日本国にっぽんこく政府せいふ専用せんよう機き

日本国にっぽんこく政府せいふ専用せんよう機き（にほんこく／にっぽんこくせいふせんようき）は、日本国にっぽんこく政府せいふが所有しょゆう・運航うんこうを行おこない、皇族こうぞくや政府せいふ要人ようじんの輸送ゆそう、在外ざいがいの自じ国民こくみん保護ほごなどのために使用しようされる航空機こうくうき（政府せいふ専用せんよう機き）である。防衛ぼうえい省しょうの航空こうくう自衛隊じえいたいが管理かんりおよび運用うんようしている。

概説がいせつ

2019年ねん3月がつまで運用うんようしていたB747-400型がたの政府せいふ専用せんよう機き。

1992年ねん（平成へいせい4年ねん）にボーイング747-400を2機き導入どうにゅうして運用うんようが開始かいしされた。その後ご、2019年ねん（平成へいせい31年ねん）4月がつ1日にちからはボーイング777-300ER2機きに変更へんこうして運用うんようしている^[1]。自衛隊じえいたい機きであるため機体きたい記号きごうは数字すうじのみで構成こうせいされる。

通常つうじょうは任務にんむ機きと副ふく務つとむ機きが共ともに飛行ひこうし、任務にんむ機きに支障ししょうが生しょうじた場合ばあいは直ただちに副ふく務つとむ機きが代替だいたいする。

皇族こうぞくと政府せいふ要人ようじんの使用しよう予定よていが重複じゅうふくした場合ばあい、多おおくの場合ばあいは皇族こうぞくが優先ゆうせんして使用しようする。2012年ねん5月がつに天皇てんのうと皇后こうごうの英国えいこく訪問ほうもんと野田のだ佳彦よしひこ首相しゅしょうのキャンプ・デービッドサミット出席しゅっせきが重複じゅうふくし、天皇てんのうと皇后こうごうが政府せいふ専用せんよう機きを、野田のだ首相しゅしょうが全日本空輸ぜんにほんくうゆ（ANA）の特別とくべつ機きを使用しようした。2022年ねん9月がつに天皇てんのうと皇后こうごうのエリザベス女王じょおう国葬こくそう参列さんれつに伴ともなう英国えいこく訪問ほうもんと岸田きしだ文雄ふみお首相しゅしょうの国連こくれん総会そうかい出席しゅっせきが重複じゅうふくし、天皇てんのうと皇后こうごうが政府せいふ専用せんよう機きを、岸田きしだ首相しゅしょうが全日本ぜんにほん空輸くうゆ（ANA）の特別とくべつ機きを使用しようした^{[注釈ちゅうしゃく 1]}^[2]。

2機きが予備よび機きを伴ともなわず単独たんどくで運用うんようされる事例じれいもある。

皇太子こうたいし徳とく仁じん親王しんのうと皇太子こうたいし徳とく仁じん親王しんのう妃ひ雅子まさこが、オランダのウィレム＝アレクサンダー国王こくおう即位そくい式しきへ、安倍晋三あべしんぞう首相しゅしょうがロシア連邦れんぽう - サウジアラビア - アラブ首長しゅちょう国こく連邦れんぽう - トルコ歴訪れきほうへ、いずれも2013年ねん4月がつ28日にちに出発しゅっぱつした。
徳とく仁じん親王しんのうが「日本にっぽんとスペインの交流こうりゅう400周年しゅうねん」記念きねん行事ぎょうじ参列さんれつのために、2013年ねん6月がつ10日とおかから16日にちまでスペインを公式こうしき訪問ほうもんで使用しようし、安倍あべ首相しゅしょうがポーランド（東欧とうおう4カ国かこくとの首脳しゅのう会談かいだん） - イギリス（G8サミット） - アイルランドを歴訪れきほうのために、2013年ねん6月がつ15日にちから20日にちまで使用しようした。

2機きのボーイング747-400は総理府そうりふの予算よさんで購入こうにゅうして運用うんようは航空こうくう自衛隊じえいたいに委託いたくし、のちに航空こうくう自衛隊じえいたい機きとして防衛庁ぼうえいちょうへ転籍てんせきした。

乗組のりくみ員いんは、操縦そうじゅう士し^{[注釈ちゅうしゃく 2]}^[3]と航空こうくう士しである航空こうくう整備せいび員いん^{[注釈ちゅうしゃく 3]}、航法こうほう士し^{[注釈ちゅうしゃく 4]}、機上きじょう無線むせん員いん^{[注釈ちゅうしゃく 5]}、特別とくべつ空中くうちゅう輸送ゆそう員いん（客室きゃくしつ乗務じょうむ員いん）、運航うんこうをバックアップする運行うんこう管理かんり者しゃ^{[注釈ちゅうしゃく 6]}ら全員ぜんいんが、特とく輸隊と通称つうしょうされる「航空こうくう自衛隊じえいたい特別とくべつ航空こうくう輸送ゆそう隊たい第だい701飛行ひこう隊たい」の航空こうくう自衛じえい官かんである。かつては特別とくべつ空中くうちゅう輸送ゆそう員いん（客室きゃくしつ乗務じょうむ員いん）は日本航空にほんこうくう（JAL）で訓練くんれんを受うけていた^{[注釈ちゅうしゃく 7]}^[4]。現在げんざいでは、ボーイング747-400からボーイング777-300ERに機種きしゅが変かわったため、ボーイング777の所有しょゆう数すうが多おおい全日本ぜんにほん空輸くうゆ（ANA）で特別とくべつ空中くうちゅう輸送ゆそう員いんの訓練くんれんが行おこなわれている。

1機きに7人にんの整備せいび員いん要員よういんが同乗どうじょうし、あらゆる状況じょうきょうを想定そうていし、寄港きこう地ちでも機体きたい整備せいびを可能かのうとするために予備よび部品ぶひんや消耗しょうもう備品びひんなどを搭載とうさいし、基本きほん的てきに随伴ずいはん機きを必要ひつようとしない。

2機き体制たいせいであるが、本来ほんらい、要人ようじん輸送ゆそう機きは最低さいていでも「正ただし（要人ようじん搭乗とうじょう・主務しゅむ機き）」、「副ふく（随行ずいこう・副ふく務つとむ機き）」、「予備よび（正ただし・副そいが出発しゅっぱつしたあと基地きちで待機たいき・非常時ひじょうじの代替だいたい機き）」の、3機き以上いじょうの体制たいせいで運用うんようされるのが望のぞましいといわれている。もし1機きが故障こしょうしていると使用しようできるのが1機きのみになり予備よび機きがなくなってしまうほか、国外こくがい寄港きこう地ちで正ただし・副そいの2機きとも故障こしょうした場合ばあいは代替だいたい機きがなくなり、危機きき管理かんり上じょうの問題もんだいを呈ていすとみなされているからである。1999年ねん2月がつにヨルダン国王こくおうのフセイン1世せいが死去しきょした際さい、フセイン1世せいが行政府ぎょうせいふの長ちょうを兼かねていたことから、国葬こくそうは皇太子こうたいし・同妃どうひと小渕おぶち恵三けいぞう首相しゅしょう夫妻ふさいが共ともに参列さんれつすることになり、両者りょうしゃが2機きに分乗ぶんじょうしたため、双方そうほうが主務しゅむ機き扱あつかいとなった。このため両機りょうきは予備よび機きなしで0泊はく3日にちの往復おうふく飛行ひこうをこなすこととなった。

しかし、当初とうしょの2機き購入こうにゅうの数すう年ねん後ごに防衛庁ぼうえいちょうが上記じょうきの理由りゆうで3機き目めの予算よさんも原案げんあんに組くみ込こんだところ、大蔵省おおくらしょうの査定さていで却下きゃっかされた。そもそも政府せいふ専用せんよう機きの導入どうにゅうは、当時とうじ日米にちべい間あいだの最大さいだい懸念けねんだったアメリカの巨額きょがくの対たい日にち貿易ぼうえき赤字あかじを減へらすための国策こくさく的てき要素ようそが強つよいものだっただけに、やがてバブル景気けいきが弾ひけて日本にっぽん経済けいざいが長期ちょうきにわたる不ふ況きょうに陥おちいると、3機き目めの購入こうにゅうに数すう百ひゃく億おく円えんもの税金ぜいきんを充あてることはできない状況じょうきょうとなった。

イラク戦争せんそう以後いご、自衛隊じえいたいの国外こくがい派遣はけんなどで政府せいふ専用せんよう機きを活用かつようする機会きかいが増ふえたことに伴ともない、政府せいふは3機き目めの購入こうにゅうを再ふたたび模索もさく、防衛庁ぼうえいちょうはこれを受うけて空中くうちゅう給油きゅうゆ機きとしての併用へいようが可能かのうなボーイング767を視野しやに入いれた検討けんとうを始はじめた。しかし、同おなじころ政府せいふが導入どうにゅうを決定けっていしたミサイル防衛ぼうえい関連かんれん予算よさんが膨大ぼうだいなものとなったことから、このときも結局けっきょく導入どうにゅうを断念だんねんしている。後述こうじゅつの機材きざい更新こうしんでボーイング777に置おき換かえられた後のちも引ひき続つづき2機き体制たいせいとなっている。

日本国にっぽんこく政府せいふ専用せんよう機きとアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく大統領だいとうりょう専用せんよう機き（エアフォースワン）を比くらべた場合ばあい、用途ようとに大おおきな違ちがいがある。アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく大統領だいとうりょう専用せんよう機きは「政府せいふ」専用せんよう機きではなく、事実じじつ上じょうの「大統領だいとうりょうのプライベート機き」で、大統領だいとうりょう個人こじんが「良識りょうしきの範囲はんい内ない」で、公私こうしにわたって自由じゆうに使用しようすることが認みとめられており、国内こくない遊説ゆうぜいや選挙せんきょ戦せんはもとより、休暇きゅうか時じの保養ほよう地ちへの移動いどうにも使つかわれ、国賓こくひん公賓こうひんを同乗どうじょうさせたりもしている。

一方いっぽう、日本にっぽんの政府せいふ専用せんよう機きは内閣ないかく総理そうり大臣だいじん専用せんよう車しゃや御料ごりょう車しゃと同様どうようにあくまで国有こくゆう資産しさんであり、内廷ないていや首相しゅしょうの所有しょゆう物ぶつではない。その用途ようとは基本きほん的てきに外遊がいゆう時じのみ使用しようされ、公務こうむを含ふくめ、国内こくないでの移動いどうに利用りようされることはほとんどない。羽田空港はねだくうこうと国内こくない空港くうこうの移動いどうの際さいには全日空ぜんにっくうや日本航空にほんこうくうの定期ていき便びんを利用りようする他ほか^[5]^[6]、被災ひさい地ち訪問ほうもんの際さいの移動いどうには、航空こうくう自衛隊じえいたいのU-4も使用しようされる^[7]。

政府せいふ専用せんよう機きでの移動いどう中ちゅう、歓談かんだんする安倍晋三あべしんぞうとアントニオ・グテーレス（2018年ねん）

国内こくないでの利用りようは、

2000年ねんの九州きゅうしゅう・沖縄おきなわサミットの際さいの森もり喜朗よしろう首相しゅしょうの沖縄おきなわ県けん入はいり
2004年ねんの日にち韓かん首脳しゅのう会談かいだんの際さいの小泉こいずみ純一郎じゅんいちろう首相しゅしょうの鹿児島かごしま県けん入はいり
2008年ねんの北海道ほっかいどう洞爺湖とうやこサミットの際さいの福田ふくだ康夫やすお首相しゅしょうの北海道ほっかいどう入はいり
2009年ねん5月がつの太平洋たいへいよう・島しまサミットの際さいの麻生あそう太郎たろう首相しゅしょうの北海道ほっかいどう入いり
2016年ねん12月の日にち露ろ首脳しゅのう会談かいだんの際さいの安倍晋三あべしんぞう首相しゅしょうの山口やまぐち県けん入はいり^[8]
2018年ねん8月がつの長崎ながさき原爆げんばく犠牲ぎせい者しゃ慰霊いれい平和へいわ祈念きねん式典しきてんの際さいの安倍晋三あべしんぞう首相しゅしょうの長崎ながさき県けん入はいり（国連こくれん事務じむ総長そうちょうのアントニオ・グテーレスが同乗どうじょう）^[9]
2023年ねん5月がつの広島ひろしまサミットの際さいの岸田きしだ文雄ふみお首相しゅしょうの広島ひろしま県けん入はいり^[10]
2024年ねん8月がつの長崎ながさき原爆げんばく犠牲ぎせい者しゃ慰霊いれい平和へいわ祈念きねん式典しきてんの際さいの岸田きしだ文雄ふみお首相しゅしょうの長崎ながさき県けん入いり（式典しきてん出席しゅっせき後ご、長崎ながさきからアスタナに向むかう予定よていだったが、外遊がいゆうの取とりやめにより、長崎ながさきからそのまま東京とうきょうに戻もどった）^[11]^[12]

など、これまでに数すう回かいしかなく、しかもその殆ほとんどが東京とうきょうから離はなれた外国がいこく首脳しゅのうとの会談かいだん絡がらみとなっている。

したがって年間ねんかんの飛行ひこう回数かいすうや飛行ひこう時間じかんは、米国べいこく大統領だいとうりょう専用せんよう機き（エアフォースワン）に比くらべると格段かくだんに少すくなく、導入どうにゅう当初とうしょは「虎とらの子こ」「宝たからの持もち腐ぐされ」などといった批判ひはんを浴あびることも少すくなくなかった。

導入どうにゅうへの過程かてい

第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん終結しゅうけつ後ご、皇族こうぞくや内閣ないかく総理そうり大臣だいじん、閣僚かくりょうの国外こくがい公式こうしき訪問ほうもんや国内こくない移動いどうの際さいに、半官半民はんかんはんみんの経営けいえい体制たいせいである日本航空にほんこうくう（JAL）の特別とくべつ機きが頻繁ひんぱんに使用しようされることになり、1954年ねん8月がつに、北海道ほっかいどうで開ひらかれた国民こくみん体育たいいく大会たいかい開会かいかい式しきから帰京ききょうする昭和しょうわ天皇てんのうと香こう淳じゅん皇后こうごうのために、初はつの皇族こうぞく向むけ特別とくべつ機きのダグラス DC-4が千歳空港ちとせくうこう-羽田空港はねだくうこう間あいだで運航うんこうされた^{[注釈ちゅうしゃく 8]}。その後ごも、特とくに国外こくがい公式こうしき訪問ほうもんの際さいの特別とくべつ機きとして、当時とうじ日本にっぽんの航空こうくう会社かいしゃで唯一ゆいいつ国際線こくさいせんを運航うんこうしていたJALの機材きざいが利用りようされるケースが多おおかった^{[注釈ちゅうしゃく 9]}。

1989年ねんの竹下たけした登のぼる首相しゅしょうの訪米ほうべい時じに政府せいふ特別とくべつ機きとしてチャーターされたJALのマクドネル・ダグラスDC-10。

YS-11の生産せいさんがピークに達たっした頃ころには、国産こくさん旅客機りょかくきができたのだから、せめて政府せいふ専用せんよう機きでもという話はなしが出でたこともあった。1969年ねん11月には、佐藤さとう栄作えいさく首相しゅしょう（当時とうじ）が沖縄おきなわ返還へんかん交渉こうしょうのために渡米とべいした時とき、激はげしい反対はんたい闘争とうそうの中なかで羽田空港はねだくうこうに行いくのは危険きけんとの判断はんだんで、首相しゅしょう官邸かんていから羽田はねだまで陸上りくじょう自衛隊じえいたいのHU-1Bヘリコプターを使用しようしたことをきっかけに、陸上りくじょう自衛隊じえいたいの第だい1ヘリコプター団だんに、窓まどの大おおきい、内部ないぶを特別とくべつな作つくりにしたV-107が1機き配備はいびされた。しかし、固定こてい翼つばさの政府せいふ専用せんよう機きは、実現じつげんするまでに時間じかんがかかった。1975年ねんには、ベトナム戦争せんそう末期まっきのサイゴン陥落かんらくで、邦人ほうじんの救出きゅうしゅつに向むかった日本航空にほんこうくうの特別とくべつ機きが、政府せいふの要請ようせいから出発しゅっぱつまでの間あいだに2日にちもかかってしまい、マニラまで行いったが立往生たちおうじょうしてしまった。1970年代ねんだいに相次あいついだ、日本にっぽん赤軍せきぐんによるハイジャック事件じけんでも、政府せいふ専用せんよう機きの必要ひつよう性せいを指摘してきする声こえがあった。

福田ふくだ赳夫たけお内閣ないかくでの議論ぎろん

福田ふくだ赳夫たけお内閣ないかくから、政府せいふ専用せんよう機き導入どうにゅうへ向むけた検討けんとうが本格ほんかく化かした。1978年ねん6月がつ23日にちに首相しゅしょう官邸かんていで実施じっしされた経済けいざい対策たいさく閣僚かくりょう会議かいぎでは、円えん相場そうばがどんどん上あがっていたことから、これの対策たいさくとしてドルを減へらすための緊急きんきゅう輸入ゆにゅうが議論ぎろんされた。園田そのだ直ただし外務がいむ大臣だいじんが「総理そうりや閣僚かくりょうの外国がいこく出張しゅっちょう、外国がいこくからの賓客ひんきゃくの輸送ゆそう、有事ゆうじの際さいの海外かいがい同胞どうほうの引ひき揚あげなどを考かんがえ、政府せいふ専用せんよう機きとしてボーイング707を2機きほど購入こうにゅうしたらどうか」と発言はつげんした。同月どうげつ30日にちの経済けいざい対策たいさく閣僚かくりょう会議かいぎで座長ざちょうだった宮澤みやざわ喜一きいち経済企画庁けいざいきかくちょう長官ちょうかんが、①世界せかいの主要しゅよう国こくのほとんどが大統領だいとうりょう、首相しゅしょうの専用せんよう機きを持もっている。②外国がいこくの元首げんしゅが死去しきょした時ときの特派とくは大使たいしの派遣はけんや、サイゴン陥落かんらくの時ときの邦人ほうじん救出きゅうしゅつのように、緊急きんきゅうの際さいには民間みんかん機きでは間まに合あわないこともある。③民間みんかん機きのチャーターは経費けいひがかかる、などの理由りゆうを挙あげて政府せいふ専用せんよう機きを買かいたいと発言はつげんした。

当時とうじの関係かんけい省庁しょうちょう（総理府そうりふ、外務省がいむしょう、経済企画庁けいざいきかくちょう、運輸省うんゆしょう、防衛庁ぼうえいちょう）の課長かちょうクラスによるプロジェクトチームの検討けんとうでは、機種きしゅ候補こうほとして、ボーイング707 、ダグラス DC-8、エアバスA300 、ロッキード L-1011 トライスター、ボーイング747、マクドネル・ダグラス DC-10などが候補こうほになった。B707、DC-8は騒音そうおんが大おおきい。A300は航続こうぞく距離きょりが短みじかい。L-1011はロッキード事件じけんの余波よはで取とり上あげにくい。B747はキャパシティが大おおきすぎるとされ、DC-10が一応いちおう有力ゆうりょく候補こうほとされた。

これに対たいして、ボーイング社しゃは担当たんとう重役じゅうやくを日本にっぽんに派遣はけんし、同年どうねん8月がつ11日にちに記者きしゃ会見かいけんを実施じっしした。ボーイング社しゃの主張しゅちょうでは、ボーイング747SPならばDC-10と価格かかくがほぼ同おなじで、性能せいのうで勝負しょうぶできるというものだった。これに対たいしてマクドネル・ダグラス社しゃは、DC-10はアメリカ大統領だいとうりょう専用せんよう機き（エアフォースワン）の次つぎの候補こうほとなっていた（結果けっか的てきには採用さいようされなかった）ことや、整備せいびは日本航空にほんこうくうが同型どうけいを持もっているので容易よういであるとアピールした^[13]。

1980年代ねんだいに決定けってい

1980年代ねんだいになると、日米にちべい間あいだの貿易ぼうえき摩擦まさつが深刻しんこく化かした。アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく連邦れんぽう政府せいふから対たい日にち貿易ぼうえき赤字あかじの縮小しゅくしょうを求もとめられたことも、アメリカ製せいの航空機こうくうきを政府せいふ専用せんよう機きとして購入こうにゅうする理由りゆうとなった。1951年ねんの設立せつりつから長ながらく半官半民はんかんはんみんの経営けいえい体制たいせいであった日本航空にほんこうくうが、1987年ねんに完全かんぜん民営みんえい化かされたことも、政府せいふ専用せんよう機き導入どうにゅうへの決きめ手てになった。

最終さいしゅう的てきに、日本にっぽんから無む給油きゅうゆでヨーロッパや北米ほくべいの主要しゅよう都市としに飛とぶことができる当時とうじ唯一ゆいいつの機材きざいであったことから、ボーイング社しゃが当時とうじ開発かいはつしていた、ボーイング747-400の導入どうにゅうが1987年ねんに閣議かくぎ決定けっていされ、予備よび機きを含ふくめ2機きが導入どうにゅうされることとなった。

初代しょだい運用うんよう機材きざいの更新こうしん

各国かっこくでの政府せいふ専用せんよう機きに相当そうとうする航空機こうくうきの採用さいよう状じょう況きょうをみると、ボーイング747-400やエアバスA340など、非常ひじょうに高価こうかなワイドボディ新型しんがた機きを新規しんきに購入こうにゅうした例れいは、航空機こうくうき製造せいぞう国こく以外いがいでは極ごくわずかな国家こっかのみであり、日本にっぽんやブルネイ、カタールなどに限定げんていされる。

実際じっさい、航空機こうくうき製造せいぞう国こく（アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくやEUやロシア、フランスやドイツなど）は、自国じこく製せいの新造しんぞう機きを政府せいふ専用せんよう機きとしている。しかしそれに対たいし航空機こうくうき製造せいぞう国こく以外いがい（その他た多おおくの国くに）はボーイングビジネスジェットやエアバス・コーポレート・ジェットなどの中型ちゅうがた機きを導入どうにゅうしたり、民間みんかんからボーイング757やボーイング727などの中古ちゅうこの中なか・小型こがた機きまたはボーイング747-SPなどの中古ちゅうこのワイドボディ機きを買かい上あげて改造かいぞうしたりする例れいが多おおい。

その一方いっぽう、2000年ねん頃ごろからは政府せいふ専用せんよう機きにも小型こがた化かの傾向けいこうが見みられている。その理由りゆうは、短みじかい滑走かっそう路ろを持もつ地方ちほうの空港くうこうからでも容易よういに離着陸りちゃくりくできるなど、小振こぶりの機種きしゅが汎用はんよう性せいにおいてより優すぐれた選択肢せんたくしとなったためである。その背景はいけいに、中なか・小型こがた機きの航続こうぞく距離きょり、双発そうはつ機き（ボーイング737、ボーイング777、エアバスA330、ボーイング787など）の燃費ねんぴやETOPSなどが飛躍ひやく的てきに向上こうじょうした事実じじつがある^{[注釈ちゅうしゃく 10]}。

実際じっさいの大型おおがた機きの運用うんようにおいても、運用うんよう自体じたいが中途半端ちゅうとはんぱになり、警備けいび上じょうの問題もんだいや経済けいざい性せいの低ひくさなどが生しょうじることも指摘してきされるようになっている。この指摘してきの根拠こんきょには、ボーイング747が安全あんぜんな離着陸りちゃくりくを行おこなうためには最短さいたんでも2,500から2,750m以上いじょうの滑走かっそう路ろが必要ひつようであり、そのような条件じょうけんを満みたす滑走かっそう路ろを持もつ空港くうこうが、大都市だいとしの国際こくさい空港くうこうや空軍くうぐん基地きちに限かぎられてしまうことが挙あげられている^{[注釈ちゅうしゃく 11]}^{[注釈ちゅうしゃく 12]}^{[注釈ちゅうしゃく 13]}。その点てん、ボーイング737-600以降いこうの新型しんがた機種きしゅなどでは、2,000mの滑走かっそう路ろがあれば余裕よゆうを持もって離着陸りちゃくりくできるため、運用うんようできる空港くうこうが非常ひじょうに多おおくなる。

2008年ねん（平成へいせい20年ねん）10月がつ17日にち付づけの産経新聞さんけいしんぶんは、三菱重工業みつびしじゅうこうぎょうが開発かいはつ中ちゅうの日本にっぽん製せい小型こがた旅客機りょかくき「MRJ」（現げん：Mitsubishi SpaceJet）を10機き発注はっちゅうする予想よそうを報ほうじた。MRJはボーイング737よりさらに小型こがたで燃料ねんりょう効率こうりつがよいとされ、開発かいはつに関かんして国くにが補助ほじょ金きんを出だしていることから販売はんばいを促進そくしんする目的もくてきも兼かねている。ただし、MRJは太平洋たいへいようや大西おおにし洋ひろし無む着陸ちゃくりく横断おうだん飛行ひこうができない。したがって、仮かりにMRJが政府せいふ専用せんよう機きとして使用しようされるとしても、日本にっぽん国内こくないおよび東ひがしアジアの外国がいこく渡航とこう用ようといった、補助ほじょ的てきな役割やくわりに留とまる。（MRJはその後ご、紆余曲折うよきょくせつを経へて2023年ねんに開発かいはつ中止ちゅうしが決きまった）

2010年ねん、日本航空にほんこうくうの経営けいえい再建さいけんのため、同社どうしゃのボーイング747が全ぜん機き退役たいえきするのに伴ともない、整備せいび面めんでの問題もんだいが浮上ふじょうした。2019年ねん以降いこうは同社どうしゃで整備せいびを受うけられなくなるため、後継こうけい機きの選択せんたくを実施じっししなければならなくなった（下記かき「運航うんこうおよび整備せいびの委託いたく」の項こうを参照さんしょう）。

2013年ねん8月がつに、前述ぜんじゅつの通とおり2018年度ねんど末まつに現用げんようの2機きを退役たいえきさせる方針ほうしんが明あきらかにされている。新あらたな政府せいふ専用せんよう機きの候補こうほとしては、複数ふくすうの報道ほうどうによりボーイング777・787、エアバスA350 XWBが挙あがっており、2019年ねんの導入どうにゅうに向むけ機種きしゅを選定せんていするとしていた ^[14]^[15]^[16]。2014年ねん4月がつになって飛行ひこう性能せいのうに加くわえて日米にちべい同盟どうめいの関係かんけい強化きょうかに向むけた姿勢しせいなどを重視じゅうしし、導入どうにゅう後ごのメンテナンス委託いたく先さきも確保かくほしやすいことからボーイング777を導入どうにゅうする方向ほうこうで最終さいしゅう調整ちょうせいしていることが報道ほうどうされた。選定せんてい候補こうほに挙あがっていたボーイング787は機内きない空間くうかんの狭せまさ、エアバスは現行げんこう機きがボーイング製せいという継続けいぞく性せいと日米にちべい安保あんぽ同盟どうめいという外交がいこう的てき政治せいじ判断はんだんによって、選定せんていから外はずれている^[17]。

2014年ねん8月がつ12日にち、日本国にっぽんこく政府せいふはボーイング747-400の後継こうけい機きとして、ボーイング777-300ERを選定せんていし、機体きたい整備せいびは全日本空輸ぜんにほんくうゆに委託いたくされることを明あきらかにした^[18]^[19]。

2018年ねん8月がつ1日にち、航空こうくう幕僚監部ばくりょうかんぶは政府せいふ専用せんよう機き（ボーイング747-400）の運用うんよう終了しゅうりょうを前まえに、この機材きざいの処分しょぶんに関かんする情報じょうほう提供ていきょうの募集ぼしゅうを開始かいしした^[20]^[21]。

2018年ねん8月がつ17日にち、新型しんがたのボーイング777-300ERが北海道ほっかいどうの航空こうくう自衛隊じえいたい千歳ちとせ基地きちに到着とうちゃくし^[22]^[23]、2019年ねん4月がつ1日にちにボーイング747-400は退役たいえきした^[24]。

用途ようと廃止はいし後ご

初代しょだい専用せんよう機きは、貴賓きひん室しつや自衛隊じえいたい専用せんようの機器ききを取とり外はずした後のち、競争きょうそう入札にゅうさつによりエンビプロ・ホールディングス傘下さんかの株式会社かぶしきがいしゃエコネコルに売却ばいきゃくされた^[25]^[26]。日本経済新聞にほんけいざいしんぶんによると1機き約やく7億おく円えん^[27]。

この機体きたいは海外かいがいに売却ばいきゃくされ^[28]、2019年ねん6月がつ17日にちまず2号機ごうき（機体きたい番号ばんごう20-1102）が離日りにち^[29]、同月どうげつ27日にちに1号機ごうき（機体きたい番号ばんごう20-1101）も離日りにち^[30]、ともにCSDS Aircraft Sales and Leasingに購入こうにゅうされ、米べいアリゾナ州しゅうマラナ（英語えいご版ばん）にあるピナル・エアパーク（英語えいご版ばん）で保管ほかんされ、同年どうねん8月がつ、旧きゅう1号機ごうき（20-1101）「N7474C」が2,800万まん米あめりかドル（約やく30億おく円えん）で売うりに出だされ、2020年ねん6月がつには旧きゅう1号機ごうきが1,250万まん米あめりかドルに値下ねさげ、2022年ねん1月がつには旧きゅう2号機ごうき（20-1102）「N7477C」がエンジン無なしで350万まん米あめりかドルで販売はんばいされていた^[31]。

2022年ねん5月がつ、小型こがた人工じんこう衛星えいせい打うち上あげ事業じぎょうを手てがけるヴァージン・オービットが、米べいL3ハリス・テクノロジーと2機きのボーイング747-400を契約けいやくしたことが発表はっぴょうされた。掲載けいさいされた画像がぞうには、かつての日本国にっぽんこく政府せいふ専用せんよう機きがエンジンを取とり外はずし整備せいび保管ほかんしている状態じょうたいで映うつっており、同機どうきが空中くうちゅう発射はっしゃ型がたまたは貨物かもつ輸送ゆそう型がたに改修かいしゅうされた可能かのう性せいがあると報道ほうどうされている^[32]^[33]。

運用うんよう状じょう況きょう

用途ようと

訪英ほうえい時じの天皇てんのう徳とく仁ひとしと皇后こうごう雅子まさこ（2024年ねん6月がつ22日にち）。

皇室こうしつ、内閣ないかく総理そうり大臣だいじん、またはこれに準じゅんじる要人ようじんの輸送ゆそう^[34]^{[注釈ちゅうしゃく 14]}。
緊急きんきゅう時じにおける在外ざいがい日本人にっぽんじんの救援きゅうえん輸送ゆそう^[35]。
国際こくさい緊急きんきゅう援助えんじょ活動かつどう^[36]。
有事ゆうじにおける自衛じえい官かんの緊急きんきゅう輸送ゆそう^{[注釈ちゅうしゃく 15]}。

とされている。自衛隊じえいたい法ほう施行しこう令れいが定さだめる「要人ようじん」^[37]を下記かきする。

天皇てんのうおよび上皇じょうこうならびに皇族こうぞく
国賓こくひんおよびこれに準じゅんずる賓客ひんきゃく
最高さいこう裁判所さいばんしょ長官ちょうかん
衆議院しゅうぎいん議長ぎちょうおよび参議院さんぎいん議長ぎちょう
内閣ないかく総理そうり大臣だいじん
国務大臣こくむだいじん（ただし、重要じゅうような用務ようむの遂行すいこうのため特とくに必要ひつようがあると認みとめられる場合ばあいに限かぎる）

ただし、実際じっさいは内閣ないかく総理そうり大臣だいじんや天皇てんのう・皇族こうぞくによる使用しようがほとんどとなっており、その他たの閣僚かくりょうや内閣ないかく総理そうり大臣だいじん以外いがいの三権さんけんの長ながは一般いっぱんの定期ていき便びんを利用りようしている。国家こっか安全あんぜん保障ほしょう会議かいぎの内規ないきで同おなじ機体きたいでの移動いどうは2人ふたりまでとなっている^[38]。

皇族こうぞくはオランダ公式こうしき訪問ほうもんのため2009年ねん8月がつ21日にちに出発しゅっぱつした秋篠宮あきしののみや夫妻ふさいが、成田なりた国際こくさい空港くうこうから民間みんかん機きを利用りようした。2015年ねん4月がつの天皇てんのう・皇后こうごうのパラオ訪問ほうもん時じは全日本空輸ぜんにほんくうゆ（ANA）のチャーター機きとしてボーイング767-300ERが使用しようされたが、ロマン・トメトゥチェル国際こくさい空港くうこうの滑走かっそう路ろが2195mで、当時とうじの政府せいふ専用せんよう機きボーイング747の必要ひつよう着陸ちゃくりく滑走かっそう路ろ長ちょうは2500mで、発着はっちゃくができないため^[39]である。

運航うんこうおよび整備せいびの委託いたく

政府せいふ専用せんよう機きは航空こうくう自衛隊じえいたい千歳基地ちとせきちに所属しょぞくする自衛隊じえいたい機きであるが、通常つうじょうは千歳基地ちとせきちと誘導ゆうどう路ろで繋つながる新しん千歳空港ちとせくうこうの専用せんようハンガーに格納かくのうされている。

日本航空にほんこうくう（JAL）とグループ企業きぎょうが国際線こくさいせん運航うんこうとサービス経験けいけんの豊富ほうふさから、政府せいふ専用せんよう機きの国内外こくないがいにおける運航うんこうハンドリングおよび機体きたい整備せいびを一括いっかつして受託じゅたくし、2017年ねん（平成へいせい29年ねん）現在げんざいで機内きないサービスを行おこなう特別とくべつ空中くうちゅう輸送ゆそう員いんの訓練くんれんも受託じゅたくしていた。しかしJALは、会社かいしゃ更生こうせい法ほう適用てきようによる機材きざいの効率こうりつ化か、老朽ろうきゅう化かおよび燃費ねんぴ効率こうりつの悪わるさから2011年ねん（平成へいせい23年ねん）3月がつ1日にちにボーイング747機きを全ぜん機き退役たいえきさせ、同型どうけい向むけの資材しざいや人員じんいんを保持ほじする見込みこみがなくなり専用せんよう機きも数すう年ねん後ごに整備せいびを受うけられなくなる見通みとおしとなった。このため2010年ねん（平成へいせい22年ねん）12月から、ボーイング747-400F（貨物かもつ）型かた機きを運航うんこうして同型どうけい機き最終さいしゅう受領じゅりょうが遅おそく当面とうめんの運用うんようが見込みこまれる日本にっぽん貨物かもつ航空こうくうに、本ほん機きに携たずさわる航空こうくう自衛じえい官かんの民間みんかん免許めんきょ取得しゅとく支援しえん業務ぎょうむを委託いたくした^[40]。

後継こうけい機きとなるボーイング777-300ERの機体きたい整備せいびはANAに委託いたくされている^[41]。

ヒッチハイク外交がいこう

ドイツ政府せいふ要人ようじん専用せんよう機き “A310-304 VIP”

カナダの保養ほよう地ちであるカルガリー郊外こうがいのカナナスキスで行おこなわれた第だい28回かい主要しゅよう国こく首脳しゅのう会議かいぎを終おえた2002年ねん（平成へいせい14年ねん）6月がつ28日にちに、ドイツのゲアハルト・シュレーダー首相しゅしょうと秘書官ひしょかん・警護けいご員いんら5人にんが小泉こいずみ純一郎じゅんいちろう首相しゅしょう帰途きとの日本国にっぽんこく政府せいふ専用せんよう機きに同乗どうじょうして来日らいにちした。

6月30日にちに、横浜よこはま国際こくさい総合そうごう競技きょうぎ場じょうで行おこなわれる2002 FIFAワールドカップの決勝けっしょうブラジル対たいドイツ戦せんを控ひかえて「この観戦かんせんに間まに合あうよう、ぜひ相乗あいのりで行いかせて欲ほしい」とドイツ連邦れんぽう共和きょうわ国こく政府せいふから要請ようせいされて、日本にっぽんが受諾じゅだくした。シュレーダー首相しゅしょう夫人ふじんが急用きゅうようのため政府せいふ専用せんよう機きで先さきに帰国きこくしたためにシュレーダー首相しゅしょうは政府せいふ専用せんよう機きが使つかえず、民間みんかん機きのチャーターでは、決勝けっしょう戦せんのキック・オフに間まに合あわないことから異例いれいの要請ようせいとなった。小泉こいずみ首相しゅしょうは当初とうしょ断ことわるつもりだったが、事情じじょうを察知さっちしたフランスのジャック・シラク大統領だいとうりょうから口添くちぞえされ、搭乗とうじょう者しゃはシュレーダー首相しゅしょう以下いか5人にんと説明せつめいされて、最終さいしゅう的てきに小泉こいずみ首相しゅしょうが判断はんだんした^[42]。

約やく10時じ間あいだの飛行ひこう中ちゅうは、くつろいだ雰囲気ふんいきで日にち独どく首脳しゅのう会談かいだん（「ヒッチハイク外交がいこう」外務省がいむしょう）が行おこなわれ、両りょう首脳しゅのうは食事しょくじを共ともにしながら歓談かんだんした。小泉こいずみ首相しゅしょうは執務しつむ室しつをシュレーダーに譲ゆずり、自みずからは安倍晋三あべしんぞうが使つかう予定よていであった官房かんぼう副ふく長官ちょうかん用ようの個室こしつで休息きゅうそくした^[42]。

ドイツ政府せいふは元もと東ひがしドイツのインターフルーク所有しょゆう機きであったエアバスA310-300（コンラート・アデナウアー）を政府せいふ要人ようじん専用せんよう機きとして保有ほゆうしており、シュレーダーは同機どうきでカルガリー入いりしている。A310-300は、カナダ太平洋たいへいよう岸がんやアンカレッジで1回かい給油きゅうゆすれば、羽田はたまで飛行ひこう可能かのうな航続こうぞく距離きょりを有ゆうする。

首脳しゅのうが他国たこくの政府せいふ専用せんよう機きに同乗どうじょうして移動いどうする事例じれいは、外交がいこうプロトコルや危機きき管理かんりで異例いれい^{[注釈ちゅうしゃく 16]}である。この他ほか、2018年ねんには長崎ながさき原爆げんばく犠牲ぎせい者しゃ慰霊いれい平和へいわ祈念きねん式典しきてんに出席しゅっせきする国連こくれん事務じむ総長そうちょうのアントニオ・グテーレスが羽田はた−長崎ながさき間あいだで安倍晋三あべしんぞう首相しゅしょうと政府せいふ専用せんよう機きを同乗どうじょうしている。外国がいこく人じん首脳しゅのう等とうが日本にっぽん政府せいふ専用せんよう機きに搭乗とうじょうするのは、極きわめて稀まれな事例じれいである^[9]。

副ふく務つとむ機きの活用かつよう

通常つうじょうは任務にんむ機きと副ふく務つとむ機きの2機き体制たいせいで運航うんこうする。任務にんむ機きに何なんらかの問題もんだいが発生はっせいした場合ばあいに副ふく務つとむ機きが代替だいたいして乗客じょうきゃくを輸送ゆそうする。通常つうじょうは一般いっぱん乗客じょうきゃくは搭乗とうじょうしないが副ふく務つとむ機きに搭乗とうじょうさせる事例じれいもある。

2004年ねん5月に、北朝鮮きたちょうせんによる日本人にっぽんじん拉致らち問題もんだいで2002年ねんに日本にっぽんに帰国きこくしていた蓮池はすいけ薫かおる夫妻ふさいと地ち村むら保志ほし夫妻ふさいの子供こども5人にんを日本にっぽんに帰国きこくさせる際さいに、副ふく務つとむ機きを使用しようした^[43]。

2009年ねん4月がつに、タイ中部ちゅうぶのパタヤで開ひらかれる予定よていだった東南とうなんアジア諸国しょこく連合れんごう（ASEAN）の会議かいぎに出席しゅっせきするため、麻生あそう太郎たろう首相しゅしょうが政府せいふ専用せんよう機きでパタヤ入いりしたが、反はん政府せいふ派はの暴動ぼうどうで会議かいぎは中止ちゅうしされてタイ政府せいふが非常ひじょう事態じたいを宣言せんげんしたため、当初とうしょは民間みんかん機きで帰国きこくする予定よていの日本にっぽん政府せいふ関係かんけい職員しょくいんらを帰国きこくさせるために副ふく務つとむ機きが活用かつようされた。

第だい2次じ安倍あべ内閣ないかくで経済けいざい政策せいさくのために、日本にっぽん経済けいざい団体だんたい連合れんごう会かい会長かいちょうら企業きぎょう関係かんけい者しゃの移動いどうに副ふく務つとむ機きが活用かつようされた^[44]。

2016年ねん9月がつに任務にんむ機きが飛行ひこう中ちゅうにバードストライクに見舞みまわれ、キューバから日本にっぽんへ帰国きこく中ちゅうの安倍晋三あべしんぞう首相しゅしょうがサンフランシスコで副ふく務つとむ機きに乗のり替かえて帰国きこくした^[45]。

2019年ねん11月に、東南とうなんアジア諸国しょこく連合れんごう関連かんれん首脳しゅのう会議かいぎに出席しゅっせきする安倍あべ首相しゅしょうが搭乗とうじょうして羽田空港はねだくうこうからバンコクへ飛行ひこう中ちゅう、機体きたい後部こうぶギャレーのオーブンでパンを加か温ぬるすると発煙はつえんしたため、消火しょうか器きを使用しようして沈静ちんせい化か後ごに確認かくにんすると機内きない設備せつびに問題もんだい無なく運航うんこうを継続けいぞくして着陸ちゃくりくした^[46]。復路ふくろは予防よぼう的てき措置そちで首相しゅしょう搭乗とうじょう機きを予備よび機きへ変更へんこうして運航うんこうされた^[47]^[48]。

2022年ねん4月がつに、ロシアのウクライナ侵攻しんこうから逃のがれたウクライナからの避難ひなん民みん20人にんをポーランドから日本にっぽんに避難ひなんさせる際さいに、副ふく務つとむ機きを使用しようした（「日本にっぽんにおけるウクライナ難民なんみん受うけ入いれ」を参照さんしょう）。

2022年ねん10月がつに、オーストラリア訪問ほうもん中ちゅうの岸田きしだ首相しゅしょうが帰路きろ、搭乗とうじょうする予定よていであった主務しゅむ機きに機材きざいトラブルが発生はっせい。予備よび機きに搭乗とうじょうして帰国きこくした^[49]。

その他たの要人ようじん輸送ゆそう機き

政府せいふ専用せんよう機きとほぼ同どう時期じきに購入こうにゅうして陸上りくじょう自衛隊じえいたいが運用うんようする、フランス製せいのアエロスパシアル AS332L ヘリコプターが近きん・中距離ちゅうきょり移動いどうに用もちいられ、のちにユーロコプター EC225LPへ更新こうしんされた。航空こうくう自衛隊じえいたいの多た用途ようと支援しえん機きのガルフストリーム・エアロスペースのU-4が日本にっぽん国内こくないの高速こうそく移動いどうに用もちいられている。

福田ふくだ康夫やすお首相しゅしょうが北京ぺきんオリンピック開会かいかい式しきに出席しゅっせきのために北京ぺきん市しへ2008年ねん8月がつ8日にちに赴おもむき、8月がつ9日にちの長崎ながさき原爆げんばくの日ひの平和へいわ式典しきてんに出席しゅっせきする日程にっていであったことから、深夜しんやの日にち中ちゅう両国りょうこく間あいだを移動いどうする手段しゅだんにU-4が用もちいられた^[50]。

1994年ねん2月がつの小笠原おがさわら行幸ぎょうこう啓けいで、目的もくてき地ちに飛行場ひこうじょうが無なく船舶せんぱくでは時間じかんがかかるため海上かいじょう自衛隊じえいたいのUS-1Aが使用しようされた^[51]。

沿革えんかく

訪米ほうべいした小泉こいずみ総理そうりを迎むかえる儀典ぎてん官かんと儀仗ぎじょう兵へいワシントンD.C.郊外こうがいアンドルーズ空軍くうぐん基地きちにて（2006年ねん6月がつ28日にち）。

安倍あべ総理そうりによる政府せいふ専用せんよう機き（2代目だいめ）の内覧ないらん（2018年ねん10月がつ19日にち）。

1987年ねん（昭和しょうわ62年ねん）政府せいふ専用せんよう機き2機きの導入どうにゅうを閣議かくぎ決定けっていし、予算よさんは両機りょうきで計けい360億おく円えん^[4]とした。
1991年ねん（平成へいせい3年ねん）
- 9月 1番ばん機きボーイング747-400 JA8091 を受領じゅりょうする。
- 11月 2番ばん機きボーイング747-400 JA8092 を受領じゅりょうする。
1992年ねん（平成へいせい4年ねん）4月がつ総理府そうりふから防衛庁ぼうえいちょうに移管いかんし、運輸省うんゆしょうにおける民間みんかん機きとしての登録とうろくを抹消まっしょうし、航空こうくう自衛隊じえいたいの機体きたい識別しきべつ番号ばんごうが付与ふよされ^{[注釈ちゅうしゃく 17]}、試験しけん飛行ひこうとしてアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくワシントンD.C.へ初はじめて国外こくがい航行こうこうする。
1993年ねん（平成へいせい5年ねん）
- 2月がつ渡辺わたなべ美智雄みちお副ふく総理そうり兼けん外務がいむ大臣だいじんがアメリカ訪問ほうもん時じに、要人ようじんとして初はつ使用しようする。
- 4月がつ宮澤みやざわ喜一きいちがアメリカ訪問ほうもん時じに、内閣ないかく総理そうり大臣だいじんとして初はつ使用しようする。
- 6月がつ特別とくべつ航空こうくう輸送ゆそう隊たいを編成へんせいする。
- 9月明仁あきひと天皇てんのうと美智子みちこ皇后こうごうがヨーロッパ訪問ほうもん時じに、皇室こうしつが初はつ使用しようする。
1995年ねん（平成へいせい7年ねん）8月がつ日本航空にほんこうくう（JAL）が羽田空港はねだくうこうの地上ちじょうハンドリングを受託じゅたくする。
2002年ねん（平成へいせい14年ねん）4月がつ要人ようじん輸送ゆそうが100回かいに到達とうたつする。
2005年ねん（平成へいせい17年ねん）4月がつ政府せいふが3番ばん機きの導入どうにゅうを断念だんねんする。
2006年ねん（平成へいせい18年ねん）9月がつ国外こくがい寄港きこう地ちが200か所しょに到達とうたつする。
2007年ねん（平成へいせい19年ねん）4月がつ通信つうしん機能きのうの強化きょうか、座席ざせきのグレードアップ、会議かいぎ室しつおよび随行ずいこう員いん室しつの内装ないそう変更へんこうなどの大だい規模きぼ改装かいそう工事こうじが終了しゅうりょうする。
2013年ねん（平成へいせい25年ねん）1月がつ22日にちアルジェリア人質ひとじち事件じけんで、自衛隊じえいたい法ほう84条じょうに基もとづく「在外ざいがい邦人ほうじんの緊急きんきゅう輸送ゆそう」任務にんむ実施じっしとして初はじめて、アルジェリアへ派遣はけんされる。
2014年ねん（平成へいせい26年ねん）
- 8月がつ12日にち後継こうけい機きがボーイング777-300ER型かた機き^[19]と決定けっていされる。
- 9月3日にち Flightradar24に飛行ひこう情報じょうほうが表示ひょうじされていたが、防衛ぼうえい省しょうの要請ようせいで8月がつ中ちゅうに表示ひょうじされなくなった^[52]。
2015年ねん（平成へいせい27年ねん）
- 4月がつ28日にち後継こうけい機きのデザインが発表はっぴょう^[53]される。垂直すいちょく尾翼びよくは従来じゅうらいと同おなじ日章旗にっしょうきであるが、側面そくめんに赤あかい曲線きょくせんが描えがかれる。
2016年ねん（平成へいせい28年ねん）
- 7月がつ3日にちダッカのレストラン襲撃しゅうげきによる人質ひとじちテロ事件じけんで、自衛隊じえいたい法ほう84条じょうに基もとづく「在外ざいがい邦人ほうじんの緊急きんきゅう輸送ゆそう」任務にんむ実施じっしのためにバングラデシュへ派遣はけんされる。
- 7月がつ29日にち後継こうけい機きボーイング777-300ER型がた初号しょごう機きが初はつ飛行ひこう^[54]する。
2018年ねん（平成へいせい30年ねん）
- 8月がつ17日にち 1番ばん機きボーイング777-300ER 80-1111 を受領じゅりょうする。
- 12月11日にち 2番ばん機きボーイング777-300ER 80-1112 を受領じゅりょうする^[55]。
2019年ねん（平成へいせい31年ねん）
- 3月がつボーイング747-400 20-1101、20-1102（旧きゅうJA8091・旧きゅうJA8092）が退役たいえきする。
- 3月24日にち航空こうくう自衛隊じえいたい千歳基地ちとせきちで新旧しんきゅう機種きしゅの交代こうたい式しきが催もよおされる^[56]。B747-400は民間みんかんに売却ばいきゃくされる。
- 4月がつ1日にち後継こうけい機きボーイング777-300ER型がた機きの運用うんようが開始かいし^[57]される。
- 4月がつ22日にち安倍晋三あべしんぞう首相しゅしょうがヨーロッパとアメリカ歴訪れきほうに使用しようし、2代目だいめの機体きたいが実じつ任務にんむで初はつ飛行ひこうする。
2021年ねん（令れい和わ3年ねん）
- 8月がつアフガニスタンの首都しゅとカーブルがターリバーンにより掌握しょうあくされたことを受うけ、自衛隊じえいたい法ほう84条じょうに基もとづく「在外ざいがい邦人ほうじんの緊急きんきゅう輸送ゆそう」任務にんむ実施じっしのために隣国りんごくパキスタンへ派遣はけんされる（在ざいアフガニスタン・イスラム共和きょうわ国こく邦人ほうじん等とうの輸送ゆそう参照さんしょう）。
2022年ねん（令れい和わ4年ねん）
- 3月がつ内閣ないかく総理そうり大臣だいじんのG7首脳しゅのう会合かいごう出席しゅっせきのためベルギー/ブリュッセル向むけ運航うんこうされたがロシアウクライナ侵攻しんこうにより安全あんぜんのため自主じしゅ的てきにロシア領空りょうくう迂回うかいし、往路おうろ太平洋たいへいよう、北米ほくべいアラスカ、カナダ北極圏ほっきょくけん、グリーンランド飛行ひこうする北回きたまわり経路けいろ、復路ふくろ黒海こっかい、中央ちゅうおうアジア飛行ひこうする南回みなみまわり経路けいろを使用しようして運航うんこうしたとされている^[58]。
- 9月 9月17日にち、9月19日にちに行おこなわれたイギリスのエリザベス2世せい女王じょおうの国葬こくそうに参列さんれつするため今上きんじょう天皇てんのうと皇后こうごうが2代目だいめの機体きたいを皇室こうしつとして初はつ使用しようした。これに伴ともない、9月19日にち（台風たいふう14号ごうへの対応たいおうの影響えいきょうで20日はつかに変更へんこう）に国連こくれん総会そうかいのためにニューヨークに渡米とべいした岸田きしだ文雄ふみお首相しゅしょうは民間みんかん機き（全日本空輸ぜんにほんくうゆのボーイング777-300ER・機体きたい記号きごうJA798A）をチャーターすることになった。なお、9月23日にちの復路ふくろは政府せいふ専用せんよう機きを使用しようした^[59]^[60]。
2023年ねん（令れい和わ5年ねん）
- 2月がつトルコ・シリア地震じしんを受うけ、現地げんちで活動かつどうを予定よていする国際こくさい緊急きんきゅう援助えんじょ隊たいの医療いりょうチームが使つかう資機材しきざいを届とどけるため、トルコへ派遣はけんされる^[61]。
- 3月21日にち、前々まえまえ日び19日にちからインド訪問ほうもん中ちゅうの岸田きしだ文雄ふみお首相しゅしょうがウクライナへの電撃でんげき訪問ほうもんを行おこなったが、安全あんぜん面めんでの確保かくほから政府せいふ専用せんよう機きを使用しようせずビジネスジェットを使用しようしてインドから隣国りんごくポーランド・ジェシュフへ移動いどうし、ポーランドから同機どうきで日本にっぽんに帰国きこくした。

諸しょ元もと

名称めいしょう

政府せいふによる正式せいしき呼称こしょう：「日本国にっぽんこく政府せいふ専用せんよう機き」
航空こうくう自衛隊じえいたいにおける正式せいしき名称めいしょう：「特別とくべつ輸送ゆそう機き」
英語えいご表記ひょうき：「Japanese Air Force One/Two」（ジャパニーズ・エアフォース・ワン/トゥー）

コールサイン

Japanese Air Force 001/002：主務しゅむ機き/予備よび機き。通常つうじょうの任務にんむ飛行ひこう中ちゅうに用もちいる。"Japanese Air Force"を"JF"の略記りゃっきも散見さんけんされるが、JFは航空こうくう会社かいしゃコードに割わり当あてがない^{[注釈ちゅうしゃく 18]}。
2015年ねん1月がつ25日にちと26日にちに、皇太子こうたいし徳とく仁じん親王しんのうと福田ふくだ康夫やすお政府せいふ特派とくは大使たいしがサウジアラビア王国おうこくのアブドッラー国王こくおうを弔問ちょうもんした際さいは、単独たんどくで「002」を用もちいた。
Japanese Air Force 701：2013年ねん1月がつにアルジェリア人質ひとじち事件じけんの邦人ほうじん救出きゅうしゅつ任務にんむで、20-1102機きが往路おうろ復路ふくろともに用もちいた。
Japanese Air Force 901：2013年ねん4月がつ28日にちから5月がつ3日にちまで皇太子こうたいし徳とく仁じん親王しんのう夫妻ふさいがオランダのウィレム・アレクサンダー国王こくおう即位そくい式しきに赴おもむいた際さい、2013年ねん6月がつ10日とおかから16日にちまで皇太子こうたいし徳とく仁じん親王しんのうが日にち西にし交流こうりゅう400周年しゅうねん記念きねんで公式こうしき訪問ほうもん時じ、それぞれで20-1101機きが往路おうろ復路ふくろともに用もちいた。
Japan/Japanese Air Force 1101：1993年ねん2月がつ11日にちから14日にちまで渡辺わたなべ美智雄みちお外相がいしょうがワシントンを訪問ほうもん時じ、初はつの任務にんむ飛行ひこうとなる20-1101機きが、往路おうろはJapan Air Forceを復路ふくろはJapanese Air Forceをそれぞれ用もちいた^[62]。
Cygnus^{[注釈ちゅうしゃく 19]} 01/02^{[注釈ちゅうしゃく 20]}/11/12^{[注釈ちゅうしゃく 21]}：訓練くんれんおよび回送かいそうの際さいに使用しようされる。"CYGNS"と表記ひょうきされることがある。
PLANETA^{[注釈ちゅうしゃく 22]}：訓練くんれん飛行ひこう時じに使用しようされたことがある^[63]。
AKITSUA：2019年ねん6月がつ28から29日にちに大阪おおさかで開催かいさいされた「G20 大阪おおさかサミット」で、羽田はた - 伊丹いたみの運行うんこうで往路おうろ復路ふくろともに用もちいた。

初代しょだい

機体きたい

日本国にっぽんこく政府せいふ専用せんよう機き

日本国にっぽんこく政府せいふ専用せんよう機き、編隊へんたい

用途ようと：輸送ゆそう機き
分類ぶんるい：日本国にっぽんこく政府せいふ専用せんよう機き
製造せいぞう者しゃ：ボーイング
運用うんよう者しゃ：航空こうくう自衛隊じえいたい
生産せいさん数すう：2機き
運用うんよう開始かいし：1993年ねん
退役たいえき：2019年ねん3月がつ
運用うんよう状じょう況きょう：運用うんよう廃止はいし

機種きしゅ：ボーイング747-47C^{[注釈ちゅうしゃく 23]}
エンジン：ゼネラル・エレクトリック CF6-80C2B1F^{[注釈ちゅうしゃく 24]}
所属しょぞく：航空こうくう自衛隊じえいたい航空こうくう支援しえん集団しゅうだん特別とくべつ航空こうくう輸送ゆそう隊たい
機体きたい番号ばんごう：20-1101、20-1102^{[注釈ちゅうしゃく 17]}
機き数すう：2機き（通常つうじょう2機きをペアとして運用うんよう）

政府せいふ専用せんよう機き^[64]^[65]
機種きしゅ	製造せいぞう番号ばんごう	機体きたい番号ばんごう	受領じゅりょう日び	登録とうろく日び	備考びこう
ボーイング747-47C	24730 / 816	20-1101	1991/09/17	1992/04/01	元もとJA8091
ボーイング747-47C	24731 / 839	20-1102	1991/11/18	1992/04/01	元もとJA8092

外装がいそう

胴体どうたい：白地しろじに、金かねのアンダーライン付つき赤あかの帯おび。前方ぜんぽうの左側ひだりがわに「日本にっぽん国こく JAPAN」、右側みぎがわに「JAPAN 日本にっぽん国こく」の文字もじ（左右さゆう対称たいしょうにするため）、後方こうほうの両側りょうがわに小ちいさく「航空こうくう自衛隊じえいたい」の文字もじ
主翼しゅよく：左翼さよくの上うえに「JAPAN」の文字もじ。両翼りょうよくの上下じょうげ計けい4カ所かしょに航空こうくう自衛隊じえいたいの国籍こくせき標しめぎ章あきら ^{[注釈ちゅうしゃく 25]}。
尾翼びよく：垂直すいちょく尾翼びよくの左右さゆう両側りょうがわに大おおきく航空こうくう自衛隊じえいたいの国籍こくせき標しめぎ章あきら、その前方ぜんぽう部ぶに小ちいさく機体きたい番号ばんごう。
貨物かもつ室しつ：エアステア

前方ぜんぽう貨物かもつ室しつに設置せっちされたエアステア

内装ないそう

内装ないそう^{[注釈ちゅうしゃく 26]}は要人ようじんや同行どうこうする記者きしゃ、運航うんこう要員よういんなどの輸送ゆそう用ように設計せっけいされており、座席ざせきや壁面へきめんなどは茶色ちゃいろやベージュを基調きちょうとした暖色だんしょく系けいの色調しきちょうでまとめられている。

コックピット内うちは民間みんかん仕様しようとほぼ同おなじだが、敵てき味方みかた識別しきべつ装置そうちなどの軍用ぐんよう機器ききが追加ついかされている。コックピット天井てんじょうにある非常ひじょう脱出だっしゅつハッチの開口かいこう部ぶは、特別とくべつ機きとして使用しようされるケースを想定そうていした民間みんかん機体きたいと同様どうように器材きざいを取とり付つけて、国旗こっきの掲出けいしゅつが可能かのうである。
機内きないは前方ぜんぽうから、貴賓きひん室しつ、夫人ふじん室しつ、秘書官ひしょかん室しつ（11席せき）、会議かいぎ室しつ（4席せき）、事務じむ室しつ（2席せき）、随行ずいこう員いん室しつ（12席せき＋21席せき）、一般いっぱん客席きゃくせき（89席せき）がある^[25]。随行ずいこう員いん室しつは2-3-2アブレスト、一般いっぱん客室きゃくしつは2-4-2アブレストである。一般いっぱん客席きゃくせきの中央ちゅうおう部ぶに記者きしゃ会見かいけん席せき（3席せき）がある。秘書官ひしょかん室しつや随行ずいこう員いん室しつではライフラットのビジネスクラス用ようシート^[66]が、一般いっぱん客室きゃくしつではレッグレスト付つきのプレミアムエコノミーに相当そうとうする座席ざせき^[66]で、ノートパソコン向むけの電源でんげんコンセントを備そなえているが、エンターテイメント設備せつびは設置せっちされていない^[66]。記者きしゃ会見かいけんや清掃せいそうに備そなえて、壁面へきめんにコンセントが設置せっちされている^[66]。
要人ようじんが使用しようする貴賓きひん室しつは、1階かい最前さいぜん方かたのコックピット真下ました、民間みんかん機きはB747のみに存在そんざいするL1/R1ドアよりも前まえにあるキャビンに位置いちする。従来じゅうらいは保安ほあんのために非公開ひこうかいであったが、退役たいえき後ごに1機きの調度ちょうど品ひんを浜松はままつ広報こうほう館かんに展示てんじ、もう1機き分ぶんは一般いっぱん公開こうかい展示てんじを条件じょうけんに小松こまつ市しの石川いしかわ県立けんりつ航空こうくうプラザへ無償むしょうで譲渡じょうとされ^[25]^[67]、リサイクル業者ぎょうしゃへ引ひき渡わたす前まえの2019年ねん5月がつ24日にちに内部ないぶが報道ほうどう関係かんけい者しゃに初はつ公開こうかいされた^[68]^[69]。
一般いっぱん客席きゃくせきに搭乗とうじょうする同行どうこう記者きしゃらは、民間みんかん航空こうくう会社かいしゃ運航うんこう便びんと同どう程度ていどの航空こうくう券けん運賃うんちんを支払しはらう^[70]。
2階かい部分ぶぶんは、通信つうしん室しつや運航うんこう要員よういんの座席ざせき（25席せき）とその休憩きゅうけい室しつが設もうけられている^[71]。運航うんこう要員よういん用ようの座席ざせきはエコノミークラス用ようシートの3-3アブレストとなっているが、前方ぜんぽう左側ひだりがわの4席せきは1階かいの一般いっぱん客室きゃくしつと同おなじ座席ざせきが設置せっちされているため2-3アブレストとなっている。運航うんこう要員よういんの空間くうかんを2階かいに集約しゅうやくして、1階かいに搭乗とうじょうする要人ようじんの間あいだを通とおり抜ぬけることなく業務ぎょうむの遂行すいこうを可能かのうとしている^[66]。
旧式きゅうしきの機体きたいで遮音しゃおん性せいが優すぐれず、機内きないの会話かいわに大声おおごえを要ようした^[25]。
747-400の乗客じょうきゃく数すうは416から524名めいであるが、本ほん機きは約やく140人にんである。
同行どうこう者しゃらも機内きないサービスが提供ていきょうされ、機内きない食しょくは和食わしょく、洋食ようしょく、肉にく、魚さかなを選えらぶことができる。食材しょくざいは日本にっぽんから持もち込こんだ物ものと現地げんち調達ちょうたつがある^[25]。アメニティグッズは航空こうくう自衛隊じえいたいのロゴが入はいった特注とくちゅう品ひんである^[25]。映画えいが上映じょうえい時じは前方ぜんぽうのスクリーンへ投影とうえいする^[25]。栄養えいようドリンクも搭載とうさいされて要人ようじんの警護けいご官かんに好評こうひょうである^[25]。

操縦そうじゅう室しつ天井てんじょう窓まどから機外きがいに掲かかげられた日本にっぽん国旗こっき
L1ドアにある航空こうくう自衛隊じえいたいマーク
記者きしゃ会見かいけん席せき（小泉こいずみ純一郎じゅんいちろう首相しゅしょう・安倍晋三あべしんぞう内閣ないかく官房かんぼう副ふく長官ちょうかん）
会議かいぎ室しつ
貴賓きひん室しつ（鳩山はとやま由紀夫ゆきお首相しゅしょう）