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賞典禄 - Wikipedia
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賞しょう典てん禄ろく

明治維新めいじいしんに功労こうろうのあった公卿くぎょう、大名だいみょうおよび士族しぞくに対たいして政府せいふから家いえ禄ろくの他ほかに賞与しょうよとして与あたえられた禄ろく

賞しょう典てん禄ろく（しょうてんろく）は、明治維新めいじいしんに功労こうろうのあった公卿くぎょう、大名だいみょうおよび士族しぞくに対たいして、政府せいふから家いえ禄ろくの他ほかに賞与しょうよとして与あたえられた禄ろくである。支給しきゅう期間きかんによって永世えいせい禄ろく、終身しゅうしん禄ろくおよび年限ねんげん禄ろくの3種しゅに分類ぶんるいされる。

概要がいよう

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戊辰戦争ぼしんせんそうから箱はこ館かん戦争せんそうの間あいだにおける旧きゅう幕府ばくふ軍ぐん及および佐幕さばく派は諸しょ藩はんとの戦たたかいにおける官軍かんぐんの勝利しょうりは、明治めいじ政府せいふの構成こうせい員いんであった公武こうぶの人々ひとびとのみならず、当初とうしょは日和見ひよりみ的てきな態度たいどを取とっていた諸しょ藩はんの官軍かんぐんへの参加さんかもあってのものだったため、官軍かんぐん参加さんか諸しょ藩はんには旧きゅう幕府ばくふや佐幕さばく派は諸しょ藩はん・旗本はたもとから政府せいふが没収ぼっしゅうした所領しょりょうの再さい配分はいぶんを望のぞむ者ものが少すくなくなかった。大久保おおくぼ利通としみちや木戸きど孝允たかよしらはこれに反対はんたいしたが、諸しょ藩はんの強つよい要請ようせいから1869年ねん（明治めいじ2年ねん）6月がつに政府せいふは功労こうろうのあった公家くげ・大名だいみょう・武士ぶし・兵隊へいたいなどに賞しょう典てん禄ろくという恩賞おんしょうを出だすことを決定けっていした[1]。賞しょう典てん禄ろくには、家いえ禄ろくと同様どうように無む期限きげんに給付きゅうふされ、子孫しそんへの世襲せしゅうが許ゆるされた永世えいせい禄ろく、本人ほんにん1代だいのみの終身しゅうしん禄ろく、期限きげんが定さだめられていた年限ねんげん禄ろくの3種類しゅるいが存在そんざいした[1]。

1869年ねん7月がつ10日とおか（旧暦きゅうれき明治めいじ2年ねん6月2日にち）、戊辰戦争ぼしんせんそうの軍功ぐんこう者しゃ419人にんと諸しょ隊たい、諸しょ藩はん、戦艦せんかんに対たいして禄ろくを授さづけられた（戊辰戦争ぼしんせんそう軍功ぐんこう賞しょう典てん表ひょう）。総額そうがく米まい74万まん5750石せき、現金げんきん20万まん3376両りょう。最高さいこうは鹿児島かごしま藩はん主あるじ島津しまつ忠義ただよし・久光ひさみつ父子ふしと山口やまぐち藩はん主あるじ毛利もうり元もと徳とく・敬けい親おや父子ふしの10万まん石せき、高知こうち藩はん主あるじ山内やまうち豊ゆたか範はん・豊信とよしげ父子ふしの4万まん石せきがこれに次つぎ、藩士はんしでは西郷さいごう隆盛たかもりの2000石せきが最高さいこうであった。同年どうねん10月がつ18日にち、箱はこ館かん戦争せんそうの軍功ぐんこう者しゃに総額そうがく3万まん5220石せき及および9名めい及および艦船かんせん9隻せきに対たいする3年間ねんかんの年限ねんげん禄ろく8万まん5500石せき（年としあたり28500石せき）、同月どうげつ30日にちには王政おうせい復古ふっこの功臣こうしんを賞しょうして禄ろくを授さづけられた（復古ふっこ功臣こうしん賞しょう典てん表ひょう）。総額そうがくは米こめ3万まん5150石せき（うち終身しゅうしん禄ろく8名分めいぶん7050石せき）、現金げんきん1500両りょう。最高さいこうは三条さんじょう実美みみと岩倉いわくら具視ともみの5000石せきで、木戸きど孝允たかよし、大久保おおくぼ利通としみち、広沢ひろさわ真しん臣しんの1800石せきがこれに継つぐ。以上いじょうの内うち、注記ちゅうきのないものは何いずれも永世えいせい禄ろくである。

ただし大久保おおくぼ利通としみちの「土地とちを以もって功こうを賞しょうするは国家こっかの長計ちょうけいに非ひず」、木戸きど孝允たかよしの「今いまや封建ほうけんを廃はいして郡こおり県けんの制せいを復ふくせんとするの秋あき（とき）に方ほう（あた）り、功こうを賞しょうするに土地とちを以もってするは極きわめて不可ふかなり」といった意見いけんに従したがい、領地りょうちではなく禄ろく米まい支給しきゅうとなった[2]。

原則げんそくとして、一時いちじ金きんとして出だされた賞しょう典てん金きんを除のぞき、1石せきあたり現げん米こめ2斗と5升しょうが支給しきゅうされた。また、諸しょ藩はんにおいても、藩主はんしゅが授さずかった賞しょう典てん禄ろくの中なかから藩士はんしに恩賞おんしょうとして分与ぶんよが行おこなわれる場合ばあいもあった。これを分与ぶんよ禄ろくという。財源ざいげんは戊辰戦争ぼしんせんそうで敗やぶれた諸しょ藩はんから没収ぼっしゅうした所領しょりょうが充あてられた。だが、家いえ禄ろくとともに財政ざいせい悪化あっかの一因いちいんとなった。

支給しきゅう総額そうがくは、永世えいせい禄ろく80万まん9070石せき、終身しゅうしん禄ろく7050石せき、年限ねんげん禄ろく8万まん5500石せきで、計けい90万まん1620石せきと、大藩たいはん1つ分ぶんの石高こくだかに相当そうとうする負担ふたんとなった。

依然いぜんとして支給しきゅうを続つづけていた家いえ禄ろくと共ともに秩禄処分しょぶんの対象たいしょうとなり、1876年ねんに金きむ禄ろく公債こうさいの支給しきゅうと引ひき換かえで廃はいされた。永世えいせい禄ろくを含ふくめ、存続そんぞくしたのはわずか7年間ねんかんであった。

金きむ禄ろく公債こうさいの賞しょう典てん禄ろくの計算けいさん方法ほうほう

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金きむ禄ろく公債こうさいの額がくは「（家いえ禄ろく＋賞しょう典てん禄ろく[実み額がく]）×石いし代だい相場そうば（明治めいじ5年ねんから明治めいじ7年ねんまでの3年間ねんかんの各かく地方ちほうの貢みつぎ納おさめ石せき代だい相場そうばの平均へいきん額がく）」によって金きむ禄ろく本ほん高だかを算出さんしゅつし、その金かね禄ろく本ほん高だかの額がくにより一時いちじ下賜かし年数ねんすうが5年ねん～14年ねん分ぶんまで30等級とうきゅうに分わけられ（金きむ禄ろく本ほん高だか7万まん円えん以上いじょうの者ものであれば5年ねん分ぶん）、その年数ねんすうを掛かけた総額そうがくである[3]。

「賞しょう典てん禄ろくの実み額がく」については、資料しりょうに正確せいかくな数字すうじの記載きさいは発見はっけんされていないが、『華族かぞく諸しょ家伝かでん』その他たの資料しりょうに記載きさいされた賞しょう典てん米まい高だかから逆算ぎゃくさんして、賞しょう典てん禄ろくも家いえ禄ろくと同おなじく1/10を実み額がくとし、全すべての賞しょう典てん禄ろくについてその2年ねん半年はんとし分ぶんを一時いちじに下賜かししたものと考かんがえられており、計算けいさん式しきにすれば「賞しょう典てん禄ろく[名目めいもく額がく]× 1/10×2.5」となる[3]（つまり賞しょう典てん禄ろく名目めいもく額がく10万まん石せきをもらった島津しまつ家かや毛利もうり家かの場合ばあいは2万まん5000円えんが実み額がく。島津しまつの方ほうは久光ひさみつが別家べっけ玉だま里さと島とう津つ家かを起おこしたので半分はんぶんの1万まん2500石せきはそちらにわたり、忠義ちゅうぎ分ぶんの1万まん2500石せきが島津しまつ本家ほんけの実み額がくとなっている）[4]。

金きむ禄ろく公債こうさい額がくを計算けいさん式しきとしてまとめれば、金きむ禄ろく本ほん高だか7万まん円えん以上いじょうの者ものの場合ばあいは「（家いえ禄ろく＋賞しょう典てん禄ろく[名目めいもく額がく]×2.5/10）×石いし代だい相場そうば×5＝金きむ禄ろく公債こうさい額がく」である[3]。

たとえば広島ひろしま藩主はんしゅ浅野あさの家かの場合ばあいであれば、次つぎの通とおりになる。（家いえ禄ろく2万まん5837石せき＋賞しょう典てん禄ろく名目めいもく額がく1万まん5000石せき×2.5/10）×石いし代だい相場そうば4.29535×5 ＝ 金きむ禄ろく公債こうさい額がく63万まん5432円えん60銭ぜに[3]。

主おもな授禄者しゃ

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賞しょう典てん金きん

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脚注きゃくちゅう

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  1. ^ a b 日本にっぽん大だい百科全書ひゃっかぜんしょ(ニッポニカ) 世界せかい大だい百科ひゃっか事典じてん 第だい２版はん『賞しょう典てん禄ろく』 - コトバンク
  2. ^ 落合おちあい弘樹ひろき 1999, p. 41.
  3. ^ a b c d 石川いしかわ健次郎けんじろう 1972, p. 35.
  4. ^ 石川いしかわ健次郎けんじろう 1972, p. 36.
  5. ^ a b c d 浅見あさみ雅男まさお 1994, p. 102.
  6. ^ 新田にった完かん三さん 1984, p. 322.
  7. ^ 新田にった完かん三さん 1984, p. 160.
  8. ^ 新田にった完かん三さん 1984, p. 768.
  9. ^ 浅見あさみ雅男まさお 1994, p. 112.
  10. ^ 新田にった完かん三さん 1984, p. 174.
  11. ^ 新田にった完かん三さん 1984, p. 679.
  12. ^ 新田にった完かん三さん 1984, p. 593.
  13. ^ 新田にった完かん三さん 1984, p. 20.
  14. ^ 新田にった完かん三さん 1984, p. 506.
  15. ^ 新田にった完かん三さん 1984, p. 309.
  16. ^ 新田にった完かん三さん 1984, p. 619.
  17. ^ 新田にった完かん三さん 1984, p. 231.
  18. ^ a b 新田にった完かん三さん 1984, p. 702.
  19. ^ 新田にった完かん三さん 1984, p. 510.
  20. ^ 新田にった完かん三さん 1984, p. 718.
  21. ^ 新田にった完かん三さん 1984, p. 566.
  22. ^ 新田にった完かん三さん 1984, p. 736.
  23. ^ 新田にった完かん三さん 1984, p. 580.

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 石川いしかわ健次郎けんじろう「明治めいじ前期ぜんきにおける華族かぞくの銀行ぎんこう投資とうし―第だい15国立こくりつ銀行ぎんこうの場合ばあい―」『大阪大学おおさかだいがく経済けいざい学がく』第だい22号ごう、大阪大学おおさかだいがく経済学部けいざいがくぶ研究けんきゅう科か、1972年ねん、27 - 82頁ぺーじ。 
  • 落合おちあい弘樹ひろき『秩禄処分しょぶん 明治維新めいじいしんと武士ぶしのリストラ』中央公論ちゅうおうこうろん新しん社しゃ〈中公新書ちゅうこうしんしょ1511〉、1999年ねん（平成へいせい11年ねん）。ISBN 978-4121015112。 
  • 新田にった完かん三さん『内閣ないかく文庫ぶんこ蔵ぞう諸侯しょこう年表ねんぴょう』東京とうきょう堂どう出版しゅっぱん、1984年ねん（昭和しょうわ59年ねん）。 
  • 浅見あさみ雅男まさお『華族かぞく誕生たんじょう 名誉めいよと体面たいめんの明治めいじ』リブロポート、1994年ねん（平成へいせい6年ねん）。 
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