオ」になって以降いこうは、乗用車じょうようしゃ廉価れんかグレードや商用しょうようしゃでは中波ちゅうは(AM 522 - 1629kHzきろへるつ)のみが大半たいはんだったが、コミュニティFM普及ふきゅうした2000年代ねんだいになってからはモノラルタイプのものでもFMチューナー内蔵ないぞう機種きしゅ登場とうじょうし、上級じょうきゅうモデルはFMステレオ放送ほうそう受信じゅしん機能きのう搭載とうさいしていることもある。モノラルタイプではスピーカーをチューナー本体ほんたい内蔵ないぞうして、スピーカーの装着そうちゃく配線はいせん不要ふようにした機種きしゅ存在そんざいする。2010年代ねんだいなかばからはFM補完ほかん放送ほうそう(76.0 - 95.0MHzまたは99.0MHz)に対応たいおうした商品しょうひん登場とうじょうしている。

FMチューナー内蔵ないぞう機種きしゅではFMトランスミッターかいして、外部がいぶのカセット、CDを再生さいせいすることができる。近年きんねんではiPodなどのデジタルオーディオプレーヤーや(音楽おんがく再生さいせい機能きのうづけの)携帯けいたい電話でんわスマートフォンもよく接続せつぞくされる。

なお、車載しゃさいラジオのせんきょく運転うんてんちゅうでも操作そうさしやすい「プッシュボタンしき」がむかしから主流しゅりゅうであった。一般いっぱんてき初期しょき設定せっていではダイヤルしきチューナーにてせんきょくしたボタンを手前てまえくことにより、放送ほうそうきょく登録とうろく(セット)が複数ふくすうきょくできるようになっていた。現在げんざいでは、「PLLシンセサイザ」(電子でんしチューナー)できたい放送ほうそうきょくえらべきょくし。上下じょうげボタン(または+-ボタン)でせんきょく、メモリーボタン(1〜5または1〜6)で登録とうろくする機種きしゅおおい。

なお、近年きんねんのスピーカー内蔵ないぞうがたラジオを装着そうちゃくした車種しゃしゅ場合ばあい外部がいぶスピーカー(場合ばあいによってはスピーカーの配線はいせんすらも)がはぶかれていることがある。AM/FMステレオラジオの場合ばあい許容きょようワットすうはややひくめだが外部がいぶスピーカー仕様しようおおい。そのため社外しゃがいヘッドユニットへの交換こうかんおこなさいには当然とうぜんそれらを増設ぞうせつしなければならないので確認かくにんする必要ひつようがある。さらに近年きんねんでもけいトラックの一部いちぶ廉価れんかグレードだとうすベニヤ板べにやいたとビニールりのドアトリムも存在そんざいあなける必要ひつようせいてくる。こうしたのちけスピーカーともなると金属きんぞくせいグリルきのスピーカー(近年きんねんではフルレンジスピーカーしか存在そんざいしない)でないとスピーカーの保護ほご出来できないためスピーカーの種類しゅるい純正じゅんせいひんのぞくと大幅おおはば限定げんていされる。パイオニアなどがトレードインスピーカーようのアタッチメント&スピーカーグリルも発売はつばいしている。

2020年代ねんだいはいると、技術ぎじゅつじょう問題もんだい[4]から電気でんき自動車じどうしゃ(EV)ではAMチューナーを搭載とうさいとしているくるまアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく販売はんばいしているモデルを中心ちゅうしんえている。ただし、AMチューナーを搭載とうさいにしているかどうかはメーカーによってことなり、アメリカの自動車じどうしゃメーカー「テスラ」はAMチューナーを搭載とうさいにしていることをみとめている一方いっぽう大韓民国だいかんみんこく自動車じどうしゃメーカー「起亜きあ自動車じどうしゃ」ではAMチューナーの搭載とうさい継続けいぞくしている[5]

交換こうかん

編集へんしゅう

かつての自動車じどうしゃには、ラジオ以外いがいのオーディオがいていないか、あるいは最低限さいていげん機能きのうたすものがいていただけであったので、音楽おんがくたのしむ目的もくてき純正じゅんせいひん交換こうかんすることはおこなわれたが、現在げんざいはほとんどない。理由りゆうは、

  • 交換こうかん必要ひつようせい低下ていか
    • メーカー純正じゅんせいひんしつ向上こうじょうしたこと
    • オーディオ市場いちば主流しゅりゅうとなるオーディオメディア)そのものが変化へんかし、極端きょくたんないいかたをすればカーオーディオようメディアとしてはCD・USB端子たんし/SDカードスロット(≒MP3/WMAファイル、iPod/iPhone/iPadとの接続せつぞく)・AUX端子たんし・Bluetooth通信つうしん機能きのう装備そうびしていれば事足ことたりるようになったこと。それらに対応たいおうしている純正じゅんせいひんえた2010年代ねんだい現在げんざい、あえてヘッドユニットを交換こうかんする理由りゆうがなくなりつつある。
  • そもそも交換こうかん不可能ふかのう、またはいちじるしく困難こんなん
    • コスト削減さくげん目的もくてきとしたセンターコンソール一体化いったいかによりDIN規格きかくサイズのオーディオが普及ふきゅうしたこと
    • また車両しゃりょうがわ装備そうびされた各種かくしゅ装備そうび(カメラ、エアコン、ステアリング・スイッチ、ナビゲーションシステム、通信つうしんよう端末たんまつなど)と密接みっせつ連携れんけいした純正じゅんせいひん存在そんざい

などである。ただ、スピーカーのみを装備そうびしたオーディオレスを標準ひょうじゅんもしくはメーカーオプションとするケースもある(おもにダイハツしゃのOEMをのぞく2000年代ねんだい以降いこう日本にっぽん国内こくない市場いちばけのBセグメント - Dセグメントクラスのトヨタしゃ数多かずおおられる)。そのため、DIN規格きかくではあるがけキットでけできる車輌しゃりょうもある。オーディオレスにすればそのぶん取得しゅとくがくがる(ディーラーオプションは取得しゅとくがくふくまない)ので、自動車じどうしゃ取得しゅとくぜい節税せつぜいにもなる。

カーオーディオのけサイズは、DIN規格きかくISO 7736)のものがおおい。1DINとはたかさ50mm×はば178mmで、2DINとは1DINとよこはばおなじでたてが2ぶんとなる。くるまがわが1DIN規格きかく場合ばあいには1DIN規格きかくサイズの機器きき1だいが、くるまがわが2DIN規格きかく場合ばあいには1DINサイズの機器きき2だいもしくは2DIN規格きかく機器きき1だい可能かのうとなる。一部いちぶでは1DIN規格きかくのスペースが別々べつべつにある車種しゃしゅもあり、その場合ばあいは1DINサイズの機器きき個別こべつに2だいけも可能かのうである。1990ねん以降いこう小型車こがたしゃクラスでも2DIN規格きかく普及ふきゅうはじめた。しかし2000年代ねんだいごろからは上述じょうじゅつのようにDIN規格きかくがいのカーオーディオを搭載とうさいする車種しゃしゅ登場とうじょうしてきている。このような場合ばあいも、

  • 表面ひょうめんパネルのみがワイドで、内部ないぶメカをおおうケースはDIN規格きかくサイズの場合ばあい
    • この場合ばあい車両しゃりょうメーカーやオーディオメーカーがオーディオけキットを用意よういしている場合ばあい多々たたある。
  • まったくもってDIN規格きかくがい場合ばあい
    • この場合ばあい社外しゃがいひんへの交換こうかん原則げんそく不可能ふかのうである。(物理ぶつりてきにDINサイズのスペースが確保かくほできるのであれば、加工かこうなどによりけできる場合ばあいもある)[6]とくにメディアリーダー操作そうさ・ディスプレイがバラバラになっている場合ばあい国産こくさんしゃれいげればマツダコネクト搭載とうさいしゃなど)や機能きのう密接みっせつからっている(オーディオをはずしてしまうと機能きのうにも影響えいきょうおよぼす)場合ばあい非常ひじょう困難こんなんとなる。

という具合ぐあいに、車種しゃしゅごとで明暗めいあんおおきくわってくる。

とくにDIN規格きかくがい商品しょうひん場合ばあい、DINサイズ汎用はんよう交換こうかんできないがゆえ故障こしょう陳腐ちんぷきわめてよわ深刻しんこく事態じたいへといたる。それこそたとえば「2DINスペースが確保かくほされた30ねんまえけいトラBlu-rayナビを搭載とうさいする」といったことすらもDIY~がいのショップレベルでまず可能かのうである。[7]しかし車種しゃしゅせん用品ようひん場合ばあい選択肢せんたくしかぎられる、費用ひよう高額こうがくになるばかりか最悪さいあく場合ばあい部品ぶひん供給きょうきゅう途絶とだえて対応たいおうができないこともかんがる。そのため中古ちゅうこしゃ価格かかく影響えいきょうあたえる(新車しんしゃからすうねんは「最新さいしん高級こうきゅうひん」としてもてはやされても、それからは「アップグレードや修理しゅうりができない厄介やっかいしゃ=マイナス評価ひょうか」とされる)ことすらありる。

製造せいぞうメーカーの不祥事ふしょうじ

編集へんしゅう
三菱電機みつびしでんき三田みた製作所せいさくしょ兵庫ひょうごけん三田みた)で開発かいはつ設計せっけいされたEU自動車じどうしゃメーカーけカーオーディオ製品せいひんで、欧州おうしゅう無線むせん機器きき指令しれい(Radio Equipment Directive、欧州おうしゅうRE指令しれい)に適合てきごうしない製品せいひん4しゅ、33まん5238だい不正ふせい出荷しゅっかしていたことを発表はっぴょうした[8] [9] [10] [11]
同社どうしゃでは、外部がいぶによる欧州おうしゅうRE指令しれい適合てきごう評価ひょうか試験しけん結果けっか判明はんめいする以前いぜんに、一部いちぶ自動車じどうしゃメーカーにたいして独自どくじの「適合てきごう宣言せんげんしょ」を提出ていしゅつしていた。そのどう試験しけんでの不適合ふてきごう判明はんめいしたものの「適合てきごう宣言せんげんしょ」のげをおこなわず、さらに、生産せいさんちゅう製品せいひんたいして適用てきようできない処置しょちほどこした「改造かいぞうひん」をもちいてさい受審じゅしんにパスし、生産せいさんちゅう製品せいひんには設計せっけい変更へんこう改善かいぜん措置そちおこなわないまま出荷しゅっかつづけていた。

おもなメーカー

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脚注きゃくちゅう

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  1. ^ ふる時代じだいのカー・レコードプレーヤー
  2. ^ Obscure Technology That Makes You Wonder
  3. ^ カッコいいけど使つかいづらい? やっぱ物理ぶつりスイッチが最高さいこう? 欧州おうしゅう機関きかんがクルマのタッチ操作そうさかんする対策たいさく発表はっぴょう - ベストカー、2024ねん3がつ16にち
  4. ^ 電磁波でんじはがAMラジオを妨害ぼうがいし、雑音ざつおんでききとりづらくなるため。
  5. ^ 複数ふくすうのEVメーカー、AMチューナー搭載とうさいべいNABや行政ぎょうせい警鐘けいしょう 災害さいがい必要ひつようせい強調きょうちょう”. 民放みんぽうonline (2023ねん3がつ28にち). 2023ねん3がつ29にち閲覧えつらん
  6. ^ CDラジオがインパネいち体型たいけいとなっているうえにディスプレイがエアコンいち体型たいけいとなってしまっているためにそのままではオーディオ交換こうかんができないCL7アコードEURO-Rしょう物入ものいれスペースに2DINカーナビを搭載とうさいした実例じつれい(YouTubeチャンネル「RedMemory」より)
  7. ^ 参考さんこうけいトラに10インチ!?デカすぎ最新さいしんナビ【ATOTO S8 Pro】(YouTubeチャンネル「RedMemory」より) - スピーカーレスのハイゼットトラック(S200P)にスピーカーを増設ぞうせつしたうえで2DINフローティングディスプレイタイプのナビを装着そうちゃくしたれい
  8. ^ 欧州おうしゅう当社とうしゃカーオーディオ製品せいひんかんするけん”. 三菱電機みつびしでんき (2020ねん11月6にち). 2023ねん12月29にち閲覧えつらん
  9. ^ 三菱電機みつびしでんき、EU規格きかく不適合ふてきごう車載しゃさいラジオ33まん5000だい出荷しゅっか”. Response (2020ねん12月16にち). 2023ねん12月29にち閲覧えつらん
  10. ^ 三菱電機みつびしでんき設計せっけい不正ふせい自動車じどうしゃ業界ぎょうかい震撼しんかんさせる「にせ宣言せんげんしょ”. 日経にっけいクロステック (2021ねん1がつ27にち). 2023ねん12月29にち閲覧えつらん
  11. ^ 国内こくない自動車じどうしゃ10しゃ搭載とうさい、2しゃ非公開ひこうかい 三菱電機みつびしでんき設計せっけい不正ふせい”. 日経にっけいクロステック (2021ねん2がつ10日とおか). 2023ねん12月29にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく

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