太陽暦たいようれき

太陽暦たいようれき（たいようれき、英えい: solar calendar）とは、地球ちきゅうが太陽たいようの周まわりを回まわる周期しゅうき（太陽年たいようねん）を基もとにして作つくられた暦こよみ（暦法れきほう）である。1年ねんの日数にっすうを1太陽年たいようねんに近似きんじさせている。ユリウス暦れきや、現在げんざい、世界せかいの多おおくの地域ちいきで使用しようされているグレゴリオ暦れきは、太陽暦たいようれきの1種しゅである。似にている言葉ことばとして、太陰暦たいいんれきがあるがこれとは異ことなる。

簡単かんたんに説明せつめいすると、太陽たいようを基準きじゅんにして1年ねんを基本きほん的てきに365日にちとし、12か月げつに分わけることである。

概要がいよう

太陽暦たいようれきは、地球ちきゅうが太陽たいようの周まわりを回まわる周期しゅうき（太陽年たいようねん）を基もとにしている。太陽年たいようねんの周期しゅうきは、約やく365.242 189 44日にち（2015年ねん年央ねんおう値ち）^[1]であり、1年ねんを単純たんじゅんに365日にちとすると4年ねんでほぼ1日にち（より正確せいかくには、約やく0.968 758 日にち）のずれが生しょうじる。このずれを補正ほせいするために閏うるう日びが設もうけられる。

エジプトでは、太陽暦たいようれきは歴史れきしが始はじまってから使つかわれてきた^[2]。ローマ共和きょうわ国こく（ロろーマ帝国まていこくの前身ぜんしん）では、紀元前きげんぜん46年ねんに従来じゅうらいの太陰たいいん太陽暦たいようれきであるローマ暦れきに代かえて導入どうにゅうされた^[2]。そのとき導入どうにゅうしたカエサルの名なをとってユリウス暦れきと呼よばれる。その後ご、1582年ねんに、ユリウス暦れきの補正ほせいの仕方しかた（置おけ閏うるう法ほう）を改良かいりょうしたグレゴリオ暦れきがローマ教皇きょうこうグレゴリウス13世せいにより制定せいていされ、その後ご世界中せかいじゅうに普及ふきゅうした。

日本にっぽんと太陽暦たいようれき

日本にっぽんでは、明治めいじ5年ねん12月2日にち（西暦せいれき1872年ねん12月31日にち）まで太陰たいいん太陽暦たいようれきが使用しようされていたが、その翌日よくじつにあたる西暦せいれき1873年ねん1月がつ1日にちより太陽暦たいようれきであるグレゴリオ暦れきを導入どうにゅうし、この日ひを明治めいじ6年ねん1月がつ1日にちとした。

この布告ふこくを明治めいじ5年ねん11月9日にちに行いった明治天皇めいじてんのうは、太政大臣だじょうだいじん三条さんじょう実美みみに改暦かいれきを行おこなう理由りゆうを記しるした詔みことのりを与あたえた。太陽たいようの軌道きどうに合あわせるため、二に、三さん年ねんごとに閏月じゅんげつを挿入そうにゅうしなければならない太陰暦たいいんれきは極きわめて不便ふべんであること、それに比くらべて太陽暦たいようれきははるかに正確せいかくで四よん年ねんごとに一いち日にちを加くわえるだけで済すむこと、しかもそこから生しょうじる誤差ごさは七なな千せん年ねんに一いち日にちの割合わりあいに過すぎないことを太陽暦たいようれき採用さいようを決断けつだんした理由りゆうであるとしている^[3]。月つきの運行うんこうに関かんする天文てんもん現象げんしょうとそれに基もとづく暦法れきほうとの対比たいひ .これに合あわせて時どき法ほうも改正かいせいされ、定時ていじ法ほうに基もとづく24時じ間あいだ制せいが採用さいようされた。日本にっぽんの国際こくさい社会しゃかいへの参加さんかが進すすむにつれ、外交がいこう上じょうおよび経済けいざい上じょうの互換ごかん性せいの必要ひつよう性せいから必然ひつぜん的てきな帰結きけつだったと言いえる^[4]。

それ以前いぜんにも太陽暦たいようれきは、古ふるくは戦国せんごく時代じだいの末すえ頃ごろよりキリシタンの人々ひとびとの間あいだで使つかわれてきた^[2]^[5]。江戸えど時代じだいの本多ほんだ利明としあきは太陽暦たいようれきの便利べんりさを説といている。中井なかい履軒りけんや山片やまがた蟠わだかま桃ももは、太陽暦たいようれきの見本みほんを作つくった^[6]。蘭学らんがく医いの大槻おおつき玄沢げんたくは、寛政かんせい6年ねん閏うるう11月がつ11日にち（西暦せいれき1795年ねん1月がつ1日にち）にオランダ正月しょうがつを開催かいさいした。安政あんせい元年がんねん（西暦せいれき1854年ねん）以降いこう、天文てんもん方かたの渋川しぶかわ景けい祐ゆうによって太陽暦たいようれきと太陰暦たいいんれきの対照たいしょう表ひょうである「万国ばんこく普通ふつう暦れき」が刊行かんこうされた^[2]^[7]。