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レジオネラ - Wikipedia

レジオネラ (Legionella) は、レジオネラぞくぞくする細菌さいきん総称そうしょうであり、グラム陰性いんせい桿菌かんきん。レジオネラ肺炎はいえん在郷ざいきょう軍人ぐんじんびょうひとしおおくのレジオネラしょうこすたねふくむ。すくなくとも46のたねと、70の血清けっせいがたられている。通性つうせい細胞さいぼうない寄生きせいせいきんである。

レジオネラぞく
Legionella pneumophila
分類ぶんるい
ドメイン : 細菌さいきん
Bacteria
もん : プロテオバクテリア
Proteobacteria
つな : γがんまプロテオバクテリア
Gamma Proteobacteria
: レジオネラ
Legionellales
: レジオネラ
Legionellaceae
ぞく : レジオネラぞく
Legionella
学名がくめい
Legionella
Brenner et al. 1979
(Approved Lists 1980)
タイプしゅ
レジオネラ・ニューモフィラ
Legionella pneumophila
Brenner et al. 1979
(Approved Lists 1980)
シノニム
たね
  • L. anisa
  • L. bozemanii
  • L. cincinnatiensis
  • L. feeleii
  • L. gormanii
  • L. jordanis
  • L. longbeachae
  • L. micdadei
  • L. oakridgensis
  • L. parisiensis
  • L. pneumophila
  • L. tucsonensis

40しゅ以上いじょう

重言じゅうげんであるが「レジオネラきん」という表記ひょうきもされ、厚生こうせい労働省ろうどうしょうなどの文書ぶんしょにも散見さんけんされる。

発見はっけん

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1976ねんアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくペンシルベニアしゅう米国べいこく在郷ざいきょう軍人ぐんじんかい英語えいごばん大会たいかいひらかれたさい参加さんかしゃ周辺しゅうへん住民じゅうみん221にん原因げんいん不明ふめい肺炎はいえんにかかり、一般いっぱん抗生こうせいざい治療ちりょうおこなったが34にん死亡しぼうした。ウイルスリケッチアひとし原因げんいん候補こうほげられたがそれらしいものは検出けんしゅつされず、新種しんしゅのグラム陰性いんせい桿菌かんきん患者かんじゃはいから多数たすう分離ぶんりされた。発見はっけんされた細菌さいきん在郷ざいきょう軍人ぐんじん (legionnaire) にちなんで Legionella pneumophilaづけられた。たね形容けいようの pneumophila は、ほんきんはい感染かんせんすることから、「はいギリシアでpneumōn)をこのむ (-phil)」を意味いみする。この集団しゅうだん感染かんせん事例じれいは、在郷ざいきょう軍人ぐんじんかい大会たいかい会場かいじょうちかくの建物たてもの冷却れいきゃくとうから飛散ひさんしたエアロゾル起因きいんしていたとされている。

特徴とくちょう

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レジオネラぞくきんは2 - 5µmくらいこう気性きしょうグラム陰性いんせい桿菌かんきんで、一本いっぽん以上いじょうむちっている。

通常つうじょう細菌さいきん検査けんさよう培地ばいちでは生育せいいくしないが、これはグルコースなどのとう利用りようできないこと起因きいんする。このため培養ばいようさいにはレジオネラがエネルギーげんおよび炭素たんそげんとして利用りようできるシステインセリンスレオニンなどの特定とくていアミノ酸あみのさんくわえる必要ひつようがある。とくにシステインは必須ひっすである。脂肪酸しぼうさんにより発育はついく阻害そがいけるためこれらを除去じょきょしなければならない。また、有機ゆうきてつ要求ようきゅうする。培養ばいよう条件じょうけんきびしく、pHが6.7〜7.0でないと増殖ぞうしょくせず、いたりてき温度おんどは36°Cである。分裂ぶんれつ周期しゅうき数時間すうじかんで、増殖ぞうしょくには時間じかんがかかり、バンコマイシンひとし抗生こうせい物質ぶっしつくわきん生育せいいくおさえて培養ばいようする。

環境かんきょうちゅうでは人工じんこう培地ばいちとはことなり幅広はばひろ環境かんきょう生育せいいく可能かのうである。おもぬま河川かせんなどのみずなかや、土壌どじょう存在そんざいしている自然しぜん環境かんきょうちゅうつねざいきん一種いっしゅとしてもられる。レジオネラは通性つうせい細胞さいぼうない寄生きせいせいであり、これらの場所ばしょではアメーバなどの原生げんせい生物せいぶつなど生物せいぶつ細胞さいぼううち寄生きせいしたり、藻類そうるい共生きょうせいしており、これによってさまざまな環境かんきょうでの生育せいいく可能かのうになっている[1]上記じょうき人工じんこう培養ばいよう条件下じょうけんか必要ひつようとされるきびしい栄養えいよう要求ようきゅうは、当然とうぜんのことながら生物せいぶつ細胞さいぼうないでは容易よういられるものである。水中すいちゅうでも長期間ちょうきかん( - すうねん生存せいぞんできる。

ヒトの生活せいかつする環境かんきょうにおいても、大量たいりょうみずめて利用りようする場所ばしょでレジオネラが繁殖はんしょくする場合ばあいられている。とくLegionella pneumophila は、空調くうちょう設備せつびもちいる循環じゅんかんすい入浴にゅうよく施設しせつにおいてよくられ、しばしばこれらのみず利用りようするさい発生はっせいする微小びしょう水滴すいてきエアロゾル)をかいしてヒトに感染かんせんする。

レジオネラをふくんだエアロゾルがヒトに吸入きゅうにゅうされると、レジオネラははい到達とうたつし、そこではい胞のマクロファージ貪食どんしょくされる。しかし、レジオネラは通性つうせい細胞さいぼうない寄生きせいせいであり、その殺菌さっきん機構きこうのがれてマクロファージない増殖ぞうしょくすることが可能かのうである(→サルモネラのマクロファージでの増殖ぞうしょく参照さんしょう)。レジオネラはマクロファージにまれるさい出来できしょく胞に作用さようし、しょく胞膜の性質せいしつ変化へんかさせてリソソームとの結合けつごうせいうしなわせるとともに、その変化へんかしたしょく胞 (LCV, Legionella containing vesicle) ない増殖ぞうしょくする。LCVは、あらめんしょう胞体同様どうようリボソーム表面ひょうめん結合けつごうした、多重たじゅうまく構造こうぞうしょう胞であり、このしょう胞を形成けいせいすることでレジオネラは分解ぶんかいされることなく細胞さいぼうない感染かんせんすることが可能かのうだとかんがえられている。

 
はい線維せんい細胞さいぼう増殖ぞうしょくする L. pneumophila

人工じんこう環境かんきょうでは、レジオネラはしばしばアカントアメーバなどのアメーバるい寄生きせいしていることがられているが、この生活せいかつ様式ようしき衛生えいせいがくじょう、レジオネラを除去じょきょしにくいことにかかわっている。これらの自由じゆう生活せいかつアメーバは浴槽よくそうなどの表面ひょうめん形成けいせいされるバイオフィルム付着ふちゃくして生活せいかつしていることがおおいため、循環じゅんかんしきのろ処理しょり設備せつびからのがれて増殖ぞうしょく可能かのうである。レジオネラ自身じしん単独たんどくでもバイオフィルムの形成けいせい可能かのうである。またバイオフィルムの存在そんざいと、アメーバの細胞さいぼうない寄生きせいしていることによって、レジオネラにたいして消毒しょうどくやく直接ちょくせつ到達とうたつしにくいため、消毒しょうどくやく効果こうかさまたげられる。さらに自由じゆう生活せいかつアメーバのなかには、生育せいいく環境かんきょう悪化あっかするとシスト(嚢子、のうし)とばれる、耐久たいきゅうがた構造こうぞう形成けいせいするものがあり、この状態じょうたいではねつ消毒しょうどくやくたいする抵抗ていこうせい増加ぞうかするため、内部ないぶのレジオネラが保護ほごされるかたちになって完全かんぜん除菌じょきんむずかしくなるという問題もんだいしょうじる。

病原びょうげんせい

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レジオネラは環境かんきょうちゅう普通ふつう存在そんざいするきんであり、通常つうじょうでは感染かんせんしょうこすことはすくない。しかしながら感染かんせんしやすい環境かんきょうしめすような環境かんきょうでは、とく高齢こうれいしゃとう抵抗ていこうりょくすくない人々ひとびとにとって、おもレジオネラぞく一種いっしゅL. pneumophila が、ヒトのレジオネラ感染かんせんしょう(レジオネラ肺炎はいえんおよびポンティアックねつ)の原因げんいんになる。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 永井ながい宏樹ひろき:レジオネラと宿主しゅくしゅかく細胞さいぼう相互そうご作用さよう 日本にっぽん細菌さいきんがく雑誌ざっし Vol.69 (2014) No.3 p.503-511

外部がいぶリンク

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