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スカンク - Wikipedia

スカンク

食肉しょくにくスカンク動物どうぶつ

スカンクえい: skunk)は、食肉しょくにくイヌがたスカンクMephitidae)にぞくする哺乳類ほにゅうるい総称そうしょう肛門こうもんりょうわきにある「肛門こうもんはたほらせん肛門こうもん嚢)」から、強烈きょうれつ悪臭あくしゅうのする分泌ぶんぴつえき噴出ふんしゅつし、外敵がいてき撃退げきたいすることでられている。漢字かんじててにおいじゅうとも表記ひょうきされた[3][4]

スカンク
分類ぶんるい
ドメイン : かく生物せいぶつ Eukaryota
さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
もん : 脊索せきさく動物どうぶつもん Chordata
もん : 脊椎動物せきついどうぶつもん Vertebrata
つな : 哺乳ほにゅうつな Mammalia
: 食肉しょくにく Carnivora
: イヌがた Caniformia
うえ : イタチうえ Muesteloidea
: スカンク Mephitidae
学名がくめい
Mephitidae Bonaparte, 1845[1]
和名わみょう
スカンク[2]
ぞく

きたアメリカから中央ちゅうおうアメリカみなみアメリカにかけて生息せいそくする。ただしスカンクアナグマぞくは、インドネシアフィリピンなどマレー諸島しょとう西側にしがわ島々しまじま生息せいそくする。

スカンクには4ぞく12しゅぞくする。おおくは白黒しろくろまだらのからだしょくをし、模様もようしゅによってそれぞれことなる。よく目立めだ模様もよう外敵がいてきたいする警戒色けいかいしょくとなっている。

四肢ししみじかく、つめながくてするどい。夜行やこうせい単独たんどくせい

体長たいちょうは40〜68cm、体重たいじゅうは0.5〜3kg。ふさふさとしたながをもつ。雑食ざっしょくせいであり、ネズミなどの小型こがた哺乳類ほにゅうるいとりたまご昆虫こんちゅう果実かじつなどをべる。地中ちちゅうあなをつくる。ふゆなどはあなにこもることがおおいが、しん冬眠とうみんをするわけではない。

スカンクは狂犬病きょうけんびょう媒介ばいかいしゃとしてられている。テキサスしゅうカリフォルニアしゅうなどでは、人間にんげん狂犬病きょうけんびょうにかかる感染かんせんげんのトップにげられる。狂犬病きょうけんびょう感染かんせんしたスカンクはあらゆる動物どうぶつ攻撃こうげき仕掛しかけるため、これによって感染かんせんした家畜かちくかいして、人間にんげんにも感染かんせんするとかんがえられる。なお、スカンクが肛門こうもんはたほらせん肛門こうもん嚢)から放出ほうしゅつした分泌ぶんぴつえきかいして狂犬病きょうけんびょう感染かんせんしたれいられていない。

スカンクの悪臭あくしゅう

編集へんしゅう

スカンクの悪臭あくしゅう肛門こうもんはたほらせん肛門こうもん嚢)から放出ほうしゅつされる分泌ぶんぴつえきによるものである。食肉しょくにくるいおおくは肛門こうもんはたほらせん肛門こうもん嚢)をゆうするが、そこから放出ほうしゅつされる分泌ぶんぴつえき相手あいてきかける能力のうりょくやそのにおいの強烈きょうれつさにかんしては、スカンク動物どうぶつとく際立きわだっている。においを直接ちょくせつかいでしまえばはげしくくるしむことになる。

分泌ぶんぴつえき主成分しゅせいぶんはブチルメルカプタン(C4H9SH)である。においは独特どくとくであり、硫化りゅうか水素すいそにおいにんにくにおいなど、文献ぶんけんによってことなる。スカンクしゅうという表現ひょうげんもちいられることもおおい。

スカンクは強力きょうりょくなスカンクスメルをはっする分泌ぶんぴつえき放出ほうしゅつするまえに、前足まえあし地面じめんたたいたり尻尾しっぽてて肛門こうもん相手あいてせたりするなど、特徴とくちょうてき警告けいこく動作どうさおこなう。とくにマダラスカンクがおこなう逆立さかだちの警告けいこくポーズは有名ゆうめいである。

警告けいこく無視むしされた場合ばあい、スカンクは肛門こうもんはたほらせん肛門こうもん嚢)をかこ筋肉きんにく収縮しゅうしゅくさせることによって分泌ぶんぴつえき相手あいてかお目掛めがけて噴射ふんしゃする。これは4〜5mはなれていても命中めいちゅうさせることができる。分泌ぶんぴつえきはいった場合ばあい一時いちじてきえなくなる。

悪臭あくしゅう範囲はんい風向かざむきによっては2kmちかくにもおよぶ。分泌ぶんぴつえき皮膚ひふ蛋白質たんぱくしつつよ結合けつごうするため、皮膚ひふ付着ふちゃくした分泌ぶんぴつえきのぞくことは困難こんなんである。脱臭だっしゅうには専用せんよう脱臭だっしゅうざいもちいられることがおおい。また、分泌ぶんぴつえき付着ふちゃくした衣服いふく脱臭だっしゅう困難こんなんなため、破棄はきせざるをない。

肛門こうもんはたほらせん肛門こうもん嚢)には5〜6回分かいぶん(およそ15cc)の分泌ぶんぴつえきたくわえられている。そらになった肛門こうもんはたほらせん肛門こうもん嚢)に分泌ぶんぴつえきさい充填じゅうてんされるには、およそ1ヶ月かげつ程度ていど必要ひつようである。

ほとんどの捕食ほしょくしゃはスカンクをおそうことはないが、ワシフクロウなど、頭上ずじょうからおそいかかる嗅覚きゅうかくにぶ捕食ほしょくしゃには効果こうかがなく、餌食えじきとなることがおおい。

日本語にほんごもちいられる「スカンク」は英名えいめいの「Skunk」をそのまま拝借はいしゃくしたものであるが、そもそもの英名えいめいはアメリカ先住民せんじゅうみんぞくであるアベナキぞく言葉ことば「セガンク(Seganku)」に由来ゆらいするとわれており[5]、「きかけるもの」を意味いみする。

分類ぶんるい

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以前いぜんイタチ分類ぶんるいされ、スカンクアナグマぞくのぞいてスカンクMephitinaeとされており、スカンクアナグマぞくアナグマふくまれていた[6]。のちにスカンクるいふくむイタチがわ系統けいとうとされ、独立どくりつしたとされるようになった[1]。2006ねん以降いこう分子ぶんし系統けいとう解析かいせきによる研究けんきゅうでは、現生げんなまイタチうえではもっと初期しょき分岐ぶんきした系統けいとうとするせつ有力ゆうりょくされている[7]

以下いか現生げんなましゅ分類ぶんるい英名えいめいは、Wozencraft (2005) にしたが[1]和名わみょうは、川田かわたら (2018) にしたが[2]

かつてブタバナスカンクConepatus mesoleucusとテキサスブタバナスカンクC. leuconotusはそれぞれ別種べっしゅとしてかんがえられていたが[6]、2005ねん時点じてんでは同種どうしゅとみなされている[1]同様どうよう独立どくりつしゅとするせつのあったアンデスブタバナスカンクC. rexも、チリブタバナスカンクC. chingaふくめられることになった[1][6]。さらに2013ねん研究けんきゅうでは、チリブタバナスカンクとフンボルトスカンクC. humboldtii同種どうしゅC. chinga有効ゆうこうめいとなる)とし、4ぞく11しゅとする見解けんかいもある[8]

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ a b c d e W. Christopher Wozencraft, “Order Carnivora,” In: Don E. Wilson & DeeAnn M. Reeder (eds.), Mammal Species of the World (3rd ed.), Johns Hopkins University Press, 2005, Pages 532-628.
  2. ^ a b 川田かわたしん一郎いちろう岩佐いわさ真宏まさひろ福井大ふくいだい新宅しんたくいさむふとし天野あまの雅男まさおした稲葉いなばさやか・たるはじめ姉崎あねざき智子さとこよこはた泰志やすし世界せかい哺乳類ほにゅうるい標準ひょうじゅん和名わみょう目録もくろく」『哺乳類ほにゅうるい科学かがくだい58かん 別冊べっさつ日本にっぽん哺乳類ほにゅうるい学会がっかい、2018ねん、1-53ぺーじ
  3. ^ グードリッチ しる須川すがわけんひさ やく博物学はくぶつがく田中たなか芳男よしお校閲こうえつ文部省もんぶしょう、1876ねんNDLJP:832262 
  4. ^ 榎本えのもとあきむらにおいじゅう」『生物せいぶつ奇談きだんがい教育きょういく叢書そうしょ刊行かんこうかいがい教育きょういく叢書そうしょ ; だい48〉、1918ねん、52ぺーじNDLJP:953641 
  5. ^ Walter W. Skeat (1882). A Concise Etymological Dictionary Of The English Language. Oxford University Press. p. 490 
  6. ^ a b c 斉藤さいとうまさる東員とういんよし細田ほそだ孝久たかひさ西木にしき秀人ひでと「イタチ分類ぶんるい」、今泉いまいずみよしのり監修かんしゅう世界せかい動物どうぶつ 分類ぶんるい飼育しいく 2(食肉しょくにく)』東京とうきょう動物どうぶつえん協会きょうかい、1991ねん、42-46ぺーじ
  7. ^ 佐藤さとうあつし・Mieczyslaw Wolsan「レッサーパンダ(Ailurus fulgens)の進化しんかてき由来ゆらい」『哺乳類ほにゅうるい科学かがくだい52かん 1ごう日本にっぽん哺乳類ほにゅうるい学会がっかい、2012ねん、23-40ぺーじ
  8. ^ MAURO I. SCHIAFFINI, MAGALÍ GABRIELLI, FRANCISCO J. PREVOSTI, YAMILA P. CARDOSO, DIEGO CASTILLO, ROBERTO BO, EMMA CASANAVE and MARTA LIZARRALDE (2013). “Taxonomic status of southern South American Conepatus (Carnivora: Mephitidae)”. Zoological Journal of the Linnean Society: 327-344. 

関連かんれん項目こうもく

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