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ディート - Wikipedia

ディート

化学かがく物質ぶっしつのひとつ

ディートDEET)とは、昆虫こんちゅうなどの忌避きひざいむしよけざい)としてもちいられる化合かごうぶつである。IUPACめいN,N-ジエチル-3-メチルベンズアミドだが、N,N-ジエチル-m-トルアミドともばれる。分子ぶんしりょう 191.27。凝固ぎょうこてん −45 ℃、沸点ふってん 285 ℃で、常温じょうおんでは無色むしょく液体えきたいである。みずにはけにくくアルコールなどの有機ゆうき溶媒ようばいによくける。CAS登録とうろく番号ばんごう [134-62-3]。消防しょうぼうほうさだめるだい4るい危険きけんぶつ だい3石油せきゆるい該当がいとうする[1]

ディート
識別しきべつ情報じょうほう
CAS登録とうろく番号ばんごう 134-62-3 チェック
PubChem 4284
ChemSpider 4133 チェック
UNII FB0C1XZV4Y チェック
KEGG D02379 チェック
ChEMBL CHEMBL1453317 ×
ATC分類ぶんるい QP53GX01
特性とくせい
化学かがくしき C12H17NO
モル質量しつりょう 191.27 g/mol
密度みつど 0.998 g/mL
融点ゆうてん

-45 °C, 228 K, -49 °F

沸点ふってん

288-292 °C

危険きけんせい
安全あんぜんデータシート(外部がいぶリンク) External MSDS
EU分類ぶんるい 有毒 T
Rフレーズ R23 R24 R25
特記とっきなき場合ばあい、データは常温じょうおん (25 °C)・つねあつ (100 kPa) におけるものである。

用途ようと 編集へんしゅう

使用しよう目的もくてきは、皮膚ひふ直接ちょくせつまたは衣服いふく塗布とふし、昆虫こんちゅうダニによる吸血きゅうけつふせぐことである。とくにダニ(ツツガムシびょうライムびょう媒介ばいかいする)や日本脳炎にほんのうえんデング熱でんぐねつジカねつウエストナイルねつマラリアなどを媒介ばいかいする)にたいする防御ぼうぎょ手段しゅだんとして、たか有効ゆうこうせいしめす。比較的ひかくてき安価あんか歴史れきしもあることから、世界中せかいじゅう使用しようされている。

ディートは、だい世界せかい大戦たいせんなかジャングルせん経験けいけんもとづき、アメリカ陸軍りくぐん開発かいはつされた。1946ねん軍事ぐんじよう1957ねん民生みんせいよう使用しよう開始かいしされた。ほとんどのむしよけスプレーで、主成分しゅせいぶんとしてもちいられる。昆虫こんちゅうがディートのにおいをきらうが、どうしてきらうのか忌避きひ作用さよう詳細しょうさいかっていない。この効果こうか昆虫こんちゅうかぎらず、昆虫こんちゅうとは構造こうぞうまったことなる、ダニヒルナメクジ一部いちぶにも有効ゆうこうである。

ディートは忌避きひざいとしてもっと効果こうかてきで、効力こうりょく長持ながもちすることがしめされている。日本にっぽんでは、ながらくDEET12パーセント以下いか製品せいひんしか存在そんざいしなかったが、2016ねん平成へいせい28ねん)6がつ15にちに、人体じんたいよう害虫がいちゅう忌避きひざいにおいて、有効ゆうこう成分せいぶんこう濃度のうど製品せいひん(DEET30%)がだいるい医薬品いやくひんとして製造せいぞう販売はんばい承認しょうにん迅速じんそく審査しんさ発表はっぴょう[2]こう濃度のうどディートが市販しはんされている。

ひとによっては、アレルギー肌荒はだあれをこすことがあり、デューク大学だいがく動物どうぶつ実験じっけん連続れんぞくてき大量たいりょう摂取せっしゅにより、神経しんけい毒性どくせいられたとの報告ほうこくもあるが、実験じっけん試験しけん方法ほうほう再現さいげんせいなどの不備ふび指摘してきされている[3]

合成ごうせい 編集へんしゅう

m-トルイルさんジエチルエーテル溶媒ようばいちゅうピリジン存在そんざい塩化えんかチオニルによりm-トルイルクロリドへと変換へんかんする。m-トルイルクロリドを低温ていおんにてジエチルアミン反応はんのうさせるとDEETが生成せいせいする。

使用しようじょう注意ちゅうい 編集へんしゅう

 
ディートをもちいた製品せいひん

使用しようさいしては、アメリカ疾病しっぺい予防よぼう管理かんりセンター (CDC) では、つぎのことを推奨すいしょうしている。

  • んだり吸入きゅうにゅうしたりしないよう注意ちゅうい必要ひつよう
  • とく乳幼児にゅうようじたい使用しようする場合ばあいのひら、かおとくくち)をける。
  • 乳児にゅうじは、大人おとなのひらでうすばし、これをる。
  • 子供こども同士どうしむしよけざいったり、スプレーしたりさせない。
  • 衣服いふく場合ばあい内側うちがわ皮膚ひふ直接ちょくせつれる部分ぶぶん)へ塗布とふしない。
  • 長時間ちょうじかんったままにしない。子供こどもやく4あいだ大人おとなやく8あいだ程度ていど目安めやすとする。さらに長時間ちょうじかん使用しようかんがえられる場合ばあいは、濃度のうどひくいものを使用しようするか、うす方法ほうほうをとる。
  • 帰宅きたくなど、昆虫こんちゅう接触せっしょくする機会きかいからはなれた場合ばあいは、すみやかに石鹸せっけんなどを使つかい、あらとす。
  • むしよけざいは、子供こどもとどかないところへ保管ほかんする。
  • 夏場なつばなど、日焼ひやめと併用へいようする場合ばあいは、日焼ひやめを最初さいしょり、そのうえむしよけざいる。

ディートの濃度のうど100%ではむしよけ効果こうか持続じぞく時間じかんは10あいだであるが、濃度のうど30%で8あいだ、10%で2あいだ、5%ではやく90ふんとなる。したがってディートを製造せいぞうしているメーカーは、様々さまざま屋外おくがいでの作業さぎょう疾病しっぺい感染かんせんする可能かのうせいたか地域ちいきなどについては「かえし」使用しようほう推奨すいしょうしている[よう出典しゅってん]

日本にっぽん製剤せいざいちゅうのディート濃度のうどは、だいるい医薬品いやくひんが12%、防除ぼうじょよう医薬いやく部外ぶがいひんでは10%以下いかとなっていたが、厚生こうせい労働省ろうどうしょう2016ねん平成へいせい28ねん6月15にちに、濃度のうど30%までたかめたむしよけ製品せいひん製造せいぞう販売はんばい申請しんせいがあった場合ばあい早期そうき審査しんさ対象たいしょうにすると通知つうち[4]こう濃度のうどむしよけざい流通りゅうつう開始かいしされた。

世界せかい流通りゅうつうするディート製品せいひんなかには、濃度のうど80~100%のものがあり、これをあしにつけたまま自動車じどうしゃると、人造じんぞう皮革ひかく座席ざせき表面ひょうめんかす場合ばあいがある。ディートはおおくのプラスチックレーヨン皮革ひかく影響えいきょうおよぼすが、綿めん毛糸けいと羊毛ようもうなど)、ナイロンには影響えいきょうおよぼさない。

参考さんこう文献ぶんけん 編集へんしゅう

  1. ^ 法規ほうき情報じょうほう (東京とうきょう化成かせい工業こうぎょう株式会社かぶしきがいしゃ)
  2. ^ 防除ぼうじょよう医薬品いやくひんおよ防除ぼうじょよう医薬いやく部外ぶがいひん製造せいぞう販売はんばい承認しょうにん申請しんせいかか手続てつづきについて』(PDF)(プレスリリース)厚生こうせい労働省ろうどうしょう医薬いやく生活せいかつ衛生局えいせいきょく審査しんさ管理かんり課長かちょう、2016ねん6がつ15にちhttps://www.jfsmi.jp/pdf/20160615_1.pdf2017ねん6がつ20日はつか閲覧えつらん 
  3. ^ Abdel-Rahman, A.; Dechkovskaia, A. M.; Goldstein, L. B.; Bullman, S. H.; Khan, W.; El-Masry, E. M.; Abou-Donia, M. B. (2004). "Neurological deficits induced by malathion, DEET, andpermethrin, alone or in combination in adult rats." J. Toxicol. Environ. Health. A 67 (4): 331–356. PMID 14713564
  4. ^ 防除ぼうじょよう医薬品いやくひんおよ防除ぼうじょよう医薬いやく部外ぶがいひん製造せいぞう販売はんばい承認しょうにん申請しんせいかか手続てつづきについて”. 厚生こうせい労働省ろうどうしょう医薬いやく生活せいかつ衛生局えいせいきょく審査しんさ管理かんり課長かちょう (2016ねん6がつ15にち). 2022ねん7がつ31にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく 編集へんしゅう

外部がいぶリンク 編集へんしゅう

安全あんぜんせいかんして: