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ヘイトスピーチ - Wikipedia

ヘイトスピーチ

特定とくてい個人こじん集団しゅうだん差別さべつてき攻撃こうげきする言動げんどう

ヘイトスピーチえい: hate speech)は、人種じんしゅ出身しゅっしんこく民族みんぞく宗教しゅうきょう性的せいてき指向しこう性別せいべつ容姿ようし健康けんこう障害しょうがい)、経済けいざいてき社会しゃかいてき出自しゅつじあるいはのアイデンティティー要素ようそなどにもとづいて、個人こじんまたは集団しゅうだん攻撃こうげき脅迫きょうはく侮辱ぶじょくする発言はつげん言動げんどうのことである[1][2][3][4][5]。ヘイトスピーチが具体ぐたいてきにどのような言論げんろんすかについて各国かっこく共通きょうつうした解釈かいしゃく存在そんざいするわけではなく、法的ほうてき定義ていぎくにによって様々さまざまである。

ヘイトスピーチに反対はんたいするキャンペーンスローガンかかげたポーランドのSIMカード(Virgin Mobileしゃ)「言葉ことば(Słowa)はちから(moc)をつ(mają )、思慮しりょふかく(rozważnie)使つかえ(używaj )」

言論げんろん自由じゆう、ヘイトスピーチ、ヘイトスピーチの法律ほうりつについておおくの議論ぎろんがなされてきた[6]。いくつかのくに法律ほうりつでは、ヘイトスピーチを「集団しゅうだんぞくすることを理由りゆう集団しゅうだん個人こじんたいして暴力ぼうりょく偏見へんけんちた行動こうどう扇動せんどうする、または集団しゅうだんぞくすることを理由りゆう集団しゅうだん個人こじん中傷ちゅうしょうまたは脅迫きょうはくする言動げんどう身振みぶり、行動こうどう文章ぶんしょう表示ひょうじ」と説明せつめいしている[7][8]。また、アメリカをふくむいくつかのくにでは、「ヘイトスピーチ」とされるもののおおくは憲法けんぽう保護ほごされている[9][10]

定義ていぎ様態ようたい

編集へんしゅう

この言葉ことばはもともと、ヘイトクライムという用語ようごとともに、有色ゆうしょく人種じんしゅLGBTひとしたいする差別さべつもとづく暴力ぼうりょく行為こうい頻発ひんぱつした1980年代ねんだい後半こうはん米国べいこく使用しようされ、のち一般いっぱんした言葉ことばである [11]憎悪ぞうお表現ひょうげんが”地域ちいき平穏へいおんみだすことをもって規制きせいされるべき”と議論ぎろんする場合ばあいには「憎悪ぞうおあお表現ひょうげん」ともばれる[12][13]。「喧嘩けんか言葉ことば[注釈ちゅうしゃく 1]同様どうよう相手方あいてがた内部ないぶ憎悪ぞうおすような言論げんろん表現ひょうげん類型るいけいかんがえられており、話者わしゃ表現ひょうげんしゃ)のがわ憎悪ぞうお感情かんじょう問題もんだいとされる[12]。また、「憎悪ぞうお敵意てきいちた言論げんろん[16]、「憎悪ぞうおにもとづく発言はつげん」とも解説かいせつされる[2]

知恵ちえぞうmini』(朝日新聞あさひしんぶん出版しゅっぱん)の2013ねん2がつ21にちはんでは「匿名とくめいされ、インターネットなどの世界せかい発信はっしんされることがおおい。定義ていぎかたまっていないが、おも人種じんしゅ国籍こくせき思想しそう性別せいべつ障害しょうがい職業しょくぎょう外見がいけんなど、個人こじん集団しゅうだんかかえる欠点けってんおもわれるものを誹謗ひぼう中傷ちゅうしょうけなす、差別さべつするなどし、さらには他人たにんをそのように扇動せんどうする発言はつげんみ)のこと」をすとされ、インターネットにおけるみも「スピーチ」にふくむと解説かいせつしている[2]。また、それにつづけて「ヘイトスピーチをおこな目的もくてき自分じぶん表現ひょうげん挑発ちょうはつてきけること」にあり、あらゆる手法しゅほうもちいて他者たしゃひくめようとし、表現ひょうげんたいする批判ひはんに「まともにみみすことはない。」「憎悪ぞうお無力むりょくかん不信ふしんなどを被害ひがいしゃこし、相互そうご理解りかいふかめようとする努力どりょくにする、不毛ふもうかつ有害ゆうがい行為こうい」と解説かいせつし、ヘイトスピーチ規制きせいぜん世界せかいてきひろがっているとしたうえで、規制きせいすくないくにとしてアメリカ日本にっぽんげている[2]。さらに、どう辞典じてん2013ねん5がつ13にち更新こうしんでは「憎悪ぞうおもとづく差別さべつてき言動げんどう」であり、「人種じんしゅ宗教しゅうきょう性別せいべつ性的せいてき指向しこうなどみずか能動のうどうてきえることが不可能ふかのうな、あるいは困難こんなん特質とくしつ理由りゆうに、特定とくてい個人こじん集団しゅうだんをおとしめ、暴力ぼうりょく差別さべつをあおるような主張しゅちょうをすることが特徴とくちょう」と解説かいせつされ、思想しそう除外じょがいされた[2]。また、朝日新聞あさひしんぶん2013ねん10がつ7にち夕刊ゆうかんでは「特定とくてい人種じんしゅ民族みんぞくへのにくしみをあおるような差別さべつてき表現ひょうげん」と定義ていぎされ、在日ざいにち韓国かんこく朝鮮ちょうせんじんへの街頭がいとう活動かつどうれいとされた[2]。また 社会しゃかい学者がくしゃましこ・ひでのりはこの概念がいねんに「ヘイト」とか「憎悪ぞうお」とった表現ひょうげん使つかうべきではないとして(心理しんりてき打撃だげき目的もくてきとする)「言語げんごてきリンチ」という用語ようご提案ていあんしている[17]

上記じょうきのように確固かっこたる客観きゃっかんてき定義ていぎ確立かくりつされているわけではないので、たとえばヘイトスピーチの取締とりしまり成立せいりつしてるスペインでは、カタルーニャ独立どくりつ運動うんどうかかわる各種かくしゅ発言はつげんがスペインにたいするヘイトスピーチだとして、市民しみん取締とりしまりをけている状況じょうきょうがある[18]

主体しゅたいてきえることができる「思想しそう信条しんじょう」への言動げんどうについて、これもヘイトスピーチにふくまれると「しん明解めいかい国語こくご辞典じてんだいはちはんでは定義ていぎしている。

言及げんきゅうされる対象たいしょうについて、国際こくさい連合れんごう広報こうほうセンター[19]は「ヘイトスピーチは、個人こじんまたは個人こじんからなる集団しゅうだんのみを対象たいしょうとして(おり)、国家こっかやそのくに機関きかんくに象徴しょうちょうまたは公務員こうむいんかんするコミュニケーションや、宗教しゅうきょう指導しどうしゃ信仰しんこうじょう教義きょうぎかんするコミュニケーションは、ヘイトスピーチにはふくまれません[20]」と、とく注意ちゅうい喚起かんきしている。

様態ようたい

編集へんしゅう

アメリカでは、1980年代ねんだい後半こうはん以降いこう、「ヘイト・スピーチ(hate speech)」という語句ごく一般いっぱんてきもちいられるようになり、2010年代ねんだいはいってから、そのかたり概念がいねん輸入ゆにゅうするかたちで、日本にっぽんでも使用しようされるようになった[14]憎悪ぞうおバイアスをもたらす表現ひょうげん形態けいたいとして、ジェンダーろん立場たちばからは、ポルノグラフィ規制きせいろんとも関係かんけいする[12]個人こじんたいするいやがらせ表現ひょうげんなどは侮辱ぶじょくざいストーカー規制きせいほうなどの対象たいしょうとなる。ほかに差別さべつ偏見へんけん動機どうきとした暴行ぼうこうとう犯罪はんざいをヘイトクライムといい、これも問題もんだいとなっている[16]現代げんだいアメリカえいとしてヘイトスピーチととき憎悪ぞうおはこのヘイトクライムを直接ちょくせつ連想れんそうさせる言葉ことばである[21]日本にっぽん市民しみん団体だんたいによると、日本にっぽんにおけるヘイトスピーチ対象たいしょう在日ざいにちはん原発げんぱつ運動うんどう広島ひろしま平和へいわ運動うんどう生活せいかつ保護ほごなど多岐たきにわたるとされる[22]

また、ヘイトスピーチは多大ただい悪影響あくえいきょうおよぼすとして、様々さまざま問題もんだいてん指摘してきされている。「たがいのにくしみをあおてん」が最大さいだい問題もんだいてんであるという指摘してき[23]、デモでおこなわれると言論げんろんへの責任せきにんかん希薄きはくとなって気持きもちが刺激しげきされ「対象たいしょうへの憎悪ぞうおかんはさらに増幅ぞうふくしやすい」という指摘してき[24]、ヘイトスピーチが人種じんしゅ差別さべつてき社会しゃかい構築こうちくしてしまうという研究けんきゅう結果けっか[1]ひとしがあげられる。

日本語にほんごでは「憎悪ぞうお表現ひょうげん」のほか、「差別さべつてき憎悪ぞうお表現ひょうげん[25]、「憎悪ぞうお宣伝せんでん」、「差別さべつてき表現ひょうげん」、「差別さべつ表現ひょうげん[1][26]、「差別さべつ言論げんろん[26]、「差別さべつ扇動せんどう[27][28][29][30][31]、「差別さべつ扇動せんどう表現ひょうげん差別さべつ煽動せんどう表現ひょうげん)」[32][33][34][35][36][37][38][39][40][41]などとやくされる。

カナダでは言論げんろん自由じゆう通常つうじょう権利けんりおよび自由じゆうかんするカナダ憲章けんしょうだい2しょうによって保護ほごされているが、カナダの刑法けいほう319じょう喧嘩けんか言葉ことばふくむいくつかの形態けいたい処罰しょばつしうるヘイトスピーチを定義ていぎしこれらの自由じゆう制限せいげんしている[42]

公共こうきょう憎悪ぞうお扇動せんどう(319じょう何人なんにん公共こうきょう通信つうしん言辞げんじによっていかなる識別しきべつ可能かのう集団しゅうだんたいしても平和へいわ侵害しんがいするおそれのある憎悪ぞうお扇動せんどう有罪ゆうざい[犯罪はんざい]とする。 — カナダ刑法けいほう319じょうだい1こう

1940ねん、リーフレットと既成きせい宗教しゅうきょうたいする罵詈ばり雑言ぞうごん通行人つうこうにんから反発はんぱつけていたエホバの証人しょうにん信者しんじゃのウォルター・チャプリンスキーが、公序こうじょみだしたとして逮捕たいほされたのち警察けいさつたいし「ファシスト野郎やろうa damned fascist)」「くそチンピラ(a God-damned racketeer)」とののしった。こうした言論げんろんたいし、1942ねん、アメリカ連邦れんぽう裁判所さいばんしょ判事はんじ9にん一致いっち修正しゅうせいだいいちじょう保護ほごする言論げんろん範囲はんいえていると判断はんだんした[43]。(Chaplinsky判決はんけつ

表現ひょうげん自由じゆうがいつもどのような状況じょうきょうでも絶対ぜったいてき保障ほしょうされるものではないことは、ひろ認識にんしきされている。禁止きんししたり処罰しょばつしたりすることがいかなる憲法けんぽうじょう問題もんだいしょうじさせないような、明確めいかく定義ていぎされ注意深ちゅういぶか限定げんていされた言論げんろん種類しゅるい存在そんざいする。そうした種類しゅるい言論げんろんには、猥褻わいせつてき冒涜ぼうとくてき名誉めいよ毀損きそんてき侮辱ぶじょくてき言葉ことばおよび、「喧嘩けんか言葉ことばふくまれる。それらはまさにくちされることによって他人たにん権利けんり侵害しんがいし、あるいは直接ちょくせつ治安ちあん紊乱びんらんあお言論げんろんである。そうした発言はつげんは、本質ほんしつてきてんでいかなる思想しそう表明ひょうめいでもなく、真理しんりへのステップとしてごくわずかな価値かちしかゆうしないので、そこからもたらされうるいかなる利益りえきよりも、秩序ちつじょ道徳どうとくにおける社会しゃかいてき利益りえきのほうがあきらかに重大じゅうだいであるとみとめられてきた。 — Chaplinsky v. New Hampshire、1942 明戸あけと隆浩たかひろやく[44]

1946ねん、シカゴ市内しないおこなわれたデモ行進こうしんでは、コーラーが「ユダヤじんころせ(Kill the Jews.)」「下品げひんなユダヤじんDirty kikes.)」「そうだ、ユダヤじんはみな殺人さつじんしゃだ。我々われわれさきやつらをころさねば我々われわれころされる(Yes. the Jews are all killers, murderers, If we don't kill them first, they will kill us.)」などとあおり、1000にんから1500にん抗議こうぎしゃさけび、破壊はかい行為こういしょうじさせた。この事件じけんでは、シカゴ起訴きそ、100ドルの罰金ばっきんけいとし、上訴じょうそ裁判所さいばんしょしゅう裁判所さいばんしょ支持しじしたが連邦れんぽう最高裁さいこうさいは5たい4で破棄はきした(テルミニエロたいシカゴ事件じけん[15]

ジョニー・ウィルソンがベトナム戦争せんそうときぐん司令しれい妨害ぼうがいしようとして警官けいかん退きをせまられ、「白人はくじんのくそったれめ、ころしてやる(White son of a bitch, I'll kill you.、」)とってつみわれた。1972ねん最高裁さいこうさいは、ジョージア州法しゅうほうは「治安ちあん紊乱びんらんこすおそれのある不名誉ふめいよ言葉ことばあるいは侮辱ぶじょくてき言葉ことば」を対象たいしょうにしておりその範囲はんい曖昧あいまいすぎるとして、本質ほんしつてき違憲いけんうたがいがあり、破棄はきされなければならないとした。これにより、「喧嘩けんか言葉ことば」の法理ほうり有名ゆうめい無実むじつし、公共こうきょうでの人種じんしゅ差別さべつてき言論げんろん事実じじつじょう保護ほごされるようになった[45]

法的ほうてき側面そくめん

編集へんしゅう

国連こくれん規約きやく

編集へんしゅう

1965ねん12月21にち国連こくれん総会そうかい採択さいたくされたあらゆる形態けいたい人種じんしゅ差別さべつ撤廃てっぱいかんする国際こくさい条約じょうやく人種じんしゅ差別さべつ撤廃てっぱい条約じょうやく)は、そのだい4じょうaこうにおいて「人種じんしゅてき優越ゆうえつまた憎悪ぞうおもとづく思想しそうのあらゆる流布るふ人種じんしゅ差別さべつ扇動せんどう、いかなる人種じんしゅしくは皮膚ひふいろしくは種族しゅぞくてき出身しゅっしんことにするひと集団しゅうだんたいするものであるかをわずすべての暴力ぼうりょく行為こういまたはその行為こうい扇動せんどうおよ人種じんしゅ主義しゅぎもとづく活動かつどうたいする資金しきん援助えんじょふくむいかなる援助えんじょ提供ていきょうも、法律ほうりつ処罰しょばつすべき犯罪はんざいであることを宣言せんげんすること」、またbこうで「人種じんしゅ差別さべつ助長じょちょうおよ扇動せんどうする団体だんたいおよ組織そしきてき宣伝せんでん活動かつどうそののすべての宣伝せんでん活動かつどうを、違法いほうであるとして禁止きんしするものとすること」と明記めいきしている[46]

また1966ねん国連こくれん採択さいたくされた市民しみんてきおよ政治せいじてき権利けんりかんする国際こくさい規約きやく国際こくさい人権じんけんB規約きやく世界せかい人権じんけん宣言せんげん強制きょうせいりょく付与ふよした)ではだい20じょうだい2こうで、「差別さべつ敵意てきいまた暴力ぼうりょく扇動せんどうとなる国民こくみんてき人種じんしゅてきまた宗教しゅうきょうてき憎悪ぞうお唱道しょうどうは、法律ほうりつ禁止きんしする」、どう規約きやくだい2じょうだい2こうでは「この規約きやくかく締約ていやくこくは、立法りっぽう措置そちその措置そちがまだとられていない場合ばあいには、この規約きやくにおいてみとめられる権利けんり実現じつげんするために必要ひつよう立法りっぽう措置そちその措置そちをとるため、自国じこく憲法けんぽうじょう手続てつづきおよびこの規約きやく規定きていしたがって必要ひつよう行動こうどうをとることを約束やくそくする」とさだめる[47]

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく人種じんしゅ差別さべつ撤廃てっぱい条約じょうやくを1994ねん批准ひじゅん[48]日本にっぽん1979ねん国際こくさい人権じんけんB規約きやく批准ひじゅんし、また人種じんしゅ差別さべつ撤廃てっぱい条約じょうやくには1995ねん12月15にち加入かにゅうしょ寄託きたくし、加盟かめいこくとなっているが、「日本国にっぽんこく憲法けんぽうしたにおける『集会しゅうかい結社けっしゃおよ表現ひょうげん自由じゆうその権利けんり』の保障ほしょうだい21じょう)に抵触ていしょくしない限度げんどにおいて、これらの規定きていもとづ義務ぎむ履行りこうする」という留保りゅうほ宣言せんげんおこなっている[16]。もっとも国際こくさい人権じんけんB規約きやくだい5じょうで「何人なんにん他人たにん権利けんり自由じゆうおかない」、また憲法けんぽうだい12じょう後段こうだんは「個人こじん自由じゆう享受きょうじゅ権利けんり行使こうし公共こうきょう福祉ふくしかなわなければならない」とさだめる。

各国かっこく

編集へんしゅう

ヨーロッパ諸国しょこく人種じんしゅ差別さべつ表現ひょうげん(ヘイトスピーチ)の規制きせいたいして共感きょうかんてきである一方いっぽう[49]、アメリカは人種じんしゅ差別さべつてき意見いけんもとづいた行為こういヘイトクライム)を規制きせいすることに積極せっきょくてきである[50]

ヨーロッパ
ホロコーストの極小きょくしょう否定ひていが、1970年代ねんだいから1980年代ねんだいにかけて急速きゅうそく拡大かくだいした[51]スイスでは1994ねん人種じんしゅ差別さべつ禁止きんしする刑法けいほう改正かいせいおこない、ハンガリーでは刑法けいほう269じょう国籍こくせき民族みんぞく人種じんしゅ理由りゆうとした憎悪ぞうお助長じょちょう禁止きんしされている[16]ロシアでは1993ねん憲法けんぽう差別さべつてき表現ひょうげんみとめないと明記めいきした[16]
ドイツ
ドイツ連邦れんぽう共和きょうわこく基本きほんほう自分じぶん意見いけんはっする自由じゆう保障ほしょうする一方いっぽう、「治安ちあん妨害ぼうがいするような言論げんろん濫用らんよう」をきびしく規制きせいしている。また、ナチスによるホロコースト経験けいけんをもつドイツでは、民族みんぞく集団しゅうだんたいする憎悪ぞうお扇動せんどうするような行為こういを、刑法けいほうだい130じょう民衆みんしゅう扇動せんどうざい、180じょう侮辱ぶじょくざい、189じょうで「死者ししゃ追憶ついおくたいする誹謗ひぼうざい」、194じょうで「国家こっか社会しゃかい主義しゅぎその暴力ぼうりょくてき恣意しいてき支配しはい目的もくてきとする集団しゅうだん一員いちいんによる侮辱ぶじょく親告罪しんこくざいとする規定きてい」がもうけられている[16]憲法けんぽう裁判所さいばんしょは「ホロコーストの否定ひていが「いつわりの真実しんじつ」である以上いじょう保護ほごされるべき言論げんろんにはふくまれない」と明言めいげんしている[52]。フランスでは人種じんしゅ差別さべつ規制きせいほうが1972ねん制定せいていされた[16]。そのほうふくめ「出自しゅつじあるいはエスニック集団しゅうだん・ネーション・人種じんしゅ宗教しゅうきょうへの所属しょぞく」を理由りゆうとして、個人こじんまたは集団しゅうだんたいして、中傷ちゅうしょう名誉めいよ毀損きそん差別さべつ憎悪ぞうお暴力ぼうりょくあおることを禁止きんししている[53]
イギリス
1965ねん人種じんしゅ関係かんけいほう(Race Relation Act)だい6じょうでも人種じんしゅてき憎悪ぞうお扇動せんどうざい犯罪はんざいとされていたが、同罪どうざい成立せいりつのためには扇動せんどう意思いし立証りっしょう必要ひつようであったため訴追そついすくなかった[54]。ナショナル・フロントの集会しゅうかいでこれに抗議こうぎするアジアけい青年せいねん殺害さつがいされたのち、ブリティッシュ・ムーブメントの指導しどうしゃジョン・キングズリィ・リードが「一人ひとりった、つぎひゃくまんにんだ」「くろぼう、アラブ野郎やろう、まぬけしゃ」と演説えんぜつ発言はつげんした事件じけんについての裁判さいばんでは、訴追そついがわ人種じんしゅてき憎悪ぞうお扇動せんどうする意思いし立証りっしょうできなかったため無罪むざいとされた[54]。その、1976ねん公共こうきょう秩序ちつじょほう(Public Order Act)だい5Aじょう改正かいせいされ[54]1986ねん改正かいせいでは暴動ぼうどうざいだい1じょう)、暴力ぼうりょくてき秩序ちつじょ紊乱びんらんざい(violent disorder、だい2じょう)などとともにだいさんへんだい18じょう人種じんしゅてき憎悪ぞうお扇動せんどうざい規定きていされ、人種じんしゅてき憎悪ぞうおとは「はだいろ人種じんしゅ国籍こくせき市民しみんけんふくむ)、しくは民族みんぞくてきまた国家こっかてき出自しゅつじらして定義ていぎされるだいブリテンない人々ひとびと集団しゅうだん敵対てきたいする憎悪ぞうお」と定義ていぎされた[55]。また、人種じんしゅてき憎悪ぞうお扇動せんどうざい訴追そついするには法務ほうむ長官ちょうかん同意どうい必須ひっすであるが、歴代れきだい長官ちょうかん同意どうい消極しょうきょくてきであった[56]人種じんしゅてき憎悪ぞうお扇動せんどうざい違反いはんへの罰則ばっそくは、正式せいしき起訴きそによる場合ばあいは2ねん以下いか拘禁こうきんまた罰金ばっきんしくはその両方りょうほう略式りゃくしき有罪ゆうざい判決はんけつによる場合ばあいは6かげつ以下いか拘禁こうきん、または罰金ばっきんしくはその両方りょうほうだい27じょう3項目こうもく)とされる[57]。2001ねんアメリカ同時どうじ多発たはつテロ事件じけんけ、はんテロリズム犯罪はんざい安全あんぜんほうAnti-terrorism, Crime and Security Act 2001英語えいごばんによって、人種じんしゅてき憎悪ぞうお扇動せんどうざい(Racial hatred offences)は刑罰けいばつを2ねんから最高さいこう7ねんげられた[58]。なお本法ほんぽう保護ほご法益ほうえき公共こうきょう秩序ちつじょであり、居室きょしつない閉鎖へいさされたグループないでの行為こうい制限せいげんするものではない。またイギリス政府せいふ人種じんしゅてき憎悪ぞうお見解けんかいそのものの表現ひょうげんへの処罰しょばつについてはみとめていない[59]。またイスラム教徒きょうととの摩擦まさつ背景はいけいに2006ねん人種じんしゅてきおよび宗教しゅうきょうてき憎悪ぞうおほう(Racial and Religious Hatred Act)が制定せいていされたが、Mr.ビーンられる俳優はいゆうローワン・アトキンソンらアーティストによる反対はんたい運動うんどう展開てんかいした[16]
フランス
フランスのヘイトスピーチ規制きせいは「出版しゅっぱん自由じゆうかんする1881ねん7がつ29にち法律ほうりつ出版しゅっぱん自由じゆうほう」にもとづいている[60]1939ねんマルシャンドーほうで、市民しみんあいだ憎悪ぞうおてることを目的もくてきとして、一定いってい人種じんしゅ宗教しゅうきょう所属しょぞくする人々ひとびと集団しゅうだんたいする名誉めいよ毀損きそん侮蔑ぶべつ行為こういおこなわれた場合ばあい刑罰けいばつくわえることを規定きていした [61]。また、「人種じんしゅ差別さべつたいするたたかいにかんする1972ねん7がつ1にち法律ほうりつ(プレヴァンほう)」による出版しゅっぱん自由じゆうほう改正かいせいで、人種じんしゅとう理由りゆうとする名誉めいよ毀損きそんざいどう32じょう2こう)および人種じんしゅとう理由りゆうとする侮辱ぶじょくざいどう33じょう3こう)、人種じんしゅてき憎悪ぞうお煽動せんどうざいどう24じょう8こう)を制定せいていした。[62]出版しゅっぱん自由じゆうほう32じょう2こうは、人種じんしゅてき名誉めいよ毀損きそんざいとして、どうほう23じょう規定きていされた公表こうひょう手段しゅだんによっておこなわれる出生しゅっしょうまた特定とくてい民族みんぞく国民こくみん人種じんしゅもしくは宗教しゅうきょうへの帰属きぞく有無うむ理由りゆうとするひとまたひと集団しゅうだんたいする名誉めいよ毀損きそんきんじる。「どうほう23じょう規定きていされた公表こうひょう手段しゅだん」とは、「公共こうきょう場所ばしょまた集会しゅうかいにおいておこなわれた演説えんぜつうったえもしくは威嚇いかく」、「公共こうきょう場所ばしょまた集会しゅうかいにおいて販売はんばいされ、もしくは陳列ちんれつされた販売はんばいようまた頒布はんぷよう著作ちょさくぶつ印刷物いんさつぶつ図画ずが版画はんが絵画かいが紋章もんしょう映像えいぞうその著作ちょさく言語げんごあるいは映像えいぞう媒体ばいたいとなるあらゆるもの」、「公衆こうしゅう面前めんぜんされたがみまたはビラ」および「公衆こうしゅうたいする電子でんし技術ぎじゅつによるあらゆる伝達でんたつ手段しゅだん」である。同様どうように、どうほう33じょう3こうは、人種じんしゅてき侮辱ぶじょくきんじている[63]。また、プレヴァンほうは、出版しゅっぱん自由じゆうほう24じょう8こう新設しんせつし、どうほう23じょうさだめる公表こうひょう手段しゅだんによっておこなわれる出生しゅっしょうまた特定とくてい民族みんぞく国民こくみん人種じんしゅもしくは宗教しゅうきょうへの帰属きぞく有無うむ理由りゆうとするひとまたひと集団しゅうだんたいする差別さべつ憎悪ぞうおまた暴力ぼうりょく煽動せんどう(provocation)をきんじた。刑罰けいばつは、1かげつ以上いじょう1ねん以下いか禁錮きんこおよび2000フラン以上いじょう、30まんフラン以下いか罰金ばっきん、あるいはそのいずれか一方いっぽうである[64]1990ねん7がつには、はんユダヤ主義しゅぎなどの人種じんしゅ差別さべつてき言論げんろん直接ちょくせつ対象たいしょうとする法律ほうりつとして、「あらゆる人種じんしゅ差別さべつはんユダヤ主義しゅぎまた排外はいがい主義しゅぎ行為こうい禁止きんしする法律ほうりつ(ゲソほう」が制定せいていされた。ゲソほうによって、出版しゅっぱん自由じゆうほう24じょうの2としてホロコースト否定ひていつみ新設しんせつされた。[65]
アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく
合衆国がっしゅうこく憲法けんぽう修正しゅうせいだい1こうでは「連邦れんぽう政府せいふによる言論げんろん規制きせい」をきんじており、「政府せいふは、その思想しそう自体じたい攻撃こうげきてきあるいは不快ふかいであるからという理由りゆうだけで思想しそう禁止きんしするべきではない」 としている[66]1992ねん、アメリカ連邦れんぽう最高裁さいこうさいは、RAV判決はんけつにおいて、憎悪ぞうお表現ひょうげん規制きせい違憲いけんであると判断はんだんした[67]。2004ねんにはぜん世界せかいはんユダヤ主義しゅぎ監視かんしほう制定せいていされた[68]
カナダ
1982ねん施行しこうされたカナダ憲法けんぽう人権じんけん保障ほしょうされ、表現ひょうげん自由じゆう保障ほしょうされているが、法律ほうりつ留保りゅうほがつけられており、これはアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく憲法けんぽう修正しゅうせいだいいちじょう絶対ぜったいてき表現ひょうげん自由じゆう保障ほしょうとはことなる[69]はんユダヤ主義しゅぎはん黒人こくじん主義しゅぎ白人はくじん優越ゆうえつ主義しゅぎ集団しゅうだん社会しゃかい問題もんだいとなったため1970ねん憎悪ぞうお表現ひょうげん(ヘイト・プロパガンダ)を刑法けいほう禁止きんしした[69]。ただし、正当せいとう言論げんろん自由じゆう制限せいげんしないための免責めんせき規定きていがあり、「真実しんじつせい証明しょうめいがある場合ばあい」「誠意せいいをもって宗教しゅうきょううえ題材だいざいかんする意見いけんべた場合ばあい」「公共こうきょう利益りえきのためになされた場合ばあい」「憎悪ぞうお感情かんじょう除去じょきょ目的もくてきとしていた場合ばあい」を免責めんせき条件じょうけんとしている[14]。ほかに連邦れんぽう人権じんけんほうがある[70]刑法けいほう319じょうとカナダ憲章けんしょうとの整合せいごうせいについては1990ねんのKeegstra事件じけん、また白人はくじん国家こっか主義しゅぎとなえるカナダナショナリストとう白人はくじん移民いみん排除はいじょなどをいたAndrews事件じけん訴訟そしょう合憲ごうけんとの判決はんけつされた[69]一方いっぽう、エルンスト・ツンデル事件じけんではホロコーストユダヤじん陰謀いんぼうとした内容ないようたいする刑法けいほう181じょうによる起訴きそではどうじょう過度かど広汎こうはんであり、適切てきせつ範囲はんいえた規制きせいであるとして憲法けんぽう違反いはんとの判決はんけつがだされた[69]。しかし、2012ねん人権じんけんほう13じょう制定せいていされたヘイトスピーチ規制きせい撤廃てっぱいされた[71]。これは2007ねん以降いこう職場しょくばでの軽口かるくちまで人権じんけん委員いいんかいうったえるケースが目立めだつようになったり、イスラム社会しゃかいたいする一般いっぱんてき批評ひひょうムハンマド風刺ふうしうったえられるようになり、言論げんろん統制とうせい危険きけんせいあらわわになったためである[72]
ラテンアメリカ
ジャマイカセントルシアはジェノサイドの唱道しょうどうまたは促進そくしん規制きせいアンティグア・バーブーダは「ジェノサイドをおこな共謀きょうぼうまた扇動せんどう」を禁止きんしガイアナは「その人権じんけん理由りゆうに、口中くちじゅう一部いちぶまた個人こじんたいして、敵意てきいまた悪意あくい故意こい扇動せんどうし、また扇動せんどうしようとしたもの」を規制きせいバハマは「民族みんぞく国籍こくせき人種じんしゅ、ジェンダー、性的せいてき志向しこう年齢ねんれい宗教しゅうきょうまた心身しんしん障害しょうがい根拠こんきょに、個人こじんまた集団しゅうだんたいして憎悪ぞうおまたは敵意てきい扇動せんどうしそうになること」を行政ぎょうせいはんとしている[73]
オーストラリア
2001ねんビクトリアしゅう人種じんしゅてき宗教しゅうきょうてき寛容かんようほう(Racial and Religious Tolerance Act 2001)[74]制定せいていされ、「人種じんしゅ(SECT 7)や宗教しゅうきょう(SECT 8)を理由りゆうに、ひと嫌悪けんお憎悪ぞうお侮蔑ぶべつ愚弄ぐろうする行為こういかかわること」がきんじられた。しかし名古屋大学なごやだいがく浅川あさがわ晃広あきひろによれば、オーストラリアで「表現ひょうげん自由じゆう」への萎縮いしゅく効果こうか問題もんだいする空気くうき社会しゃかいひろがっていて、はん人種じんしゅ差別さべつほう改正かいせい審議しんぎされており、「現行げんこうほうでは「差別さべつされた」と集団しゅうだん不快ふかいかんうったえるだけでヘイトスピーチとされ、改正かいせいあんでは一般いっぱん社会しゃかいてき名誉めいよ毀損きそん脅迫きょうはくたる表現ひょうげんのみがはん人種じんしゅ差別さべつほう対象たいしょうになる」とべた[72]
日本にっぽん
憲法けんぽう21じょう保障ほしょうする表現ひょうげん自由じゆうとのいもあり、憎悪ぞうお表現ひょうげん自体じたい取締とりしまり対象たいしょうとした一般いっぱんてき規制きせいおこなわれていないが、個々ここのヘイトスピーチ行為こういにより民法みんぽううえ不法ふほう行為こうい成立せいりつする場合ばあいは、このような行為こういおこなったもの損害そんがい賠償ばいしょう責任せきにん発生はっせいする[75]。このさい違法いほう差別さべつ該当がいとうするかかの判断はんだんにあたっては、憲法けんぽう14じょうおよび人種じんしゅ差別さべつ撤廃てっぱい条約じょうやく趣旨しゅし考慮こうりょされる[76]。さらに、差別さべつ行為こうい刑罰けいばつ法規ほうきれる場合ばあいは、違反いはんしゃ刑事けいじばつける[75]。なお、刑法けいほうでは特定とくてい人物じんぶつ特定とくてい団体だんたいたいする偏見へんけんもとづく差別さべつてき言動げんどうはしてき侮辱ぶじょくざい名誉めいよ毀損きそんざい実行じっこう行為こういたりうるが[77]抽象ちゅうしょうてき集団しゅうだん民族みんぞく国籍こくせき宗教しゅうきょう性的せいてき指向しこうとう)にたいするものについては該当がいとうしない場合ばあいもある[77]。また、一部いちぶ地方自治体ちほうじちたいではヘイトスピーチ条例じょうれい制定せいていされ、ヘイトスピーチにたいする刑事けいじばつ規定きていされている。
韓国かんこく
2017ねん現在げんざい韓国かんこく全土ぜんどでヘイトスピーチを明確めいかくまる法律ほうりつ存在そんざいしない[78]。2017ねん9がつソウル学校がっこうないにおいて学校がっこう経営けいえいしゃ設立せつりつしゃ教員きょういん生徒せいとおよ学生がくせいのヘイト表現ひょうげん禁止きんしする「ソウル特別とくべつ学生がくせい人権じんけん条例じょうれい一部いちぶ改正かいせいあん」を成立せいりつさせた。違反いはん罰則ばっそく規定きていはないが宗教しゅうきょう性別せいべつ出身しゅっしん性的せいてき志向しこう理由りゆういやがらせ、差別さべつ行為こういをした場合ばあい教育きょういく当局とうきょく積極せっきょくてき介入かいにゅう出来でき[79]

国連こくれん意見いけん表明ひょうめい

編集へんしゅう

これらは国連こくれん安保理あんぽりによる決議けつぎちが法的ほうてき拘束こうそくりょくはなく、国際こくさい機関きかんとしての意見いけん表明ひょうめいまる。

各国かっこく現状げんじょう

編集へんしゅう

日本にっぽん

編集へんしゅう

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくにおける論争ろんそう

編集へんしゅう

米国べいこくでは、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく憲法けんぽう修正しゅうせいだい1じょう信教しんきょう言論げんろん出版しゅっぱん集会しゅうかい自由じゆう請願せいがんけん保障ほしょう)「言論げんろんまたは報道ほうどう自由じゆう制限せいげんする法律ほうりつ、ならびに、市民しみん平穏へいおん集会しゅうかいしまた苦情くじょう処理しょりもとめて政府せいふたい請願せいがんする権利けんり侵害しんがいする法律ほうりつ制定せいていしてはならない」とさだめており、現在げんざい言論げんろん自由じゆう規制きせいするすべての法律ほうりつ原則げんそくとして憲法けんぽうじょうゆるされないとする建前たてまえをとる。思想しそう言論げんろん自由じゆうまもることとレイシズム悪影響あくえいきょうさえむことの価値かちのバランスをとることが自由じゆう民主みんしゅ主義しゅぎにとっての基本きほんてきなジレンマである[82]。また、言論げんろん自由じゆうとのジレンマのほかに、結社けっしゃ自由じゆうとのジレンマをげることができる[83]

「ヘイトスピーチ」とは、「人種じんしゅ宗教しゅうきょう、ジェンダーなどの要素ようそ起因きいんする憎悪ぞうお嫌悪けんお(hatred)の表現ひょうげん[84]すとされるが、その定義ていぎおよび法律ほうりつによる規制きせいについては、米国べいこくないではふるくから論争ろんそうがある(1920年代ねんだいにも問題もんだいになっている[16])。

言論げんろん表現ひょうげん自由じゆう規制きせい

編集へんしゅう

公共こうきょう秩序ちつじょかんする判例はんれい

編集へんしゅう

米国べいこくでは1930年代ねんだい集団しゅうだんてき名誉めいよ毀損きそん法案ほうあん提出ていしゅつされたが、支持しじはほとんどなく、成立せいりつしなかった[16]。1940ねんのCantwell事件じけん判決はんけつでは、エホバの証人しょうにん信者しんじゃカトリック教徒きょうとたいして攻撃こうげきてき内容ないようのレコードをながしたことが治安ちあん妨害ぼうがいざいわれたが、連邦れんぽう最高裁さいこうさい全員ぜんいん一致いっち表現ひょうげん自由じゆうによって保障ほしょうされるとし、レコードをながした行為こうい公共こうきょう秩序ちつじょにとって「明白めいはくかつ現在げんざい危機きき明白めいはくかつ現在げんざい危険きけん)をしょうじさせていない」と判断はんだんされた[16]

戦時せんじちゅうの「ファシスト」発言はつげん判例はんれい

編集へんしゅう

1942ねんニューハンプシャーしゅうロチェスターにおけるチャプリンスキー(Chaplinsky)事件じけんでは、前述ぜんじゅつおなじくエホバの証人しょうにん信者しんじゃが「すべての宗教しゅうきょう詐欺さぎである」というビラ配布はいふし、街路がいろ混乱こんらんしょうじた。さらにどう教団きょうだん信者しんじゃチャプリンスキーは、警察けいさつ事情じじょう聴取ちょうしゅで「ロチェスター当局とうきょくファシスト。ファシストの手先てさきだ」と警察けいさつ署長しょちょうめんかってべたため、逮捕たいほされた[16]

その、アメリカの連邦れんぽう最高さいこう裁判所さいばんしょ合衆国がっしゅうこく最高裁判所さいこうさいばんしょは、「言論げんろん自由じゆう権利けんりが、いかなるときつうじ、あらゆる事情じじょうのもとにおいても、絶対ぜったいてきであるとはかぎらない」「十分じゅうぶん定義付ていぎづけされ、せま限定げんていされているにしても、それを禁止きんし処罰しょばつしてもなん憲法けんぽううえ問題もんだい惹起じゃっきさせるとはけっしてかんがえられない言論げんろん存在そんざいする」として、「はっせられた言葉ことばによって精神せいしんてき傷害しょうがいしょうじさせ、あるいは即時そくじてき治安ちあん妨害ぼうがいこす傾向けいこうのある言葉ことば」を闘争とうそうてき言辞げんじとして定義ていぎし、「わいせつ表現ひょうげん侮辱ぶじょくてき名誉めいよ毀損きそんてき表現ひょうげん同様どうように、憲法けんぽうじょう保障ほしょう埒外らちがいにおかれる」とし、信者しんじゃの「ファシスト」発言はつげん有罪ゆうざい判決はんけつした[16]

反戦はんせん運動うんどうによる暴言ぼうげん闘争とうそうてき言辞げんじ法理ほうり衰退すいたい

編集へんしゅう

1970ねんには、ベトナム戦争せんそう反戦はんせん運動うんどうのポール・R・コーエンが、「Fuck the Draft」(徴兵ちょうへいくそくらえ)という上着うわぎをLAぐん裁判所さいばんしょない着用ちゃくようしたため、州法しゅうほう415じょうの「不快ふかい行為こうい(offensive conduct)」にたるとして逮捕たいほされ、有罪ゆうざい判決はんけつけた[16]

連邦れんぽう最高裁さいこうさいでは「Fuck the Draft」という言葉ことばについて「おおくのものにとって、この自由じゆう直接的ちょくせつてき結果けっかは、しばしばたんなる言葉ことばうえでの騒動そうどう不和ふわ不快ふかい言葉ことばとしてあらわれてくる。しかしながら、これらは…実際じっさいにはひらかれた討論とうろんのプロセスにより我々われわれ達成たっせいすることの出来できるより広大こうだい永続えいぞくてき価値かち必然ひつぜんてき副作用ふくさようである。時々ときどき雰囲気ふんいき不協和音ふきょうわおんたされているとおもわれることは、ある意味いみでは弱点じゃくてんのあらわれではなくて、長所ちょうしょのあらわれである」 とし、さらに「しゅうは、公開こうかい討論とうろん我々われわれあいだでもっとも神経質しんけいしつひとにとって文法ぶんぽうじょう心地ここちよいところへときれいにする権限けんげんゆうしていない」 「(Fuckのような)禁句きんくは、おそらくは部類ぶるいのものよりもこのまれないけれども、しかしながらあるひと下品げひんさがべつのひとの抒情詩じょじょうしということがしばしば真実しんじつとなるからである」 として、このような闘争とうそうてき言辞げんじ禁止きんしないと判示はんじし、「この最高裁さいこうさい判決はんけつにおいて、価値かちひく不快ふかい言葉ことばであるとしても、言葉ことば不快ふかいさを理由りゆうとして公開こうかい討論とうろんから排除はいじょすることは、憲法けんぽうじょう正当せいとうされない」とする判決はんけつされた[16]

また、1971ねんのGooding事件じけんではおなじくベトナム戦争せんそう反戦はんせん運動うんどう警官けいかんたいして「Son of a bitch,ころすぞ」と侮辱ぶじょくてきかつ攻撃こうげきてき発言はつげんびせたため、ジョージア州法しゅうほう(コード)S26-6303にもとづき逮捕たいほされ、ジョージアしゅう裁判所さいばんしょ有罪ゆうざいとなった[16]。その連邦れんぽう最高裁さいこうさいでは、「ジョージア州法しゅうほう(コード)S26-6303にたいして、法律ほうりつ慎重しんちょう保護ほごされない言論げんろんのみを処罰しょばつするように解釈かいしゃくしなければならず、保護ほごされる言論げんろん適用てきようされるべきではない」として、過度かど広汎こうはん表現ひょうげん規制きせいすることは憲法けんぽう違反いはんとの判決はんけつされた[16]警官けいかんたいする罵倒ばとうが「闘争とうそうてき言辞げんじ」に該当がいとうするかについては、該当がいとうしないとされ、この判例はんれいによって闘争とうそうてき言辞げんじ法理ほうり衰退すいたいした[16]

憎悪ぞうお表現ひょうげん規制きせい条例じょうれいかんする判例はんれい

編集へんしゅう

ネオナチ団体だんたいデモ規制きせいたいする違憲いけん判決はんけつ

編集へんしゅう

1977ねんイリノイしゅうスコーキーむらで、ネオナチ団体だんたいNSPAが公園こうえん集会しゅうかいひらこうとしたところ、公園こうえんがわ保証ほしょうきん35まんドルを要求ようきゅうし、団体だんたいはこの保証ほしょうきんたいして抗議こうぎデモ計画けいかくのビラを配布はいふした[1][16]。これに対抗たいこうするユダヤじん団体だんたい対抗たいこうデモを計画けいかくし、ユダヤけい住民じゅうみんがネオナチ団体だんたいへのデモ命令めいれい当局とうきょく要求ようきゅうし、むらではデモ保証ほしょうきん人種じんしゅてき憎悪ぞうお助長じょちょうする文書ぶんしょ配布はいふ軍事ぐんじてきふく着用ちゃくようしてのデモの禁止きんしの3つの条例じょうれい制定せいていした[1][16]。これを不服ふふくとしてネオナチ団体だんたいアメリカ自由じゆう人権じんけん協会きょうかい支援しえんをうけて提訴ていそし(アメリカ国家こっか社会党しゃかいとうたいスコーキーむら事件じけん)、イリノイしゅう最高裁さいこうさいハーケンクロイツ使用しよう表現ひょうげん自由じゆう象徴しょうちょうてき形態けいたいであり、平和へいわてきなデモにおけるハーケンクロイツ使用しようはそれをひと暴力ぼうりょくてき反応はんのうこしうるということを理由りゆうにすべて不可能ふかのうとはされえないと判決はんけつ、デモ禁止きんし条例じょうれい憲法けんぽう違反いはんとした[16]むら連邦れんぽう最高裁さいこうさい上訴じょうそしたが、受理じゅりされなかった[1]

イリノイ州法しゅうほう合憲ごうけん判例はんれい

編集へんしゅう

米国べいこくおおくの法廷ほうていでも、ヘイトスピーチを処罰しょばつする州法しゅうほう合憲ごうけんせいあらそわれたが、合憲ごうけんとされた州法しゅうほうと、「過度かど広範こうはん規制きせいさだめる」として違憲いけんとされた条例じょうれいとがある。

合憲ごうけんとされたれいとして、イリノイしゅう刑法けいほうかんする1952ねんのボアルネ事件じけんがある[1][85]。この事件じけんでは、イリノイしゅう集団しゅうだん誹謗ひぼうほうにおける、「人種じんしゅはだいろ信条しんじょうしくは宗教しゅうきょう理由りゆうとして、特定とくてい市民しみんかんする堕落だらく犯罪はんざい不純ふじゅんしくは道徳どうとく欠如けつじょえがく、あるいは特定とくてい市民しみん侮辱ぶじょく嘲笑ちょうしょうしくは中傷ちゅうしょうにさらす」表現ひょうげん行為こうい処罰しょばつする規定きていについて、連邦れんぽう最高裁さいこうさい合憲ごうけんせい争点そうてんとなった[86]

連邦れんぽう最高裁さいこうさい法廷ほうてい意見いけんは、どうほうは1917ねん6がつ29にち成立せいりつしたが、イリノイしゅう人種じんしゅ暴動ぼうどうにしばしば見舞みまわれ、集団しゅうだん誹謗ひぼう重大じゅうだい役割やくわりたした歴史れきしてき経緯けいいまえ、「このような歴史れきしてき事実じじつと、人種じんしゅてきおよび宗教しゅうきょうてきプロパガンダにしばしばともなうものをまえにしたとき(中略ちゅうりゃく)人種じんしゅてきおよび宗教しゅうきょうてき集団しゅうだんたいする悪質あくしつ名誉めいよ毀損きそん抑制よくせいするために、イリノイしゅう議会ぎかいがとった手段しゅだんに『正当せいとう理由りゆうがなかった』とはえないであろう。(言論げんろんおよび出版しゅっぱんの)自由じゆう行使こうしには限界げんかいがある。人種じんしゅてきまたは宗教しゅうきょうてき自尊心じそんしんもとづいて、あやまった信念しんねんつにいたったもの威圧いあつてき行動こうどうが、他者たしゃ自由じゆう行使こうしたいする平等びょうどう権利けんりうば目的もくてきで、暴力ぼうりょくこしたり、平穏へいおん破壊はかいしたりするであろうこのころ危険きけんは、すべてのものによくられている出来事できごとによって強調きょうちょうされる。そのように限界げんかいえて自由じゆう行使こうししたものを、しゅう適切てきせつなやりかたばっすることができる」[87]として、これを合憲ごうけんとした[注釈ちゅうしゃく 2]

KKKの儀式ぎしき行為こうい観点かんてん規制きせい法理ほうり

編集へんしゅう

クー・クラックス・クランによる十字架じゅうじか焼却しょうきゃく儀式ぎしきはかつて黒人こくじんリンチし、迫害はくがいした歴史れきし起因きいんする行為こういであり、たびたび裁判さいばん問題もんだいとなっている[1]

違憲いけんとされたれいとして、十字架じゅうじか焼却しょうきゃく犯罪はんざい行為こういとしたミネソタしゅうセントポール条例じょうれい違憲いけんせいわれたR.A.V.たいセントポール事件じけん(1992ねん)がある[1][16]。セントポール条例じょうれいは、「公共こうきょうてきまたは私的してき財産ざいさんうえに『人種じんしゅはだいろ信条しんじょう宗教しゅうきょう性別せいべつもとづいて、他者たしゃいかり・不安ふあんいきどおりをしょうぜしめる』とられている、またはそうられることに理由りゆうのあるシンボルなどを設置せっちしたもの処罰しょばつする」とさだめていたが、連邦れんぽう最高裁さいこうさいは、条例じょうれい中立ちゅうりつ規制きせいではないと判定はんてい[16]、「手段しゅだん必要ひつよう不可欠ふかけつなものでない、あるいは過度かど広範こうはんである」として、合衆国がっしゅうこく憲法けんぽう修正しゅうせいだい1じょう違反いはんし、条例じょうれい文面ぶんめんじょう無効むこうとした。また連邦れんぽう最高裁さいこうさいはこの条例じょうれいが、当局とうきょくによって「不快ふかい」と判断はんだんされた言葉ことば差別さべつてき規制きせいする観点かんてん規制きせい(viewpoint restriction)に該当がいとうするため、憲法けんぽう違反いはん判定はんていした[16]。さらに連邦れんぽう最高裁さいこうさいは、ヘイトスピーチのききて感情かんじょうてき影響えいきょうについて、差別さべつ集団しゅうだんぞくすることを理由りゆう攻撃こうげきけた被害ひがいしゃへのてき効果こうかであるとはいえないとし、セント・ポール主張しゅちょう退しりぞけた[16]

また、Virginia v. Black裁判さいばん(2003)では、黒人こくじん差別さべつ発言はつげんおこなうKKK集会しゅうかいにおける十字架じゅうじか焼却しょうきゃくについて、ヴァージニアしゅうはヴァージニア州法しゅうほう違反いはんとして、十字架じゅうじか焼却しょうきゃく不快ふかいであり、脅迫きょうはく行為こうい該当がいとう規制きせいできると主張しゅちょうした[89]しゅう最高裁さいこうさい州法しゅうほう観点かんてん規制きせいであり違憲いけん判決はんけつした[16]連邦れんぽう最高裁さいこうさい一部いちぶ合憲ごうけん一部いちぶ違憲いけんとしてもどすとともに、クー・クラックス・クランは白人はくじん至上しじょう主義しゅぎ擁護ようごするが、目的もくてき達成たっせい妨害ぼうがいするひとであれば白人はくじんをも攻撃こうげき対象たいしょうとしており、また、脅迫きょうはくする故意こいをともなった「しん脅迫きょうはく」を禁止きんしするヴァージニアしゅうが、特定とくていきらわれるトピックのひとつにむけられる言論げんろんのみを非難ひなんまととしてえらしていないことから連邦れんぽう憲法けんぽうだい1修正しゅうせいおよび先例せんれいであるR.A.V.判決はんけつはんしないと結論けつろんづけ、また州法しゅうほうの「一応いちおう証拠しょうこ(prima facie evidence)」の規定きていについ ては過度かど広汎こうはんせい理由りゆう文面ぶんめんじょう違憲いけん判断はんだんした[16]。オコナー判事はんじ喧嘩けんか言葉ことばや「しん脅迫きょうはく」は政府せいふによる規制きせい可能かのうべた[89]

この判決はんけつでは表現ひょうげん行為こういそのものの規制きせいについては合衆国がっしゅうこく憲法けんぽう修正しゅうせいだい1じょう違反いはんとしたものの(他人たにんおどしたり威嚇いかくしたりする)脅迫きょうはく目的もくてき利用りようした場合ばあい、この行為こうい処罰しょばつする箇所かしょ州法しゅうほう規定きてい憲法けんぽう違反いはんとはえないとした[89]

大学だいがくにおける規制きせい違憲いけん判決はんけつ

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スピーチコード

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アメリカの大学だいがくではヘイトスピーチを処罰しょばつするキャンパスコード、キャンパスポリシーを採用さいようするところもあったが、憲法けんぽう違反いはん判決はんけつがくだされることがほとんどである[16][90]

キャンパスヘイトスピーチコードは1986ねんから1987ねんにかけての人種じんしゅ主義しゅぎてきいやがらせ事件じけん多発たはつしたため大学だいがく制定せいていされるようになったが、こうした規制きせいについて各地かくち大学だいがく違憲いけん訴訟そしょうおこなわれた[91]。こうした規制きせいにはマリ・マツダ、チャールズ・ロレンスなど批判ひはんてき人種じんしゅ理論りろんしょうする法学ほうがく学説がくせつ影響えいきょうあたえた[91]批判ひはんてき人種じんしゅ理論りろんたいしてはナディン・ストロッセンらが批判ひはんした[91]

ミシガン大学だいがく事件じけんでは、ミシガン大学だいがく研究けんきゅうしゃ生物せいぶつがく研究けんきゅうを「せい差別さべつてき」であると制裁せいさいけることが危惧きぐされ、連邦れんぽう裁判所さいばんしょ判決はんけつでは大学だいがく規制きせいが、闘争とうそうてき言辞げんじ(fightingwords)、わいせつ表現ひょうげん名誉めいよとうそん範囲はんいでは憲法けんぽう問題もんだいしょうじないが、「伝達でんたつ意図いとされている意見いけんまたはメッセージに同意どういであることを理由りゆうに、一定いってい言論げんろん禁止きんしする効果こうかゆうするはん差別さべつ政策せいさくてること」は大学だいがくおこなってはならないこととした。また、不快ふかいという理由りゆうだけで言論げんろん禁止きんしすることも大学だいがくではできないとされた[91]。ミシガン大学だいがく規制きせい過度かど広汎こうはんなものであり、また 「汚名おめいせる(Stigmatize)」や 「苦痛くつうあたえる (victimize)」は正確せいかく定義ていぎができないため、範囲はんい限界げんかい保護ほごされる行為こういとそうでない行為こういとの区別くべつができないきわめて漠然ばくぜんなもので、デュー・プロセス条項じょうこう違反いはんするとして憲法けんぽう違反いはん判決はんけつされた[91]

ウィスコンシン大学だいがく事件じけんでは、人種じんしゅ主義しゅぎてき差別さべつてき表現ひょうげん行動こうどうをとった学生がくせい懲戒ちょうかいできるとする学内がくない規則きそくについて連邦れんぽう裁判所さいばんしょ判決はんけつでは、この規則きそく闘争とうそうてき言辞げんじ法理ほうり範囲はんい逸脱いつだつしたもので、また過度かど広汎こうはんなもので漠然ばくぜんとしているとして憲法けんぽう違反いはんとの判決はんけつされた[91]

セントラルミシガン大学だいがく事件じけんでも連邦れんぽう裁判所さいばんしょ判決はんけつは、大学だいがく規制きせい過度かど広汎こうはんなもので、また内容ないようおよび観点かんてん(ビューポイント)の規制きせいふくむもので、また「不快ふかい」であるとは主観しゅかんてき言及げんきゅう定義ていぎにふくむものであるため、憲法けんぽう違反いはんとの判決はんけつされた[91]

こうして、文言もんごん明確めいかくなコードで規制きせいされたとしても、主題しゅだいならびに観点かんてん差別さべつてき規制きせいにあたるとして憲法けんぽう違反いはんとの判決はんけつされてきた[91]

インターネットサイト

編集へんしゅう

インターネットKKKもと指導しどうしゃが1995ねん開設かいせつしたサイト・ストームフロント以来いらい人種じんしゅ主義しゅぎてきサイトが増加ぞうかし、ネオナチのナショナル・アライアンス、もとKKKの全米ぜんべい白人はくじん地位ちい向上こうじょう協会きょうかいはんユダヤ主義しゅぎ黒人こくじんのマイノリティをおとったどろ人形にんぎょうとみなすアイデンティティチャーチ運動うんどう、ザ・ワールド・チャーチ・オブ・クリエイター(WCOTC)といったサイトがアニー・カレルによって問題もんだいされた[92][93]

オーストラリアでは2002ねんのHagan事件じけんで「nigger」というサイトじょう表現ひょうげん連邦れんぽう裁判所さいばんしょでは合法ごうほうとされたが、国連こくれん人種じんしゅ差別さべつ撤廃てっぱい委員いいんかい削除さくじょ勧告かんこくした[94][95]。またドイツからの移民いみん研究けんきゅうしゃフレデリック・トーベン事件じけんではホロコースト否認ひにんかんする記載きさい削除さくじょするよう連邦れんぽう裁判所さいばんしょめいじた[94]

2015ねんには、YouTubeへの投稿とうこう動画どうがシンガポールリー・クアンユー批判ひはんした少年しょうねんが、ヘイトスピーチ規制きせいほう違反いはんでシンガポール警察けいさつ逮捕たいほされた[96]。この事件じけんではシンガポール当局とうきょくによるヘイトスピーチ規制きせいほう濫用らんよう指摘してきされている[97]

2016ねんFacebookTwitterYouTubeGoogleしゃ)、Microsoft欧州おうしゅう委員いいんかいのコードにしたがい、EU圏内けんないでのヘイトスピーチを24時間じかん以内いない削除さくじょすることで合意ごういした[98][99][100]

言及げんきゅう

編集へんしゅう

ミルドベリー大学だいがく教授きょうじゅのエリック・ブライシュは「はんマイノリティの発言はつげん標的ひょうてきにして精緻せいちつくられたほう制度せいどが、むしろ人種じんしゅてき宗教しゅうきょうてきマジョリティの支配しはい批判ひはんするマイノリティに適用てきようされてしまう、というものがある。(中略ちゅうりゃく)しかし、最悪さいあくのシナリオは、もっと可能かのうせいたかいシナリオというわけではない。」とし[101]、「どの程度ていど自由じゆうレイシストあたえるべきなのか。その最終さいしゅうてきこたえはこれである。歴史れきして、文脈ぶんみゃく影響えいきょう注意ちゅういせよ。原則げんそくげ、友人ゆうじん説得せっとくし、議員ぎいんうったえよ。そして、うまくつきあっていける価値かちバランスとともにあゆんでくのだ。」と結論けつろんした[102]

バード大学だいがく教授きょうじゅでジャーナリストのイアン・ブルマの意見いけん記事きじとしてヘイトスピーチの規制きせい間違まちがっていると主張しゅちょう、「法律ほうりつ特定とくてい意見いけん禁止きんしすることが賢明けんめいだろうか。特定とくてい意見いけん表明ひょうめいきんじても、その意見いけんはなくならない。水面すいめん表現ひょうげんされつづけ、さらに有害ゆうがいなものになる。中東ちゅうとうやほかの地域ちいきでテロの社会しゃかいてき政治せいじてき基盤きばんすものは、外国がいこくじん差別さべつてき言論げんろん公的こうてききんじただけでは、けっしてえない」とした[103]

ニューヨーク大学だいがくロースクール教授きょうじゅのジェレミー・ウォルドロンは、ヘイトスピーチをほう規制きせいする根拠こんきょは、不快ふかいかんからの保護ほごにあるのではなく、ひと尊厳そんげんきずつけられることから保護ほごすることにあるとした[104]

ジュディス・バトラーは「もしも憎悪ぞうお発話はつわがつねにまえからの引用いんようでしかないなら、その使用しようしゃはその責任せきにんをとる必要ひつようがないということなのか。(中略ちゅうりゃく)あらゆる言説げんせつ引用いんようであるという事実じじつは、言説げんせつたいする責任せきにんし、つよめるものだと主張しゅちょうしたい。憎悪ぞうお発話はつわをするひとは、憎悪ぞうお発話はつわをどう反復はんぷくしたかということにたいして、また憎悪ぞうお発話はつわにふたたび活力かつりょくあたえたということにたいして、また憎悪ぞうお中傷ちゅうしょう文脈ぶんみゃくをふたたびつくしたということにたいして、責任せきにんがある。」とべた[105]

イギリス営利えいり団体だんたいであるRights for Peaceは国際こくさい人権じんけんほうにおける「ヘイトスピーチ」の定義ていぎについては、コンセンサスがられていないとしている[106]。 また、たん攻撃こうげきてきであっても他人たにん危険きけんおよぼさない言論げんろんは、一般いっぱんてき人権じんけん侵害しんがいとはみなされない、としながらも、ヘイトスピーチが人種じんしゅ宗教しゅうきょう民族みんぞく、その要素ようそによって定義ていぎされた個人こじんやグループにたいする差別さべつ敵意てきい暴力ぼうりょく誘発ゆうはつする場合ばあい人権じんけん侵害しんがいになるとしている[106]。 さらに、ヘイトスピーチは通常つうじょう社会しゃかいにおける「他者たしゃ」を対象たいしょうにするとし、これはマイノリティグループを「他者たしゃ」することによって顕在けんざいされる[注釈ちゅうしゃく 3]、とべている[106]

師岡もろおか康子やすこ弁護士べんごしはヘイトスピーチの「中核ちゅうかくにある本質ほんしつてき部分ぶぶんは、マイノリティにたいする『差別さべつ敵意てきいまた暴力ぼうりょく煽動せんどう』(自由じゆうけん規約きやくニ○じょう)、『差別さべつのあらゆる煽動せんどう』(人種じんしゅ差別さべつ撤廃てっぱい条約じょうやく四条しじょう本文ほんぶん)であり、表現ひょうげんによる暴力ぼうりょく攻撃こうげき迫害はくがいである」[107] としている[注釈ちゅうしゃく 4]

外務省がいむしょう総合そうごう外交がいこう政策せいさくきょく国連こくれん企画きかく調整ちょうせい主査しゅさ野口のぐちゆう佑美ゆみは、おおくの国々くにぐに批准ひじゅんする国際こくさい人権じんけん条約じょうやくである「市民しみんてきおよ政治せいじてき権利けんりかんする国際こくさい規約きやくだいじょうだいいちこうおよだいじゅうじょうだいこう、また、「あらゆる形態けいたい人種じんしゅ差別さべつ撤廃てっぱいかんする国際こくさい条約じょうやくだいよんじょうから、「ヘイトスピーチとは、人種じんしゅ皮膚ひふいろせい言語げんご宗教しゅうきょう政治せいじてき意見いけんその意見いけん国民こくみんてきしくは社会しゃかいてき出身しゅっしん財産ざいさん出生しゅっしょうとう一定いってい属性ぞくせいもとづいて、特定とくてい個人こじんあるいは集団しゅうだんたい憎悪ぞうおてきまた差別さべつてき言論げんろんおこなうこと、またその差別さべつ助長じょちょう扇動せんどう唱道しょうどうする言論げんろんすという、各国かっこくいちおう共通きょうつう理解りかい」がみちびせるとしている[110]

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 喧嘩けんか言葉ことば(Fighting words)はくちすだけで治安ちあん紊乱びんらんあお言論げんろん米国べいこくのケースでは「言葉ことば自体じたい侵害しんがいあたえ、あるいは平和へいわ破壊はかい即座そくざこす傾向けいこうにある表現ひょうげん」をし、連邦れんぽう最高裁さいこうさい先例せんれいのなかでは「わいせつ名誉めいよ毀損きそんならんで表現ひょうげん規制きせいゆるされるとされる表現ひょうげん領域りょういき」とされる[14]。この解釈かいしゃくは1942ねんen:Chaplinsky v. New Hampshire連邦れんぽう最高裁さいこうさい判決はんけつ確立かくりつしており、「すくなくとも個人こじんたいしてはっせられた中傷ちゅうしょうについては表現ひょうげん自由じゆう枠外わくがいとして」条例じょうれい規制きせいすることを合憲ごうけんとした(明戸あけと隆浩たかひろ.2014.P.29)。一方いっぽうでヘイトスピーチをふく扇動せんどうとの区別くべつ複雑ふくざつ微妙びみょうであり、たとえば「ユダヤじんころせ」などとあおり、破壊はかい行為こういしょうじさせた1946ねん事件じけんでは、シカゴ起訴きそ、100ドルの罰金ばっきんけいとし、上訴じょうそ裁判所さいばんしょしゅう裁判所さいばんしょ支持しじしたが連邦れんぽう最高裁さいこうさいは5たい4で破棄はきした[15]
  2. ^ なお、このフランクファーター判事はんじによる法廷ほうてい意見いけんについて、表現ひょうげん自由じゆう保障ほしょう観点かんてんから、反対はんたい意見いけん記述きじゅつされている。くわしくは[88]
  3. ^ えい:manifested
  4. ^ 自由じゆうけん規約きやくじゅうじょう[108]人種じんしゅ差別さべつ撤廃てっぱい条約じょうやくよんじょう[109] でminorityという表現ひょうげんもちいられていない。

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参考さんこう文献ぶんけん

編集へんしゅう
単行本たんこうぼん
雑誌ざっし論文ろんぶん
ウェブサイト

関連かんれん文献ぶんけん

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  • 清原きよはらゆう へん『レイシズムをかんがえる』共和きょうわこく、2021ねん5がつISBN 9784907986384 
  • 前田まえだあきら『ヘイト・スピーチほう研究けんきゅう要綱ようこうはん差別さべつ刑法けいほうがくさんいち書房しょぼう、2021ねん10がつISBN 9784380210051 
  • 和泉いずみゆうわる言語げんご哲学てつがく入門にゅうもん筑摩書房ちくましょぼうちくま新書しんしょ1634〉、2022ねん2がつISBN 9784480074553 
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