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方程式 - Wikipedia

方程式ほうていしき

1つ以上いじょう変数へんすうふく等式とうしき

数学すうがくにおいて方程式ほうていしき(ほうていしき、えい: equation)とは、未知数みちすうである変数へんすうふく等式とうしきである[ちゅう 1]

ロバート・レコードによる The Whetstone of Witte (1557) にしるされている、もっとふる方程式ほうていしき14x + 15 = 71あらわしている。

方程式ほうていしきりたせる未知数みちすう方程式ほうていしきかい(かい、えい: solution)という[ちゅう 2][ちゅう 3]かいもとめることを方程式ほうていしき(とく、えい: solve)という。

方程式ほうていしきには様々さまざま種類しゅるいがあり、数学すうがくのすべての分野ぶんやにおいてにする。方程式ほうていしき調しらべるために使つかわれる方法ほうほう方程式ほうていしき種類しゅるいおうじてことなる。

かく分野ぶんや

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代数だいすうがくとくに2種類しゅるい方程式ほうていしき研究けんきゅうする:多項式たこうしき方程式ほうていしきと、なかでもいち方程式ほうていしきである。多項式たこうしき方程式ほうていしきは、P をある多項式たこうしきとして、P(X) = 0かたちである。線型せんけい方程式ほうていしきは、a線型せんけい写像しゃぞうbベクトルとして、a(x) + b = 0かたちである。それらをくために、線型せんけい代数だいすうがく解析かいせきがくからる、アルゴリズムてきあるいは幾何きかがくてき手法しゅほうもちいる。変数へんすううご範囲はんいえることにより方程式ほうていしき性質せいしつ大幅おおはばわりる。代数だいすうがくディオファントス方程式ほうていしき、すなわち係数けいすうかい整数せいすう方程式ほうていしき研究けんきゅうする。もちいられる手法しゅほうことなり、本質ほんしつてきかずろんのものである。これらの方程式ほうていしき一般いっぱんむずかしい。しばしばかい存在そんざいあるいは存在そんざい決定けっていし、存在そんざいするときはその個数こすう調しらべるだけである。

幾何きかがく図形ずけい記述きじゅつするために方程式ほうていしき利用りようする。目的もくてきはやはりまえ場合ばあいとはことなり、方程式ほうていしき幾何きかがくてき性質せいしつ調しらべるために利用りようされる。この文脈ぶんみゃくでは方程式ほうていしき種類しゅるいに2つのおおきなものがある。直交ちょっこう座標ざひょうけいにおける方程式ほうていしきパラメトリック方程式ほうていしきである。

解析かいせきがくf(x) = 0かたち方程式ほうていしき研究けんきゅうする。ここで f は、連続れんぞく微分びぶん可能かのう収縮しゅうしゅく、といったあるしゅ性質せいしつった関数かんすうである。解析かいせきがく手法しゅほうでは方程式ほうていしきかい収束しゅうそくするれつ構成こうせいできる。目的もくてきはできるだけ正確せいかくかいもとめられるようにすることである。

微分びぶん方程式ほうていしきは1つ以上いじょう関数かんすうとそのしるべ関数かんすうふく方程式ほうていしきである。しるべ関数かんすうふくまない関数かんすう表示ひょうじつけることによってかれる。微分びぶん方程式ほうていしき連続れんぞくてき変化へんか対象たいしょうのダイナミクスを調しらべるためにしばしば利用りようされる。微分びぶん方程式ほうていしきによって特徴とくちょうづけられる連続れんぞくてき数理すうりモデルは、物理ぶつりがく化学かがく生物せいぶつがく経済けいざいがくなど様々さまざま分野ぶんやにおいて、それぞれの対象たいしょうたいもちいられる。

力学りきがくけいは、かいれつあるいは1変数へんすうあるいは変数へんすう関数かんすうであるような方程式ほうていしきによって定義ていぎされる。中心ちゅうしんてき問題もんだいが2つある。はじめ状態じょうたい(しじょうたい、えい: initial state)と漸近ぜんきんてき挙動きょどう(ぜんきんてききょどう、えい: asymptotic behaviour)である。かく初期しょき条件じょうけんたとえばれつあるいは関数かんすう0 での、にたい方程式ほうていしき一意いちいかいつ。大抵たいていけいについて、はじめ状態じょうたいすこしだけ変更へんこうした場合ばあいかいもまたわずかだけ変化へんかすることが期待きたいされ、実際じっさいそのようにう。しかしすべての場合ばあいでそうというわけではなく、あるはじめ状態じょうたい近傍きんぼうではかいいちじるしくことなることがある。このような初期しょき条件じょうけんかんする鋭敏えいびんせいだいいち問題もんだい目的もくてきである。かい極限きょくげんでのあるいは漸近ぜんきんまといは変数へんすう無限むげんだいくときのかいかたち対応たいおうし、このいがだい問題もんだい目的もくてきである。かい発散はっさんしなければ、つぎのいずれかとなる。1つのちかづくか、あるいは、循環じゅんかんてきい(周期しゅうき関数かんすうか、おな有限ゆうげん集合しゅうごうおな回数かいすうずっとうごつづけるれつ)にちかづくか、あるいは、かい定義ていぎにより決定的けっていてきであったとしてもランダムに進展しんてんするようにえるカオスいをする。

概要がいよう

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方程式ほうていしきもっと典型てんけいてきかたち未知数みちすう (unknown) とばれるこうふくんだ等式とうしきである。方程式ほうていしきにおける未知数みちすうはしばしば x などの特定とくてい慣習かんしゅうてき文字もじによってあらわされ、「様々さまざまえるかずである」という観点かんてんから変数へんすう (variable) とばれたり、あるいは「特定とくていつわけではない」という観点かんてんから不定ふていもと (indeterminate, indeterminant) とばれることもある。

方程式ほうていしきふくまれる変数へんすうたいして、へんいきばれるある特定とくてい範囲はんい変数へんすうえる操作そうさかんがえることができるが、これは代入だいにゅうばれる。かく変数へんすう代入だいにゅうされるべきものは、数値すうち関数かんすうしきなど様々さまざまであり、それぞれの変数へんすうがどのようなへんいきつかは文脈ぶんみゃく依存いぞんしている。

未知数みちすう代入だいにゅうおこなわれてはじめて、方程式ほうていしき等式とうしきとして成立せいりつするかかの評価ひょうかおこなわれる。そして、あたえられた方程式ほうていしき等式とうしきとして成立せいりつさせるような未知数みちすう方程式ほうていしきかいび、方程式ほうていしきかいすべもとめることを方程式ほうていしき[ちゅう 4]。ふつう方程式ほうていしきかいへんいきのとりうる任意にんいではなく、なんらかの特定とくてい制限せいげんけ、ときには存在そんざいしない場合ばあいすらありうる。

実数じっすう(または単位たんいてきたまき全体ぜんたいへんいきとする変数へんすう xかんする等式とうしき

 

のような、変数へんすうにどんな代入だいにゅうしても方程式ほうていしきはそのへんいきじょう恒等こうとうしきばれる。

一般いっぱんには1つの方程式ほうていしき変数へんすうが1つであるとはかぎらない。代入だいにゅうさいおな文字もじおなをとるという約束やくそくした変数へんすう複数ふくすう存在そんざいする方程式ほうていしき多元たげん方程式ほうていしきあるいは変数へんすう方程式ほうていしき (multiple variable equation) などとう。あるいはさらに、方程式ほうていしきとしてあたえられる等式とうしきが1つである必要ひつようはない。方程式ほうていしきが1つではなく複数ふくすうあるとき、やはりおな文字もじ同時どうじおなをとるという前提ぜんていつならば、方程式ほうていしきけいをなす連立れんりつするなどとい、その複数ふくすうほん方程式ほうていしきいちくくりにして方程式ほうていしきけい(ほうていしきけい、system of equations)もしくは連立れんりつ方程式ほうていしき(れんりつほうていしき、simultaneous equation)などとぶ。

分類ぶんるい

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あたえられた等式とうしきがどのようなものであるかということによって、方程式ほうていしきにはいくつかの分類ぶんるいがある。以下いか代表だいひょうてき方程式ほうていしき種類しゅるいげる。

代数だいすう方程式ほうていしき

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両辺りょうへん多項式たこうしき (polynomial) とする等式とうしきによってあらわされた方程式ほうていしき代数だいすう方程式ほうていしきう。多項式たこうしき p(·) によってあたえられる変数へんすうくみ (x, y, z,...)未知数みちすうとする方程式ほうていしき[ちゅう 5]

 

かい (x, y, z,...) のことを p (root) またはれいてん (zero) ともう。代数だいすう方程式ほうていしきはさらに、いち方程式ほうていしき方程式ほうていしきといったように、多項式たこうしき次数じすう (degree) d により d 方程式ほうていしき (d-ic equation,[ちゅう 6] d th degree equation) に分類ぶんるいされる。

よん以下いか一変いっぺんすうだいすう方程式ほうていしき多項式たこうしき係数けいすうかんする四則しそく演算えんざん根号こんごうもちいてかいあらわすことができる。代数だいすう方程式ほうていしきかいのようすを調しらべる研究けんきゅうは、ぐん概念がいねん導入どうにゅうなど、ガロア理論りろんはじめとする19世紀せいき代数だいすうがく発展はってんおおきな原動力げんどうりょくの1つとなった。

歴史れきしじょう数学すうがく発展はってんにおいて様々さまざま代数だいすう方程式ほうていしきかいもとめるこころみはそれまでになかったあたらしいかず体系たいけいしてきている。そのもっとふるれいとして、古代こだいギリシアにおける無理むりすう発見はっけんをもたらした、正方形せいほうけいあたり対角線たいかくせん xかんする方程式ほうていしき[ちゅう 7]

 

げられる。さらに、さん方程式ほうていしき

 

実数じっすうかい表示ひょうじあたえるカルダノの公式こうしき

 

複素数ふくそすう発見はっけんにつながった。また、量子力学りょうしりきがくにおける粒子りゅうし位置いち運動うんどうりょうあいだせいじゅん交換こうかん関係かんけい

 

けい状態じょうたい通常つうじょうかず(C すうclassical number)のくみでなく作用素さようそあたえるはんれいをもたらした。

関数かんすう方程式ほうていしき

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かず等式とうしきではなく関数かんすう等式とうしきあたえられる方程式ほうていしき関数かんすう方程式ほうていしきぶ。

 

関数かんすう方程式ほうていしきによって決定けっていされる関数かんすう未知みち関数かんすう (unknown function) とび、方程式ほうていしきちゅうのそれ以外いがい関数かんすう既知きち関数かんすう (known function) として区別くべつされる。とく関数かんすうとそのしるべ関数かんすうたいして関係かんけいしきあたえることでられる微分びぶん方程式ほうていしきは、物理ぶつりがく研究けんきゅうから興味深きょうみぶか実例じつれいあたえられ、ぎゃくにその研究けんきゅう成果せいか物理ぶつりがく寄与きよするなど、物理ぶつりがくとの関連かんれんふかい。一方いっぽう純粋じゅんすい数学すうがくてきにはそう理論りろんなどとむすびついて興味深きょうみぶか結果けっかられている。微分びぶん方程式ほうていしきはさらに常微分じょうびぶん方程式ほうていしきへん微分びぶん方程式ほうていしきけられる。

連続れんぞくてき変数へんすうかんする微分びぶん近似きんじとして、離散りさんけいにおける差分さぶんによって定式ていしきされた差分さぶん方程式ほうていしき考察こうさつがしばしば有用ゆうようである。微分びぶん方程式ほうていしき差分さぶん方程式ほうていしきでは様々さまざま類似るいじ概念がいねん類似るいじ手法しゅほう並行へいこうして通用つうようするため、おな事象じしょう連続れんぞくてき側面そくめん離散りさんてき側面そくめんとをあらわしているとかんがえることもできる。

また、方程式ほうていしきかたちのみならず「かさわせの原理げんりはたらく」かかという、かい状態じょうたいについての分類ぶんるいかんがえられる。かいかさわせがかんがえられる方程式ほうていしき線型せんけい方程式ほうていしき、そうでないものを線型せんけい方程式ほうていしきぶ。かいかさわせはベクトル空間くうかん概念がいねんむすびつき、線型せんけいせいという観点かんてんから線型せんけい代数だいすうがく様々さまざま概念がいねん手法しゅほう適用てきようすることが可能かのうになる。とくに微分びぶん方程式ほうていしき代数だいすうてきあつかうという立場たちばにおいては線型せんけい微分びぶん方程式ほうていしきもっと基本きほんてき対象たいしょうとなる。

重要じゅうよう数学すうがくてき概念がいねん導入どうにゅう発展はってんをもたらした関数かんすう方程式ほうていしきに、ねつ方程式ほうていしきちょう幾何きか関数かんすう微分びぶん方程式ほうていしき積分せきぶんけいたいするKdV方程式ほうていしきKZ方程式ほうていしきげられる。

関数かんすう方程式ほうていしきかい種類しゅるい

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微分びぶん方程式ほうていしき差分さぶん方程式ほうていしきかいは、一般いっぱんかい特異とくいかいとに分類ぶんるいされることがある。

一般いっぱんかい
微分びぶん方程式ほうていしき差分さぶん方程式ほうていしきかいおおくは、積分せきぶん定数ていすうなどの任意にんい定数ていすうや、任意にんい関数かんすうふくかたち記述きじゅつされることがおおい。たとえば、n かい常微分じょうびぶん方程式ほうていしきであれば n 積分せきぶん定数ていすうつ。このように、任意にんい定数ていすう任意にんい関数かんすうふくかたちかれるかいのことを 一般いっぱんかい (general solution) とう。また、一般いっぱんかいふくまれる個々ここかいのことを特殊とくしゅかい (particular solution) あるいはとくかいう。一般いっぱんかいふくまれる任意にんい定数ていすうや、任意にんい関数かんすう特定とくてい関数かんすうあたえることによってられるかいすべ特殊とくしゅかいである。一般いっぱんかい任意にんい定数ていすう係数けいすうとする関数かんすう線型せんけい結合けつごうあらわされる場合ばあい、この既知きち関数かんすうくみ基本きほんかいけいび、その要素ようそ基本きほんかい (elementary solution) とう(基本きほんかいけいたん基本きほんかいぶこともある)。


特異とくいかい
一般いっぱんかいはその名前なまえから「方程式ほうていしきかいのすべてを表現ひょうげんしたもの 」と誤解ごかいされることがおおいが、一般いっぱんかいだけでは表現ひょうげんできないかい存在そんざいすることがある。この一般いっぱんかいあらわされないかい特異とくいかい (singular solution) とう。

有名ゆうめいれいとしては、クレローの方程式ほうていしき

 

は、一般いっぱんかい

 

ほか特異とくいかい

 

つ。

自然しぜん科学かがくにおける方程式ほうていしき

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自然しぜん科学かがくあつか様々さまざまりょうあいだ関係かんけい方程式ほうていしきとして記述きじゅつされている。とくに17世紀せいきガリレイケプラー以降いこう物理ぶつりがくにおける種々しゅじゅ基本きほんてき法則ほうそくはふつう数学すうがくてき方程式ほうていしきによってあらわされてきた。また、化学かがくにおける様々さまざま媒質ばいしつ平衡へいこう状態じょうたい生物せいぶつがくにおけるだい規模きぼ個体こたいぐんにおける個体こたいすう変移へんいかんする種々しゅじゅ法則ほうそく数学すうがくてき方程式ほうていしきによってあらわされている。

転用てんよう表現ひょうげん

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俗語ぞくごとしてしょ問題もんだい解決かいけつするときもっと適切てきせつ方法ほうほうという意味いみ転用てんようして使つかわれることもある。れいとしては「恋愛れんあい方程式ほうていしき」、勝利しょうり方程式ほうていしきなどがあり、スポーツ新聞しんぶんもの分類ぶんるいされるような書籍しょせき、インターネットじょう一般いっぱんサイトなど、さして形式けいしきらないではしばしば見受みうけられる。この意味いみでは「公式こうしき」も同様どうよう使つかわれる。

ただし、「公式こうしき」の場合ばあいは、俗称ぞくしょう一般いっぱんてき用語ようご両方りょうほうとも解決かいけつさくである。しかし、「方程式ほうていしき」の場合ばあい俗称ぞくしょうでは解決かいけつさくであるが、一般いっぱんてきにはほんこうしめとお解決かいけつしていない問題もんだいふく等号とうごうむすんだたんなるしきのことである。

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ "=" という記号きごうロバート・レコード (Robert Recorde, 1510–1558) によって発明はつめいされた。おなながさの平行へいこう直線ちょくせんよりもひとししかりるものは存在そんざいしないとかんがえた。
  2. ^ 関数かんすう最小さいしょうする変数へんすうは「最小さいしょうかい」とばれる。
  3. ^ かい近似きんじなされる変数へんすうは「近似きんじかい」、「収束しゅうそくかい」などとばれる。
  4. ^ 一般いっぱんに「方程式ほうていしき方法ほうほう」はかならずしも存在そんざいするわけではない。
  5. ^ 等式とうしき両辺りょうへんから1つの多項式たこうしききすることはいつでもできるため、等式とうしき一方いっぽうあたりをゼロにするようにざんをすることで、かくあたり多項式たこうしきを1つのあたりにまとめることができる。したがって一般いっぱん代数だいすう方程式ほうていしきかなら以下いかかたちあらわすことができる。
  6. ^ d にはラテン語らてんごかギリシア数詞すうしはいる。d = 2 なら quadratic, d = 4 なら quartic, d = 5 なら quintic など。例外れいがいとして、d = 1 なら linear, d = 3 なら cubicばれる。
  7. ^ この方程式ほうていしきせい2の平方根へいほうこん 2 である。このかず整数せいすうあらわすことができない

参考さんこう文献ぶんけん

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  • Frege, Gottlob (1884). Die Grundlagen der Arithmetik: Eine logisch mathematische Untersuchung über den Begriff der Zahl. Breslau: Koebner,  (Nachdruck herausgegeben von Joachim Schulte, Reclam Verlag, 1986, Ditzingen)
  • Russell, Bertrand (1919). Introduction to Mathematical Philosophy. London: George Allen and Unwin,  (reprinted with intro. by John G. Slater, Routledge, 1993, London)

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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