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乗り物酔い - Wikipedia

もの

各種かくしゅものはっするれなどによって、三半規管さんはんきかん刺激しげきされることでこる身体しんたいしょ症状しょうじょう

もの(のりものよい、えい: motion sicknessどく: Bewegungskrankheit)とは、航空機こうくうき列車れっしゃ自動車じどうしゃ船舶せんぱくゆう園地えんち遊具ゆうぐなど、各種かくしゅものはっするれなどの加速度かそくどによって、からだ内耳ないじにある三半規管さんはんきかん刺激しげきされることでこる身体しんたいしょ症状しょうじょうである。学問がくもんてきには動揺どうようびょうあるいは加速度かそくどびょうばれる[1][2]

もの
概要がいよう
診療しんりょう 救急きゅうきゅう医学いがく, 神経しんけいがく, 耳鼻咽喉じびいんこう科学かがく
分類ぶんるいおよび外部がいぶ参照さんしょう情報じょうほう
ICD-10 T75.3
ICD-9-CM 994.6
OMIM 158280
DiseasesDB 11908
MeSH D009041

ものいが発生はっせいする仕組しくみは諸説しょせつ存在そんざいするが、完全かんぜんには解明かいめいされていない[1]もっと有力ゆうりょくなのは、感覚かんかく混乱こんらんせつ英語えいご:Sensory conflict theory、感覚かんかく不一致ふいっちせつ感覚かんかく配置はいちせつ)とばれる入力にゅうりょくされる感覚かんかく齟齬そごによるもの[3]宇宙うちゅういの原因げんいんとして体液たいえき移動いどうせつ(fluid shift theory)とみみせき機能きのう非対称ひたいしょうせつ(symmetries in otolith function)がげられている[4]

いは紀元前きげんぜん400ねんごろにはられており、ヒポクラテスは「航海こうかいするとわかるように、うごかされるとからだはたらきがみだれてこるものである。」としるしている[5]。また、今昔こんじゃく物語ものがたりしゅうだいじゅうはちかんだいには「此の者共ものどもくるまひたる心地ここちどもなれば、きょく心地ここちわるなりて、てんまんもの逆様さかさまゆ。」と源頼光みなもとのよりみつ郎等ろうどうさんにんはじめて牛車うしぐるまったさいくるまいについてかれている[5][6]

船酔ふなよいにかんしては、19世紀せいきになり蒸気じょうきせん普及ふきゅうするようになると、帆船はんせん時代じだいには目立めだたなかったそれが、深刻しんこく社会しゃかい問題もんだいとなった[7]帆船はんせんではよこれをおさえ、ふね安定あんていさせる役割やくわりたしていたものの、蒸気じょうきせんではそれがくなったためである。また、ふうたいして逆行ぎゃっこうできる蒸気じょうきせんは、れたうみでは不快ふかいかたになるうえに、速度そくど向上こうじょうしたことでれにたいして順応じゅんのうするまえ到着とうちゃくしてしまうことも、あく印象いんしょう原因げんいんとなった。

要因よういん症状しょうじょう

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ものいのれい

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ものべついやすさには個人こじんがあり、たとえば自動車じどうしゃにはまったわないひとでも船舶せんぱくにはいやすかったり、列車れっしゃ飛行機ひこうきにはまったわないのに自動車じどうしゃにはいやすいというひともいる。重力じゅうりょくしたでの動揺どうよう刺激しげきによる失調しっちょうもあり、宇宙うちゅういともばれている。これは通常つうじょうものいとはことなり、短時間たんじかん頭痛ずつうといった症状しょうじょうるというものである。

症状しょうじょう

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おも以下いかよう症状しょうじょうこる[2]

  • 頭重ずおもかん
  • あくび
  • なまつば
  • 顔面がんめん蒼白そうはく
  • 手足てあしひやかん
  • ふらふらかん
  • あせ
  • 嘔吐おうと

これらの症状しょうじょうものからりるか、長時間ちょうじかんつづけると次第しだい回復かいふくする。

発生はっせいしやすい状況じょうきょう

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  • 航空こうくうともなって発生はっせいする疾病しっぺい状態じょうたいのことを「航空こうくうびょう」というが、これは航空機こうくうき機内きない特殊とくしゅ環境かんきょうにおいて乗員じょういん乗客じょうきゃくわずら病的びょうてき症状しょうじょうである。高度こうど上昇じょうしょうともな減圧げんあつてい酸素さんそ動揺どうよう加速度かそくどなどが原因げんいんとなってしょうじるもので[8]航空機こうくうき長時間ちょうじかん搭乗とうじょうしている場合ばあいなどにとくしょうじやすい。おも症状しょうじょうとしては、頭痛ずつうめまいだるさ記憶きおくりょく減退げんたい呼吸こきゅう困難こんなん中耳炎ちゅうじえんものい、ちょうないガス膨満、エコノミークラス症候群しょうこうぐんなどがある[8]航空こうくうびょうのようにもの動揺どうようなどによってしょうじる病的びょうてき状態じょうたい総称そうしょうして「加速度かそくどびょう」とぶ。
  • 自然しぜんしき鉄道てつどう車両しゃりょうでは、曲線きょくせんとく緩和かんわ曲線きょくせん)を通過つうかするさいに「おくれ」や「もどし」とばれる不自然ふしぜん振動しんどうしょうじ、いをしょうじやすい状況じょうきょうとなる。
  • くるま場合ばあい乱暴らんぼう運転うんてん渋滞じゅうたいのぼ勾配こうばい・つづらりのがりといった、加速度かそくどつよくわわる状況じょうきょうや、過度かど暖房だんぼうのように高温こうおん状況じょうきょう長時間ちょうじかんつづいた場合ばあい発生はっせいしやすい。また、速度そくどぎ・渋滞じゅうたいとうとく注意ちゅうい必要ひつようである。
  • 身体しんたいわない衣服いふくとく着物きもの)・帽子ぼうし・ヘルメット・日本髪にほんがみかずらひとし長時間ちょうじかん着用ちゃくようする場合ばあいや、まつりの山車だしっていても場合ばあいがある。
  • 視覚しかくかかわっており、ものなか読書どくしょ携帯けいたいメール、携帯けいたいゲームのプレイなど、眼球がんきゅううごきをこまかくするような行為こういをするといやすく、ぎゃくまどからとおくをながめるなどするといにくいが、個人こじんがあり、進行しんこう方向ほうこう注視ちゅうししていればわないが、よこるなどして加速度かそくどくわわる方向ほうこう視線しせんがずれるとうという場合ばあいがある。
    • 上記じょうき理由りゆうにより、進行しんこう方向ほうこういてすわ座席ざせきのほうがいにくくなる。
    • 自分じぶん自身じしん運転うんてんすることで、加速度かそくどくわわる方向ほうこう予想よそうできる運転うんてんしゅいにくいが、まれに場合ばあいもある。
  • 身体しんたい加速度かそくどけていなくても、視覚しかくてき振動しんどう刺激しげき振動しんどうするビデオカメラ撮影さつえいした動画どうがるなど)だけでも「う」ことがある(映像えいぞう)。とく上下動じょうげどう上空じょうくう視界しかいわるさによる効果こうかおおきい。視覚しかく三半規管さんはんきかん感覚かんかくとが不一致ふいっちこすためといわれる。
  • 上記じょうき同様どうよう3DCG利用りようしたシミュレータコンピュータゲームバーチャル・リアリティヘッドセットによってうことがある。「3D」「VR」とばれる。
  • 睡眠すいみん不足ふそく空腹くうふくぎ・さけ乳製品にゅうせいひん炭酸たんさん飲料いんりょうぎ・その体調たいちょうなどによるところもおおきい。
  • 振動しんどうではいにくいひとでも、車中しゃちゅうこもったタバコなどの独特どくとくにおいや石油せきゆにおいがある場合ばあいった直後ちょくごうことがおおい。
  • バスはリアエンジン配置はいちおおいため、うしろのせき振動しんどうおおくなりまえせきよりいやすい。
  • 気温きおんたか車内しゃない厚着あつぎをするなどにより、いわゆる「のぼせ」がきていると、そのままものいに変化へんかしやすい。
  • 地震じしん長時間ちょうじかんれがしょうじ、余震よしんなんつづくことによりうことがあり、「地震じしん」とばれる。

いへの対策たいさく

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そら対策たいさく体操たいそうをするパイロット訓練くんれんせい(1918ねん

搭乗とうじょうまえ

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  • 睡眠すいみんをしっかりとる[2]
  • 空腹くうふくかかえたり、ぎ、ぎた状態じょうたいでの搭乗とうじょうける[2]
  • もの防止ぼうしやく服用ふくようする。
  • パイロットの訓練くんれんとして、そら対策たいさく体操たいそう一時期いちじきおこなわれていた。

搭乗とうじょうちゅう

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  • バスの場合ばあい車両しゃりょう前方ぜんぽう後方こうほうよりれがすくないためいにくい[2]
  • 換気かんきくする[2]
  • 友達ともだちはなす、合唱がっしょうなどで気分きぶんをそらす[2]
  • ほんやスマートフォンなどを長時間ちょうじかんまない
  • 2012ねん8がつ探偵たんてい!ナイトスクープ(朝日放送あさひほうそう)が視聴しちょうしゃからの依頼いらいけ、沖縄おきなわけん一部いちぶダイバー仲間なかまおこなっていた「船酔ふなよ解消かいしょうほう」を取材しゅざい放送ほうそうする。その方法ほうほうとは、「船酔ふなよいで嘔吐おうと昏倒こんとうしているもの不意ふいいて、くび背中せなか股間こかんけて冷水れいすいいきおいよくびせかける」という方法ほうほうにより、こうかくりつ船酔ふなよいが一瞬いっしゅんにして解消かいしょうされるというもので、番組ばんぐみないで3にん船酔ふなよいし、どう方法ほうほうどう3にん船酔ふなよいが解消かいしょうされていた。ただし、こころ疾患しっかんのう血管けっかん疾患しっかんなど血管けっかん疾患しっかん血圧けつあつ疾患しっかん患者かんじゃおよびそれらのやまい(発症はっしょう予備よびぐん)患者かんじゃたいし、冷水れいすいびせておどろかせる行為こうい急激きゅうげき血圧けつあつ上昇じょうしょうさせるため生命せいめいかかわるおおきな危険きけんともない、また、転倒てんとうによる怪我けがにも注意ちゅうい必要ひつようである。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ a b もの動揺どうようびょう/奥村おくむら新一しんいち先生せんせい Dr. Shin-ichi Okumura/ motion sickness”. 2014ねん4がつ8にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2014ねん4がつ8にち閲覧えつらん[リンク]
  2. ^ a b c d e f g 松永まつながたかし乗物のりもの」『CLINICIAN』だい388かん、エーザイ株式会社かぶしきがいしゃ、1990ねん、215-218ぺーじ 
  3. ^ 哲哉てつや, 野田のだ動揺どうようびょう感覚かんかく混乱こんらんせつたいする疑問ぎもん」『耳鼻じび臨床りんしょうだい47かんだい4ごう、2001ねん、275–281ぺーじdoi:10.11334/jibi1954.47.4_275 
  4. ^ よう, 平柳ひらやなぎものい (動揺どうようびょう) 研究けんきゅう現状げんじょう今後こんご展望てんぼう」『人間にんげん工学こうがくだい42かんだい3ごう、2006ねん、200–211ぺーじdoi:10.5100/jje.42.200 
  5. ^ a b 松浦まつうら康之やすゆき, 高田たかだはじめじゅ立体りったい映像えいぞう刺激しげきによる映像えいぞういの生体せいたい影響えいきょう」『日本にっぽん衛生えいせいがく雑誌ざっしだい71かんだい1ごう日本にっぽん衛生えいせい学会がっかい、2016ねん、2-11ぺーじdoi:10.1265/jjh.71.2ISSN 0021-5082NAID 1300051215612021ねん11月11にち閲覧えつらん 
  6. ^ 田川たがわ邦子くにこ物語ものがたりの〈〉としての「足柄あしがら」」『文芸ぶんげい論叢ろんそうだい31ごう、52-58ぺーじ 
  7. ^ ブライアン・レイヴァリちょ増田ますだ義郎よしお武井たけい摩利まりやくふね歴史れきし文化ぶんか図鑑ずかんふね航海こうかい世界せかいゆうしょかん、2007ねんISBN 9784903487021、pp.204-205.
  8. ^ a b フライトの現場げんばですぐに役立やくだつ CA乗務じょうむスキルのポイント (CAのためのスキルアップノート). 小澤おざわ朝子あさこ. (2017ねん7がつ). p. 89. ISBN 9784798051666 

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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