(Translated by https://www.hiragana.jp/)
竜 - Wikipedia

りゅう

神話しんわ伝説でんせつ動物どうぶつ
りゅうから転送てんそう

りゅう(りゅう、りょう、たつ、きゅう字体じたいりゅう󠄂)は、神話しんわ伝説でんせつきもの。西洋せいようのドラゴンとのちがいについては当該とうがい項目こうもく参照さんしょう

北京ぺきんみやきゅうりゅうかべ

きゅう字体じたいでは「りゅう󠄂」で、「りゅう」は略字りゃくじである[1]が、でもある[2]りゅう󠄂は今日きょうでもひろもちいられ、人名じんめいよう漢字かんじにもふくまれている。中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく制定せいていされた簡体字かんたいじでは「」の字体じたいもちいられる。「りょう」はせいおと、「りゅう」は慣用音かんようおんとなる。

英語えいごdragon(や西洋せいよう諸語しょごにおけるこれに相当そうとうする単語たんご)の訳語やくごとして「りゅう」がもちいられるように、巨大きょだい爬虫類はちゅうるいおもわせる伝説でんせつじょう生物せいぶつひろ場合ばあいもある。さらに、恐竜きょうりゅうをはじめとする爬虫類はちゅうるいたねめい分類ぶんるいめいもちいられる saurusσしぐまαあるふぁῦροςトカゲ)の訳語やくごとしても「りゅう」がもちいられている。このように、今日きょうでは広範こうはん意味いみつにいたっている。

中国ちゅうごくりゅう

編集へんしゅう
 
きゅうりゅうまきちんひろしみなみそう)、ボストン美術館びじゅつかんぞう

中国ちゅうごくりゅうかみじゅう霊獣れいじゅうであり、『史記しき』における劉邦りゅうほう出生しゅっしょう伝説でんせつをはじめとして、中国ちゅうごくでは皇帝こうていシンボルとしてあつかわれた。水中すいちゅう地中ちちゅうむとされることがおおい。そのごえによって雷雲らいうんあらしび、また竜巻たつまきとなって天空てんくうのぼ自在じざい飛翔ひしょうするとわれ、また口辺こうへんちょうひげをたくわえ、のどにはいちしゃく四方しほう逆鱗げきりんがあり、あご宝珠ほうしゅっているとわれる。あきになるとふちなかひそみ、はるにはてんのぼるともう。

中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく内モンゴル自治うちもんごるじちひがし南部なんぶ遼寧りょうねいしょう西部せいぶ紀元前きげんぜん4700ねんごろ-紀元前きげんぜん2900ねんごろ存在そんざいしたべにやま文化ぶんか墳墓ふんぼからは、ヒスイなどのいしって動物どうぶつなどのかたちにした装飾そうしょくひんおお出土しゅつどしている。

恐竜きょうりゅうなど大型おおがた動物どうぶつ化石かせきりゅうほね竜骨りゅうこつ)としんじられ、なが漢方かんぽう材料ざいりょうとして使用しようされた。

りゅう意味いみするたつは、十二支じゅうにしにおける12種類しゅるい動物どうぶつひとつである。また、りゅうせいきゅうという9つのんだという。

りゅう(やドラゴン)の伝承でんしょう発端ほったんとしては、クジラや恐竜きょうりゅうなどの大型おおがた動物どうぶつほね化石かせき、ワニやオオトカゲなどの爬虫類はちゅうるい人間にんげん本能ほんのうてきへびなどへの恐怖きょうふなどの仮説かせつげられている[3]青木あおき良輔りょうすけは、りゅう起源きげんは、古代こだい長江ながえかんすい残存ざんそんしていたワニ一種いっしゅマチカネワニ)であり、寒冷かんれい人類じんるいによる狩猟しゅりょうにより絶滅ぜつめつしたのち伝説でんせつしたものだと主張しゅちょうしている[4]。これは現在げんざいのこっているりゅう図像ずぞう歴史れきしてき変化へんかからもうかがえるとのことである。

ナーガと仏教ぶっきょう竜王りゅうおう

編集へんしゅう
 
仏教ぶっきょうにおける様々さまざま龍王りゅうおう

りゅう起源きげんかんする正確せいかく定説ていせつ存在そんざいしないが、インドへびしんであり水神すいじんでもあるナーガるいも、仏典ぶってん中国ちゅうごくつたわったさい、「りゅう」や「竜王りゅうおう」などとやくされ、はちしゅいちとしてまれた。そうした関係かんけいから、仏教ぶっきょう伝来でんらい以後いご中国ちゅうごくりゅうもまた、へびしんナーガのイメージから影響えいきょうけたことは想像そうぞうかたくない。たとえば、道教どうきょうにおける竜王りゅうおうは、ほとんどインドのナーガラージャおな性質せいしつつ。しかし、仏教ぶっきょう中国ちゅうごくつたわるまえに、中国ちゅうごくりゅうはすでに雨水あまみずをつかさどるイメージがあった(たとえばおうりゅう)。ちなみに日本にっぽんヒンドゥーきょうなど聖典せいてん文学ぶんがくなどを翻訳ほんやくする場合ばあいでも、それらインドの神格しんかくを「へび」ないし「りゅう」とするのが通例つうれいとなっている。

りゅうにも善悪ぜんあくがあり、ほうぎょうりゅうほうぎょうりゅうがあるとされる。またりゅうには、ひとつに熱風ねっぷう熱沙ねっさかれる苦悩くのうふたつに住居じゅうきょ悪風あくふうきさらしたからうしなころもげる苦悩くのうみっつにきむ翅鳥(こんじちょう、迦楼)にしょくされる苦悩くのうがあるとされる(ただしおもね耨達竜王りゅうおうにはこの苦悩くのうはない)。

仏教ぶっきょうでは、釈迦しゃか生誕せいたんしたさいひきりゅう清浄せいじょうすいを灌ぎ、成道じょうどうなな日間にちかん降雨こうう釈迦しゃかおおって守護しゅごした。またふつどくりゅう降伏ごうぶくさせたりめくらりゅう治癒ちゆさせるなどのおおくの説話せつわがある。また法華経ほけきょうひさげばばたちひんでは、はちさいりゅうおんな成仏じょうぶつかれている。

日本にっぽんりゅう

編集へんしゅう
 
釈迦しゃかはちそう今様いまよう写絵うつしえ
代目だいめ歌川うたがわ国貞くにさだ歌川うたがわ国政くにまさ)、19世紀せいき

彦火みこと初代しょだい天皇てんのう神武じんむ天皇てんのう)は、りゅうはらからまれており、日本にっぽん神話しんわ登場とうじょうする高志たかし(のちのこし)のはち岐大へび海神わたつみ八尋やひろかず龍宮りゅうぐうが、現在げんざいつたわる。もともと日本にっぽんにあった自然しぜんかみとして崇拝すうはいする信仰しんこう中国ちゅうごくから伝来でんらいした文様もんよう中国ちゅうごくりゅうとが融合ゆうごうして日本にっぽんりゅうとされる。よんかみじゅうつながり、とくあおりゅう古墳こふんなどに現在げんざい姿すがたえがかれて有名ゆうめいである。神話しんわはち岐大へび伝説でんせつ仏教ぶっきょうはちだい竜王りゅうおう伝説でんせつなどが習合しゅうごうした倶利伽羅くりからりゅう九頭竜くずりゅう善女ぜんにょ竜王りゅうおう清瀧きよたき権現ごんげん伝承でんしょう有名ゆうめい玄武げんぶともがかきたえつこくなどあたりのりゅうくろりゅうとした。蜃気楼しんきろう竜宮りゅうぐうれいかめ蓬莱山ほうらいさんあらわれて吉祥きっしょうとされる。

治水ちすい灌漑かんがい技術ぎじゅつ未熟みじゅくだった時代じだいには、河川かせん氾濫はんらん旱魃かんばつつづくと、竜神りゅうじんものにえささげたりした。その象徴しょうちょうが、神道しんとうではくし名田なたうり(くしなだひめ)などとしてかたられ、仏教ぶっきょうでは、高僧こうそういのりをささげるといった雨乞あまご行事ぎょうじおこなわれた。神泉苑しんせんえん二条城にじょうじょうみなみ)で空海くうかいいのりをささげて善女ぜんにょ竜王りゅうおう清瀧きよたき権現ごんげん)をび、あめらせたという逸話いつわ有名ゆうめいである。

また、けんは、ほのおりゅう化身けしんとされており、はち岐大へびからまれたけん天皇てんのうであることをあらわ神器じんぎとして伊勢神宮いせじんぐう(のち熱田あつた神宮じんぐう)にてん叢雲むらくもけん(のちに草薙くさなぎけんまつられ、また、まもがみとされた。中世ちゅうせいころには刀剣とうけんかぶとりゅうをかたどりせんおこなわれた。

ほかにもすいかみとして、またたたかいのかみとして各地かくち民間みんかん信仰しんこう対象たいしょうとしてひろまった。日本にっぽん列島れっとうみずくにであることを象徴しょうちょうする。

道教どうきょう竜王りゅうおう

編集へんしゅう
  • 四海しかい竜王りゅうおう - 四海しかい東西とうざい南北なんぼく四方しほううみ)をつかさど竜王りゅうおう
    • 東海とうかい竜王りゅうおう - 『西遊せいゆう』ではを敖広(ごうこう ; 拼音: Áo Guǎng
      • 敖丙(ごうへい ; 拼音: Áo Bǐng) - 東海とうかい竜王りゅうおう三男さんなんで、哪吒ころされる。
    • 南海なんかい竜王りゅうおう
    • 西海にしうみ竜王りゅうおう
    • 北海ほっかい竜王りゅうおう

ドラゴン(西洋せいようりゅう

編集へんしゅう

ドラゴンは、ヨーロッパの文化ぶんか共有きょうゆうされている伝承でんしょう神話しんわにおける伝説でんせつじょう生物せいぶつである。もとは天使てんしで、天上てんじょうからちた天使てんしのうちのひとつとされる。その姿すがたはトカゲあるいはヘビている。想像そうぞうじょう動物どうぶつであるが、かつては実在じつざいきものとされていた。

英語えいごでは、ちいさいりゅうりゅうはドラゴネット (dragonet) という。

脚注きゃくちゅう

編集へんしゅう
  1. ^ だい漢語かんごりん大修館書店たいしゅうかんしょてん
  2. ^ しん明解めいかい漢和かんわ辞典じてん だいよんはん』966ぺーじ三省堂さんせいどう
  3. ^ Joseph Stromberg, 2012ねん, Where Did Dragons Come From?, スミソニアンマガジン, スミソニアン博物館はくぶつかん
  4. ^ 青木あおき良輔りょうすけ (2001), ワニとりゅう - 恐竜きょうりゅうになれなかった動物どうぶつはなし, 平凡社へいぼんしゃ, ISBN 978-4582850918 

関連かんれん項目こうもく

編集へんしゅう