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トビウオ - Wikipedia

トビウオ

ダツトビウオぞくする魚類ぎょるい総称そうしょう
飛魚とびうおから転送てんそう

トビウオとめ乎、飛魚とびうお、鰩、𩹉 )、ぶん鰩魚、えい: Flying fish)は、ダツトビウオぞくする魚類ぎょるい総称そうしょう太平洋たいへいようインド洋いんどよう大西おおにしひろし亜熱帯あねったいから温帯おんたいうみ生息せいそくする海水かいすいぎょで、世界せかいで50しゅほど、日本にっぽん近海きんかいでも30しゅじゃくほどがられる。

トビウオ
滑空かっくうするトビウオ
分類ぶんるい
さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
もん : 脊索せきさく動物どうぶつもん Chordata
もん : 脊椎動物せきついどうぶつもん Vertebrata
つな : じょうひれつな Actinopterygii
つな : しんひれつな Neopterygii
上目うわめ : とげひれ上目うわめ Acanthopterygii
: ダツ Beloniformes
: トビウオ Exocoetidae
下位かい分類ぶんるいぐん
本文ほんぶん参照さんしょう

「トビウオ」の名前なまえ由来ゆらいは、水上すいじょうし、むねビレひろげて滑空かっくうすることから。日本にっぽんでは食用しょくようぎょとして漁業ぎょぎょう対象たいしょうとなり、九州きゅうしゅう日本海にほんかいがわではアゴ別名べつめいばれる。島根しまねけんの「けんさかな」に指定していされている。

形態けいたい

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ほそつつじょうぎゃく三角形さんかっけい断面だんめんからだをしており、最大さいだいたねでも、全長ぜんちょうやく30-40 cmからだしょく藍色あいいろはら白色はくしょくで、あおぎょひと[1]むねビレが発達はったつしていちじるしくおおきく、ビレは上端じょうたん下端かたんながびたVじょうで、とく下端かたんなが水面すいめん滑走かっそう水中すいちゅう推進すいしんりょく効率こうりつよくつたえられるようになっている。滑空かっくうにはむねビレをひろげるので、これがグライダーつばさのような役割やくわりをする。はらビレもおおきいたねもおり、この場合ばあいにはつばさが4まいあるようにえる。

生態せいたい

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一般いっぱん陸地りくちちか沿岸えんがんおおい。うみ表層ひょうそうちかくに生息せいそくし、動物どうぶつプランクトンなどをべる。水上すいじょうして、海面かいめんすれすれをもうスピードで滑空かっくうする。これはおもに、マグロカジキシイラなどの捕食ほしょくしゃからげるためといわれる。滑空かっくう100 mくらいはたりまえぶことができ、水面すいめん滑走かっそう速度そくど35 km/h空中くうちゅう滑空かっくう速度そくど50-70 km/hたか3-5 mたっする(大型おおがたのものであれば600 m程度ていど滑空かっくうするものがある)[2]

平均へいきんてきには、風上かざかみむかって、海面かいめんうえやく2 mを、100-300 mぶ。滑空かっくうちゅうきゅう海中かいちゅうはい必要ひつようしょうじたときは、きゅうブレーキをかけることもでき、また、空中くうちゅう方向ほうこう転換てんかん可能かのうである。

いきおあまって漁船ぎょせんなどにみずかむこともある。2008ねん5がつNHKのクルーが鹿児島かごしまけんおきフェリーから45びょうにわたって(時々ときどき水面すいめんびれではたきながら)つづける様子ようす撮影さつえいし、映像えいぞうとしてとらえられた記録きろくとしてはおそらく過去かこ最長さいちょうであるとほうじられた[3]

分類ぶんるい

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トビウオには世界せかいで50しゅほどがられている。

* べつぞくCheilopogon ぞく分類ぶんるいされることがあるしゅ

日本にっぽん近海きんかいられる代表だいひょうしゅは、トビウオ(ホントビウオ)、ハマトビウオ、ツクシトビウオ、ホソトビウオなど。

食材しょくざいとしてのトビウオ

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トビウオの姿すがた
 
味付あじつけしょうあご(2009ねん10がつ30にち撮影さつえい
 
トビッコ寿司ずし
 
あごりだし

トール・ヘイエルダールちょコンチキごう漂流ひょうりゅう』にトビウオにかんしての記述きじゅつがある。昼夜ちゅうやべつなく、イカダうえ乗組のりくみいんにぶつかってるので辟易へきえきしたが、べると美味びみなのでいかりをわすれてしまうというはなしであった。夜間やかんにイカダじょう落下らっかしたトビウオをあつめて朝食ちょうしょくにしたとの記述きじゅつもある。

日本にっぽんにおける利用りよう

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食用しょくようとしての利用りよう

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しゅん初夏しょかからなつ小骨こぼねおおさかなだが、脂肪しぼうぶんすくなく淡白たんぱくあじで、成魚せいぎょ塩焼しおやフライひとしにしてべる。新鮮しんせんなものは刺身さしみ美味びみ新島にいじま八丈島はちじょうじまではくさや加工かこうされる。房総半島ぼうそうはんとう郷土きょうど料理りょうりなめろう材料ざいりょうにもなる。

単一たんいつ漁業ぎょぎょう協同きょうどう組合くみあいとしてはトビウオ漁獲ぎょかくりょう国内こくない最多さいたである屋久島やくしま鹿児島かごしまけん)、トビウオをアゴと日本海にほんかい沿岸えんがん地域ちいきでは、鮮魚せんぎょとしてよりもものすり)や出汁だし(アゴだし)の材料ざいりょうとして利用りようされることがおお[4][5]

アゴを原料げんりょうとした竹輪ちくわは「あごちくわ」とばれ、鳥取とっとりけん兵庫ひょうごけん特産とくさんひん島根しまねけんでは、かたちしょくかん竹輪ちくわているものの製法せいほうことなる「あご野焼のや」とばれるかまぼこ特産とくさんひんがある。

日本海にほんかい沿岸えんがんでは素干すぼしした「アゴし」がつくられる。アゴ自体じたいのほか、それを破砕はさいした「トビぶし」やであぶってがした「きアゴ」が、味噌汁みそしる料理りょうりのダシをとるために使つかわれることがおおい。山形やまがたけん飛島とびしまでも、てん日干ひぼしと炭火すみびによる「」がつくられており、対岸たいがん本土ほんどがわ酒田さかたラーメンでは、ほとんどがトビウオでダシをっている。

九州きゅうしゅう北部ほくぶでもトビウオのダシつゆめんおおべられ、あごだし発祥はっしょう平戸ひらどがある長崎ながさきけん、その九州きゅうしゅう醤油じょうゆ調味ちょうみりょうメーカーが「あごだし」を商品しょうひんめいかんした粉末ふんまつだし、めんつゆ、だしパックを商品しょうひんしており、地方ちほう家庭かてい飲食いんしょくてんにも、あごだしが浸透しんとうしつつある。マスコミによるPRとうられるようになった「五島ごしまうどん」(長崎ながさきけん南松浦みなみまつうらぐんしん上五島かみごしままちでつくられる郷土きょうど料理りょうり)も、あごだしを使つかってべるうどんである。長崎ながさきけん平戸ひらどでは、あごだしによるラーメンも評判ひょうばんびつつある。

トビウオのたまごトビッコばれ、珍味ちんみ寿司すしネタになる。

文化ぶんかてき利用りよう

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古事記こじき上巻じょうかんだいてん宇受うりいのち登場とうじょうし「御世みよしまこれそくにえけんじ時給じきゅうざるおんなくんとう也」とふるくから、現代げんだいにいたるまで、三重みえけん志摩しま大王だいおうまち波切なきりでははやにえ(トビウオ)を毎年まいとしよう皇室こうしつ奉納ほうのうし、皇室こうしつではさるおんなくん(アメノウズメ)に奉納ほうのうしている。現在げんざいは、伊勢いせにあるさる田彦たびこ神社じんじゃでも、これにならい、さる田彦たびこ奉納ほうのうしている。このほか神社じんじゃでも皇室こうしつ見習みならったのか「景気けいきねる(上向うわむく)」などの縁起物えんぎものとしてそなえられることがいおおい。

このほか万葉集まんようしゅうには「おもねえびす」(あご)と単語たんご多数たすう登場とうじょうし、トビウオをしているものられている。

日本にっぽん近海きんかいのトビウオと漁業ぎょぎょう

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トビウオりょうは、とげもう定置網ていちあみ水揚みずありょうだい部分ぶぶんめる。伝統でんとうてき漁法ぎょほうとして、トビウオならではのものとして、飛翔ひしょうするトビウオにたいさら手裏剣しゅりけんのように投擲とうてきし、うみちたものをひろあつめるものがあるが、現代げんだいではほとんどおこなわれることい。

屋久島やくしまの「ロープりょう」は、2せき漁船ぎょせんえんじょう漁網ぎょもうり、漁師りょうしうみんでトビウオをあみれる[4]

カツオサンマなどと同様どうようぶし回遊かいゆうをするさかなで、はるさきからなつにかけて日本にっぽん付近ふきんまで北上ほくじょうしてきて産卵さんらんし、あき南下なんかする。日本にっぽん漁獲ぎょかくりょうおおいトビウオには、ハマトビウオ、ホソトビウオ、ツクシトビウオ、トビウオ(ホントビウオ)などがある。種類しゅるいにより、りょう時期じき分布ぶんぷことなり、またあじ用途ようとちがう。漁業ぎょぎょう対象たいしょうとなっているこれらの種類しゅるいは、いずれもハマトビウオぞくふくまれる種類しゅるいである。たねごとの特徴とくちょう詳細しょうさい分類ぶんるいこう参照さんしょう

3がつ4がつ春先はるさき最初さいしょ関東かんとうなどの市場いちば出回でまわるトビウオは、八丈島はちじょうじまなどからのハマトビウオである。もっと大型おおがたのトビウオであじく、くさや材料ざいりょうにも使つかわれる。ハマトビウオは、九州きゅうしゅう南部なんぶでは晩秋ばんしゅう回遊かいゆうしてくるのをる。

それにつづいて、初夏しょかにはツクシトビウオ、ホソトビウオなどが北上ほくじょうしてくる。これらのたねは、太平洋たいへいようがわとともに、日本海にほんかいがわにも北上ほくじょうし、九州きゅうしゅう北部ほくぶ山陰さんいん北陸ほくりく地方ちほうなどでは、ホソトビウオ、ツクシトビウオがおもられる。トビウオ(ホントビウオ)、アカトビウオ、オオメナツトビウオ、ホソアオトビなどもこの時期じきからなつにかけての種類しゅるいである。

これらのトビウオの種類しゅるいは、市場いちばによって様々さまざま通称つうしょうばれる。関東かんとうでは、はる出回でまわるハマトビウオなどをはるトビ、そのなつ出回でまわ種類しゅるいを「なつトビ」(あるいは「ほんトビ」)とぶことがある。各地かくちれるホソトビウオは頭部とうぶからだつきがまるいことから「まるトビ」(西日本にしにほん日本海にほんかいがわでは「まるアゴ」)とばれ、それにたいして頭部とうぶ角張かくばって種類しゅるいを「かくトビ」(かくアゴ)とぶ。ホソトビウオとツクシトビウオがおもなトビウオである日本海にほんかいがわではツクシトビウオをかくトビとぶが、太平洋たいへいようがわではハマトビウオもかくトビと場合ばあいがある。愛称あいしょうで「トッピー」と地域ちいきもある[6]

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ うみざるたちのふねメシ(3)】ピッチピチの「日本海にほんかいこう」を船上せんじょうで メーンは尾頭付おかしらつきトビウオ!巡視じゅんしせんえちごの「いちしょく一心いっしん」のわざとは…産経さんけいニュース(2016ねん3がつ12にち)2020ねん6がつ12にち閲覧えつらん
  2. ^ 日本にっぽんおさかな雑学ざつがく研究けんきゅうかいあたまがよくなる おさかな雑学ざつがくだい事典じてん』(幻冬舎げんとうしゃ文庫ぶんこ 2002ねん)p.110
  3. ^ Fast flying fish glides by ferry”. BBC News (2008ねん5がつ20日はつか). 2008ねん5がつ22にち閲覧えつらん
  4. ^ a b 食材しょくざいノート】トビウオりょう 収入しゅうにゅうねる/屋久島やくしま土産みやげひん充実じゅうじつ日経にっけいMJ』2019ねん5がつ27にち(フードめん
  5. ^ あきみちさとしわたる『なわばりの文化ぶんかうみやまかわ資源しげん民俗みんぞく社会しゃかい小学館しょうがくかん、1999ねん、43-46ぺーじISBN 4094601236 
  6. ^ たとえば、トッピー(うお)” (2016ねん). 2016ねん4がつ23にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく

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絶滅ぜつめつした滑空かっくうするさかな
とびうおをモデルにしたもの