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絵本 - Wikipedia

絵本えほん

しゅたる内容ないようえがかれている書籍しょせき一種いっしゅ

絵本えほん(えほん、picture book)とは、そのしゅたる内容ないようえがかれている書籍しょせき一種いっしゅ絵画かいがイラストレーション)を主体しゅたいとした書籍しょせきのうち、物語ものがたりなどテーマをもうけて文章ぶんしょう付与ふよし、これをませるものである。

絵本えほん子供こども

物語ものがたりとはているめんがある。コマりがなされていないてんなどで漫画まんがとは区別くべつされ、文章ぶんしょうがなかったり物語ものがたりストーリー)のわりに解説かいせつされていたりするてん画集がしゅう・イラストしゅうとはことなる。

概要がいよう 編集へんしゅう

幼児ようじ児童じどうけの内容ないようのものがおおいが、大人おとなんでもごたえのあるものや大人おとな対象たいしょう絵本えほんもある。

幼児ようじけのものでは、幼児ようじ自身じしんはまだ十分じゅうぶん文字もじめないため、大人おとな年長ねんちょうしゃ物語ものがたりかせつつ、ながめさせるという形態けいたい一般いっぱんてきである。これによって言葉ことばとイメージ(視覚しかくから情景じょうけい)を関連付かんれんづけさせ、言葉ことば意味いみ学習がくしゅうする一種いっしゅ家庭かてい教育きょういくてき効果こうか期待きたいされるが、より日常にちじょうてきでは、たん娯楽ごらくという側面そくめんつよい。また児童じどうけのものでは、絵本えほん文章ぶんしょう情景じょうけいしめ物語ものがたりではあるが、のほうからられる副次的ふくじてき情報じょうほうが、文章ぶんしょう説明せつめい補足ほそくする性質せいしつられる。

児童じどう文学ぶんがく研究けんきゅうしゃのジョン・スティーブンスは、よくできているとおもえる絵本えほんについて「ことばととのあいだにくいちがいをつくりだして、さらにそれを利用りようする能力のうりょく」をつことが重要じゅうようだとべている[1]文章ぶんしょう見比みくらべてかんじる違和感いわかん矛盾むじゅん緊張きんちょうかんみ、読者どくしゃ意識いしき視線しせん操作そうさして物語ものがたり仕掛しかけとして機能きのうするような作品さくひんである。

歴史れきしてき経緯けいい 編集へんしゅう

 
L.P.ハバード『ちいさなコックのためのちいさなほん』(1905)

絵本えほんは、その初期しょきにおいて識字しきじりつひく大衆たいしゅう内容ないよう理解りかいさせるという性質せいしつつよかったとかんがえられる。宗教しゅうきょう布教ふきょうにおいては、説話せつわ抽象ちゅうしょうてき概念がいねん絵図えずしめすことは世界せかい各地かくちにその類型るいけいられ、神話しんわ伝説でんせつなども絵図えずりの書物しょもつかたちしめされたものも数多かずおおい。

日本にっぽんにおける絵本えほん 編集へんしゅう

平安へいあん時代じだい絵巻物えまきもの起源きげんとし、室町むろまち時代ときよ奈良なら絵本えほん江戸えど時代じだい草双紙くさぞうし歴史れきしをたどることができる。また、黄表紙きびょうし狂歌きょうかグループによる狂歌きょうかほん着物きもの見本みほん雛形ひながたほん鑑賞かんしょうよう動植物どうしょくぶつ図譜ずふ参考さんこうきょう手本てほんのように、江戸えど時代じだい出版しゅっぱんされた主体しゅたいとしたほん総称そうしょうのことをして「絵本えほん」とんだれいもある。なかでもとく江戸えど時代じだい赤本あかほんが、子供こどもけにつくられた絵本えほんといえる。また、教育きょういくてき要素ようそつよいものとしては中村なかむら惕斎による『訓蒙くんもう』がげられる。明治めいじ時代じだいになって欧米おうべい印刷いんさつ技術ぎじゅつ絵本えほんはいり、現在げんざいのような絵本えほん形態けいたいになってきた。絵本えほんは、だけのものもあるが、基本きほんてきには言葉ことばによるコラボレーションであり、ページをめくるという行為こうい重視じゅうしされる。

日本にっぽんでは、一般いっぱん幼児ようじけの教育きょういくてきなものを意図いとして製作せいさくされたものととらえられているが、戦前せんぜんからの雑誌ざっしである『コドモノクニ』、月刊げっかんキンダーブック』の幼稚園ようちえんでの普及ふきゅうによる影響えいきょうがあるためであり、戦前せんぜんでも「講談社こうだんしゃ絵本えほん」など児童じどう以上いじょうけの絵本えほん存在そんざいしていた。

戦後せんご、「トッパンのえほん」、「トッパンの人形にんぎょう絵本えほん」、「エンゼルブック人形にんぎょう絵本えほん」、「マイニチ人形にんぎょう絵本えほん」、月刊げっかんこどものとも』などでは、おおくの欧米おうべい童話どうわ翻訳ほんやくされた。日本にっぽん民話みんわ昔話むかしばなしとともに、当時とうじ幼児ようじは、どこのくにはなしとはあまり意識いしきせずに、かせしてもらう、あるいは一人ひとり習慣しゅうかんいた。

独立どくりつ行政ぎょうせい法人ほうじん国立こくりつ青少年せいしょうねん教育きょういく振興しんこう機構きこうは、絵本えほんについての専門せんもん絵本えほん専門せんもん」の養成ようせいおこなっている。絵本えほんれることが、その読書どくしょ習慣しゅうかんつながるとのかんがえにもとづく[2]

ヨーロッパにおける絵本えほん 編集へんしゅう

最古さいこ教育きょういく絵本えほんは、宗教しゅうきょう改革かいかく時代じだいモラビアボヘミア地方ちほう出身しゅっしん教育きょういくしゃヨハン・アモス・コメニウスつくったとされる『世界せかい図絵ずえ』で、今日きょう学習がくしゅう絵本えほん元祖がんそといわれている。

18世紀せいきイギリス最初さいしょ児童じどうしょ出版しゅっぱんしゃニューベリーによる出版しゅっぱんぶつて、19世紀せいきなかばに言葉ことば融合ゆうごうした現代げんだい絵本えほん形態けいたい完成かんせいした。ヨーロッパでは、幼児ようじ以上いじょう年齢ねんれいそう対象たいしょうとし、純粋じゅんすい娯楽ごらく目的もくてきとしたものもあるが、場合ばあいによっては多少たしょうエロティックな内容ないようふくんだ、俗悪ぞくあくなものも存在そんざいする。ヨーロッパでは、日本にっぽんほど漫画まんが普及ふきゅうしておらず、日本にっぽん江戸えど時代じだいにおける春画しゅんがてきなポジションも絵本えほんになっている。

20世紀せいきはじめには、言葉ことば関係かんけい効果こうかてき機能きのうさせ、読者どくしゃ理解りかいひろゆたかにするため様々さまざま手法しゅほうもちいられた。この時期じき作家さっかとしてビアトリクス・ポターエルサ・ベスコフなどがいる。20世紀せいきすすむにつれて、ことばと関係かんけい明確めいかくでわかりやすい作品さくひんすくなくなり、読者どくしゃ理解りかいりょくためされ、自分じぶん解釈かいしゃくするようにもとめられる、曖昧あいまい読後感どくごかんのこ作品さくひんえていく[3]

絵本えほん現象げんしょう 編集へんしゅう

 
ビアトリクス・ポターピーターラビットのおはなし』(1902)

現代げんだいでは、最初さいしょから大人おとなをメインターゲットとした、芸術げいじゅつせいたか絵本えほん制作せいさくされている。幼児ようじ児童じどうけでも、大人おとなむとその荒唐無稽こうとうむけいさからきわめてちょう現実げんじつてき印象いんしょうける絵本えほんというのも存在そんざいするが、その一方いっぽうでは物語ものがたりたくされたふか洞察どうさつ示唆しさ大人おとな関心かんしんしめすケースというのもられ、世代せだいえてあいされる絵本えほんなかには、こういった良質りょうしつな「作品さくひん」も見出みいだされる。

しん機微きびたいするふか哲学てつがく作品さくひん反映はんえいさせていたり、また子供こども感覚かんかく見慣みなれた事物じぶつにも新鮮しんせんかんじさせる視点してん存在そんざいしていることをあらわしているという作品さくひんられる。

このなかでは、子供こどもから大人おとなまでんでブームをこすケースもある。『100まんかいきたねこ』のようにふか感動かんどう読者どくしゃあたえた作品さくひんもあれば、『ウォーリーをさがせ!』のようにあそびを提供ていきょうするゲームブックてき性質せいしつ愛好あいこうしゃやした作品さくひんられる。

シリーズされた作品さくひんでは『ナインチェ・プラウス』(日本にっぽんでは「ミッフィー」ないし「うさこちゃん」という名前なまえられるウサギ)や『アンパンマン』のように、様々さまざまなメディアに展開てんかいされているものもあり、たん絵本えほんというわくから世界中せかいじゅうあいされているキャラクターもみられる。ぎゃく既存きそんのキャラクターを絵本えほんするケースもあり、アニメなどでも子供こども作品さくひんなかに、絵本えほんされ提供ていきょうされている作品さくひん見出みいだされる。

かせ 編集へんしゅう

かせは、まだ文字もじめない子供こどもに、おや絵本えほんんでかせる場合ばあいと、 保育園ほいくえん幼稚園ようちえん小学校しょうがっこうなどで、保護ほごしゃ絵本えほんんでかせる場合ばあいと、 図書館としょかん書店しょてん絵本えほんんでかせる場合ばあいがある。 いずれも子供こども成長せいちょうのためであるが、やりかた目的もくてきなどすこしずつちがう。

絵本えほん境界きょうかい 編集へんしゅう

写真しゃしん使つかったり、写真しゃしん加工かこうしたりした書籍しょせきのほか、漫画まんが絵本えほんふう仕立したてることがある。出版しゅっぱんがわで「絵本えほん」として販売はんばいする場合ばあいには、原画げんが手描てがきされた絵本えほんとの境界きょうかいはつけにくい。

また漫画まんがMONSTER』に作中さくちゅうさくとして登場とうじょうした絵本えほん『なまえのないかいぶつ』が、単行たんこうほん特典とくてん別巻べっかんとして刊行かんこうされたれいがある。

個人こじんによる絵本えほん発表はっぴょう 編集へんしゅう

絵本えほんには、文学ぶんがくたいする「文学ぶんがくフリマ」、同人どうじんおもマンガ中心ちゅうしんとする)にたいする「コミックマーケット」のような、おおきな展示てんじかい即売そくばいかい存在そんざいしない。

絵本えほん製作せいさくおこなっている個人こじんおよび団体だんたいは、発表はっぴょうとして、ひろ意味いみでのアートイベントである「デザインフェスタ」、「創作そうさく(オリジナル)」のジャンルに限定げんていした同人どうじん即売そくばいかいである「コミティア」などに出展しゅってんしたり、文学ぶんがくフリマコミックマーケット出展しゅってんする場合ばあいもある。

また、インターネットの浸透しんとうともない、pixivpictboxパブーといったCGMサイトへの発表はっぴょうおこなわれるようになった。

絵本えほん種類しゅるい 編集へんしゅう

絵本えほんしょう 編集へんしゅう

脚注きゃくちゅう 編集へんしゅう

参考さんこう文献ぶんけん 編集へんしゅう

  • マリア・ニコラエヴァ、キャロル・スコット ちょ川端かわばた有子ゆうこみなみ隆太りゅうた やく絵本えほん力学りきがく玉川大学たまがわだいがく出版しゅっぱん、2011ねんISBN 9784472404344 

関連かんれん項目こうもく 編集へんしゅう

外部がいぶリンク 編集へんしゅう