ボカロ (音楽おんがくジャンル)

ボカロとは、ヤマハが開発かいはつした音声おんせい技術ぎじゅつ「VOCALOID」、及および同どう技術ぎじゅつを応用おうようしたソフトウェアで製作せいさくされた楽曲がっきょく（VOCALOID曲きょく、ボーカロイド曲きょく、ボカロ曲きょく）の総称そうしょう。このジャンルを音楽おんがくシーンに築きずいたのはクリプトン社しゃの「初はつ音おとミク」とされる。ボカロ曲きょくを制作せいさくする音楽家おんがくかはボカロPと呼よばれる。

ボカロ
様式ようしき的てき起源きげん	ポピュラー音楽おんがく、J-POP、ロック、アニソン、エレクトロスウィング、ヒップホップ、ゲームミュージック、ダンスロック、EDM等ひとし
文化ぶんか的てき起源きげん	2000年代ねんだい、2010年代ねんだい 日本にっぽん
使用しよう楽器がっき	DTM 音声おんせい合成ごうせいソフト ボーカル ギター ベース ドラムセット シンセサイザー キーボード
サブジャンル
ボカロック、夜よる好このみ性せい など
融合ゆうごうジャンル
ミクノポップ、VOCAROCK、ミックホップ、ポストミック
関連かんれん項目こうもく
VOCALOID、歌うたってみた、ニコニコ動画どうが、YouTube

概要がいよう

音楽おんがくジャンルの一ひとつである「ボーカロイド曲きょく」は、狭義きょうぎでは株式会社かぶしきがいしゃヤマハが開発かいはつした歌声うたごえ合成ごうせい技術ぎじゅつと、応用おうようソフトウェア「VOCALOID」を使用しようした楽曲がっきょく全般ぜんぱんのことを指さす表現ひょうげんである。一方いっぽう広義こうぎには「VOCALOID」だけでなく、「UTAU」「CeVIO」「Synthesizer V」「NEUTRINO」などの他社たしゃ製せい音声おんせい合成ごうせいソフトを使用しようした楽曲がっきょく全般ぜんぱんも含ふくめて「ボカロ曲きょく」と呼よばれることがあり、商標しょうひょうの普通ふつう名称めいしょう化かが進すすんでいる。

ボーカロイド文化ぶんかはクリプトン社しゃの「初はつ音おとミク」の登場とうじょうによって誕生たんじょうし、ミクの歌声うたごえと共ともに日本にっぽんの音楽おんがくシーンにジャンルが築きずかれていったとされている（→#歴史れきし、初はつ音おとミク#初はつ音おとミク現象げんしょう・影響えいきょう）。

ボーカロイド曲きょくは、通称つうしょう「UGC」と称しょうされる「自主じしゅ制作せいさくコンテンツ」の文化ぶんかを生うみ出だした存在そんざいとして知しられ、ニコニコ動画どうがやYouTube上じょうで多数たすうアップロードされて人気にんきコンテンツの一ひとつとなっている。ニコニコ動画どうがでは、VOCALOIDを使用しようしたオリジナル曲きょくに対たいして、再生さいせい回数かいすうが10万まん回かいを突破とっぱしたものには「VOCALOID殿堂でんどう入いり」、100万まん回かいを突破とっぱしたものには「VOCALOID伝説でんせつ入いり」、1000万まん回かい突破とっぱしたものには「VOCALOID神話しんわ入いり」のタグが付つけられる。

歴史れきし

VOCALOID開発かいはつから初音はつねミクの登場とうじょう前まえ

初はつ音おとミクより前まえのボーカロイド達たちは「現象げんしょう」を起おこすことが出来できず、仮かりにミクが成功せいこうしていなかった場合ばあいは売上うりあげ不振ふしんにより歴史れきしを終おえていた可能かのう性せいもあったと言いわれている。

2000年ねん当時とうじ、打うち込こみ音源おんげんで唯一ゆいいつ表あらわすことができなかった「歌声うたごえ」を音源おんげんとして表現ひょうげんできるものを目指めざして剣持けんもち秀紀ひできとバルセロナのポンペウ・ファブラ大学だいがくの共同きょうどう開発かいはつが始はじまった。

2004年ねんには最初さいしょのバージョンが出来上できあがり、クリプトン社しゃからVOCALOID技術ぎじゅつを紹介しょうかいされたZERO-G社しゃにより同年どうねん3月がつに男声だんせいの「LEON」と女声じょせいの「LOLA」として発売はつばいされたが、商業しょうぎょう的てきには失敗しっぱいした（LOLAは平沢ひらさわ進すすむがアルバム『白虎びゃっこ野の』や『パプリカ オリジナルサウンドトラック』、2005年ねん以降いこうのライブ等とうにて使用しようしている）。

2004年ねん11月、ZERO-G社しゃの反省はんせいを踏ふまえて日本にっぽん初はつのVOCALOIDである女声じょせいの「MEIKO」がクリプトン社しゃから発売はつばいされ、3000本ほんほどの売上うりあげを達成たっせいし、大だいヒットを記録きろくした。しかし、2006年ねん2月がつ発売はつばいの男声だんせいのVOCALOID「KAITO」は500本ほんしか売うれず、商業しょうぎょう的てきには失敗しっぱいした。

この時期じきにはmuzieなどの音楽おんがく配信はいしんサイトにMEIKOの楽曲がっきょくが投稿とうこうされることはあったが、「ボカロシーン」と称しょうされるものや多数たすうのリスナーの存在そんざいはなかった。これには2006年ねん12月にサービスを開始かいししたニコニコ動画どうがなどの存在そんざいがなかったことも影響えいきょうしていると考かんがえられている。

初はつ音おとミクの登場とうじょう〜初はつ音おとミク現象げんしょう

詳細しょうさいは「初はつ音おとミク#初はつ音おとミク現象げんしょう・影響えいきょう」および「初はつ音おとミク#企画きかくの成なり立たち」を参照さんしょう

2007年ねん8月がつ31日にちに発売はつばいされたクリプトン社しゃの「VOCALOID2 初はつ音おとミク」の登場とうじょうからボカロ業界ぎょうかいが動うごき出だしたとされている。

初はつ音おとミクはクリプトン社しゃによる“合成ごうせい音声おんせいを仮想かそうの少女しょうじょに歌うたわせる（架空かくうのキャラクターが歌うたう）”イメージを推おし出だしたソフトで、当時とうじのVOCALOIDの売上うりあげ不振ふしん・YAMAHA側がわの開発かいはつ規模きぼの縮小しゅくしょうによりVOCALOIDシリーズの断絶だんぜつの危機ききにあった中なか、初動しょどうから想定そうてい以上いじょうの大だいヒット。初音はつねミクは音楽おんがくという枠わくに留とまらず様々さまざまなメディアミックスで快かい進撃しんげきを続つづけた。 2022年ねん-23年ねん頃ごろにはミクは「音楽おんがく革命かくめい」（変革へんかく）をもたらしたとも回顧かいこされるほど、音楽おんがく業界ぎょうかいに大おおきな影響えいきょうを与あたえていくことになる。

2007年ねん9月がつ3日にち投稿とうこうの動画どうが『初音はつねミクが来こないのでスネています』の投稿とうこう者しゃがアイドルマスター文化ぶんかの影響えいきょうで「ワンカップP」と命名めいめいされたことからボカロ曲きょくなどを製作せいさくする人ひとを指さす言葉ことば「ボカロP」という言葉ことばも生うまれた。当時とうじ、公式こうしきイラストが3枚まいしかなかったが、2007年ねん9月4日にちにはOtomaniaによって『VOCALOID2 初音はつねミクに『Ievan Polkka』を歌うたわせてみた』が投稿とうこうされ、初はつ音おとミクをデフォルメした二に次じ創作そうさくキャラクター「はちゅねミク」が創作そうさくされるなど、音楽おんがくに付随ふずいする要素ようその創作そうさくも進すすめられた。

また、2007年ねん9月がつ13日にちに投稿とうこうされたOSTER projectの『恋こいスルVOC@LOID』、同年どうねん9月がつ20日はつかに投稿とうこうされたika_mo（鶴田つるた加茂かも）の楽曲がっきょく『みくみくにしてあげる♪【してやんよ】』、同年どうねん9月がつ25日にちに投稿とうこうされた『Packaged』、2007年ねん10月がつ5日にちに投稿とうこうされた『celluloid』などの楽曲がっきょくを筆頭ひっとうに、VOCALOIDとしての「初音はつねミク」に焦点しょうてんを当あてた楽曲がっきょくが数多かずおおく投稿とうこうされた。また、当時とうじは「ボカロ」というカテゴリがニコニコ動画どうがに存在そんざいしていなかったことから「演奏えんそうしてみた」などのカテゴリでボカロ曲きょくを投稿とうこうしていた人ひとが多おおかった。

この頃ころ、初はつ音おとミクの歌うたは恋愛れんあいソングが多おおく、次第しだいにコメントを通とおして作つくり手しゅと受うけ手ての間あいだで広ひろまりを見みせていった。また鮎川あいかわぱては、初はつ音おとミク発売はつばい後ご1年ねんほどは「萌もえカルチャー」としてのボカロ曲きょくが多おおかったと語かたっている。

2007年ねん12月3日にち、初はつ音おとミクの権利けんり元もと「クリプトン・フューチャー・メディア」はコンテンツ投稿とうこうサイト「ピアプロ」を開設かいせつし、「キャラクター利用りようのガイドライン」を発表はっぴょうした。以降いこう、非ひ営利えいりの個人こじんがキャラクターとしての初はつ音おとミクを自由じゆうに利用りようできるようになり、「ピアプロ」を通とおしてのクリエイター間あいだでの結むすびつきが強つよまり、初はつ音おとミク関連かんれんの創作そうさく活動かつどうが活発かっぱつ化かした。また、2007年ねん11月から始はじまった即売そくばい会かい「THE VOC@LOiD M@STER」（通称つうしょう: ボーマス）は、ボカロPによる同人どうじん音楽おんがくCDの頒布はんぷなどが実施じっしされる交流こうりゅうの場ばとして定着ていちゃくした。

メルトショック〜キャラクターソングから一ひとつの音楽おんがくジャンルへ

「初はつ音おとミク#メルトショック」も参照さんしょう

2007年ねん12月7日にち発表はっぴょうのryoのボーカロイド曲きょく『メルト』は「VOCALOIDとしての初はつ音おとミク」でなく、「1人ひとりの少女しょうじょとしての初はつ音おとミク」を映うつし出だした楽曲がっきょくとなり、以降いこう、VOCALOIDではない「一人ひとりの個人こじんとしてのVOCALOID」を描えがく楽曲がっきょくも誕生たんじょうしていった。『メルト』の誕生たんじょうは「歌うたってみた」のブームを巻まき起おこし、生身なまみの人間にんげん歌手かしゅ(歌うたい手て)が歌うたってもボカロ曲きょくと呼よびニコニコ動画どうが上じょうの「ボカロ」タグを貼はる様ようになった。

一方いっぽうの初はつ音おとミクにとってもバーチャルシンガーとして広ひろく受うけ入いれられ、役割やくわりを大おおきく広ひろげるきっかけとなった。そして初はつ音おとミクが発売はつばいされてから1年ねんを過すぎた頃ころからボカロ曲きょくのリスナーの男女だんじょ比ひが1対たい1となり、次第しだいに「萌もえカルチャー」としてのボカロ曲きょくから「音楽おんがくジャンル」としての初はつ音おとミクへと変化へんかしていく。

2008年ねん4月がつに投稿とうこうされたcosMo@暴走ぼうそうPの楽曲がっきょく『初はつ音おとミクの消失しょうしつ』などの「ボカロならでは」の音楽おんがくも数多かずおおく製作せいさくされていた中なかでVOCALOIDソフトを利用りようしたことによる音楽おんがく上じょうの発見はっけんがなされ「早口はやくちで棒読ぼうよみな歌唱かしょう」「人間にんげんでは難かたい広こう音域おんいき」などを用もちいた楽曲がっきょくや「初音はつねミクのネギを振ふるったイエヴァン・ポルッカに似にた曲調きょくちょうの楽曲がっきょく」等とうは新あたらしい音楽おんがくジャンルとして認識にんしきされはじめる。2008年ねんの中頃なかごろにはポップスや打うち込こみサウンドを主流しゅりゅうとしていたボカロ曲きょくに、バンド出身しゅっしん者しゃによるロックが参入さんにゅうしてくる、いわゆる「VOCAROCK」が隆盛りゅうせいしたとされている。164の初はつ投稿とうこう作さく『shiningray』、DECO*27の初はつ投稿とうこう作さく『僕ぼくみたいな君きみ 君くんみたいな僕ぼく』、OneRoom（ジミーサムP）の楽曲がっきょく『Scene』などがその代表だいひょう例れいとされている。またこの時期じきには、現代げんだい音楽おんがくやブレイクコアを取とり入いれたもの（Treow）、プログレッシブ・ロックの影響えいきょうを受うけたもの（sasakure.UK）など、先鋭せんえい的てきな作風さくふうでのヒットも見みられるようになった。

2008年ねん8月がつ27日にちにはlivetune feat.初音はつねミク『Re:package』が初はつのメジャーで流通りゅうつうしたボカロアルバムとなった。同どう時期じきに、ニンテンドーDSiのソフト『うごくメモ帳ちょう』のサービスが開始かいしし、ボカロ曲きょくのカラオケが本格ほんかく的てきに始はじまったことがボカロ曲きょくの流行りゅうこうにも影響えいきょうを与あたえたとされている。

2009年ねん5月がつにデビューしたwowakaやハチ（米津よねつ玄げん師し）などを筆頭ひっとうに、この頃ころから「VOCALOIDであること」に焦点しょうてんを当あてた作品さくひんだけでなく、後のちに「VOCALOIDっぽい」と認識にんしきされることになるような作風さくふうを持もつ楽曲がっきょくも多数たすう生うまれてきた。その特徴とくちょうとしては、wowakaの『裏表うらおもてラバーズ』でのBPM159・16分ふん音符おんぷの早口はやくち歌唱かしょうや、ハチの楽曲がっきょくにおける特徴とくちょう的てきな音階おんかい（『Persona Alice』のブルー・ノート・スケール、『結ゆいンデ開ひらけイテ羅刹らせつト骸むくろ』のメロディック・マイナー・スケール）の採用さいようが挙あげられる。また「サビで転調てんちょうする」歌うたが多おおく見みられるようになったのもこの時期じきだとされており、この特徴とくちょうは後のちに「2010年ねんの3大だいヒットボカロ曲きょく」と形容けいようされるwowakaの『ワールズエンド・ダンスホール』、DECO*27の『モザイクロール』、ハチの『マトリョシカ』などの楽曲がっきょくにも見みられる。このほかトーマは2011年ねん5月がつの『バビロン』において、ポスト・ハードコア的てきな過剰かじょう性せい・複雑ふくざつ性せいを取とり入いれている。

また、2009年ねん頃ごろから当時とうじの若年じゃくねん層そうがボーカロイド曲きょくを耳みみにし始はじめたとされている。2009年ねんにはJOYSOUNDのカラオケランキングで『メルト』がランクイン、2010年ねんにはトップ10曲きょく中ちゅうの5曲きょくがボーカロイド曲きょくとなる程ほどの人気にんきを博はくした。カラオケ「JOYSOUND×UGA」では、2011年ねんのVOCALOIDの演奏えんそう回数かいすうは前年ぜんねんの1.7倍ばいに達たっし、徐々じょじょにボカロ曲きょくが裾野すそのを広ひろげていったことが窺うかがえる。同年どうねんから2012年ねんごろにかけてはメディアを通とおしてボカロ曲きょくが世間せけんに広ひろまっていった時期じきとされており、たとえば2011年ねん9月がつ17日にちにニコニコ動画どうが上じょうに投稿とうこうされた黒くろうさPの楽曲がっきょく『千本せんぼん桜さくら』は、カラオケなどを介かいして広ひろく伝搬でんぱんしていった。

この間あいだ、後ごのwowakaやハチの活動かつどう停止ていしを受うけて、2011年ねんから彼かれらの影響えいきょうを受うけたと考かんがえられている楽曲がっきょくも多数たすう登場とうじょうした。例たとえば、2011年ねん11月からボカロPとしての活動かつどうを開始かいししたkemuのデビュー曲きょく『人生じんせいリセットボタン』はBPM200という速はやいテンポに16分ふん音符おんぷを使用しようしたロック音楽おんがくとなっている。2013年ねん3月がつに投稿とうこうされた日向ひなた電工でんこうのヒット曲きょく『ブリキノダンス』には16分ふん音符おんぷの早口はやくち歌唱かしょうを始はじめとした、wowakaの影響えいきょうを受うけたと考かんがえられるような特徴とくちょうも数多かずおおく見受みうけられる。

2012年ねん頃ごろには『カゲロウプロジェクト』に代表だいひょうされる「プロジェクト系けい」の進行しんこうが見みられた。他ほかにも椎名しいなもたの楽曲がっきょく『ストロボラスト』はJust the Two of Us進行しんこうとリリースカットピアノを共ともに用もちいるという新あらたな音楽おんがくジャンルを切きり開ひらいた。「リリースカットピアノ」は、2012年ねんに投稿とうこうされたlumoの楽曲がっきょく『逃避とうひケア』、2013年ねんに投稿とうこうされた150Pの楽曲がっきょく『孤独こどくノ隠かくれレンボ』、2013年ねんにスズム名義めいぎで投稿とうこうされた楽曲がっきょく『世界せかい寿命じゅみょうと最後さいごの一いち日にち』、2014年ねんに投稿とうこうされたまふまふの楽曲がっきょく『戯曲ぎきょくとデフォルメ都市とし』などにみられ、2016年ねん以降いこうのボーカロイド曲きょくにも影響えいきょうを与あたえた。

ポップスの流行りゅうこう

2013年ねん中頃なかごろにkemuとトーマの活動かつどうが一時いちじ的てきに中断ちゅうだんされ、『カゲロウプロジェクト』のメディア展開てんかいも一旦いったん完結かんけつした。プロジェクト系けいの衰退すいたいがみられたこの時期じきは、ボカロ史しにおいては「衰退すいたい期き」「焼やけ野原のはら」と呼よばれている。ボカロ業界ぎょうかいが「焼やけ野原のはら」になったことに伴ともなって、高速こうそくを特徴とくちょうとしたロック風ふうの楽曲がっきょくからポップス風ふうの楽曲がっきょくが流行りゅうこうした。この頃ころに流行りゅうこうした曲きょくとしてスズム名義めいぎで投稿とうこうされた楽曲がっきょく『世界せかい寿命じゅみょうと最後さいごの一いち日にち』、TOKOTOKO（西沢にしざわさんP）の楽曲がっきょく『夜よもすがら君きみ想そうふ』、ユジーの『ミルクラウン・オン・ソーネチカ』、想そう太ふとしの『いかないで』、n-bunaの『ウミユリ海底かいてい譚たん』や『夜明よあけと蛍ぼたる』、Orangestarの『イヤホンと蝉時雨せみしぐれ』や『アスノヨゾラ哨戒しょうかい班はん』などが挙あげられる。HoneyWorks、とあ、40mPなどのボカロPも同どう時代じだいに活動かつどうしている。これは、高速こうそくロックの流行りゅうこうが落おち着ついたことに伴ともなってポップスが表面ひょうめん化かしたことが関係かんけいしていると考かんがえられている。2014年ねんにはニコニコ動画どうがにおいて海外かいがいPとしては初はじめてミリオンを達成たっせいしたCrusher-Pの『ECHO』が投稿とうこうされている。

2014年ねんのJOYSOUNDカラオケ年代ねんだい別べつランキングでは10代のトップ20のランキングで、20曲きょく中ちゅう11曲きょくがボカロ曲きょくであるという結果けっかとなった。同どうランキングにおいて40代だいの第だい5位いにランクインした『千本せんぼん桜さくら』は、2015年ねんに小林こばやし幸子さちこが紅白こうはく歌合戦うたがっせんにおいて歌唱かしょうしている。

その一方いっぽうで、中国ちゅうごくでは2012年ねん頃ごろより「VOCALOID CHINA PROJECT(現げん・Vsinger)」の洛らく天てん依よを始はじめとした中国ちゅうごく語ごVOCALOIDにより、Bilibiliで独自どくじの文化ぶんかを形成けいせいしていくことになる。

「衰退すいたい期き」を超こえて

前述ぜんじゅつの「焼やけ野原のはら」の時代じだいとポップスの時代じだいを超こえて、2016年ねん1月がつにDECO*27が楽曲がっきょく『ゴーストルール』を投稿とうこうし、その後ご、2016年ねん4月がつに投稿とうこうされたナユタン星ほし人じんの楽曲がっきょく『エイリアンエイリアン』、Neruの『脱法だつほうロック』、和田わだたけあきの『チュルリラ・チュルリラ・ダッダッダ!』、有機ゆうき酸さん（神山かみやま羊ひつじ）の『lili.』などが人気にんきを集あつめ、再ふたたび勢いきおいが盛さかんになった。この時期じきにはコンピレーションアルバムシリーズ『ドンツーミュージック』や『モノカラーガールスーパーノヴァ』に代表だいひょうされるようなダンスロックの流行りゅうこうが見みられた。

同年どうねん9月がつにぬゆりが発表はっぴょうした『フラジール』は、エレクトロスウィングや、音おとがスパッと切きれることが特徴とくちょうとなっている「リリースカットピアノ」の流行りゅうこうに寄与きよした。また、『フラジール』は同年どうねん10月がつに有機ゆうき酸さん（神山かみやま羊ひつじ）が投稿とうこうした『lili.』とともに「エレクトロニックミュージック」の枠組わくぐみで語かたられることもある。また、バルーン、ぬゆり、有機ゆうき酸さんなどのボカロPのヒット曲きょくで「v flower」が使用しようされたのもこの時期じきである。同年どうねん10月がつにはバルーン（須田すだ景けい凪なぎ）が『シャルル』のボカロバージョンを投稿とうこうした数日すうじつ後ごに自みずから『シャルル』を歌うたったセルフカバーのミュージックビデオを発表はっぴょうしたことからボカロP自身じしんがボカロ曲きょくを歌うたうことも増加ぞうかしたと和田わだたけあきは話はなしている。これらの楽曲がっきょくには前述ぜんじゅつのJust the Two of Us進行しんこうが使用しようされているという共通きょうつう点てんがある。同どう時代じだいの邦楽ほうがくの場合ばあい、この進行しんこうはネオ・シティポップ、Kawaii Future Bassなどで使用しようされており、R Sound Designの「帝国ていこく少女しょうじょ」はこの流ながれを汲くんでいるといえる。

初はつ音おとミク10周年しゅうねんとYouTubeの台頭たいとう

2017年ねんには、wowakaなどからの影響えいきょうを受うけて独自どくじのメタル的てきなフレーズと特徴とくちょう的てきな音色ねいろの合成ごうせいを多用たようした楽曲がっきょくを製作せいさくしたボカロPのMARETUが同年どうねんに投稿とうこうした楽曲がっきょく4曲きょく全すべてで100万まん回かい再生さいせいを記録きろくした。また、kemuの影響えいきょうを受うけた後のちにシンセを排はいした独自どくじの音楽おんがく路線ろせんに転向てんこうしたかいりきベアもヒット曲きょくを叩たたき出だした。同年どうねん12月がつ投稿とうこうのツミキの『トウキョウダイバアフェイクショウ』がヒットを記録きろくするなど、リリースカットピアノや200を超こえる高こうBPMを特徴とくちょうした楽曲がっきょくの流行りゅうこうも見みられた。

2017年ねんは初はつ音おとミク10周年しゅうねんを迎むかえ、wowaka、kemu、ハチなどのボカロPの楽曲がっきょくが久ひさしぶりに投稿とうこうされた。。例たとえば、wowakaは楽曲がっきょく『アンノウン・マザーグース』でヒットを叩たたき出だし、初はつ音おとミク10周年しゅうねんを記念きねんした「初はつ音おとミク「マジカルミライ 2017」」のテーマソングであるハチの楽曲がっきょく『砂すなの惑星わくせい』は歴代れきだい最速さいそくでニコニコ動画どうがに投稿とうこうされたボーカロイド曲きょくとしてミリオン再生さいせいを記録きろくした。なお「砂すなの惑星わくせい」は2016年ねん当時とうじのボカロシーンを風刺ふうししたものと言いわれており、後のちにナユタン星ほし人じんやsyudouらがアンサーソングを発表はっぴょうした。 ヒット楽曲がっきょくの主要しゅような投稿とうこう先さきが、ニコニコ動画どうがだけでなくYouTubeに移行いこうしたのも2017年ねんとされており、その先駆さきがけの一ひとつとされているカンザキイオリの楽曲がっきょく『命いのちに嫌きらわれている。』がYouTube上じょうに投稿とうこうされたのもこの時期じきである。この楽曲がっきょくのまふまふによる「歌うたってみた」動画どうがは現在げんざいYouTubeで1億おく回かい再生さいせいを突破とっぱしている。この頃ころから、YouTube上じょうでの活動かつどうに際さいして、こんにちは谷田たにださん（キタニタツヤ）、しーくん（seeeeecun）、有機ゆうき酸さん（神山かみやま羊ひつじ）、MI8k（YUUKI MIYAKE）、mao sasagawa（笹川ささかわ真生まさお）、はるまきごはん、Eve（歌うたい手てとしても活動かつどうしていた）などに代表だいひょうされる、ボーカロイド曲きょくのセルフカバーを投稿とうこうしてシンガーソングライターデビューを果はたすという流ながれが本格ほんかく化かした。また、「和わ」の雰囲気ふんいきの楽曲がっきょくを作つくる羽生はぶまゐごや一いち二に三さん、その逆ぎゃくに洋楽ようがくに影響えいきょうされたGuianoなどが登場とうじょうしている。

2018年ねん2月がつにはみきとPの楽曲がっきょく『ロキ』が投稿とうこうされ、同年どうねん12月がつの「YouTube FanFest」でVTuberのキズナアイとミライアカリがmajikoとともに『ロキ』を熱唱ねっしょうするなどの展開てんかいを見みせた。2018年ねん10月がつには煮にル果実かじつの楽曲がっきょく『紗しゃ痲』が、2019年ねん2月がつにはBPM69という低速ていそくの楽曲がっきょくとなった煮にル果実かじつの楽曲がっきょく『ヲズワルド』がヒットした。2019年ねん1月がつにはエレクトロニックミュージックやJust the Two of Us進行しんこうの流ながれを組くんだsyudouの楽曲がっきょく『ビターチョコデコレーション』がヒットを記録きろくするなどの現象げんしょうも起おこった。煮にル果実かじつとsyudouに代表だいひょうされるトラップとヒップホップの流ながれは、ハチの楽曲がっきょく『砂すなの惑星わくせい』の系譜けいふを組くんだものとなっている。2019年ねん4月がつには、同様どうようにエレクトロニックミュージックに位置いちづけられるAyase（YOASOBIのコンポーザーも務つとめる）の楽曲がっきょく『ラストリゾート』がYouTube上じょうに投稿とうこうされている。また、この頃ころすりぃが1分ふんジャストの曲きょくの中なかで起承転結きしょうてんけつを成立せいりつさせ、キャッチーさと物足ものたりなさを作つくり出だすことで中毒ちゅうどく性せいを生うむ、という手法しゅほうでヒット。

2019年ねん8月がつに楽曲がっきょく『オートファジー』で、2020年ねん4月がつに『ボッカデラベリタ』でヒットした柊ひいらぎキライは、クラブミュージック、エレクトロ・スウィングを中心ちゅうしんとした幅広はばひろいジャンルの要素ようそを取とり込こんだ曲きょく風ふうで人気にんきを博はくした。2020年ねん5月がつに楽曲がっきょく『百ひゃく鬼おに祭さい』でデビューし、2作さく目めの『KING』で大だいヒットを記録きろくしたKanariaは、ロック調ちょうではないシンセや電子でんしビートなどを特徴とくちょうとした曲きょく風ふう、2分ふん半はんという曲きょくの短みじかさなどで人気にんきを博はくした。この頃ころ発表はっぴょうした楽曲がっきょくがヒットを記録きろくした人物じんぶつとして、john、Peg、wotaku、獅子しし志こころざし司し、SEVENTHLINKS、マイキP、シャノン、Aqu3raなどの名前なまえが挙あげられる。また、てにをはも2020年ねん2月がつに『ヴィラン』で再度さいどヒットを果はたした。

メディアの多様たよう化か

2020年ねん5月がつ、ボカロPのちいたなによって、Twitter上じょうのハッシュタグ「#vocaloPost」が登場とうじょうし、徐々じょじょに広ひろがりを見みせ始はじめた。2020年ねん12月からはボカロの祭典さいてん「The VOCALOID Collection」が開催かいさいされ、柊ひいらぎマグネタイトや卯花うのはなロク、Fushiなどへ注目ちゅうもくが集あつまった。2020年ねん9月がつ30日にちにサービス開始かいししたゲームアプリ『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音はつねミク』は、ユーザー全体ぜんたいの8割わりを20代だい前半ぜんはんまでのユーザーが占しめ、特とくに10代が5割わりから6割わりほどを占しめている。『プロジェクトセカイ』への提供ていきょう曲きょくであるすりぃの『限かぎりなく灰色はいいろへ』やAyaseの『シネマ』は年内ねんないに100万まん再生さいせいを突破とっぱし、sasakure.UKの『トンデモワンダーズ』はTikTok上じょうでの話題わだい曲きょくとなった。ボカロPのMitchie Mは、給食きゅうしょくの時間じかんに『アイドル親おや鋭するど隊たい』が流ながれたとするツイートを何なん度ども見みかけたことに触ふれながら、『プロジェクトセカイ』を通つうじて以前いぜんのボカロ層そう以外いがいもボカロを聴きくようになったと話はなしている。他ほかにも、DECO*27の『ヴァンパイア』、ピノキオピーの『神かみっぽいな』、すりぃの『エゴロック』、wotakuの『シャンティ』などの歌うたってみた動画どうがが多数たすう投稿とうこうされた。また、ポップスに属ぞくしながら、「混沌こんとんとしていながら破綻はたんはしておらず、不思議ふしぎと統制とうせいは取とれている」と評ひょうされるいよわが『きゅうくらりん』で、wowakaやヒトリエへのリスペクトを感かんじさせる一方いっぽう、ギターのエディットや歌うた愛あいユキの使用しようなどで独自どくじ色しょくを見みせる稲葉いなば曇くもりが『ラグトレイン』で、EDMやプログレッシブ・ハウス、ダブステップを取とり入いれた音楽おんがく性せいと、難解なんかいな語彙ごいを用もちいた歌詞かしや壮大そうだいな世界せかい観かんをもつ柊ひいらぎマグネタイトが『マーシャル・マキシマイザー』で、ビリー・アイリッシュから影響えいきょうを受うけ、トラップと「病やみ」「メンヘラ」要素ようそを組くみ合あわせたなきそが『ド屑くず』でそれぞれ注目ちゅうもくを集あつめた。

TikTokを中心ちゅうしんに流行りゅうこうしたChinozoの楽曲がっきょく『グッバイ宣言せんげん』は2021年ねん8月がつにハチの『砂すなの惑星わくせい』を超こえてYouTubeでのボカロ曲きょく再生さいせい回数かいすうの最高さいこう記録きろくを塗ぬり替かえた。『グッバイ宣言せんげん』は2021年ねん10月がつに書籍しょせき化かされる。他たに2021年ねん頃ごろにTikTokで話題わだいとなった曲きょくとしては、かいりきベアの『ベノム』、ナユタン星ほし人じんの『惑星わくせいループ』、キノシタの『ポッピンキャンディ☆フィーバー!』などがある。

2022年ねん12月7日にちからは、ニコニコ動画どうがでのボカロ曲きょくの動画どうが再生さいせい回数かいすうやコメント数すうなどのデータを元もとにBillboard JAPANが発表はっぴょうする音楽おんがくチャート「ニコニコ VOCALOID SONGS TOP20」が開始かいしされている。

特徴とくちょう

京都精華大学きょうとせいかだいがく教授きょうじゅの末次すえつぐ智さとしは、学生がくせいたちの歌うたうボーカロイド曲きょくの特徴とくちょうとして、圧倒的あっとうてきな言葉ことば量りょうとJ-POPとは違ちがう速はやさが目立めだつことを挙あげている。Real Soundでの研究けんきゅうでは、ボーカロイド曲きょくは邦楽ほうがくよりもサビの転調てんちょうの割合わりあいが高たかいとしている。宮本みやもと強つよしは歌詞かしとメロディの情報じょうほうを入力にゅうりょくするだけで楽曲がっきょく内ないのボーカルパートが作つくれることを特徴とくちょうとして挙あげている。ボーカロイド曲きょくは、歌声うたごえ合成ごうせいの一種いっしゅのため、作曲さっきょく者しゃが意図いと的てきにブレス音おんを挿入そうにゅうしない限かぎりはブレス音おんが楽曲がっきょくの中なかで登場とうじょうしないため、ユーザーが歌うたうことを想定そうていすると適切てきせつな位置いちへのブレス音おんの挿入そうにゅうが必要ひつようだと考かんがえられている。著名ちょめいなボーカロイド曲きょくで、ブレスの位置いちはフレーズの間あいだに挿入そうにゅうされる可能かのう性せいが高たかく、フレーズはボーカル（ボーカロイド）の言語げんご的てき・歌声うたごえ的てき特徴とくちょうによるものが多おおい。

論文ろんぶん『ボーカロイドの人気にんき曲きょくにおける歌詞かしとメロディの関係かんけいの解析かいせき』では、VOCALOIDが人気にんきとなっている理由りゆうとして、音域おんいきやテンポなどの関係かんけいで人間にんげんが歌唱かしょうしにくい歌うたを歌うたえることを挙あげている。また、研究けんきゅう結果けっかでは人気にんきのボーカロイド曲きょくは普通ふつうのボーカロイド曲きょくよりも発生はっせい時間じかんが短みじかく、テンポが速はやく、早口はやくちであるという結果けっかが出でている。また、人間にんげんが歌うたう楽曲がっきょくよりもテンポが高たかく、発生はっせい時間じかんが短みじかいとの結果けっかも出でている。また、全体ぜんたい的てきに音域おんいきが広ひろい楽曲がっきょくが人気にんきとなっている傾向けいこうがあるとの結論けつろんも付つけられている。

ジャンルとしてのボカロ

前述ぜんじゅつの通とおり、従来じゅうらいのJ-POPと曲調きょくちょうが異ことなる場合ばあい、独立どくりつしたジャンルとして認識にんしきされる。大手おおてカラオケ各社かくしゃでは歌うたう曲きょくを選えらぶ際さいに「ボカロ」という選択肢せんたくしを設定せっていしており、また、ボカロ曲きょくの人気にんきランキングを発表はっぴょうしている。ボカロの楽曲がっきょくは更さらに細分さいぶん化かしたサブジャンルを形成けいせいしている。

ゲーム・ネットカルチャーボカロ曲きょく

ゲームやネット用語ようごが歌詞かしになっている事こともある。歌手かしゅがゲーム由来ゆらいの回転かいてんしながら歌うたう等とうのネタ曲きょくアゴアニキP『ダブルラリアット』等ひとし。

イエヴァン・ポルッカ

イエヴァン・ポルッカは元々もともとフィンランド民謡みんようであるが2006年ねん頃ごろ、インターネット上じょうのフラッシュアニメーション（『BLEACH』の井上いのうえ織姫おりひめの長ちょう葱ねぎを振ふるシーン）が人気にんきとなり、2007年ねん頃ごろ、初はつ音おとミクがイエヴァン・ポルッカを歌唱かしょうし長ちょう葱ねぎを振ふる動画どうがが流行はやる。イエヴァン・ポルッカの歌詞かしやリズム「ア、ラッ、ツァ、ツァー、ヤ〜」はボカロ曲きょくの多おおくに影響えいきょうを与あたえる。

早口はやくち(高速こうそく歌唱かしょう)ボカロ曲きょく

ボカロ曲きょくに多おおく見みられる特徴とくちょう「早口はやくち」 「高速こうそく歌唱かしょう」曲きょくと呼よぶこともある 。 cosMo@暴走ぼうそうP『初音はつねミクの消失しょうしつ』、ラマーズP『おちゃめ機能きのう』 、wowaka『裏表うらおもてラバーズ』等とう

広こう音域おんいき(高音こうおん、低音ていおん等とう)ボカロ曲きょく

前述ぜんじゅつ「音域おんいきが広ひろい」特徴とくちょうを備そなえたボカロ曲きょく 。 バルーン『シャルル』等とう

ボカロック(ボカロ的てきなロック)

ボカロック(Vocarock)、前述ぜんじゅつの「テンポが速はやい」、「早口はやくち」、「音域おんいきが広ひろい」等とうのボカロ的てき特徴とくちょうをいくつか備そなえたロック。「ラッタッタ」「パッパッパ」等とうのフレーズが印象いんしょう的てき 椎名しいなもた『Q』、かいりきベア『ベノム』、ナナヲアカリ（作曲さっきょく ナユタン星ほし人じん）『Higher's High』、『ダダダダ天使てんし』等とう。

電波でんぱソング系けいボカロ

電波でんぱソングはネットカルチャーを経由けいゆして進化しんかした。P丸まる様さま。『シル・ヴ・プレジデント』等とう。

高速こうそく早口はやくちロック

wowaka『裏表うらおもてラバーズ』等とうに見みられる 。

エレクトロ・スウィング調ちょう

エレクトロ・スウィング曲調きょくちょう。柊ひいらぎキライ『エバ』等ひとし。

ダンスミュージック曲調きょくちょう、エレクトロ・ハウス曲調きょくちょう

エレクトロ・ハウス曲調きょくちょう、ネット音楽おんがくであるボカロはエレクトロハウスの影響えいきょうも多おおく有ある。Easy Pop『ハッピーシンセサイザ』、八王子はちおうじPの多おおくの楽曲がっきょく、Kanaria『KING』等とう エレクトロ的てきではあるが新あたらしいジャンルといえるような曲きょくもある。例たとえばうたたP『こちら、幸福こうふく安心あんしん委員いいん会かいです。』『永遠えいえんに幸しあわせになる方法ほうほう、見みつけました。』は「エレクトロ＋演説えんぜつ」等とうと呼よばれた。

エレクトロ、ドラムンベース曲調きょくちょう

ドラムンベース曲調きょくちょうは、iroha（sasaki）『炉心ろしん融解ゆうかい』、さつき が てんこもり『ネトゲ廃人はいじんシュプレヒコール』、じん『人造じんぞうエネミー』『メカクシコード』等ひとしに使用しようされている。

エレクトロ、ダブステップ曲調きょくちょう

ダブステップ曲調きょくちょうはきくお『ごめんね ごめんね』等とうに使用しようされている。

エレクトロニカ・アンビエント曲調きょくちょう

ボカロには「怖こわい」「ホラー」「病やみ」と形容けいようされる曲きょくがあり、エレクトロニカやアンビエントな曲調きょくちょうである。きくお(きくおP)の多おおくの楽曲がっきょく、古川ふるかわ本舗ほんぽ『Alice feat. 拝はい郷きょうメイコ』等ひとし。

リリースカットピアノボカロ曲きょく

前述ぜんじゅつの通とおり「リリースカットピアノ」を多用たようしたボカロ曲きょくもある。

夜よる好このみ性せい

ヨルシカ、ずっと真夜中まよなかでいいのに。YOASOBI等とうに見みられる静しずかな、アンビエントやローファイヒップホップ(ローファイ音楽おんがく)的てき志向しこう の曲きょく コード進行しんこう(「Just The Two of Us」コード進行しんこう)に特徴とくちょうがあると指摘してきされる事こともある。

歌うたうボイスロイド

VOICEROIDなどの音声おんせい合成ごうせいソフトウェアに読よみ上あげさせた音声おんせいをDAWソフトウェアによってピッチ調整ちょうせいしたもの、もしくは音声おんせい合成ごうせいソフトウェア上じょうで声こえの高たかさを調整ちょうせいすることにより歌うたわせたもの。2015年ねんにVOICEROID上じょうで歌うたわせる方法ほうほうを解説かいせつした動画どうがが投稿とうこうされ、2016年ねんにはvsqxファイルを読よみ込こませることで自動じどう調ちょう声こえすることができるソフトウェア「KotonoSync」が公開こうかいされたことにより楽曲がっきょく数すうが増加ぞうかしていった。「The VOCALOID Collection」の応募おうぼ対象たいしょうとして例示れいじされる等とう広義こうぎのボカロとして扱あつかわれている。GYARI『Seyana.』、電でんǂ鯨くじら 『クーネル・エンゲイザー』等とう

音楽おんがくゲームでの利用りよう

ボカロ曲きょくは音楽おんがくゲーム（音おとゲー）に利用りようされる事こともある。 ボカロ曲きょくは前述ぜんじゅつの通とおり、速はやい、音域おんいきが広ひろい、音符おんぷが多おおい等とうの特徴とくちょうを持もっている場合ばあいもある為ため、ゲーム用よう音楽おんがくとしては難易なんい度どの高たかい曲きょくとされる事こともある。

邦楽ほうがくシーンへの進出しんしゅつ

80年代ねんだい後期こうきよりパーソナルコンピューター「Amiga」内臓ないぞうの音声おんせい合成ごうせい機能きのう「Sayプログラム」を音楽おんがくへの転用てんようしていたミュージシャンの平沢ひらさわ進すすむは、2005年ねん発表はっぴょうの曲きょく『確かく率りつの丘おか』や、2006年ねん発表はっぴょうの曲きょく『白虎びゃっこ野のの娘むすめ』などで女性じょせいコーラスに最初さいしょ期きのボーカロイドとされている『LOLA』を使用しよう、またライブでの女性じょせいボーカルにも利用りようしている。『白虎びゃっこ野のの娘むすめ』はアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくで行おこなわれた第だい79回かいアカデミー賞しょう歌曲かきょく賞しょう部門ぶもんノミネート候補こうほとなった。「ユリイカ2008年ねん12月臨時りんじ増刊ぞうかん号ごう　総そう特集とくしゅう＝初はつ音おとミク」では、平沢ひらさわは「バーチャルな 「女性じょせい」 への欲望よくぼうとは何なにか」の表題ひょうだいでインタビューを受うけた。

2009年ねん8月がつ12日にちにsupercellが『君きみの知しらない物語ものがたり』をリリースし、ボカロPのアーティストデビューの道みちを切きり開ひらいた。

ボカロPが自みずからの歌唱かしょうでデビュー

ボカロPのハチとしても活動かつどうしていた米津よねつ玄げん師しは、ボーカロイドに歌うたわせるのではなく、自みずからの歌唱かしょうパフォーマンスで2018年ねんに第だい69回かいNHK紅白こうはく歌合戦うたがっせんに出場しゅつじょうした。2018年ねんにはボカロP・有機ゆうき酸さんが、神山かみやま羊ひつじ名義めいぎでミュージシャン活動かつどうを開始かいしした。また、『シャルル』を代表だいひょう曲きょくにもつボカロPのバルーンは須田すだ景けい凪なぎとしてデビューした。 ボカロP・Eveの楽曲がっきょく『廻まわり廻まわり奇き譚たん』は、アニメ『呪術じゅじゅつ廻まわり戦せん』の第だい1クールのオープニングテーマに起用きようされた。ボカロPとしても活動かつどうするまふまふは、2021年ねんにカンザキイオリのボカロ曲きょく『命いのちに嫌きらわれている。』で第だい72回かいNHK紅白こうはく歌合戦うたがっせんに出場しゅつじょうしている。

夜よる好このみ性せい

ボカロPとして活動かつどう歴れきがあるコンポーザーのn-bunaとヴォーカリストのsuisからなるバンド「ヨルシカ」、ボカロPとして活動かつどうするAyaseとボーカリストのikuraからなる音楽おんがくユニット「YOASOBI」、ボカロPの「ぬゆり」と共とも作さくしたデビュー曲きょく『秒針びょうしんを噛かむ』でブレイクした「ずっと真夜中まよなかでいいのに。」の3組くみはDTM打うち込こみサウンドに限かぎらず生なまバンドで演奏えんそうする形かたちを用意よういしファンは「夜よる好このみ性せい」と呼よばれ、3組くみは「ネットカルチャー発はつの次世代じせだい型がたアーティスト」として注目ちゅうもくされた。2020年ねん新型しんがたコロナウイルス禍かで日本にっぽん中ちゅうがステイホームを強しいられていた頃ころに流行りゅうこうしたとされる。音楽おんがく評論ひょうろん家か冨田とみた明宏あきひろは「“夜よる好このみ性せい”というくらいだから、3組くみとも夜よるの音楽おんがくらしさがある。しかも、夜よるに騒さわぐというより、ひとり夜よるの部屋へやで静しずかに聴きくようなもの。」と評論ひょうろんしている。 YOASOBIの『夜よるに駆かける』は、2020年ねん6月がつ15日にち付づけのBillboard JAPAN総合そうごうソング・チャート“JAPAN HOT 100”で3週間しゅうかん連続れんぞく、1位いを獲得かくとくし、ヨルシカの『花はなに亡霊ぼうれい』は2020年ねん7月がつ13日にち付づけのBillboard JAPANアニメチャート“JAPAN Hot Animation”で2位いにランクインした。YOASOBIは、2020年ねんの第だい71回かいNHK紅白こうはく歌合戦うたがっせんでは『夜よるに駆かける』、2021年ねんの第だい72回かいNHK紅白こうはく歌合戦うたがっせんでは『群青ぐんじょう』を披露ひろうしている。 その他た、R Sound Design、 yama、くじら (作曲さっきょく家か)、すいそうぐらし、ヰ世界せかい情緒じょうちょ、THE BINARY、空白くうはくごっこ、ツユ、月つき詠よみ、DUSTCELL、三さん月がつのパンタシア等ひとしは同おなじ様ような特徴とくちょうを備そなえる事ことから同おなじまたは近ちかい音楽おんがくジャンルのアーティストとされる場合ばあいもある。

ボカロP+歌うたい手てユニット

ボカロP・くじらが作曲さっきょく提供ていきょうした『春はるを告つげる』で話題わだいとなったyamaや、syudouが作曲さっきょく提供ていきょうした『うっせぇわ』で社会しゃかい現象げんしょうを起おこしたAdoが登場とうじょうするなど、ボカロPが作詞さくし・作曲さっきょくに携たずさわった楽曲がっきょくも有名ゆうめいになった。『うっせぇわ』は2021年ねんの「新語しんご・流行りゅうこう語ご大賞たいしょう」トップテンにも選出せんしゅつされている。 また、ボカロPと若手わかてシンガーソングライター集団しゅうだんぷらそにか出身しゅっしん歌手かしゅとのユニットとして前述ぜんじゅつのYOASOBIの他ほかNOMELON NOLEMON等ひとしがある。

アニメOP曲きょくED曲きょく主題歌しゅだいかタイアップ

近年きんねんではアニメOP曲きょくED曲きょく主題歌しゅだいかに起用きようされる事こともしばしばある。MAISONdes、美波みなみ (シンガーソングライター), SAKURAmoti『アイウエ』（アニメうる星せいやつら（2022年ねん）OP）、ツミキ『トウキョウ・シャンディ・ランデヴ』（アニメうる星せいやつら（2022年ねん）ED）、TOOBOE『錠剤じょうざい』（アニメチェンソーマン（2022年ねん）ED）等とう、 アニメソングの記事きじ参照さんしょう。

主おもなボカロP

詳細しょうさいは「ボカロP」、「ボカロPの一覧いちらん」、および「Category:VOCALOIDを用もちいている音楽家おんがくか」を参照さんしょう

メディア展開てんかい

2010年ねん8月がつ、ボーカロイド曲きょくをノベライズした「ボカロ小説しょうせつ」の先駆さきがけとなった悪あくノPの小説しょうせつ『悪あくノ娘むすめ』シリーズが始はじまった。

2011年ねん2月がつに『人造じんぞうエネミー』でボカロPデビューを果はたしたじんは、ドラムンベースの楽曲がっきょくからBPM200超こえの楽曲がっきょくが多おおいロック系けいの楽曲がっきょくへ転向てんこうしてから2011年ねん9月がつ30日にちにニコニコ動画どうがに投稿とうこうした楽曲がっきょく『カゲロウデイズ』で人気にんきを博はくし、以後いご、「カゲロウプロジェクト」のメディア展開てんかいとともに、ニコニコ動画どうがと音楽おんがく業界ぎょうかいの一部いちぶからしか認知にんちがなかった音楽おんがくジャンルとしての「ボカロ」の認知にんち度どが急速きゅうそくに上昇じょうしょうした。2012年ねん5月がつには150Pの『終焉しゅうえんノ栞しおりプロジェクト』、同年どうねん7月がつにはてにをはの『女学生じょがくせい探偵たんていシリーズ』、同年どうねん12月がつにはぷす（じっぷす）の『ヘイセイプロジェクト』が始動しどうするなど、「プロジェクト系けい」の進行しんこうが見みられた。また、2013年ねん3月がつには『千本せんぼん桜さくら』がノベライズされるなど、多種たしゅ多様たようなボーカロイド曲きょくのノベライズが実施じっしされている。2012年ねん2月がつに刊行かんこうされたボカロ小説しょうせつ『桜さくらノ雨あめ』が2015年ねんに実写じっしゃ映画えいが化かされるなど、映画えいが方面ほうめんでのメディア利用りようも数多かずおおくなされている。「プロジェクト系けい」は2013年ねん中頃なかごろに衰退すいたいし、「焼やけ野原のはら」などと表現ひょうげんされる時代じだいが到来とうらいした。

2012年ねんには、kzの楽曲がっきょく『Tell Your World』が「Google Chromeグローバルキャンペーン」のCMソングに起用きようされ、VOCALOID曲きょくの存在そんざいの認知にんちが広ひろまっていった。

2017年ねん7月がつには、グラミー賞しょうを受賞じゅしょうした経験けいけんを持もつグループ「アウトキャスト」のメンバー「ビッグ・ボーイ」がアルバム『BOOMIVERSE』をリリースし、その中なかで初音はつねミクの楽曲がっきょくをサンプリングした楽曲がっきょく『Kill Jill』を収録しゅうろくしている。

2017年ねん9月がつには初はつ音おとミク生誕せいたん10周年しゅうねんを記念きねんして『初音はつねミク Sings “手塚てづか治虫おさむと冨田とみた勲いさおの音楽おんがくを生なま演奏えんそうで”』と題だいされたアルバムが出だされている。

2020年ねん9月がつにはボーカロイド曲きょくを主おもに取とり扱あつかったアプリ『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音はつねミク』がリリースされた。

音声おんせい合成ごうせいソフトの多様たよう化か

VOCALOIDは2019年ねん3月がつに発売はつばいされた「鳴な花はなヒメ・ミコト」からVOCALOID6発売はつばいまで新しん製品せいひんが出だされなかった一方いっぽう、システムにAIを組くみ込こんだCeVIOやNEUTRINO、Synthesizer Vの台頭たいとうが始はじまった。2020年ねんに発表はっぴょうされたNEUTRINOを使用しようした「AI東北とうほくきりたん」は、それまでの合成ごうせい音声おんせいとは一線いっせんを画かくす自然しぜんな歌声うたごえで話題わだいを集あつめた。2021年ねんにはそれまでボカロで製品せいひんを出だしていたAHSや1st PLACE等とうの会社かいしゃがCeVIO AIやSynthesizer Vに参入さんにゅうした。また、同おなじくCeVIO AIを使用しようしたバーチャルシンガー・花はな譜ふの音楽おんがく的てき同位どうい体たいである可か不ふの広ひろまりで、syudouの『キュートなカノジョ』、ツミキの『フォニイ』などの可か不ふを使つかったヒット曲きょくも誕生たんじょうした。その一方いっぽうでクリプトン・フューチャー・メディアも独自どくじの音声おんせい合成ごうせいエンジンを使用しようした「初音はつねミクNT」を発売はつばいしている。

これらのソフトはVOCALOIDとは直接ちょくせつ関係かんけいの無ないソフトであるが、歌声うたごえ合成ごうせいソフト全般ぜんぱんを指さした総称そうしょうとしてボカロと一いち括くくりに言いわれる事ことがしばしばある。楽曲がっきょくにおいてもこれらのソフトを使つかった楽曲がっきょくもボカロ曲きょくと呼よばれる事ことがある。

ボカロ曲きょくの著作ちょさく権けんを巡めぐる動うごき

2007年ねん末まつにはボカロ曲きょくがJASRAC管理かんり楽曲がっきょくになっていることから、初はつ音おとミクを使用しようしたボカロ曲きょく（二に次じ創作そうさく）が制限せいげんされる危惧きぐが高たかまると考かんがえたユーザーなどの間あいだで騒動そうどうが発生はっせいし、2007年ねん12月25日にちにドワンゴ・ミュージックパブリッシングとクリプトン・フューチャー・メディアが共同きょうどうコメントを出だすまでに至いたった。このとき、今後こんごは「初音はつねミク」関連かんれんのコンテンツを配信はいしんするケースでは、データ製作せいさく者しゃとの契約けいやくを優先ゆうせんし、契約けいやく締結ていけつまでの間あいだに自動的じどうてきにJASRACに登録とうろくされる事態じたいは起おこさないことなどが確約かくやくされ、初はつ音おとミクの二に次じ利用りようへの規制きせいに対たいする危惧きぐは緩和かんわされた。しかし、『みくみくにしてあげる♪【してやんよ】』がJASRACの信託しんたく楽曲がっきょくになると、カラオケや着ちゃくうたへの使用しようが増加ぞうかした代かわりに、ブログパーツの「ふるみっくプレーヤー」や初はつ音おとミクの楽曲がっきょくのまとめサイトなどから歌詞かしや動画どうがが消きえ、作詞さくし・作曲さっきょくのika_moは「もうけ主義しゅぎ」と批判ひはんを浴あびて、ブログを閉とじる事態じたいにまで発展はってんした。この事態じたいが影響えいきょうして、「カラオケで使用しようされてもボーカロイド曲きょくには著作ちょさく権けん使用しよう料りょうが発生はっせいしない」という事態じたいが発生はっせいした。これに対たいして、デッドボールPは「JASRACに信託しんたくするのが現状げんじょうではほぼ唯一ゆいいつの方法ほうほう」と語かたったが、「作家さっかの収入しゅうにゅう確保かくほなんてケチ臭くさい」などの批判ひはん的てきな意見いけんも多数たすう寄よせられる事態じたいにもなった。その中なかで、2010年ねん11月にクリプトン・フューチャー・メディア株式会社かぶしきがいしゃはVOCALOID曲きょくのクリエイターがカラオケなどの楽曲がっきょく利用りようで発生はっせいする著作ちょさく権けん使用しよう料りょう収入しゅうにゅうを正当せいとうに受うけられるための音楽おんがく出版しゅっぱん事業じぎょうを始はじめたと発表はっぴょうした。

参考さんこう文献ぶんけん

• 『初音はつねミク 公式こうしきガイドブック ミクペディア』マガジンハウス、2013年ねん。ISBN 978-4838788170。 
• 柴しば那な典てん『初音はつねミクはなぜ世界せかいを変かえたのか？』太田出版おおたしゅっぱん、2014年ねん。ISBN 978-4778313968。 

関連かんれん項目こうもく

• Studio One（ソフトウェア）
• The VOCALOID Collection
• DTM

外部がいぶリンク

• ニコニコ動画どうが的てきボーカロイドの歴史れきしを“970,686本ほんの投稿とうこう動画どうが”とともに振ふり返かえってみた - ニコニコニュース