株式かぶしき公開こうかい買付かいつけ

株式かぶしき公開こうかい買付かいつけ（かぶしきこうかいかいつけ）とは、ある株式会社かぶしきがいしゃの株式かぶしきの買付かいつけを、「買付かいつけ期間きかん・買取かいとり株数かぶすう・価格かかく」を公告こうこくし、不ふ特定とくてい多数たすうの株主かぶぬしから株式かぶしき市場いちば外がいで株式かぶしき等とうを買かい集あつめる制度せいどのことである。日本にっぽんでは公開こうかい買付かいつけをTOB（take-over bid）と言いうことが多おおい。

概説がいせつ

公開こうかい買付かいつけとは、経営けいえい権けんの掌握しょうあく等とうを目的もくてきにその会社かいしゃの株券かぶけんや資本しほん性せい証券しょうけんを市場いちば外がいで一定いってい期間きかんのうちに一定いってい価格かかくで買かい取とることを公告こうこくして取得しゅとくする方法ほうほうをいう。株式かぶしき公開こうかい買付かいつけ制度せいどは投資とうし家かの保護ほごと証券しょうけん取引とりひきの秩序ちつじょ維持いじのために設もうけられている。株式かぶしき公開こうかい買付かいつけ制度せいどを導入どうにゅうしている国くにには、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、日本にっぽんなどがあるがその内容ないようは異ことなる。

第三者だいさんしゃが、企業きぎょう買収ばいしゅうや子会社こがいしゃ化かなど、対象たいしょう企業きぎょうの経営けいえい権けんの取得しゅとくを目的もくてきに実施じっしすることが多おおい。成長せいちょう力りょくのある会社かいしゃを完全かんぜん子会社こがいしゃあるいは社内しゃない事業じぎょう部門ぶもんに取とり込こむことで、親会社おやがいしゃの企業きぎょう価値かちを上あげるという考かんがえ方かたもある。他たには市場いちばに流通りゅうつうする「自社じしゃの株式かぶしき」（自己じこ株式かぶしき）を購入こうにゅうするために使つかわれることもある。

公開こうかい買付かいつけの買付かいつけ量りょうによっては、対象たいしょうとなった企業きぎょうが上場じょうじょう廃止はいしになる場合ばあいがある。例たとえば東京とうきょう証券しょうけん取引とりひき所しょの場合ばあい、少数しょうすう特定とくてい株主かぶぬし持もち分ぶん比率ひりつが90%を超こえないことが、上場じょうじょう基準きじゅんのため、この基準きじゅんを抵触ていしょくする量りょうを買付かいつけすると、対象たいしょう企業きぎょうは上場じょうじょう廃止はいしとなる。マネジメント・バイ・アウト (MBO) などのための公開こうかい買付かいつけでは意図いと的てきに上場じょうじょう廃止はいしする場合ばあいも多おおい。

公開こうかい買付かいつけを略りゃくしてTOBと言いうが、これは英語えいごのtakeover bidが語源ごげんである。アメリカ英語えいごでは、tender offerという表現ひょうげんもあり、投資とうし銀行ぎんこうの世界せかいでは tender offer or public tender offerというい回いまわしの方ほうが通とおりがよい。

日本にっぽんにおける公開こうかい買付かいつけ

日本にっぽんでは金融きんゆう商品しょうひん取引とりひき法ほう（旧きゅう証券しょうけん取引とりひき法ほう）において一定いっていの場合ばあいに公開こうかい買付かいつけを義務ぎむづける強制きょうせい公開こうかい買付かいつけ制度せいどが採用さいようされている。

具体ぐたい的てきには金融きんゆう商品しょうひん取引とりひき法ほう第だい27条じょうの2により、有価ゆうか証券しょうけん報告ほうこく書しょの提出ていしゅつが義務付ぎむづけられている株式会社かぶしきがいしゃ等とう（証券しょうけん取引とりひき所しょに上場じょうじょうする株式会社かぶしきがいしゃなど）の「株券かぶけん等とう」を発行はっこう者しゃ以外いがいの者ものが市場いちば外がいで一定いってい数すう以上いじょうの「買付かいつけ等とう」をする場合ばあいなどには、原則げんそくとして公開こうかい買付かいつけによらねばならないと定さだめられている。

同どう法ほうに定さだめられた公開こうかい買付かいつけは、その実施じっし主体しゅたい者しゃの違ちがいにより「発行はっこう者しゃ以外いがいの者ものによる株式かぶしき等とうの公開こうかい買付かいつけ」と「発行はっこう者しゃによる上場じょうじょう株券かぶけん等とうの公開こうかい買付かいつけ」に分わけられている。

公開こうかい買付かいつけが強制きょうせいされることの趣旨しゅしは、経営けいえい権けんの移転いてんに関かんする情報じょうほう開示かいじ、株主かぶぬし平等びょうどうの原則げんそく、コントロール・プレミアムの平等びょうどう分配ぶんぱいの3つにあるとされる。

実施じっしに際さいしては、条件じょうけんの新聞しんぶんへの公告こうこくや、財務局ざいむきょくへの届出とどけでの手続てつづきが必要ひつようとなる。実施じっし中ちゅうは、この方法ほうほう以外いがいで当該とうがい株かぶを購入こうにゅうすることはできない。

公開こうかい買付かいつけの方法ほうほう及および公開こうかい買付かいつけに関かんする開示かいじ方法ほうほう等とうについては金融きんゆう商品しょうひん取引とりひき法ほう第だい27条じょうの2～第だい27条じょうの22の4に、公開こうかい買付かいつけ者しゃ等とう関係かんけい者しゃの禁止きんし行為こういは同どう法ほう第だい167条じょうに、それぞれ規定きていされている。

特定とくてい企業きぎょうが保有ほゆうしている株式かぶしきを容易よういに取得しゅとくし易やすくするために市場いちばよりも割安わりやすな価格かかくで株式かぶしき公開こうかい買付かいつけを行おこなうこと（「ディスカウントTOB」と呼よばれている）も日本にっぽん国内こくないでは可能かのうで三菱商事みつびししょうじやコカ・コーラボトラーズジャパンホールディングスなどが実施じっししている。この方法ほうほうは市場いちばで大量たいりょうの株式かぶしきを売却ばいきゃくすると株価かぶかが下さがり、他たの株主かぶぬしに影響えいきょうを受うけることを回避かいひすることが出来できる一方いっぽう、価格かかくの妥当だとう性せいなどに不透明ふとうめいな余地よちが残のこることから、「本来ほんらい受うけ取とるべき利益りえきを毀損きそんしている」との批判ひはんの声こえもある。

歴史れきし

日本にっぽんで公開こうかい買付かいつけ制度せいどが導入どうにゅうされたのは1971年ねん（昭和しょうわ46年ねん）で、1990年ねん（平成へいせい2年ねん）にほぼ現行げんこうの制度せいどとなった。

のちに市場いちば内ないで議決ぎけつ権けんが全体ぜんたいの3分ぶんの1以上いじょうの株式かぶしきを取得しゅとくしても問題もんだいとならない、との解釈かいしゃくに基もとづき、ライブドアが東証とうしょうの取引とりひき開始かいし前まえの時間じかん外がい取引とりひきでニッポン放送にっぽんほうそう株式かぶしきの29.5%を取得しゅとく、グループとして発行はっこう済ずみ株式かぶしきのうち35%を保有ほゆうするに至いたった件けん（2005年ねん2月がつ）や、村上むらかみファンドが市場いちば内ない・市場いちば外がいを併用へいようして阪神電気鉄道はんしんでんきてつどう 株式かぶしき38%を取得しゅとくした件けん（2005年ねん10月がつ）などの反省はんせいから、平成へいせい17年ねんの証券しょうけん取引とりひき法ほう改正かいせいにより、市場いちば内ない取引とりひきでも、ToSTNetなど証券しょうけん取引とりひき所しょの立会たちあい外がい取引とりひき（時間じかん外がい取引とりひき）によって、買付かいつけ後ごの株券かぶけん等とう所有しょゆう割合わりあいが3分ぶんの1を超こえるものについては、同おなじく公開こうかい買付かいつけによらなければならないこととされた。

「ニッポン放送にっぽんほうそうの経営けいえい権けん問題もんだい#ライブドアによる敵対てきたい的てき買収ばいしゅう事件じけん」および「阪急はんきゅう・阪神はんしん経営けいえい統合とうごう」も参照さんしょう

これらの騒動そうどうの影響えいきょうにより、2006年ねん（平成へいせい18年ねん）12月13日にちに施行しこうされた政せい省令しょうれいによって、3か月げつ以内いないに、市場いちば外がいで5%超ちょう取得しゅとくし、市場いちば内ないと合あわせて10%超ちょう取得しゅとくし、保有ほゆう割合わりあいが3分ぶんの1を超こえる場合ばあいは公開こうかい買付かいつけが義務付ぎむづけられた。しかし、この時点じてんでは市場いちば内ないのみでの株式かぶしき買かい集あつめは対象たいしょう外がいだったこともあり、アジア開発かいはつキャピタル子会社こがいしゃによる東京機械製作所とうきょうきかいせいさくしょ株式かぶしきの急速きゅうそくな買かい集あつめを防ふせぐことは出来できず、問題もんだいになった。これを受うけて、市場いちば内ないのみでの株式かぶしき買かい集あつめについても買付かいつけ後ごの株券かぶけん等とう所有しょゆう割合わりあいが3分ぶんの1を超こえる場合ばあいは公開こうかい買付かいつけの義務ぎむづけを検討けんとうする方向ほうこうで調整ちょうせいしていることが2023年ねん3月がつに報ほうじられた。

なお、買付かいつけ後ごの株券かぶけん等とう所有しょゆう割合わりあいが3分ぶんの1を超こえなくても公開こうかい買付かいつけを行おこなうことは可能かのうである。2022年ねん8月がつから同年どうねん10月がつまでシダックス株式かぶしきの公開こうかい買付かいつけを行おこなっていたオイシックス・ラ・大地だいちはユニゾン・キャピタル（ユニゾン）が保有ほゆうしているシダックス株式かぶしき（27.02%）の取得しゅとくを目的もくてきとしているため、通常つうじょうであれば公開こうかい買付かいつけを行おこなう必要ひつよう性せいはないが、ユニゾンによる意向いこうにより、敢あえて公開こうかい買付かいつけを実施じっししていた事例じれいがある。

手続てつづき

公開こうかい買付かいつけ開始かいし公告こうこく

公開こうかい買付かいつけによって株券かぶけん等とうの買付かいつけ等とうを行おこなわなければならない者ものは公開こうかい買付かいつけ開始かいし公告こうこくを行おこなう必要ひつようがある（金融きんゆう商品しょうひん取引とりひき法ほう27条じょうの3）。

公開こうかい買付かいつけ者しゃによる公開こうかい買付かいつけ届出とどけで書しょの提出ていしゅつ

公開こうかい買付かいつけ開始かいし公告こうこくを行おこなった者もの（公開こうかい買付かいつけ者しゃ）は買付かいつけ条件じょうけん等とうを記載きさいした書類しょるい及および内閣ないかく府ふ令れいで定さだめる添付てんぷ書類しょるい（公開こうかい買付かいつけ届出とどけで書しょ）を内閣ないかく総理そうり大臣だいじんに提出ていしゅつをしなければならない（金融きんゆう商品しょうひん取引とりひき法ほう27条じょうの3）。

公開こうかい買付かいつけ期間きかん

公開こうかい買付かいつけ期間きかんとは公開こうかい買付かいつけ開始かいし公告こうこくを行おこなった日ひから公開こうかい買付かいつけによる買付かいつけ等とうの期間きかんの末日まつじつまでをいう（延長えんちょうした場合ばあいは延長えんちょうした期間きかんを含ふくむ）（金融きんゆう商品しょうひん取引とりひき法ほう27条じょうの5）。公開こうかい買付かいつけ期間きかんは公開こうかい買付かいつけ開始かいし公告こうこくを行おこなった日ひから起算きさんして20日はつか以上いじょうで60日にち以内いないでなければならない（金融きんゆう商品しょうひん取引とりひき法ほう施行しこう令れい8条じょう）。

公開こうかい買付かいつけ対象たいしょう者しゃによる意見いけん表明ひょうめい報告ほうこく書しょの提出ていしゅつ

公開こうかい買付かいつけをされる株券かぶけん等ひとしの発行はっこう者しゃは、公開こうかい買付かいつけ開始かいし公告こうこくが行おこなわれた日ひから10営業えいぎょう日び内ないに、当該とうがい公開こうかい買付かいつけに関かんする意見いけん等とう、所定しょていの事項じこうを記載きさいした意見いけん表明ひょうめい報告ほうこく書しょを内閣ないかく総理そうり大臣だいじんに提出ていしゅつしなければならない（金融きんゆう商品しょうひん取引とりひき法ほう27条じょうの10）。

意見いけん表明ひょうめい報告ほうこく書しょの意義いぎは、公開こうかい買付かいつけをされる株券かぶけん等とうの発行はっこう者しゃによる当該とうがい公開こうかい買付かいつけに関かんする意見いけんを開示かいじすることで、当該とうがい公開こうかい買付かいつけの位置付いちづけを明あきらかにすることにより、投資とうし者しゃを保護ほごするとともに証券しょうけん市場いちばの信頼しんらい性せいを確保かくほすることにあるといえる。

提出ていしゅつを義務付ぎむづけられている者ものは、第だい4号ごう様式ようしきにより意見いけん表明ひょうめい報告ほうこく書しょを3通つう作成さくせいし、関東かんとう財務局ざいむきょく長ちょうに提出ていしゅつし、かつ、公開こうかい買付かいつけ者しゃに対たいしても送付そうふしなければならない。

意見いけん表明ひょうめい報告ほうこく書しょの記載きさい事項じこうは以下いかのとおり。

1. 公開こうかい買付かいつけ者しゃの氏名しめいまたは名称めいしょうおよび住所じゅうしょまたは所在地しょざいち
2. 当該とうがい公開こうかい買付かいつけに関かんする意見いけんの内容ないようおよび根拠こんきょ
3. 当該とうがい意見いけんを決定けっていした取締役とりしまりやく会かいの決議けつぎまたは役員やくいん会かいの決議けつぎの内容ないよう
4. 当該とうがい発行はっこう者しゃの役員やくいんが所有しょゆうする当該とうがい公開こうかい買付かいつけに係かかる株券かぶけん等とうの数かずおよび当該とうがい株券かぶけん等とうに係かかる議決ぎけつ権けんの数かず
5. 当該とうがい発行はっこう者しゃの役員やくいんに対たいし公開こうかい買付かいつけ者しゃまたはその特別とくべつ関係かんけい者しゃが利益りえきの供与きょうよを約やくした場合ばあいには、その利益りえきの内容ないよう
6. 当該とうがい発行はっこう者しゃの財務ざいむおよび事業じぎょうの方針ほうしんの決定けっていを支配しはいする者ものの在あり方かたに関かんする基本きほん方針ほうしん（会社かいしゃ法ほう施行しこう規則きそく第だい127条じょう）に照てらして不適切ふてきせつな者ものによって当該とうがい発行はっこう者しゃの財務ざいむおよび事業じぎょうの方針ほうしんの決定けっていが支配しはいされることを防止ぼうしするための取組とりくみ（買収ばいしゅう防衛ぼうえい策さくの導入どうにゅう等とう）を行おこなっている場合ばあいには、その内容ないよう
7. 法ほうに掲かかげる記載きさいすることのできる事項じこうがあるときは、当該とうがい事項じこう
   1. 公開こうかい買付かいつけ者しゃに対たいする質問しつもん
   2. 公開こうかい買付かいつけ開始かいし公告こうこくに記載きさいされた買付かいつけ等とうの期間きかんを延長えんちょうすることを請求せいきゅうする旨むねおよびその理由りゆう

※ 期間きかんの延長えんちょうは、当該とうがい買付かいつけ等とうの期間きかんが政令せいれいで定さだめる期間きかんより短みじかい場合ばあいに限かぎられ、政令せいれいで定さだめる期間きかんまで延長えんちょう可能かのう。

内閣ないかく総理そうり大臣だいじんは当該とうがい意見いけん表明ひょうめい報告ほうこく書しょを公衆こうしゅうの縦覧じゅうらんに供きょうする。

• 公衆こうしゅうの縦覧じゅうらんに供きょうされる期間きかんは、公開こうかい買付かいつけ期間きかんの末日まつじつの翌日よくじつ以後いご5年ねんを経過けいかする日ひまでの間あいだ
  • 内閣ないかく総理そうり大臣だいじんは、EDINET上じょうで、上記じょうきの期間きかん、公衆こうしゅうの縦覧じゅうらんに供きょうさなければならない
  • 意見いけん表明ひょうめい報告ほうこく書しょの提出ていしゅつ者しゃは、写うつしを本店ほんてんはまたは主しゅたる事務所じむしょに備そなえ置おき、公衆こうしゅうの縦覧じゅうらんに供きょうさなければならない。
  • 証券しょうけん取引とりひき所しょは、写うつしをその事務所じむしょに備そなえ置おき、公衆こうしゅうの縦覧じゅうらんに供きょうさなければならない。

公開こうかい買付かいつけ者しゃによる公開こうかい買付かいつけの撤回てっかい及および契約けいやくの解除かいじょ

公開こうかい買付かいつけ者しゃは、原則げんそくとして、公開こうかい買付かいつけ開始かいし公告こうこくをした後のちは、当該とうがい公開こうかい買付かいつけを撤回てっかいすることができない（金融きんゆう商品しょうひん取引とりひき法ほう27条じょうの11本文ほんぶん）。

しかし、以下いかの場合ばあいは、例外れいがい的てきに公開こうかい買付かいつけ者しゃが撤回てっかいすることができる（金融きんゆう商品しょうひん取引とりひき法ほう27条じょうの11但書ただしがき）。

• 公開こうかい買付かいつけの対象たいしょうとなる株券かぶけん等とうの発行はっこう者しゃまたはその子会社こがいしゃの、業務ぎょうむまたは財産ざいさんに関かんする重要じゅうような変更へんこうその他たの公開こうかい買付かいつけの目的もくてきの達成たっせいに重大じゅうだいな支障ししょうとなる事情じじょう（政令せいれいで定さだめるものに限かぎられ、かつ、公開こうかい買付かいつけの撤回てっかい等とうをすることがある旨むねの条件じょうけんを付ふした場合ばあい）が発生はっせいした場合ばあい。
• 公開こうかい買付かいつけ者しゃに破産はさん手続てつづき開始かいしの決定けっていその他たの政令せいれいで定さだめる重要じゅうような事情じじょうの変更へんこうが発生はっせいした場合ばあい。

前者ぜんしゃの対象たいしょう会社かいしゃに生しょうじた「公開こうかい買付かいつけの目的もくてきの達成たっせいに重大じゅうだいな支障ししょうとなる事情じじょう」は以下いかの事情じじょうをいう。ただし1.から3.までに掲かかげるものについては、軽微けいびなものとして内閣ないかく府ふ令れいで定さだめる基準きじゅんに該当がいとうするものを除のぞく（金融きんゆう商品しょうひん取引とりひき法ほう施行しこう令れい14条じょう）。

1. 対象たいしょう者しゃまたはその子会社こがいしゃ（会社かいしゃ法ほう第だい2条じょう第だい3号ごうに規定きていする子会社こがいしゃ）の業務ぎょうむ執行しっこうを決定けっていする機関きかんが次つぎに掲かかげる事項じこうを行おこなうことについての決定けっていをしたこと
   1. 株式かぶしき交換こうかん
   2. 株式かぶしき移転いてん
   3. 会社かいしゃの分割ぶんかつ
   4. 合併がっぺい
   5. 解散かいさん（合併がっぺいによる解散かいさんを除のぞく。）
   6. 破産はさん手続てつづき開始かいし、再生さいせい手続てつづき開始かいしまたは更生こうせい手続てつづき開始かいしの申立もうしたて
   7. 資本しほん金きんの額がくの減少げんしょう
   8. 事業じぎょうの全部ぜんぶまたは一部いちぶの譲渡じょうと、譲受ゆずりうけ、休止きゅうしまたは廃止はいし
   9. 金融きんゆう商品しょうひん取引とりひき所しょに対たいする株券かぶけん等とうの上場じょうじょうの廃止はいしに係かかる申請しんせい
   10. 認可にんか金融きんゆう商品しょうひん取引とりひき業ぎょう協会きょうかいに対たいする株券かぶけん等とうの登録とうろくの取消とりけしに係かかる申請しんせい
   11. 預金よきん保険ほけん法ほう第だい74条じょう第だい5項こうの規定きていによる申出もうしで
   12. 株式かぶしきまたは投資とうし口こうの分割ぶんかつ
   13. 株式かぶしきまたは新株しんかぶ予約よやく権けんの割当わりあて（新あらたに払込はらいこみをさせないで行おこなうものに限かぎる。）
   14. 株式かぶしき、新株しんかぶ予約よやく権けん、新株しんかぶ予約よやく権けん付づけ社債しゃさいまたは投資とうし口こうの発行はっこう（12.および13.以外いがい）
   15. 自己じこ株式かぶしき（会社かいしゃ法ほう第だい113条じょう第だい4項こうに規定きていする自己じこ株式かぶしきをいう。）の処分しょぶん（13.以外いがい）
   16. 既すでに発行はっこうされている株式かぶしきについて、会社かいしゃ法ほう第だい108条じょう第だい1項こう第だい8号ごうまたは第だい9号ごうに掲かかげる事項じこうについて異ことなる定さだめをすること。
   17. 重要じゅうような財産ざいさんの処分しょぶんまたは譲渡じょうと
   18. 多額たがくの借財しゃくざい
   19. 1.から18.までに掲かかげる事項じこうに準じゅんずる事項じこうで公開こうかい買付かいつけ者しゃが公開こうかい買付かいつけ開始かいし公告こうこくおよび公開こうかい買付かいつけ届出とどけで書しょにおいて指定していしたもの
2. 対象たいしょう者しゃの業務ぎょうむ執行しっこうを決定けっていする機関きかんが次つぎに掲かかげる場合ばあいの区分くぶんに応おうじ、次つぎに定さだめる決定けっていをしたこと（公開こうかい買付かいつけ開始かいし公告こうこく日び以後いごに公表こうひょうされたものに限かぎる。）。
   1. 公開こうかい買付かいつけ開始かいし公告こうこく日びに、対象たいしょう者しゃの業務ぎょうむ執行しっこうを決定けっていする機関きかんが当該とうがい公開こうかい買付かいつけの後のちに当該とうがい公開こうかい買付かいつけ者しゃの株券かぶけん等とう所有しょゆう割合わりあいを内閣ないかく府ふ令れいで定さだめる割合わりあい以上いじょう減少げんしょうさせることとなる新株しんかぶの発行はっこうその他たの行為こうい（当該とうがい公開こうかい買付かいつけに係かかる買付かいつけ等とうの期間きかんの末日まつじつ後ごに行おこなうものに限かぎる。）を行おこなうことがある旨むねの決定けっていを既すでに行いっており、かつ、当該とうがい決定けっていの内容ないようを公表こうひょうしている場合ばあい 当該とうがい決定けっていを維持いじする旨むねの決定けってい
   2. 公開こうかい買付かいつけ開始かいし公告こうこくをした日ひにおいて、対象たいしょう者しゃまたはその子会社こがいしゃが会社かいしゃ法ほう第だい108条じょう第だい1項こう第だい8号ごうまたは第だい9号ごうに掲かかげる事項じこうについて異ことなる定さだめをした内容ないようの異ことなる二に以上いじょうの種類しゅるいの株式かぶしきに係かかる株券かぶけん等とうを発行はっこうしている場合ばあい 当該とうがい異ことなる定さだめを変更へんこうしない旨むねの決定けってい
3. 対象たいしょう者しゃに次つぎに掲かかげる事実じじつが発生はっせいしたこと（公開こうかい買付かいつけ開始かいし公告こうこくを行おこなった日ひ以後いごに発生はっせいしたものに限かぎる。）。ただし、1.、3.、5.および7.にあっては、公開こうかい買付かいつけ者しゃおよびその特別とくべつ関係かんけい者しゃによって行おこなわれた場合ばあいを除のぞく。
   1. 事業じぎょうの差止さしどめその他たこれに準じゅんずる処分しょぶんを求もとめる仮処分かりしょぶん命令めいれいの申立もうしたてがなされたこと。
   2. 免許めんきょの取消とりけし、事業じぎょうの停止ていしその他たこれらに準じゅんずる行政ぎょうせい庁ちょうによる法令ほうれいに基もとづく処分しょぶんがなされたこと。
   3. 当該とうがい対象たいしょう者しゃ以外いがいの者ものによる破産はさん手続てつづき開始かいし、再生さいせい手続てつづき開始かいし、更生こうせい手続てつづき開始かいしまたは企業きぎょう担保たんぽ権けんの実行じっこうの申立もうしたてまたは通告つうこくがなされたこと。
   4. 手形てがたもしくは小切手こぎっての不渡ふわたり（支払しはらい資金しきんの不足ふそくを事由じゆうとするものに限かぎる。）または手形てがた交換こうかん所しょによる取引とりひき停止ていし処分しょぶんがあったこと。
   5. 主要しゅよう取引とりひき先さき（前ぜん事業じぎょう年度ねんどにおける売上うりあげ高だかまたは仕入しいれ高だかが売上うりあげ高だかの総額そうがくまたは仕入しいれ高だかの総額そうがくの百ひゃく分ぶんの十じゅう以上いじょうである取引とりひき先さきをいう。）から取引とりひきの停止ていしを受うけたこと。
   6. 災害さいがいに起因きいんする損害そんがい
   7. 財産ざいさん権けん上じょうの請求せいきゅうに係かかる訴うったえが提起ていきされたこと。
   8. 株券かぶけんの上場じょうじょうの廃止はいし（当該とうがい株券かぶけんを上場じょうじょうしているすべての金融きんゆう商品しょうひん取引とりひき所しょにおいて上場じょうじょうが廃止はいしされた場合ばあいに限かぎる。）
   9. 株券かぶけんの登録とうろくの取消とりけし（当該とうがい株券かぶけんを登録とうろくしているすべての認可にんか金融きんゆう商品しょうひん取引とりひき業ぎょう協会きょうかいにおいて登録とうろくが取とり消けされた場合ばあい（当該とうがい株券かぶけんが上場じょうじょうされたことによる場合ばあいを除のぞく。）に限かぎる。）
   10. 1.から9.までに掲かかげる事実じじつに準じゅんずる事実じじつで公開こうかい買付かいつけ者しゃが公開こうかい買付かいつけ開始かいし公告こうこくおよび公開こうかい買付かいつけ届出とどけで書しょにおいて指定していしたもの
4. 株券かぶけん等とうの取得しゅとくにつき他たの法令ほうれいに基もとづく行政ぎょうせい庁ちょうの許可きょか、認可にんか、承認しょうにんその他たこれらに類るいするもの（以下いかこの号ごうにおいて「許可きょか等とう」という。）を必要ひつようとする場合ばあいにおいて、公開こうかい買付かいつけ期間きかんの末日まつじつの前日ぜんじつまでに、当該とうがい許可きょか等とうを得えられなかったこと。
5. その他た前ぜん各号かくごうに準じゅんずるものとして内閣ないかく府ふ令れいで定さだめるもの

後者こうしゃの公開こうかい買付かいつけ者しゃに生しょうじた「政令せいれいで定さだめる重要じゅうような事情じじょうの変更へんこう」は以下いかの事情じじょうをいう。

1. 死亡しぼう
2. 後見こうけん開始かいしの審判しんぱんを受うけたこと。
3. 解散かいさん
4. 破産はさん手続てつづき開始かいしの決定けってい、再生さいせい手続てつづき開始かいしの決定けっていまたは更生こうせい手続てつづき開始かいしの決定けっていを受うけたこと。
5. 当該とうがい公開こうかい買付かいつけ者しゃおよびその特別とくべつ関係かんけい者しゃ以外いがいの者ものによる破産はさん手続てつづき開始かいし、再生さいせい手続てつづき開始かいし、更生こうせい手続てつづき開始かいしまたは企業きぎょう担保たんぽ権けんの実行じっこうの申立もうしたてまたは通告つうこくがなされたこと。
6. 不渡ふわたり等とうがあったこと。

公開こうかい買付かいつけの撤回てっかい等とうを行おこなおうとする場合ばあいには、公開こうかい買付かいつけ期間きかんの末日まつじつまでに、公開こうかい買付かいつけの撤回てっかい等とうを行おこなう旨むねとその理由りゆう等とうを公告こうこくしなければならない。（公告こうこくを期限きげんまでに行おこなうことができない場合ばあいは、公告こうこくに記載きさいすべき内容ないようを公表こうひょうし、その後ご直ただちに公告こうこくを行おこなう）

公告こうこくまたは公表こうひょうを行おこなった者ものは、当該とうがい公告こうこくまたは公表こうひょうを行おこなった日ひに、公告こうこくの内容ないよう等とうを記載きさいした書類しょるい（公開こうかい買付かいつけ撤回てっかい届出とどけで書しょ）を内閣ないかく総理そうり大臣だいじんに提出ていしゅつしなければならない。公開こうかい買付かいつけ撤回てっかい届出とどけで書しょの意義いぎは、原則げんそくとして撤回てっかいができない公開こうかい買付かいつけを、例外れいがい的てきに撤回てっかいする公開こうかい買付かいつけ者しゃがその理由りゆうを明あきらかにすることで、投資とうし者しゃを保護ほごするとともに証券しょうけん市場いちばの信頼しんらい性せいを確保かくほすることにあるといえる。

• 公開こうかい買付かいつけ者しゃが発行はっこう者しゃの場合ばあいは、第だい3号ごう様式ようしきにより公開こうかい買付かいつけ撤回てっかい届出とどけで書しょを3通つう作成さくせいし、関東かんとう財務局ざいむきょく長ちょうに提出ていしゅつしなければならない。
• 公開こうかい買付かいつけ者しゃが発行はっこう者しゃ以外いがいの場合ばあいは、第だい5号ごう様式ようしきにより公開こうかい買付かいつけ撤回てっかい届出とどけで書しょを3通つう作成さくせいし、関東かんとう財務局ざいむきょく長ちょうに提出ていしゅつしなければならない。

報告ほうこく書しょの内容ないようは、金融きんゆう庁ちょうの電子でんし開示かいじ・提出ていしゅつシステムEDINETを通つうじて電子でんし提出ていしゅつすることが義務ぎむづけられており、同庁どうちょうが設置せっちしたウェブサーバ経由けいゆでの縦覧じゅうらんができるほか、財務局ざいむきょくや証券しょうけん取引とりひき所しょ、場合ばあいによっては自社じしゃのウェブサイトにPDFファイルの形かたちで登録とうろくしてあることもある。

公開こうかい買付かいつけの撤回てっかい等とうは、当該とうがい公告こうこくをした場合ばあいに限かぎり公告こうこくを行おこなった時とき（公表こうひょうおよび公告こうこくを行おこなった場合ばあいは公表こうひょうを行おこなった時とき）に発効はっこうする。

英国えいこくにおける公開こうかい買付かいつけ

英国えいこくでも強制きょうせい公開こうかい買付かいつけ制度せいどが採用さいようされており、買収ばいしゅう者しゃが単独たんどくもしくは共同きょうどうで被ひ買収ばいしゅう者しゃ（公開こうかい会社かいしゃ）の30%以上いじょうの株式かぶしきを取得しゅとくする場合ばあいや被ひ買収ばいしゅう者しゃの議決ぎけつ権けんの30%～50%を保有ほゆうする者ものがさらに単独たんどくもしくは共同きょうどうで株式かぶしきを取得しゅとくする場合ばあいには発行済はっこうずみ株式かぶしきのすべてを現金げんきんで買かい取とる公開こうかい買付かいつけによらなければならない。また、買取かいとり価格かかく規制きせいがありその買付かいつけ価格かかくは公開こうかい買付かいつけの発表はっぴょう前まえ12か月げつの間あいだに買付かいつけ者しゃが当該とうがい株式かぶしきを取得しゅとくしていた場合ばあいには、そのいずれの価格かかくも下回したまわってはならないとされている。

英国えいこくでは米国べいこくや日本にっぽんの買収ばいしゅう防衛ぼうえい策さくの規制きせいのアプローチとは異ことなり、買収ばいしゅう者しゃ側がわには強制きょうせい公開こうかい買付かいつけ制度せいどや買取かいとり価格かかく規制きせいを課かしつつ、被ひ買収ばいしゅう者しゃ側がわが買収ばいしゅうを阻害そがいすることを原則げんそくとして禁止きんししてバランスを取とろうとしている。

米国べいこくにおける公開こうかい買付かいつけ

米国べいこくの証券しょうけん取引とりひき法ほう等とうでは強制きょうせい公開こうかい買付かいつけ制度せいどが採用さいようされていない。ただし、以下いかの要件ようけんが存在そんざいする場合ばあいにはTOB規制きせいの対象たいしょうとなりうる。

1. 一般いっぱん株主かぶぬしに積極せっきょく的てきかつ広範囲こうはんいに働はたらきかけを行おこなう場合ばあい
2. 相当そうとうな割合わりあいでの株式かぶしき等とうの取得しゅとく
3. 市場いちば価格かかく以上いじょうでの株式かぶしき等とうの取得しゅとく
4. 交渉こうしょう可能かのうでない価格かかくを提示ていじしている場合ばあい
5. 最低さいてい取得しゅとく株式かぶしき数すうの条件じょうけんが付ふされている場合ばあい
6. 一定いってい期間きかんのみ有効ゆうこうとされている場合ばあい
7. 売却ばいきゃく圧力あつりょくがあるとみられる場合ばあい
8. 急速きゅうそくな株式かぶしきの蓄積ちくせきの前ぜんまたは同時どうじに実施じっしされる場合ばあい

友好ゆうこう的てきTOBと敵対てきたい的てきTOB

友好ゆうこう的てきTOB

買収ばいしゅうされる会社かいしゃの経営けいえい陣じん等とうの賛同さんどうを得えて実施じっしする企業きぎょう買収ばいしゅうは、友好ゆうこう的てき買収ばいしゅう (friendly takeover) と言いわれ、その場合ばあいの公開こうかい買付かいつけのことを友好ゆうこう的てきTOB (friendly bid or offer)と呼よぶ。友好ゆうこう的てきTOBでは、経営けいえい陣じんは株主かぶぬしに対たいして「適正てきせいな買付かいつけ価格かかく」だとして、買付かいつけを受うけ入いれることを勧告かんこくする。また買収ばいしゅう後ご、旧きゅう経営けいえい陣じんが経営けいえいに留とまることが多おおい。友好ゆうこう的てきTOBでは、買付かいつけ価格かかくを競せり上あげる圧力あつりょくが十分じゅうぶんでないので、買付かいつけ価格かかくが株式かぶしき市場いちばの価格かかくより安やすく、値段ねだんの妥当だとう性せいについて、他たの株主かぶぬし側がわに不満ふまんが残のこりやすい。

マネジメント・バイアウト (MBO) においても、公開こうかい買付かいつけが利用りようされる。MBOでは経営けいえい陣じんが、一方いっぽうで買収ばいしゅうする会社かいしゃを設立せつりつし、他方たほうで売うり手てになるので、売うり手てと買かい手ての双方そうほうの利益りえきを代弁だいべんすることになる。そのため、売うり手ての利益りえきを十分じゅうぶんに代弁だいべんしない利益りえき相反あいはん行為こういを犯おかす可能かのう性せいが高たかいと指摘してきされており、買付かいつけ価格かかくの妥当だとう性せいが、MBOではしばしば問題もんだいになる。

敵対てきたい的てきTOB

友好ゆうこう的てきTOBに対たいして、経営けいえい陣じんの賛同さんどうを得えずに行おこなわれる企業きぎょう買収ばいしゅうは敵対てきたい的てき企業きぎょう買収ばいしゅう (hostile takeover) と言いわれ、その場合ばあいの株式かぶしき公開こうかい買付かいつけを、敵対てきたい的てきTOB (hostile bid of offer) と呼よぶ。会社かいしゃ乗のっ取とりとほぼ同義どうぎ。

敵対てきたい的てきTOBでは経営けいえい陣じんは買収ばいしゅう対抗たいこう策さくを講こうずるとともに、株主かぶぬしに対たいして買付かいつけ価格かかくが低ひくいとして買付かいつけに応おうじないように勧告かんこくする。敵対てきたい的てきTOBでは、買付かいつけ価格かかくが引ひき上あげられることがしばしば見みられる。しかし買付かいつけ価格かかくが十分じゅうぶん高たかく設定せっていされた場合ばあいには、経営けいえい陣じんが抵抗ていこうを止とめ買収ばいしゅうに応おうずる判断はんだんをすることもある。

経営けいえい陣じんの買収ばいしゅう対抗たいこう策さくとしては、白馬はくばの騎士きし (white knights) と呼よばれる第だい三さんの友好ゆうこう的てきな企業きぎょうによる合併がっぺいや新株しんかぶ引受ひきうけにより、買収ばいしゅうを避さけることがある。また、買収ばいしゅう対象たいしょうとされた企業きぎょうが、買収ばいしゅうしようとする企業きぎょうを逆ぎゃくに買収ばいしゅうすると脅おどし、買収ばいしゅうを思おもい留とまらせようとする戦法せんぽうもある。これは「パックマン・ディフェンス」と呼よばれる。このほか自社じしゃの重要じゅうよう資産しさんを他た企業きぎょうに営業えいぎょう譲渡じょうとすることで買収ばいしゅうする側がわからみた「買付かいつけする価値かち」自体じたいを失うしなわしめ買収ばいしゅう意欲いよくを削そごうとすることがある。これを大だい規模きぼに行おこなうことを「焦土しょうど作戦さくせん」と呼よぶ。

「M&A」も参照さんしょう

さまざまな買収ばいしゅう対抗たいこう策さくは、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくで発達はったつしたが、イギリスでは公開こうかい買付かいつけ制度せいどそのものを厳格げんかくに運用うんようする代かわりに、買収ばいしゅう対象たいしょうとなった企業きぎょうの経営けいえい者しゃに対抗たいこう策さくを取とることなく中立ちゅうりつを保たもつこと（中立ちゅうりつ義務ぎむ）を求もとめる考かんがえ方かたが見みられる。たとえば、イギリスでは「シティ・コード」として知しられる民間みんかん自主じしゅ規制きせいがある。コードでは、議決ぎけつ権けんで30%以上いじょうを取得しゅとくしようとする者ものに対たいして、ほかのすべての株主かぶぬしに対たいして、買付かいつけの申もうし込こみをすること(強制きょうせい申込もうしこみ)、またその対価たいかを現金げんきんで支払しはらうことを求もとめている。これにより買かい付つける側がわは、未み取得しゅとく株式かぶしきすべてを買かい取とる現金げんきんを用意よういする必要ひつようがある。このことが、安易あんいな買収ばいしゅうを抑制よくせいすると考かんがえられている。

日本にっぽんでは前述ぜんじゅつのライブドアによるニッポン放送にっぽんほうそう買収ばいしゅう騒動そうどうや村上むらかみファンドによる阪神電鉄はんしんでんてつ株かぶ取得しゅとくのように新興しんこう企業きぎょうや投資とうしファンドによる敵対てきたい的てきTOBへの拒否きょひ感かんが強つよく、株主かぶぬしからもTOBへの賛同さんどうを得えられないこともあり、2010年代ねんだい前半ぜんはんまでは敵対てきたい的てきTOBが行おこなわれたケースは少すくなく、成功せいこうした事例じれいもごく僅わずかだった。しかし、2010年代ねんだい後半こうはんになると、新型しんがたコロナウイルスによる保有ほゆう資金しきんの増加ぞうかやコーポレート・ガバナンスによる株式かぶしき持もち合あい解消かいしょうの促進そくしん、2022年ねん4月がつに行おこなわれた東京とうきょう証券しょうけん取引とりひき所しょの市場いちば再編さいへんを背景はいけいとして敵対てきたい的てきTOBを含ふくむM&A事例じれいが増加ぞうかしており、中なかには伊藤忠商事いとうちゅうしょうじや日本にっぽん製鉄せいてつ、SBIホールディングスなどの大だい企業きぎょうが敵対てきたい的てきTOBを主導しゅどうしたケースもある。

公開こうかい買付かいつけの事例じれい

友好ゆうこう的てきTOB

• アコム - 三菱みつびしUFJフィナンシャル・グループが実施じっし(08/09/16-08/10/21) → 成立せいりつ。連結れんけつ子会社こがいしゃ化か。
• 日本車輌製造にっぽんしゃりょうせいぞう - 東海旅客鉄道とうかいりょかくてつどうが実施じっし(08/08/15)
• ニッポン放送にっぽんほうそう - フジテレビジョン(現げん:フジ・メディア・ホールディングス)が実施じっし(05/01/17)
• ボーダフォン日本にっぽん法人ほうじん - ソフトバンク(現げん:ソフトバンクグループ)が実施じっし(06/04/04) 非ひ上場じょうじょう企業きぎょうがTOB規制きせいを受うけた事例じれい。なお、公開こうかい買かい付つけ当時とうじのボーダフォン日本にっぽん法人ほうじん(旧きゅう:ジェイフォン(J-PHONE))は非ひ上場じょうじょう会社かいしゃだが、かつては上場じょうじょうしていた(05/08/01まで)。ソフトバンクに商号しょうごう変更へんこうした後のちに再さい上場じょうじょうしている(18/12/19)。
• 阪神電気鉄道はんしんでんきてつどう - 阪急はんきゅうホールディングス(現げん:阪急はんきゅう阪神はんしんホールディングス)が実施じっし(06/05/30)
• すかいらーく - 野村のむらプリンシパル・ファイナンス、経営けいえい陣じんがMBOとして実施じっし(06/06/09)。上場じょうじょう廃止はいしを経へて(06/09/19)、再さい上場じょうじょうしている(14/10/09)。
• キリンビバレッジ - 親会社おやがいしゃの麒麟麦酒きりんびーる(現げん:キリンホールディングス)が実施じっし (06/05/12) → 東証とうしょう1部ぶ上場じょうじょう子会社こがいしゃの完全かんぜん子会社こがいしゃ化かの事例じれい。株式かぶしき交換こうかん方式ほうしきにより完全かんぜん子会社こがいしゃ化か(06/10/01) 上場じょうじょう廃止はいし(06/08/11)
• 三菱伸銅みつびししんどう - 三菱みつびしマテリアルが実施じっし(06/07/31)
• 筒中プラスチック工業つつなかぷらすちっくこうぎょう - 親会社おやがいしゃの住友すみともベークライトがTOBで東証とうしょう1部ぶ上場じょうじょう子会社こがいしゃの完全かんぜん子会社こがいしゃ化か目的もくてきに実施じっし(06/10/01) → 完全かんぜん買収ばいしゅう完了かんりょう後ご、株式かぶしき交換こうかんで完全かんぜん子会社こがいしゃ化か(07/03/01) その後ご合併がっぺい・解散かいさん(07/07/01)
• クラリオン - 日立製作所ひたちせいさくしょが実施じっし(06/10/25) 14%出資しゅっしから1株かぶ230円えんで応募おうぼ株かぶをすべて買かいつけ。63.66%(06/11/30)→ その後ご、07/01 クラリオンは日立ひたち子会社こがいしゃで同業どうぎょう中堅ちゅうけんのザナヴィ・インフォマティクスを傘下さんかに入いれ合併がっぺいへ
• 住商すみしょうリース - リース業界ぎょうかい再編さいへんのため住友商事すみともしょうじが実施じっし (06/10/31) → 成功せいこう。07年度ねんど中ちゅうに三井みつい住友すみとも銀ぎんリースと合併がっぺいし、三井みつい住友すみともファイナンス&リースとなる。
• メルシャン - 麒麟麦酒きりんびーる(現げん:キリンホールディングス)が実施じっし(06/11/17)(筆頭ひっとう株主かぶぬしで同根どうこんでもある味あじの素もともこのTOBに応募おうぼ)。その後ご、キリンHDは再度さいどTOBを実施じっしし、メルシャンはキリンHDの完全かんぜん子会社こがいしゃとなる。
• サンテレホン - 米べい・ダルトン・インベストメンツが株式かぶしき買かい増まし実施じっし(06/10/19) 1株かぶ1100円えん。出資しゅっし比率ひりつ上昇じょうしょう31.4%⇒39.6% MBOを提案ていあん → その後ご、日本にっぽん産業さんぎょうパートナーズ(みずほ系けい)と米べい・ベインキャピタルの合弁ごうべんによる投資とうし会社かいしゃが友好ゆうこう的てきファンドとして対抗たいこうしてMBOも兼かねて実施じっし(06/12/21) 07/05上場じょうじょう廃止はいし
• 三菱商事みつびししょうじ系けいの食品しょくひん関連かんれんセクター4社しゃ - 2007年度ねんど下半期しもはんきの前後ぜんごを中心ちゅうしんに順次じゅんじ実施じっし。実施じっしした会社かいしゃは日本にケンタッキー・フライド・チキン(KFCとの合弁ごうべん)、日本食品化工にほんしょくひんかこう(CPCとの合弁ごうべん)、日東にっとう富士製粉ふじせいふん、日本農産工業にほんのうさんこうぎょう。以降いこう、三菱商事みつびししょうじは三菱みつびしグループで最もっとも系列けいれつ・関連かんれん会社かいしゃのTOB実施じっしが増ふえる。
• 日立ひたちグループ5社しゃ - 日立製作所ひたちせいさくしょが実施じっし(09/08/20) 2008年ねん決算けっさんで大幅おおはば赤字あかじを計上けいじょうした日立製作所ひたちせいさくしょが、グループ再編さいへんの一環いっかんとして5社しゃを完全かんぜん子会社こがいしゃ化かし、上場じょうじょう廃止はいしするとした。5社しゃのうち3社しゃは、IT系けい。対象たいしょうの5社しゃと、買かい付つけ価格かかくは次つぎの通とおり。日立ひたちソフトウェアエンジニアリング(現げん:日立ひたちソリューションズ)1株かぶ2,650円えん、日立ひたちプラントテクノロジー1株かぶ610円えん、日立ひたちマクセル1株かぶ1,740円えん、日立情報ひたちじょうほうシステムズ1株かぶ2,900円えん、日立ひたちシステムアンドサービス(現げん:日立ひたちソリューションズ)1株かぶ2,150円えん。その後ご日立ひたちソフト、日立ひたち情報じょうほう、日立ひたちシステムが10/02/01に、日立ひたちプラント、日立ひたちマクセルが10/04/01に日立製作所ひたちせいさくしょの完全かんぜん子会社こがいしゃとなった。
• ナカイ - アクサスが実施じっし (09/03/20)
• ソラン - ITホールディングス が実施じっし(09/12/16)
• パナソニック電工でんこう及および三洋電機さんようでんき - パナソニックが実施じっし(10/08/23) なお、パナ電工でんこうは2004年ねん(当時とうじの社名しゃめいは松下電工まつしたでんこう)に、三洋さんようは2009年ねんに一いち度どパナソニックがTOBを実施じっしして子会社こがいしゃ化かしている。今回こんかいのTOBによって両社りょうしゃは上場じょうじょう廃止はいしとなり、その後ごの株式かぶしき交換こうかんによって2011年ねん4月がつを目処めどにパナソニックの完全かんぜん子会社こがいしゃとなる予定よてい。
• プロミス - 三井住友銀行みついすみともぎんこうが実施じっし(11/10/18-11/11/30)。プロミスは上場じょうじょう廃止はいしとなり、三井みつい住友すみともフィナンシャルグループの完全かんぜん子会社こがいしゃSMBCコンシューマーファイナンス株式会社かぶしきがいしゃとなった。
• サークルKサンクス - 筆頭ひっとう株主かぶぬしのユニーが実施じっし(12/02/17-12/04/02)1株かぶ1,780円えん サークルKサンクスはユニーの完全かんぜん子会社こがいしゃとなる。
• ミヤチテクノス(現げん:アマダミヤチ) - アマダが実施じっし(13/02/-13/03) → 成立せいりつ。ミヤチテクノスは上場じょうじょう廃止はいししアマダの連結れんけつ子会社こがいしゃとなり、その後ご社名しゃめいをアマダミヤチへと変更へんこうした。
• エヌジェーケー - NTTデータが実施じっし。2010年ねんに1度目どめのTOBを行おこない50.02%を取得しゅとくして連結れんけつ子会社こがいしゃ化か。2016年ねんに2度目どめのTOBを行おこない完全かんぜん子会社こがいしゃ化かしエヌジェーケーは上場じょうじょう廃止はいしに。
• ファミリーマート - 筆頭ひっとう株主かぶぬしの伊藤忠商事いとうちゅうしょうじが実施じっし(20/07/09) → 成立せいりつ(20/08/25)。出資しゅっし比率ひりつを50.1%から65.71%に引ひき上あげた。その後ご、伊藤忠商事いとうちゅうしょうじは臨時りんじ株主かぶぬし総会そうかいでの決議けつぎを経へて、残のこりの株かぶについても取得しゅとくし、完全かんぜん子会社こがいしゃ化か（上場じょうじょう廃止はいし）した(20/11/12)。なお、このTOBの価格かかく設定せっていを巡めぐり、元もと株主かぶぬしの一部いちぶから裁判さいばんを起おこされる騒動そうどうが後日ごじつ発生はっせいした。
  詳細しょうさいは「ファミリーマート (企業きぎょう)#伊藤忠商事いとうちゅうしょうじによる株式かぶしき公開こうかい買付かいつけ（TOB）」を参照さんしょう
• 島忠しまちゅう - 2020年ねん10月がつにDCMホールディングスによるTOB受入うけいれと同社どうしゃとの経営けいえい統合とうごうで合意ごういしたが、後のちにニトリホールディングスがDCMより高こう価格かかくでの対抗たいこうTOBを発表はっぴょうした。11月には島忠しまちゅうが一転いってんしてDCMとの合意ごういを撤回てっかいしてニトリの提案ていあんを受入うけいれると発表はっぴょうした。このため、当初とうしょの友好ゆうこう的てきTOBと敵対てきたい的てきTOBの相手あいてが途中とちゅうで入いれ替かわり、DCMホールディングス(20/10/05-20/12/11　1株かぶ4,200円えん)とニトリホールディングス(20/11/16-20/12/28　1株かぶ5,500円えん)とが競きそえる形かたちになったが、結局けっきょくニトリ側がわが島忠しまちゅう株かぶの77.04%を取得しゅとくしてTOBが成立せいりつした。
• 東亜石油とうあせきゆ - 完全かんぜん子会社こがいしゃ化かを目的もくてきとして、筆頭ひっとう株主かぶぬしの出光興産いでみつこうさんが実施じっし（20/12/15） → 期間きかんの延長えんちょうを実施じっし（21/01/29）。 → 失敗しっぱい（21/02/16）。応募おうぼ株数かぶすうが買付かいつけ予定よてい株数かぶすうの下限かげんに達たっしなかったため。東亜石油とうあせきゆの大だい株主かぶぬしだったアメリカの投資とうし運用うんよう会社かいしゃがTOB発表はっぴょう後ごに同どう株式かぶしきを買かい増まし、株価かぶかがTOB価格かかくを上回うわまわる状態じょうたいが続つづいたことが影響えいきょうしたとみられている。その後ご、買かい付つけの価格かかくなどを見直みなおした上うえで再度さいど出光興産いでみつこうさんがTOBを実施じっしし（22/09/30）、成立せいりつ（22/11/16）。上場じょうじょう廃止はいしとなった（22/12/13）。
• キャンドゥ - イオンが実施じっし（21/10/14）。→ 成立せいりつ（21/12/28）。イオンが保有ほゆうしているキャンドゥの株数かぶすうを51.16%に引ひき上あげた（22/01/05）。
• 東洋建設とうようけんせつ - 完全かんぜん子会社こがいしゃ化かを目的もくてきとして、インフロニア・ホールディングスが実施じっし（22/03/22） → 失敗しっぱい（22/05/20）。任天堂にんてんどう創業そうぎょう家かの資産しさん運用うんよう会社かいしゃから対抗たいこうTOBの提案ていあんを受うけたことなどが影響えいきょうしたとみられている。
• 神奈川かながわ銀行ぎんこう - 完全かんぜん子会社こがいしゃ化かを目的もくてきとして、横浜銀行よこはまぎんこうが実施じっし（23/02/06）。 → 期間きかんの延長えんちょうを実施じっし（23/03/17）。 → 成立せいりつ（23/04/13）。
• ブロッコリー - 完全かんぜん子会社こがいしゃ化かを目的もくてきとして、ハピネットが実施じっし（2023/4/14）。 → 成立せいりつ（23/06/14）。ハピネットが保有ほゆうしているブロッコリーの株数かぶすうを77.92%に引ひき上あげた（23/06/20）。
• 東芝とうしば - 完全かんぜん子会社こがいしゃ化かを目的もくてきとして、日本にっぽん産業さんぎょうパートナーズ（JIP）が実施じっし（2023/8/8）。 → 成立せいりつ（23/09/21）。
• 焼津水産化学工業やいづすいさんかがくこうぎょう - プライベート・エクイティ・ファンドのJ-STAR出資しゅっし企業きぎょうが実施じっし（2023/8/7）→失敗しっぱい（2023/10/19）。買付かいつけ価格かかくが解散かいさん価値かち価格かかくより低ひくいことに注目ちゅうもくした旧きゅう村上むらかみファンド系けい企業きぎょうなどの大量たいりょう買かい付つけに伴ともない市場いちば価格かかくが買付かいつけ価格かかくを上回うわまわったことによる。

敵対てきたい的てきTOB

• 日本にっぽん技術ぎじゅつ開発かいはつ - 夢ゆめ真まホールディングスが実施じっし(05/07/20) → 失敗しっぱい。白馬はくばの騎士きしとして登場とうじょうしたエイトコンサルタントの子会社こがいしゃの傘下さんかに入はいり、のちに両社りょうしゃは経営けいえい統合とうごうし、統合とうごう新しん会社かいしゃのE・Jホールディングスの事業じぎょう子会社こがいしゃとなる。
• オリジン東秀おりじんとうしゅう - ドン・キホーテとイオンが実施じっし(06/01/16)(06/01/31) → 白馬はくばの騎士きしのイオンに軍配ぐんばい、ドン・キホーテが買かい増ましていた保有ほゆう株式かぶしきをイオンに売却ばいきゃく 上場じょうじょう廃止はいし(06/07/27)。
• 北越製紙ほくえつせいし - 王子製紙おうじせいし（現げん・王子おうじホールディングス）が実施じっし(06/08/02) → 失敗しっぱい。三菱商事みつびししょうじが筆頭ひっとう株主かぶぬし、日本製紙にほんせいしグループ本社ほんしゃ・大王製紙だいおうせいしも上位じょうい株主かぶぬしに。
• 明星食品みょうじょうしょくひん - 米べい系けいのファンド・スティール・パートナーズ・ジャパンが2006年ねん（平成へいせい18年ねん）10月がつ27日にちに実施じっし。MBOを提案ていあん 1株かぶ700円えん→ 失敗しっぱい。全ぜん株かぶ取得しゅとくを目指めざすが応募おうぼゼロ（同年どうねん11月がつ27日にち）。この動うごきに対抗たいこうして、同どう業者ぎょうしゃで業界ぎょうかいトップでライバルでもある日清食品にっしんしょくひん（現げん:日清食品にっしんしょくひんホールディングス）が白馬はくばの騎士きしとして同年どうねん11月がつ16日にちから実施じっし。1株かぶ870円えんで上限じょうげんを設もうけず同年どうねん12月がつ14日にちまで取得しゅとく。スティールも応募おうぼし、86.32 %取得しゅとく。結果けっかとして翌よく2007年ねん（平成へいせい19年ねん）3月がつ27日にち上場じょうじょう廃止はいし、日にち清しんの完全かんぜん子会社こがいしゃに。
  詳細しょうさいは「明星食品みょうじょうしょくひん#TOB関連かんれん」を参照さんしょう
• ブルドックソース - スティール・パートナーズ・ジャパンが実施じっし（07/05/18）→失敗しっぱい。ブルドックソースが取とった買収ばいしゅう防衛ぼうえい策さくを巡めぐる裁判さいばんで、スティール・パートナーズが東京とうきょう地方裁判所ちほうさいばんしょに「濫用らんよう的てき買収ばいしゅう者しゃ」と認定にんていされた。
• 天龍てんりゅう製せい鋸のこ - スティール・パートナーズ・ジャパンが実施じっし（07/05/24）→失敗しっぱい。
• ソリッドグループホールディングス - ケン・エンタープライズ（SFCGの親会社おやがいしゃ）が実施じっし（07/10/31）→成功せいこう。株式かぶしきの半数はんすう近ちかくを所有しょゆうしていたリーマン・ブラザーズ証券しょうけんの同調どうちょうにより成功せいこうを収おさめた。
• デサント - 伊藤忠商事いとうちゅうしょうじが実施じっし（19/01/31） → 成功せいこう（19/03/14）。伊藤忠商事いとうちゅうしょうじ子会社こがいしゃのBSインベストメント株式会社かぶしきがいしゃが実施じっし。デサントの株式かぶしき40%を取得しゅとくした。
• ぺんてる - コクヨが実施じっし（19/11/15） → 失敗しっぱい（19/12/13）。白馬はくばの騎士きしのプラスがぺんてるの株式かぶしきの過半数かはんすうを取得しゅとくした。後のちにコクヨは同社どうしゃ保有ほゆうのぺんてる株式かぶしきをプラスに売却ばいきゃくすることを表明ひょうめい（22/09/30）。プラスはぺんてるを子会社こがいしゃ化かした（22/11/30）。
• 前田道路まえだどうろ - 前田建設工業まえだけんせつこうぎょうが実施じっし（20/01/20）→ 成功せいこう（20/03/13）。議決ぎけつ権けん所有しょゆう割合わりあいは51.29%となり、前田建設工業まえだけんせつこうぎょうの連結れんけつ子会社こがいしゃとなる。
• ユニゾホールディングス - エイチ・アイ・エスがTOBの意向いこうを発表はっぴょうするが、ユニゾ側がわは反対はんたい。その後ご、投資とうしファンドのフォートレスが白馬はくばの騎士きしとしてTOBを発表はっぴょう、エイチ・アイ・エスは撤退てったいした。さらに、米べいブラックストーンがフォートレスの買かい付つけ価格かかくを上回うわまわるTOBを発表はっぴょう。ユニゾ従業じゅうぎょう員いんと米べい投資とうしファンドのローンスターが共同きょうどうで設立せつりつしたチトセア投資とうしがTOBを発表はっぴょう（19/12/22）。その後ご、各かく買かい付つけ者しゃが買かい付つけ価格かかくの引ひき上あげ・買かい付つけ期間きかんの延長えんちょうを繰くり返かえし、チトセア投資とうしによる買収ばいしゅうが確定かくていした（20/04/03）。上場じょうじょう企業きぎょうでEBOが成立せいりつするのは初はつとみられる。
• 大戸おおど屋やホールディングス - コロワイドが実施じっし（20/07/10）。買付かいつけ期限きげん日びに期間きかんの延長えんちょうと買付かいつけ予よ定数ていすうの下限かげんを引ひき下さげ（20/08/25）。→ 成功せいこう（20/09/09）。出資しゅっし比率ひりつを19.16%から46.77%に引ひき上あげた。外食がいしょく業界ぎょうかいで敵対てきたい的てきTOBが成立せいりつするのは初はじめてである。
• 新生しんせい銀行ぎんこう - SBIホールディングスが実施じっし（21/09/09）。→ 期間きかんの延長えんちょうを実施じっし（21/09/29）。→ 新生しんせい銀行ぎんこう側がわが公開こうかい買かい付つけに対たいする意見いけんを「中立ちゅうりつ」に変更へんこう（21/11/24）。→ 期間きかんの再さい延長えんちょうを実施じっし（21/11/26）。→ 成功せいこう（21/12/11）。出資しゅっし比率ひりつを20.48%から47.77%に引ひき上あげた。
• シダックス - オイシックス・ラ・大地だいちが実施じっし（22/08/30）。→ 期間きかんの延長えんちょうを実施じっし（22/09/20）。→ 期間きかんの再さい延長えんちょうを実施じっし（22/10/05）。→ シダックス側がわが公開こうかい買かい付つけに対たいする意見いけんを「中立ちゅうりつ」に変更へんこう。期間きかんの再さい延長えんちょうを実施じっし（22/10/07）。→ 成功せいこう（22/10/25）。28.47%分ぶんの株式かぶしきを取得しゅとくし、筆頭ひっとう株主かぶぬしになると共ともにシダックスを持分もちぶん法ほう適用てきよう関連かんれん会社かいしゃにした。

脚注きゃくちゅう

関連かんれん書籍しょせき

• 東京とうきょう証券しょうけん取引とりひき所しょ『入門にゅうもん日本にっぽんの証券しょうけん市場いちば』東洋経済新報社とうようけいざいしんぽうしゃ, 2004
• 福ぶく光寛みつひろ・高橋たかはし元はじめ『ベーシック証券しょうけん市場いちば論ろん』同文どうぶん舘だて出版しゅっぱん, 2004
• 鈴木すずき芳徳よしのり『金融きんゆう・証券しょうけん論ろんの研究けんきゅう』白桃はくとう書房しょぼう, 2004
• 鈴木すずき芳徳よしのり『わかりやすい証券しょうけん市場いちば論ろん入門にゅうもん』白桃はくとう書房しょぼう, 2004
• 井出いで正ただし介かい・高橋たかはし文郎ふみお『証券しょうけん分析ぶんせき入門にゅうもん』日本経済新聞社にほんけいざいしんぶんしゃ, 2005
• 和かず仁ひとし亮あきら裕ひろしほか「株式かぶしき公開こうかい買かい付づけによる企業きぎょう買収ばいしゅうと買収ばいしゅう防衛ぼうえい策さく」『月刊げっかん資本しほん市場いちば』Aug.2005
• 日本にっぽん証券しょうけん経済けいざい研究所けんきゅうじょ『詳説しょうせつ現代げんだい日本にっぽんの証券しょうけん市場いちば』日本にっぽん証券しょうけん経済けいざい研究所けんきゅうじょ, 2006
• 黒沼くろぬま悦郎えつろう「証券しょうけん取引とりひき法ほうの改正かいせいと変かわるTOB」『金融きんゆう』Oct.2006
• 池田いけだ唯一ただいち「わが国くに企業きぎょう開示かいじ制度せいど、TOB制度せいど等とうの新あたらしい姿すがた」『証券しょうけんレビュー』Jan.2007

関連かんれん項目こうもく

• M&A
• マネジメント・バイ・アウト (MBO)
• PIPE（パイプ）
• エンプロイー・バイアウト (EBO)
• スクイーズアウト
• 大量たいりょう保有ほゆう報告ほうこく書しょ
• 証券しょうけん取引とりひき等とう監視かんし委員いいん会かい
• ハゲタカ