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バーチャル・リアリティ - Wikipedia

バーチャル・リアリティ

技術ぎじゅつひと
仮想かそう現実げんじつから転送てんそう

バーチャル・リアリティえい: virtual reality)とは、コンピューターによってつくされた仮想かそうてき空間くうかんなどを現実げんじつであるかのように疑似ぎじ体験たいけんできる仕組しく[1]。コンピューターによって提供ていきょうされる感覚かんかく刺激しげき (視覚しかくぞうおとなど) をつうじて体験たいけんされる人工じんこうてき環境かんきょうであり、環境かんきょうないこることをひと行動こうどうにより部分ぶぶんてき決定けっていすることができるもの[2]略語りゃくごVR[3]日本語にほんごでは「仮想かそう現実げんじつ」とやくされる(後述こうじゅつ)。

PlayStation VR(2016ねん - )。ソニーによるはつのコンシューマけVR装置そうち対応たいおうソフト(AC7)。した写真しゃしん装着そうちゃく外見がいけんうえ写真しゃしん装着そうちゃくしたひとかんじている世界せかい装着そうちゃくしゃ自分じぶん戦闘せんとう実際じっさい操縦そうじゅうしているようにほぼかんじている。PlayStation VRは視覚しかくだけでなく音響おんきょう技術ぎじゅつでももの方向ほうこうかんじさせ、のう本当ほんとうものがそこにあるとかんじさせる[注釈ちゅうしゃく 1]戦闘せんとう周囲しゅうい風景ふうけいも360ることができ、操縦そうじゅう桿を操作そうさすると自分じぶんっている戦闘せんとう実際じっさい反応はんのう旋回せんかい上昇じょうしょう下降かこう・ロールなどしているようにほぼかんじる。
アメリカ海軍かいぐん利用りようされるVRパラシュート訓練くんれん(2006ねん

概要がいよう

編集へんしゅう

バーチャル・リアリティは、コンピュータによってつくされた世界せかいである人工じんこう環境かんきょうサイバースペース現実げんじつとして知覚ちかくさせる技術ぎじゅつである[4]時空じくうえる環境かんきょう技術ぎじゅつであり、人類じんるい認知にんち拡張かくちょうする[5]

コンピュータグラフィックスなどを利用りようしてユーザに提示ていじするものと、現実げんじつ世界せかい取得しゅとくし、これをオフラインで記録きろくするか、オンラインでユーザに提示ていじするものとに大別たいべつされる。後者こうしゃは、ユーザが遠隔えんかくにいる場合ばあい空間くうかん共有きょうゆう必要ひつようとなり、テレイグジスタンステレプレゼンステレイマージョン英語えいごばんばれる。後者こうしゃは、だい5世代せだい移動いどう通信つうしんシステム(5G)との連携れんけい一層いっそう実現じつげんしやすくなると期待きたいされている。

ユーザーが直接ちょくせつ知覚ちかくできる現実げんじつ世界せかい対象たいしょうぶつたいして、コンピュータがさらに情報じょうほう付加ふか提示ていじするような場合ばあいには、拡張かくちょう現実げんじつAugmented reality)やふくあい現実げんじつMixed reality)とばれる。

現実げんじつ区別くべつできないほど進化しんかした状態じょうたいあらわ概念がいねんとして、シミュレーテッド・リアリティSimulated reality)やアーティフィシャル・リアリティ(Artificial reality)があるが、これはSFや文学ぶんがくなどのなかもちいられる用語ようごである。

商用しょうようとしては、1990年代ねんだい初頭しょとうだい1VRブームが、技術ぎじゅつてき限界げんかいから画面がめん表示ひょうじのポリゴンすう解像度かいぞうどひくく、センサーの精度せいどひくかったため利用りようしゃうごきと画面がめん描画びょうがのズレがきていやすく、VR機器きき値段ねだん非常ひじょう高価こうか普及ふきゅういたらず失敗しっぱいわった。その、2010年代ねんだい初頭しょとうだい2VRブームがきてから商用しょうようすすんだ。ただし、既存きそん平面へいめんディスプレイ完全かんぜん代替だいたいにはいたらず、エンタメを中心ちゅうしんとした限定げんていてき普及ふきゅうとどまっている。

SF作品さくひんにおけるコンセプト段階だんかい

編集へんしゅう

スタンリイ・G・ワインボウムによる1935ねん短編たんぺん小説しょうせつ『Pygmalion's Spectacles』にゴーグルがたのVRシステムが登場とうじょうする[6]。これは、視覚しかく嗅覚きゅうかく触覚しょっかく仮想かそうてき体験たいけんをホログラフィに記録きろくしてゴーグルに投影とうえいするというシステムで、バーチャル・リアリティのコンセプトの先駆さきがけとなった。

技術ぎじゅつ開発かいはつ

編集へんしゅう
 
VR射撃しゃげき訓練くんれん装置そうち(2014ねん
1960年代ねんだい
1962ねんに、映像えいぞう技師ぎしen:Morton HeiligSensoramaというVR体験たいけん装置そうち試作しさく開発かいはつした。これは視覚しかく聴覚ちょうかく嗅覚きゅうかく触覚しょっかく模擬もぎする機械きかい装置そうち(デジタル・コンピュータしきではない)であった。これは、コンピュータのGUI開発かいはつされはじめたころとほぼおな時期じきのことであった。
1968ねんに、ユタ大学だいがくアイバン・サザランド によってヘッドマウントディスプレイ(HMD、頭部とうぶ搭載とうさいがたディスプレイ)のThe Sword of Damocles開発かいはつされたもの[7]最初さいしょのウェアラブルがたのバーチャル・リアリティ装置そうちであるとされる。
1970年代ねんだい
1978ねんに、MIT初期しょきハイパーメディアおよびVRシステムであるen:Aspen Movie Map開発かいはつされた。これはユーザが、仮想かそう世界せかいなかコロラドしゅうアスペン散策さんさくおこなうことができるというシステムであった。ぶしなつふゆえらぶことができた。初期しょきのバージョンは実際じっさい撮影さつえいされた写真しゃしんわせた世界せかいであったが、3はんからは3Dコンピュータ・モデルによって仮想かそう世界せかい再現さいげんされた。
1980年代ねんだい
1982ねんに、アタリはVRの研究けんきゅうチームを創設そうせつしたが2ねん解散かいさんした。
1989ねんジャロン・ラニアー設立せつりつしたVPL Research発表はっぴょうしたVR製品せいひんのデータ・グローブ(Data Glove)・アイ・フォン(Eye Phone)・オーディオ・スフィア(Audio Sphere)の紹介しょうかいから「バーチャル・リアリティ」という言葉ことば一般いっぱんてき使つかわれはじめた[8]
1990年代ねんだい
1991ねんイリノイ大学だいがくのElectronic Visualization LaboratoryのThomas DeFantiらによって、ウェアラブルがたではなく部屋へやかべぜん方位ほうい映像えいぞう投影とうえいして没入ぼつにゅう環境かんきょう構築こうちくするVRシステムが提案ていあんされた。CAVE[9]Cave automatic virtual environment没入ぼつにゅうがた投影とうえいディスプレイ)が有名ゆうめいである。
1992ねん7がつ21にちから7がつ24にちにかけて、NHKNHK衛星えいせいだい2テレビジョン放送ほうそうした『仮想かそう現実げんじつ遊戯ゆうぎ大全たいぜん―ゲーム・ワールドへの招待しょうたいないで、ゲーム業界ぎょうかい関係かんけいしゃのインタビューをまじえて、開発かいはつすすめられているVRを使用しようしたゲームや今後こんごのゲーム業界ぎょうかいについて紹介しょうかいした[10]実際じっさいアーケードゲームのVirtuality 2000(1991ねん)やジョイポリス設置せっちされたVR-1(1994ねん)、Sega VR(1994ねん)や家庭かていようゲームのバーチャルボーイ1995ねん)、PCゲームのVFX1(1995ねん)などが開発かいはつされたが、当時とうじ表示ひょうじ画素がそあらく、トラッキングの精度せいど不十分ふじゅうぶんでコンピュータの処理しょり能力のうりょくかぎられていたこともあり、本格ほんかくてき普及ふきゅうにはいたらなかった[11]
1994ねんには、VRデータようのファイルフォーマットVRML開発かいはつされた。
1997ねんにはCABINが東京大学とうきょうだいがくインテリジェント・モデリング・ラボラトリーに設置せっちされ、2012ねんまで、15年間ねんかんにわたり運用うんようされた[12]岐阜ぎふけん各務原かがみはらのVRテクノセンターには6めん大型おおがたスクリーンでかこんだCOSMOSが設置せっちされた[13][14]
1990年代ねんだいから2000年代ねんだい初頭しょとうにかけて、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)は仮想かそう現実げんじつ表示ひょうじデバイスとしてはてきさないと評価ひょうかされた時期じきがあり、このたね投影とうえいがた表示ひょうじ装置そうち液晶えきしょうシャッタグラスをわせて没入ぼつにゅうがたデジタル環境かんきょう実現じつげんして仮想かそう現実げんじつ研究けんきゅう発展はってん貢献こうけんした時期じきがあったものの、装置そうちおおがかりで設置せっちするための空間くうかん維持いじがかかることもあり、近年きんねんでは一部いちぶのぞき、下火したびになりつつある[15]
2000年代ねんだい
2007ねんGoogleグーグルマップぜん方位ほういパノラマ撮影さつえいされたストリートの風景ふうけい体験たいけんできるストリートビュー機能きのう追加ついかした。
アメリカでは軍隊ぐんたいパラシュート訓練くんれんなどにHMDが使つかわれはじめた。
2010年代ねんだい
2010ねんにGoogleがグーグルマップに3Dモデルを追加ついかした。
2012ねん後半こうはん登場とうじょうしたOculus RiftからVRへの投資とうし加速かそくした[16]
2016ねんValve CorporationSteamVR規格きかく対応たいおうの「HTC Vive」、スマートフォン装着そうちゃくして使つかう"モバイルVR"であるGear VR対応たいおうした『Minecraft』が発売はつばいされた[17]簡易かんいGoogle Cardboard一体いったいがたのオールインワンVRもある[18])。さらにPlayStation 4接続せつぞくするHMDデバイス「PlayStation VR」の登場とうじょうもあり、VR元年がんねんといわれている[19][20]
2017ねんには、世界せかいさんだい映画えいがさいひとつであるヴェネチア国際こくさい映画えいがさい世界せかい先駆さきがけて『VR部門ぶもん』を設立せつりつ日本にっぽんのVR映像えいぞう作品さくひんとしてはアニメーション制作せいさく会社かいしゃプロダクション・アイジーがけたVR映像えいぞう作品さくひん攻殻機動隊こうかくきどうたい しん劇場げきじょうばん Virtual Reality Diver』がはつ正式せいしき招待しょうたい[21]
2019ねん日本にっぽんではNTTメディアサプライが、音楽おんがくライブを高画質こうがしつ・マルチアングル・立体りったい音響おんきょう体感たいかんできるスマートフォンアプリ「REALIVE360」を開発かいはつし、ももいろクローバーZをはじめとするアーティストのライブがコンテンツ提供ていきょうされている[22]

特性とくせい

編集へんしゅう

現代げんだいのバーチャル・リアリティは、3次元じげん空間くうかんせいじつ時間じかん相互そうご作用さようせい自己じこ投射とうしゃせいさん要素ようそともなう(Presence/Interaction/Autonomy)。

視覚しかく聴覚ちょうかく味覚みかく嗅覚きゅうかく前庭ぜんてい感覚かんかくからだせい感覚かんかくなど、多様たようインタフェースマルチモーダル・インタフェース)を利用りようする。

VRゲームの分野ぶんやでは、VR対策たいさくのガイドラインがある[23]

現時点げんじてん実用じつようできるのは視覚しかく聴覚ちょうかくのみであり、操作そうさコントローラおこなうことになる。肉体にくたい操作そうさすることもできるが本質ほんしつてきにはわっていない。

フィクション作品さくひんのように意識いしき肉体にくたい完全かんぜんにその世界せかいはいことは実現じつげんのめどがっていない。また、現実げんじつ世界せかいよりも体感たいかん時間じかんおくらせる理論りろん提唱ていしょうされていない(光速こうそくちか速度そくど移動いどうすると時間じかんながれがはやくなるが、必要ひつようなのはそのぎゃくである)。

基礎きそとなる技術ぎじゅつ応用おうよう

編集へんしゅう

バーチャル・リアリティの技術ぎじゅつ構成こうせいする要素ようそには、コンピュータ科学かがくロボティクス通信つうしん計測けいそく工学こうがく制御せいぎょ工学こうがく芸術げいじゅつ認知にんち科学かがくなどがふくまれる。また、その応用おうよう英語えいごばんは、科学かがく技術ぎじゅつにおける情報じょうほう可視かしen:Scientific visualization)、ソフトウェア構築こうちくセキュリティ訓練くんれん医療いりょう芸術げいじゅつなどと幅広はばひろい。たとえば、VRにかんするIEEEACM国際こくさい会議かいぎなどではつぎのようなセッションが準備じゅんびされている。

PC
PlayStation
Nintendo Switch
モバイル
MR(Mixed Reality、ふくあい現実げんじつ

VRのさまざまな利用りよう

編集へんしゅう

バーチャル・リアリティは、コンピューターゲーム、エレクトロニック・スポーツ(eスポーツ)、メタバースなどに利用りようされている。

VRの映像えいぞうとおしておこなわれるeスポーツでは、Space JunkiesやHADO Xballなどのシューティングゲーム(STG)や球技きゅうぎたゲームが有名ゆうめいであり、大会たいかいひらかれている[26]現在げんざいでは、VirtuixしゃのVirtuix Omniなど装置そうちうえはしることができるVR機器きき開発かいはつされている。

バーチャル・リアリティは新型しんがたコロナウイルス影響えいきょう試合しあい観戦かんせんひとあつめられない状況じょうきょうなか仮想かそう空間くうかんとおして試合しあい観戦かんせんする手段しゅだんとして活用かつようされた。2020ねん8がつCyberZしゃ開催かいさいしたRAGE ASIA2020というeスポーツの大会たいかいで、VR技術ぎじゅつ活用かつようし、eスポーツ観戦かんせんやイベント体験たいけんができる日本にっぽんはつのバーチャル空間くうかん「V-RAGE(ブイレイジ)」が発表はっぴょうされた[27]だい5世代せだい移動いどう通信つうしんシステムen:5G回線かいせん普及ふきゅうにより通信つうしん環境かんきょう整備せいびされることでサービスの快適かいてきすすめられている。

VRの医療いりょうめんにおける活用かつよう

編集へんしゅう

VR技術ぎじゅつ医療いりょうめんにおける活用かつよう研究けんきゅうはじまっており、日本にっぽんIBM順天堂大学じゅんてんどうだいがくは、医療いりょう分野ぶんやにおける仮想かそう空間くうかん研究けんきゅうおこなっている。これは、患者かんじゃ来院らいいんまえまえもって入院にゅういん治療ちりょう体験たいけんするもので、従来じゅうらい口頭こうとうによる複雑ふくざつ治療ちりょう説明せつめいをよりかりやすくし、患者かんじゃ治療ちりょうたいする理解りかいふかめることを目的もくてきとしている[28]類似るいじみは海外かいがいにもあり、マレーシアの病院びょういんグループであるIHHヘルスケアとインドネシアのシロアム・インターナショナル・ホスピタルズが、移動いどう制限せいげんのある患者かんじゃらのための遠隔えんかく診療しんりょう一環いっかんとしてVRをもちいた研究けんきゅうおこなっている[29]

また、VRによる暴露ばくろ療法りょうほうもちいた不安ふあん障害しょうがいうつびょう改善かいぜん目的もくてきとした研究けんきゅう存在そんざいする。 患者かんじゃへの負担ふたん時間じかんめん費用ひようめんなどの課題かだいがある暴露ばくろ療法りょうほうだが、実際じっさい状況じょうきょう用意よういするのではなくVRを使用しようすることでこれらを大幅おおはばおさえることが出来できじょう画面がめんながめるよりも没入ぼつにゅうかんがあるためより現実味げんじつみのある状況じょうきょう再現さいげん可能かのうとなり、治療ちりょう効果こうかたかまるとされている[30]

VRの課題かだい

編集へんしゅう
子供こども視神経ししんけいへの配慮はいりょ
10さい未満みまん子供こどもがVRデバイスを利用りようして斜視しゃしになった症例しょうれいが、過去かこいちけんだけ報告ほうこくされている[31]幼少ようしょう筋肉きんにく視力しりょく発達はったつ途中とちゅうで、大人おとなよりも悪影響あくえいきょうおよぼしやすいとされる。ちなみに立体りったい細胞さいぼうは6さいまでに形成けいせいされ、瞳孔どうこうあいだ距離きょりについては10さいごろまでに発達はったつするため、VRデバイスの業界ぎょうかい標準ひょうじゅんでは「対象たいしょう年齢ねんれい13さい以上いじょう」などと表示ひょうじするなど保守ほしゅてき設定せっていとなりつつある[32]
VRいとその軽減けいげん
ひとにより程度ていどおおきくことなるが、VRを使つかって平気へいきひとがいる一方いっぽうでVRの映像えいぞうによって「VRい」をこし頭痛ずつうもよおひとがそれなりの割合わりあいいる。PlayStation VRでは健康けんこうのための注意ちゅういとして映像えいぞうじょうひかり表現ひょうげんひかり刺激しげき)によって痙攣けいれん意識いしき障害しょうがいなどの発作ほっさきることがあるとしており、頭痛ずつう、めまい、などからだ不快ふかいかんかんじたときはすぐに使用しよう中止ちゅうしして、なおらない場合ばあい医師いし診察しんさつけることなどを注意ちゅういをしている[33]。VRいはなぜこるのか完全かんぜん解明かいめいはされてはいないが、視覚しかくけい前庭ぜんていけいあいだでミスマッチがしょうじることではないかとされている[34]開発かいはつがわでもこれらの問題もんだい認識にんしきされており、不快ふかいかん軽減けいげんするため視点してん移動いどう速度そくどやゲームない重力じゅうりょく調整ちょうせいするなどの対策たいさくおこなわれている[35]
普及ふきゅう速度そくどおそさ、その理由りゆう、メーカーへの負荷ふか
2016ねんはVR元年がんねんといわれ、VRがブームになるだろうと期待きたいされていたのだが、VR元年がんねんから1ねんがたった2017ねんぶたけてみるとVRヘッドセットげはなやんでいた[36]毎年まいとしのようにブレイク寸前すんぜんといわれるも、実態じったいともなわない状況じょうきょうつづいた[37]。デジタルマーケティング調査ちょうさ会社かいしゃのスライブ・アナリティクスが2017ねん3がつに「VRヘッドセットの購入こうにゅうかんがえていない」とはなすインターネット利用りようしゃ対象たいしょうにその理由りゆうくと「値段ねだんたかくコンテンツがすくない」「ものいになりそう」などの回答かいとうがあった。なかでも一番いちばんおお回答かいとうが「単純たんじゅん興味きょうみがない」で53%だった[38]
VRのようなデバイスは任天堂にんてんどうバーチャルボーイ、マイクロソフトKinect立体りったいテレビ放送ほうそう商業しょうぎょうてき失敗しっぱいしたものがおお[39]中国ちゅうごくではVRスタートアップの9わり倒産とうさんしたと中国ちゅうごくのメディアがほうじている[40]。グーグルはスマホVRで勝負しょうぶたが撤退てったいした[41][42]
市場いちば調査ちょうさ会社かいしゃのIDCのデータでは、VR/ARヘッドセット市場いちばは2022ねん初頭しょとうから23ねんにかけて54%減少げんしょう。メタのヘッドセットを購入こうにゅうした消費しょうひしゃ半数はんすう以上いじょうが、6カ月かげつ以内いない使用しよう中止ちゅうししたと報告ほうこくされている[43]

VRをあつかった作品さくひん

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映画えいが
小説しょうせつ
漫画まんが
ドラマ
アニメ
ゲーム
戯曲ぎきょく

バーチャル・リアリティという言葉ことばについて

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バーチャル・リアリティ

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バーチャル・リアリティ/virtual realityは、もともとシュルレアリスム詩人しじんアントナン・アルトー造語ぞうご[45]した芸術げいじゅつ用語ようごであった。現在げんざいのような意味いみでは「バーチャル・リアリティのちち[46][47]ばれるジャロン・ラニアーらが普及ふきゅうさせた。

「バーチャル・リアリティ」は、たとえば、人間にんげんけない場所ばしょでのロボット操作そうさなどの応用おうようや、コンピュータじょうつく仮想かそう空間くうかん現実げんじつであるかのように知覚ちかくさせることなどに使用しようされる。現実げんじつ光景こうけいにさまざまなデジタル情報じょうほうかさわせて表示ひょうじする技術ぎじゅつ拡張かくちょう現実げんじつ(Augmented Reality)とはことなる。

1990年代ねんだいはじめまで「人工じんこう現実げんじつかん/artificial reality」という言葉ことばがあったが、「仮想かそう現実げんじつ/virtual reality」にされて衰退すいたいした[48]

仮想かそう現実げんじつ

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バーチャルな自然しぜんである枯山水かれさんすいかり山水さんすいとも[48]

英語えいごの "virtual" は本来ほんらい厳密げんみつにはことなるがほとんど同様どうようの」という意味いみであり、「バーチャル・リアリティ」はそのいちれいである。一方いっぽう自然しぜん科学かがく分野ぶんや文脈ぶんみゃくにおいては「物理ぶつりてきには存在そんざいしないもののそのようにみえる」という意味いみもちいられ、電子でんし工学こうがく用語ようご仮想かそう接地せっちという用語ようご英文えいぶんは「Virtual ground」とばれている。実際じっさい接地せっちされているわけではないが、理屈りくつじょう接地せっちしているという概念がいねんである)。

仮想かそう」という言葉ことばは、本来ほんらいは「かり想定そうていすること」を意味いみするが(仮想かそうてき/imaginary enemyなど)、コンピュータ関連かんれん文脈ぶんみゃくにおいては、上記じょうきのような意味いみにおける "virtual" の訳語やくごとしてもちいられている(仮想かそうドライブ/virtual drive など)。よって"virtual reality" は「仮想かそう現実げんじつ」とやくされる。

明治めいじ時代じだい日本にっぽんでは「つよキ」「のうアル」「ハタラキアル」などとやくされたが、物理ぶつりがく学術がくじゅつ用語ようごとして「きょ」「かりかりきゅう字体じたい)」があてられ、虚像きょぞう/virtual imageなどの言葉ことばまれている。すくなくとも1928ねんには『物理ぶつりがく用語ようごしん辞典じてん』において「假想かそう」のわけ存在そんざいしており、その定着ていちゃくしたものとみられ、1972ねん日本にっぽんIBMがvirtual storageを「仮想かそう記憶きおく装置そうち」とやくしたさいには、とく異論いろんなかった[48]

しかし現在げんざい使つかわれている「仮想かそう」は原義げんぎよりもきょかんじがあり、誤解ごかいあたえかねない訳語やくごであるとしてべつ訳語やくごをあてるべきとの意見いけんが1990年代ねんだいなかごろからある[48]東京大学とうきょうだいがく大学院だいがくいん教授きょうじゅ当時とうじ)のたては、2005ねん日本にっぽんバーチャル・リアリティ学会がっかいだい10かい大会たいかいにおいて、バーチャル・リアリティの訳語やくごとして、「 現実げんじつ」というかたり提案ていあんした。 はこのために提案ていあんされた国字こくじで、立心偏りっしんべんきゅう字体じたい)とき、「ジツ」または「ばーちゃる」と[49][50][51]

その言語げんごでは、virtual realityにたいし、簡体字かんたいじではきょ拟现实(きょなずらえ現実げんじつ)、繁体字はんたいじではきょなずらえじつさかいきょなずらえじつさかい)をあてている。

バーチャル・リアリティにかんする感想かんそう
ASCIIしゃ高橋たかはし幸治こうじは2016ねんに「よくよくかんがえてみると、これまでのテクノロジーとメディアの歴史れきしというのは、人間にんげんが <<ここ>> ではない場所ばしょ情報じょうほうや <<いま>> ではない時代じだい情報じょうほうを、なんとかして時空じくうえて現前げんぜんさせようとする、まさに仮想かそう現実げんじつもとめてきた結果けっか。VR元年がんねんじつ人間にんげん歴史れきしとともにはじまったとえるようなもする 」[52]感想かんそうべた。

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 2しゅ以上いじょう感覚かんかく連動れんどう辻褄つじつまった刺激しげきあたえることをクロスモーダルという[1]。クロスモーダル方式ほうしきかくものごとに複数ふくすう感覚かんかく辻褄つじつまのあった感覚かんかく刺激しげきあたえると、のうは "これは現実げんじつだ フィクションではない" といわば勝手かってかんじる。つまり "リアルさ" が格段かくだんす。

出典しゅってん

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  41. ^ さよなら、Google――かれらは本当ほんとうにVRから撤退てったいするのか? - Mogura VR News
  42. ^ スマホでVRは終焉しゅうえんへ、グーグルはなぜ失敗しっぱいしたのか(2ページ) | 日経にっけいクロステック(xTECH)
  43. ^ アップルの“あたらしいVRデバイス”は、あらたなテクノロジーのなみ到来とうらいうらな試金石しきんせきになる
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参考さんこう文献ぶんけん

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  • 廣瀬ひろせ小木おぎ石綿いしわた山田やまだ、「多面ためんがたぜんてんしゅうディスプレイ (CABIN) の開発かいはつとその評価ひょうか」、電子でんし情報じょうほう通信つうしん学会がっかい論文ろんぶん、D-II Vol.J 81-D-II, No.5, pp.888-896,1998
  • 没入ぼつにゅうがたディスプレイの特性とくせい応用おうよう展開てんかい
  • さよなら CABIN - 日本にっぽんバーチャルリアリティ学会がっかい
  • たいらしゃようじん, めいくも武文たけふみ, 長谷川はせがわしん視覚しかく奥行おくゆ空間くうかん周波数しゅうはすう特性とくせい測定そくていかんする研究けんきゅう : 優位ゆういによる奥行おくゆきLSFの非対称ひたいしょうせい』, 一般いっぱん社団しゃだん法人ほうじん 映像えいぞう情報じょうほうメディア学会がっかい テレビジョン学会がっかい技術ぎじゅつ報告ほうこく, 1995ねん, 19 (6), 13-18

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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